特開2017-164072(P2017-164072A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-164072(P2017-164072A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】身体問題測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20170825BHJP
【FI】
   A61B5/10 300U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-50314(P2016-50314)
(22)【出願日】2016年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】511242753
【氏名又は名称】からだ環境総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英俊
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB14
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】幼少期の子供の足の不具合である身体の問題を測定する、身体問題測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の身体問題測定方法は、対象者の足を所定の位置に設置する設置工程と、足の単数もしくは複数種類の不具合特徴を測定する測定工程と、測定工程の結果に基づいて、足の不具合特徴の有無を判定する判定工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の足を所定の位置に設置する設置工程と、
前記足の単数もしくは複数種類の不具合特徴を測定する測定工程と、
前記測定工程の結果に基づいて、前記足の不具合特徴の有無を判定する判定工程と、を備える身体問題測定方法。
【請求項2】
前記対象者は、幼少期の子供である、請求項1記載の身体問題測定方法。
【請求項3】
前記不具合特徴は、足の指の内反小趾を含み、
前記測定工程は、前記対象者の足の小指の内側への曲がり具合を測定し、
前記判定工程は、前記曲がり具合に基づいて、前記対象者の内反小趾の有無を判定する、請求項1または2記載の身体問題測定方法。
【請求項4】
前記不具合特徴は、足の偏平足を含み、
前記測定工程は、前記対象者の足裏の浮き面積を測定し、
前記判定工程は、前記浮き面積に基づいて、前記対象者の偏平足の有無を判定する、請求項1から3のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項5】
前記不具合特徴は、足の外反足を含み、
前記測定工程は、前記対象者のかかとの骨と身体の中心線との傾き具合を測定し、
前記判定工程は、前記傾き具合に基づいて、前記対象者の外反足の有無を判定する、請求項1から4のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項6】
前記不具合特徴は、足のX脚を含み、
前記測定工程は、前記対象者が両足を揃えて立った場合の膝の付き具合及びくるぶしの付き具合を測定し、
前記判定工程は、前記付き具合に基づいて、前記対象者のX脚の有無を判定する、請求項1から5のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項7】
前記不具合特徴は、足のO脚を含み、
前記測定工程は、前記対象者が両足を揃えて立った場合の両膝の隙間を測定し、
前記判定工程は、前記隙間の大きさに基づいて、前記対象者のO脚の有無を判定する、請求項1から6のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項8】
前記不具合特徴は、足の指の浮き指を含み、
前記測定工程は、前記対象者の足の指の接地面からの浮き量を測定し、
前記判定工程は、前記浮き量の大きさに基づいて、前記対象者の浮き指の有無を判定する、請求項1から7のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項9】
前記対象者の足を設置する透明板と、前記透明板の下部に取り付けられる反射板と、を備える測定器具が、前記測定工程で使用され、
前記反射板は、前記透明板に設置された足の裏面を写す、請求項1から8のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項10】
前記不具合特徴は、前記対象者の現在もしくは将来において、身体の不調を生じさせることがありうる、請求項1から9のいずれか記載の身体問題測定方法。
【請求項11】
前記判定工程で、前記不具合特徴があると判定された前記対象者には、靴用インソール、体操およびマッサージの少なくとも一つで改善を行う、改善工程を更に備える、請求項1から10のいずれか記載の身体問題測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に関する体型等から解析される、身体に生じうる問題を測定する身体問題測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人にとって、身体の不調が生じることは好ましいことではない。例えば、腰や肩こりなどの不調や、身体の様々な場所の痛みに悩まされることがある。あるいは、偏頭痛や運動能力の衰えなどの問題に悩まされることがある。
【0003】
このような体の不調には、生活習慣や身体能力に依存すると考えられる。しかしながら、これらの不調の原因として、人体の足の不具合に起因することも多い。例えば、偏平足などの特徴があることで、腰痛や関節痛などの不調が引き起こされることがあると考えられている。
【0004】
このような身体の不調は、いわゆる大人になった後で発症することが多い。足の問題を抱えたまま成長して大人になった後で、生活習慣なども相まって、身体の痛みなどの不調が発生するからである。足に関する不具合を抱えていることで、これを起因として身体に不調が出ることがあり、これは成長するにつれて発現することが多いからである。また、大人になるにつれて、生活習慣の良しあしも定まってくることで、足の不具合に生活習慣が加わりやすくなり、身体の問題となって表れるからである。
【0005】
また、大人になることで、足の不具合に起因する様々な現象が蓄積している。この蓄積によって、身体の不調へ繋がりやすくなる。
【0006】
このように足の不具合に起因して、成長した大人が、身体の種々の場所に不調を有するようになってしまう。このように、足の不具合を生じさせないようにする、もしくは足の不具合を改善することが必要である。
【0007】
また、足の不具合は、幼少期に形成されることが多い。成長を開始して成長途上にある幼少期の子供は、成長と生活との影響を大きく受ける。この影響が大きいことで、成長期にある足に様々な不具合が発生しやすい。
【0008】
更には、幼少期の子供は親の遺伝や親の生活習慣の影響も受けやすい。例えば、親が好む靴の種類が、どうしても子供の靴として選ばれる。靴の種類や大きさによって、成長期にある子供の足には、様々な影響が生じる。
【0009】
あるいは、親が運動を好む場合には、子供も運動習慣を身に着けやすい。逆に、親が運動を好まない場合には、子供は、運動習慣を身に着けにくい。運動では、必ず足を使用する。このため、運動習慣のある、なしが親や周囲の環境によって大きく相違する。運動習慣の有無や量は、足の生育に大きな影響を与える。このような運動習慣によって、子供の足には様々な影響が生じ、足の不具合も生じる。
【0010】
このように、大人になってから発症する体の不調の原因の一つである足の不具合は、幼少期の生活や成長などの過程で生じることが多い。もちろん、子供の足に不具合がある場合には、子供も体の不調を感じることがある。
【0011】
しかしながら、子供に足の不具合がある場合でも、子供自身は身体の不調を感じることが少ない。子供は、成長過程にあるうえ、身体の柔軟性も高い若々しさを有している。このような特性のため、子供自身に足の不具合がある場合でも、子供は身体の不調を感じにくい。
【0012】
一方で、足の不具合は、成長期であって外部環境の影響(親の嗜好なども含めて)を大きく受けやすい幼少期の方が発生しやすい。併せて、成長期であることで、外部環境の影響によって、足の不具合が簡単に大きくなってしまうこともある。
【0013】
すなわち、足の不具合が発生しやすいのは幼少期であり、足の不具合による身体の不調に悩まされるのは大人になってからとの時期的な相違がある。上述したように、足の不具合があることで、腰痛、成長不足、さまざまな身体の痛みなどの不調を発生させる。しかしながら、足の不具合の形成時期とこれに基づく不調の発生時期が相違することで、幼少期の子供の足の不具合が、見逃されていることが多い。
【0014】
あるいは、幼少期の子供の足の不具合についての知識がいきわたっていない問題もある。養育する親自身にこれらの知識が無いことで、子供の足の不具合を見逃していることも多い。
【0015】
このような状況で、子供の将来の成長度合いを測る技術として、厚生労働省において、学校保健統計調査の報告がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
厚生労働省の学校保健統計調査は、様々な対象者の実際の身長や体重を測定して、それらの平均値を算出している。サンプル対象となる対象者の数や属性をさまざまにすることで、身長や体重の平均値を、より高い精度で求めている。この平均値を求める際に、対象者の年齢ごとにその身長や体重を測定しており、年齢別の身長や体重の平均値を算出している。
【0017】
これらの結果、厚生労働省の学校保健統計調査は、多くのサンプルである対象者の平均値によって、年齢ごとの平均身長や平均体重を表している。図4は、平成24年度に公表された厚生労働省の学校保健統計調査での平均身長の年次推移である。このような平均身長の年次推移や、ある年での年齢別の平均身長の算出結果から、児童の将来的な身長を予測することもできなくはない。
【0018】
このように、厚生労働省などの国の機関から、子供の将来の身長などの予測を行うことが提案されている。
【0019】
しかしながら、このような技術も、子供の現在の体格と統計学的な平均値から将来の身長などの発育を予測するに過ぎない。幼少期の子供の足の不具合を検出することはできない。
【0020】
上述したように、幼少期の子供の足の不具合を検出することは、子供自身にとっても子供の将来にとっても、身体の不調を生じさせにくいために、重要である。しかしながら、従来技術では、このような幼少期の子供の足の不具合を検出することも、この検出に基づいて、身体の問題点を検出することもできない問題があった。
【0021】
また、幼少期に足の不具合が形成されてしまうことや、この不具合に基づく身体の不調発症、対処方法などの知識は、いきわたっていない問題もある。このため、子供自身や親も、足の不具合を検出することを想定していない問題がある。
【0022】
これらの問題の結果、幼少期の子供が足の不具合を発生させたり、見逃したりしてしまう。結果として、後々の身体の問題を発生させてしまっている。
【0023】
本発明は、これらの課題に鑑み、幼少期の子供の足の不具合である身体の問題を測定する、身体問題測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題に鑑み、本発明の身体問題測定方法は、対象者の足を所定の位置に設置する設置工程と、
足の単数もしくは複数種類の不具合特徴を測定する測定工程と、
測定工程の結果に基づいて、足の不具合特徴の有無を判定する判定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の身体問題測定方法は、身体の問題に関連する足の不具合を種々の要素で測定できる。足のサイズのような外形だけでなく、内反小趾や偏平足などの要素を測定できる。この結果、これらの足の不具合によって生じうる身体の問題を、事前に把握できる。
【0026】
特に、本発明の身体問題測定方法は、足の不具合を多くの要素で測定できる。この結果、様々な要素での不具合によって生じうる身体の問題を広く事前に把握できる。
【0027】
加えて、身体の問題を事前に把握できることで、足の不具合に起因して生じる身体の不調への対応を行うことができる。特に対応が可能な幼少期の内に、対応できて、将来の問題を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態における身体問題測定方法のフローチャートである。
図2】内反小趾を示す写真である。
図3】偏平足を示す写真である。
図4】本発明の実施の形態における測定器具の模式図である。
図5】外反足を示す写真である。
図6】X脚を示す写真である。
図7】O脚を示す写真である。
図8】浮き指を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の発明に係る身体問題測定方法は、対象者の足を所定の位置に設置する設置工程と、
足の単数もしくは複数種類の不具合特徴を測定する測定工程と、
測定工程の結果に基づいて、足の不具合特徴の有無を判定する判定工程と、を備える。
【0030】
この構成により、身体問題測定方法は、足の不具合特徴を、正確かつ客観的に測定できる。
【0031】
本発明の第2の発明に係る身体問題測定方法では、第1の発明に加えて、対象者は、幼少期の子供である。
【0032】
この構成により、足の不具合特徴を改善可能である時期に、足の不具合特徴を正確に測定できる。
【0033】
本発明の第3の発明に係る身体問題測定方法では、第1または第2の発明に加えて、不具合特徴は、足の指の内反小趾を含み、
測定工程は、対象者の足の小指の内側への曲がり具合を測定し、
判定工程は、曲がり具合に基づいて、対象者の内反小趾の有無を判定する。
【0034】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に内反小趾の有無を判定できる。
【0035】
本発明の第4の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、足の偏平足を含み、
測定工程は、対象者の足裏の浮き面積を測定し、
判定工程は、浮き面積に基づいて、対象者の偏平足の有無を判定する。
【0036】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に偏平足の有無を判定できる。
【0037】
本発明の第5の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、足の外反足を含み、
測定工程は、対象者のかかとの骨と身体の中心線との傾き具合を測定し、
判定工程は、傾き具合に基づいて、対象者の外反足の有無を判定する。
【0038】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に外反足の有無を判定できる。
【0039】
本発明の第6の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、足のX脚を含み、
測定工程は、対象者が両足を揃えて立った場合の膝の付き具合及びくるぶしの付き具合を測定し、
判定工程は、付き具合に基づいて、対象者のX脚の有無を判定する。
【0040】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に、X脚の有無を判定できる。
【0041】
本発明の第7の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、足のO脚を含み、
測定工程は、対象者が両足を揃えて立った場合の両膝の隙間を測定し、
判定工程は、隙間の大きさに基づいて、対象者のO脚の有無を判定する。
【0042】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に、O脚の有無を判定できる。
【0043】
本発明の第8の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、足の指の浮き指を含み、
測定工程は、対象者の足の指の接地面からの浮き量を測定し、
判定工程は、浮き量の大きさに基づいて、対象者の浮き指の有無を判定する。
【0044】
この構成により、身体問題測定方法は、正確かつ客観的に浮き指の有無を判定できる。
【0045】
本発明の第9の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、対象者の足を設置する透明板と、透明板の下部に取り付けられる反射板と、を備える測定器具が、測定工程で使用され、
反射板は、透明板に設置された足の裏面を写す。
【0046】
この構成により、足裏の測定も可能となる。
【0047】
本発明の第10の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、不具合特徴は、対象者の現在もしくは将来において、身体の不調を生じさせることがありうる。
【0048】
本発明の第11の発明に係る身体問題測定方法では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、判定工程で、不具合特徴があると判定された対象者には、靴用インソール、体操およびマッサージの少なくとも一つで改善を行う、改善工程を更に備える。
【0049】
これらの構成により、足の不具合特徴によって生じうる身体問題のリスクを低減できる。
【0050】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0051】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における身体問題測定方法のフローチャートである。
【0052】
身体問題測定方法は、対象者の足の不具合特徴を判定することで、対象者の現在あるいは将来の身体上の問題(の可能性)を測定する。すなわち、対象者の足の不具合特徴を判定することで、対象者に起こりうる身体上の問題を予測・判断する。すなわち、足の不具合特徴を判定した上で、対象者に起こりうる身体全体での何らかの問題を、予測・判断(測定)することを目的としている。
【0053】
身体問題測定方法1は、設置工程2、測定工程3、判定工程4を、備える。
【0054】
設置工程2は、対象者の足を所定の位置に設置する。例えば、平板状の部材の上に、対象者の足を載せて、足のかかとあるいはつま先などを基準にして所定の位置に合わせて設置させる。
【0055】
測定工程3は、設置された対象者の足についての、単数もしくは複数の種類の不具合特徴を測定する。対象者の足の状態から単数もしくは複数の種類の不具合特徴に関する事象が、測定される。この事象が測定されることで、対象者の足の不具合特徴の有無の判定が可能となる。
【0056】
判定工程4は、測定工程3で測定された結果に基づいて、対象者の足の不具合特徴の有無を判定する。すなわち、単数もしくは複数種類の足の不具合特徴が、対象者に存在しているかどうかを判定する。
【0057】
この判定工程4までの工程が進むことで、対象者の足の不具合特徴を判定して検出することができる。この不具合特徴があることで、対象者の現在もしくは将来的な身体問題を把握することができる。対象者において、足の不具合特徴があることで、腰痛であったり頭痛であったりなどの身体の別の部位や全体に悪い影響が及ぶことがある。
【0058】
この悪い影響によって、腰痛や頭痛などの症状が出ることがある。このように、足の不具合特徴は、足以外の部位に対して悪影響や悪い症状を生じさせることがある。しかしながら、腰痛や頭痛などの症状は、その原因が足の不具合特徴にあることが見逃されてしまい、適切な対応が取られないことも多い。
【0059】
このように、足の不具合特徴を見逃したまま、これを基点とする様々な身体の問題に困っている人は多い。加えて、この身体の問題を解決するアプローチが間違ったままであることも多い。
【0060】
このような状況で、実施の形態1における身体問題測定方法1によって、対象者の足の不具合特徴の有無が判定されることは、身体の問題を把握できる点で好適である。
【0061】
ここで、対象者は、幼少期の子供であることも好適である。
【0062】
足の不具合特徴は、幼少期からの成長期に形成されることが多い。成長に合わせて足も成長し、生活習慣や周辺環境との一致も図られる時期だからである。このような幼少期の子供の足において、不具合特徴の兆候が見られる。この兆候に合わせて、足の不具合特徴を検出することが好適である。
【0063】
また、足の不具合特徴が検出される場合には、この足の不具合特徴を軽減したり治療したりすることも必要となる。あるいは、足の不具合特徴から生じる身体の問題を軽減していくことも必要である。
【0064】
この場合に、年齢が進んでからでは、足を始めとした身体の柔軟性や対応力が下がってしまい、不具合特徴や問題の軽減や解消を図りにくくなってしまう。一方で、幼少期などの時期であれば、身体の柔軟性や対応力が高い。未だ成長期にあるので、足の不具合特徴を修正することも容易である。
【0065】
これらのため、対象者が幼少期の子供であることが好適である。
【0066】
測定工程3は、様々な足の不具合特徴を測定する。この測定結果に基づいて、判定工程4は、様々な足の不具合特徴の有無を判定できる。これらの様々な不具合特徴として、実施の形態の身体測定方法1は、次のような不具合特徴を測定、判定できる。
【0067】
(その1:内反小趾)
内反小趾は、足の小指が親指側に曲がってしまう症状である。図2は、内反小趾を示す写真である。図2の写真のように、小指が親指側に曲がってしまう。このような内反小趾が生じる原因として、乳児期から横幅の合わない靴を履いていたことが考えられる。横幅が合わず、幅の狭い靴を履き続けたことにより圧迫された小指が、内側に曲がってしまうことにより生じると考えられる。
【0068】
このような内反小趾を放置しておくと、成長してから、身体のバランスが取れなくなり、腰や背中などに問題が生じうる。あるいは、肩こりや偏頭痛などの症状があらわれて、長年にわたって苦しい思いをする場合もある。
【0069】
このように、内反小趾に気づかずに放置していることは、成長した後での身体の問題をさまざまに生じさせてしまう。
【0070】
一方で、内反小趾であることが分かれば、靴の幅を足にきちんと合わせたり、マッサージを行ったりすることで、対処が可能である。このような対処が、幼少期など早い時期に開始されることで、将来的な問題を防止したり軽減したりすることができる。
【0071】
このことからも、足の不具合特徴の一つとしての内反小趾が検出できることが好ましい。
【0072】
設置工程2は、対象者の足を所定の位置に設置する。測定工程3は、設置された対象者の足の小指の内側への曲がり具合を測定する。測定工程3は、この曲がり具合を測定結果として提示する。判定工程4は、この小指の内側への曲がり具合の測定結果に基づいて、対象者の内反小趾の有無を判定する。
【0073】
ここで、判定工程4は、内側の曲がり具合に対して、閾値を備えている。小指の曲がり具合が閾値を超えている場合には、対象者の足が内反小趾であると判断する。逆に、閾値未満であれば、内反小趾ではないと判定する。
【0074】
このように、判定工程4は、足の不具合特徴の一つである「内反小趾」を測定して検出することができる。特に、曲がり具合の測定と、適切な閾値の設定により、正確に判定できる。
【0075】
この内反小趾の検出を受けた対象者は、上述のように、靴の幅を見直したり、マッサージをしたりして、内反小趾の症状を軽減や解消させることができる。この軽減によって、将来に生じうる身体の問題を防止できる。
【0076】
以上のように、身体問題測定方法1は、足の不具合特徴の一つである内反小趾を確実に判定して、これから生じる問題を解消、防止できる。
【0077】
(その2:偏平足)
偏平足は、足裏のアーチが形成されていない、あるいは形成が不十分な状態の不具合特徴である。歩き方や靴の形状やサイズが足に合っていないことで生じる。
【0078】
偏平足との不具合特徴を有している場合には、歩き方が悪くなり、いつもどたばたと歩いてしまうようになる。歩き方が悪いことで、姿勢が悪くなったり、身体のあちこちに様々な変調をきたしたりすることも多い。
【0079】
図3は、偏平足を示す写真である。
【0080】
例えば、腰痛を生じさせたり、関節痛を生じさせたりする。また、歩き方が悪いことで、他人への印象を悪くして、日常生活や社会人としての生活においても、不便をきたすことがある。このような生活上の不便と身体上の問題とが相まって、更に身体的あるいは精神的に問題を生じさせてしまうこともある。
【0081】
また、外反母趾を原因とする偏平足もあると考えられており、偏平足に至る原因は種々あると考えられる。このような偏平足を放置しておくことは、現在および将来において、好ましくない。
【0082】
これに対して、靴のインソールを変えて、足に合うものにしたり、足裏のアーチを形成しやすいものにしたりすることで、偏平足を改善することができる。特に、幼少期などの時期からこのような改善を図ることで、成長期の身体の柔軟性によって、偏平足の問題を解消しやすい。
【0083】
このことからも、足の不具合特徴の一つとしての偏平足が検出できることが好ましい。
【0084】
設置工程2は、対象者の足を所定の位置に設置する。測定工程3は、設置された対象者の足の床面への密着度合を測定する。ここで、設置工程2では、反射板と透明板から構成される測定器具が使用されることが好ましい。
【0085】
図4は、本発明の実施の形態における測定器具の模式図である。測定器具10は、底面に設けられる反射板12と、この反射板12の上方に取り付けられる透明板11を備える。反射板12の上方に、透明板11が取り付けられた構造物であり、対象者の足が透明板11に乗せられると、透明板11を通じて足の裏が、反射板12に写るようになる。
【0086】
この反射板12に写ることを利用して、偏平足が測定される。すなわち、設置工程2では、対象者の足が、この透明板11の上に設置される。
【0087】
測定工程3は、反射板12に写っている足の裏面の密着度合を測定する。例えば、密着している面積や密着していない面積を測定する。あるいは、密着している面積と密着していない面積の比率を測定する。あるいは、密着していない足裏のアーチが、足の外側に向けて入り込んでいる度合いや量を測定する。
【0088】
一つの例として、測定工程は、対象者の足裏の浮き面積を測定する。
【0089】
判定工程4は、この測定工程3で測定された結果に基づいて、対象者が偏平足であるかどうかを判定する。例えば、面積や比率などについての閾値を定めておき、この閾値に基づいて、偏平足の有無を測定する。
【0090】
例えば、測定工程3で測定された足裏の浮き面積と、閾値の比較によって、判定工程4は、偏平足の有無を判定する。例えば、浮き面積(の割合)が閾値以上であれば、偏平足ではないと判定し、閾値未満であれば、偏平足であると判定する。このように数値的基準で判定することで、身体問題測定方法1は、偏平足の有無を、正確に判定できる。
【0091】
このように、判定工程4は、足の不具合特徴の一つである「偏平足」を測定して検出できる。
【0092】
この偏平足の検出を受けた対象者は、上述のように、靴のインソールを見直したり、生活習慣を変えたりすることで、偏平足の症状を軽減したり解消したりできる。この軽減や解消によって、将来に生じうる身体の問題を防止できる。
【0093】
以上のように、身体問題測定方法1は、足の不具合特徴の一つである偏平足を確実に判定して、これから生じる問題を解消、防止できる。
【0094】
(その3:外反足)
外反足は、かかとの骨が身体の中心線より外側に傾いた状態である。図5は、外反足を示す写真である。図5の通り、かかとに沿った骨が、身体の中心線より外側に傾いている。
【0095】
裸足でかかとに激しい衝撃を与え続けることにより、かかとに直接的に振動が伝わって、骨の位置をずらすことにより生じると考えられている。裸足でなくとも、成長期で骨格の柔らかい幼少期において、かかとに激しい衝撃を与え続けることによって、生じるとも考えられている。
【0096】
このような外反足は、内側のくるぶしに強い負担を生じさせる。このため、足の捻挫や骨折を招くなどの重大な身体上の問題を生じさせることがある。あるいは、歩行時に膝や腰にも負担がかかるので、将来的には関節痛や腰痛、歩行困難などの症状に苦しむこともある。このように、足の不具合特徴のひとつである外反足は、将来的に、身体上の問題を生じさせる可能性がある。
【0097】
一方で、靴のインソールによって、衝撃を吸収したりかかとの骨をまっすぐに立てるようにしたりすることで、外反足の症状を軽減、解消させることもできる。
【0098】
このため、身体問題測定方法1は、この外反足を、不具合特徴の一つとして測定・検出できる。
【0099】
測定工程3は、設置工程2で設置された対象者の足のかかとの骨と身体の中心線との傾き具合を測定する。図5の写真にあるように、かかとの骨に沿った線と身体の中心線とを比較する。この比較によって、傾き具合が分かる。
【0100】
判定工程4は、この傾き具合に基づいて、対象者が外反足の不具合特徴を有しているか否かを判定する。
【0101】
例えば、傾き具合を所定の閾値と比較する。閾値以上の傾き具合であれば、判定工程4は、外反足として判定する。閾値未満の傾き具合であれば、判定工程4は、外反足ではないと判定する。
【0102】
このように、傾き具合を数値的に判断して判定することで、判定工程4は、外反足を正確に判定できる。
【0103】
この外反足の検出を受けた対象者は、上述のように、靴のインソールを見直すことで、外反足の症状を軽減したり解消したりできる。この軽減や解消によって、将来に生じうる身体の問題を防止できる。
【0104】
以上のように、身体問題測定方法1は、足の不具合特徴の一つである外反足を確実に判定して、これから生じる問題を解消、防止できる。
【0105】
(その4:X脚)
足の不具合特徴の一つにX脚がある。X脚は、両足を揃えて立った時に、両膝はくっつくのに両膝のくるぶしが離れてしまう状態である。図6は、X脚を示す写真である。図6の写真は、両膝はくっついているのに、くるぶしが離れてしまっている状態を示している。
【0106】
X脚は、内股歩行やかかとの変形などが原因と言われている。内股歩行のような生活習慣であったり、かかとの変形などの他の骨格要因によったりして、歩行習慣が形成される中で、X脚の症状があらわれてくる。
【0107】
X脚を放置して成長すると、歩きにくい、疲れやすい、すぐに転んでしまう、運動が嫌いになってしまう、といった身体上の問題を引き起こす。身体上の問題に加えて、生活習慣や運動習慣においてネガティブな問題も引き起こし、成長した対象者の人生にとって好ましくない。
【0108】
また、足のバランスが取れずに運動ができにくくなることで、身体の各所に問題を引き起こすことにもつながる。運動習慣が形成されないことで、身体的、精神的な両方の面でデメリットが生じうる。
【0109】
あるいは、立った時の見た目が悪いことで、性格が内向的になってしまうなどの精神的な問題にもつながりかねない。
【0110】
このため、X脚は、骨格形成の柔軟性の高い幼少期から軽減や解消を目指すことが重要である。例えば、両足が外側に向けて広がるような形状のインソールを靴に使用するなどして、X脚の軽減や解消を目指すことが考えられる。X脚の軽減や解消が図られることで、上述した成長後の身体上、精神上の問題を低減できるからである。
【0111】
身体問題測定方法1は、このX脚を、足の不具合特徴の一つとして測定・検出できる。
【0112】
設置工程2で対象者の足が、所定の位置に設置される。測定工程3は、対象者が両足を揃えて立った場合の膝の付き具合およびくるぶしの付き具合を測定する。この付き具合は、数値として測定される。あるいは、膝の付き具合とくるぶしの付き具合の比率を測定する。
【0113】
判定工程4は、この付き具合の測定結果に基づいて、対象者のX脚の有無を判定する。例えば、くるぶしの付き具合が所定値以下である場合には、X脚として判定する。あるいは、膝の付き具合に対してくるぶしの付き具合が、所定値以上低い場合には、X脚として判定する。
【0114】
膝の付き具合およびくるぶしの付き具合に基づいて判定されることで、判定工程4は、正確にX脚を判定できる。特に、数値的な基準での判定により、客観的に判定することも可能である。
【0115】
このX脚の判定を受けた対象者は、上述のように、靴のインソールを変えることで、早期にX脚の問題を軽減・解消できる。この軽減や解消の結果、将来的に生じうる身体的、精神的な問題を回避できる。
【0116】
(その5:O脚)
O脚は、足の不具合特徴の一つである。O脚は、両足を揃えて立った時に両膝の間が空いている状態の不具合特徴である。図7は、O脚を示す写真である。O脚は、図7の写真のように、両足を揃えて立った時に、両膝の間が開いている。
【0117】
乳児の場合には正常な状態であるが、幼少期において生活習慣等によってO脚が生じると考えられている。
【0118】
O脚であると、体重が極端に足の外側にかかることから、膝痛や腰痛を引き起こすことが考えられている。このような膝痛や腰痛が引き起こされれば、当然に、日常生活に不便をきたす可能性がある。また、運動習慣への悪影響も考えられ、身体の問題が更に引き起こされる可能性がある。また、転倒の原因としても考えられている。
【0119】
このようなO脚を改善するために、適したインソールを使用したり体操を行ったりすることが提案されている。このようなインソールや体操によって、O脚が軽減、解消されていく。
【0120】
身体問題測定方法1は、このO脚を測定・検出できる。
【0121】
設置工程2は、対象者の足を所定の位置に設置する。測定工程3は、設置された対象者の両足が揃えられて立っている場合に、両膝の隙間を測定する。測定する隙間を、数値として測定してもよいし、度合いとして測定してもよい。
【0122】
判定工程4は、この測定された隙間に基づいて、対象者のO脚の有無を判定する。例えば、判定基準となる閾値を設けておき、測定された隙間が、閾値以上である場合には、O脚であるとして判定する。測定された隙間が、閾値未満の場合には、O脚ではないとして判定する。
【0123】
あるいは、判定基準となる閾値は、段階として設けられてお気、測定された隙間の度合いの段階と閾値の段階により、O脚の有無を判定してもよい。また、O脚であるかどうかの判定だけではなく、O脚の懸念性の度合いを判定してもよい。
【0124】
このように、両膝の隙間の数値的な測定結果に基づくことで、判定工程4は、正確にO脚を判定できる。また、所定の閾値を基準とすることで、判定工程4は、客観的に判定することができる。
【0125】
身体問題測定方法1でO脚であると判定された対象者は、上述のように、インソールや体操を通じて、O脚を改善できる。この改善によって、将来的に発生しうる身体問題のリスクを低減できる。
【0126】
(その6:浮き指)
足の浮き指は、足の不具合特徴の一つである。足の浮き指は、足を付いた時に、指が浮いてしまっている状態である。図8は、浮き指を示す写真である。図8の写真のように、足をきちんと床面に付けていながら、足の指のいずれかが浮いてしまっている状態が、浮き指である。
【0127】
幅の狭い靴を履いていることで、浮き指が生じると考えられている。すなわち、本来の足の幅よりも狭い靴を履く習慣によって浮き指が生じる。
【0128】
浮き指があると、足の力が弱くなり転倒しやすくなったり姿勢が悪くなったりする問題がある。足の力が弱いことで、足の使い方が悪いままに成長してしまい、外反母趾などに繋がる問題もある。
【0129】
このような足の力が弱いことで、姿勢の悪さなどが生じて、日常生活に不便をきたすこともある。あるいは、運動習慣が身に付きにくくなり、運動能力が悪くなる問題も考えられる。
【0130】
浮き指が放置されると、このような種々の身体問題を生じさせる。浮き指も、放置することは好ましくない。他の足の不具合特徴と同じく、浮き指も、成長期において改善しておくことが好ましい。
【0131】
浮き指の軽減や解消においては、最適なインソール、幅のあった靴の使用、適切な体操などが効果的である。これらの対応によって、浮き指の問題は改善できる。改善できれば、当然に、将来的に生じうる身体問題を低減できる。
【0132】
身体問題測定方法1は、この不具合特徴の一つである浮き指を測定・検出できる。
【0133】
設置工程2は、対象者の足を所定の位置に設置する。測定工程3は、設置された足において、床面から浮いている指の浮き量を測定する。例えば、中指が浮いている場合には、この中指が、床面から浮いている浮き量を測定する。測定は、数値的に行われる。
【0134】
判定工程4は、この測定された浮き量に基づいて、対象者の浮き指の有無を判定する。例えば、判定基準としての閾値を備えておき、測定された浮き量が、閾値以上の場合には、浮き指として判定する。測定された浮き量が、閾値未満であれば、浮き指ではないとして判定する。
【0135】
このように、数値的に実測された浮き量に基づいて、浮き指が判定されることで、正確に浮き指の判定がなされる。
【0136】
浮き指との判定がなされた対象者は、上述のように、インソール、靴、体操などによって、浮き指を改善できる。改善できれば、浮き指に基づく、将来的な身体問題の発生を抑えることができる。
【0137】
以上のように、不具合特徴は、対象者の現在もしくは将来において、身体の不調を生じさせることがありうる。このため、身体問題測定方法1は、この足の不具合特徴を正確かつ客観的に測定することで、身体の不調リスクを低減できる。
【0138】
また、これらの不具合特徴の解消として、靴用インソール、体操およびマッサージなどの少なくとも一つの改善が行われることが好適である。これらの改善工程が行われることで、不具合特徴が軽減、解消される。この結果、現在もしくは将来の身体問題の発生を抑制できる。
【0139】
以上のように、本発明の身体問題測定方法1は、種々の足の不具合特徴を正確かつ客観的に測定・検出できる。この結果、対象者は、改善を早期に図ることができ、身体問題のリスクを低減できる。
【0140】
なお、測定工程3においては、上述した以外に外反母趾や足長・足幅・足囲・足色なども測定できる。これらの測定結果も、適宜、身体の問題の測定に用いられる。
【0141】
なお、実施の形態で説明された身体問題測定方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0142】
1 身体問題測定方法
2 設置工程
3 測定工程
4 判定工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8