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特開2017-166084筒状編地の編成方法、および筒状編地
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-166084(P2017-166084A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】筒状編地の編成方法、および筒状編地
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/24 20060101AFI20170825BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   D04B1/24
   D04B1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-51066(P2016-51066)
(22)【出願日】2016年3月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 善之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 一良
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002BA00
4L002BA04
4L002EA00
4L002FA02
4L002FA04
4L002FA05
(57)【要約】
【課題】第一チューブと第二チューブとが繋がり、かつ両チューブを総針状態で編成できる筒状編地の編成方法を提供する。
【解決手段】第一ベース部11に繋がる第一接合用編目列1を編成する(工程A)。第一チューブ21の側辺21L,21Rを針床に係止させた状態で第一チューブ21を編成する(工程B)。第二ベース部12に繋がる第二接合用編目列2を編成する(工程C)。第二チューブ22を編成しながら、第一チューブ21の側辺21L,21Rと、第二チューブ22の側辺22L,22Rと、を繋げる(工程D)。工程B後に、第一チューブ21の終端編目列21Eと第一接合用編目列1とを繋ぐ(工程E)。工程D後に、第二チューブ22の終端編目列22Eと第二接合用編目列2とを繋ぐ(工程F)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の針床と他方の針床を備える横編機を用いて、第一ベース部と第二ベース部とが筒状に繋がった筒状ベース部のウエール方向端部に、前記第一ベース部に繋がる第一チューブと前記第二ベース部に繋がる第二チューブとで構成されるチューブ状編地部を編成する筒状編地の編成方法において、
前記他方の針床に、後工程で使用する第一接合用編目列を編成すると共に、前記第一接合用編目列を構成する編糸の一部を、前記一方の針床に係止される前記第一ベース部に繋げる工程Aと、
前記一方の針床を用いて前記第一チューブを編成する工程であって、前記第一チューブを構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、前記第一チューブの係止位置を前記一方の針床の編幅方向の一端側に移動させ、かつ前記第一チューブの編幅方向の一端側の側辺となる増し目を前記他方の針床に形成し、前記第一チューブの編幅方向の他端側の側辺となる増し目を前記一方の針床に形成する工程Bと、
前記一方の針床に、後工程で使用する第二接合用編目列を編成すると共に、前記第二接合用編目列を構成する編糸の一部を、前記他方の針床に係止される前記第二ベース部に繋げる工程Cと、
前記他方の針床を用いて前記第二チューブを構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、編幅方向の一端側にある前記第二チューブの側辺と前記第一チューブの前記側辺とを繋げると共に、編幅方向の他端側にある前記第二チューブの側辺と前記第一チューブの前記側辺とを繋げる工程Dと、を備え、
さらに、前記工程Bよりも後に、前記第一チューブのウエール方向の終端編目列と、前記第一接合用編目列とを繋ぐ工程Eと、
前記工程Dよりも後に、前記第二チューブのウエール方向の終端編目列と、前記第二接合用編目列とを繋ぐ工程Fと、を備える。
【請求項2】
前記工程Bの後に、前記一方の針床に係止される前記側辺を構成する複数の増し目のうち、その形成順序の前半に形成された複数の増し目を前記他方の針床に回し込むと共に、前記他方の針床に係止される前記側辺を構成する複数の増し目のうち、その形成順序の後半に形成された複数の増し目を前記一方の針床に回し込み、前記一方の針床と前記他方の針床に係止される前記側辺の増し目の数を揃える工程Gを行う請求項1に記載の筒状編地の編成方法。
【請求項3】
前記チューブ状編地部は、前記筒状ベース部のウエール方向終端部に連続して編成する請求項1または請求項2に記載の筒状編地の編成方法。
【請求項4】
第一ベース部と第二ベース部とが筒状に繋がった筒状ベース部と、前記筒状ベース部のウエール方向端部に無縫製で繋がるチューブ状編地部と、を備え、
前記チューブ状編地部は、前記第一ベース部に繋がる第一チューブと、前記第二ベース部に繋がる第二チューブと、で構成される筒状編地において、
前記第一チューブと前記第二チューブは共に、そのウエール方向の始端部と終端部とが繋がることで中空のチューブ状に形成されており、
前記第一チューブの編幅方向の一端側の環状端部と、前記第二チューブの編幅方向の一端側の環状端部とが、タックまたは重ね目を用いた編成で繋がり、前記第一チューブの編幅方向の他端側の環状端部と、前記第二チューブの編幅方向の他端側の環状端部とが、タックまたは重ね目を用いた編成で繋がる筒状編地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状ベース部のウエール方向端部にチューブ状編地部を備える筒状編地を編成する筒状編地の編成方法、およびその筒状編地の編成方法によって得られた筒状編地に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手袋や靴下、ニットウェアの開口部などに、チューブ状編地部を形成することが行なわれている。チューブ状編地部とは、第一ベース部と第二ベース部とが筒状に繋がった筒状ベース部のウエール方向端部に形成される編地部であり、チューブ状編地部の軸方向、即ちチューブ状編地部の空洞の軸線は、筒状ベース部の周方向に沿っている。例えば、スカートやパンツのベルト部の位置に形成されるベルト通しなどがチューブ状編地部の典型例である。そのようなチューブ状編地部を備える筒状編地を編成する技術として、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1には、筒状ベース部のウエール方向終端部を折り返して、筒状ベース部のウエール方向中間部のうち、上記終端部近傍の位置に接続するパイピング編成が記載されている。一方、特許文献2には、筒状ベース部の第一ベース部のウエール方向に連続して筒状の第一チューブを編成し、その後、第二ベース部のウエール方向に連続して筒状の第二チューブを編成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−174035号公報
【特許文献2】特開2016−17252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の編成方法では、チューブ状編地部を総針状態(チューブ状編地部の隣接する編目の間に空針がない状態)で編成することができず、横編機のゲージに応じた編目よりも粗い(大きい)編目からなる筒状編地となってしまう。
【0006】
一方、特許文献2の編成方法では、チューブ状編地部を総針状態で編成できるため、チューブ状編地部の見栄えを向上させることができる。しかし、特許文献2では、第一チューブを周回編成することで第一チューブの編幅方向の両端部が閉じてしまうので、その第一チューブの編幅方向の両端部に第二チューブの編幅方向の両端部を繋げても、両チューブの中空部が閉じられて繋がらない。そのため、例えばスカートやパンツのベルト部(チューブ状編地部)を特許文献2の編成方法で編成すると、そのベルト部の内部に胴回りを一周するようにベルトやゴムを入れることができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第一チューブの中空部と第二チューブの中空部とが繋がり、かつ両チューブを針抜き状態だけでなく総針状態でも編成できる筒状編地の編成方法、およびその筒状編地の編成方法で編成された筒状編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の筒状編地の編成方法は、一方の針床と他方の針床を備える横編機を用いて、第一ベース部と第二ベース部とが筒状に繋がった筒状ベース部のウエール方向端部に、前記第一ベース部に繋がる第一チューブと前記第二ベース部に繋がる第二チューブとで構成されるチューブ状編地部を編成する筒状編地の編成方法であって、以下の工程を備える。
・前記他方の針床に、後工程で使用する第一接合用編目列を編成すると共に、前記第一接合用編目列を構成する編糸の一部を、前記一方の針床に係止される前記第一ベース部に繋げる工程A。
・前記一方の針床を用いて前記第一チューブを編成する工程であって、前記第一チューブを構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、前記第一チューブの係止位置を前記一方の針床の編幅方向の一端側に移動させ、かつ前記第一チューブの編幅方向の一端側の側辺となる増し目を前記他方の針床に形成し、前記第一チューブの編幅方向の他端側の側辺となる増し目を前記一方の針床に形成する工程B。
・前記一方の針床に、後工程で使用する第二接合用編目列を編成すると共に、前記第二接合用編目列を構成する編糸の一部を、前記他方の針床に係止される前記第二ベース部に繋げる工程C。
・前記他方の針床を用いて前記第二チューブを構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、編幅方向の一端側にある前記第二チューブの側辺と前記第一チューブの前記側辺とを繋げると共に、編幅方向の他端側にある前記第二チューブの側辺と前記第一チューブの前記側辺とを繋げる工程D。
・前記工程Bよりも後に、前記第一チューブのウエール方向の終端編目列と、前記第一接合用編目列とを繋ぐ工程E。
・前記工程Dよりも後に、前記第二チューブのウエール方向の終端編目列と、前記第二接合用編目列とを繋ぐ工程F。
【0009】
上記本発明の筒状編地に備わる工程は、例えば次の順序で行なうことができる。
・工程A→工程B→工程C→工程D→工程E→工程F
・工程A→工程B→工程C→工程D→工程F→工程E
・工程A→工程B→工程E→工程C→工程D→工程F
【0010】
本発明の筒状編地の編成方法の一形態として、以下の工程Gを行なう形態を挙げることができる。例えば、工程A→工程B→工程G→工程E→工程C→工程D→工程Fの順に行うことが挙げられる。
・前記工程Bの後に、前記一方の針床に係止される前記側辺を構成する複数の増し目のうち、その形成順序の前半に形成された複数の増し目を前記他方の針床に回し込むと共に、前記他方の針床に係止される前記側辺を構成する複数の増し目のうち、その形成順序の後半に形成された複数の増し目を前記一方の針床に回し込み、前記一方の針床と前記他方の針床に係止される前記側辺の増し目の数を揃える工程G。
ここで、回し込みは、針床Xに係止される編目列のうち、編幅方向の一端側(他端側)にある端部編目を、針床Xに対向する針床Yに係止される編目列の編幅方向の一端側(他端側)にある端部編目の外側に移動させる公知の編成技術である(例えば特開2006−111995号公報などを参照)。
【0011】
上記形態において、一方の針床の側辺を構成する増し目、および他方の針床の側辺を構成する増し目は共に、編幅方向の他端側から一端側に向って順番に並んでいる。つまり、側辺を構成する増し目のうち、編幅方向の他端側の端部にある増し目が最初に形成された増し目、一端側の端部にある増し目が最後に形成された増し目である。また、各側辺の増し目の形成順序の前半と後半の境界は、増し目の合計数の半分を目安としている。前半の増し目の数と、後半の増し目の数との差は、3以下とすることが好ましく、1以下とすることがより好ましい。例えば、各側辺の増し目の合計数が奇数の場合、前半の増し目の数と、後半の増し目の数とが同じにならないが、それらの数の差が1または3となるようにする。また、各側辺の増し目の合計数が偶数であっても、合計数が多ければ、前半の増し目の数と、後半の増し目の数とを同数(数の差=0)としなくても良い。例えば、合計数=20の場合、前半の数=11、後半の数=9とすることが挙げられる。
【0012】
本発明の筒状編地の編成方法の一形態として、前記チューブ状編地部は、前記筒状ベース部のウエール方向終端部に連続して編成する形態を挙げることができる。
【0013】
本発明の筒状編地は、第一ベース部と第二ベース部とが筒状に繋がった筒状ベース部と、前記筒状ベース部のウエール方向端部に無縫製で繋がるチューブ状編地部と、を備え、前記チューブ状編地部は、前記第一ベース部に繋がる第一チューブと、前記第二ベース部に繋がる第二チューブと、で構成される筒状編地に係る。前記第一チューブと前記第二チューブは共に、そのウエール方向の始端部と終端部とが繋がることで中空のチューブ状に形成されている。また、前記第一チューブの編幅方向の一端側の環状端部と、前記第二チューブの編幅方向の一端側の環状端部とが編成で繋がり、前記第一チューブの編幅方向の他端側の環状端部と、前記第二チューブの編幅方向の他端側の環状端部とが編成で繋がる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の筒状編地の編成方法によれば、第一チューブの中空部と第二チューブの中空部とが繋がり、かつ両チューブを総針状態で編成することができる。第一チューブと第二チューブとが繋がるのは、第一チューブを先に編成する際、その第一チューブの側辺(編幅方向の両端部)を針床に係止させた状態とし、次いで第二チューブを編成する際、第二チューブの側辺と第一チューブの側辺とを繋ぐからである。
【0015】
本発明の筒状編地の編成方法において、回し込みによって一方の針床と他方の針床に係止される側辺の増し目の数をほぼ同数となるように揃える工程Gを行なうことで、第二チューブの側辺と第一チューブの側辺とを繋げる工程Dを行ない易くできる。また、工程Gの後に、工程Eを行なうことで、以降の工程を行ない易くできる。
【0016】
筒状ベース部のウエール方向終端部に連続してチューブ状編地部を編成する本発明の筒状編地の編成方法によれば、例えばスカートやパンツのベルト部にベルトやゴムを挿入できる中空のチューブ状編地部を編成できる。
【0017】
本発明の筒状編地は、筒状ベース部とチューブ状編地部とで、編目の大きさが横編機のゲージに応じた大きさに統一され、見栄えが良い。また、チューブ状編地部を構成する第一チューブの環状端部と第二チューブの環状端部とが、掛け目に対しては重ね目で、編目に対してはタックまたは重ね目による編成で繋がることで第一チューブの中空部と第二チューブの中空部とが繋がるため、当該チューブ状編地部の内部を一周するようにベルトやゴムなどの部材を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に示す筒状編地であるスカートの概略図である。
図2】チューブ状編地部であるスカートのベルト部の概略図である。
図3】チューブ状編地部の編成手順を示す編成イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本実施形態1では、4枚ベッド横編機を用いた本発明の筒状編地の編成方法によってベルト部を有するスカート100を編成する例を図1〜3に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すスカート100は、スカート100の本体である筒状のベース部10と、ベース部10のウエール方向終端部に形成されるベルト部(チューブ状編地部)20とを備える。ベース部10は、第一ベース部11と第二ベース部12とが筒状に繋がって構成されており、周回編成などによって編成できる。一方、チューブ状編地部20は、内部が中空となっている第一チューブ21と第二チューブ22とが筒状に繋がることで構成される。
【0021】
チューブ状編地部20の構成を図2に基づいて詳細に説明する。図2では、編幅方向を両矢印で示す。また、図2では、第一チューブ21と第二チューブ22の中間部分の一部をカットして、両チューブ21,22の内部が見えるように図示している。チューブ状編地部20に備わる第一チューブ21(第二チューブ22)は、一つの編地部をウエール方向の中間部で筒の内側に折り返し、その編地部の始端部21s(22s)と終端部21e(22e)とがニットや伏目処理などを用いた接合方法によって無縫製で繋がることで中空のチューブ状に形成されている。また、第一チューブ21の編幅方向の一端側の環状端部21a(他端側の環状端部21b)と、第二チューブ22の編幅方向の一端側の環状端部22a(他端側の環状端部22b)とは、タックまたは重ね目を用いた接合方法によって無縫製で繋がっている。そのため、第一チューブ21の中空部と第二チューブ22の中空部とが繋がり、チューブ状編地部20の内部に環状の中空孔が形成されている。
【0022】
スカート100のチューブ状編地部20は、例えば図3の編成イメージ図に従って編成することができる。図3の『S+数字』は編成工程の番号を示し、FDは下側前針床、FUは上側前針床、BDは下側後針床、BUは上側後針床を示す。
【0023】
S0には、編目の間に空針を設けない総針状態で編成された筒状ベース部10が示されている。FDには、筒状ベース部10の第一ベース部11のウエール方向の終端編目列が係止され、BDには、筒状ベース部10の第二ベース部12のウエール方向の終端編目列が係止されている。この状態からチューブ状編地部20(図1,2)の編成を開始する。
【0024】
編成に使用する編糸は、弾性糸とすることが好ましい。弾性糸で編成を行うことで、図1の始端部21s(22s)と終端部21e(22e)との繋ぎ目を滑らかにでき、またチューブ状編地部20の内部にゴムを挿入したときに、ゴムの伸縮に追従するチューブ状編地部20とすることができる。その他、チューブ状編地部20の部位によって弾性糸と非弾性糸とを使い分けても構わない。例えば、後述する第一接合用編目列1および第二接合用編目列2を弾性糸で編成し、それ以外を非弾性糸で編成することが挙げられる。
【0025】
S1では、後工程で使用する第一接合用編目列1をBUに編成すると共に、第一接合用編目列1を構成する編糸の一部を、FDに係止される第一ベース部11に繋げる(工程A相当)。本例では、第一接合用編目列1は、BUの空針に形成される掛け目で構成されており、編幅方向に隣接する掛け目の間で、第一ベース部11の終端編目列の編目にタックを行うことで、第一接合用編目列1と第一ベース部11とを繋いでいる。後述するS2を行い易くするために、BUに係止される掛け目の間に空針を設けておく。ここで、第一ベース部11の編目にタックを行う代わりに、ニットを行って第一接合用編目列1と第一ベース部11とを繋げても良い。あるいは、第一ベース部11の編目に割増やし(例えば、特許第2604653号公報を参照)を行って、第一ベース部11に繋がる第一接合用編目列1を形成しても構わない。
【0026】
S2では、FDを用いて第一チューブ21を編成する(工程B相当)。S2では、具体的には次の[1]、[2]を行っている。[1]第一チューブ21を構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、第一チューブ21の係止位置をFDの編幅方向の一端側(紙面左側)に順次移動させる。[2]第一チューブ21の編幅方向の一端側の側辺21Lとなる増し目(図中の逆V印参照)をBDに形成し、第一チューブ21の編幅方向の他端側の側辺21Rとなる増し目(図中のV印参照)をFDに形成する。本例では、第一チューブ21を総針状態で編成すると共に、第一チューブ21を構成する一段分の編目列(一つの編成コース)を編成するごとに、当該編目列を編幅方向の一端側に移動させている。第一チューブ21の移動は、BUの空針を用いて行えば良い。但し、BUに第一接合用編目列1が係止されているため、一度に第一チューブ21を移動させることはできない。BUのうち、第一接合用編目列1が係止される範囲には空針が一つ置きにしかないのに対して、FDに係止される第一チューブ21が総針状態であるため、第一チューブ21の編幅方向の一端側から1目ずつ順次移動させる。また本例では、移動させた編目列(旧編目列)のウエール方向に続く新たな編目列を編成する際、旧編目列の移動によって空針となったFDの編針に掛け目からなる増し目を編成すると共に、移動後の旧編目列の移動方向端部の編目に対向するBDの空針に掛け目からなる増し目を編成している。増し目は、割増やしによって編成することもできる。図中に、増し目の形成順を丸囲み数字で示す。ここで、S2で形成した側辺21L(21R)は、図2における第一チューブ21の環状端部21a(21b)に相当する。
【0027】
S3では、FDに係止される第一チューブ21の側辺21Rを構成する複数の増し目のうち、その形成順序の前半に形成された複数の増し目(丸囲み数字の1〜3)をBDに回し込むと共に、BDに係止される第一チューブ21の側辺21Lを構成する複数の増し目のうち、その形成順序の後半に形成された複数の増し目(丸囲み数字4〜6)をFDに回し込む(工程G相当)。本例では、FDを紙面右方向にラッキングしながら反時計回りに回し込みを行っている。この工程Gによって、FDとBDに係止される側辺21L,21Rの増し目の数が揃い、S3以降の編成が容易になる。ここで、第一接合用編目列1が弾性糸で編成され、その伸張量がラッキング量に追従できる場合などには、このS3の増し目の回し込みを省略し、FDをラッキングさせて、第一チューブ21の終端編目列21E(S2参照)と第一接合用編目列1とを対向させることができる。
【0028】
また、S3では、第一チューブ21の終端編目列21E(S2参照)と第一接合用編目列1(S2参照)とを繋ぐ(工程E相当)。終端編目列21Eと第一接合用編目列1とを繋ぐ接合部21Cは、例えば終端編目列21Eと第一接合用編目列1とを重ね合わせることで形成することができる。両編目列21E,2を重ね合わせた後、その重ね目からなる編目列(接合部21C)を伏目処理することで両編目列21E,2の接合が確定し、第一チューブ21の始端部と終端部とが第一接合用編目列1を介して繋げられる。もちろん、重ね目からなる編目列(接合部21C)のウエール方向に続く数段分の新規編目列を編成してから伏目処理しても良く、その場合、一段目の新規編目列によって両編目列21E,2の接合が確定する。本例では、BUの第一接合用編目列1とFDの終端編目列21Eとを直接、伏目処理によって繋ぐことで接合部21Cを形成しており、図面上で接合部21Cを図示しているが、実際にはこの段階で接合部21Cは針床から外れている。伏目処理は公知の編成方法であって、特に限定されない。このS3の伏目処理は、後述するS5の後に行なうこともできる。なお、終端編目列21Eの編目の数と第一接合用編目列1の編目の数とが一致していないが、それは問題とはならない。
【0029】
S4では、後工程で使用する第二接合用編目列2をFUに編成すると共に、第二接合用編目列2を構成する編糸の一部を、BDに係止される第二ベース部12に繋げる(工程C相当)。本例では、第二接合用編目列2は、第二ベース部12の終端編目列の編目にタックで繋げているが、第一接合用編目列1の説明で述べたように、当該編目にニットや割増やしを行うことで第二接合用編目列2と第二ベース部12とを繋ぐこともできる。なお、S4では、側辺21L,21Rの増し目の図示を省略している。
【0030】
S5では、BDを用いて前記第二チューブ22を構成するウエール方向の編成コース数を増しつつ、編幅方向の一端側にある第二チューブ22の側辺22Lと第一チューブ21の側辺21L(S3参照)とを繋げると共に、編幅方向の他端側にある第二チューブ22の側辺22Rと第一チューブ21の側辺21R(S3参照)とを繋げる(工程D相当)。本例では、第一チューブ21の側辺21Lにおける形成順序の早い編目から順に、第二チューブ22を構成する編目列の左端部に重ね合わせると共に、第一チューブ21の側辺21Rにおける形成順序の早い編目から順に、第二チューブ22を構成する編目列の右端部に重ね合わせ、その重ね目を含む編目列のウエール方向に連続する新たな編目列を編成する。この重ね目の形成と新たな編目列の編成を繰り返すことで、第一チューブ21と第二チューブ22とが接続される。ここで、S5における側辺22L(22R)は、図2における第二チューブ22の環状端部22a(22b)に相当する。
【0031】
S6では、第二チューブ22のウエール方向の終端編目列22E(S5参照)と、第二接合用編目列2(S5参照)とを繋ぐ(工程F相当)。終端編目列22Eと第二接合用編目列2とを繋ぐ接合部22Cの形成は、S3の接合部21Cの形成と同様に行うことができる。本例では、FUの第二接合用編目列2とBDの終端編目列22Eとを伏目処理によって繋ぐことで接合部22Cを形成しており、図面上では接合部22Cを図示しているが、実際には接合部22Cは針床から外れている。このS6によって、第二チューブ22の始端部と終端部とが第二接合用編目列2を介して繋げられる。
【0032】
以上説明した編成イメージ図に従えば、図1,2に示すチューブ状編地部20を編成することができる。チューブ状編地部20は、筒状ベース部10と同様に編目の間に空針を設けない総針状態で編成されており、筒状ベース部10とチューブ状編地部20とで、編目の大きさが横編機のゲージに応じた大きさに統一されているため、スカート100の見栄えが良い。また、チューブ状編地部20の内部に、胴回りを一周する環状の中空孔が形成されているので、その環状の中空孔にゴムやベルトなどの部材を挿入することができる。チューブ状編地部20の内部にゴムやベルトを挿入する場合、それらの部材を挿入するための挿入孔を第一チューブ21あるいは第二チューブ22のうち、スカート100の内部側の位置に設けると良い。例えば、両チューブ21,22の繋ぎ目の部分に挿入孔を形成する場合、S2の編幅方向のどちらかで、スカート100に内部側に位置する後半部分の増し目を形成しなければ良い。
【0033】
<実施形態2>
実施形態1では、筒状ベース部のウエール方向終端部にチューブ状編地部を編成した例を説明した。これに対して、筒状ベース部のウエール方向始端部にチューブ状編地部を形成することもできる。その場合、例えば、抜き糸や捨て編地からなる基端編地部を編成し、その基端編地部のウエール方向に連続して、図3の編成イメージ図に基づいてチューブ状編地部を編成する。但し、S3とS6で第一チューブ21の接合部21Cと第二チューブ22の接合部22Cを伏目処理せずにFDとBDに係止したままとしておく。そうすることで、その接合部21C,22Cに続けて筒状ベース部を編成することができる、即ちチューブ状編地部のウエール方向終端部に続けて筒状ベース部を編成することができる。
【0034】
<その他>
実施形態1,2の筒状編地の編成方法を利用すれば、手袋の手首部や、パンツのベルト部、ニットウェアの裾部、袖口、衿ぐりなどにチューブ状編地部を編成することもできる。また、上記実施形態では4枚ベッド横編機を用いたが、2枚ベッド横編機を用いて実施形態1,2と同様の編成を行なうこともできる。その場合、チューブ状編地部は、隣接する編目の間に一つの空針を設けた針抜き編成を行なうと良い。
【符号の説明】
【0035】
FD 下側前針床(一方の針床) FU 上側前針床(一方の針床)
BD 下側後針床(他方の針床) BU 上側後針床(他方の針床)
1 第一接合用編目列 2 第二接合用編目列
100(筒状編地) スカート
10 筒状ベース部 11 第一ベース部 12 第二ベース部
20 チューブ状編地部 21 第一チューブ 22 第二チューブ
21C,22C 接合部 21E,22E 終端編目列
21L,21R,22L,22R 側辺
21a,22a,21b,22b 環状端部
21s,22s 始端部 21e,22e 終端部
図1
図2
図3