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特開2017-166196杭打機のオーガ着脱方法及びオーガ着脱用のサポート治具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-166196(P2017-166196A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】杭打機のオーガ着脱方法及びオーガ着脱用のサポート治具
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20170825BHJP
   E02D 7/16 20060101ALI20170825BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   E02D13/00 Z
   E02D7/16
   E21B7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-51549(P2016-51549)
(22)【出願日】2016年3月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050CB02
2D050EE25
2D129AB16
2D129BB04
2D129DA12
2D129DA18
2D129DC02
2D129DC13
(57)【要約】
【課題】既存の杭打機にも適用できるオーガの着脱方法及びそれらをサポートする治具を提供する。
【解決手段】オーガ着脱用のサポート治具は、ガイドギブ29a、29bを取り外す際に把手として機能するガイドギブフック40と、昇降チェーン32をリーダ14に固定するためのチェーンストッパとを有し、ガイドギブフック40は、フック部41とガイドギブ締結ボルト用の挿通孔に挿通されるピン43とを有し、チェーンストッパは、昇降チェーン32をオーガ26の上部側に固定する上部側チェーンストッパ50と、下部側に固定する下部側チェーンストッパ60とからなり、上部側チェーンストッパ50は、昇降チェーン32を固定する固定部51と該固定部の両側部に設けられガイドパイプを把持する把持部52とを有し、下部側チェーンストッパ60は、昇降チェーン32を固定する固定部62と、リーダ14の下端部に取り付ける取付部61とを有している。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に設けたリーダを起伏シリンダにより起伏可能に支持し、前記リーダにオーガを昇降可能に装着し、前記オーガは、前記リーダの両側に設けられた一対のガイドパイプをガイドギブで把持した状態で昇降可能に装着され、前記オーガの上下には、前記リーダの上端部に取り付けられた上部スプロケットとリーダの下端部に設けられた下部スプロケットとに掛け渡した昇降チェーンの両端がそれぞれ取り付けられている杭打機の前記オーガの着脱方法において、
前記オーガの脱着時には、
前記オーガのガイドギブにガイドギブフックを取り付けるガイドギブフック取付工程と、
前記オーガの上下に取り付けられた前記昇降チェーンをリーダに固定するためのチェーンストッパを取り付けるチェーンストッパ取付工程と、
前記昇降チェーンを前記オーガから分離する昇降チェーン分離工程と、
前記オーガから前記ガイドギブを取り外すガイドギブ取外工程と、
前記オーガを前記リーダから吊り上げるオーガ吊り上げ工程とを含むことを特徴とする杭打機のオーガ着脱方法。
【請求項2】
前記オーガの装着時には、
前記オーガを前記リーダに吊り込むオーガ吊り込み工程と、
前記オーガにオーガガイドを取り付けるオーガガイド取付工程と、
前記オーガの上下に前記昇降チェーンを連結させる昇降チェーン連結工程と、
前記チェーンストッパを取り外すチェーンストッパ取外工程と、
前記オーガガイドから前記ガイドギブに付け替えるガイドギブ取付工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の杭打機のオーガ着脱方法。
【請求項3】
ベースマシンの前部に設けたリーダを起伏シリンダにより起伏可能に支持し、前記リーダに昇降可能にオーガを装着し、前記オーガは、前記リーダの両側に設けられた一対のガイドパイプをガイドギブで把持した状態で昇降可能に装着され、前記オーガの上下には、前記リーダの上端部に取り付けられた上部スプロケットとリーダの下端部に設けられた下部スプロケットとに掛け渡した昇降チェーンの両端がそれぞれ取り付けられている杭打機の前記オーガの着脱をサポートする治具であって、
前記治具は、前記ガイドギブを取り外す際に把手として機能するガイドギブフックと、前記昇降チェーンをリーダに固定するためのチェーンストッパとを有し、
前記ガイドギブフックは、作業時に把手として機能するフック部と、ガイドギブ締結ボルト用の挿通孔に挿通される挿通ピンとを有し、
前記チェーンストッパは、前記オーガの上部側の昇降チェーンを固定する上部側チェーンストッパと、前記オーガの下部側の昇降チェーンを固定する下部側チェーンストッパとからなり、
前記上部側チェーンストッパは、前記昇降チェーンのローラを挟持する固定部と該固定部の両側部に設けられ前記ガイドパイプを把持する把持部とを有し、
前記下部側チェーンストッパは、前記昇降チェーンのローラを挟持する固定部と、前記リーダの下端部に取り付ける取付部とを有している
ことを特徴としているオーガ着脱用のサポート治具。
【請求項4】
請求項3に記載されたオーガ着脱用のサポート治具を用いる請求項1又は2記載の杭打機のオーガ着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機のオーガ着脱方法及びオーガ着脱用のサポート治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オーガ等の作業装置を取り外すことなく輸送姿勢とすることのできる小型の杭打機が開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数のリーダ部材からなるリーダを輸送状態や作業状態に応じて分解したり、組み換えする方法も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−178733号公報
【特許文献2】特開2010−47995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の小型の杭打機であっても、輸送トラックの積載質量制限がある場合には、オーガを取り外して輸送する必要が生じる。しかしながら、特許文献2記載のようなリーダの分解・組み換え方法はあるものの、安全かつ作業効率よくオーガを着脱するための方法やそれらをサポートする治具は存在していなかった。
【0005】
特に、新設計の杭打機であれば、あらかじめ輸送状態を考慮した設計も可能であるが、既存の杭打機に対して適用できるものはなかった。
【0006】
そこで本発明は、既存の杭打機にも適用できるオーガの着脱方法及びそれらをサポートする治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機のオーガ着脱方法は、ベースマシンの前部に設けたリーダを起伏シリンダにより起伏可能に支持し、前記リーダに昇降可能にオーガを装着し、前記オーガは、前記リーダの両側に設けられた一対のガイドパイプをガイドギブで把持した状態で昇降可能に装着され、前記オーガの上下には、前記リーダの上端部に取り付けられた上部スプロケットとリーダの下端部に設けられた下部スプロケットとに掛け渡した昇降チェーンの両端がそれぞれ取り付けられている杭打機の前記オーガの着脱方法において、前記オーガの脱着時には、前記オーガのガイドギブにガイドギブフックを取り付けるガイドギブフック取付工程と、前記オーガの上下に取り付けられた前記昇降チェーンをリーダに固定するためのチェーンストッパを取り付けるチェーンストッパ取付工程と、前記昇降チェーンを前記オーガから分離する昇降チェーン分離工程と、前記オーガから前記ガイドギブを取り外すガイドギブ取外工程と、前記オーガを前記リーダから吊り上げるオーガ吊り上げ工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
また、前記オーガの装着時には、前記オーガを前記リーダに吊り込むオーガ吊り込み工程と、前記オーガにオーガガイドを取り付けるオーガガイド取付工程と、前記オーガの上下に前記昇降チェーンを連結させる昇降チェーン連結工程と、前記チェーンストッパを取り外すチェーンストッパ取外工程と、前記オーガガイドから前記ガイドギブに付け替えるガイドギブ取付工程とを含むことが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のオーガ着脱用のサポート治具は、ベースマシンの前部に設けたリーダを起伏シリンダにより起伏可能に支持し、前記リーダに昇降可能にオーガを装着し、前記オーガは、前記リーダの両側に設けられた一対のガイドパイプをガイドギブで把持した状態で昇降可能に装着され、前記オーガの上下には、前記リーダの上端部に取り付けられた上部スプロケットとリーダの下端部に設けられた下部スプロケットとに掛け渡した昇降チェーンの両端がそれぞれ取り付けられている杭打機の前記オーガの着脱をサポートする治具であって、前記治具は、前記ガイドギブを取り外す際に把手として機能するガイドギブフックと、前記昇降チェーンをリーダに固定するためのチェーンストッパとを有し、前記ガイドギブフックは、作業時に把手として機能するフック部と、ガイドギブ締結ボルト用の挿通孔に挿通される挿通ピンとを有し、前記チェーンストッパは、前記オーガの上部側の昇降チェーンを固定する上部側チェーンストッパと、前記オーガの下部側の昇降チェーンを固定する下部側チェーンストッパとからなり、前記上部側チェーンストッパは、前記昇降チェーンのローラを挟持する固定部と該固定部の両側部に設けられ前記ガイドパイプを把持する把持部とを有し、前記下部側チェーンストッパは、前記昇降チェーンのローラを挟持する固定部と、前記リーダの下端部に取り付ける取付部とを有していることを特徴としている。
【0010】
さらに、上述のサポート治具を上述のオーガ脱着方法に用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の杭打機のオーガの着脱方法によれば、オーガの着脱を安全に実施することができる。さらに、着脱用のサポート治具さえ用意すれば既存の杭打機に対しても特段の改造の必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】リーダを起立させた状態の杭打機の側面図である。
図2】同じく正面図である。
図3】同じく平面図である。
図4】リーダを倒伏させた状態の杭打機の側面図である。
図5】ガイドギブフックの取付を示す説明図である。
図6】ガイドギブフックの取付を示す詳細な説明図である。
図7】ガイドギブフックの取付状態を背面側から示す説明図である。
図8図7のVIII−VIII断面図である。
図9】チェーンストッパの取付を示す説明図である。
図10】上部チェーンストッパ及び下部チェーンストッパの取付状態を示す側面図である。
図11】上部チェーンストッパ及び下部チェーンストッパの取付状態を示す平面図である。
図12図10のXII−XII断面図である。
図13図12のXIII−XIII断面図である。
図14】上部チェーンストッパの取付状態を示す分解斜視図である。
図15】下部チェーンストッパの取付状態を示す断面側面図である。
図16】同じく分解斜視図である。
図17】昇降チェーンの分離及びオーガの吊り上げを示す説明図である。
図18】オーガ26の取り外し完了状態を示す説明図である。
図19】オーガ26の吊り込み状態を示す説明図である。
図20】オーガガイド70の取付状態を示す側面図である。
図21図20のXXI−XXI断面図である。
図22】昇降チェーンの連結とチェーンストッパの取外を示す説明図である。
図23】リーダ14の起立を示す説明図である。
図24】ガイドギブの取付を示す説明図である。
図25】オーガ26の取り付け完了状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図25は本発明の杭打機のオーガ着脱方法の一形態例を示すもので、杭打機のリーダに装着されたオーガの着脱の各段階を示す説明図である。
【0014】
まず、図1乃至図3は、杭打機の作業時の状態を示している。この杭打機11は、クローラを備えた走行部12aと、該走行部12a上に旋回可能に設けられた上部旋回体12bとで構成されたベースマシン13と、該ベースマシン13の前部に起伏可能に設けられたリーダ14と、該リーダ14を後方から支持するリーダ用の起伏シリンダ15とを備えている。ベースマシン13の前部には、リーダ14を起伏可能に支持するフロントブラケット16が設けられ、該フロントブラケット16には起伏シリンダ15の基部が回動可能に取り付けられるシリンダ取付部17が設けられている。さらに、ベースマシン13の前部上方には、油圧配管を支持する配管支持部材18が設けられている。
【0015】
リーダ14は、前記フロントブラケット16に設けられたベースマシン幅方向の支軸19に回動可能に取り付けられた下部リーダ21と、該下部リーダ21の上部に連結される中間リーダ22と、該中間リーダ22の上部に連結される上部リーダ23とに分割形成され、さらに、前記中間リーダ22は、中間第1部材22aと中間第2部材22bとに分割形成され、上部リーダ23は上部第1部材23aと上部第2部材23bとに分割形成されている。これらの各リーダ部材は、それぞれボルト・ナットを使用したフランジ部材によって着脱可能に連結されている。
【0016】
起伏シリンダ15のシリンダロッド15aの先端部と中間リーダ22とは、中間第2部材22bの後面に設けられたシリンダブラケット22cに接続ピンを介して回動可能に連結されている。また、上部リーダ23の上端部にはトップシーブ24が、下部リーダ21の下端部に設けられた駆動スプロケット用カバー37には下部ガイド25がそれぞれ装着されており、リーダ14の前面にはオーガ26が昇降可能に装着されるとともに、該オーガ26を昇降させるためのチェーン式の昇降装置27が設けられている。
【0017】
オーガ26は、リーダ14の両側に設けられた一対のガイドパイプ28をオーガ26の後部側に設けた左右一対の上部ガイドギブ29a及び下部ガイドギブ29bで把持した状態でリーダ14に沿って昇降するもので、オーガ26の上下には、下部リーダ21の下端部に設けられた駆動スプロケット30(本発明の下部スプロケット)と、前記トップシーブ24に設けられた従動スプロケット31(本発明の上部スプロケット)との間に掛け渡された昇降チェーン32の両端がそれぞれ取り付けられている。チェーン式の昇降装置27は、駆動スプロケット30を油圧モータによって駆動し、該駆動スプロケット30と従動スプロケット31とに掛け回された昇降チェーン32を上下方向に移動させることにより、リーダ14に沿ってオーガ26を昇降させるもので、トップシーブ24の上部には、従動スプロケット31から昇降チェーン32が外れることを防止するためのチェーンカバー33が取り付けられている。
【0018】
なお、上部ガイドギブ29a及び下部ガイドギブ29bは、オーガ26本体に対して、
それぞれ左右各6本のガイドギブ締結ボルト34によって固定されている。
【0019】
また、図4に示すように、リーダ14をベースマシン上方に倒伏させて、輸送姿勢とすることができるが、輸送トレーラ,トラック等の積載質量制限の規制により、リーダ14を分解したり、オーガ26を取り外す必要がある場合がある。リーダ14の取り外しについては周知の方法を用いることができる。以下、本願発明に係るオーガ26の着脱方法について説明する。より詳細には、図5乃至図18によりリーダ14からオーガ26を取り外す脱着方法について説明し、図19乃至図26によりリーダ14にオーガ26を取り付ける装着方法について説明する。
【0020】
まず、上部ガイドギブ29a及び下部ガイドギブ29bに対して、それぞれガイドギブフック40を取付けるガイドギブフック取付工程を図5乃至図8を用いて説明する。図5に示されるように、リーダ14を起立した状態で、オーガ26を最も低い位置まで下降させ、次いで、ガイドギブ締結ボルト34のうち、上下2本のみを残して取り外す(図5参照。)。
【0021】
ガイドギブフック40は、丸棒状の金属棒を取付時にリーダ14の軸線方向に延在する長辺部41aとリーダ14の幅方向に延在する短辺部41bとに折り曲げられたL字状のフック部41と、該フック部41の短辺部に接合される板状の金属片を取付時にリーダ14の前方方向に突出する(各ガイドギブ29a,29bの上面と平行となる)基部42aとリーダ14の軸線方向に立ち上がる立設片42bとに折り曲げられたL字状の取付片42と、上から三番目のガイドギブ締結ボルト34が締結されていたボルト孔に挿通される挿通ピン43と、該挿通ピン43とフック部41の長辺部41aの端部とを連結する板状の連結片44とから形成されている。また、取付片の42の基部42aには、各ガイドギブ29a,29bの上面に螺着される取付ボルト45を挿通する挿通孔42cが設けられている。さらに、立設片42bには、フックやロープ等を掛けるための係止孔42dが設けられている。
【0022】
ガイドギブフック40は、まず挿通ピン43を各ガイドギブ29a,29bの上から三番目のガイドギブ締結ボルト34が締結されていたボルト孔に挿通し、取付片42の基部42aに設けられた挿通孔42cと各ガイドギブ29a,29bの上面に設けられたボルト孔とを一致させ、取付ボルト45を螺合させることによって取り付けられる。
【0023】
ガイドギブフック40の取付後に、オーガ26への油圧配管や配線を取り外し、下部ガイド25を駆動スプロケット用カバー37から取り外す。さらに、起伏シリンダ15を短縮し、リーダ14をベースマシン13の上方に倒伏させる。
【0024】
次に、オーガ26の上下に取り付けられた昇降チェーンについて、上部側及び下部側のそれぞれにおいて固定するためのチェーンストッパ取付工程を図9乃至図16を用いて説明する。
【0025】
まず、図9に示されるように、オーガ26を約300mmほどリーダ14に沿って上昇させて下部側の昇降チェーン32を出し、オーガ26の上部に設けられたアイボルト26aと下部に設けられた取付片26bとにクレーンのワイヤ35を掛けて、オーガ26を吊り下げ可能な状態とする。
【0026】
次に、チェーン32とオーガ26の下部側とを連結するチェーン調整ボルト36を緩め、上部チェーンストッパ50を中間第1部材22aの上端部に、下部チェーンストッパ60を下部リーダ21と駆動スプロケット用カバー37との連結部にそれぞれ取り付けることで、チェーン32を固定する。なお、上部チェーンストッパ50は、リーダ部材同士を着脱する際の作業空間となるボルト着脱作業用の凹部22dに装着することが可能であり、図9の想像線に示されるように、中間第1部材22aの下端部に取り付けてもよく、取付位置は適宜選択可能である。
【0027】
ここで、上部チェーンストッパ50及び下部チェーンストッパ60の構造について、図10乃至図16を用いて説明する。
【0028】
上部チェーンストッパ50の構造については、図10乃至図14、より詳細には、図12乃至図14に開示されている。上部チェーンストッパ50は、チェーン32を固定するための固定部本体51と、該固定部本体51の両側部に連結されガイドパイプ28を把持する把持部52,52とを有している。
【0029】
固定部本体51は、天板部53aと該天板部53aの両端から垂下する側壁部53bとによって取付時の下方側(リーダ14側)が開口するように形成されたコ字状の基部53と、天板部53aの下面に突出し、昇降チェーン32のローラ32aに対応するU字状の溝を有する固定片54と、天板部53aの上面に設けられた把手55と、側壁部53bの中間部に設けられて把持部52を連結する略L字状の連結部56とから形成されている。
【0030】
把持部52は、2枚のL字状の板材52a,52bを組合わせて接合し、一側方が開口したコ字状の空間を形成することで、ガイドパイプ28を把持する。把持部52は、さらに両端に接合した補強板57と、上方に突出したL字状の板材52bの一辺に設けられた2個のボルト挿通孔52c及びワイヤ35等を挿通するための3個の吊下用挿通孔52dとを有している。
【0031】
この上部チェーンストッパ50を使用して、オーガ26の上部側に昇降チェーン32を固定する際には、まず固定部本体51を上方から挿入し、ローラ32aを固定片54によって挟持する。次いで、把持部52をガイドパイプ28を把持するように両側から挿入し、ボルト挿通孔52cと連結部56に穿設されたボルト挿通孔56aとを合わせた状態で、結合ボルト58aを両ボルト挿通孔52c,56aに相通し、結合ナット58bにて固定部本体51と把持部52とを結合する。
【0032】
なお、上部チェーンストッパ50は、チェーンストッパとして用いない場合には、吊下用挿通孔52dを利用して、リーダ吊り具としても使用することができる。
【0033】
下部チェーンストッパ60の構造については、図10,11,15,16にに開示されている。下部チェーンストッパ60は、略Y字状の板を断面「ヘ」の字状に屈曲した天板部61と、該天板部61の屈曲部から取付時の下方側(リーダ14側)に突出し、昇降チェーン32のローラ32aに対応するU字状の溝を有する固定片62とを略T字状に接合したものである。
【0034】
天板部61の上面には把手63が設けられるとともに、Y字状の両先端部にはボルト挿通用の長孔64が形成されている。
【0035】
この下部チェーンストッパ60を使用して、オーガ26の下部側に昇降チェーン32を固定する際には、まず下部チェーンストッパ60を上方から挿入し、ローラ32aを固定片62によって挟持する。次いで、長孔64と駆動スプロケット用カバー37の前面に設けられた取付孔37aとを合わせた状態で、取付ボルト65を挿通し、下部チェーンストッパ60を固定する。なお、取付孔37aは、下部ガイド25を固定するためのものを用いることも可能である。
【0036】
次に、図17に示すように、オーガ26をワイヤ35で補助吊りした状態で、昇降チェーン32をオーガ26から分離する昇降チェーン分離工程を行う。オーガ26の上部側については、オーガ26に取り付けられた側から数えて10リンク目に赤色マーカを施したプレート32bの部分で分離し、オーガ26の下部側については、チェーン調整ボルト36の部分にて分離する。
【0037】
さらに、上部ガイドギブ29a及び下部ガイドギブ29bに残されたガイドギブ締結ボルト34を取り外し、各ガイドギブ29a、29bを取り外すガイドギブ取外工程を実施する。この際、ガイドギブフック40のフック部41を持つことによって、操作性が高い作業が可能となる。
【0038】
その後、オーガ26をクレーンにより吊り上げ(オーガ吊り上げ工程)、図18に示すように、枕木38の上に載置する。オーガ26、杭打機11ともに輸送するために、昇降チェーン32の端部や各種配管等を養生して、オーガ26の取り外しが完了する。
【0039】
次に、図19乃至図25を用いて、オーガ26をリーダ14に取り付ける装着方法について説明する。
【0040】
まず、図19に示されるように、オーガ26をクレーンにより吊り込み、倒伏した状態のリーダ14上に載置し(オーガ吊り込み工程)、仮装着用のオーガガイド70を取り付ける(オーガガイド取付工程)。
【0041】
オーガガイド70は、図20及び図21に示されるように、平板を二度直角に折り曲げて断面略Z字状としたものであり、オーガ26に取り付ける取付片70aと、ガイドパイプ28に沿って折れ曲がるカバー部70bとから形成される。
【0042】
取付片70aの中央部には把手71が設けられるとともに、両端部に取付ボルト72を挿通するためのボルト挿通孔が形成されている。
【0043】
このオーガガイド70を上部ガイドギブ29aが取り付けられる位置に合わせ、取付片70aに設けられたボルト挿通孔と上部ガイドギブ29aを取り付けるための上下のボルト挿通孔とを一致させて、取付ボルト72によって、オーガガイド70をオーガ26に取り付ける。
【0044】
その後、図22に示されるように、オーガ26に連結されていた昇降チェーン32とリーダ14に固定されていた昇降チェーン32とをプレート32bの部分で連結するとともに、オーガ26の下部側について、チェーン調整ボルト36を締め付けて昇降チェーン32と連結させる(昇降チェーン連結工程)。さらに、上部チェーンストッパ50及び下部チェーンストッパ60を取り外す(チェーンストッパ取外工程)。そして、オーガ26をリーダ14の最下端部に移動し、クレーンからの吊下げを解除する。
【0045】
その状態で、図23に示すように、起伏シリンダ15を伸長させて、リーダ14を起立させる。
【0046】
次に、図24に示されるように、下部ガイドギブ29bを取り付け、ガイドギブフック40を外し、全てのガイドギブ締結ボルト34を締結して下部ガイドギブ29bを固定する。次に、同様にオーガガイド70と上部ガイドギブ29aを付け替える(ガイドギブ取付工程)。
【0047】
そして、下部ガイド25を駆動スプロケット用カバー37の前面に取り付けることにより、図25に示すような作業可能な状態となり、オーガ26の装着が完了する。
【0048】
このような工程により、オーガ26の着脱を安全に実施することができる。さらに、ガイドギブフック40,各チェーンストッパ50,60、オーガガイド70といった着脱用のサポート治具は、それぞれの構造は比較的シンプルであり、容易に製造できることから、これらを用意すれば既存の杭打機に対しても特段の改造の必要はない。
【0049】
なお、各リーダ部材の分割数や分割位置は任意であり、各部の構造や形状も任意であり、各種の杭打機に応用できるものである。
【符号の説明】
【0050】
11…杭打機、12a…走行部、12b…上部旋回体、13…ベースマシン、14…リーダ、15…起伏シリンダ、15a…シリンダロッド、16…フロントブラケット、17…シリンダ取付部、17a…軸受片、17b…通孔、18…配管支持部材、19…支軸、21…下部リーダ、22…中間リーダ、22a…中間第1部材、22b…中間第2部材、22c…シリンダブラケット、22d…凹部、23…上部リーダ、23a…上部第1部材、23b…上部第2部材、24…トップシーブ、25…下部ガイド、26…オーガ、26a…アイボルト、26b…取付片、27…昇降装置、28…ガイドパイプ、29a…上部ガイドギブ、29b…下部ガイドギブ、30…駆動スプロケット、31…従動スプロケット、32…昇降チェーン、32a…ローラ、32b…赤色マーカを施したプレート、33…チェーンカバー、34…ガイドギブ締結ボルト、35…ワイヤ、36…チェーン調整ボルト、37…駆動スプロケット用カバー、37a…取付孔、38…枕木、40…ガイドギブフック、41…フック部、41a…長辺部、41b…短辺部、42…取付片、42a…基部、42b…立設片、42c…挿通孔、42d…係止孔、43…挿通ピン、44…連結片、45…取付ボルト、50…上部チェーンストッパ、51…固定部本体、52…把持部、52a,52b…板材、52c…ボルト挿通孔、52d…吊下用挿通孔、53…基部、53a…天板部、53b…側壁部、54…固定片、55…把手、56…連結部、56a…ボルト挿通孔、57…補強板、58a…結合ボルト、58b…結合ナット、60…下部チェーンストッパ、61…天板部、62…固定片、63…把手、64…長孔、70…オーガガイド、70a…取付片、70b…カバー部、71…把手、72…取付ボルト
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