とを比較すること、前記系統接続ポイントにおける安定性基準を維持するために、実行された前記比較に依存し、複数の風力発電装置202ための複数の規定値を決定すること、これらの決定された規定値を、個々の風力発電装置202の装置制御ユニット212へ提供すること、前記系統接続ポイントにおいて共同で供給するために、前記決定された規定値に依存し、前記風力発電装置202の各々において電流i
交流電圧系統(206)へ系統接続ポイント(PCC)(204)において電力を供給するための、複数の風力発電装置(202)を含むウインドパーク(200)を制御する方法であって、以下のステップ、即ち、
− 前記系統接続ポイント(204)において3相電流を供給すること、
− 前記系統接続ポイント(204)において系統電圧(UN)を検知すること、
− 事前設定された少なくとも1つの規定値と、前記系統接続ポイント(204)において検知された系統電圧(UN)とを比較すること、
− 前記系統接続ポイント(204)における安定性基準を維持するために、実行された前記比較に依存し、複数の風力発電装置(202)のための複数の規定値を決定すること、
− 決定された前記規定値を、個々の風力発電装置(202)の装置制御ユニット(212)へ提供すること、
− 前記系統接続ポイント(204)において共同で供給するために、事前設定された前記規定値に依存し、風力発電装置(202)の各々において電流(i1’、i2’、i3’)を発生させること
を含むこと
を特徴とする方法。
前記系統供給ポイント(204)における測定から、特に電圧及び/又は電流の検知から、前記系統供給ポイント(204)の特性量が、前記交流電圧系統(206)の特性を評価するために導き出されること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
系統感度が、予め実行された系統分析により記録されて保存されること、目下の動作点において目下の系統感度が検知されること、そして少なくとも1つの規定値の制御、特に事前設定又は変更は、予め記録された系統感度と目下の系統感度との比較に依存して行われ、特に前記比較において偏差が所定の限界値(ΔUt)を上回るないし下回る場合には、供給すべき有効電力のための規定値が減少されること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記規定値の事前設定時には、前記風力発電装置(202)の1つから前記系統接続ポイント(204)までの少なくとも1つの供給ラインのインピーダンスが、該供給ライン上の予期すべき電圧降下を考慮するために考慮されること
を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)交流電圧系統へ系統接続ポイントにおいて電力を供給するための、複数の風力発電装置を含むウインドパークを制御する方法であって、以下のステップ、即ち、
− 前記系統接続ポイントにおいて3相電流を供給すること、
− 前記系統接続ポイントにおいて系統電圧を検知すること、
− 事前設定された少なくとも1つの規定値と、前記系統接続ポイントにおいて検知された系統電圧とを比較すること、
− 前記系統接続ポイントにおける安定性基準を維持するために、実行された前記比較に依存し、複数の風力発電装置のための複数の規定値を決定すること、
− 決定された前記規定値を、個々の風力発電装置の装置制御ユニットへ提供すること、
− 前記系統接続ポイントにおいて共同で供給するために、事前設定された前記規定値に依存し、風力発電装置の各々において電流を発生させること
を含むこと。
(形態2)前記方法において、
− 前記系統接続ポイントにおいて供給された電流が検知され、特に前記系統接続ポイントにおいて測定されること、
− 供給された前記電流の検知、前記系統接続ポイントにおける系統電圧の検知、事前設定された少なくとも1つの規定値と前記系統接続ポイントにおいて検知された系統電圧との比較、及び/又は前記規定値の決定は、センタ制御ユニットにより実行されること、
− 前記規定値の決定は、少なくとも1つの可変の安定性基準に依存して行われ、該安定性基準は、特に前記系統接続ポイントにおける前記交流電圧系統の系統状態、及び/又は、前記ウインドパークにより供給された無効電力及び/又は前記ウインドパークにより供給された有効電力に依存することが好ましい。
(形態3)前記方法において、前記規定値の決定には、対称座標法による正相と逆相への分解が用いられ、前記規定値は、正相の値、即ち、
− 各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの供給すべき無効電力、
− 各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの出力電圧又はターミナル電圧、及び/又は、
− 各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの供給すべき有効電力、特に最大の供給すべき有効電力であることが好ましい。
(形態4)前記方法において、安定性限界値が予め計算され、開ループ制御のために保存され、特に特性マップとしてセンタ制御ユニット内に保存されることが好ましい。
(形態5)前記方法において、供給すべき有効電力と供給すべき無効電力は、制限され、そして対応の規定値が決定され、装置制御装置へ提供されることが好ましい。
(形態6)前記方法において、前記系統供給ポイントにおける測定から、特に電圧及び/又は電流の検知から、前記系統供給ポイントの特性量が、前記交流電圧系統の特性を評価するために導き出されることが好ましい。
(形態7)前記方法において、系統感度が、予め実行された系統分析により記録されて保存されること、目下の動作点において目下の系統感度が検知されること、そして少なくとも1つの規定値の制御、特に事前設定又は変更は、予め記録された系統感度と目下の系統感度との比較に依存して行われ、特に前記比較において偏差が所定の限界値を上回るないし下回る場合には、供給すべき有効電力のための規定値が減少されることが好ましい。
(形態8)前記方法において、供給すべき無効電力のための規定値の変更及び/又は供給すべき有効電力のための規定値の変更は、跳躍的に行われ、及び/又は、跳躍的な変更又は前記跳躍的な変更に対する前記系統接続ポイントでの前記系統の電圧のレスポンスを基礎にし、目下の系統感度が決定されることが好ましい。
(形態9)前記方法において、ヒステリシス・レギュレータが前記規定値の事前設定のために使用され、及び/又は、前記系統内の状態量、特に前記系統接続ポイントにおける系統電圧が所定の基準を満たす場合、即ち所定の限界値を上回る又は下回る或いは大きさに応じて(所定量だけ)上回る場合か、又は所定の許容帯域を逸脱し、その後、所定のデッドタイムが経過して前記状態量が引き続き所定の基準を満たしている場合に、前記規定値の少なくとも1つの変更が行われることが好ましい。
(形態10)前記方法において、前記規定値の事前設定時には、前記風力発電装置の1つから前記系統接続ポイントまでの少なくとも1つの供給ラインのインピーダンスが、該供給ライン上の予期すべき電圧降下を考慮するために考慮されることが好ましい。
(形態11)複数の風力発電装置を有するウインドパークであって、形態1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いて該ウインドパークが制御されること。
(形態12)前記ウインドパークにおいて、該ウインドパークは、センタ制御ユニットを含むこと、該ウインドパークの各風力発電装置は、装置制御ユニットを含み、前記センタ制御ユニットは、前記装置制御ユニットに対し、供給すべき無効電力及び/又は供給すべき有効電力のための規定値を事前設定するように設けられていることが好ましい。
(形態13)前記ウインドパークにおいて、前記系統接続ポイントにおいて短絡流比率は、4よりも小さい、特に2よりも小さい、特に1.5よりも小さいことが好ましい。
(形態14)風力から電力を発生させる風力発電装置であって、該風力発電装置は、形態11〜13のいずれか1つに記載のウインドパーク内で使用するために設けられており、特に該ウインドパークのセンタ制御ユニットから規定値を受信する対応の装置制御ユニットを有すること。
【0022】
本発明においては、複数の風力発電装置を有するウインドパークから出発し、該ウインドパークは、電力を共通の系統接続ポイントPCCにおいて交流電圧系統へ供給する。従ってウインドパークを制御する本方法は、ウインドパークを用いて電力を供給する方法と見なすか又はそのように称することも可能である。この際、先ず3相電流が系統接続ポイントにおいて供給される。
【0023】
更に系統電圧が系統接続ポイントにおいて検知される。この検知は、特に測定により行われ、この際、実際に引き続き使用される検知された系統電圧の値は、更なる処理、特に計算による処理にもたらすことが可能である。
【0024】
そして検知された系統電圧は、事前設定(プリセット vorgeben)された少なくとも1つの規定値(目標値 Sollwert)と比較される。本方法は、交流電圧系統への電力の安定供給に関するものであり、また交流電圧系統は、以下、単に系統とも称するものとする。それに対応し、当業者にとって、当該比較ができるだけ迅速にできるだけリアルタイムで且つできるだけ頻繁に、好ましくは連続的に又は準連続的に行われるということは明らかである。また基本的に50Hz又は60Hzの系統周波数を有する通常の交流電圧系統が前提とされる。それに対応し、迅速に且つ頻繁に系統接続ポイントにおける系統電圧の検知も行われなくてはならない。
【0025】
また各風力発電装置のために少なくとも1つの規定値が決定される。この規定値は、実行された比較に依存し、即ち電圧用の規定値と検知された系統電圧との比較に依存して決定される。この際、その都度の規定値は、系統接続ポイントにおける安定性基準が維持可能であるように決定される。それに対応し、この規定値は、同様に絶えず新たに決定され、それに対応し、同様に絶えず新たに実行される比較に依存して設定され、ないしそれに関連し、変化する状況にも追従される。従って規定値は、絶えず変化し、それにより時間的に相前後して複数の規定値が存在することになる。それに対応し、本方法は、複数の規定値の決定にも関するものである。これらの規定値は、場合により最初だけはウインドパーク内の複数の風力発電装置のために同一とすることが可能であるか、又は各風力発電装置に対して個別に適合させることも可能である。そのような個別の適合は、特に規定値の種類に依存し、各々の風力発電装置が同じ(同じタイプ)であるか否かに依存する。規定値の供与は、ウインドパーク内の各々の風力発電装置の場所に関する配置構成にも依存することが可能であり、即ち特に各々の風力発電装置から共通の系統接続ポイントへの電気接続ラインが、各々の風力発電装置と系統接続ポイントとの間の電気接続に対して著しい差異をもたらす場合には、そのような配置構成に依存することが可能である。
【0026】
それらの規定値は、個々の風力発電装置の装置制御ユニットへ提供ないし伝達される。従って各風力発電装置が固有のコントロールユニットを有し、該コントロールユニットに対し、対応の規定値が提供されることが考慮されている。従って風力発電装置ないしその個別の装置制御ユニットは、センタ箇所から、少なくとも1つの規定値、ないし一連の複数の規定値を取得し、それから風力発電装置内の後続の具体的な開ループ制御(Steuerung)を個別に適合する。特に大きさと位相と周波数に関し、供給すべき3相電流の具体的な発生、即ち供給すべき個々の相電流の具体的な発生が、各風力発電装置の各装置制御ユニットにより個別に実行される。
【0027】
そしてそのように供給のために発生された各風力発電装置の電流は、共同でウインドパークの系統接続ポイントへ伝達され、そこで供給される。特にそれらの電流はそのために他の風力発電装置の他の電流と線形(linear)に重ね合わされる。この際、各風力発電装置は、固有の出力チョーク及び/又は出力変圧器をもつことが可能である。
【0028】
基本的なこととしてSCR>4又はそれどころかSCR>6の短絡流比率の事前設定(プリセット Vorgabe)に関する原因を説明する。短絡流比率が小さい場合には、共通の系統接続ポイントPCCにおける電圧の感度(Sensitivitaet)が、その都度供給される無効電力と有効電力に依存してないしそれらのレスポンスとして、強く増加ないし低下すること、特に指数関数的に増加ないし低下することを考慮する必要がある。この際、系統接続ポイントにおける電圧が風力発電装置における内部の閉ループ制御(Regelung)のために実際値(実測値 Ist-Wert)として使用されるのであれば、この内部の閉ループ制御には不安定性が発生する可能性がある。更に引き続き電圧閉ループ制御の不安定性が発生する可能性がある。同様に安定性喪失の危険性、即ち所謂「Loss of Stability」の危険性が、「Voltage Collapse」とも称される電圧崩壊のメカニズムに基づき、及び/又は「angle stability」とも称される角度安定性に基づきないしそのような角度安定性の喪失に基づいて存在する。
【0029】
従って提案される解決策は、特に、共通の接続ポイントにおける電圧を実際値として使用する場合において風力発電装置内部の閉ループ制御における不安定性を防止することを意図する。
【0030】
同様に風力発電装置又はウインドパークの無効電力を操作量(調整量 Stellgroesse)として利用する電圧閉ループ制御の不安定性が防止されるべきである。
【0031】
最終的には、システム、即ち特に給電を行うウインドパークが、極端に安定性限界値(所謂LOS限界値 Stabilitaetsgrenze)に近づくことも回避されるべきである。
【0032】
好ましくは、系統接続ポイントにおいて供給された電流も検知され、特にそこで測定されること、ないし系統接続ポイントにおける直接的な測定か又は系統接続ポイントの直後における測定から、供給された電流が決定されることが提案される。それにより閉ループ制御は、基礎として、実際に供給された電流を有する。従って1つの規定電流(目標電流 Sollstrom)ないし複数の規定電流と実際に供給された電流との間の起こり得るずれ(偏差)が考慮される。同様にその都度の電流と電圧が大きさと位相に関して分かっているのであれば、実際に供給された電力、特に供給された無効電力も供給された有効電力も検知することが可能である。系統における測定時には、系統のレスポンス(応答性)も検知され、考慮される。系統のこのレスポンスは、実際に供給された出力、即ち実際に供給された電流に応答するものであり、従ってそこでは測定により系統のレスポンスも、実際に供給された電気量に割り当てることが可能である。
【0033】
それに加え又は選択的に、供給された電流の検知、系統接続ポイントにおける系統電圧の検知、事前設定された少なくとも1つの規定値と系統接続ポイントにおいて検知された系統電圧との比較、及び/又は規定値の決定は、センタ制御ユニットにより実行される。従ってそれらの感知可能データを検知し、測定し、及び/又は計算する、複数の風力発電装置用の1つのユニット、特にウインドパークの全ての風力発電装置用の1つのユニットが設けられている。それにより、そのようなセンタ制御ユニットは時間的に安定した規定値を事前設定することができるので、個々の風力発電装置ないしそれらの閉ループ制御が相反して動作してしまうことも防止される。それに対応し、僅かな閉ループ制御変動は、即座に目立つことはなく、及び/又は同じ系統接続ポイントに接続されている他の風力発電装置に対して連鎖反応をもたらす可能性はないか又はいずれにせよ単に極めて小さなものである。特に例えば第1風力発電装置が系統接続ポイントにおける電圧変化をもたらし且つ第2風力発電装置がこの検知された電圧変化に基づき例えば制御技術的に反対制御を行い、このことが再び電圧変化のような影響をもたらしてしまい、この電圧変化が再び第1風力発電装置を反対制御へと動かし、それにより連鎖反応が始まってしまうような事態が生じうるという影響は回避される。
【0034】
特にここでは自身の規定値をセンタ制御ユニットから取得する個々の風力発電装置の装置制御ユニットは、個別に風力発電装置を制御し、特にこれらの装置制御ユニットは、その都度供給すべき3相電流の発生を個別に制御する。従ってこの発生は、具体的な風力発電装置に適合されており、それに対応し、これらの装置制御ユニットの開ループ制御は個別化されている。参照(Referenzierung)に関し、即ち特に周波数と位相の検知に関し、各風力発電装置の各装置制御ユニットは、個々に測定を行うことが可能であり、ないしセンタで記録された系統接続ポイントにおける測定値又は検知値を個別に考慮することが可能である。しかし個々の装置制御ユニットにおける、測定値のこの直接的な考慮は、特にこの参照に限られる。特に供給すべき有効電力の高さと供給すべき無効電力の高さは、個々の各装置制御ユニットにより固定又は決定されるのではなく、このセンタ制御ユニットにより事前設定される。
【0035】
簡単に表現すると、センタ制御ユニットは、静止極(ruhender Pol)を構成し、また安定性に関して重要な規定値についてセンタでの共通の事前設定の可能性を構成し、それに対し、個別の装置制御ユニットは、各風力発電装置において特に供給すべき具体的な電流を事前設定するために、個々の各風力発電装置に機能的に適合されている。
【0036】
個々の装置制御ユニットの個別の且つ機能的な適合は、好ましくは風力発電装置の運転開ループ制御に介入することが可能であり、例えば風力発電装置のロータブレードの位置調節により、風力から得られた出力の減少を制御することが可能である。この一般的にピッチングと呼ばれるロータブレードの位置調節は、風力発電装置、特にその装置制御ユニットにより個別に行われる。しかしそのような出力の減少を実行するための事前設定ないし起動は、特にセンタ制御ユニットから出される。
【0037】
説明した役割ないし説明した役割分配を伴う、センタ制御ユニットと個別の装置制御ユニットとの間のそのような分担(割り当て)により、特に実際値として系統接続ポイントの電圧を使用する場合の風力発電装置内部の閉ループ制御の不安定性を、それが参照することだけに限らず利用されるのであれば、回避することが可能である。同様に風力発電装置又はウインドパークの無効電力を操作量として使用する電圧閉ループ制御の不安定性が防止される。
【0038】
それに加え又は選択的に、規定値の決定は、少なくとも1つの可変の安定性基準に依存して行われ、この際、安定性基準は、特に系統接続ポイントにおける交流電圧系統の系統状態に依存する。安定性基準は、例えば系統電圧の振幅か、又は系統電圧の振幅の変化又は変化速度か、又は系統電圧の周波数又は周波数の変化に依存することが可能である。そのようなものとして安定性基準は、実際電圧の規定電圧からのずれ(偏差)とすることが可能であり、それ自体、電圧に依存することが可能である。
【0039】
ここで単純で明快な例を述べるため、安定性基準は、電圧周波数が正確に規定値に対応する場合、例えば10%の過電圧による最大許容電圧偏差であるとする。しかし周波数が少なくとも僅かに規定周波数を超える場合か、又は系統内の周波数が増加する場合には、許容される前記過電圧は、10%から5%に低下するであろう。従ってこの例において安定性基準は、電圧に依存して検査され、即ち電圧の高さの検査により検査され、同時に周波数に依存して適合され、即ち明快に述べた例では5%と10%の間で過電圧が変化されるであろう。
【0040】
この際、系統側又はウインドパーク側で系統接続ポイントにおける電圧を考慮することが顧慮される。また風力発電装置のターミナルにおける電圧も、考慮対象となることが可能である。
【0041】
そしてこの安定性基準に依存し、複数の風力発電装置のための少なくとも1つの規定値が変更される。特にそれに対応し、無効電力のための規定値、又は有効電力のための規定値、又はそれら両方のための規定値を変更することが可能である。
【0042】
安定性基準としては、追加的に又は選択的に例えばウインドパークにより供給された無効電力及び/又はウインドパークにより供給された有効電力を基礎とすることが可能である。この際、特に安定性基準は、事前設定(プリセット)が供給すべき有効電力又は供給すべき無効電力のための値として又は範囲として存在し且つこの事前設定の維持が対応して検査されるものとして見ることができる。特に供給される有効電力は、供給可能な有効電力がとにかく現地での風力に依存するので、限られてのみ影響可能である。提案された安定性基準においては、無効電力に対する有効電力の比率も重要であると言える。例えば有効電力への無効電力の所定の適合は、有意義であり、基礎とすることができる。
【0043】
好ましくは、規定値の決定には、対称座標法による正相(正相分)と逆相(逆相分)への分解が基礎とされ、そして規定値は、正相の値、即ち各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの供給すべき無効電力と、それに加え又は選択的に、各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの出力電圧又はターミナル電圧と、それに加え又は選択的に、各々の風力発電装置における正相に関連した各々少なくとも1つの供給すべき有効電力、特に最大の供給すべき有効電力である。
【0044】
供給すべき無効電力及び/又は供給すべき有効電力の事前設定を介し、系統を保護するないし系統安定性に影響を及ぼす重要な値(Groesse)を事前設定することが可能である。対応の無効電力により、特に交流電圧系統内の長い供給ライン又は長いラインにおける電圧降下を排除又は減少することが可能である。
【0045】
短絡流比率が極めて小さいことに基づく差し迫った不安定性、即ちまた比較的大きな接続負荷に基づく差し迫った不安定性には、供給される有効電力の減少を用いて対処することが可能である。最大の供給すべき有効電力の事前設定は、特に現地での風力が供給すべき有効電力を少なくとも持続的に制限し、従ってそのような限界値を超過する具体的な有効電力規定値が実現不可能であるが故にも、考慮されている。
【0046】
しかしまた供給すべき有効電力と供給すべき無効電力が組み合わされ且つ互いに適合された事前設定は、特に有効電力と無効電力により決定される動作点(Arbeitspunkt)も供給時にはウインドパークの安定性にとって重要であるため、有利である。
【0047】
対称座標法を基礎とすることにより、非対称3相系を考慮することも可能である。理想的な場合、即ち3相系が対称であるときは、逆相の成分は0である。
【0048】
一実施形態により、安定性限界値(Stabilitaetsgrenze)が予め計算され、開ループ制御のために保存され、特にセンタ制御ユニット内に特性マップとして保存されることが提案される。そのような安定性限界値は、例えば特性マップか、又はグラフとして記述されて複数の無効電力・有効電力・値ペアから構成される特性曲線とすることが可能である。それに対応し、無効電力と有効電力のための規定値は、無効電力と有効電力から定義されている動作点がこの安定性限界値の常に一方の側、即ち安定側にあるように事前設定される。
【0049】
そのような安定性限界値は、特に系統供給ポイントに関する接続された系統の特性である。それに対応し、好ましくは、そのような安定性限界値を検出するために、接続された交流電圧系統を測定するか又は他の方法で識別することが提案される。そのような安定性限界値が検出されて保存されていると、それに対応し、安定した動作点を簡単に及び/又は信頼性をもって設定又は監視することが可能である。そしてウインドパークの開ループ制御、即ち系統接続ポイントにおける給電の開ループ制御は、特に系統接続ポイントにおいて突然検知される動的な過程に基づき差し迫る安定性喪失を検知することを必要としていないか又は必要とすることは極めて少ない。むしろ、対抗措置が講じられない場合、どこでそして場合によりいつ安定性喪失が発生するであろうかについて、予め既に認識することが可能である。この際、場合による唐突な対抗措置ないし過激な対抗措置は、動作点が確実に設定(調節)されるのであれば回避される。好ましくはそのような動作点は、供給された有効電力と供給された無効電力により定義することが可能であり、好ましくは、供給すべき有効電力と供給すべき無効電力はそれに対応して制限され、及び/又はそれに対応する動作点が設定される。好ましくはそのような動作点は、動作点と安定性限界値との間の安全間隔が設定され且つ維持されるように設定ないし制限される。
【0050】
更なる一実施形態により、系統供給ポイント(系統接続ポイントのこと)における測定から、系統供給ポイントの特性量(Kenngroesse)ないし系統供給ポイントに関する交流電圧系統の特性量が導出ないし比較され(abgleichen)、そのことから交流電圧系統の特性が評価される。この際、特に系統供給ポイントにおいて検知された電圧及び/又は系統供給ポイントにおいて検知された電流が使用される。この際、特性量は、供給量に対する系統の感度とすることが可能である。そのような感度は、供給された電力の変化に関する、系統接続ポイントにおける電圧の変化である。特にそのような感度は、供給された有効電力の変化に依存する電圧の変化と、供給された無効電力の変化に依存する電圧の変化との合計から計算することが可能である。換言すると、ここでは一方の有効電力による電圧の偏導関数(偏微分)と他方の無効電力による電圧の偏導関数(偏微分)とから感度が計算される。系統感度とも称することができ且つ系統接続ポイントに関係するこの感度から、場合により、差し迫る安定性喪失又は少なくとも系統の安定性の衰弱化を認識することができる。それに加え又は選択的に、それからウインドパークの動作点ないし風力発電装置の動作点の品質と特に安定性を評価することも提案される。それに基づき、場合により制御介入を行うことが可能である。
【0051】
好ましくは、系統感度は、予め実行された系統分析により記録されて保存されること、それに加え、目下の動作点における系統感度が検知されることが提案される。そして少なくとも1つの規定値の制御、事前設定、及び/又は変更は、予め記録された系統感度と目下の系統感度との比較に依存して行われる。特にこの比較において偏差(ずれ)が所定の限界値を超過する場合には、供給すべき有効電力のための規定値が減少される。系統感度は、変化に対する系統のレスポンス(応答性)、特に給電の変化に対する系統のレスポンスである。この際、特に供給された有効電力の変化に対するレスポンスとしての系統感度と、供給された無効電力の変化に対するレスポンスとしての系統感度が考慮される。これらの両方の系統感度は、統合することも可能であり又は統合して観察することも可能である。そのような系統感度は、1つの系統特性であり、従って予め記録して保存することが可能である。この系統感度は、早期に不安定性を認識し且つ回避することを支援できる。特に高い系統感度は、系統が極めて強く応答することを意味し、即ち系統が既に小さい変化に対して極めて敏感に応答することを意味する。このことに対し、一実施形態により提案される閉ループ制御を適合することが可能である。
【0052】
それに加え、系統内の条件を変更することも可能であり、ないし周辺条件が系統感度に対して影響をもつことも可能であることを顧慮しなくてはならない。目下で記録された系統感度を、対応の予め決定された系統感度と比較することにより、系統が予め検出されたときのようにまだ挙動するか否か、又はずれた挙動を考慮しなければならないかを認識することが可能である。後者の場合には、閉ループ制御の事前設定ないし開ループ制御の事前設定が場合によりもはや十分ではなく、少なくとももはや最適な状態で系統に適合されていないので、注意を払う必要がある。この場合、供給される有効電力の減少を最初の保護措置とすることが可能である。特にそれにより安定性限界値までの動作点の間隔を増加させることが可能である。
【0053】
更なる一実施形態により、供給すべき無効電力のための規定値の変更、及び/又は供給すべき有効電力のための規定値の変更が、跳躍的にないし1つのステップで又は複数のステップで行われることが提案される。それにより一方では、対応して強い影響を有する強い変更が達成される。それに加え、ステップ(段差的 stufenweise)による変更は、変更がめったに行われなくて済むということ、特に供給すべき有効電力及び/又は供給すべき無効電力を絶えず変更せずに済むということももたらしてくれる。好ましくは、そのような跳躍的な又はステップ的な変更は、所定の時間遅延をもって行われる。
【0054】
更に一実施形態により、そのような跳躍的な変更に対する、系統接続ポイントにおける系統の電圧のレスポンスを基礎にし、目下の系統感度を決定することが提案される。この際、系統感度の決定は、差分形成により、即ち跳躍的な変更の前の一時点と、跳躍的な変更の後の一時点とにおいて、電圧も、跳躍的に変更された有効電力ないし無効電力も検知され、これらの両方の差分が対比されることにより行うことが可能である。
【0055】
更に一実施形態により、ヒステリシス・レギュレータが供給すべき規定値の事前設定のために使用されることが提案される。ヒステリシス・レギュレータとしては、レギュレータであって、その出力、即ちここでは規定値の事前設定のような操作量が、対応の入力量と直接的でかつ一義的な関係にはなく、以前の値にも依存するというレギュレータとして理解される。例えば、ここでは単に一般的な例としての説明であるが、電圧がレギュレータの入力を構成し、無効電力がレギュレータの出力を構成する場合、電圧をその規定値以上に増加することは、例えば無効電力の増加をもたらすことになる。電圧が再びその規定値に戻るか又は少なくともその領域に戻る場合、しかしながら無効電力は、少なくとも一時的に、その値を維持することになる。また提案されたヒステリシス・レギュレータは、時間遅延を含むことも可能であり、この際、前記の例を今一度具体化のために取り上げるが、電圧増加が先ずレギュレータのレスポンスをもたらすのではなく、ある程度の時間経過の後に初めてそのレスポンスがもたらされる。この時間経過の前に電圧増加がもはや存在しないのであれば、レギュレータの出力においてレスポンスは行われない。特にヒステリシス・レギュレータは、非線形のレギュレータである。純粋に念のため、とにかく伝達特性が振幅に依存するレギュレータが、非線形レギュレータであることを指摘しておく。
【0056】
それに加え又は選択的に、ウインドパークを制御する本方法は、系統内の状態量(Zustandsgroesse)が所定の基準を満たす場合で、その後、所定のデッドタイムが経過して所定の基準が依然として満たされている場合に、規定値のうちの少なくとも1つの規定値の変更が行われることにより特徴付けられていることが提案される。この際、特に系統接続ポイントにおける系統電圧に関するものであり、所定の基準を満たすということは、ここでは、所定の限界値を上回ること、ないしその所定の限界値を下回ることか又は他の所定の限界値を下回ること、ないし大きさに応じた上回りとすることが可能である。また基準として、重要な値、特に系統電圧が、所定の許容帯域を逸脱することも考慮に値する。
【0057】
好ましくは、規定値の事前設定時には、風力発電装置から系統接続ポイントまでの少なくとも1つの供給ラインのインピーダンスが、該供給ライン上の予期すべき電圧降下を考慮するために考慮されることが提案される。この際、特に系統接続ポイントまでのラインのインピーダンスも、この系統接続ポイントがウインドパーク自体からも遠く離れている場合には考慮することが可能である。正にそのような場合には、風力発電装置から系統接続ポイントまでのこのインピーダンスがウインドパーク内の多くの風力発電装置に対して類似しているとされ、簡略的には同一であると想定することが可能である。そして風力発電装置の規定値、即ち特に供給すべき無効電力と有効電力のための規定値、従って結果として供給すべき電流のための規定値には、好ましくは風力発電装置における仮想電圧(virtuelle Spannung)が基礎とされる。この際、好ましくは出力電圧が仮想電圧として基礎とされ、該仮想電圧では、系統接続ポイントまでの供給ラインの実効インピーダンスに起因する電圧降下分が生じているとすることができ、ないし予期することができる。
【0058】
以下に説明する潮流計算は、エネルギー供給系統の静的な運転状態の分析のために使用される。この際、該当の系統のインピーダンスZないしアドミタンスY(複素コンダクタンス)による該当の系統の図(本願の
図9)が基礎を構成する。
【0060】
古典的な系統分析において系統は、「オームの法則」により、nノードのための関係性を記述する、行列表現の以下の線形方程式系を用いて決定される。
【0062】
又は簡潔に、以下のように表わされる:
【0063】
この際、n系統ノードの各々における電圧が探される(→電圧維持)。
【0064】
しかし系統内の電流は既知ではないが(計画された)供給ないし受入は既知であるので、電流は、電力により表現される。
【0066】
今や電力に関する系統方程式の記述により、非線形方程式系が得られる。
【0068】
この非線形方程式系は、数値的に(多くの場合はニュートン法を用いて)解かれる。方程式系の数値的な解の枠内においてこの方程式系は、線形化されなくてはならない。線形化は、未知数による行列要素の偏微分(偏導関数化 partielle Ableitungen)により行われ、即ちここでは更にノード電圧の振幅(U
2〜U
n)と角度(δ
2〜δ
n)による行列要素の偏微分により行われる。
【0069】
偏微分係数(偏導関数)を有する行列は、ヤコビ行列と呼ばれる。この行列は、方程式系を解くために反転可能、即ち正則(regulaer)でなくてはならない。
【0071】
以下、添付の図面に関連し、例示した実施形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0073】
以下、類似するが同一でない要素にも同一の符号をつけることができ、また模式的に又は象徴的に図示されているだけで詳細について異なることのある要素にも同じ符号をつけることができるものとするが、それらの詳細は、以下の説明にとって重要なものではないと言える。
【0074】
図1は、タワー102とナセル104とを備えた風力発電装置(風力エネルギー設備)100を示している。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110とを備えたロータ106が配設されている。ロータ106は、運転時には風力により回転運動を行い、それによりナセル104内の発電機を駆動する。
【0075】
図2は、系統接続ポイント2を介して電力系統(給電系統)4へ接続されている風力発電装置1を模式的に示している。電力系統4は、以下、簡単に系統4又はネットワーク4とも称するものとし、これらの用語は、同義語と見なされるべきである。
【0076】
風力発電装置1は、風力により駆動され且つそれにより電気エネルギーを発生させる発電機6を有する。発電機6は、一実施形態において各々星型に配線された2つの3相系を有する電気励磁式の多相同期発電機6として構成されており、このことは、
図2の発電機6内の2つの星印により記載されている。そのようにして発生された交流、即ち本例では6相交流は、整流器8を用いて整流され、直流として、複数の個別ラインを含むことのできる対応の直流ライン10を介し、ナセル12からタワー14を下ってインバータ(逆変換器)16に伝達される。インバータ16は、その直流から交流を発生させ、即ち図示の例では系統4へ供給するための3相交流を発生させる。この際、インバータ16により発生された交流電圧は、更に変圧器(トランス)18を用いて昇圧され、それから系統接続ポイント2において系統4へ供給される。図示された変圧器18は、星型・三角結線を使用し、即ち一次側では星型結線を使用し、二次側では三角結線を使用し、このことは、一実施形態の一例としてのみ図示されている。系統4への給電は、有効電力Pの供給の他に無効電力Qの供給も含むことができ、このことは、作用矢印20により記載されている。具体的な給電のためにインバータ16は、対応の制御ユニット22により駆動制御され、この際、制御ユニット22は、構造的にインバータ16と統合することも可能である。全体として
図2は、基本的な作用構造を示しており、個々の要素の具体的な配置構成は、図示のものとは異なって選択することも可能である。例えば変圧器18は、タワー14の外部に設けることも可能である。
【0077】
制御ユニット22は、インバータ16を、特に系統4への給電の仕方(態様)が制御されるように駆動制御する。この際、供給すべき電流を、系統4内の状況、特に系統4内の電圧の周波数、位相、振幅に適合させる役割が担われる。更に制御ユニット22は、目下で系統4へ供給されている電力のうち有効電力Pの部分と無効電力Qの部分を制御するために設けられている。この際、系統4内の測定、特に系統接続ポイント2における測定が行われ、それに対応して評価が行われる。中でも特に電圧の目下(実際)の実効値の形式の系統4内の目下(実際)の電圧も測定され、電圧のための事前設定値(予設定値 Vorgabewert)、即ち事前設定値V
SETと比較される。
【0078】
それに対応し、図示のシステム、特に制御ユニット22を有するインバータ16は、ドイツ語用語でも「Voltage Control System」(略してVCS)と称される電圧制御システムを表わしている。
【0079】
風力発電装置の発電機6の制御(開ループ制御)のために、ナセル12の領域には出力制御ブロック24と出力評価ブロック26が設けられている。出力制御ブロック24は、特に励磁機能を制御し、即ち図示の実施例における外部励磁式の同期発電機の励磁電流を制御する。出力評価ブロック26は、整流器8に提供された出力を評価し、該出力を、整流器8から直流ライン10を介してインバータ16に送られた出力と比較する。この評価の結果は、更に出力制御ブロック24へ提供される。
【0080】
図2は、適切なインテリジェント給電のために図示のシステムが、風力発電装置を給電時にできるだけ安定して運転するため、特に安定性限界値の近くで運転するために、電圧制御システムを備えるべきであろうことも示している。
【0081】
図3は、所謂「弱い系統4」への風力接続装置1’の接続形態を示している。この際、弱い系統(ウイークグリッド)としては、高いインピーダンスを有する系統として理解される。このことは、
図3において、直列インピーダンス5’により示されている。またそのような直列インピーダンス5’は、所定のテスト構造内に設けられたものであり、該テスト構造は、
図3の構成に対応しており、また該テスト構造を用い、弱い系統4’における風力発電装置1’の特性(挙動)が調査されたものである。
【0082】
図3の構成は、発電機6’から始まり、該発電機6’は、風力により駆動され、同期発電機として設けられている。発電機6’により発生された電力は、整流器8’において整流され、それからインバータ16’の入力側において、中間回路コンデンサ28’を備えた直流電圧中間回路に供給される。図示の構成は、図面の簡素化のため、直流電圧ライン10’をインバータ16’の入力側の直流電圧中間回路と同じにしている。実際、入力側の直流ラインは、中間回路と電気的に同一とすることができるか、又はここでは詳細には説明されないが入力側において更に昇圧チョッパを設けることもできる。また既に
図2において整流器8とインバータ16について説明したように、整流器8’とインバータ16’を空間的に互いに別々に設けることも可能である。
【0083】
また励磁制御装置24’が設けられており、該励磁制御装置24’は、中間回路コンデンサ28’により代表される直流電圧中間回路のエネルギーから給電可能である。この励磁制御装置24’は、外部励磁式の発電機6’の励磁電流を制御し、基本的に
図2の出力制御ブロック24に対応する。
【0084】
インバータ16’は、有効電力P及び/又は無効電力Qを供給することが可能である。この際、
図3では、インバータ16’の出力部における電圧が風力発電装置の電圧V
WECとして記載されている。供給のためにこの電圧V
WECは、変圧器18’を介して昇圧され、系統接続ポイント2’において系統4’へ供給される。この際、系統4’は、別の系統変圧器30’も有する。系統変圧器30’の後に始まる実際の系統は、符号4”で特徴付けられている。系統接続ポイント2’における電圧は、系統電圧V
GRIDとして記入されている。
【0085】
弱い系統4’の具体化のために系統接続ポイント2’の前に直列インピーダンス5’が記入されている。この直列インピーダンス5’は、このテスト構造ないし具体構造においてのみ設けられており、系統インピーダンスを意味する。従って変圧器18’の直ぐ横に記入されたポイントを系統接続ポイント2”と見なすことも可能である。これらの両方の系統接続ポイント2’と2”の間の区別は、直列インピーダンス5’をこのように使用することによってのみ得られ、つまり実際の系統において存在することはない。
【0086】
図4は、2つの風力発電装置1が電力系統4へ接続されている別の具体的な模式図を示している。この際、風力発電装置1の各々は、基本的に
図2に関して説明されたように構成されており、即ち発電機6と整流器8と直流ライン10を備え、この直流ライン10は、実際には少なくとも2つの個々のライン、即ち正電流と負電流のためのラインを有し、このことは、対応して
図2の直流ライン10にも該当する。更に風力発電装置1は、インバータ16と変圧器18を有する。そして両方の風力発電装置1の各々から、接続ライン32が1つのないし上記の風力発電装置側の系統接続ポイント2’へと延びている。従って2つの風力発電装置よりも遥かに多くの風力発電装置を備えたウインドパークを代表しているとも言える、例示されたこれらの両方の風力発電装置1は、発生されたそれらの電力を共同でこの風力発電装置側の系統接続ポイント2’において供給する。そして供給される有効電力Pと、存在する場合の供給される無効電力Qとは、系統側の接続ポイント2”に提供され、電力系統4へ供給される。
【0087】
風力発電装置側の系統接続ポイント2’と系統側の接続ポイント2”との間の接続部は、無視することはできず、それに対応し、風力発電装置側の系統接続ポイント2’では風力発電装置側の電圧V
WPが生じ、それに対し、系統側の接続ポイント2”では系統側の電圧V
GRIDが生じる。
【0088】
制御(開ループ制御)のためには風力発電装置側の電圧V
WPが検知され、評価ブロック34において評価される。この評価は、先ず測定ブロック36を用いて測定値が記録されるように行われる。これらの測定結果は、中でもSVCSブロックと称することもできる安定性制御ブロック38に提供され、この際、SVCSとは、英語の用語「Stability Voltage Control System」の略語から得られたものである。安定性制御ブロック38は、供給すべき無効電力Q
SETのための事前設定値(プリセット値)を計算する。この設定すべき無効電力は、対応の事前設定値として両方の風力発電装置1へ提供され、またそれに対応し、全ての風力発電装置へ1つの値として提供されるであろう。この事前設定値は、特に風力発電装置1が同じサイズを有し、同じ風力にさらされている場合には、絶対値として提供することが可能である。しかし例えば該当の風力発電装置の定格出力のような各々の風力発電装置の特性に関係する事前設定値として、例えばパーセント値として出力することも可能である。
【0089】
また測定ブロック36は、値を更に観測ブロック40へ提供し、該観測ブロック40は、検出された測定値から、例えば供給された有効電力又は供給された無効電力のような更なる状態を検出し、その結果を更にシステムモデルブロック42へ転送する。観測ブロック40は、場合により電力需要に関する情報を検出又は導出することも可能である。
【0090】
そしてシステムモデルブロック42のシステムモデルは、最大で供給すべき有効電力P
maxを決定し、風力発電装置1に提供するために使用される。この最大で供給すべき有効電力P
maxも、絶対値として又は相対値として出力することが可能である。また評価ブロック34の具体的な説明が当該構成を明確に示すべきであることを指摘しておく。基本的に評価ブロック34が物質的に独自の機器として形成されている必要はない。
【0091】
そして事前設定された無効電力Q
SETと最大の有効電力P
maxは、各風力発電装置1のFACTS制御ブロック44に提供される。「FACTS」との表記は、ドイツ語用語でも普通に用いられるものであり「Flexible AC Transmission System」の略語である。そしてFACTS制御ブロック44は、事前設定値を更新し、それに対応してインバータ16を駆動制御し、この際、そのためには風力発電装置からの状態の測定値を同時に考慮することも可能である。
【0092】
特に、しかしそれだけではないが、安定性に関して重要な、系統4への安定供給のための事前設定は、評価ブロック34により実現することが可能である。特に供給すべきエネルギー量ないし電力レベル並びに安定性に関して有利である動作点(Arbeitspunkt)を事前設定することが可能である。この際、特に安定性予備力を有する動作点を事前設定することが可能である。この際、安定性制御ブロック38が、無効電力Q
SETの対応の事前設定により、供給すべき無効電力に関する安定性予備力を達成することが可能である。
【0093】
図5は、系統へ接続された風力発電装置の感度とそれに関する影響量とを示している。系統の特性(挙動)即ち系統接続ポイントにおける特性を表わすものとして、
図5の系統ブロック50が記載されている。系統ブロック50は、系統が電圧変化により影響事象に対して応答可能であることを示している。この際、影響事象として、有効電力の変化ΔPと無効電力の変化ΔQが示されている。有効電力ブロック52が電力変化の影響を考慮し、無効電力ブロック54が無効電力の変化の影響を考慮する。有効電力ブロック52は、有効電力による電圧の偏導関数(ないし偏微分 partielle Ableitung)を示し、それに対応し、無効電力ブロック54は、無効電力による電圧の偏導関数を示している。これは、系統特性、即ち系統感度のその都度の動特性(ダイナミックス)、つまり有効電力と無効電力の変化に対するレスポンス(応答性)を対応の偏導関数を介して考慮するという可能性であり、その結果は、加算ブロック56において合算される。従って加算ブロック56と共に系統ブロック50は、2つの量に対する、即ち有効電力と無効電力に対する、系統接続ポイントにおける系統の電圧の依存性を考慮する。この際、この依存性は、両方の偏導関数を介して考慮される。
【0094】
有効電力の変化は、特に風力発電装置ブロック58に作用する風速の変化ΔVWから得られる。この風力発電装置ブロック58は、有効電力の変化ΔPに対する風速の変化ΔVWの変化の影響を明確にし、またこの際、風力発電装置の制御(開ループ制御)が考慮される必要もあり、このブロック58を用いて考慮される。
【0095】
無効電力の変化ΔQは、確かに風力発電装置にも依存し、少なくとも風力発電装置の制御(開ループ制御)にも依存するが、実質的に風速に依存しない他の関連事象に従う。それらの変化が制御ブロック60により示されている。この際、この制御ブロック60は、説明のために無効電力事前設定ブロック62とFACTSブロック64とに分割されている。制御ブロック60及びそれに伴い無効電力事前設定ブロック62は、先ず、事前設定された電圧偏差ΔV
SETを差し引いて、電圧偏差ΔVに依存し、つまり系統接続ポイントにおける電圧偏差ΔVに依存する。結果として得られるこの電圧偏差から出発し、無効電力事前設定ブロック62は、供給すべき無効電力を決定し、ないし電圧変化に依存し、供給すべき無効電力の事前設定される変化を決定する。この内容は、FACTSブロック64に提供され、該FACTSブロック64は、それに対応し、無効電力の供給の実行、ないし無効電力の供給の変化の実行を実現する。
【0096】
風力発電装置ブロック58と制御ブロック60は、各々の入力量の伝達関数として理解することもでき、ないし無効電力事前設定ブロック62とFACTSブロック64は、各々、制御ブロック60内で相互関連された個々の伝達関数として理解することができる。
【0097】
図6は、一実施形態として、供給された無効電力Qと供給された有効電力Pに依存し、系統接続ポイントにおける電圧の依存性を示している。無効電力Qは、調査された系統接続ポイントにおける系統の短絡容量S
SCに対して規格化され、横座標に記入されている。有効電力Pは、同様に同じ系統接続ポイントの短絡容量S
SCに対して規格化され、縦座標に記入されている。電圧V
PCCは、定格電圧V
Nに対して規格化された系統接続ポイントにおける電圧である。系統接続ポイントにおけるこの規格化された電圧が、様々な値のために各々、規格化された無効電力Qと規格化された有効電力Pとに依存する曲線として記入されている。それに対応し、1の値を示す曲線ないし特性曲線は、無効電力及び有効電力のためのどの値において定格電圧が生じるかを表わす特性曲線である。
【0098】
例えば、定格電圧は、短絡容量S
SCに関し、10%の無効電力Qと50%の有効電力Pが供給される場合に生じる。
【0099】
図6のグラフは、高インピーダンスを有する系統の系統接続ポイントの特性、とにかくこの系統接続ポイントに関する特性を示している。
【0100】
通常、例示の系統の図示された系統接続ポイントのためには、ほぼ標準運転領域200内の供給が行われるであろう。つまり短絡容量S
SCのほぼ5%の無効電力Qを供給し、短絡容量S
SCのほぼ10%の有効電力Pを有する供給が行われるであろう。供給される有効電力Pが、発電機の定格出力ないし接続負荷に対応する、或いは系統接続ポイントに接続された複数の発電機の合計の定格出力ないし接続負荷に対応するという理想的な想定のもと、短絡容量S
SCの10%の供給とは、接続負荷P
GENが短絡容量S
SCの10%の値をとることと同じ意味であろう。つまりほぼ10の短絡流比率S
CR=S
SC/P
GENが得られることになる。これは、図示の標準運転領域200のほぼ中心点に対応する。
図6では、状況判断のため、他の短絡流比率S
CRも短い線分として記入されており、即ち10、6、4、2、1.5というS
CRのための値を表わすものである。
【0101】
しかし本発明により、遥かに多くの有効電力Pを供給すること、即ち短絡容量S
SCの60〜70%の範囲内の有効電力Pを供給することが提案される。この際、それに対応し、系統接続ポイントにおける電圧を定格電圧の100〜110%の範囲内に保つために、短絡容量S
SCに関して20〜30%の無効電力Qの供給を考慮することができる。この際、念のため、系統接続ポイントにおける定格電圧の110%の供給が、需要家において110%の増加電圧が測定可能であることを意味するのではないということを指摘しておく。一方では、通常は系統接続ポイントと最初の重要な需要家との間において無視すべきではない系統部分が更にあり、他方では、系統内には、例えば特定の限界内で補償を行うことのできるステップ変圧器(タップ付変圧器)を設けることも可能である。しかし需要家と発電所と様々な他の周囲条件とを含めた系統に極めて固有のものとして依存する引き続く措置については、本出願の枠内では立ち入らないものとする。必要な措置は、当業者にとって基本的に周知である。
【0102】
この提案された領域は、
図6では、高められた運転領域210として記入されている。この高められた運転領域においては、ほぼ1.5の短絡流比率S
CRが存在する。そのような短絡流比率をもって、特記すべき発電所が系統へ接続されたことは、今までにない。
【0103】
図6のグラフは、観察された系統接続ポイントに関し、基礎となる系統の系統分析の結果である。そのために、冒頭で説明したように、系統内の重要な要素の分析が行われ、各々、ヤコビ行列を解くことにより算出が行われた。それにより
図6のグラフが得られ、従って簡単に表現すると、右方向に向かう特性曲線、即ち供給される無効電力Qがより高い特性曲線は、系統接続ポイントにおける増加電圧も表わしている。無効電力Qの減少に伴い、即ち左方向に向かい、系統接続ポイントにおける電圧は減少する。この際、無効電力Qは、任意に減少することはなく、無効電力Qが(既に負で)小さすぎる場合には、それに対応する有効電力Pに応じ、ヤコビ行列が非正則(特異 singulaer)になる、即ち数学的な意味において解くことができなくなる。非正則のヤコビ行列とは、不安定な状態が存在することを意味する。それに対応し、
図6のグラフの左縁に記入されている安定性限界値(Stabilitaetsgrenze)202が得られる。安定性限界値202より左側に位置する領域、即ち各々より高い有効電力P及び/又はより低い無効電力Qを有する領域は、不安定な領域204である。純粋に念のため、安定性限界値202は、系統接続ポイントにおける電圧値の一本の特性曲線と一致するのではなく、むしろ特性曲線群を横断するように見受けられる。しかし実際に特性曲線群を横断することはなく、それは、安定性限界値202を超える側には値がなく、従って特性曲線群も存在しないからである。
【0104】
今や有利な運転領域、即ち高められた運転領域210は、先ず標準運転領域200よりも、安定性限界値202までより短い間隔を有する。しかしこの際、
図6が表わしているような系統特性に関し、具体的な考察と分析が今まで行われてこなかったことに注目すべきである。特に
図6では安定性限界値202として記入されている安定性限界値までの間隔は、知られていなかったか、又は少なくとも
図6の図示の品質性(クオリティ)と図示の定量性(クオンティティ)では知られていなかった。むしろ大規模発電所の設置では、短絡流比率の基準に関心が向けられ、短絡流比率をできるだけ大きく、好ましくは10を超えるように又はそれどころか10を遥かに超えるように選択がなされていた。風力発電装置のような小規模発電所は、今まで通常は、容易にその他の風力発電装置の接続を処理することのできる強い系統へ接続されていた。その結果、望まれようと望まれまいと、高い短絡流比率S
CRを有する接続が行われていた。
【0105】
提案された解決策は、先ず、特に
図6(及び好ましくは更に後続段落で説明する
図7、8)に図示されている関係性が定量的に記録されることにより、設けられている系統接続ポイントに関して系統を正確に分析する。特にそのような分析は、様々なポイントのためのヤコビ行列の反復作成と解のもと行われる。そしてそのような系統分析を基礎とし、安定性限界値202により安定性限界値を固定することが可能であり、また高められた運転領域210により所望の運転領域を選択することも可能である。
【0106】
追加として、風力発電装置の制御(閉ループ制御)が、特に
図2又は
図4にも図示されているような閉制御ループの意味において実行されることが提案される。
図2において制御ループは、実質的にインバータ16と、変圧器18と、系統接続ポイント2における測定値を考慮し且つ作用矢印20に従って供給される有効電力Pと無効電力Qを設定するためにインバータ16を制御する制御ユニット22とから構成される。閉ループ制御は、確かに発電機6の領域において風力発電装置の開ループ制御に影響を及ぼすが、インバータ16と変圧器18と制御ユニット22とから構成される前記制御ループは、ともかく機械的な要素を伴わないで処理され、極めて迅速に応答することが可能である。そのために系統接続ポイント、即ち
図2の系統接続ポイント2における系統特性の情報(Kenntnis)を同時に考慮すること、特に制御ユニット22において同時に考慮することが可能である。従って迅速な閉ループ制御が実行可能であり、該閉ループ制御は、この際、系統接続ポイントにおける系統の特性(挙動)、特に安定性限界値を認識している。それにより風力発電装置又はウインドパーク(場合により他の発電所も)を、
図6の高められた運転領域210のような所望の運転領域において運転し、この際、高い安定性と安全性を保証することが可能である。
【0107】
図7と
図8は、無効電力Qと有効電力Pに依存する電圧感度を示している。つまりこれらの
図7と
図8は、横座標と縦座標において同じ値を使用し、即ち横座標においては規格化された無効電力が示され、縦座標においては規格化された有効電力が示されている。
【0108】
図示された電圧感度は、
図7では、有効電力の変化を用いた電圧の変化であり、
図8では、無効電力を用いた電圧の変化である。他の表現を使うと、
図7では、有効電力による系統接続ポイントにおける電圧の偏導関数が図示され、
図8では、無効電力による電圧の偏導関数が図示されている。従って
図7は、
図5の有効電力ブロック52の特性を示しており、
図8は、
図5の無効電力ブロック54の特性を示しており、この際、両方の場合において図面は、従ってその都度の目下で供給される無効電力Qと供給される有効電力Pにより決定される運転点に依存して図示されている。各々の特性曲線の値は、例として各々の定格出力が2MWの2つの風力発電装置が接続されるべきである、短絡容量S
SC=3.73MVAを有する系統接続ポイントに関するものである。従ってこのテスト装置を用い、1よりも幾らか小さい短絡流比率の場合のテストを実行することができるであろう。しかしテストの実行のために、テストウインドファームのその都度の目下の出力が基礎として使用され、目標ウインドファームの接続負荷として、即ち(仮定で)検査すべきウインドファームの接続負荷として固定されたものである。
【0109】
本実施形態に関し、即ち一例のシステム構成に関し、各々、有効電力Pの変化に関する規格化された電圧の変化がMWで記載され、また無効電力Qの変化がMVArで記載されている。更に
図7と
図8では、所望の即ち高められた運転領域210が記入されている。従って
図7による有効電力変化に関する電圧感度は、ほぼマイナス0.2からマイナス0.4の値をとる。
図8による無効電力の変化に関する高められた運転領域210内の電圧感度は、ほぼ0.3から0.5の値をとる。従って具体的な系統接続ポイントに接続すべき風力発電装置の設計のためには、例えば
図7に示されているように有効電力の変化に関するこの電圧感度、及び/又は例えば
図8に示されているように無効電力の変化に関するこの電圧感度を取り入れて、開ループ制御において考慮することが提案される。特にこれらの値は、開ループ制御においても、また好ましくは開ループ制御の設計においても考慮されるべきである。好ましくはコントローラゲイン(Reglerverstaerkung)は、感度、特に電圧感度に依存して選択される。
【0110】
特にこれらの値を、模式的には
図2に示された要素であるインバータ16と変圧器18と制御ユニット22により実現される閉制御回路において考慮することが提案される。この際、変圧器18はさほど重要ではないが、変圧器18は多くの場合設けられており、既に系統接続ポイント2において対応の高電圧を供給可能とするために必要であろう。特に電圧感度に関する情報は、制御ユニット22において考慮される。従ってこれらの値を認識することにより、具体的な系統接続ポイントのためのカスタマイズされた開ループ制御ないし閉ループ制御を設計し且つ実行することが可能である。従って10やそれよりも高い短絡流比率の今までの大きな値を小さくし、短絡流比率のために例えば1.5のような小さな値を設け、それにより
図6〜
図8において具体化のために記入されている高められた運転領域210内で風力発電装置を運転することが可能である。
【0111】
従って本発明は、特に風力発電装置や最終的にはウインドパークも、もはや系統容量が十分であるという想定のもとで系統並行運転の古い原理に従って接続するのではなく、むしろ目標を定めて接続ポイントを評価し、これらの情報を既に前段階で考慮し、それからカスタマイズされた風力発電装置又は風力発電装置パークをそこで接続することを提案する。この際、好ましくは、開ループ制御ないし閉ループ制御も、選択すべき運転領域も、特に供給すべき無効電力Q及び供給すべき有効電力Pに関してカスタマイズされ、当業者により今まで実行されていたところよりも安定性限界値の近くに配置される。この際、目標を定めて風力発電装置の利点が使用され、即ち変化に対し、特に系統の状態の変化に対し、迅速に且つ目標を定めて応答可能であるという利点が使用される。従ってとにかく系統への風力発電装置の接続のためには、系統の過度の過大化(過大設計)、特に具体的な系統接続ポイントの過度の過大化が回避される。開ループ制御ないし閉ループ制御が極めて正確に系統接続ポイントの特性ないし系統接続ポイントに関する系統の特性を認識し、系統内の状態を観測する場合には、同様に安定性が保たれるか又はむしろ改善することが可能である。
【0112】
純粋に念のため、閉ループ制御ないし閉ループ制御装置(Regelung)とは、基本的にフィードバックを有する閉制御回路として理解され、また開ループ制御ないし開ループ制御装置(Steuerung)とは、開制御回路を意味し、即ちフィードバックを伴わない状況である。同様に開制御方法を実行する開制御ブロックは、閉制御ループ内で使用することが可能である。このことは、
図2の例においては、制御ユニット22が、線形及び/又は跳躍的でもなく及び/又は複数の量に関係し得る所定の制御関数又は伝達関数を有するという点に関し、開ループ制御装置であることを意味する。しかしこの制御ユニット22は、
図2に図示されており且つ実質的に、制御ユニット22の他、インバータ16と、変圧器18と、最終的に比較ユニット23を有する系統接続ポイント2における測定ユニットとを含んだ閉制御回路において使用される。つまり制御ユニット22は、インバータを制御し、そのために閉制御回路に組み込まれており、従って閉ループ制御装置の一部である。
【0113】
図10は、ウインドパーク200を模式的に示しており、該ウインドパーク200は、この例では3つの風力発電装置202を有し、これらの風力発電装置202は、象徴的にWEC(Wind Energy Converter)で特徴付けられている。各風力発電装置202には、更なる制御技術的な要素が割り当てられており、このことは、鎖線の四角形の枠により特徴付けられている。このような鎖線の四角形の枠は、各風力発電装置202のために示唆されており、それに対し、割り当てられた要素は、1つの風力発電装置202、即ち
図10では一番上に図示された風力発電装置202においてのみ記載されている。割り当てられた要素のうち大多数の要素は、風力発電装置内で局所的に、例えば風力発電装置のタワー内に配置することも可能である。
【0114】
図10〜
図13の閉ループ制御構成ないし開ループ制御構成が
図2及び
図4と関連した上述の構成と異なる場合には、
図2及び
図4の上述の構成は、補足の説明として有益であり、また一般的な説明として有意義であると言える。
【0115】
この際、ウインドパーク200は、PCCとも称される系統接続ポイント204を介し、交流電圧系統(電力系統)206へ接続されている。交流電圧系統206及びそれに対応して系統接続ポイント204も、3相で実施されているが、
図10においては、図面の見やすさのため、強調されては描かれていない。
【0116】
系統接続ポイント204のところないしその後方において、3つの電圧U
1、U
2、U
3を含む系統電圧
UNが測定される。更に系統接続ポイント204のところないしその直後において、個々の電流成分i
1、i
2、i
3を含む供給された電流
INが検知される。系統電圧
UNと供給された電流
INのためのこれらの測定される値は、連続的に検知され、センタ制御ユニット208へ入力される。センタ制御ユニット208は、全ウインドパーク200のための中央の制御ユニットとして設けられている。更にセンタ制御ユニット208は、幾つかの事前設定値(プリセット値)、即ち全ての風力発電装置のターミナル電圧の規定値として使用されるべきであり且つ風力発電装置と系統接続ポイントとの間のラインにおいて予期される電圧降下を考慮した、正相の電圧のための規定値U
+WECsollをその事前設定入力部210において取得する。選択的にそのような値を風力発電装置202の各々のためにそこで入力することも可能である。更に制御パラメータ(Reglerparameter)、即ち差電圧ΔU
t並びに第1タイマ時間t
Aと第2タイマ時間t
B、及び無効電力増分ΔQ
+WECが事前設定される。更に実効インピーダンス
ZPCC−WECと、更に2つの特性マップが事前設定される。実効インピーダンス
ZPCC−WECは、風力発電装置202と系統接続ポイント204との間の供給ラインのインピーダンスを表わす。この値は、各々の風力発電装置202と系統接続ポイント204との間の各接続ラインのために共通して事前設定することが可能であるか、又は特にウインドパーク内でのずれが大きい場合には個々の各風力発電装置のために事前設定するこが可能である。
【0117】
このインピーダンスは、対応のライン上の電圧降下の補償のために用いられ、このことは、所謂ライン・ドロップ・コンペンセーションと称することもできるが、ウインドパーク内の個々の風力発電装置の並列接続が十分であるため、仮想上でのみ可能である。この考慮は、特に平均して有効な考慮の意味において行われる。この理由から、好ましくは全ウインドパークのために唯一のインピーダンスだけを考慮することが提案される。
【0118】
そしてセンタ制御ユニット208は、風力発電装置202へ3つの規定値を出力し、即ち、正相の供給すべき無効電力Q
+WECと、風力発電装置の出力部において設定されるべき正相の電圧U
+WECと、正相の供給すべき有効電力のための最大値P
+maxWECである。
【0119】
これらの3つの規定値は、基本的に各風力発電装置202のために事前設定され、このことは、
図10において示唆されているだけである。
【0120】
そしてこれらの事前設定値は、装置制御ユニット212へ入力され、この際、事前設定された最大有効電力を基礎にし、更に正相のコサイン電流成分I
+CWECが計算される。この成分は、例えば次式を用いて計算することができる:
【0121】
【0122】
それに対応し、因みに風力発電装置の正相の電流のサイン成分I
+SWECは、以下の式を用いて計算される:
【0123】
【0124】
装置制御ユニット212については、更に後続段落で
図13に関連して詳細に説明される。装置制御ユニット212は、その後、設定すべき電流i
1’、i
2’、i
3’のための規定値を出力する。これらの電流は、パルス幅変調の実行のために制御ブロック214に提供され、該制御ブロック214は、
図10ではPWMとしても特徴付けられている。そしてPWM214は、インバータ216を駆動制御し、該インバータ216は、その入力エネルギーを中間回路218から取得する。従ってインバータ216は、電圧を基礎にして作動し、当業者の間では「Voltage Source Control」(VSC)とも称される。
【0125】
結果として、インバータ216は、正相の電流I
+WECを出力し、該電流は、変圧器220とウインドパーク内部の供給ライン222を介し、共通の系統接続ポイント204に提供される。系統接続ポイント204は、他の風力発電装置202を接続するための他の接続部224を模式的に示している。
【0126】
特に装置制御ユニット212による風力発電装置の内部制御(内部開ループ制御)のために、風力発電装置ないしインバータ216の出力部226において3つの電圧U
1’、U
2’、U
3’が検知され、
図10ではSO1として特徴付けられている状態観測器228に入力される。これらの入力から状態観測器228は、装置制御ユニット212に入力される位相角φ
Uを算出する。状態観測器228の機能方式は、上記特許文献9に詳細が記載されている。特に状態観測器228は、そこでは
図4において記載されている。そこでは電圧U
1、U
2、U
3が入力量として記載されており、位相角φ
1、φ
2、φ
3が出力量として記載されている。従って上記特許文献9の内容は、本願の内容でもあるとすべきである。とにかく上記特許文献9の
図4による状態観測器についての説明は、本願の一部であるとすべきである。上記特許文献9には、対応して上記特許文献10も存在する。
【0127】
それに対応し、センタ制御ユニット208は、ウインドパークの系統接続ポイント204においてウインドパークの電圧と全電流を測定する。
【0128】
センタ制御ユニット208の構成は、
図11に図示されている。この際、系統接続ポイント204において測定された電圧U
1、U
2、U
3と、そこで測定された電流i
1、i
2、i
3とがセンタ制御ユニット208のための入力測定量である。これらの電圧と電流は、瞬時値であり、
図11ではユニット1.1として特徴付けられている計算ブロック230へ入力される。
【0129】
計算ブロック230は、系統接続ポイント204において例えば5KHzのサンプリングレートで測定されて入力された電流と電圧から、供給された有効電力Pと供給された無効電力Q、並びに電流Iと正相の電圧U
+PCCを計算する。正相と逆相への対称座標法による3相系の分解、ここでは3相電圧の分解は、基本的に既知である。この計算ブロック230内の計算は、例えば、上記特許文献11において
図3の関連で説明されている。
【0130】
図11ではユニット1.2として特徴付けられている評価ブロック232は、系統接続ポイント204において測定された値から、ないしそれから導き出された値から、風力発電装置のターミナルにおいて予期すべき電圧、即ち風力発電装置のターミナル、特にインバータ216の出力部226における正相電圧U
+WECを計算ないし評価(査定)する。そのために、系統接続ポイントにおける正相の電圧U
+PCCと、電流Iと、位相角φ=arctan(Q/P)が使用される。更に系統接続ポイントと風力発電装置との間の実効インピーダンス
ZPCC−WECが必要とされ、該実効インピーダンスは、予め検出され、ここではセンタ制御ユニット208へ入力され、即ち評価ブロック232へ入力される。この際、基本的に風力発電装置と系統接続ポイントとの間の接続ライン上の電圧降下の考慮が行われる。この電圧降下は、考慮ないし補償される。そのように検知ないし計算された風力発電装置における正相の電圧U
+WECは、等価性のための評価内容、即ち出発点とされる仮想電圧のための評価内容である。
【0131】
図11ではユニット1.3として特徴付けられている制御ブロック(閉制御ブロック)234は、センタ制御ユニット208の重要な要素を構成する。この制御ブロック234は、更に
図12との関連で詳細に説明される。どの場合にも制御ブロック234は、入力量として、風力発電装置の正相電圧U
+WECと、幾つかの制御パラメータ(Reglerparameter)、即ちΔQ
+WEC、ΔU
t、t
A、t
Bと、風力発電装置の電圧規定値U
+WECsollとを取得する。
【0132】
制御ブロック234は、風力発電装置の正相の電圧U
+WECを出力し、即ちこの値を基本的に転送し、風力発電装置により供給すべき正相の無効電力Q
+WECのための規定値を出力する。更に制御ブロック234は、タイマ2を出力し、該タイマ2は、感度ブロック236により必要とされ、該感度ブロック236に提供される。感度ブロック236は、
図11ではユニット1.4として特徴付けられている。
【0133】
感度ブロック236は、系統接続ポイントにおける測定を基礎にして計算ブロック230で計算された値から、系統感度を決定する。この計算は、以下の式を用いて行われる:
【0134】
【0135】
この計算において基礎とされる差分は、異なる複数の時点に属する値であり、それに対応し、特にタイマ2が値0をもつ時点と、タイマ2がその最大値をもつ時点とにより、タイマ2の値の時間的な間隔をもって得られる計算値が基礎とされ、このことは、以下の式により記述される:
【0136】
【0137】
この際、タイマ2=0との値は、タイマ2がセットないしスタートされた直前に記録ないし決定された値を表わす。
【0138】
それに対応し、感度ブロック236は、有効電力変化ないし無効電力変化に関する系統感度、即ち∂U
PCC/∂P及び∂U
PCC/∂Qを出力する。
【0139】
最後に特性マップブロック238が設けられており、該特性マップブロック238は、
図11ではユニット1.5として特徴付けられている。
【0140】
この特性マップブロック238は、有効電力と無効電力と系統感度を入力信号として取得する。更にそこには特性マップが、予め実行された系統分析の結果として入力されて記憶される。つまり特性マップブロック238内には、系統感度∂U
PCC/∂P及び∂U
PCC/∂Qが、予め記録されて特性マップに記憶された値として、即ち2つの特性マップ内のものとして、そして、供給された有効電力の目下の値と供給された無効電力の目下の値とから得られる目下の動作点のための目下の値として存在する。この際、各々につき両方の系統感度が比較され、即ち各々につき予め記憶されたものと目下で記録されたものとが比較され、即ち系統分析の∂U
PCC/∂Pが目下の動作点の∂U
PCC/∂Pと比較され、また系統分析の∂U
PCC/∂Qが目下の動作点の∂U
PCC/∂Qと比較される。
【0141】
この際、好ましくは、安定性限界値も保存され、安定性限界値から目下の動作点までの間隔が検知される。目下の動作点が安定性限界値までの所定の間隔を下回る場合、及び/又は、予期される感度、即ち予め記録されて特性マップに保存された系統感度が、目下で確認された系統感度に対して目立ったずれ(偏差)をもつ場合には、最大で供給すべき有効電力P
maxWECの低下が行われる。それに対応し、この値は、特性マップブロック238において出力される。
【0142】
制御ブロック234(ユニット1.3)は、
図12において模式的なフローチャートの意味においてもその詳細が記載されている。ステップS1において風力発電装置の正相電圧U
+WECがそのための規定値、即ちU
+WECsollと比較される。風力発電装置における正相の電圧U
+WECは、評価ブロック232により、系統接続ポイントにおいて測定された電圧と実行インピーダンスの考慮とから決定された仮想電圧である。この際、このステップS1において、先ずこの仮想電圧U
+WECが許容帯域240内にあるか否かが検査される。この際、許容帯域240とは、その限界が事前設定された差電圧ΔU
t分だけ電圧規定値U
+WECsollの上方ないし下方に位置する帯域のことである。
【0143】
例えば、電圧が時点t
1において許容帯域を超過したとき、第1タイマ1がスタートされる。
【0144】
そして電圧が許容帯域240内へ戻る時点t
2までに経過する時間が測定される。同様のことが、ステップS1のグラフで示唆されているように、電圧が許容帯域240から下方に逸脱する場合にも行われる。
【0145】
論理的なステップS2では、タイマ1の特性(挙動)が記載されている。この際、ステップS1、S2、並びに更に後続段落で説明されるステップも、基本的に同時に進行し、またいつでも進行することが可能である。従ってこれらのステップS1、S2は、各々、制御ブロック234の部分機能又は部分手順ないし機能性を表わす。
【0146】
ステップS2では、タイマ1が値t
Aを上回るまでカウントアップすることが記載されている。タイマ1が値t
Aを上回るこの場合には、タイマ1は0にセットされ、ステップS2に記載されている増加ループ(インクリメントループ Hochlaufschleife)が新たに開始される。タイマ1が値t
Aを上回る前に電圧が許容帯域内に戻る場合には、タイマ1は0にリセットされ、電圧が許容帯域240から新たに逸脱するまで、そこに留まる。この際は何も更に開始されることはない。
【0147】
しかしタイマ1が値t
Aを上回った場合には、事前設定された無効電力が跳躍的にないし1つのステップ分だけ変更され、このことがステップS3に記載されている。従って差分U
+WEC−U
+WECsollが値ΔU
tを上回るか又は値−ΔU
tを下回る場合に、正相の無効電力差ΔQ
+WECが事前設定される。それに対応し、正相の差無効電力値ΔQ
+WEC又はそれに対応する負の値−ΔQ
+WECがセットされる。そして風力発電装置のための正相の事前設定された無効電力値Q
+WECは、その以前の値を基礎にしてこの差値分だけ変更され、即ち許容帯域240の電圧が上方に逸脱した場合には1つのステップ分だけ増加されるか、又は許容帯域240の電圧が下方に逸脱した場合には1つのステップ分だけ減少される。ステップS4内の方程式がこのことを示している。従って値ΔQ
+WECは、そのステップの高さである。
【0148】
1つのステップ分の風力発電装置の無効電力の変更と共に、更にタイマ2がスタートされる。このことが、ステップS5により、風力発電装置の正相の無効電力Q
+WECがステップΔQ
+WEC分だけ増加された例として示されている。同様のことが対応して減少の場合にも当てはまる。タイマ2は、1つのステップ分の無効電力のこの増加がある限り、ループにおいて増加する。この際、タイマ2が比較値t
Bを上回る場合には、感度ブロック236において更に使用可能とするために、このタイマ2が出力される。タイマ2のためのループは、ステップS6において示されている。
【0149】
無効電力が新たに変更されるであろう以前には、タイマ2の終了が必ず待たれることが提案される。つまりこの時間内において無効電力は、1つのステップ分で減少されることもない。
【0150】
制御ブロック234は、中でも電圧規定値U
+WECsollを出力し、U
+WECsollは、その後、複数の風力発電装置において各々U
+WECとして使用される。
【0151】
また場合により変更された設定すべき風力発電装置の正相の無効電力Q
+WECが、
図10に示されているように、全体としてセンタ制御ユニット208により出力されて各々の装置制御ユニット212へ提供されるためにも、出力される。
【0152】
従って制御ブロック234は、特殊なヒステリシス・デットタイム・レギュレータを示し、該レギュレータのためには、複数の値、即ちΔU
t、t
A、t
B、ΔQ
+WECがパラメータを表わしている。この際、タイマは、タイマ1が値t
Aに達する場合にのみ、無効電力増加又は無効電力減少のための1つのステップの活性化が実行されるという意味と作用をもつ。電圧が先に許容帯域240内へ戻ると、許容帯域240の逸脱は、閉ループ制御の継続を伴わないままである。しかしタイマ1が値t
Aに達すると、1つのステップ分の無効電力の増加又は減少が活性化され、タイマ2がスタートされる。そしてタイマ2が値t
Bに達するまで必ず待機が行われる。
【0153】
制御ブロック234に記載されているこのヒステリシス・レギュレータの目的は、装置制御ユニット212との組み合わせにおいて、実際値として系統接続ポイントの電圧を使用した場合における風力発電装置内部の閉ループ制御の非安定性を防止することである。更に風力発電装置又はウインドパークの無効電力を操作量として利用する電圧閉ループ制御の不安定性が防止されるべきである。
【0154】
制御ブロック234ないしユニット1.3は、計算機能を実現し、該計算機能は、センタ制御ユニット208(中央のユニット1)とは異なる箇所において使用することも可能であり、即ち個々の風力発電装置の装置制御ユニット212内においてである。この際、他の入力データ、特に測定データに起因し、他の内容のメッセージ、即ちそれに対応して他の結果が生じることになる。
【0155】
ウインドパーク内で複数個設けられている装置制御ユニット212は、特に
図13で詳細に記載されている幾つかの計算を実行する。この装置制御ユニット212には、風力発電装置の設定すべき正相電流のコサイン成分I
+CWECが入力される。更に風力発電装置の正相の電圧ないし仮想電圧U
+WECと、風力発電装置の正相の設定すべき無効電圧Q
+WECとが入力される。これらの両方の値は、各々、1次の遅延要素242ないし244を介して導かれ、その後、サイン成分ブロック246に提供される。そしてサイン成分ブロック246では、風力発電装置の正相の設定すべき電流のサイン成分I
+SWECが、そこに記載された式、即ち以下の式により計算される:
【0156】
【0157】
そして設定すべき電流のコサイン成分とサイン成分から、全電流ブロック248において、正相の設定すべき電流の電流振幅I
+WECと、その角度φ
+IWECが、全電流ブロック248において記載されているように、即ち以下の方程式により計算される:
【0158】
【0159】
引き続く個別電流ブロック250では、最終的に3つの個々の設定すべき相電流i
1’、i
2’、i
3’が、そこに記載された方程式を用いて計算され、装置制御ユニット212の結果として出力され、
図10によるPWMブロック214に提供される。それに対応し、これらの電流は、以下の方程式を用いて計算される:
【0160】
【0161】
従って最終的に電流成分は、個別に各風力発電装置202のために装置制御ユニット212により決定され、即ちセンタ制御ユニット208により中央で事前設定された値を基礎にして決定される。図示の例では、とにかく角度φ
+Uは、具体的な風力発電装置の出力部における具体的な測定に依存し、従ってとにかく風力発電装置のために個別化されている。
【0162】
因みにコサイン部分I
+CWECは、風力発電装置の出力閉ループ制御から得られる。従って1次の遅延要素242ないし244は、フィルタを意味する。これらのフィルタは、パラメトリックに制御ブロック234に適合されている。
【0163】
従って風力発電装置閉ループ制御は、出力を、従って場合により詳細として電流I
+CWECを値P
+maxWECへ制限する。
交流電圧系統(206)へ系統接続ポイント(PCC)(204)において電力を供給するための、複数の風力発電装置(202)を含むウインドパーク(200)を制御する方法であって、以下のステップ、即ち、
− 前記系統接続ポイント(204)において3相電流を供給すること、
− 前記系統接続ポイント(204)において系統電圧(UN)を検知すること、
− 事前設定された少なくとも1つの電圧規定値と、前記系統接続ポイント(204)において検知された系統電圧(UN)とを比較すること、
− 前記系統接続ポイント(204)における安定性基準を維持するために、実行された前記比較に依存し、複数の風力発電装置(202)のための複数の規定値を決定すること、
− これらの決定された規定値を、個々の風力発電装置(202)の装置制御ユニット(212)へ提供すること、
− 前記系統接続ポイント(204)において共同で供給するために、前記決定された規定値に依存し、前記風力発電装置(202)の各々において電流(i1’、i2’、i3’)を発生させること
を含むこと
を特徴とする方法。
即ち本発明の第1の視点により、交流電圧系統へ系統接続ポイントにおいて電力を供給するための、複数の風力発電装置を含むウインドパークを制御する方法であって、以下のステップ、即ち、前記系統接続ポイントにおいて3相電流を供給すること、前記系統接続ポイントにおいて系統電圧を検知すること、事前設定された少なくとも1つの
規定値と、前記系統接続ポイントにおいて検知された系統電圧とを比較すること、前記系統接続ポイントにおける安定性基準を維持するために、実行された前記比較に依存し、複数の風力発電装置のための複数の規定値を決定すること、
更に本発明の第2の視点により、複数の風力発電装置を有するウインドパークであって、前記方法を用いて該ウインドパークが制御されることを特徴とするウインドパークが提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。