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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-171171(P2017-171171A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】ネックサポート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20170901BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   B60N2/48
   A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-60411(P2016-60411)
(22)【出願日】2016年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】501052476
【氏名又は名称】株式会社ライフジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】増本 龍男
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DA03
3B084DA07
3B084DB14
3B084DD02
3B087DC09
(57)【要約】
【課題】座席に着座した者の頸部を、後方のみならず側方も快適且つ確実に支持することができるネックサポートを提供することである。
【解決手段】ネックサポート1は、基部2と支持部3とを有する。基部2は、座席11のシートバック12とヘッドレスト13の間に配置して押圧挟持される部位である。支持部3は、シートバック12と交差し前方側へ突出する突出部9a,9bを有する。基部2と支持部3は、上部シート材5と下部シート材6とが接合部24で接合された中空構造を有する。上部シート材5は、下部シート材6よりも伸縮しにくい素材で形成されている。基部2内及び支持部3内には充填材が充填されている。基部2が押圧され、基部2内の容積が減少すると、基部2内の充填材が支持部3側へ移動する。下部シート材6は押し拡げられて膨張し、突出部9a,9bが上方へ反り返る。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックとヘッドレストとを有する座席であってヘッドレストがシートバックに対して近接及び離間が可能である座席に装着して使用されるネックサポートであって、
基部と支持部とを有し、
前記基部は、前記シートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される部位であり、
前記基部は袋状の部位を有しており、
基部の前記袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形し、
前記支持部は、シートバックに対して交差する方向であって座席の前方側に突出し、当該座席に着座した者の頸部の周囲に配置される部位であり、
前記支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されており、
支持部は、座席に装着された姿勢を基準として主に上面側を構成する上部シート材と、主に下面側を構成する下部シート材とを有する袋状の部位を有しており、
前記下部シート材は、上部シート材よりも伸縮し易い素材で形成されており、
前記基部と支持部における各袋状の部位の内部には充填材が充填されており、前記充填材は、流動性があり且つ容積変化しにくく、
一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であることを特徴とするネックサポート。
【請求項2】
シートバックとヘッドレストとを有する座席であってヘッドレストがシートバックに対して近接及び離間が可能である座席に装着して使用されるネックサポートであって、
基部と支持部とを有し、
前記基部は、前記シートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される部位であり、
前記基部は袋状の部位を有しており、
基部の前記袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形し、
前記支持部は、シートバックに対して交差する方向であって座席の前方側に突出し、当該座席に着座した者の頸部の周囲に配置される部位であり、
前記支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されており、
着座した者の頸部が配置される前記空間側を構成する内側シート材と、
前記空間とは反対側を構成する外側シート材とを有する袋状の部位を有しており、
前記内側シート材は、外側シート材よりも伸縮し易い素材で形成されており、
前記基部と支持部における各袋状の部位の内部には充填材が充填されており、前記充填材は、流動性があり且つ体積変化しにくく、
一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であることを特徴とするネックサポート。
【請求項3】
前記支持部はC字状の外形を有しており、
下部シート材と上部シート材の境界が、
支持部のC字の内周側では、支持部の半分の高さ位置よりも高い位置にあり、
支持部のC字の外周側では、支持部の半分の高さ位置よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1に記載のネックサポート。
【請求項4】
前記座席は、シートバックに設けられた装着穴にヘッドレストのステーを挿入する構造を有するものであり、
前記基部に、ヘッドレストのステーを貫通させる孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のネックサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席のシートバックとヘッドレストの間に装着して使用されるネックサポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の座席に座った者の頸部を支持することができるネックサポートが、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されているネックサポートは、ウレタン樹脂性のクッション体を布地で覆った構造を有している。すなわち、特許文献1のネックサポートは、内部,外部(表面)共に柔らかい構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−189029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているネックサポート装置では、着座者の頸部は後方しか支持できない。すなわち、頸部の側方部分が支持されていないため、着座者の体が側方(左右方向)に傾くと、頸部がネックサポートから外れてしまう。
【0005】
そこで、頸部の側方も支持できる様にネックサポートの形状を工夫することが考えられる。すなわち、ネックサポートをU字状に構成して頸部の側方を支持することが考えられる。しかし、この場合には、ネックサポートが片持ち状態となり安定感を欠いたものになり易い。具体的には、ネックサポートがウレタン樹脂性のクッション体を布地で覆ったものであるため、ネックサポートをシートバック側から片持ち状に突出させると、ネックサポートの先端部分(自由端部分)の安定性が悪く、また、片持ち状の部分が容易に折れ曲がってしまうため、着座者の頸部の支持は不十分なものとなる。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、座席に着座した者の頸部を、後方のみならず側方も快適且つ確実に支持することができるネックサポートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、シートバックとヘッドレストとを有する座席であってヘッドレストがシートバックに対して近接及び離間が可能である座席に装着して使用されるネックサポートであって、基部と支持部とを有し、前記基部は、前記シートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される部位であり、前記基部は袋状の部位を有しており、基部の前記袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形し、前記支持部は、シートバックに対して交差する方向であって座席の前方側に突出し、当該座席に着座した者の頸部の周囲に配置される部位であり、前記支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されており、支持部は、座席に装着された姿勢を基準として主に上面側を構成する上部シート材と、主に下面側を構成する下部シート材とを有する袋状の部位を有しており、前記下部シート材は、上部シート材よりも伸縮し易い素材で形成されており、前記基部と支持部における各袋状の部位の内部には充填材が充填されており、前記充填材は、流動性があり且つ容積変化しにくく、一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であることを特徴とするネックサポートである。
【0008】
請求項1に記載の発明では、座席のシートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される基部が袋状の部位を有しており、この袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形する。また、基部の袋状の部位の内部には充填材が充填されている。よって、基部が押圧されて容積が減少すると、減少した容積の大きさに応じた量の充填材が基部内から流出する。
充填材は、流動性があり且つ体積変化しにくいので、基部が押圧されると基部から円滑に流出する。
また、支持部は、座席に装着された姿勢を基準として主に上面側を構成する上部シート材と、主に下面側を構成する下部シート材とを有する袋状の部位を有しており、下部シート材は、上部シート材よりも伸縮し易い素材で形成されている。さらに、支持部の袋状の部位には、充填材が充填されている。
すなわち、上部シート材と下部シート材は、直接又は他の別のシート材を介して間接的に接合されて袋状に構成されている。
ここで「主に上面側を構成する上部シート材」,「主に下面側を構成する下部シート材」とは、上部シート材,下部シート材が、それぞれ支持部の上面側,下面側の半分以上の領域を占めていることを意味している。
一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であり、この支持部に基部側から充填材が流入すると、袋状の支持部の内部は加圧されるが、上部シート材は伸縮しにくく、上部シート材は伸びることなく加圧に耐えて突っ張っており、下部シート材が伸縮し易いので、下部シート材は加圧されると伸びて膨張する。その結果、支持部は、上方に反り返った状態で突っ張り、片持ち状であっても支持部の姿勢は安定する。
さらに支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されている。この個々の突出部が上方に反り返った状態で突っ張るので、支持部が片持ち状であっても、着座した者の頸部を後方のみならず側方も良好に支持することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、シートバックとヘッドレストとを有する座席であってヘッドレストがシートバックに対して近接及び離間が可能である座席に装着して使用されるネックサポートであって、基部と支持部とを有し、前記基部は、前記シートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される部位であり、前記基部は袋状の部位を有しており、基部の前記袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形し、前記支持部は、シートバックに対して交差する方向であって座席の前方側に突出し、当該座席に着座した者の頸部の周囲に配置される部位であり、前記支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されており、着座した者の頸部が配置される前記空間側を構成する内側シート材と、前記空間とは反対側を構成する外側シート材とを有する袋状の部位を有しており、前記内側シート材は、外側シート材よりも伸縮し易い素材で形成されており、前記基部と支持部における各袋状の部位の内部には充填材が充填されており、前記充填材は、流動性があり且つ体積変化しにくく、一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であることを特徴とするネックサポートである。
【0010】
請求項2に記載の発明では、シートバックとヘッドレストの間に配置されて、シートバックとヘッドレストの間で押圧挟持される基部が袋状の部位を有しており、この袋状の部位は、押圧されると容積が減少するように変形する。また、基部の袋状の部位の内部には充填材が充填されている。よって、基部が押圧されて容積が減少すると、減少した容積の大きさに応じた量の充填材が基部内から流出する。
充填材は、流動性があり且つ体積変化しにくいので、基部が押圧されると基部から円滑に流出する。
また、支持部は、着座した者の頸部が配置される空間側を構成する内側シート材と、前記空間とは反対側を構成する外側シート材とを有する袋状の部位を有しており、内側シート材は、外側シート材よりも伸縮し易い素材で形成されている。さらに、支持部の袋状の部位には、充填材が充填されている。
すなわち、内側シート材と外側シート材は、直接又は他の別のシート材を介して間接的に接合されて袋状に構成されている。
一部の充填材が基部側と支持部側の間を移動可能であり、この支持部に基部側から充填材が流入すると、袋状の支持部の内部は加圧されるが、外側シート材は伸縮しにくく、外側シート材は伸びることなく加圧に耐えて突っ張っており、内側シート材は伸縮し易いので、内側シート材は加圧されると伸びて膨張する。その結果、支持部は、外側が突っ張って水平方向の姿勢が安定すると共に、内側(前記空間側)に膨張する。
さらに支持部は、座席の前方側に突出した一対の突出部を有し、各突出部の間に頸部が配置される空間が形成されている。この個々の突出部が内周側に膨張するので、着座した者の頸部に密着し、頸部を後方のみならず側方も良好に支持することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記支持部はC字状の外形を有しており、下部シート材と上部シート材の境界が、支持部のC字の内周側では、支持部の半分の高さ位置よりも高い位置にあり、支持部のC字の外周側では、支持部の半分の高さ位置よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1に記載のネックサポートである。
【0012】
請求項3に記載の発明では、支持部はC字状の外形を有しているので、着座した者の頸部の略全周囲を取り巻くことができる。
また、下部シート材と上部シート材の境界が、支持部のC字の内周側では、支持部の半分の高さ位置よりも高い位置にあり、支持部のC字の外周側では、支持部の半分の高さ位置よりも低い位置にあるので、基部側から支持部側に充填材が移動すると、支持部の下側と内側が膨張する。そのため、支持部の先端側が上方に反り返ると共に、頸部が配置される空間が狭まる。
その結果、着座した者の頸部を良好に支持することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記座席は、シートバックに設けられた装着穴にヘッドレストのステーを挿入する構造を有するものであり、前記基部に、ヘッドレストのステーを貫通させる孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のネックサポートである。
【0014】
請求項4に記載の発明では、基部に、ヘッドレストのステーを貫通させる孔が設けられているので、ネックサポートは確実に座席に固定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のネックサポートは、簡単な構成で着座した者の頸部を後方のみならず側方も良好に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るネックサポートの上部右前方側から見た斜視図である。
図2図1のネックサポートを平面視した断面図であり、充填材が偏っていない状態を示す。
図3図2のA−A断面図であり、充填材が偏っていない状態を示す。
図4】基部を押圧したネックサポートの内部を上方から見た断面図であり、充填材が偏っている状態を示す。
図5図4のC−C断面図であり、充填材が偏っている状態を示す。
図6図1のネックサポートの正面図であり、(a)は、基部が押圧されておらず容積が減少しておらず、支持部の突出部が上方に反り返っていない状態を示し、(b)は、基部が押圧されていて容積が減少しており、支持部の突出部が上方に反り返っている状態を示す。
図7図1のネックサポートと座席の分解斜視図である。
図8図1のネックサポートが座席に装着され、ネックサポートの基部がシートバックとヘッドレストの間で押圧されていない状態を示す斜視図である。
図9図8において基部が、シートバックとヘッドレストの間で押圧されているネックサポートを上部右前方側から見た斜視図である。
図10】本発明の別の実施形態に係るネックサポートの平面図であり、(a)は、基部が押圧されていない状態を示しており、(b)は、基部が押圧されている状態を示している。
図11】ネックサポートの変形例を示す斜視図である。
図12図11のB−B断面図であり、(a)は、基部が押圧されていない状態を示し、(b)は、基部が押圧されている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示す様に、ネックサポート1の外観は、全体形状が略C字形状を呈している。
ネックサポート1は、主に上部側を覆う上部シート材5と、主に下部側を覆う下部シート材6とが接合された中空構造を有している。すなわち、ネックサポート1は、内部に空間を有する袋状の構造を有している。
【0018】
上部シート材5は、織物等の伸縮しにくい素材で形成されており、下部シート材6は、編物等の伸縮し易い素材で形成されている。又は、上部シート材5には、下部シート材6よりも太い糸で構成された生地,編み目が小さい生地,厚みが厚い生地を採用することができる。
すなわち、上部シート材5は、下部シート材6よりも伸縮しにくい。
上部シート材5としては、例えば、デニム生地を使用することができる。
下部シート材6としては、例えば、トリコット生地を使用することができる。
【0019】
また、ネックサポート1は、中空構造の基部2と支持部3とを有している。
【0020】
基部2は、図8図9に示す様に、座席11に固定される部位であり、変形部16と二つの固定孔4(図1)が設けられている。
変形部16は、押圧されると内部の容積が減少する様に変形する部位である。また、押圧力が作用しなくなると、変形部16は元の形状に復帰する。
各固定孔4は、基部2の互いに離間した位置に設けられ、基部2を上下に貫通する孔であるが、基部2(ネックサポート1)の内部空間(後述の充填材10が存在する空間)とは連通していない。
基部2は、袋状に構成されており、外力が作用して押圧されると内容積が減少する様に変形するが、上部シート材5,下部シート材6以外の部材で構成されていてもよい。
【0021】
支持部3は、図8図9に示す様に、座席11のシートバック12と交差する方向であって座席11の前方側(正面側)に突出する部位である。
支持部3は、突出部9a,9bと後部15とを有している。
後部15は、基部2と連続する部位である。
突出部9a,9bは、後部15と連続し、互いに離間した位置から前方側へ突出した部位であり、左右対称形を呈している。突出部9a,9b,後部15の間には上下に貫通する頸部配置部8が形成されている。
すなわち、突出部9a,9bの後端部分が、それぞれ後部15と連続しており、突出部9a,9bの前端部分は自由端であり、図1に示す様に、互いに接近するように湾曲している。
支持部3の内部は中空であり、基部2の内部と連通している。
【0022】
ネックサポート1の内部には、図2図3に示す様に、充填材10が充填されている。すなわち、基部2と支持部3の内部には充填材10が充填されている。
充填材10は、軽量で且つそれ自身がほとんど体積変化しないものを使用するのが好ましい。また、充填材10は、塑性変形しないものであるのが好ましい。充填材10としては、例えば、ビーズ,小豆等を使用することができる。また、充填材10として粉体物や流体を使用してもよい。
充填材10が軽量であると、使用者がネックサポート1を扱い易いというメリットがある。
【0023】
図1に示すネックサポート1では、上部シート材5と下部シート材6が接合されて接合部24が形成されており、ネックサポート1の側面部分に接合部24が形成されている。図6(a)に示す様に、接合部24の高さ位置は、ネックサポート1の全高の半分の高さよりも高い位置にあり、本実施形態では、ネックサポート1の全高の三分の二程度の高さ位置である。すなわち、上部シート材5がネックサポート1の上から三分の一程度の領域部分を覆っており、下部シート材6がネックサポート1の下から三分の二程度の領域部分を覆っている。
【0024】
以上説明した様に構成されたネックサポート1は、図7乃至図9に示す様に、座席11のシートバック12とヘッドレスト13の間に設置される。
すなわち、ネックサポート1の固定孔4にステー14が挿通されており、基部2がシートバック12とヘッドレスト13の間に配置されている。
そして、図9に示す様に、ヘッドレスト13とシートバック12の間でネックサポート1の基部2(変形部16)を押圧すると、基部2の内部空間の容積が減少し、基部2内の充填材10が押し出されて、支持部3側へ移動する。
【0025】
図2図3に示す様に、ネックサポート1内には充填材10が充填されており、上部シート材5と下部シート材6には張力が作用している。この状態で基部2が押圧されて、図4図5に示す様に基部2側から支持部3側へ充填材10が移動すると、伸縮し易い素材から成る下部シート材6が伸びる。換言すると、下部シート材6が充填材10によって内部側から押し拡げられることによって支持部3側の内容積が増大し、基部2側の一部の充填材10の、支持部3側への流入を受け入れることができるようになる。
【0026】
基部2が押圧されていない状態を示す図3の上部シート材5は、ネックサポート1の領域Bの範囲を覆っている。ところが、基部2が押圧されている状態を示す図5の上部シート材5も領域Bの範囲を覆っている。すなわち、基部2が押圧され、上部シート材5に負荷が作用しても、上部シート材5は伸縮しにくいため、上部シート材5が占める領域Bは変化しない。
【0027】
一方、基部2が押圧されていない状態を示す図3の下部シート材6は、ネックサポート1の領域Aの範囲を覆っているが、基部2が押圧されている状態を示す図5の下部シート材6は、領域Aよりも広い領域A'の範囲を覆っている。すなわち、下部シート材6は、充填材10によって内部側から押圧力を受けて押し拡げられ、覆う範囲が拡がっている。
【0028】
すなわち、基部2側から支持部3側へ一部の充填材10が移動することにより、主に下部シート材6が伸び、下部シート材6側が膨張する。その結果、ネックサポート1は、上部側が膨張せずに突っ張り、下部側のみが膨張し、支持部3の突出部9a,9bが前端側(先端側)へいくほど上方に反り返り、図6(b),図9に示す状態となる。
【0029】
図6(a)では、基部2が押圧されておらず、基部2の高さ寸法が大きい状態が描写されている。このとき、支持部3の上部シート材5,下部シート材6には、内部から充填材10による過度な押圧力が作用していない。
【0030】
図6(b)では、基部2が押圧されて高さ寸法が減少し、基部2の内容積が減少して基部2内の充填材10が支持部3側へ押し出され、支持部3における下部シート材6が内側から充填材10に押し拡げられて下部シート材6側が膨張している。また、上部シート材5も充填材10によって内部から押圧力を受けているが、上部シート材5は伸縮しにくい素材で形成されているため変形せず、押圧力に耐えて突っ張っている。
その結果、下部シート材6のみが押し拡げられて膨張し、支持部3の突出部9a,9bが反り上がる。
【0031】
着座者(図示せず)の頸部は、頸部配置部8内に配置することができる。
ネックサポート1の支持部3内では、充填材10同士が強力に押圧されており、支持部3の先端部分が上方へ反り返っているので、座席11の着座者の頸部は上方へ持ち上げられ、着座者の姿勢が安定する。
【0032】
また、頸部の側方には充填材10が過密状態となった支持部3の突出部9a,9bがあり、突出部9a,9bが上方に反り返って突っ張っているので、外力が作用しても容易に折れ曲がることはなく、ネックサポート1は、着座者の頸部の後方を後部15で支持し、頸部の側方を突出部9a,9bで確実に支持することができる。
【0033】
ヘッドレスト13を上方に移動させ、基部2がシートバック12とヘッドレスト13の間で押圧されなくなると、基部2は図6(a)に示す様な元の形状に戻る。すなわち、支持部3内の加圧されている充填材10の一部が、基部2内にもどる。
【0034】
図示していないが、基部2の内部空間と支持部3の内部空間の境界を仕切る別のシート材を設けてもよい。この別のシート材は、基部2側から見て凹凸(支持部3側から見て凸凹)となる様に変形することができるものである。具体的には、この別のシート材は、弾性を有しているか、又はたるみを有したものである。すなわち、基部2内の充填材10と、支持部3内の充填材10は、互いに混ざり合うことはないが、基部2が押圧されて内部容積が小さくなると、基部2内の一部の充填材10が、境界にある別のシート材を支持部3側へ押し出しながら支持部3の領域内に侵入する。
換言すると、基部2内の充填材10が境界にある別のシート材を越えて支持部3側へ移動することや、支持部3側の充填材10が境界にある別のシート材を越えて基部2側へ移動することはない。
また、基部2の押圧が解除され、基部2の内部容積が復元すると、支持部3内の過密状態(加圧状態)の充填材10によって別のシート材及び支持部3の領域内に侵入していた充填材10が基部2側へ押し戻される。
【0035】
また、図示していないが、支持部3の後部15に襠(マチ)を設けるのが好ましい。後部15に襠を設けると、着座者の頸部の後ろ側の部位との接触面積を大きく確保することができ、頸部の支持が安定する。
【0036】
次に、本発明の別の実施形態のネックサポート21について説明する。
図10(a)は、本発明の別の実施形態に係るネックサポート21の平面図である。図10(a)に示すネックサポート21は、図1に示すネックサポート1と同様の外観を有しているが、ネックサポート1の上部シート材5,下部シート材6の代わりに、外側シート材22,内側シート材23を有している。
ここでは、図1のネックサポート1と同じ構成には同じ符号を付している。
【0037】
外側シート材22は、支持部3における略C字形の主に外周部分を覆っている。
内側シート材23は、支持部3における略C字形の主に内周部分を覆っている。
具体的には、外側シート材22が支持部3のC字の外周側の全領域のうちの半分以上の領域を占めており、また、内側シート材23が支持部3の内周側の全領域のうちの半分以上の領域を占めている。
外側シート材22は、内側シート材23よりも伸縮しにくい素材で形成されている。
すなわち、外側シート材22は、図1に示す上部シート材5と同様の素材で形成されており、内側シート材23は、下部シート材6と同様の素材で形成されている。
ネックサポート21の基部2及び支持部3は中空構造であり、袋状に構成されている。
そして、ネックサポート21の内部には充填材10が充填されている。
【0038】
この様なネックサポート21の基部2を押圧すると、基部2内の充填材10(図示せず)が支持部3側へ移動し、外側シート材22,内側シート材23には内部から押圧力が作用する。このとき外側シート材22は押圧力に耐えて突っ張り、内側シート材23は押し拡げられて膨張する。そのため、図10(b)に示す様に、突出部9a,9bが互いに接近する方向に移動する。
【0039】
図10(b)では、ネックサポート21は、突出部9a,9bの先端同士が接触し、頸部配置部8の周囲が完全に囲まれた状態となっている。すなわち、頸部配置部8に着座者の頸部が配置されると、当該頸部の全周囲がネックサポート21によって確実に支持される。この場合には、着座者は、頸部を前後左右共に良好に支持される。
【0040】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係るネックサポート31について説明する。
図11に示すネックサポート31では、基部32を非変形部32aと弾性変形部32bとで構成している。基部32全体が、図7に示すヘッドレスト13とシートバック12の間で押圧挟持される。
【0041】
非変形部32aは、剛性を有する板部材で構成されている。非変形部32aの幅方向の両側には、切欠部34a,34bが設けられている。切欠部34a,34bは、図7に示すヘッドレスト13のステー14に係合する部位であり、ネックサポート1の基部2の固定孔4の代わりに非変形部32aに設けられている。
【0042】
基部32に切欠部34a,34bを設けることによって、図7に示す様にヘッドレスト13をシートバック12から取り外さなくても、ネックサポート31をステー14に装着することができる。
【0043】
弾性変形部32bは、図1に示す基部2と同様の素材で構成されており、図11では、基部32の弾性変形部32bと支持部33の境界に便宜的に破線を引いている。弾性変形部32bは支持部33と連続しており、内部には図2に示す様な充填材10が充填されている。すなわち、弾性変形部32bは、袋の一部を構成しており、押圧すると内容積が減少する様に変形し、弾性変形部32bの内部から充填材10の一部又は全部が押し出される。
【0044】
図11に示す様に、支持部33は、後部35と突出部39a,39bを有しており、略C字形状を呈している。支持部33の後部35は、基部32の弾性変形部32bと連続する部位である。
【0045】
支持部33の表面(外殻)は、上部側と主にC字の外周側を覆う上部外周側シート材37と、下部側と主にC字の内周側を覆う下部内周側シート材38とが接合部36で接合された構造を有している。
【0046】
図12(a)に示す様に、支持部33(ネックサポート31)の外周側では、上部外周側シート材37が領域Cの範囲を占めており、下部内周側シート材38が領域Dの範囲を占めている。領域Cの高さ範囲は、支持部33の全高の半分以上を占めており、本実施形態では、領域Dの高さ範囲の3倍程度である。
【0047】
また、支持部33(ネックサポート31)の内周側では、上部外周側シート材37が領域Eの範囲を占めており、下部内周側シート材38が領域Fの範囲を占めている。領域Eの高さ範囲は、支持部33の全高の半分以下であり、本実施形態では、領域Fの高さ範囲の3分の1程度である。
【0048】
すなわち、上部外周側シート材37は、支持部33(ネックサポート31)の外周側の4分の3程度の範囲と、内周側の4分の1程度の範囲を覆っている。また、下部内周側シート材38は、支持部33(ネックサポート31)の外周側の4分の1程度の範囲と、内周側の4分の3程度の範囲を覆っている。
よって、外周側の接合部36の高さ位置は、内周側の接合部36の高さ位置よりも低い。
【0049】
支持部33は、図11に示す様に、後部35,突出部39a,39bが略C字形状に繋がった構造を有しており、支持部33の内周側には頸部配置部30が形成されている。すなわち、支持部33は、頸部配置部30の略全周囲を取り巻いている。
【0050】
支持部33は中空構造を有しており、内部には充填材10が充填されている。
基部32側にある充填材10の一部又は全部が支持部33側へ移動すると、支持部33における伸縮し易い素材で形成された下部内周側シート材38が押し拡げられ、支持部33が膨張し、支持部33が上方へ反り返ると共に、内周側に膨張して頸部配置部30の大きさが小さくなる。
【0051】
本実施形態のネックサポート31は、下面側とC字の内周面側を伸縮し易い素材のシート材で形成し、上面側とC字の外周面側を伸縮しにくい素材のシート材で形成している。
すなわち、この場合には、基部32側から支持部33側へ充填材10が移動すると、図12(b)に示す様に、下面側とC字の内周面側とが膨張し、支持部33(突出部39a,39b)が上方へ反り返ると共に、頸部配置部30の大きさが小さくなるようにネックサポート31は変形する。
【0052】
本発明に係るネックサポートは、シートバックとヘッドレストとが接近及び離間することができる座席に装着して使用することができるが、特に、自動車等の車両の助手席や、後部座席等に装着して使用するのが好ましい。なお、ネックサポートを自動車等の運転席に装着するのは、運転者の視界を遮る恐れがあり、推奨されない。
【符号の説明】
【0053】
1,21,31 ネックサポート
2,32 基部
3,33 支持部
4 固定孔
5 上部シート材
6 下部シート材
8 頸部配置部(頸部が配置される空間)
9a,9b,39a,39b 一対の突出部
10 充填材
22 外側シート材
23 内側シート材
24 接合部(上部シート材と下部シート材の境界)
34a,34b 切欠部
37 上部外周側シート材
38 下部内周側シート材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12