特開2017-166242(P2017-166242A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017166242-地下構造物の蓋受枠用ジャッキ装置 図000003
  • 特開2017166242-地下構造物の蓋受枠用ジャッキ装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-166242(P2017-166242A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】地下構造物の蓋受枠用ジャッキ装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20170825BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20170825BHJP
   E03B 9/10 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   E02D29/12 B
   E03F5/02
   E03B9/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-53416(P2016-53416)
(22)【出願日】2016年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】591116092
【氏名又は名称】株式会社福原鋳物製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100062797
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100188385
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 道俊
(72)【発明者】
【氏名】福原 勝
【テーマコード(参考)】
2D047
2D063
2D147
【Fターム(参考)】
2D047BA11
2D063DA15
2D147BA11
(57)【要約】

【課題】 外筒体と内筒体からなる蓋受枠の内筒体を簡単に外すことが出来る構造簡単で使い勝手のよいジャッキ装置を提供する。
【解決手段】外筒体2と内筒体3からなる蓋受枠Aの前記外筒体2の内底ベース部2aに架設する架設基版6と、中央にネジ杆8を螺合し、且つ長さが前記内筒体3の内部に設けた突縁3aの下面と両端が係合する長さの短冊状の扛上版7とから成り、ネジ杆8の頭部8aに簪状のハンドル9を設ける。扛上版7はハンドル9によりネジ杆8を回動させることにより上下に昇降させることが出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物上に設置されている外筒体と内筒体からなる蓋受枠において、内筒体の下に設けられている前記外筒体の内底ベース部又は地下構造物に架設する架設基版と、中央にネジ杆を螺合し、且つ長さが前記内筒体の内部に設けた突縁の下面と両端が係合する長さの扛上版とから成ることを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置。
【請求項2】
前記架設基版を短冊状としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置。
【請求項3】
前記架設基版を十字状としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【請求項4】
前記架設基版を円形としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置。
【請求項5】
前記架設基版に把持部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の蓋受枠用ジャッキ装置。
【請求項6】
前記架設基版の中央に、前期ネジ杆の下端と係合する凹部を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の蓋受枠用ジャッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物、例えば上下水道用マンホールの蓋受枠、或いは上水道設備における仕切弁、制水弁等の弁筐の蓋受枠のうち、外筒体と内筒体から成る蓋受枠用のジャッキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下構造物の蓋受枠には、マンホール側塊に取付けるため、或いは環状の支持盤に支持させるためフランジが設けられているので、路面と蓋受枠上面に段差が生じた時、嵩上げ調整用スペーサーを前記フランジの下に挿入又は除去或いは交換する工事を行っている。しかし、その工事に際し、蓋受枠の周辺を大きく掘り起こさないとスペーサーの調整工事が出来ず、嵩上げ又は嵩下げ作業は、養生期間を含め手間と工事日数を要し、従って工事量がかかり問題となっていた。
【0003】
この問題を解決するための蓋受枠として、外筒体と内筒体で蓋受枠を構成し、周囲に配置した適数本のジャッキ用ボルトで内筒体を昇降させるものが提案されていたが、前記の複数のジャッキ用ボルトをそれぞれ回動しなければならないため、スペーサーの調整作業に時間を要し、問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−209420号公報
【特許文献2】特許第3622098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、外筒体と内筒体からなる蓋受枠の内筒体を簡単に外すことが出来る構造簡単で使い勝手のよいジャッキ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、地下構造物上に設置される外筒体と内筒体からなる蓋受枠において、内筒体の下に設けられている前記外筒体の内底ベース部又は地下構造物に架設する架設基版と、中央にネジ杆を螺合し、且つ長さが前記内筒体の内部に設けた突縁の下面と両端が係合する長さの扛上版とから成ることを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記架設基版を短冊状としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記架設基版を十字状としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記架設基版を円形としたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明において、前記架設基版に把持部を設けたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5記載の発明において、前記架設基版の中央に、前記ネジ杆の下端と係合する凹部を設けたことを特徴とする蓋受枠用ジャッキ装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、1本のネジ杆を回動すれば、蓋受枠の内筒体を上昇させて簡単に外筒体から外すことができるため、スペーサー調整作業が短縮化される効果がある。
【0013】
請求項2及び3記載の発明によれば、架設基版と扛上版を蓋受枠の所定の位置に迅速に挿入することが出来る。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、ジャッキ作業中、円形の架設基版が蓋の役割を果たすので土砂の地下構造物内への落下を防止することが出来る。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、把持部があることにより架設基版の着脱を容易にすることができる。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、ネジ杆下端が位置決めされるため、ネジ杆の振れを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1の縦断面図である。
図2】本発明の実施例1における架設基版と扛上版の斜視図である。
図3】本発明の実施例2における架設基版と扛上版の斜視図である。
図4】本発明の実施例3における架設基版と扛上版の斜視図である。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1の縦断面図、図2は架設基版と扛上版の斜視図で、1は硬質塩化ビニール製の弁筐、2は蓋受枠Aの外筒体、3は蓋受枠Aの内筒体、4,5はスペーサー、6は、外筒体2の内底ベース部2a又はリング状のスペーサー4,5上に架設される架設基版、7は中央にネジ杆8を螺合し、且つ長さが内筒体3の内部に設けた突縁3aの下面と両端が係合する長さの短冊状の扛上版である。
【0019】
前記ネジ杆8の頭部8aには簪状のハンドル9が着脱自在に取付けられ、また前記架設基版6の中央部にはネジ杆8の下端と係合する振れ止め用の凹部6aが設けられている。
【0020】
次に、例えば蓋受枠Aの内筒体3の上面が、路面より突出し、スペーサー5を他のスペーサーと交換しようとする場合について説明すると、先ず図1に示すように架設基版6をスペーサー5上に架設し、次にハンドル9を持ってネジ杆8を回動して扛上版7を図1の位置より下げた状態にして内筒体3内に挿入し、ネジ杆8の下端を架設基版6の凹部6aに係合させ、次いで、扛上版7自体がネジ杆8と共に回転しないように手で押さえ、ネジ杆8を回動させる。かくすれば扛上版7が上昇すると共に、扛上版7により内筒体3が押し上げられ、内筒体3を外筒体2から抜き取ることが出来る。
【0021】
内筒体3を外筒体2から抜き取った後、スペーサー5の代わりに適正なスペーサーと交換し、再び内筒体3を挿入すれば、内筒体3の上面を路面に一致させることが出来る。
【0022】
なお、仕切弁の弁筐のように口径の小さい場合は必要ないが、口径の大きい蓋受枠の場合は、ここでは図示しないが、公知の蓋受枠と同様、内外筒体を一体とする連繋ボルトを設けることは勿論である。
【0023】
実施例1では架設基版6にネジ杆8の下端と係合する凹部6aを設けたので、ネジ杆8が振れることなく円滑、迅速にジャッキ機能を発揮することが出来る。また従来のように数箇所のジャッキボルトを回動する場合に比し、1本のネジ杆8を回動するだけでよいので操作が楽で、しかも構成部品が少なく、更に蓋受枠にジャッキ用ボルトを設ける必要がないため、蓋受枠の部品を少なくすることが出来るため、内外外筒体からなる蓋受枠のジャッキ装置として実用価値大である。
【0024】
本実施例では外筒体2の構造上、架設基版6を外筒体2の内底ベース部2a上に架設しているが、扛上版7より下に架設基版6が架設されればよいので、架設基版6が架設されるのは、例えば座盤や弁筐上端等、内底ベース部だけに限られないのは勿論である。
【0025】
以上、説明した実施例1では、ネジ杆8の回動を簪状に取付けたハンドル9によって行うようにしたが、頭部8aの頭頂に+又は−の溝又は角状の凹部を設けるか、あるいは、頭部8aを角状として、電動ドライバーで回動することも出来る。この回動方法によれば、扛上版7の昇降を迅速に行うことができ、作業時間を一層短縮することが出来る。
【実施例2】
【0026】
図3は本発明の実施例2の斜視図を示すもので、架設基版6’は十字状にすると共に、中央部にネジ杆8の下端と係合するリング状の突条6’aを設けたものである。本実施例2における用法は実施例1と同様なので説明は省略する。
【0027】
実施例1及び2は蓋受枠への設置に優れているという長所があるが、スペーサーの着脱作業中、土砂が地下構造物内に落下する虞がある。そこで次にその問題点を改善した実施例3を例示する。
【実施例3】
【0028】
図4は本発明の実施例3の斜視図を示すもので、6”は円形の架設基版、10,10は架設基版6”に設けた挿入孔に昇降自在に挿通したボルトとナットから成る把持部である。
【0029】
実施例1及び2は蓋受枠への設置に簡便な点で優れているが、スペーサーの着脱作業中に土砂が地下構造物内に落下する虞がある。この実施例3によれば、架設基版6”が円形であるため地下構造部の蓋として開口部が閉鎖されるので、スペーサーの交換作業中、土砂が地下構造物内に落下することを防止することが出来る。
【0030】
この実施例3では内筒体3を外筒体2から抜き取った後に架設基版6”を蓋受枠A内から取り出す際には、把持部10,10のボルト頭を引っ張り、ボルトの一部が露出した部分を掴むことで架設基版6”を取り出すことが出来る。
【0031】
なお、前記把持部は昇降するボルトとナットから構成したものであるが、他の構造のものでもよいことは勿論であるし、土砂が余り落ちる虞がない場合は、把持部は指を入れる孔としてもよい。
【0032】
また、扛上版又は架設基版の形状は上述した実施例の形状に限定されないことは勿論であるし、把持部を実施例1及び2の架設基版に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
A 蓋受枠
1 弁筐
2 外筒体
2a 内底ベース部
3 内筒体
4,5 スペーサー
6 架設基版
7 扛上版
8 ネジ杆
8a 頭部
9 ハンドル
10 把持部
図1
図2
図3
図4