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特開2017-166882回転体の軸受け装置およびそれを用いるバランス測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-166882(P2017-166882A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】回転体の軸受け装置およびそれを用いるバランス測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/04 20060101AFI20170825BHJP
【FI】
   G01M1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-50504(P2016-50504)
(22)【出願日】2016年3月15日
(71)【出願人】
【識別番号】591097780
【氏名又は名称】電子精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】奥村 廣光
【テーマコード(参考)】
2G021
【Fターム(参考)】
2G021AC03
2G021AC11
2G021AD09
(57)【要約】
【課題】モータやファンなどの回転体のバランス測定などを行う装置に用いられる軸受け装置において、不均一な摩耗を抑えるとともに、不必要な振動の発生を防止する。
【解決手段】回転軸をV溝6523で受けるV受け65において、軸受け面を形成する一対の片(6521,6522)の端面(65211,65221)に、円筒状の部材655,656を嵌め込み、円弧状に形成する。したがって、軸受け面が平面の場合に生じるような回転軸のせり上がりによる振動を抑えることができるとともに、角が無いので、不均一な摩耗も抑えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転軸を、その延長線が互いに交差する一対の辺によって回転自在に支持する軸受け装置において、
前記一対の辺は、板状の一対の片の端面に形成され、その端面の直交断面が円弧状に形成されていることを特徴とする回転体の軸受け装置。
【請求項2】
前記一対の片は、前記回転軸に直交する同一平面上に配置されるとともに、前記端面となる略V字状に配置される対向面を有し、
前記一対の片には、さらに、前記対向面側に、軸方向の一側面が開放した円筒状の収納空間が形成され、
前記収納空間に収納された前記円筒状の部材において、前記収納空間から露出した軸方向の一側面が、前記一対の辺を形成することを特徴とする請求項1記載の回転体の軸受け装置。
【請求項3】
前記一対の片において、前記収納空間から内方側に延びて、該一対の片を厚み方向に2分するスリットが形成されており、
前記2分された厚み方向の2片は、ビスの締結によって相互に近接方向に付勢されて、前記円筒状の部材を挟圧保持することを特徴とする請求項2記載の回転体の軸受け装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記2分された厚み方向の2片の厚みが不均等となるように、中間位置からずれて形成されており、
前記厚みが、薄い片に前記ビスの頭部が搭載され、厚い片に前記ビスの軸部が螺着されていることを特徴とする請求項3記載の回転体の軸受け装置。
【請求項5】
前記円筒状の収納空間は、前記V字の開放端側の端面が開口しており、前記円筒状の部材は、その開口端から前記収納空間内に挿入され、
前記円筒状の部材における前記開放端側の端面には、マイナスドライバーが嵌り込む切れ込みが形成されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の回転体の軸受け装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5の何れか1項に記載の回転体の軸受け装置を用いることを特徴とする回転体のバランス測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の不釣り合いの修正などのために、バランスを測定する装置(バランサー)に関し、特にそれに用いられる軸受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの電機子やファンなどの回転体の周方向におけるバランス、つまり重心にズレがあると、回転ムラを生じ、振動や故障の原因となる。そのため、前記回転体にパテを付着させたり、回転体を削ったりして、前記バランス、つまり重心が調整されている。そのような調整にあたって、前記ずれを測定する必要がある。そのような測定装置を、本件出願人は、先に特許文献1で提案している。
【0003】
図3図5は、その特許文献1によるバランス測定装置1の図である。図3は中央付近から後方を見た正面図、図4は側面図、図5は背面図である。これらの図を参照して、バランス測定装置1では、床面に設置される矩形の基台3上の四隅に、弾性支柱4が立設され、その弾性支柱4によってダミー基台5が水平面内で揺動自在に支持される。ただし、ブラケット31,51と、それらの間を連結し、弾性体で、伸縮しない材料から成るレバー52とによって、ダミー基台5は回転体2の軸Y方向の揺動が阻止され、軸Yとは垂直な軸X方向のみの変位が許容されている。
【0004】
そして、ダミー基台5の前後には、前記軸X方向のみの変位(振動)を測定する測定器91,92が設けられている。アンバランスの測定時においては、これらの測定器91,92によって検出された振動に起因する信号は、不釣合測定回路に入力されて、前面側と背面側との不釣合成分が分離・演算される。このとき、Y軸方向の振動は、レバー52によって抑制されるので、X軸方向の成分の振動のみが測定器91,92で検出される。そのため、ブラケット51は、以下の軸受け装置61,62の中間付近の位置に設けられることが好ましい。
【0005】
回転体2は、前後の回転軸21,22の部分で、前記軸受け装置61,62によって、回転自在に支持される。軸受け装置61,62は、ダミー基台5上に搭載され、該ダミー基台5に固着される本体611,621と、消耗等によって交換可能な、後に詳述するV受け612,622とを備えて構成される。
【0006】
基台3上には、ダミー基台5と切離されて(別途の支持構造によって)、駆動機構7が搭載されている。この駆動機構7は、駆動ベルト70によって、回転体2の側面23を回転駆動する。駆動機構7は、モータ71と、このモータ71の出力軸に取付けられた駆動プーリ72と、この駆動プーリ72およびフリーのプーリ73〜77に巻掛けられる前記駆動ベルト70と、2つのフリーのプーリ73,76がそれぞれ設けられた揺動アーム79,80とを備えるとともに、揺動アーム79,80を参照符号xで示すように揺動させるためのカム81と、このカム81を上下動させるための電磁ソレノイド82とを備えて構成される。
【0007】
以上の構成において、回転体2を測定のための高い回転数まで加速するときには、電磁ソレノイド82のスピンドルを吸引してカム81を引下げ、それによって2つの揺動アーム79,80の下部を押広げ、揺動アーム79,80の上部を互いに近接させる。これによって、揺動アーム79,80の先端に設けられた2つのフリープーリ73,76は互いに近接し、巻掛けられた駆動ベルト70が回転体2の側面に強く押付けられ、スリップ無く回転体2を駆動して、該回転体2を急激に目標の回転数で高速回転させることができる。
【0008】
こうして、回転体2が目標の高速回転数に到達した後は、電磁ソレノイド82のスピンドルが開放され、図示しないスプリングによってカム81が初期位置に上がる。そうすると、2つの揺動アーム79,80の下部は図示しないバネの作用によって互いに近接し、揺動アーム79,80の上部、したがって2つのフリープーリ73,76は互いに離間し、巻掛けられた駆動ベルト70は回転体2の側面23に軽く接触した状態で駆動される。これによって、駆動ベルト70は回転体2の振動に影響を与えにくくなり、精度の高い振動、すなわちアンバランスの測定が可能となっている。
【0009】
測定の終了後は、電磁ソレノイド82のスピンドルを吸引してカム81を引下げ、駆動ベルト70を回転体2の側面23に強く押付けることで、短時間で減速させて、不釣合点を所定の位置に位置決めして停止させる。その後、電磁ソレノイド82のスピンドルを更に上げてカム81を更に上げると、2つの揺動アーム79,80の上部は更に離間し、駆動ベルト70が回転体2の側面23から離れ、回転体2のセットもしくは取外しが行えるようになる。
【0010】
上述のように構成されるバランス測定装置1において、回転軸21,22の滑動によって、軸受け装置61,62のV受け612,622は摩耗する。そのため、V受け612,622は、前述のように、本体611,621から脱着して交換可能になっている。図6は、前記V受け612,622として用いられるV受け63の斜視図である。このV受け63は、ジュラコン(登録商標)やテフロン(登録商標)などで一体成型されて成る。そして、V受け63は、前記本体611,621に嵌り込んでねじ止めなどで固定される支柱部631の先端に、T字状となるように受け部632が連結されて構成される。
【0011】
受け部632は、所定の摩擦で回転軸21,22に接触するように、上端側の一面に座刳り部6321が形成され、その座刳り部6321によって底になる薄肉部6322に、上端側から、回転軸21,22が嵌り込むV溝6323が形成されている。このV溝6323は、たとえば90°で交差する2つの平面6324,6325から成り、回転軸21,22は、これらの平面6324,6325に、参照符号20で示すように、線接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−134278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように構成されるV受け63は、参照符号20で示す線接触の部分が削れると、全体を交換する必要がある。また、弾性支柱4によってダミー基台5は左右の軸X方向の変位(振動)が可能になっており、回転体2のアンバランスによって、回転軸21,22が捻れると、V溝6323の平面6324,6325に、参照符号201,202で示すように角当りする。この角当りによって、平面6324,6325の摩耗が促進されるとともに、回転軸21,22の幅が見掛け上太くなることになり、回転軸21,22が平面6324,6325をせり上がって、上下の振動が発生する。
【0014】
本発明の目的は、不均一な摩耗を抑えることができるとともに、不必要な振動の発生を防止することができる回転体の軸受け装置およびそれを用いるバランス測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の回転体の軸受け装置は、回転体の回転軸を、その延長線が互いに交差する一対の辺によって回転自在に支持する軸受け装置において、前記一対の辺は、板状の一対の片の端面に形成され、その端面の直交断面が円弧状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、回転体のバランス測定などのために、その回転軸を、略V字状の溝などの延長線が互いに交差する一対の辺によって回転自在に支持する軸受け装置において、前記一対の辺をそれぞれ端面に有する板状で一対の片に対して、その端面の直交断面が円弧状となるように形成する。
【0017】
したがって、V溝における前記一対の辺が平面で面接触の場合に生じるような、回転軸の傾きによる該回転軸の前記平面の角への当りによる軸のせり上がりによる振動を、本発明では、円弧面の点接触によって抑えることができるとともに、角が無いので、不均一な摩耗も抑えることができる。
【0018】
また、本発明の回転体の軸受け装置では、前記一対の片は、前記回転軸に直交する同一平面上に配置されるとともに、前記端面となる略V字状に配置される対向面を有し、前記一対の片には、さらに、前記対向面側に、軸方向の一側面が開放した円筒状の収納空間が形成され、前記収納空間に収納された前記円筒状の部材において、前記収納空間から露出した軸方向の一側面が、前記一対の辺を形成することを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、前記円弧状の一対の端面を構成するにあたって、その円弧状の実際の軸受け面を円筒状の部材の軸方向の一側面で構成し、その円筒状の部材を、一対の片の対向面側に形成した円筒状の収納空間で支持し、その収納空間の対向面側を開放しておく。
【0020】
したがって、前記円筒状の部材の一側面の一点が摩耗しても、該円筒状の部材を軸方向にずらしたり、周方向に回転させたりすることで、再び新しい円弧面が前記開放させた開口から突出することになり、軸受けの寿命を延ばすことができる。また、摩耗しても、前記一対の片はそのままで、円筒状の部材だけを交換することができ、軸受け装置の部品およびランニングコストを大幅に削減することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の回転体の軸受け装置では、前記一対の片において、前記収納空間から内方側に延びて、該一対の片を厚み方向に2分するスリットが形成されており、前記2分された厚み方向の2片は、ビスの締結によって相互に近接方向に付勢されて、前記円筒状の部材を挟圧保持することを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、前記収納空間を拡げることができるスリットの形成ならびにビスの緩解および締結によって、前記円筒状の部材の交換や位置の変更を、容易に行うことができる。
【0023】
また、本発明の回転体の軸受け装置では、前記スリットは、前記2分された厚み方向の2片の厚みが不均等となるように、中間位置からずれて形成されており、前記厚みが、薄い片に前記ビスの頭部が搭載され、厚い片に前記ビスの軸部が螺着されていることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、前記スリットで2分された2片をビスで締結するにあたって、その2片の厚みに差を持たせておくことで、相対的に、厚い側の片の撓みを小さく、薄い側の片に撓みを負担させることができる。そして、薄い側の片にビスの頭部を搭載し、軸部を、その薄い側の片に形成した孔を遊通させて厚い片のネジ孔に螺着することで、該軸部を、厚い側の片に比較的垂直に螺着することができる。
【0025】
さらにまた、本発明の回転体の軸受け装置では、前記円筒状の収納空間は、前記V字の開放端側の端面が開口しており、前記円筒状の部材は、その開口端から前記収納空間内に挿入され、前記円筒状の部材における前記開放端側の端面には、マイナスドライバーが嵌り込む切れ込みが形成されていることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、前記円筒状の部材は、前記円筒状の収納空間の端面から差込み/取出すことができる。そして、その端面の切れ込みにマイナスドライバーを差込むことで、周方向に容易に回転させることができる。
【0027】
また、本発明の回転体のバランス測定装置は、前記の回転体の軸受け装置を用いることを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、回転体の回転軸にバランスウエイトを固定してバランス修正を行うなどの作業にあたって該回転体のバランスを測定する装置において、前記の軸受け装置を用いる。
【0029】
したがって、回転軸のせり上がりが少なく、軸受けの摩耗を抑えることができるバランス測定装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の回転体の軸受け装置およびそれを用いるバランス測定装置は、以上のように、回転体のバランス測定などのために、その回転軸を、略V字状の溝などの延長線が互いに交差する一対の辺によって回転自在に支持するにあたって、軸受け面を形成する一対の片の端面を、直交断面が円弧状となるように形成する。
【0031】
それゆえ、円弧面の点接触によって、面当りの場合に生じるような回転軸のせり上がりによる振動を抑えることができるとともに、角が無いので、不均一な摩耗も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の一形態に係るV受けの斜視図である。
図2】前記V受けの主要部の分解斜視図である。
図3】回転体のバランス測定装置の中央部付近の正面図である。
図4】前記バランス測定装置の側面図である。
図5】前記バランス測定装置の背面図である。
図6】従来技術のV受けの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は本発明の実施の一形態に係る回転体の軸受け装置を実現するV受け65の斜視図であり、図2はそのV受け65の主要部の分解斜視図である。このV受け65は、前述の図3図5で示すバランス測定装置1におけるV受け612,622として使用可能であり、本体611,621から脱着して交換可能になっている。このV受け65と本体611,621とによって、回転体の軸受け装置が構成される。このV受け65は、前記本体611,621に嵌り込んでねじ止めなどで固定される支柱部651の先端に、拡幅された受け部652が連結されて構成される。
【0034】
大略的に、受け部652は、その先端が2山の凸部6521,6522に分割され、それらの凸部6521,6522の間が、回転軸21,22が嵌り込むV溝6523となっている。図1および図2の例では、V溝6523を形成する斜面65211,65221は、90°で交差しているけれども、支持する回転軸21,22の径などに応じて、交差する角度は適宜選択されればよい。受け部652において、凸部6521,6522から基端部6524側にかけて、厚み方向に2分するスリット65212,65222が形成されるとともに、そのスリット65212,65222におけるV溝6523に臨む出口側には、円筒状の収納空間65213,65223が、前記2山の外側からV溝6523の内側にかけて、穿設されている。その収納空間65213,65223内に、円筒状の部材655,656が嵌め込まれ、ビス657で固定される。ビス657の頭部6571には、孔6574が形成されており、この孔6574に六角レンチ67が嵌め込まれて回転される。円筒状の部材655,656は、たとえばNCナイロンから成る。
【0035】
加工順としては、先ず、板状体から、支柱部651および受け部652の外形が、打抜きや切出しによって形成される。ただし、受け部652は、図2において仮想線で示すように、2山の凸部6521,6522が連なり、V溝6523が形成されていない状態である。次に、凸部6521,6522の外側から、収納空間65213,65223が穿設される。続いて、V溝6523およびスリット65212,65222が形成されるとともに、ビス657,658のための皿孔6591およびタップ孔6592が形成される。スリット65212,65222、V溝6523ならびに皿孔6591およびタップ孔6592の形成順は、任意である。
【0036】
このように構成される本実施形態の軸受け装置は、回転体2の回転軸21,22を、V溝6523、つまり延長線が互いに交差する一対の辺(斜面65211,65221)によって回転自在に支持する軸受け装置において、前記一対の辺(斜面65211,65221)を端面に有する板状で一対の片(凸部6521,6522)に対して、その端面の直交断面が、円筒状の部材655,656の一側面による円弧状に形成している。したがって、図6で説明したような、回転軸21,22の傾きによる該回転軸21,22の平面6324,6325の角(201,202)への当りによるせり上がりは、本実施形態の軸受け装置では、円弧面の点接触によって抑えられ、それによる振動も抑えることができるとともに、角が無いので、不均一な摩耗も抑えることができる。
【0037】
また、本実施形態の軸受け装置では、一対の辺(斜面65211,65221)は、V字状に配置されて回転軸21,22に直交する同一平面を有する一対の片(凸部6521,6522)の対向面に形成され、その一対の片(凸部6521,6522)には、対向面側に、軸方向の一側面が開放した円筒状の収納空間65213,65223を形成しておき、その収納空間65213,65223に収納した円筒状の部材655,656の軸方向の一側面を露出させて、円弧状の端面を形成している。したがって、円筒状の部材655,656の一側面の一点が摩耗しても、該円筒状の部材655,656を軸方向にずらしたり、周方向に回転させたりすることで、再び新しい円弧面が前記収納空間65213,65223の開口から突出することになり、軸受けの寿命を飛躍的に延ばすことができる。また、摩耗しても、一対の片(凸部6521,6522)はそのままで、円筒状の部材655,656だけを交換することができ、軸受け装置の部品およびランニングコストを大幅に削減することができる。
【0038】
その円筒状の部材655,656の差込み/取出しのために、収納空間65213,65223はV字の開放端側の端面が開口しており、その開口から該円筒状の部材655,656が差込み/取出可能である。そして、該円筒状の部材655,656における前記開放端側の端面には、マイナスドライバー66が嵌り込む切れ込み6550が形成されている。したがって、その切れ込み6550にマイナスドライバー66を差込むことで、該円筒状の部材655,656を周方向に容易に回転させ、新しい円弧面を露出させることができる。
【0039】
さらにまた、本実施形態の軸受け装置では、一対の片(凸部6521,6522)には、収納空間65213,65223から内方側に延びて、該一対の片(凸部6521,6522)を厚み方向に2分するスリット65212,65222が形成されており、2分された厚み方向の2片65214,65224;65215,65225は、ビス657の締結によって相互に近接方向に付勢されて、円筒状の部材655,656を挟圧保持するので、ビス657の緩解および締結によって、円筒状の部材655,656の交換や位置の変更を、容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態の軸受け装置では、スリット65212,65222は、2分された厚み方向の2片65214,65224;65215,65225の厚みが不均等となるように、中間位置からずれて形成されている。したがって、スリット65212,65222で2分された2片65214,65224;65215,65225をビス657で締結するにあたって、その2片65214,65224;65215,65225の厚みに差を持たせておくことで、相対的に、厚い側の片65214,65224の撓みを小さく、薄い側の片65215,65225に撓みを負担させることができる。そして、厚みが、薄い片65215,65225にビス657の頭部6571が搭載され、つまり皿孔6591が形成され、厚い片65214,65224にビス657の軸部6572が螺着され、つまりタップ孔6592が形成されるので、軸部6572を、薄い側の片65215,65225に形成した孔6593を遊通させて厚い片65214,65224のタップ孔6592に螺着でき、厚い側の片65214,65224に比較的垂直に螺着することができる。
【0041】
図3図5で示すようなバランス測定装置1において、本実施形態のV受け65を使用する軸受け装置を用いることで、回転体の回転軸21,22のせり上がりが少なく、軸受けの摩耗を抑えることができるバランス測定装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 バランス測定装置
2 回転体
21,22 回転軸
3 基台
4 弾性支柱
5 ダミー基台
61,62 軸受け装置
611,621 本体
612,622 V受け
7 駆動機構
70 駆動ベルト
71 モータ
73〜77 プーリ
79,80 揺動アーム
81 カム
82 電磁ソレノイド
91,92 測定器
65 V受け
651 支柱部
652 受け部
6521,6522 凸部
65211,65221 斜面
65212,65222 スリット
65213,65223 収納空間
6523 V溝
655,656 円筒状の部材
6550 切れ込み
657 ビス
66 マイナスドライバー
67 六角レンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6