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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-166237(P2017-166237A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】壁材セットおよび壁面構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/10 20060101AFI20170825BHJP
   B27D 5/00 20060101ALI20170825BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   E04F13/10 A
   B27D5/00
   B27M3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-53168(P2016-53168)
(22)【出願日】2016年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】高山 正史
【テーマコード(参考)】
2B002
2B250
2E110
【Fターム(参考)】
2B002AA01
2B002BA01
2B002BB06
2B002DA02
2B250AA06
2B250BA03
2B250CA11
2B250EA02
2B250FA28
2B250FA31
2B250GA03
2B250GA05
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB23
2E110BA02
2E110BA12
2E110BB03
2E110BB04
2E110BB22
2E110BD22
2E110DA12
2E110DB22
2E110DC23
2E110EA04
2E110GA33W
2E110GB62W
(57)【要約】
【課題】見栄えが良好で施工も容易な凹凸壁面を提供する。
【解決手段】厚さの異なる化粧シート貼り壁材A,Bと壁材Cを水平方向および上下方向に任意に組み合わせて壁面構造10を得る。各壁材の長辺に沿って雄実13,17および雌実14,18が形成され、これらの嵌合により壁材同士が上下方向に連接される。水平方向の連接は、壁材A,B同士は側面を突き当て、壁材C同士は雄実19と雌実20との嵌合により、壁材AまたはBと壁材Cとの間は前者の切欠15に後者の雄実19を収容させた状態で側面同士を突き当てることにより、それぞれ行う。ステープルなどの固定具15を各壁材の長辺に沿う雄実から打ち込むことにより、各壁材が床下地に強固に固定される。壁面構造の外周縁に縁材23を設けて基材露出面を覆い、または外周縁における基材露出面に塗装を施すことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面を構成するために用いられる壁材セットであって、所定の長さ、幅および厚さを有する第一の壁材と、第一の壁材と幅が同じで厚さが異なる第二の壁材とをそれぞれ複数枚揃え、第一の壁材は、基材の一対の長辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成されると共に、基材の一対の短辺に沿って裏面側に切欠が形成され、基材の表面から雄実、雌実および切欠に至る部分の側面にかけて化粧シートが貼着されており、第二の壁材は、基材の一対の長辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成されると共に、基材の一対の短辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成され、基材の表面に化粧シートが貼着されており、第一の壁材の長辺に沿う雄実または雌実は第二の壁材の長辺に沿う雌実または雄実と嵌合可能であり、且つ、第一の壁材の短辺に沿う切欠は第二の壁材の短辺に沿う雄実を収容可能であると共に、該切欠の表面側に残される側面が第二の壁材の短辺に沿う雄実および雌実の表面側に残される側面の少なくとも一部を覆う大きさを有することを特徴とする、壁材セット。
【請求項2】
前記第一の壁材は、異なる長さを有する複数種からなることを特徴とする、請求項1記載の壁材セット。
【請求項3】
前記第二の壁材は、前記第一の壁材の長さより十分に大きい長さを有して任意長さにカット可能であることを特徴とする、請求項1または2記載の壁材セット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の壁材セットを用いて構成される壁面構造であって、前記第一の壁材と、前記第二の壁材またはその長さを任意にカットして得た第二の壁材とが水平方向および上下方向に任意に組み合わされた配置で壁下地に取り付けられてなり、第一の壁材同士が水平方向に連接される場合はそれらの側面同士が突き合わされ、第二の壁材同士が水平方向に連接される場合はそれらの短辺に沿う雄実と雌実とが嵌合され、第一の壁材と第二の壁材の雌実形成面とが水平方向に連接される場合はそれらの側面同士が突き合わされ、第一の壁材と第二の壁材の雄実形成面とが水平方向に連接される場合は第一の壁材の切欠に第二の壁材の短辺に沿う雄実が収容された状態でそれらの側面同士が突き合わされ、第一の壁材同士または第二の壁材同士または第一の壁材と第二の壁材とが上下方向に連接される場合は隣接する壁材の長辺に沿う雄実と雌実とが嵌合されており、第一の壁材と第二の壁材の厚さが異なることによりこれらを水平方向および/または上下方向に隣接させたときに生ずる段差面を含めてすべての表面が化粧シートで覆われ、壁材同士の連接部において基材面が露出しないことを特徴とする、壁面構造。
【請求項5】
第一の壁材および第二の壁材は、それらの長辺に沿う雄実から打ち込まれる固定具で床下地に固定されることを特徴とする、請求項4記載の壁面構造。
【請求項6】
壁面構造の外周縁に縁材が設けられることを特徴とする、請求項4または5記載の壁面構造。
【請求項7】
前記縁材は、壁面構造の外周縁に露出する壁材側面に略当接または間隔を空けて対向する側面被覆部と、該側面被覆部から壁材表面に略当接または間隔を空けて対向する表面被覆部とから断面略L字形に形成されることを特徴とする、請求項6記載の壁面構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内などの壁下地に取り付けて(または既設の壁の上に取り付けて)壁面を構成するために用いられる壁材セット、および、この壁材セットを用いて構築される壁面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厚さが異なる2種類以上の壁材を各複数枚用意し、最少厚の壁材には基材の表面に天然木シートがあらかじめ貼着され、最少厚以外の壁材には基材の表面、側面および木口面に天然木シートがあらかじめ貼着され、これらを適宜に組み合わせて壁面を構成することが記載されており、凹凸によって木目が複雑に現れることから、居住空間に自然との共生感、落ち着いたゆとりや高級感を醸し出すことができるものとされている。最小厚の壁材において基材が露出する側面および木口面には、該厚さと同幅の天然木テープを現場で貼着することにより、基材の露出面を隠蔽し、意匠性の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3153433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術によると、壁材の側面・木口面に嵌合用の実が形成されていない。このため、隣接する壁材同士を密接させながら施工する作業を円滑に行うことができず、施工不良や施工後の壁材の収縮などによって壁材同士の間に目隙が生じて、外観を低下させる恐れがある。
【0005】
また、実が形成されていないことから、実の凸部(雄実)から釘やステープルなどの固定具を打ち込んで壁下地に強固に固定することができない。特許文献1では、壁材の裏面に両面テープを設けておいて壁下地に貼着するものとしているが、固定強度が不足し、壁材が落下する危険性がある。両面テープに代えて接着剤を用いて壁下地に固定する場合も同様である。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、厚さが異なる2種類以上の壁材を用いて壁面を構成するに当たり、壁材を壁下地に強固に固定することができ、隣接する壁材同士を密接させながら施工する作業も円滑に行うことができ、且つ、施工後の見栄えも良好になるような新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、壁面を構成するために用いられる壁材セットであって、所定の長さ、幅および厚さを有する第一の壁材と、第一の壁材と幅が同じで厚さが異なる第二の壁材とをそれぞれ複数枚揃え、第一の壁材は、基材の一対の長辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成されると共に、基材の一対の短辺に沿って裏面側に切欠が形成され、基材の表面から雄実、雌実および切欠に至る部分の側面にかけて化粧シートが貼着されており、第二の壁材は、基材の一対の長辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成されると共に、基材の一対の短辺に沿って互いに嵌合可能な雄実および雌実が形成され、基材の表面に化粧シートが貼着されており、第一の壁材の長辺に沿う雄実または雌実は第二の壁材の長辺に沿う雌実または雄実と嵌合可能であり、且つ、第一の壁材の短辺に沿う切欠は第二の壁材の短辺に沿う雄実を収容可能であると共に、該切欠の表面側に残される側面が第二の壁材の短辺に沿う雄実および雌実の表面側に残される側面の少なくとも一部を覆う大きさを有することを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載の壁材セットにおいて、前記第一の壁材は、異なる長さを有する複数種からなることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の壁材セットにおいて、前記第二の壁材は、前記第一の壁材の長さより十分に大きい長さを有して任意長さにカット可能であることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか記載の壁材セットを用いて構成される壁面構造であって、前記第一の壁材と、前記第二の壁材またはその長さを任意にカットして得た第二の壁材とが水平方向および上下方向に任意に組み合わされた配置で壁下地に取り付けられてなり、第一の壁材同士が水平方向に連接される場合はそれらの側面同士が突き合わされ、第二の壁材同士が水平方向に連接される場合はそれらの短辺に沿う雄実と雌実とが嵌合され、第一の壁材と第二の壁材の雌実形成面とが水平方向に連接される場合はそれらの側面同士が突き合わされ、第一の壁材と第二の壁材の雄実形成面とが水平方向に連接される場合は第一の壁材の切欠に第二の壁材の短辺に沿う雄実が収容された状態でそれらの側面同士が突き合わされ、第一の壁材同士または第二の壁材同士または第一の壁材と第二の壁材とが上下方向に連接される場合は隣接する壁材の長辺に沿う雄実と雌実とが嵌合されており、第一の壁材と第二の壁材の厚さが異なることによりこれらを水平方向および/または上下方向に隣接させたときに生ずる段差面を含めてすべての表面が化粧シートで覆われ、壁材同士の連接部において基材面が露出しないことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項5に係る発明は、請求項4記載の壁面構造において、第一の壁材および第二の壁材は、それらの長辺に沿う雄実から打ち込まれる固定具で床下地に固定されることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項6に係る発明は、請求項4または5記載の壁面構造において、壁面構造の外周縁に縁材が設けられることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項7に係る発明は、請求項6記載の壁面構造において、前記縁材は、壁面構造の外周縁に露出する壁材側面に略当接または間隔を空けて対向する側面被覆片と、該側面被覆片から壁材表面に略当接または間隔を空けて対向して内方に所定長さ延長する表面被覆片とから断面略L字形に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、厚さの異なる第一および第二の壁材を任意に組み合わせることにより、多種多様な外観の凹凸壁面を構成することができる。第一および第二の壁材は、厚さが異なるものの、長辺同士は実嵌合により、短辺同士は第一の壁材の切欠に第二の壁材の雄実を収容させることにより、いずれも隙間なく密接させることができるので、施工が容易であり、且つ、連接部において基材面が露出することがないので、施工後の見栄えが良好である。第一の壁材の短辺側には雄実が形成されないので、第二の壁材と連接する際に雄実を切除する必要がなく、施工手間が掛からない。また、第二の壁材には、その長辺および短辺に沿って雄実および雌実が形成されているので、第二の壁材のみを組み合わせて壁面を構成することが可能である。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、異なる長さの第一の壁材同士を組み合わせたり、これらを第二の壁材と組合わせることができるので、壁面を構成する際の設計の自由度が向上する。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、第二の壁材が長尺に形成されて自由にカット可能であるので、壁面を構成する際の設計の自由度が向上する。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、厚さの異なる第一および第二の壁材を任意に組み合わせることにより、多種多様な外観の凹凸壁面を構成することができる。第一および第二の壁材は、厚さが異なるものの、長辺同士は実嵌合により、短辺同士は第一の壁材の切欠に第二の壁材の雄実を収容させることにより、いずれも隙間なく密接させることができるので、施工が容易であり、且つ、連接部において基材面が露出することがないので、施工後の見栄えが良好である。第一の壁材の短辺側には雄実が形成されないので、第二の壁材と連接する際に雄実を切除する必要がなく、施工手間が掛からない。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、第一および第二の壁材の長辺に沿う雄実を利用して釘やステープルなどの固定具を打ち込むことにより、各壁材が壁下地に固定されるので、強固な固定が可能である。第一および第二の壁材はいずれも長辺に沿って延長する雄実を有し、これらの壁材をどのように組み合わせた場合であっても、壁面構造の水平方向全長に亘って雄実が延長することになり、多数の固定具を打ち込んで強固に固定することができる効果が発揮される。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、壁面構造の外周縁に露出する壁材の基材面を縁材で覆うことができるので、基材面が外周縁に露出することによる見栄えの低下を防ぐと共に、縁材による意匠性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、縁材の表面被覆片の内方突出長を十分に与えることにより、壁面構造の外周縁に露出する壁材側面との間に隙間が設けられていても、該壁材側面の露出を覆い隠すことができる。また、壁面構造の外周縁に壁材の雄実が存在する場合であっても、これを切除することなくそのままの状態で先端面を縁材の側面被覆片に当接させた状態として、雄実が表面側から見えてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態(実施例1)による壁面構造の正面図である。
図2】この壁面構造を構築する壁材(第一の壁材)の正面図(a)、平面図(b)、左側面図(c)、右側面図(d)および底面図(e)である。
図3】この壁面構造を構築する他の壁材(第二の壁材)の正面図(a)、平面図(b)、左側面図(c)、右側面図(d)および底面図(e)である。
図4図1中A−A断面図である。
図5図1中B−B断面図である。
図6図1中C−C断面図である。
図7図1中D−D断面図である。
図8図1中E−E断面図である。
図9図1中F−F断面図である。
図10図1中G−G断面図である。
図11図1中H−H断面図である。
図12図1中I−I断面図である。
図13図1中J−J断面図である。
図14図1中K−K断面図である。
図15図1中L−L断面図である。
図16図1中M−M断面図である。
図17】本発明の他実施形態(実施例2)による壁面構造における図13と同様の断面図である。
図18】実施例2の壁面構造における図14と同様の断面図である。
図19】実施例2の壁面構造における図15と同様の断面図である。
図20】実施例2の壁面構造における図16と同様の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明について詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の一実施形態(実施例1)による壁面構造10の正面図である。この壁面構造10は、各複数枚の平面視矩形状壁材A,B,Cをランダムに組み合わせて高さ方向および左右方向に連接させて壁下地11上に施工して構成されている。壁材の組合せ状態を示すために、図1において、壁材Aは粗めの斜線を施して示され、壁材Bは細めの逆方向の斜線を施して示され、壁材Cは白無地で示されている。
【0024】
この実施例において、壁材Aは、厚さ12mm、長さ300mm、幅143mmであり、壁材Bは、厚さ12mm、長さ600mm、幅143mmであり、壁材Cは、厚さ6mm、幅143mmであって、長さは配置される位置により異なる。すなわち、壁材A,B,Cはいずれも同一幅を有し、壁材Aと壁材Bはさらに厚さも同一であるが長さが異なり、壁材Cは壁材A,Bとは厚さが異なりこれらより薄く、且つ、長さは固定されておらず元々の寸法である900mmから適宜にカットされた寸法を有する。
【0025】
また、これら壁材A,B,CはいずれもMDFを基材として少なくともその表面に木目調の化粧シートが貼着された構成を有するが、その基材の形状および化粧シートの貼着状態が、壁材A,Bと壁材Cとでは異なっている。この点について、壁材A,Bの六面図である図2および壁材Cの六面図である図3を参照して説明する。
【0026】
まず、基材の形状について説明すると、壁材A,Bの基材12の一対の長辺に沿って雄実13および雌実14が形成され、一対の短辺に沿って裏面側(壁下地11に接する側)に切欠15,15が形成されているのに対し、壁材Cの基材16の一対の長辺に沿って雄実17および雌実18が形成されると共に、一対の短辺に沿って雄実19および雌実20が形成されている。壁材A,Bの長辺に沿って形成される雄実13および雌実14と、壁材Cの長辺に沿って形成される雄実17および雌実18は、同じ位置(裏面からの厚さ方向位置)に互いに嵌合可能な形状に形成されている。また、壁材A,Bの基材12の一対の短辺に沿って裏面側に形成される切欠15の寸法は、その短辺方向の寸法d1が壁材Cの雄実17の突出長を十分に上回るものとされ、その厚さ方向の寸法d2が壁材Cの雄実17の表面までの距離に略等しくなるように設定されている。
【0027】
次に、壁材A,B,Cにおける化粧シート貼着状態について説明すると、壁材A,Bでは、基材12の表面および四側面(雄実13,雌実14,切欠15の形成部分を除く基材12表面側に残る木口面)に木目調の化粧シート21が貼着されているのに対し、壁材Cでは、基材16の表面のみに同様の化粧シート22が貼着され、側面には化粧シート22が貼着されずに基材16の木口面が露出している。
【0028】
なお、図3は、カットする前の長さ900mmの壁材Cを示すものであり、既述したように、壁面構造10を構築する際には、これを適宜の長さにカットして用いる。
【0029】
図4ないし図8は、図1の壁面構造10において、壁材の短辺同士の連接状態を示す断面図である。
【0030】
図1中A−A断面図である図4は、壁材C同士の短辺連接状態を示す。壁材Cには一対の短辺に沿って雄実19および雌実20が形成されているので、これらの嵌合を介して壁材C同士を短辺に沿って密実に嵌合させることができる。この連接部においては、壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面は露出しないので意匠性を低下させることがなく、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22同士が連続して化粧面を与える。壁材C同士を短辺に沿って連接する場合は、元々の壁材Cの端部に相当する壁材(端材)において長さ方向カット面とは反対側に残される雄実19および雌実20を生かして、図4に示すように実嵌合を介して連接することが好ましい。
【0031】
図1中B−B断面図である図5は、壁材Bと長さカット後の壁材Cの短辺連接状態を示す。壁材Bには一対の短辺に沿って前記形状および寸法の切欠15が形成されているので、雄実19が切除された壁材Cの基材木口面の表面側が、壁材Bの側面に貼着された化粧シート21で覆われて該木口面が露出せず、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22と、壁材Bの側面および表面に貼着された化粧シート21とが連続して化粧面を与える。
【0032】
図1中C−C断面図である図6は、壁材Bと壁材Cの雄実19側との短辺連接状態を示す。図3に示すように、元々の壁材Cの四側面には実が形成されているので、長さをカットした後の壁材Cであっても、元々の壁材Cの端部に相当する壁材Cでは、そのカット面とは反対側に実が残されることになる。このように実(雄実19)が残っている壁材Cを壁材Bに連接させる場合であっても、壁材Bには一対の短辺に沿って前記形状および寸法の切欠15が形成されているので、壁材Cの雄実19を切欠15内に収めることができ、且つ、壁材Bの側面に貼着された化粧シート21が壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面を覆うので、該木口面が露出せず、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22と、壁材Bの側面および表面に貼着された化粧シート21とが連続して化粧面を与える。
【0033】
図1中D−D断面図である図7は、壁材Aと壁材Cの雌実20側との短辺連接状態を示す。この場合は、壁材Aの切欠15と壁材Cの雌実20とは互いに何ら干渉せず、それらの木口面同士が当接することになる。すなわち、壁材Aの側面に貼着された化粧シート21が壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面を覆うので、該木口面が露出せず、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22と、壁材Aの側面および表面に貼着された化粧シート21とが連続して化粧面を与える。
【0034】
図1中E−E断面図である図8は、壁材Aと壁材Bとの短辺連接状態を示す。この場合は、壁材Aの切欠15と壁材Bの雌実15とは互いに何ら干渉せず、それらの木口面同士が当接することになり、壁材A,Bの表面に貼着された化粧シート21同士が連続して化粧面を与える。
【0035】
図9ないし図12は、図1の壁面構造10において、壁材の長辺同士の連接状態を示す断面図である。これらの図から明らかなように、壁材の長辺同士の連接は、いずれの場合であっても、壁材の長辺に沿って形成された雄実と雌実との嵌合を介して行われる。
【0036】
図1中E−E断面図である図9は、壁材C同士の長辺連接状態を示す。壁材Cには一対の長辺に沿って雄実17および雌実18が形成されているので、これらの嵌合を介して壁材C同士を長辺に沿って密実に嵌合させることができる。この連接部においては、壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面は露出しないので意匠性を低下させることがなく、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22同士が連続して化粧面を与える。
【0037】
図1中F−F断面図である図10は、壁材Bと壁材Cの長辺連接状態を示す。ここでは、壁材Bの雌実14と壁材Cの雄実17との嵌合を介して壁材B,C同士が長辺に沿って密実に嵌合されている。この連接部においては、壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面は露出しないので意匠性を低下させることがなく、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22と、壁材Bの側面および表面に貼着された化粧シート21とが連続して化粧面を与える。
【0038】
図1中G−G断面図である図11は、壁材Aと壁材Cの長辺連接状態を示す。ここでは、壁材Aの雄実13と壁材Cの雌実18との嵌合を介して壁材A,C同士が長辺に沿って密実に嵌合されている。この連接部においては、壁材Cの化粧シート非貼着面である木口面は露出しないので意匠性を低下させることがなく、壁材Cの表面に貼着された化粧シート22と、壁材Aの側面および表面に貼着された化粧シート21とが連続して化粧面を与える。
【0039】
図1中H−H断面図である図12は、壁材Aと壁材Bの長辺連接状態を示す。ここでは、壁材Aの雄実13と壁材Bの雌実14との嵌合を介して壁材A,B同士が長辺に沿って密実に嵌合されている。この連接部においては、壁材A,Bの表面に貼着された化粧シート21同士が連続して化粧面を与える。
【0040】
なお、壁材Aと壁材Bとは長さが異なるだけで、切欠15を含む形状や厚さなどの条件は全く同一であるから、図4ないし図12において、壁材Aが壁材Bに代わり、あるいは壁材Bが壁材Aに代わった場合も、図示と同一の連接状態となる。
【0041】
壁面構造10は、一般に、複数枚の壁材A〜Cを図4ないし図8に示すようにしてそれらの短辺同士を連接させて列を形成し、さらに、図9ないし図12に示すようにして各列を構成する壁材A〜Cの長辺同士を実嵌合させることにより複数列を上下方向に連接させて得られる。この場合、壁面構造10の幅寸法は任意に設定され、それに応じて壁材Cの長さをカットして用いることになるが、高さ寸法は壁材A〜Cの共通幅(この実施例では143mm)に列数(この実施例では6)を乗した数値となる。しかしながら、壁材A〜Cにはいずれもその長辺に沿って雄実13,17および雌実14,18が形成されているので、このようにして構成される壁面構造10の上下いずれかの側縁には、最上端または最下端の列を構成する壁材A〜Cの長辺に沿って形成されている雄実13,17が突出した状態で残されることになり、美観を損ねる。したがって、この雄実13,17を切除することが好ましい。しかしながら、雄実を切除すると基材面が露出することになるので、これを隠すために、図1の壁面構造10では、側面被覆片23aと表面被覆片23bとを有して断面L字状に形成される縁材23を用いている。縁材23を用いることで、雄実切除後の基材面の露出を防ぐだけでなく、壁面構造10の外周縁に露出する壁材A〜Cの雌実14,18,20も隠蔽することができるので、美観を高める上で有効である。縁材23は任意材料で形成して良いが、この実施例では木質材が用いられ、釘やステープルなどの固定具24を壁下地に打ち込んで、壁材の表面端部から側面を覆うようにして壁下地に固定している。縁材23の固定に際しては、接着剤や両面テープなどを併用しても良い。また、縁材23の高さは、壁材A,Bの厚さ(この実施例では12mm)と略同一である。
【0042】
図1中J−J断面図である図13は、両端に壁材Cが位置する上下方向断面における縁材23の配置状態を示す。同図下に示すように、壁材Cの雌実18が壁面構造10の上下いずれかの縁に存在する場合は、縁材23に干渉しないので、そのまま縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面を完全に被覆することができ、これにより側面被覆片23aと表面被覆片23bとで雌実18を確実に隠蔽することができる。壁材Cの上下いずれかの縁に雄実17が存在する場合は、同図上に示すように、これを切除して平坦面とした上で、縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面を完全に被覆するように設ける。これにより雄実切除後に現れる壁材Cの基材面17’を側面被覆片23aと表面被覆片23bとで確実に隠蔽することができる。
【0043】
図1中K−K断面図である図14は、両端に壁材A,Bが位置する上下方向断面における縁材23の配置状態を示す。同図下に示すように、壁材A,Bの雌実14が壁面構造10の上下いずれかの縁に存在する場合は、縁材23に干渉しないので、そのまま縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面を完全に被覆することができ、これにより側面被覆片23aと表面被覆片23bとで雌実14を確実に隠蔽することができる。壁材A,Bの上下いずれかの縁に雄実13が存在する場合は、同図上に示すように、これを切除して平坦面とした上で、縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面を完全に被覆する。これにより雄実切除後に現れる壁材A,Bの基材面13’を側面被覆片23aと表面被覆片23bとで確実に隠蔽することができる。
【0044】
図1中L−L断面図である図15は、両端に壁材A,B(両端がいずれも壁材Aまたは壁材Bである場合も同じ)が位置する左右方向断面における縁材23の配置状態を示す。縁材23は、側面被覆片23aで壁材A,Bの表面端部から側面を完全に被覆するように設けられるので、切欠15を隠蔽することができる。
【0045】
図1中M−M断面図である図16は、両端に壁材Cが位置する短辺側断面における縁材23の配置状態を示す。同図左に示すように、壁材Cの雌実20が壁面構造10の左右いずれかの縁に存在する場合は、縁材23に干渉しないので、そのまま縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面にかけて完全に被覆するように設けることができ、これにより雌実20を確実に隠蔽することができる。壁材Cの雄実19が壁面構造10の左右いずれかの縁に存在する場合は、同図右に示すように、これを切除して平坦面とした上で、縁材23の側面被覆片23aで表面端部から側面を完全に被覆するように設ける。これにより雄実切除後に現れる壁材Cの基材面19’を確実に隠蔽することができる。
【0046】
なお、縁材23の高さを壁材A,Bの厚さと略同一にする場合、壁材A,Bに対してはその表面端部に略密接することになる(図14図15)が、これらより薄い壁材Cに対してはその表面から離れて位置することになる(図13図16)。しかしながら、縁材23の表面被覆片23bの内方への突出長を十分に大きくすることにより、壁材Cについてもその端部を確実に隠蔽して、見栄えを良好に維持することができる。
【実施例2】
【0047】
実施例1のように縁材23を用いる場合、縁材23の表面被覆片23bの内方突出長を十分に大きく取れば、必ずしも外周に現れる雄実を切除する必要がなく、また、縁材23を壁材側面に密接させる必要もなく、隙間があっても良いことになる。この状態が図17ないし図20に示されている。これらの図は、実施例1における図13ないし図16にそれぞれ対応する。
【0048】
図17に示される上下方向断面においては、壁面構造10の下端に位置する壁材Cの側面(雌実18を有する)と縁材23の側面被覆片23aとの間に隙間25が開いているが、縁材23を内方に十分な長さだけ突出させることにより、この隙間25を隠蔽している。また、この実施例では、壁面構造10の上端に位置する壁材Cの雄実17を切除することなく、そのまま残した状態で雄実17の先端面を縁材23の側面被覆片23aの内側面に突き当てているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さ突出させることにより、壁材Cの側面と縁材23の側面被覆片23aの内側面との間の隙間26を隠蔽することができる。
【0049】
図18に示される上下方向断面においては、壁面構造10の下端に位置する壁材Aまたは壁材Bの側面(雌実14を有する)と縁材23の側面被覆片23aとの間に隙間27が開いているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さだけ突出させることにより、この隙間27を隠蔽している。また、この実施例では、壁面構造10の上端に位置する壁材Aまたは壁材Bの雄実13を切除することなく、そのまま残した状態で雄実13の先端面を縁材23の側面被覆片23aの内側面に突き当てているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さ突出させることにより、壁材Cの側面と縁材23の側面被覆片23aの内側面との間の隙間28を隠蔽することができる。
【0050】
図19に示される左右方向断面においては、壁面構造10の左右両端に位置する壁材Aまたは壁材Bの側面(切欠15を有する)と縁材23の側面被覆片23aとの間に隙間29,30が開いているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さだけ突出させることにより、隙間29,30を隠蔽している。
【0051】
図20に示される左右方向断面においては、壁面構造10の左端に位置する壁材Cの側面(雌実20を有する)と縁材23の側面被覆片23aとの間に隙間31が開いているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さだけ突出させることにより、この隙間31を隠蔽している。また、この実施例では、壁面構造10の右端に位置する壁材Cの雄実19を切除することなく、そのまま残した状態で雄実19の先端面を縁材23の側面被覆片23aの内側面に突き当てているが、縁材23の表面被覆片23bを内方に十分な長さ突出させることにより、壁材Cの側面と縁材23の側面被覆片23a内側面との間の隙間32を隠蔽することができる。
【実施例3】
【0052】
実施例1および実施例2では、図1の壁面構造10において、縁材23を用いて雄実切除後に周縁に表れる基材木口面を隠蔽しているが、これに代えて、該基材木口面に、化粧シート21,22に同調させた色の塗装を施しても良い。このような実施形態も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0053】
A,B 厚い壁材
C 薄い壁材(フリーカット)
10 壁面構造
11 壁下地
12 壁材A,Bの基材
13 壁材A,Bの長辺に沿う雄実
13’ 雄実13切除後の基材面
14 壁材A,Bの長辺に沿う雌実
15 壁材A,Bの短辺に沿う切欠
16 壁材Cの基材
17 壁材Cの長辺に沿う雄実
17’ 雄実切除後の基材面
18 壁材Cの長辺に沿う雌実
19 壁材Cの短辺に沿う雄実
20 壁材Cの短辺に沿う雌実
21 壁材A,Bに貼着される化粧シート
22 壁材Cに貼着される化粧シート
23 縁材
23a 側面被覆片
23b 表面被覆片
24 ステープル
25〜32 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20