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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-170608(P2017-170608A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】容器取扱用アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20170901BHJP
   B01L 9/00 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   B25J15/06 G
   B01L9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-36550(P2017-36550)
(22)【出願日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】2016/5197
(32)【優先日】2016年3月18日
(33)【優先権主張国】BE
(71)【出願人】
【識別番号】517071173
【氏名又は名称】ヌジンモ エスピーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ マンシオーネ
【テーマコード(参考)】
3C707
4G057
【Fターム(参考)】
3C707DS07
3C707FS01
3C707FT07
3C707FT08
4G057AE12
(57)【要約】
【課題】容器が互いにぶつかり合うのを防止し、容器の穴を閉鎖することを可能にし、且つ容器の傾きをある程度許容する容器取扱用アセンブリを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、吸引カップ2、負圧伝達手段3、吸引カップ2と負圧伝達手段3とを有する取扱用アセンブリ1、取扱用アセンブリ1を固定するためのトレイ、及びトレイと取扱用アセンブリ1とを有する容器把持システム10が提供される。吸引カップ2は、容器10の穴11の開口部の外周部12上への吸引によって固定される流路と、流路に対して内方に位置付けられた、容器10の穴11を閉鎖する突出部28とを有する。吸引カップ2は、容器10を、その穴11が閉鎖されたまま把持して取り扱うことを可能にする。多数の吸引カップ2を平行に使用することで、多数の容器10を平行に取り扱うことが可能になる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部(12)を有する開口部を介して開口する穴(11)を有する容器(10)を取り扱うことが可能な取扱用アセンブリ(1)であって、吸引カップ(2)と負圧伝達手段(3)とを有する取扱用アセンブリ(1)において、
前記吸引カップ(2)が、
− 前記負圧伝達手段(3)と少なくとも部分的に接触するための第1表面部(21)と、
− 前記容器(10)の前記穴(11)の前記開口部の前記外周部(12)と少なくとも部分的に接触するようになっている接触部(29)を有する第2表面部(22)と、
− 前記吸引カップ(2)を前記負圧伝達手段(3)に組み付けるようになっている第1組付手段と、
− 前記吸引カップ(2)の前記第1表面部(21)と前記吸引カップ(2)の前記第2表面部(22)との間の複数の貫通流路(25)であって、それぞれが、
前記吸引カップ(2)の前記第1表面部(21)上に開口し、前記負圧伝達手段(3)のダクト部(33)と流体連通するようになっている第1開口部(26)、及び
前記接触部(29)上に開口する第2開口部(27)
を有する貫通流路(25)と、
− 前記吸引カップ(2)の前記第2表面部(22)上の突出部(28)であって、
前記接触部(29)に対して突出し、
前記接触部(29)によって少なくとも部分的に包囲され、また
前記容器(10)の前記穴(11)を閉鎖するようになっている
突出部(28)と
を有し、
前記負圧伝達手段(3)が、
− 真空調整システムと少なくとも部分的に接触するための第1表面部(31)と、
− 前記吸引カップ(2)と少なくとも部分的に接触するための第2表面部(32)と、
− 前記負圧伝達手段(3)を前記吸引カップ(2)に組み付けるようになっている第2組付手段と、
− ダクト部(33)であって、
前記真空調整システムと流体連通するように前記第1表面部(31)上に開口する第1開口部(36)、及び、
前記吸引カップ(2)の流路(25)と流体連通するように前記第2表面部(32)上に開口する第2開口部(37)
を有するダクト部(33)と
を有し、
前記吸引カップ(2)と前記負圧伝達手段(3)とは、前記吸引カップ(2)の前記第1組付手段と前記負圧伝達手段(3)の前記第2組付手段とによって気密にシールされた態様で組み付けられるように意図されており、それにより、前記吸引カップ(2)の前記流路(25)の前記第1開口部(26)が前記負圧伝達手段(3)の前記ダクト部(33)の前記第2開口部(37)と流体連通可能となる、取扱用アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記吸引カップ(2)が可撓性材料から作られる、請求項1に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記負圧伝達手段(3)が、前記吸引カップ(2)の材料よりも高剛性の材料から作られる、請求項2に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記吸引カップ(2)が、少なくとも部分的にシリコーンを有する材料から作られ、好ましくは全てシリコーンから作られる、請求項2から3までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記吸引カップ(2)が一体に作られる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記負圧伝達手段(3)が一体に作られる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記接触部(29)が凹部(291)内に含まれ、前記凹部(291)が、前記容器(10)の前記穴(11)の前記開口部の前記外周部(12)の少なくとも一部を受容するようになっており、また前記凹部(291)の内部に前記流路(25)の前記第2開口部(27)が開口する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第1組付手段が、前記流路(25)の前記第1開口部(26)を、前記負圧伝達手段(3)の前記ダクト部(33)と流体連通させるようになっている前記吸引カップ(2)の窪み(24)を有し、前記窪み(24)が、
− 前記負圧伝達手段(3)の狭部(381)を受容するようになっている狭部(241)と、
− 広部(242)であって、
前記負圧伝達手段(3)の広部(382)を受容するようになっており、
前記窪み(24)の前記狭部(241)よりも前記流路(25)に近接しており、また
前記負圧伝達手段(3)の前記広部(382)を塞ぐことが可能になるように、前記窪み(24)の前記狭部(241)の断面積よりも大きな断面積を有している
広部(242)と
を有している、請求項1から7までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第2組付手段が、
− 前記吸引カップ(2)の窪み(24)の狭部(241)内に受容されるようになっている狭部(381)と、
− 広部(382)であって、
前記吸引カップ(2)の前記窪み(24)の広部(242)内に受容されるようになっており、
前記負圧伝達手段(3)の前記狭部(381)よりも前記ダクト部(33)の前記第2開口部(37)に近接しており、また
前記負圧伝達手段(3)の前記狭部(381)の断面積よりも大きな断面積を有している
広部(382)と
を有している、請求項1から8までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記負圧伝達手段(3)が、前記突出部(28)を保持するようになっている支持部(39)を更に有し、前記支持部(39)は、前記ダクト部(33)の前記第2開口部(37)を、前記吸引カップ(2)の前記流路(25)と流体連通するようになっている周線(392)と流体連通させる分配線(391)によって分離されている、請求項1から9までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記負圧伝達手段(3)に組み付けられた吸気保護装置(4)を更に有する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)を保持し、圧力を送給するためのトレイ(5)であって、
− 第1表面部(51)と、
− 前記取扱用アセンブリ(1)と少なくとも部分的に接触するための接触部(59)を有する第2表面部(52)と、
− 前記第1表面部(51)と前記第2表面部(52)との間に位置する真空チャンバ(53)と、
− 前記第1表面部(51)上及び前記真空チャンバ(53)内に開口し、前記真空チャンバ(53)を真空ポンプと流体連通させる吸気口(54)と、
− 複数の流路(55)であって、それぞれが、一方で前記真空チャンバ(53)内に開口し、他方で前記接触部(59)上に開口することで、前記取扱用アセンブリ(1)と流体連通する複数の流路(55)と、
− 前記取扱用アセンブリ(1)を前記接触部(59)上に固定するための手段と
を有するトレイ(5)。
【請求項13】
前記吸気口(54)に対向して、前記真空チャンバ(53)内に位置する圧力再分配壁(56)を更に有する、請求項12に記載のトレイ(5)。
【請求項14】
ポリマー樹脂を有する、請求項12から13までのいずれか一項に記載のトレイ(5)。
【請求項15】
前記取扱用アセンブリ(1)を固定するための前記手段が、前記ポリマー樹脂内に組み込まれたインサートを、好ましくは金属製のインサートを有する、請求項14に記載のトレイ(5)。
【請求項16】
シリンジ用のネスト(6)のノッチ(61)内に受容されるようになっている少なくとも1つのフィン(57)を更に有する、請求項12から15までのいずれか一項に記載のトレイ(5)。
【請求項17】
− 請求項12から16までのいずれか一項に記載のプレート(5)と、
− 前記吸引カップ(2)の前記流路(25)の前記第2開口部(27)を、前記吸引カップ(2)の前記流路(25)、前記負圧伝達手段(3)の前記ダクト部(33)、及び前記トレイ(5)を介して真空ポンプと流体連通させることができるように前記トレイ(5)に固定された請求項1から11までのいずれか一項に記載の取扱用アセンブリ(1)と
を有する容器把持システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の観点によれば、本発明は、容器を取り扱うことが可能な取扱アセンブリに関する。第2の観点によれば、本発明は、取扱アセンブリを保持するためのトレイに関する。第3の観点によれば、本発明は、容器把持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製薬業界において、シリンジは、数十のシリンジを備えるネストの形態で到着し、そのネストから取り出す必要がある。
【0003】
シリンジをネストから取り外すための一つの解決策が、特許文献1に開示されている。シリンジは、シリンジ間に櫛歯を摺動させ、シリンジの鍔を櫛歯上に載置させることで箱から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1088566号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この既知の解決策における第1の欠点は、同じ2つの歯によって支持された隣接するシリンジが互いにぶつかり合い、シリンジに極めて小さなひびが形成されてしまうことである。第2の欠点は、シリンジを取り扱っている間、シリンジの穴が開口したままであるため、穴の中に存在する液体が漏れたり蒸発したりする虞が生じてしまうことである。更に、液体が、他のシリンジへ漏れてしまうことを未然に防止するために、櫛は完璧な水平位置に維持しなければならない。第3の欠点は、櫛が思わず傾いてその歯が下方に向いてしまった場合、シリンジが放出されて破損し、その内容物をまき散らし、且つ、無数のガラス破片を形成してしまうことである。
【0006】
第1の観点によれば、本発明の目的の1つは、容器が互いにぶつかり合うのを防止し、容器の穴を閉鎖することを可能にし、容器の傾きをある程度許容する、容器取扱用アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、外周部を有する開口部を介して開口する穴を有する容器を取り扱うことが可能な取扱用アセンブリを提案し、取扱用アセンブリは、吸引カップと負圧伝達手段とを備え、吸引カップは、
負圧伝達手段と少なくとも部分的に接触するための第1表面部と、
容器の穴における開口部の外周部と少なくとも部分的に接触するようになっている接触部を有する第2表面部と、
吸引カップを負圧伝達手段に組み付けるようになっている第1組付手段と、
吸引カップの第1表面部と吸引カップの第2表面部との間の複数の貫通流路であって、それぞれが、
吸引カップの第1表面部上に開口し、負圧伝達手段のダクト部と流体連通するようになっている第1開口部、及び、
接触部上に開口する第2開口部
を有する貫通流路と、
吸引カップの第2表面部上の突出部であって、
接触部に対して突出し、
接触部によって少なくとも部分的に包囲され、また
容器の穴を閉鎖するようになっている
突出部と
を有し、
負圧伝達手段は、
真空調整システムと少なくとも部分的に接触するための第1表面部と、
吸引カップと少なくとも部分的に接触するための第2表面部と、
負圧伝達手段を吸引カップに組み付けるようになっている第2組付手段と、
ダクト部であって、
第1表面部上に開口することで真空調整システムと流体連通する第1開口部、及び
第2表面部上に開口することで吸引カップの流路と流体連通する第2開口部
を有するダクト部と
を有し、
吸引カップと負圧伝達手段とは、吸引カップの流路の第1開口部が負圧伝達手段のダクト部の第2開口部と流体連通するように、吸引カップの第1組付手段と負圧伝達手段の第2組付手段とによって気密にシールされた態様で組み付けられる。
【0008】
本発明に係る吸引カップは、流路が真空調整システムと流体連通するように設計される。突出部が容器の穴を閉鎖するように容器の穴の開口部の外周部上に流路の2つの開口部を位置付けて、流路内に真空を作り出すことで、穴の開口部の外周部が吸引カップの接触部上で大気圧により維持される。これによって、穴の開口部の外周部と接触部との間の接合の防漏密閉が確実になり、突出部によって容器の穴が閉鎖されることが保証される。こうして、吸引カップを介して容器を取り扱うことができる。
【0009】
複数の容器が複数の吸引カップを備えるシステムによって取り扱われる場合に、各吸引カップが1つの容器に対応していると、初めは箱の中に存在する容器が互いのそれぞれの位置に留まり、互いにぶつかり合うという虞が無くなる。
【0010】
更に、吸引カップは、容器を解放せずに、どの方向にも、少なくとも僅かな程度に傾くことができる。
【0011】
突出部が容器の穴を閉鎖すると、容器の穴内に収容された液体に、吸引カップの流路によって生じる真空が生じないようにできる。
【0012】
吸引カップは、多数の容器を備える箱の中央から1つの容器を取り出すこと、又は各吸引カップが1つの容器に対応し、箱の容器を列ごとに取り出すことを可能にする。
【0013】
本発明に係る吸引カップは、例えば王冠状又はリング状の吸引カップとすることができる。
【0014】
この文書の範囲内で、「容器」は、例えばシリンジ、ビーカ、フラスコ、ボトル又は試験管とすることができる。容器の穴は、好ましくは、吸引カップの突出部によって塞ぐことができる1つの開口部のみを有する。
【0015】
この文書の範囲内で、容器の穴の開口部の「外周部」は、鍔、穴の開口部の縁部、又はネックを含むことができる。容器の穴は「容器のキャビティ」と呼ぶこともできる。
【0016】
この文書の範囲内で、要素間の「流体連通」は直接的に行うこともでき、または間接的に、すなわち他の要素を介して行うことができる。これは、好ましくは密閉され、すなわち、小さな漏れを容認することはできるが、流体連通している要素間の流体の吸入又は排出は無い。流体連通はガスの送給を可能にするため、ガス圧が送給され、したがってガスを吸引することで真空の送給を可能にする。
【0017】
この文書の範囲内で、「真空調整システム」は、真空の形成を可能にする、すなわち、ガスの吸引を可能にする任意のシステム、装置又は一連の要素である。これは、本明細書で説明するように、例えばトレイを含むことができる。また、真空ポンプを含むこともできる。
【0018】
吸引カップの第1表面部は、好ましくは、吸引カップの第1端部を備える。吸引カップの第2表面部は、好ましくは、第1端部と反対側の、吸引カップの第2端部を備える。
【0019】
本発明に係る負圧伝達手段は、吸引カップと真空調整システムとの間に作られる接合を可能にする。吸引カップが、好ましくは可撓性材料から作られると、好ましくは吸引カップの材料よりも高剛性の材料から作られる負圧伝達手段が、吸引カップを、真空調整システム、特に真空調整システムの一部を形成するトレイに簡単に固定することを可能にする。
【0020】
更に、多数の吸引カップを真空調整システムに固定するように、各吸引カップは、例えば吸引カップが可撓性材料から作られている場合には連結させることによって、負圧伝達手段に簡単に固定することができ、圧力伝達手段は、例えばねじ留めすることによって、真空調整システムに簡単に固定することができる。
【0021】
負圧伝達手段は、必要に応じて、「圧力伝達手段」、「吸引伝達手段」、「ガス伝達手段」、「流体接続手段」、又は「真空伝達手段」と呼ぶこともできる。
【0022】
負圧伝達手段の第1表面部は、好ましくは、負圧伝達手段の第1端部を備える。負圧伝達手段の第2表面部は、好ましくは、第1端部と反対側の、負圧伝達手段の第2端部を備える。
【0023】
好ましくは、取扱用アセンブリにおいて、吸引カップの第1表面部は、負圧伝達手段の第2表面部と接触する。
【0024】
負圧伝達手段と吸引カップとの耐密に密閉された組み付けは、真空調整システムによって形成された負圧が、負圧伝達手段のダクト部及び吸引カップの流路を通り、容器の外周部を吸引することを可能にする、吸引カップの第2表面部の接触部まで伝播されることを可能にする。
【0025】
本発明に係る吸引カップは、好ましくは可撓性材料から作られる。例えば、吸引カップは、1〜1000MPA、好ましくは1〜100MPAのヤング率を有する材料から作ることができる。この可撓性によって、吸引カップが負圧伝達手段の形状に合い、容器と負圧伝達手段との間の接続を耐密に密閉することを可能にする。この可撓性は、更に、吸引カップが負圧伝達手段の一部を受容するように変形することを可能にする。
【0026】
有利には、負圧伝達手段は、吸引カップの材料よりも高剛性の材料から作られる。
【0027】
好ましくは、吸引カップは、少なくとも部分的にシリコーンを備える材料から作られる。好ましくは、吸引カップは、全てシリコーンから作られる。
【0028】
シリコーンは、吸引カップが穴の開口部の外周部に最適に押し付けられるように真空が生じたときに、吸引カップの僅かな変形を可能にする適切な剛性を有する。更に、殺菌することができる。
【0029】
本発明の一実施例において、吸引カップは一体に作られる。
【0030】
これによって、吸引カップの製造が簡素化される。また、吸引カップが特に強固になる。
【0031】
本発明の一実施例において、負圧伝達手段は一体に作られる。
【0032】
これによって、負圧伝達手段の製造が簡素化される。また、負圧伝達手段が特に強固になる。
【0033】
有利には、接触部は、凹部内に含まれており、この凹部は、
− 容器の穴の開口部の外周部の少なくとも一部を受容するようになっており、また
− その内部に流路の第2開口部が開口する。
【0034】
凹部は、穴の開口部の外周部を接触部に対して簡単に位置付けることを可能にし、したがって穴を突出部に対して簡単に位置付けることを可能にする。更に、容器の穴の開口部の外周部と吸引カップの接触部との間のグリップが良好になる。
【0035】
本発明の一実施例において、第1組付手段は、流路の第1開口部を、負圧伝達手段のダクト部と流体連通させるようになっている吸引カップの窪み(hollow)を備え、この窪みは、
− 負圧伝達手段の狭部を受容するようになっている狭部と、
− 広部と
を有し、広部は、
負圧伝達手段の広部を受容するようになっており、
窪みの狭部よりも流路に近接しており、また
負圧伝達手段の広部を塞ぐ(ブロックする)ことが可能になるように、窪みの狭部の断面積よりも大きな断面積を有している。
【0036】
このような組付手段は、簡単に取り外すことができる、簡単且つ迅速で確実な組み付けを可能にする。この文書の範囲内で、例えば窪みといった要素の「断面」は、吸引カップと負圧伝達手段とが互いの上部で鉛直方向に組み付けられる場合における水平面に沿った断面である。
【0037】
本発明の一実施例において、第2組付手段は、
− 吸引カップの窪みの狭部内に受容されるようになっている狭部と、
− 広部と
を有し、この広部は、
吸引カップの窪みの広部内に受容されるようになっており、
負圧伝達手段の狭部よりもダクト部の第2開口部に近接しており、また
負圧伝達手段の狭部の断面積よりも大きな断面積を有している。
【0038】
このような組付手段は、簡単に取り外すことができる、簡単且つ迅速で確実な組み付けを可能にする。
【0039】
好ましくは、負圧伝達手段は、吸引カップの第2表面部上に位置する突出部を保持するようになっている支持部を更に備え、支持部は、ダクト部の第2開口部を、吸引カップの流路と流体連通するようになっている周線と流体連通させる分配線によって分離されている。
【0040】
支持部は、圧力差による吸引カップの変形を防止するため、容器の穴が突出部によって閉鎖されることが防止され、且つ/又は穴の開口部の外周部の第2流路開口部が分離され、それによって容器が解放される。
【0041】
好ましくは、取扱用アセンブリは、負圧伝達手段に組み付けられた吸気保護装置を更に備える。
【0042】
複数の取扱用アセンブリが同じ真空調整システムに接続され、複数の容器が平行に把持される場合、取扱用アセンブリは、容器の穴における開口部の外周部に対して不正確に位置付けられたり、容器を紛失したりすることがある。これによって、真空調整システムは、対応する取扱用アセンブリの吸引カップの流路を介して周囲空気を吸引し、負圧を損失させることがある。吸気保護装置は、周辺空気に開口するこうした流路からの流体の通過を軽減する。これによって、このような状況における負圧の損失が軽減する。
【0043】
第2の観点によれば、本発明は、取扱用アセンブリを保持し、圧力を送給するためのトレイを提案し、トレイは、
− 第1表面部と、
− 取扱用アセンブリと少なくとも部分的に接触するための接触部を有する第2表面部と、
− 第1表面部と第2表面部との間に位置する真空チャンバと、
− 第1表面部上及び真空チャンバ内に開口し、真空チャンバを真空ポンプと流体連通させる吸気口と、
− それぞれが、一方で真空チャンバ内に開口し、他方で接触部上に開口することで、取扱用アセンブリと流体連通する複数の流路と、
− 取扱用アセンブリを接触部上に固定するための手段と
を備える。
【0044】
トレイは、取扱用アセンブリを介して、多数の容器を一回の動作で平行に取り扱うことを可能にする。
【0045】
好ましくは、トレイは、吸気口に対向して真空チャンバ内に位置する圧力再分配壁を更に備える。
【0046】
圧力再分配壁は、トレイの吸気口に直に対向して位置するトレイの流路が、トレイの中心部以外よりも強く吸引されるのを防止するように、真空調整システムから発生する、トレイの流路間における吸引の分配を可能にする。
【0047】
好ましい手法において、トレイはポリマー樹脂を備える。
【0048】
これによって、特にトレイの真空チャンバ及び流路といった精密な構造をもつ比較的薄いトレイを形成することを可能にする光造形法を介して、トレイを製造することが可能になる。
【0049】
本発明の一実施例において、取扱用アセンブリを固定するための手段は、ポリマー樹脂内に組み込まれたインサート、好ましくは金属製のインサートを備える。
【0050】
このインサートは、例えばねじ山が付いたダクト部をそれぞれ備え、取扱用アセンブリへの確実性の高い取り付けを実現する。
【0051】
本発明の一実施例において、トレイは、シリンジ用のネストのノッチ内に受容されるようになっている少なくとも1つのフィンを備える。
【0052】
通常、ネストは、手での簡単な取り扱いを可能とするように、少なくとも1つのノッチを有する。特に、ネストは、オフセットした2つのノッチを有することができる。トレイ上の1つ以上のフィンは、ネスト上のトレイを真っ直ぐに配列することで、トレイに固定された取扱用アセンブリを、ネスト内に収容されたシリンジの鍔上に真っ直ぐに配列する。
【0053】
第3の観点によれば、本発明は、容器把持システムを提案し、容器把持システムは、
− 本発明に係るトレイと、
− 吸引カップの流路の第2開口部を、吸引カップの流路、負圧伝達手段のダクト部、及びトレイを介して真空ポンプと流体連通させることができるようにトレイに固定された、本発明に係る取扱用アセンブリと
を備える。
【0054】
容器把持システムは、好ましくは単一の機械(マシン)のみを有する。これによって、2つ以上の機械を必要とする既知の容器把持システムに対して、容積及び費用が削減される。
【0055】
更に、全てのシリンジを平行に把持できるため、ネストからの迅速な取り外し速度が提供される。
【0056】
トレイは、容器把持システムによって取り出される容器を選択するように、トレイの所定の流路を閉鎖する手段を潜在的に含むことができる。
【0057】
興味深いことに、本発明の使用は、ネストから容器を取り外すことに限定されない。実際に、本発明は、例えばブリスターを製造する機械や、シリンジ、フラスコ、ボトル又は試験管を取り扱う任意の機械への装着といった、容器のどのような取り扱いにも使用することができる。
【0058】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して与えられた、以下の詳細な説明を読むことでより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の一実施例における吸引カップを実質的に下方から見た三次元図である。
図2】本発明の一実施例における吸引カップを実質的に上方から見た三次元図である。
図3】本発明の一実施例における吸引カップの鉛直面に沿った断面である。
図4】本発明の一実施例における負圧伝達手段を実質的に下方から見た三次元図である。
図5】本発明の一実施例における負圧伝達手段の鉛直面に沿った断面である。
図6】本発明の一実施例における負圧伝達手段の側面図である。
図7】本発明の一実施例における取扱用アセンブリ示す断面図である。
図8】本発明の一実施例における、容器上に位置付けられた吸引カップを示す、鉛直面に沿った断面である。
図9】本発明の一実施例における、他の容器上に位置付けられた吸引カップを示す、鉛直面に沿った断面である。
図10】本発明の一実施例における、取扱用アセンブリを保持するためのトレイの鉛直面に沿った断面を示す。
図11】本発明の一実施例における容器把持システムを示す。
図12】本発明の他の実施例における、吸引カップを備える取扱用アセンブリの鉛直面に沿った断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
この発明は詳細な実施例及び図面の参照と共に説明されるが、本発明はこれに限定されない。説明される図面又は図形は単に概略的であり、限定するものではない。
【0061】
本文書の文脈内で、用語「第1」及び「第2」は、単に異なる要素同士を区別するのに使用され、これらの要素間に序列をつけることを示すものではない。
【0062】
図面において、同一又は類似の要素は同じ参照番号を保持し得る。
【0063】
図1図2及び図3は、本発明の一実施例における吸引カップ2を示す。図1は、実質的に下方から見た三次元図である。図2は、実質的に上方から見た三次元図である。図3は、鉛直面に沿った断面である。
【0064】
吸引カップ2は、例えば図4図6に示される、本発明に係る負圧伝達手段3のような負圧伝達手段に組み付けられるようになっている。このアセンブリは、吸引カップ2上に設けられた第1組付手段によって作り出すことができる。吸引カップ2は、穴を有する容器を取り扱うように、例えば把持するようになっており、この穴は、穴の開口部の周囲に位置する外周部を有する開口部を介して開口する。
【0065】
吸引カップ2は、負圧伝達手段3に少なくとも部分的に接触するための第1表面部21と、容器の穴の開口部の外周部と少なくとも部分的に接触するようになっている接触部29を有する第2表面部22とを備える。
【0066】
本発明の一実施例において、吸引カップ2の第1表面部21は、例えば窪み24を画成する表面部である、吸引カップ2の内面部を実質的に有することができる。本発明の一実施例において、吸引カップ2の第1表面部21は、負圧伝達手段3が吸引カップ2に組み付けられるとき、実質的に負圧伝達手段3の方向を向くことができる。
【0067】
本発明の一実施例において、吸引カップ2の第2表面部22は、吸引カップ2の外面部を実質的に備えることができる。本発明の一実施例において、吸引カップ2の第2表面部22は、容器が吸引カップ2によって把持されるとき、実質的に容器の方向を向くことができる。
【0068】
吸引カップ2は、第1表面部21と第2表面部22との間に複数の貫通流路25を更に備える。各流路25は、吸引カップ2の第1表面部21上に開口する第1開口部26と、吸引カップ2の接触部29上に開口する第2開口部27とを有する。第1開口部26は、負圧伝達手段3のダクト部33と流体連通するようになっており、第2開口部27は、容器の穴の開口部の外周部に接合するようになっており、ダクト部内に存在する真空によって、外周部がダクト部の全ての第2開口部27に押し付けられる。
【0069】
吸引カップ2は、接触部29に対して突出し、接触部29によって少なくとも部分的に包囲される、第2表面部上の突出部28を更に備える。このため、突出部28の外周部は、流路25の第2開口部27が容器の穴の開口部の外周部に接合したときに、容器の穴の開口部の外周部と接触し、それにより突出部28が容器の穴を閉鎖する。突出部28は、好ましくは第2表面部22上の中央にある。
【0070】
好ましい手法において、接触部29は、流路25の第2開口部27内に開口し、容器の穴の開口部の外周部の少なくとも一部を受容するようになっている凹部291に含まれる。凹部291は、例えば突出部28と縁部292とによって形成することができる。凹部291は、吸引カップ2に対する穴の開口部の外周部の横方向の移動を最小化することにより、吸引カップ2上の穴の開口部の外周部の閉塞を向上させる。
【0071】
好ましくは、吸引カップ2は、負圧伝達手段3のダクト部33が流路25と流体連通するように、その内部に流路25の第1開口部26が位置し、その内部で負圧伝達手段3の一部が塞がれる窪み24を備える。
【0072】
例えば、本発明の一実施例において、窪み24は第1組付手段の一部を形成する。窪み24は、例えば、負圧伝達手段3の狭部381(図5)を受容するようになっている狭部241と、負圧伝達手段3の広部382(図5)を受容するようになっている広部242とを含み、窪みの広部242は、窪み24の狭部241よりも流路25に近接している。
【0073】
窪みの広部242が、窪み24の狭部241の断面積よりも大きな断面積を有すると、窪み24の内部にて、連結によって負圧伝達手段3の広部382(図5)を塞ぐことができる。
【0074】
吸引カップ2の寸法及び形状は、好ましくは、取り扱う容器の形状及び寸法に合うように選択される。例えば、円形状の穴を有する容器を取り扱うように、突出部28は好ましくは円形状となる。更に、一例として、8.15mmの直径を有するシリンジを取り扱うように、吸引カップ2は直径14.5mmの円筒状の外面部を有することができ、突出部28は直径6.85mmの円形状とすることができる。
【0075】
興味深いことに、穴の開口部の外周部は、吸引カップが容器を把持して取り扱うために平坦である必要はない。
【0076】
吸引カップ2は、2〜100本の流路25、好ましくは4〜50本の流路、更に好ましくは6〜25本の流路を備えることができる。
【0077】
図4図5及び図6は、本発明の一実施例における負圧伝達手段3を示す。図4は、実質的に下方から見た三次元図である。図5は、鉛直面に沿った断面である。図6は、側面図である。
【0078】
負圧伝達手段3は、例えば図1図3に示されるような、本発明に係る吸引カップ2のような吸引カップに組み付けられるようになっている。このアセンブリは、負圧伝達手段3上に設けられた第2組付手段によって作り出すことができる。
【0079】
負圧伝達手段3は、真空調整システムと少なくとも部分的に接触するための第1表面部31と、吸引カップ2と少なくとも部分的に接触するための第2表面部32とを備える。本発明の一実施例において、負圧伝達手段3の第1表面部31は、負圧伝達手段3の外面部を実質的に備えることができる。本発明の一実施例において、負圧伝達手段3の第2表面部32は、負圧伝達手段3の外面部を実質的に備えることができる。
【0080】
負圧伝達手段3は、負圧伝達手段3の第1表面部31上に開口する第1開口部36と、負圧伝達手段3の第2表面部32上に開口する第2開口部37とを有するダクト部33を備える。こうして、ダクト部33は、その第1開口部36を介して真空調整システムと流体連通することができ、その第2開口部37を介して吸引カップ2の流路25と流体連通することができる。
【0081】
負圧伝達手段3は、好ましくは、吸引カップ2の突出部28の背面と接触するようになっている支持部39を備える。支持部39は、負圧伝達手段3と吸引カップ2とを含むアセンブリが吸引カップ2を介して容器と接触したとき、及び吸引カップ2の流路25内に負圧伝達手段3のダクト部33を介して真空が生じたとき、突出部28を支持することを可能にする。実際、支持部39が無いと、吸引カップ2の、流路25に対して内側の部分が上昇しやすくなり、突出部28が穴を閉鎖すること及び流路25を穴と流体接触させることを防げてしまう。
【0082】
支持部39は、好ましくは、ダクト部33の第2開口部37周りに分配される。支持部39は、例えば放射状である分配線391によって互いに分離される。好ましい手法において、分配線391は、一方ではダクト部33の第2開口部37上に開口し、そして他方では吸引カップ2の流路25と流体連通するようになっている周線392上に開口する。
【0083】
本発明の一実施例において、支持部39は、負圧伝達手段3の第2表面部32上のボスであり、分配線391及び周線392は、負圧伝達手段3の第2表面部32上の溝である。
【0084】
負圧伝達手段3の形状は、第2組付手段を供給するように選択することができる。例えば、本発明の一実施例において、負圧伝達手段3は、吸引カップ2の窪み24の狭部241(図3)内に受容されるようになっている狭部381と、吸引カップ2の窪み24の広部242(図3)内に受容されるようになっている広部382とを有し、負圧伝達手段3の広部382は、負圧伝達手段3の狭部381よりもダクト部33の第2開口部37に近接している。負圧伝達手段3の広部382は、負圧伝達手段3の狭部381の断面積よりも大きな断面積を有することで、吸引カップ2の窪み24の広部242の内部に塞ぐ(ブロックする)ことが可能になる。
【0085】
負圧伝達手段3は、その第1表面部31上又は近傍に、真空調整システムに締結するための手段、例えばねじ山や、六角ドライブ等のドライブといった、ねじ留め道具用の手段を備えることができる。
【0086】
負圧伝達手段3の寸法及び形状は、好ましくは、取り扱う容器の寸法に合うように設計されている吸引カップ2の寸法及び形状に合うように選択される。例えば、第2表面部32を備える、負圧伝達手段3の一方の円形状端部が、直径14.5mmの円筒状外面部を有する吸引カップ2を取り扱うように、12mmの直径を有することができる。このような場合、負圧伝達手段3の広部382は、円形状及び12mmの直径を有することができ、負圧伝達手段3の狭部381は、円形状及び9.8mmの直径を有することができる。
【0087】
図7は、本発明の一実施例における取扱用アセンブリ1を示す断面図である。取扱用アセンブリ1は、好ましくは、吸引カップ2の第1組付手段及び負圧伝達手段3の第2組付手段によって気密にシールされた状態で組み付けられた、本発明に係る吸引カップ2と本発明に係る負圧伝達手段3とを備える。
【0088】
好ましくは、取扱用アセンブリ1は、好ましくは気密にシールされた状態で負圧伝達手段3に組み付けられた吸気保護装置4を備える。吸気保護装置4は、吸引カップ2の流路25が周囲空気に開口している場合に、負圧伝達手段3からの流体通過を軽減するように位置付けられる。本発明の一実施例において、吸気保護装置4は、例えばSMC社が流通しているZP2Vシリーズからの真空保護バルブである。
【0089】
吸気保護装置4は、好ましくは、負圧伝達手段3に組み付けるための手段と、例えば図10に示されるトレイ5のような本発明に係るトレイ5である、幾つかの取扱用アセンブリを保持することが可能なトレイに組み付けるための手段とを備える。吸気保護装置を負圧伝達手段3に組み付けるのにガスケットを使用することができる。吸気保護装置をトレイに組み付けるのにガスケットを使用することができる。
【0090】
本発明の一実施例において、負圧伝達手段3は、吸気保護装置4を介して通過することなく、そうしたトレイ5に直接固定される。
【0091】
本発明の一実施例において、取扱用アセンブリ1は、気密にシールされた状態で組み付けられた本発明に係る吸引カップ2と他の負圧伝達手段(図12)と、場合によって、吸気保護装置4とを備える。
【0092】
図7は、吸引カップ2を介して取り扱われる容器10の一部も示す。容器10は、穴11と、穴11の開口部の周りの外周部12とを有する。容器10が吸引カップ2を介して取り扱われるとき、吸引カップ2の接触部29は容器10の穴11の開口部の外周部12と接触し、流路25の第2開口部27は容器10の穴11の開口部の外周部12と接合し、突出部28は容器10の穴11に栓をする。容器10は液体を収容することができる。図7は、例えば容器がシリンジであって、容器10の穴11の開口部の外周部12が鍔を備える場合を示す。
【0093】
容器10の穴11の開口部の外周部12は、好ましくは楕円形状である。容器10の穴11の開口部の外周部12は、円形状、長円形状又は多角形状等とすることができる。
【0094】
吸引カップ2は、好ましくは、シリコーンを少なくとも部分的に備える材料から作られ、好ましくは、全てシリコーンから作られる。シリコーンは、吸引カップ2が容器10の穴11の開口部の外周部12に最適に押し付けられるように真空が生じたときに、吸引カップ2の僅かな変形を可能にする適切な剛性を有する。更に、この剛性は、負圧伝達手段3の広部382(図5)が、吸引カップ2の狭部241(図3)を介して吸引カップ2の広部242(図3)内に挿入されるのを可能にする。
【0095】
負圧伝達手段3は、場合によって陽極酸化されたアルミニウムを備えるか、又は場合によって陽極酸化されたアルミニウムから作ることができる。負圧伝達手段3は、ステンレス鋼を備えるか、ステンレス鋼から作ることができ、負圧伝達手段3を殺菌しなければならない場合に特に有利である。負圧伝達手段3は、好ましくは一体に作られる。
【0096】
図8及び図9は、容器10上に位置付けられた、本発明の一実施例における吸引カップ2を示す、鉛直面に沿った断面である。図8は、容器10の穴11の開口部の外周部12が、僅かに広がったネックを備える場合、例えば容器がフラスコである場合を示す。図9は、容器10の穴11の開口部の外周部12が、広がった部分を備えない場合、例えば容器が試験管である場合を示す。
【0097】
図10は、本発明の一実施例における、取扱用アセンブリ1を保持するためのトレイ5の、鉛直面に沿った断面を示す。トレイ5は、好ましくは、例えば図7に示すような本発明に係る取扱用アセンブリ1である取扱用アセンブリを固定できるように設計される。トレイ5は、図12に示すように取扱用アセンブリを固定できるように設計することができる。
【0098】
トレイ5は、第1表面部51と、取扱用アセンブリ1と少なくとも部分的に接触する接触部59を有する第2表面部52とを備える。トレイ5の接触部59は別々の表面部を備えることができる。トレイ5は、第1表面部51と第2表面部52との間に位置する真空チャンバ53と、第1表面部52上と真空チャンバ53内に開口する吸気口54とを更に備える。吸気口54は、真空チャンバ53を、例えば真空ポンプである、トレイの外側にあって吸引に使用される装置と流体連通させる。
【0099】
トレイ5は、一方で真空チャンバ53内に開口し、他方で接触部59上に開口することで、真空チャンバ53を、接触部59に固定された取扱用アセンブリ1と流体連通させる複数の流路55を更に備える。
【0100】
好ましくは、トレイ5は、吸気口54に対向して真空チャンバ53内に位置する圧力再分配壁56を備える。
【0101】
本発明の一実施例において、トレイ5は光造形法によって製造され、ポリマー樹脂等の、この製造法に合った材料を備える。
【0102】
取扱用アセンブリは、トレイ5の接触部59上に設けられた締結手段を介して固定される。締結手段は、例えば、好ましくは金属製であって、トレイの製造中にポリマー樹脂内に組み込まれるインサートを含むことができる。このインサートは、取扱用アセンブリ上に存在するねじ山に対応するねじ山を備えることができる。
【0103】
更に、トレイ5は、好ましくは第2表面部52上に、シリンジ用のネスト6のノッチ61内に受容されるようになっているフィン57を少なくとも1つ備えることができる(図11)。
【0104】
真空調整システムに接続されたトレイ5に固定された負圧伝達手段3に吸引カップ2が組み付けられるとき、真空調整システム内に真空が形成されることで、トレイ5のチャンバ54内へ、トレイ5の流路55内、負圧伝達手段3のダクト部33内、及び吸引カップ2の流路25内の空気がポンピングされる。容器10を位置付けて、突出部28によって穴11における開口部を塞ぐことで、大気圧によって、容器10の穴11の開口部の外周部12が、吸引カップ2の接触部29に結合する。
【0105】
吸引カップ2から容器10を解放するには、真空を解除すること又は流路25と連通するトレイのチャンバ54内に所定の量の空気を注入することができ、これによって容器10を解放する。
【0106】
図11は、トレイ5と、それに固定された取扱用アセンブリ1とを備える、本発明の一実施例における容器把持システム100の三次元図である。図11は、容器10であるシリンジが、容器把持システム100によって把持されるより前に最初から挿入されたネスト6を更に示す。ネスト6は、トレイ5の1つ以上のフィン57を挿入することができる1つ以上のノッチ61を有することができる。
【0107】
トレイ5は、更に、例えば吸引カップのような、ネスト6を把持するための一時的な締結手段を、例えばその角のそれぞれに1つずつ備えることができる。
【0108】
本発明の一実施例において、ネスト6は160本のシリンジを備え、トレイ5の上に160個の取扱用アセンブリ1を固定することができる。
【0109】
本発明の一実施例において、容器把持システム100は殺菌されている。
【0110】
図12は、本発明の他の実施例における、吸引カップ2を備える取扱用アセンブリの鉛直面に沿った断面を示す。本発明のこの実施例において、吸引カップ2は、例えば市販の標準的な締結装置7に組み付けられるようになっており、ダクト部71を介した圧力伝達機能を有する。このアセンブリは、吸引カップ2上に設けられた第1組付手段によって作り出すことができる。吸引カップ2と標準的な締結装置7とを備えるアセンブリは、本発明に係るトレイ5に固定することができる取扱用アセンブリである。
【0111】
本発明の一実施例において、第1組付手段は窪み24を備え、窪み24は、標準的な締結装置7の狭部を受容するようになっている狭部241と、標準的な締結装置7の広部を受容するようになっている広部242とを有し、窪みの広部242は、窪み24の狭部241よりも流路25に近接している。
【0112】
すなわち、本発明は、吸引カップ2、負圧伝達手段3、吸引カップ2と負圧伝達手段3とを備える取扱用アセンブリ1、取扱用アセンブリ1を固定するためのトレイ及びトレイと取扱用アセンブリ1とを備える容器把持システム10に関する。
【0113】
吸引カップ2は、容器10の穴11の開口部の外周部12上への吸引によって固定される流路と、流路25に対して内方に位置付けられた、容器10の穴11を閉鎖する突出部28とを備える。吸引カップ2は、容器10を、その穴11が閉鎖されたまま把持して取り扱うことを可能にする。多数の吸引カップ2を平行に使用することで、多数の容器10を平行に取り扱うことが可能になる。
【0114】
他のどの要素からも独立して、この発明は、特に、外周部12を有する開口部を介して開口する穴11を有する容器10を取り扱うことが可能な、取扱用アセンブリ1用の吸引カップ2に関し、吸引カップ2は、
負圧伝達手段3と少なくとも部分的に接触するための第1表面部21と、
容器10の穴11の開口部の外周部12と少なくとも部分的に接触するようになっている接触部29を有する第2表面部22と、
吸引カップ2を負圧伝達手段3に組み付けるようになっている第1組付手段と、
吸引カップ2の第1表面部21と吸引カップ2の第2表面部22との間の複数の貫通流路25であって、それぞれが
吸引カップ2の第1表面部21上に開口し、負圧伝達手段3のダクト部33と流体連通するようになっている第1開口部26、及び、
接触部29上に開口する第2開口部27
を有する貫通流路25と、
吸引カップ2の第2表面部22上の突出部28であって、
接触部29に対して突出し、
接触部29によって少なくとも部分的に包囲され、また
容器10の穴11を閉鎖するようになっている
突出部28と
を有する。
【0115】
この吸引カップは、本明細書で説明した特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0116】
他のどの要素からも独立して、この発明は、特に、外周部12を有する開口部を介して開口する穴11を有する容器10を取り扱うことが可能な、取扱用アセンブリ1用の負圧伝達手段3に関し、負圧伝達手段3は、
真空調整システムと少なくとも部分的に接触するための第1表面部31と、
吸引カップ2と少なくとも部分的に接触するための第2表面部32と、
負圧伝達手段3を吸引カップ2に組み付けるようになっている第2組付手段と、
ダクト部33であって、
第1表面部31上に開口することで真空調整システムと流体連通する第1開口部36と、
第2表面部32上に開口することで吸引カップ2の流路25と流体連通する第2開口部37と
を有するダクト部33と
を有する。
【0117】
この負圧伝達手段は、本明細書で説明した特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0118】
この発明は、例示の目的のためだけに提供された、限定するものと考えられてはならない特定の実施例に関して説明されている。概して、この発明は、先に例示及び/又は説明された例に限定されるものではない。「収容する」、「含む」、「備える」又はこれらの代わりになる動詞の使用及び活用は、規定された要素以外の要素の存在を除外するものでは全く以ってない。要素を導入する不定冠詞「a」若しくは「an」又は定冠詞「the」は、この要素が複数存在することを除外するものではない。請求項における参照番号は、その範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】
2017170608000001.pdf