【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の木質チップ製造装置101は、第1及び第2押圧ロータ103,104を支持する揺動ケーシング107が、コンベヤ102の防護壁の延長上に位置するフレームに支持され、揺動可能とするために上記フレームとの間にクリアランスが設けられている。したがって、切削ロータ106で木質材料が切削された切削片が、揺動ケーシング107とフレームの間のクリアランスから外部へ漏れ出て、木質チップ製造装置101の周辺に散乱する問題がある。
【0007】
また、上記従来の木質チップ製造装置101は、2つの押圧ロータ103,104と下部ロータ105を単一のモータで駆動するので、動力伝達機構の構成が複雑となる。構成の複雑な動力伝達機構は、部品点数が多くて製造コストと組立ての手間が大きく、メンテナンスのコストと手間が大きく、伝達ロスによるエネルギー消費が大きいという問題がある。
【0008】
また、上記従来の木質チップ製造装置101は、2つの押圧ロータ103,104を2段階で揺動可能としているので、構造が複雑であり、部品点数が多くて製造コストと組立ての手間が大きく、メンテナンスのコストと手間が大きいという問題がある。
【0009】
また、上記コンベヤ102には、複数の木質材料が同時に投入され、投入された複数の木質材料は概ね山型の俵積みになるが、俵積みの木質材料は、上記2つの押圧ロータ103,104と下部ロータ105で挟持されたときに固定が不十分になりやすい。不十分に固定された木質材料は、切削ロータ106に送られると、回転する切削ロータ106に接触して激しく動揺する暴れを起こす問題がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、切削片が周囲に散乱することの無い木質チップ製造装置を提供することにある。また、動力伝達機構が比較的簡易な木質チップ製造装置を提供することにある。また、構造が比較的簡易な木質チップ製造装置を提供することにある。また、木質材料の暴れを防止できる木質チップ製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の木質チップ製造装置は、木質材料を搬送する搬送部と、この搬送部で搬送された木質材料を押圧する押圧部と、この押圧部で押圧されて送られた木質材料を切削する切削部とを備えた木質チップ製造装置において、
上記押圧部は、
上記搬送部の木質材料の搬送路を区画する側壁に連なる壁体と、
上記壁体の内側に、この壁体に取り付けられた揺動軸を介して揺動可能に配置された揺動部材と、
上記揺動部材に回転可能に軸支され、上記搬送装置で搬送された木質材料の上部を押圧すると共に、この木質材料を上記切削部に向かって送る単一の押圧ロータと、
上記押圧ロータの下方に設けられ、上記木質材料を支持すると共に、この木質材料を上記切削部に向かって送る複数の下部ロータと
を有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、木質材料が搬送部で搬送され、この搬送部で搬送された木質材料が押圧部に投入され、この押圧部で押圧されて送られた木質材料が切削部で切削されて、木質チップが製造される。木質材料としては、木材、剪定材、端材、間伐材及び廃材等が広く該当する。木質チップとしては、上記木質材料を切削して製造されたものが広く該当し、寸法及び形状は特に限定されず、オガ屑や木屑と呼称されるものも含む。上記構成の木質チップ製造装置の押圧部では、搬送部で搬送された木質材料が、上方から押圧ロータによって押圧されると共に、下方の複数の下部ロータによって支持される。木質材料の数や大きさに応じて、木質材料に乗り上げる押圧ロータの高さ方向の位置が、揺動部材が揺動軸回りに揺動することによって自律的に調節される。したがって、数や大きさの異なる種々の木質材料が、押圧ロータと下部ロータで効果的に挟持される。押圧ロータと下部ロータの間に挟持された状態の木質材料は、押圧ロータと下部ロータによって切削部に送られ、切削部で切削されて木質チップが製造される。
【0013】
この押圧ロータを支持する揺動部材は、搬送部の木質材料の搬送路を区画する側壁に連なる壁体の内側に配置されているので、切削部で木質材料が切削された切削片が、壁体の外側へ漏出することが無い。したがって、従来の木質チップ製造装置のように、壁体の外側に切削片が漏出して散乱する不都合を、効果的に防止できる。また、単一の押圧ロータが、壁体に設けられた揺動軸回りに揺動する揺動部材によって揺動するように形成されているので、2つの押圧ロータを揺動部材と揺動ケーシングで2段階に揺動させる従来の木質チップ製造装置よりも、構造を簡易にできる。したがって、部品点数を少なくでき、製造コストと組立ての手間を削減でき、また、メンテナンスのコストと手間を削減できる。
【0014】
また、搬送部から複数の木質材料が同時に搬送され、木質材料が概ね山型の俵積みになって押圧部に達すると、上方の単一の押圧ロータと、下方の複数の下部ロータとで、俵積みの木質材料が効果的に挟持され、切削部に送られる。したがって、俵積みの木質材料を、切削部で切削される際に暴れることなく保持することができる。
【0015】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記押圧ロータが、上記下部ロータと異なる動力源で駆動される。
【0016】
上記実施形態によれば、押圧ロータが下部ロータと異なる動力源で駆動されるので、押圧ロータと下部ロータを同一の動力源で駆動する従来の木質チップ製造装置よりも、動力伝達機構を簡単にできる。したがって、従来よりも部品点数が少なく、製造コストと組立ての手間と、メンテナンスのコストと手間が少なく、伝達ロスによるエネルギー消費が小さい木質チップ製造装置が得られる。
【0017】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記揺動部材に、上記押圧ロータを回転駆動する動力源が設置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、揺動部材に押圧ロータを回転駆動する動力源が設置されているので、下部ロータの近傍に配置されたモータを中継軸を介して押圧ロータに接続する従来の木質チップ製造装置よりも、動力源と押圧ロータとの間の動力伝達機構を簡易にできる。また、動力源の質量が、揺動部材を介して押圧ロータに作用するので、押圧ロータによる木質材料の押圧力を効果的に増大できる。
【0019】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記揺動軸が、上記押圧ロータの回転軸よりも木質材料の搬送方向の手前側かつ上方に位置するように、上記壁体に取り付けられている。
【0020】
上記実施形態によれば、押圧部に達した木質材料は、切削部側へ送られる過程で押圧ロータが乗り上げる。ここで、押圧ロータが木質材料に乗り上げるときに揺動部材が揺動軸回りに揺動するが、この揺動軸は、木質材料が押圧ロータに接触する位置と概ね一致する押圧ロータの回転軸よりも手前側かつ上方に位置するので、押圧ロータが木質材料に係止することなく円滑に揺動する。したがって、木質材料を滞りなく切削部へ送ることができる。
【0021】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記切削部が、周面に回転刃を有して回転駆動される切削ロータと、この切削ロータの回転刃の回転経路に近接して配置された固定刃と、上記切削ロータの外周側に配置された篩体とを有する。
【0022】
上記実施形態によれば、切削部において、回転駆動される切削ロータの回転刃と、固定刃との作用により、木質材料が切削される。切削された木質材料のうち、篩体の目よりも寸法が小さいものは篩体を透過する。切削された木質材料のうち、篩体の目よりも寸法が大きいものは、篩体内に留まって回転刃と固定刃や、回転刃と篩体のエッジでせん断され、寸法が小さくなると篩体を透過する。こうして、篩体の目の大きさに応じた所定寸法の木質チップが得られる。ここで、篩体としては、例えば網や、格子や、パンチングメタルのような有孔の板材等を用いることができる。
【0023】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記切削部の切削ロータが、軸方向に複数個配列されて外周部に上記回転刃が固定された円盤を有し、隣り合う上記円盤の少なくとも1組において、上記回転刃が周方向にずらして配置されている。
【0024】
上記実施形態によれば、切削ロータを形成する複数の円盤が、隣り合う円盤の少なくとも1組において、回転刃の周方向位置をずらして配置されているので、切削ロータの回転刃が木質材料を切削するタイミングをずらして、切削ロータに作用する負荷を効果的に低減できる。したがって、切削ロータを円滑に回転駆動でき、また、切削ロータの駆動源を小型にできる。
【0025】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記押圧ロータが、木質材料の接触部において先端が切削部の側を向く係合爪を有する。
【0026】
上記実施形態によれば、木質材料の接触部において先端が切削部の側を向く係合爪により、押圧ロータが木質材料に効果的に係合できて、木質材料を効果的に切削部に送ることができる。
【0027】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記下部ロータが、木質材料の接触部において先端が切削部の側を向く係合爪を有する。
【0028】
上記実施形態によれば、木質材料の接触部において先端が切削部の側を向く係合爪により、下部ロータが木質材料に効果的に係合できて、木質材料を効果的に切削部に送ることができる。
【0029】
一実施形態の木質チップ製造装置は、複数の上記下部ロータが、隣接する下部ロータとの間で係合爪の回転経路が軸方向視において互いに重なり合うように配置されている。
【0030】
上記実施形態によれば、複数の下部ロータが、隣接する下部ロータとの間で係合爪の回転経路が軸方向視において互いに重なり合うように配置されているので、複数の下部ロータが木質材料に接する間隔を短くでき、効果的に木質材料に係止して切削部へ送ることができる。
【0031】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記揺動部材の揺動軸に関して上記押圧ロータと反対側に、上記揺動部材を上記揺動軸回りに回動させるアクチュエータが設けられている。
【0032】
上記実施形態によれば、揺動部材の揺動軸に関して押圧ロータと反対側に設けられたアクチュエータにより、揺動部材を揺動軸回りに回動させて、押圧ロータを下部ロータから遠ざけることができる。これにより、押圧ロータや下部ロータの保守及び点検を容易に行うことができる。
【0033】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記切削部がケーシングを有し、このケーシングの少なくとも一部が、上記篩体の少なくとも一部と共に回動して上記切削ロータを露出可能に形成されている。
【0034】
上記実施形態によれば、切削部のケーシングの少なくとも一部を、篩体の少なくとも一部と共に回動させて切削ロータを露出させることにより、切削ロータや、この切削ロータに配置された回転刃の保守及び点検を、容易に行うことができる。
【0035】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記切削部が、上記切削ロータの周辺に配置され、上記回転刃で上記木質材料が切削されてなる切削片が透過可能に形成された足場を有する。
【0036】
上記実施形態によれば、切削ロータの周辺に配置された足場に作業者が乗ることにより、切削部の内部の切削ロータや篩体に作業者が容易に接近できるので、保守及び点検の作業を容易に行うことができる。
【0037】
一実施形態の木質チップ製造装置は、上記押圧部と上記切削ロータの下方に配置され、上記木質材料が切削されてなる切削片を搬出する搬出部を備える。
【0038】
上記実施形態によれば、切削ロータで切削された木質材料の切削片を、搬出部によって効果的に収集して搬出できる。