【解決手段】蒸気過熱システム1は、複数の燃料式ヒータ20と、燃料式側蒸気供給ラインL20の経路を開閉可能に構成される複数の燃料式側流量調整弁21と、電気式ヒータ30と、電気式側蒸気供給ラインL30に配置され、流量調整可能に構成される電気式側流量調整弁31と、制御部80と、記憶部85と、を備える。制御部80は、台数設定部82に設定された燃料式ヒータ20の燃焼制御及び該燃料式ヒータ20に対応する燃料式側流量調整弁21を開状態にする制御を行うとともに、要求される必要過熱蒸気量と、過熱制御の対象となる燃料式ヒータ20の総供給過熱蒸気量の差に基づいて電気式側流量調整弁31の流量及び電気式ヒータ30の過熱を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の蒸気過熱システムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の蒸気過熱システムは、ボイラ(図示省略)等の蒸気発生装置から供給される蒸気を過熱して過熱蒸気の供給を負荷機器(図示省略)に行うシステムである。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸気過熱システム1の構成を模式的に示した図である。
図1に示すように、本実施形態の蒸気過熱システム1は、複数の燃料式ヒータ(燃料式蒸気過熱装置)20と、複数の燃料式側流量調整弁(第1制御弁)21と、電気式ヒータ(電気式蒸気過熱装置)30と、電気式側流量調整弁(第2制御弁)31と、流量計(流量検出部)50と、制御装置70と、を備える。
【0013】
また、本実施形態の蒸気過熱システム1は、メイン蒸気供給ラインL10と、複数の燃料式側蒸気供給ライン(第1蒸気供給ライン)L20と、電気式側蒸気供給ライン(第2蒸気供給ライン)L30と、過熱蒸気ラインL40と、過熱蒸気集合ラインL50と、を主要なラインとして備える。
【0014】
メイン蒸気供給ラインL10は、その上流側が蒸気ヘッダ(図示省略)に接続されている。蒸気ヘッダには、ボイラ等の蒸気発生装置で生成された飽和蒸気が集合されており、蒸気ヘッダ及びメイン蒸気供給ラインL10を通じて蒸気過熱システム1に飽和蒸気(蒸気)が供給される。メイン蒸気供給ラインL10は、その下流側の端部で、複数の燃料式側蒸気供給ラインL20と、電気式側蒸気供給ラインL30と、に分岐している。
【0015】
蒸気過熱システム1の各構成について説明する。燃料式ヒータ20は、バーナの燃焼によって飽和蒸気を過熱する燃料式蒸気過熱装置である。本実施形態では、複数の燃料式ヒータ20が並列配置されており、燃料式ヒータ20のそれぞれには、燃料ガスが供給されている。燃料式ヒータ20は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70からの制御信号によって燃料式ヒータ20による飽和蒸気の過熱が制御される。
【0016】
燃料式ヒータ20の過熱対象である飽和蒸気は、燃料式側蒸気供給ラインL20によって燃料式ヒータ20に供給される。メイン蒸気供給ラインL10から分岐した燃料式側蒸気供給ラインL20は、複数の燃料式ヒータ20のそれぞれに接続される。メイン蒸気供給ラインL10から送られてきた飽和蒸気は、燃料式側蒸気供給ラインL20を介して各燃料式ヒータ20に供給される。
【0017】
燃料式側流量調整弁21は、燃料式側蒸気供給ラインL20のそれぞれに配置される。燃料式側流量調整弁21は、流量調整可能なモータバルブであり、制御装置70に電気的に接続される。燃料式側流量調整弁21の開度は、制御装置70からの制御信号によって制御される。
【0018】
本実施形態では、燃料式ヒータ20は、飽和蒸気を過熱している状態(ON状態)と、過熱を行っていない状態(OFF)と、の何れかの状態で運転される。即ち、バーナの燃焼は、ON/OFF運転になっている。
【0019】
燃料式側流量調整弁21は、燃料式ヒータ20の過熱が定常状態に達すると予め設定される所定の開度で固定される開状態に制御される。所定の開度は、燃料式ヒータ20に必要な飽和蒸気量を供給可能な開度である。従って、定常状態では、燃料式ヒータ20には略一定の量の飽和蒸気が供給されることになる。
【0020】
なお、本実施形態では、燃料式ヒータ20の起動時には飽和蒸気の流量が徐々に増加するように燃料式側流量調整弁21の開度が制御され、燃料式ヒータ20の停止時には流量を徐々に低下させるように燃料式側流量調整弁21の開度が制御される。このように、燃料式側流量調整弁21は、燃料式ヒータ20の起動時及び停止時には、流量を連続的に変化させるように制御される流量調整弁として機能する。また、燃料式ヒータ20の過熱制御に応じて燃料式側流量調整弁21は開状態又は閉状態に切り替えられるので、飽和蒸気の供給経路に設けられた開閉弁としても機能する。なお、以下の説明において、燃料式側流量調整弁21の開状態とは、燃料式ヒータ20の過熱が定常状態に達したときの所定の開度に制御されている状態のことを示す。
【0021】
電気式ヒータ30について説明する。電気式ヒータ30は、電気によって飽和蒸気を過熱する電気式蒸気過熱装置である。電気式ヒータ30は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70からの制御信号によって電気式ヒータによる飽和蒸気の過熱が制御される。
【0022】
本実施形態では、電気式ヒータ30は、比例制御で飽和蒸気に対する過熱を行う。即ち、制御装置70から要求される過熱蒸気量に応じて電気式ヒータ30の過熱制御が行われる。なお、電気式ヒータ30の過熱方法は、連続的に過熱度を変更するようにしてもよいし、段階的に過熱度を変更するようにしてもよい。
【0023】
電気式ヒータ30の過熱対象である飽和蒸気は、電気式側蒸気供給ラインL30によって電気式ヒータ30に供給される。メイン蒸気供給ラインL10から分岐した電気式側蒸気供給ラインL30は、電気式ヒータ30に接続される。メイン蒸気供給ラインL10から送られてきた飽和蒸気は、電気式側蒸気供給ラインL30を介して電気式ヒータ30に供給される。
【0024】
電気式側流量調整弁31は、電気式側蒸気供給ラインL30に配置される。電気式側蒸気供給ラインL30は、流量調整可能なモータバルブであり、制御装置70に電気的に接続される。電気式側流量調整弁31の開度は、制御装置70からの制御信号によって制御される。電気式側流量調整弁31は、制御装置70から要求される過熱蒸気量に応じて開度が調整される。従って、電気式ヒータ30に供給される飽和蒸気量は、定常状態の燃料式ヒータ20とは異なり、その流量が適宜調整されることになる。
【0025】
複数の燃料式ヒータ20及び電気式ヒータ30のそれぞれには、過熱蒸気ラインL40が接続される。過熱蒸気ラインL40のそれぞれは、過熱蒸気集合ラインL50に接続される。複数の燃料式ヒータ20で過熱された過熱蒸気と、電気式ヒータ30で過熱された過熱蒸気と、は、過熱蒸気ラインL40を通って過熱蒸気集合ラインL50で集合し、過熱蒸気の供給先の負荷機器(図示省略)に送られる。
【0026】
流量計50は、過熱蒸気集合ラインL50に設けられる。流量計50は、過熱蒸気集合ラインL50を通過する過熱蒸気の流量を検出する。流量計50は、制御装置70に電気的に接続されており、流量計50の測定値は制御装置70に送信される。
【0027】
制御装置70について説明する。制御装置70は、蒸気過熱システム1の各種の制御を行うコンピュータである。次に、制御装置70の詳細について説明する。
図2は、本実施形態の制御装置70の機能ブロック図である。
【0028】
制御装置70は、各種のセンサや操作部(何れも図示省略)からの信号に基づいて各種の制御を実行する制御部80と、制御部80が実行するプログラムや各種の情報が記憶される記憶部85と、を主要な構成として備える。
【0029】
制御部80における燃料式ヒータ20及び電気式ヒータ30の過熱制御に関わる構成について説明する。制御部80は、必要過熱蒸気量設定部81と、台数設定部82と、燃料式過熱制御部83と、電気式過熱制御部84と、を有する。
【0030】
必要過熱蒸気量設定部81は、蒸気過熱システム1全体で供給される過熱蒸気の供給量である必要過熱蒸気量を設定する。必要過熱蒸気量は、負荷機器側から要求される要求過熱蒸気量と、流量計50の測定値と、に基づいて設定される。本実施形態の必要過熱蒸気量は、所定の範囲の幅を有する値である。必要過熱蒸気量設定部81は、流量計50を監視し、供給量の変動が生じた場合は適宜のタイミングで必要過熱蒸気量の再設定を行う。
【0031】
台数設定部82は、過熱制御の対象となる燃料式ヒータ20の台数を設定する。本実施形態の台数設定部82は、燃料式ヒータ20のそれぞれに設定される供給過熱蒸気量と、必要過熱蒸気量設定部81に設定された必要過熱蒸気量と、に基づいて過熱制御の対象となる燃料式ヒータ20の台数を設定する。
【0032】
供給過熱蒸気量は、定常状態で過熱制御されている1台の燃料式ヒータ20から供給される過熱蒸気量である。即ち、燃料式側流量調整弁21が開状態に制御されている状態で、燃料式ヒータ20から供給される過熱蒸気の量である。本実施形態では、各燃料式ヒータ20の供給過熱蒸気量はそれぞれ同じ値に設定されている。例えば、1台の燃料式ヒータ20に設定される供給過熱蒸気量が1000kg/hである場合を考える。ここで、4台の燃料式ヒータ20が過熱制御の対象となった場合、対応する燃料式側流量調整弁21が開状態に制御されるので、定常状態では4000kg/hの過熱蒸気量が4台の燃料式ヒータ20から供給されると考えることができる。
【0033】
台数設定部82は、供給過熱蒸気量の総和である総供給過熱蒸気量が必要過熱蒸気量の範囲を超えないように燃料式ヒータ20の台数を設定する。例えば、必要過熱蒸気量が3500kg/hを基準とする所定範囲に設定された場合、過熱制御の対象を3台と設定し、総供給過熱蒸気量が必要過熱蒸気量を超えないように設定するのである。
【0034】
本実施形態の記憶部85には、供給過熱蒸気量に加えて優先順位に関する情報が記憶されており、この優先順位に従って過熱制御の対象となる燃料式ヒータ20が設定される。先の例では、4台のうち、1台の燃料式ヒータ20が過熱制御の対象とはなっていないが、優先順位が最も低い燃料式ヒータ20がその1台となる。なお、上記の過熱蒸気量に関する数値は、例示するものであり、蒸気過熱システム1や負荷機器等の使用状況に応じて適宜の数値が設定される。
【0035】
燃料式過熱制御部83は、燃料式ヒータ20及び該燃料式ヒータ20に対応する燃料式側流量調整弁21の制御を行う。本実施形態では、台数設定部82によって過熱制御の対象に設定された燃料式ヒータ20のバーナの燃焼制御及び該燃料式ヒータ20に対応する燃料式側流量調整弁21の制御を行う。また、燃料式過熱制御部83は、過熱制御の対象ではない燃料式ヒータ20に対しては燃焼停止の制御を行うとともに、該燃料式ヒータ20に対応する燃料式側流量調整弁21を閉状態に制御する。
【0036】
上述のように、燃料式ヒータ20は、その燃焼がON/OFF運転であり、燃料式側流量調整弁21の開度は定常状態で所定の開度に固定されている。従って、燃料式ヒータ20には、一定量の飽和蒸気が供給されることになる。そのため、燃料式ヒータ20から供給される過熱蒸気の量(供給過熱蒸気量)も一定となる。そして、過熱制御の対象の燃料式ヒータ20が複数台の場合は、複数台分の過熱蒸気量(総供給過熱蒸気量)が過熱蒸気集合ラインL50を通じて負荷機器側に供給されるのである。
【0037】
本実施形態では、過熱制御の対象となっている燃料式ヒータ20は、負荷機器側に供給される過熱蒸気の温度調整のため、過熱制御中もバーナ燃焼は適宜ON/OFFされる。過熱蒸気の温度は、過熱蒸気集合ラインL50が接続される過熱蒸気ヘッダ(図示省略)の温度を測定する等して取得されたものである。なお、過熱制御の対象となっている燃料式ヒータ20のバーナの燃料がOFFされた場合であっても、燃料式側流量調整弁21は開状態のままである。上述の通り、台数設定部82に過熱制御の対象に設定されなかった燃料式ヒータ20の燃料式側流量調整弁21は閉状態に制御されており、過熱制御の対象となっているか否かで燃料式ヒータ20の燃料式側流量調整弁21の制御は異なっている。
【0038】
電気式過熱制御部84は、過熱制御の対象となった燃料式ヒータ20から供給される総供給過熱蒸気量と必要過熱蒸気量との差に基づいて電気式ヒータ30の過熱制御及び電気式側流量調整弁31の流量制御を行う。例えば、上述のように、必要過熱蒸気量が約3500kg/hで過熱制御の対象を3台に設定されている場合、電気式ヒータ30によって500kg/hの過熱蒸気量が供給されるように、電気式ヒータ30及び電気式側流量調整弁31を制御する。即ち、必要過熱蒸気量に対して複数台分の過熱蒸気量では足りない分の過熱蒸気量を電気式ヒータ30によって供給していると言うこともできる。なお、本実施形態の電気式ヒータ30及び電気式側流量調整弁31は、供給する過熱蒸気量を0に設定することも可能である。また、本実施形態の電気式側流量調整弁31は、燃料式ヒータ20の燃料式側流量調整弁21の供給過熱蒸気量と同量の過熱蒸気量を供給可能になっている。例えば、供給過熱蒸気量が1000kg/hに設定されている燃料式ヒータ20を4台過熱制御するとともに、電気式ヒータ30の電気式側流量調整弁31の開度を供給過熱蒸気量と同量の過熱蒸気量を供給できるように調整することによって、蒸気過熱システム1全体として5000kg/hの過熱蒸気量を負荷機器側に供給することができる。
【0039】
本実施形態の電気式過熱制御部84は、流量計50の測定値を監視し、過熱蒸気の流量が一定になるように電気式ヒータ30及び電気式側流量調整弁31を追従制御する。負荷機器側に供給される過熱蒸気の流量が変動した場合、過熱蒸気の温度が変動するおそれがある。本実施形態の構成では、電気式過熱制御部84が流量の変動に応じて電気式側流量調整弁31の流量が調整されるので、流量変動を原因とする過熱蒸気の温度変動を効果的に抑制される。
【0040】
本実施形態の蒸気過熱システム1は以上のように構成される。即ち、流量計50の測定値に基づいて必要過熱蒸気量設定部81によって必要過熱蒸気量が設定され、当該必要過熱蒸気量に基づいて燃料式ヒータ20の台数が設定される。燃料式過熱制御部83は、過熱制御の対象に設定された燃料式ヒータ20の燃焼制御を開始するとともに、燃料式側流量調整弁21を開状態にするための制御を開始する。
【0041】
電気式過熱制御部84は、電気式ヒータ30の過熱制御を開始するとともに、過熱蒸気集合ラインL50を流れる過熱蒸気量が必要過熱蒸気量に一致するように、電気式側流量調整弁31の流量を調整する。即ち、燃料式ヒータ20の台数によって決まる総供給過熱蒸気量と必要過熱蒸気量の差分が電気式ヒータ30から供給される過熱蒸気によって補われる。このように、1又は複数の燃料式ヒータ20によって供給される過熱蒸気量を基本過熱蒸気量(供給過熱蒸気量)とし、必要過熱蒸気量の差分及び変動分の過熱蒸気量については電気式ヒータ30によって過熱することによって、燃料式ヒータ20及び電気式ヒータ30の双方の特性を活かした蒸気過熱システム1を実現しているのである。なお、必要過熱蒸気量(流量計50の測定値)が変動し、過熱制御の対象となっている燃料式ヒータ20では足りなくなった場合や、必要蒸気量に対して燃料式ヒータ20の台数が多くなりすぎた場合には、台数の再設定が適宜のタイミングで行われる。
【0042】
以上説明した本実施形態の蒸気過熱システム1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の蒸気過熱システム1は、複数の燃料式ヒータ20と、燃料式側蒸気供給ラインL20の経路を開閉可能に構成される複数の燃料式側流量調整弁21と、電気式ヒータ30と、電気式側蒸気供給ラインL30に配置され、流量調整可能に構成される電気式側流量調整弁31と、制御部80と、記憶部85と、を備える。制御部80は、台数設定部82に設定された燃料式ヒータ20の燃焼制御及び該燃料式ヒータ20に対応する燃料式側流量調整弁21を開状態にする制御を行うとともに、要求される必要過熱蒸気量と、過熱制御の対象となる燃料式ヒータ20の総供給過熱蒸気量の差に基づいて電気式側流量調整弁31の流量及び電気式ヒータ30の過熱を制御する。
【0043】
これにより、必要過熱蒸気量の大部分を燃料式ヒータ20によって供給できるとともに、過熱度の調整を正確に行うことができる電気式ヒータ30で残りの過熱蒸気を供給することができる。従って、蒸気過熱システム1全体で必要な電気容量が大きくなることを避けつつ、必要過熱蒸気量に応じた過熱蒸気の流量を正確に供給できる蒸気過熱システム1を実現できる。更に、この方式では、燃料式ヒータ20のバーナの燃焼制御を頻繁に変更する必要がなく、制御及び燃焼の観点から効率的である。負荷側の要求量の変動に追随させる必要がないので、一定の燃焼量で燃料式ヒータ20の燃焼を安定して継続できるのである。
【0044】
電気式過熱制御部84は、必要過熱蒸気量の変動に追従して電気式側流量調整弁31の流量を調整する。これにより、過熱蒸気の流量が変動することを要因とする過熱蒸気の温度変動を効果的に低減できる。
【0045】
本実施形態の蒸気過熱システム1は、当該蒸気過熱システム1によって供給される過熱蒸気の流量を検出する流量計50を備える。そして、制御部80は、流量計50の測定値に基づいて必要過熱蒸気量を設定する必要過熱蒸気量設定部81を有する。これにより、蒸気過熱システム1によって実際に供給される過熱蒸気の流量の変動を正確に反映することができ、過熱蒸気の温度及び供給量をより一層適切に制御することができる。
【0046】
以上、本発明の蒸気過熱システムの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0047】
上記実施形態では、必要過熱蒸気量は、流量計50の測定値に基づいて設定されているが、この構成に限定されるわけではない。例えば、過熱蒸気集合ラインL50が接続される過熱蒸気ヘッダ(上記実施形態においても図示省略)に圧力検出部(圧力センサ)を配置し、過熱蒸気ヘッダの圧力に基づいて必要過熱蒸気量を設定する構成としてもよい。このように、必要過熱蒸気量の設定方法は、事情に応じて適宜変更することができる。
【0048】
上記実施形態では、バーナの燃焼がON/OFF運転となっている燃料式ヒータ20を例に説明したが、燃料式ヒータの構成は、事情に応じて適宜変更することができる。例えば、燃焼量が段階値制御される燃料式ヒータや、燃焼量が比例制御される燃料式ヒータ等を本発明の蒸気過熱システムの燃料式ヒータとして用いることができる。燃焼を選択的にON/OFFしたり、炎の大きさを調整等したりすることにより燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能な燃料式ヒータで本発明の蒸気過熱システムを構成した場合は、電気式ヒータによって負荷機器側から要求される要求過熱蒸気量の変動を吸収することができるので、燃料式ヒータの燃焼位置の切り替えや発停を抑制し、燃焼を安定化できる。また、燃焼能力(最大燃焼状態における燃焼量)に対して0%(燃焼がない状態)から100%(最大燃焼量)の範囲で燃焼量が連続的に比例制御する燃料式ヒータにおいても、前述の燃焼量を段階的に制御する燃料式ヒータの場合と同様に、一定の燃焼状態を継続させることができるので、燃焼の安定化、さらには過熱蒸気温度の安定化を達成することができる。
【0049】
上記実施形態では、第1制御弁として流量調整可能な燃料式側流量調整弁21が採用されているが、開閉のみを行う電磁弁等に変更することもできる。