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特開2017-167589情報管理装置、情報管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-167589(P2017-167589A)
(43)【公開日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20170825BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-49248(P2016-49248)
(22)【出願日】2016年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】507417422
【氏名又は名称】株式会社 ゆうちょ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】北島 有紗
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB04
(57)【要約】
【課題】金融取引をする顧客の中から抽出した連絡を取るべき顧客への連絡を補助する技術を提供する。
【解決手段】複数の顧客の情報を管理する情報管理装置100において、記憶部160は、複数の顧客の情報と、当該複数の顧客それぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶する。顧客抽出部170は、金融取引の履歴の変化に基づいて、連絡の対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出する。情報出力部155は、連絡対象顧客群に含まれる顧客の連絡先情報を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客の情報を管理する情報管理装置であって、
前記複数の顧客の情報と、当該複数の顧客それぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記金融取引の履歴の変化に基づいて、連絡の対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出する顧客抽出部と、
前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の前記連絡先情報を出力する情報出力部と、
を備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項2】
前記顧客抽出部が抽出した連絡対象顧客群に含まれるそれぞれの顧客に関する前記金融取引の履歴の変化に基づいて、各顧客に推奨する商品を選択する商品選択部をさらに備え、
前記情報出力部は、前記商品選択部が選択した商品を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客のそれぞれについて最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報をさらに記憶し、
前記情報出力部は、最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報は、それ以外の連絡先情報とは異なる態様で出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客のうち窓口における金融取引の頻度がそれ以外の金融取引の頻度よりも高い顧客の連絡先情報を、他の顧客とは異なる態様で出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数の顧客それぞれの個人情報と、前記複数の顧客それぞれについて複数の連絡先情報とを記憶しており、
前記情報管理装置はさらに、前記連絡先情報を、当該連絡先情報の種類毎に整列させる情報整列部を備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記情報整列部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の取引履歴の変化に基づいて、出力する顧客の順序を変更することを特徴とする請求項5に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記情報整列部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客それぞれについて当該顧客の個人情報に基づいて、出力する連絡先情報の順序を変更することを特徴とする請求項5又は6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
複数の顧客の情報を管理する情報管理装置のプロセッサが、
前記複数の顧客の情報と、当該複数の顧客それぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
前記金融取引の履歴の変化に基づいて、連絡の対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出するステップと、
前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の前記連絡先情報を出力するステップと、
を実行することを特徴とする情報管理方法。
【請求項9】
複数の顧客の情報を管理するコンピュータに、
前記複数の顧客の情報と、当該複数の顧客それぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶部に記憶させる機能と、
前記金融取引の履歴の変化に基づいて、連絡の対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出する機能と、
前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の前記連絡先情報を出力する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、情報管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の顧客が行った金融取引の履歴情報、例えば顧客が使用した自動取引装置の設置場所や顧客が実施した取引の情報、顧客が計算機等を用いて金融機関が管理するサーバに接続するために用いた接続情報、行員あるいはオペレータによる対応結果等の情報を収集する技術や、顧客取引位置にもとづいて、顧客のライフイベントの発生を推定し、顧客のライフイベントやライフスタイルに適合する商品やサービスを特定する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−209422号公報
【特許文献2】特開2014−149780号公報
【特許文献3】特開2009−282646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に金融機関の顧客数は膨大であり、上記のような方法で商品やサービスを特定できたとしても、それを顧客に伝えることは大変手間がかかる。仮に行員やオペレータが顧客に連絡しようとしても、膨大な顧客情報の中から適切な連絡手段を選び出すだけでも時間がかかる作業となりかねない。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、連絡を取るべき顧客の抽出及び連絡を補助する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報管理装置は、複数の顧客の情報を管理する情報管理装置である。この装置は、前記複数の顧客の情報と、当該複数の顧客それぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶する記憶部と、前記金融取引の履歴の変化に基づいて、連絡の対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出する顧客抽出部と、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の前記連絡先情報を出力する情報出力部と、を備える。
【0007】
前記顧客抽出部が抽出した連絡対象顧客群に含まれるそれぞれの顧客に関する前記金融取引の履歴の変化に基づいて、各顧客に推奨する商品を選択する商品選択部をさらに備えてもよく、前記情報出力部は、前記商品選択部が選択した商品を出力してもよい。
【0008】
前記記憶部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客のそれぞれについて最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報をさらに記憶してもよく、前記情報出力部は、最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報は、それ以外の連絡先情報とは異なる態様で出力してもよい。
【0009】
前記情報出力部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客のうち窓口における金融取引の頻度がそれ以外の金融取引の頻度よりも高い顧客の連絡先情報を他の顧客とは異なる態様で出力してもよい。
【0010】
前記記憶部は、前記複数の顧客それぞれの個人情報と、前記複数の顧客それぞれについて複数の連絡先情報とを記憶してもよく、前記情報管理装置はさらに、前記連絡先情報を、当該連絡先情報の種類毎に整列させる情報整列部を備えてもよい。
【0011】
前記情報整列部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客の取引履歴の変化に基づいて、出力する顧客の順序を変更してもよい。
【0012】
前記情報整列部は、前記連絡対象顧客群に含まれる顧客それぞれについて当該顧客の個人情報に基づいて、出力する連絡先情報の順序を変更してもよい。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連絡を取るべき顧客の抽出及び連絡を補助する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形の態に係る情報管理システムの概略構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る情報管理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図3】実施の形態に係る記憶部が記憶するデータのデータ構造を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係る顧客抽出部と商品選択部とが参照する取引履歴の変化パターンの一例を表形式で示す図である。
図5】実施の形態に係る一覧作成部が作成するリストの一例を示す図である。
図6】実施の形態に係る一覧作成部が作成するリストの別の例を示す図である。
図7】実施の形態に係る情報整列部が整列したリストの一例を示す図である。
図8】実施の形態に係る情報管理装置が実行する情報管理処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態の概要>
図1を参照して、本発明の実施の形態に概要を述べる。
図1は、実施の形態に係る情報管理システム1の概略構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る情報管理システム1は、顧客Cによるインターネット、ATM(Automated Teller Machine)、又は金融機関の窓口での取引における取引履歴を解析し、取引履歴に変化があった顧客を抽出することを主な目的とするシステムである。このため情報管理システム1は、例えば取引頻度の変化等をはじめとする金融取引の履歴の変化に基づいて、オペレータOが連絡を取る対象とする顧客を含む連絡対象顧客群を抽出する情報管理装置100を備える。
【0017】
図1に示すように、情報管理装置100は、インターネット又は専用回線等で実現されるネットワークNを介して、顧客Cによるインターネット取引、ATM、又は金融機関の窓口での取引を収集する。なお、情報管理装置100は、金融機関が提供するサービスを利用する複数の顧客の情報を管理する。図1では、第1顧客C1、第2顧客C2、及び第3顧客C3の3人の顧客Cが図示されているが、以下本明細書において、個々の顧客Cを区別する場合を除いて単に「顧客C」と記載する。
【0018】
情報管理装置100は、専用回線を介してオペレータOが使用するオペレータ端末10と通信可能に接続されている。オペレータOは、オペレータ端末10を使用することで情報管理装置100から送信された連絡の対象とする顧客Cの連絡先を閲覧することができる。またオペレータOは、オペレータ端末10から連絡の対象とする顧客Cに電子メールを送信したり、電話12を用いて連絡の対象とする顧客Cに架電したりすることができる。
【0019】
情報管理装置100は、あらかじめ定められた取引履歴の変化のパターンに応じて、連絡の対象とする顧客Cを抽出する。情報管理装置100が参照するパターンは、顧客Cの置かれた状況を想定してあらかじめ定められている。詳細は後述するが、顧客Cの置かれた状況とは、例えば顧客Cの生活の変化、情報管理装置100が解析の対象とする取引が行われる金融機関が顧客Cの主要金融機関(いわゆる「メインバンク」)となったか否か、不正取引の被害に遭っている虞があるか否か等に基づいて定められている。このため、オペレータOは、顧客Cに合った金融商品を顧客Cに知らせたり、引っ越し等に伴う住所変更の手続等を知らせしたり、あるいは不正な取引である可能性があることを注意喚起したりすることができる。
【0020】
情報管理装置100は、連絡の対象とする顧客Cの抽出を定期的に実行する。これにより、オペレータOは適切なタイミングで顧客Cに連絡をすることができ、顧客Cの利便性を向上することができる。
以下、実施の形態に係る情報管理装置100についてより詳細に説明する。
【0021】
<情報管理装置の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報管理装置100の機能構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る情報管理装置100は、通信部110、情報管理部120、情報整列部130、一覧作成部140、商品選択部150、情報出力部155、記憶部160、及び顧客抽出部170を備える。
【0022】
図2は、実施の形態に係る情報管理装置100を実現するための機能構成を示しており、その他の構成は省略している。図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、情報管理装置100のCPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で構成することができる。またソフトウェア的には、メインメモリにロードされたプログラム等によって実現される。したがってこれらの機能ブロックが、情報管理装置100の計算リソースによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。一例として、情報管理装置100は既知のメインフレームやクラウドサーバを用いて実現できる。
【0023】
通信部110は、ネットワークNを介した取引を実行するサーバ(不図示)、ATM、及び窓口に設置され行員によって操作された端末と通信する通信インタフェースである。情報管理部120は、複数の顧客Cをそれぞれ一意に特定するための顧客IDを、全ての顧客Cに割り当てて顧客情報を管理する。情報管理部120が管理する情報は、複数の顧客Cそれぞれの連絡先情報と、複数の顧客Cそれぞれの金融取引の履歴である。情報管理部120は、複数の顧客の情報と、複数の顧客Cそれぞれの連絡先情報及び金融取引の履歴とを関連付けて記憶部160に記憶させて管理する。
【0024】
記憶部160は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の既知の大容量記憶装置である。
図3は、実施の形態に係る記憶部160が記憶するデータのデータ構造を模式的に示す図である。記憶部160が記憶するデータは、複数の顧客Cそれぞれに割り当てられた顧客ID毎に情報を格納して管理する。図3は、顧客IDがUID00001であるユーザについて、個人情報、ATMの利用の履歴、インターネット取引の履歴、及び窓口利用の履歴が関連付けられている例を示している。図3はさらに、顧客IDがUID00001であるユーザの個人情報の一部が例示されている。図3に示す個人情報の例は、顧客Cの氏名、年齢、性別、職業、住所、固定電話の電話番号、携帯電話の電話番号、勤務先の電話番号、ファクシミリの番号、及びメールアドレスである。
【0025】
なお顧客Cの個人情報の種類はこれらに限られず、顧客Cに関連する情報であればどのような情報であってもよい。情報管理部120はこの他にも、顧客Cの家族構成、クレジットカードの番号、各種SNS(Social Networking Service)における連絡先情報、自家用車所有の有無、趣味、学歴や職歴等を顧客IDに紐付けて記憶部160に記憶させてもよい。
【0026】
図3において、顧客IDがUID00001であるユーザの個人情報のうち、第2メールアドレスとして登録されているメールアドレスには「*」が付されている。これは、第2メールアドレスが、オペレータOが最後に顧客Cと連絡を取ったときに用いられた連絡手段であることを示している。このように、記憶部160は、各顧客CのそれぞれについてオペレータOが最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報も記憶している。
【0027】
顧客抽出部170は、複数の顧客Cそれぞれの金融取引の履歴の変化に基づいて、複数の顧客Cの中から連絡の対象とする顧客Cを含む連絡対象顧客群を抽出する。一覧作成部140は、顧客抽出部170が抽出した連絡対象顧客群に含まれる少なくとも一人の顧客Cの連絡先情報を含むリストを作成して情報管理装置100の外部に出力する。一覧作成部140が作成したリストは、情報出力部155が通信部110を介してオペレータOが利用するオペレータ端末10に送信する。これにより、オペレータOは、オペレータ端末10に表示された連絡先を見ることで、連絡を取るべき顧客Cに対して迅速に連絡を取ることができる。
【0028】
商品選択部150は、顧客抽出部170が抽出した連絡対象顧客群に含まれるそれぞれの顧客Cに関する金融取引の履歴の変化に基づいて、各顧客Cに推奨する商品を選択する。ここで「商品」は、預金、投資信託、株式、社債、公債、保険、住宅ローン等の金融商品の他、それらの活用の相談会やセミナー等の告知や、コンサルティング等のサービス、その他注意喚起のための連絡も含む。また「金融取引の履歴の変化」は、金融取引の取引内容の変化と、金融取引の頻度の変化とを含む。前者は金融取引の質的変化、後者は金融取引の量的変化とも言える。商品選択部150が選択した商品は、情報出力部155が通信部110を介してオペレータOが利用するオペレータ端末10に送信する。
【0029】
図4は、実施の形態に係る顧客抽出部170と商品選択部150とが参照する取引履歴の変化パターンの一例を表形式で示す図である。図4では、顧客Cが実行する取引内容として、「残高照会」、「入金」、「出金」、及び「送金」の4種類の取引についてのパターンが示されている。顧客抽出部170は、各顧客Cの過去の取引の頻度が、各パターンについて定められた判定期間において有意に増減したか否かを解析する。具体例としては、例えばある顧客Cが年金又は給与の振込先として利用している口座について、預金の1ヶ月間における残高照会の回数が、過去の取引履歴から算出された平均回数よりも5回以上増加している場合、顧客抽出部170は連絡対象の顧客Cとしてその顧客Cを抽出する。このパターンは、その口座が顧客Cのメインバンクとなった蓋然性が高いためあらかじめ定められている。
【0030】
なお顧客抽出部170は、預金の1ヶ月間における残高照会の回数と、過去の全期間における取引履歴(すなわち、口座開設から現在に至るまでの全ての期間における取引履歴)から算出された平均回数との比較以外の方法で、連絡対象の顧客Cを抽出してもよい。例えば顧客抽出部170は、預金の1ヶ月間における残高照会の回数と、過去の所定の期間(例えば12ヶ月前から1ヶ月前までの期間)における残高照会の回数を比較してもよい。
あるいは顧客抽出部170は、預金の1ヶ月間における残高照会の回数と、前年同月における残高照会の回数とを比較してもよいし、前月の残高照会の回数とを比較してもよい。
【0031】
例えば顧客抽出部170が残高照会の増加を理由に抽出した顧客Cについては、商品選択部150は、その顧客Cがまだインターネットバンキングを利用していないことを条件として、インターネットバンキングを推奨する商品として選択する。商品選択部150は、選択した商品を顧客Cに勧めるための連絡手段としてATMにおける表示を選択する。
【0032】
顧客抽出部170と商品選択部150とが参照する取引履歴の変化パターンの別の例としては、不正送金の検出が挙げられる。例えばある顧客Cの直近1ヶ月の送金回数が、その顧客Cの過去の履歴の平均回数より10回以上多くなった場合、顧客抽出部170はその顧客Cを連絡対象の顧客Cとして抽出する。過去の履歴と比較して送金回数が不自然に多くなった場合は、その取引が不正送金の可能性が否定できないからである。この様な場合、商品選択部150は、顧客に連絡する内容として不正取引の注意を促すメッセージを選択する。商品選択部150は、そのメッセージを顧客Cに伝達するために、ATMにおける表示と電子メールの送信との2つ連絡手段を選択する。
【0033】
この他にも図4に示すように、顧客Cの出費が増えていること、メインバンクでなくなったこと、預金用の口座として利用を始めたこと、不正送金の可能性があること等の可能性を示唆する取引パターンの変化があらかじめ定められている。顧客抽出部170は各顧客Cの取引履歴を解析していずれかのパターンに当てはまるか否かを確認し、当てはまる場合はそのパターンの種類とともに顧客Cを抽出する。これにより、商品選択部150は顧客Cに勧めるべき商品や連絡すべき情報を選択することができる。
【0034】
図5は、実施の形態に係る一覧作成部140が作成するリストの一例を示す図である。図5に示すように、一覧作成部140が作成するリストには、顧客抽出部170が抽出した顧客Cの顧客IDがリスト化されている。また、リストには、リスト化された顧客ID毎に、その顧客Cの氏名、年齢、連絡内容、各種連絡方法が紐付けられている。なお、一覧作成部140が作成するリストにおける「連絡内容」のデータフィールドには、商品選択部150が選択した商品や情報が格納されている。
【0035】
図5において、例えば顧客IDがUID0AAAAである顧客Cの連絡方法のうち、電話番号を格納するデータフィールドは、文字色及び背景色が他のデータフィールドと異なっている。これは、オペレータOがUID0AAAAで特定される顧客Cと最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報がこのデータフィールドに格納されている電話番号であることを示している。このように、一覧作成部140は、最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報を、それ以外の連絡先情報とは異なる態様としてリストを作成する。
【0036】
一般に、オペレータOが過去に顧客Cと連絡を取ることができた連絡先は、そうでない連絡先よりも、再び連絡を取ることができる確率が高いと考えられる。特に、顧客Cと連絡を取ることができた連絡先の中で最新のものは、その他の連絡先と比較して、連絡手段としての確度が高いといえる。したがって、オペレータOが最後に顧客Cと連絡を取った際に用いた連絡先情報をそれ以外の連絡先情報とは異なる態様となるように、一覧作成部140はリストを作成する。これにより、リストにアクセスしたオペレータOは、顧客Cとの連絡が成功する確率の高い連絡先を一見して把握することができる。
【0037】
ここで一覧作成部140は、連絡対象顧客群に含まれる顧客Cのうち窓口における金融取引の頻度がそれ以外の金融取引の頻度よりも高い顧客Cは、他の顧客Cとは異なる態様にしてリストを作成してもよい。
図6は、実施の形態に係る一覧作成部140が作成するリストの別の例を示す図である。顧客抽出部170は、記憶部160に記憶された取引履歴を解析することにより、連絡を取るべき顧客Cとして抽出した連絡対象顧客群のうち、窓口における金融取引の頻度がATMの利用やインターネット取引の利用の頻度よりも高い顧客Cをさらに抽出する。図6に示すリストの例は、一覧作成部140が、窓口における金融取引の頻度の高い顧客Cの情報を格納するデータフィールドの文字色及び背景色を、それ以外のデータフィールドと反転して作成したリストを示している。
【0038】
窓口における金融取引の頻度の高い顧客Cに対しては、オペレータOが電話やメールで連絡を試みるよりも、窓口において連絡内容を伝えた方が伝達の確実性が高い。そこでオペレータOは、リスト中における窓口での取引頻度の高い顧客Cについては、その店舗の担当者に顧客情報及び連絡内容を伝えることにより、連絡を依頼する。これにより、顧客Cとコンタクトを取る業務の効率を向上することができる。
【0039】
以上のように、オペレータOは一覧作成部140が作成したリストをオペレータ端末10を用いて閲覧することができるので、連絡すべき顧客C及びその顧客Cの連絡先を抽出する作業を省くことができ、コンタクトを取る作業に集中することができる。
【0040】
ここで、オペレータOが連絡すべき顧客Cとコンタクトを取る際に、一覧作成部140が作成したリストを種々の条件でソートできると便利である。これを実現するために、実施の形態に係る情報管理装置100は、一覧作成部140が作成したリストを整列させる情報整列部130を備える。情報整列部130が整列したリストは、情報出力部155が通信部110を介してオペレータOが利用するオペレータ端末10に送信する。
【0041】
図7は、実施の形態に係る情報整列部130が整列したリストの一例を示す図である。図7は、情報整列部130が、一覧作成部140が作成したリストに含まれる連絡方法を格納する連絡先情報のデータフィールドを、その種類毎に整列させた場合の例を示している。図7に示すように、まず連絡方法が電話である顧客Cの情報が配置され、次に連絡方法がメールである顧客Cの情報が配置される。整列後のリストには、続いて連絡方法が窓口である顧客Cの情報が配置され、最後に連絡方法がATMである顧客Cの情報が配置される。顧客Cの情報が連絡法方毎に配置されるため、オペレータOが例えば架電する、メールを送信する、各店舗に連絡するといった同一の作業を順番に実行する際の利便性が向上する。
【0042】
情報整列部130はさらに、一覧作成部140が作成したリストを整列する際に使用した項目を、他の項目とは異なる態様としてリストを整列する。具体的には、図7に示すように、情報整列部130は整列の鍵とした連絡方法を格納するデータフィールドの文字色及び背景色を、他のデータフィールドと反転して表示する。これにより、オペレータOはリストの整列条件を一見して把握することができる。
【0043】
情報整列部130は、一覧作成部140が作成したリストの連絡対象顧客群に含まれる利用顧客の取引履歴の変化パターンに基づいて、リストに掲載する利用顧客の順序を変更してもよい。
金融取引の履歴の変化パターンに応じてリストを並べ替えることにより、オペレータOは、例えば連絡を取ることの緊急性が高い顧客Cから連絡を取ることを望む場合等の作業効率が向上する。
【0044】
情報整列部130は、一覧作成部140が作成した連絡対象顧客群に含まれる顧客それぞれについて、その顧客の個人情報に基づいてリストに掲載する連絡先情報の順序を変更してもよい。上述したように、記憶部160は、複数の顧客それぞれの個人情報と、複数の顧客それぞれについて複数の連絡先情報とを記憶している。オペレータOが顧客Cと連絡を取るための連絡先は、顧客Cのライフスタイルによって異なると考えられる。
【0045】
例えば年齢が高く年金で生活をしている顧客Cは、電子メールや窓口での案内よりも、固定電話に架電したり商品案内を郵送したりする方が、連絡手段として有効である場合があると考えられる。一方、一般に働き盛りと呼ばれる年代で仕事を持っている顧客は、固定電話に架電をするよりも、電子メールや携帯電話への架電の方が、連絡手段としてより効果があると考えられる。
【0046】
そこで情報整列部130が顧客Cの個人情報をもとに複数の連絡手段に優先順位を付けて並び替えることにより、オペレータOが顧客Cとの連絡方法の優先順序を容易に把握できるようになる。
【0047】
<処理フロー>
図8は、実施の形態に係る情報管理装置100が実行する情報管理処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、情報管理装置100が起動した時に開始する。
【0048】
情報管理部120は、ネットワークNを介して顧客Cによる金融機関における取引データを収集し、収集した取引データを顧客Cと関連付けて記憶部160に記憶させる(S2)。顧客抽出部170は、記憶部160から読み出した取引データを解析する(S4)。より具体的には、顧客抽出部170は、読み出した取引データの変化のパターンがあらかじめ定められたパターンと合致するか否かを解析する。
【0049】
顧客抽出部170は、取引データの解析結果に基づいて、連絡を取るべき顧客Cである連絡対象顧客を抽出する(S6)。商品選択部150は、顧客抽出部170が抽出した連絡対象顧客群に含まれるそれぞれの顧客Cに関する金融取引の履歴の変化に基づいて、各顧客Cに推奨する商品を選択する(S8)。一覧作成部140は、顧客抽出部170が抽出した連絡対象顧客群に含まれる顧客Cの連絡先情報のリストを作成する(S10)。
【0050】
情報整列部130は、一覧作成部140が作成したリストを所定の条件にしたがって整列させる(S12)。情報整列部130がリストを整列させると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る情報管理システム1によれば、金融取引をする顧客Cの中から抽出した連絡を取るべき顧客Cへの連絡を補助する技術を提供できる。
特にオペレータOは連絡を取るべき顧客Cの連絡情報が記載されたリストを閲覧できるため、すぐに実際に連絡を取る作業を実行することができる。
【0052】
また、顧客Cと連絡を取ることができた実績のある連絡先情報が一見して分かるため、オペレータOは連絡情報として確度の高い情報をすぐに得ることができる。また、窓口において窓口を利用する頻度の高い顧客Cも一見して分かるため、そのような顧客Cに対しては行員が直接連絡するという選択をすることができる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0054】
上記では図5及び図6を参照して、一覧作成部140が、データフィールドの文字色及び背景色を変えることによって、最後に連絡を取った際に用いた連絡先情報や窓口における金融取引の頻度が高い顧客Cの連絡先情報(以下、「第1連絡先情報」と記載する。)を他の連絡先情報(以下、「第2連絡先情報」と記載する。)とは異なる態様にしてリストを作成する場合について説明した。ここで、一覧作成部140は、データフィールドの文字色及び背景色を変える以外の方法を用いて、連絡先情報を他とは異なる態様としてもよい。例えば一覧作成部140は、第1連絡先情報を第2連絡先情報とは別にオペレータ端末10の表示画面に表示させてもよい。あるいは一覧作成部140は、第1連絡先情報を第2連絡先情報とは異なるファイルとなるように情報出力部155に出力するようにしてもよい。さらには、一覧作成部140は、第1連絡先情報のみをまとめて一つのファイルとして情報出力部155に出力させたり、オペレータ端末10の表示画面に表示させたりしてもよい。
【0055】
また情報出力部155は、一覧作成部140が作成したリスト中の第1連絡先情報を、オペレータ端末10に1件ずつ送信してもよい。この結果、オペレータ端末10の表示画面には、顧客抽出部170が抽出した顧客情報に含まれる連絡先情報が1件ずつ表示されることになる。あるいは、情報出力部155は、顧客抽出部170が抽出した顧客情報に含まれる第1連絡先情報を、一覧作成部140を介さずに直接取得して1件ずつオペレータ端末10に送信してもよいし、一覧作成部140を介したとしても一覧作成部140にリスト化させることなく1件ずつオペレータ端末10に送信してもよい。この場合も、オペレータ端末10の表示画面には、顧客抽出部170が抽出した顧客情報が1件ずつ表示されることになる。
【0056】
さらに、オペレータ端末10は、情報出力部155から連絡先情報のリストを受信した場合、表示画面に連絡先情報の一覧を表示することに代えて、連絡先情報を1件ずつ表示してもよい。この場合も、オペレータ端末10の表示画面には、顧客抽出部170が抽出した顧客情報が1件ずつ表示されることになる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・情報管理システム
10・・・オペレータ端末
12・・・電話
100・・・情報管理装置
110・・・通信部
120・・・情報管理部
130・・・情報整列部
140・・・一覧作成部
150・・・商品選択部
155・・・情報出力部
160・・・記憶部
170・・・顧客抽出部
N・・・ネットワーク
図1
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図8