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特開2017-171202クラッシュボックスおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-171202(P2017-171202A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】クラッシュボックスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/34 20060101AFI20170901BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20170901BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20170901BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   B60R19/34
   B62D21/15 C
   F16F7/00 J
   F16F7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-61400(P2016-61400)
(22)【出願日】2016年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 孝信
(72)【発明者】
【氏名】林 貴文
(72)【発明者】
【氏名】中條 克彦
(72)【発明者】
【氏名】北 恭一
(72)【発明者】
【氏名】正保 順
(72)【発明者】
【氏名】大林 環
(72)【発明者】
【氏名】松井 恭輔
【テーマコード(参考)】
3D203
3J066
【Fターム(参考)】
3D203CA37
3D203CA73
3D203CA74
3J066AA23
3J066BA03
3J066BB01
3J066BC03
3J066BF02
3J066BG08
(57)【要約】
【課題】車両の衝突時の衝突エネルギをより適切に吸収する。
【解決手段】クラッシュボックス10は、車両のサイドメンバに取り付けられる台座部12と、台座部12から立ち上がる円錐台部14と円錐台部14から延びて先端壁18がバンパリインフォースメントに取り付けられる円筒部16とを有する筒状部13とが、一体成形されている。また、筒状部13は、円筒部16の側壁が円錐台部14の側壁よりも厚みが小さくなるよう形成されている。これにより、円筒部16よりも円錐台部14の剛性を高めることができるから、比較的広範囲の衝突方向に対して円筒部16の変形(潰れ)を促して、衝突エネルギを吸収することができる。また、このようなクラッシュボックス10が一体成形されているから、車両の衝突時に意図しない箇所(接合部分など)でクラッシュボックス10が折損するのを抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内外方向に配置される2つの部材間に設けられ、前記車両の衝突時に変形して衝突エネルギを吸収するクラッシュボックスであって、
前記2つの部材の一方に取り付けられる台座部と、
前記台座部から立ち上がる基端部と、前記基端部から延びて底部をなす先端壁が前記2つの部材の他方に取り付けられる延在部と、を有し、前記台座部と一体成形された有底の筒状部と、
を備え、
前記筒状部は、前記延在部の側壁が前記基端部の側壁よりも厚みが小さくなるよう形成されている
クラッシュボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッシュボックスであって、
前記筒状部は、前記基端部が前記延在部側から前記台座部側に向かうにつれて外径が大きくなるよう形成されている
クラッシュボックス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクラッシュボックスであって、
前記先端壁と、前記台座部とは、前記延在部の側壁よりも厚みが大きくなるよう形成されている
クラッシュボックス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のクラッシュボックスであって、
前記筒状部は、前記延在部の側壁に凹みが形成されている
クラッシュボックス。
【請求項5】
車両の内外方向に配置される2つの部材間に設けられ、前記車両の衝突時に変形して衝突エネルギを吸収するクラッシュボックスの製造方法であって、
一枚の金属板から台座部と前記台座部から立ち上がる有底の筒状部とを一体成形するよう深絞り加工を行う工程と、
前記深絞り加工で成形された前記筒状部において、前記台座部側における側壁の厚みよりも前記底側における側壁の厚みが小さくなるようしごき加工を行う工程と、
を含むクラッシュボックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突時に変形して衝突エネルギを吸収するクラッシュボックスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクラッシュボックスとしては、車両の前方に設けられるバンパリインフォースメントと、車両の側方に設けられる中空のサイドメンバ(サイドフレーム)との間に設けられ、車両の衝突時に変形することで衝突エネルギを吸収するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のクラッシュボックスは、鋼板を深絞りすることにより、先端が底付きで開口端の外周にフランジを有する筒状体に形成されており、先端の底部がバンパリインフォースメントに固定されると共にフランジがサイドメンバの開口端の外周に設けられた取付部に固定されている。また、筒状体の開口端からフランジまでは、バンパリインフォース側に谷状にカールした反転部として形成されている。このクラッシュボックスは、車両の衝突時には、反転部を起点として筒状体がサイドメンバ内に入り込んでいくようにターニング変形することで、衝突エネルギを吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−312401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したクラッシュボックスでは、車両の衝突時に、筒状体をサイドフレーム内に入り込ませるような正面方向の衝突力が生じた場合には、筒状体のターニング変形により衝突エネルギを適切に吸収することができる。しかしながら、車両の衝突時に生じる衝突力は、様々な方向となることが想定されるところ、斜め方向の衝突力が生じると、筒状体が横方向に折れ曲がりサイドフレーム内に入り込み難いものとなる場合がある。その場合、ターニング変形による衝突エネルギの吸収が十分にできない可能性がある。
【0005】
本発明のクラッシュボックスは、衝突エネルギをより適切に吸収することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクラッシュボックスは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のクラッシュボックスは、
車両の内外方向に配置される2つの部材間に設けられ、前記車両の衝突時に変形して衝突エネルギを吸収するクラッシュボックスであって、
前記2つの部材の一方に取り付けられる台座部と、
前記台座部から立ち上がる基端部と、前記基端部から延びて底部をなす先端壁が前記2つの部材の他方に取り付けられる延在部と、を有し、前記台座部と一体成形された有底の筒状部と、
を備え、
前記筒状部は、前記延在部の側壁が前記基端部の側壁よりも厚みが小さくなるよう形成されている
ことを要旨とする。
【0008】
本発明のクラッシュボックスは、車両の内外方向に配置される2つの部材の一方に取り付けられる台座部と、台座部から立ち上がる基端部と基端部から延びて底部をなす先端壁が2つの部材の他方に取り付けられる延在部とを有する筒状部とが、一体成形されている。また、筒状部は、延在部の側壁が基端部の側壁よりも厚みが小さくなるよう形成されている。これにより、延在部よりも基端部の剛性を高めることができるから、従来よりも広範囲の衝突に対して延在部の変形(潰れ)を促して、衝突エネルギを吸収することができる。また、このような筒状部内で厚みの異なるクラッシュボックスが一体成形されたものとするから、強度の低い接合部分が生じるのを防止して、車両の衝突時にクラッシュボックスが意図しない箇所で折損するのを抑制することができる。この結果、車両の衝突時の衝突エネルギをより適切に吸収することができる。なお、例えば、車両の内外方向に配置される2つの部材の一方は、車両の側方に設けられるサイドメンバとすることができ、他方は、車両の前方に設けられるバンパリインフォースメントとすることができる。また、延在部は、基端部の立ち上がり方向と同方向に延びるものとすることができる。
【0009】
また、本発明のクラッシュボックスにおいて、前記筒状部は、前記基端部が前記延在部側から前記台座部側に向かうにつれて外径が大きくなるよう形成されているものとすることもできる。こうすれば、基端部の剛性をさらに高めることができ、相対的に延在部が変形し易いものとすることができるから、衝突エネルギをさらに適切に吸収することができる。
【0010】
また、本発明のクラッシュボックスにおいて、前記先端壁と、前記台座部とは、前記延在部の側壁よりも厚みが大きくなるよう形成されているものとすることもできる。こうすれば、車両の構成部材に取り付けられる先端壁や台座部の剛性を高めることができ、相対的に延在部が変形し易いものとすることができる。このため、車両の衝突時に車両の部材に取り付けられている箇所で意図しない変形が生じるのを防止して、衝突エネルギをさらに適切に吸収することができる。
【0011】
また、本発明のクラッシュボックスにおいて、前記筒状部は、前記延在部の側壁に凹みが形成されているものとすることもできる。こうすれば、車両の衝突時に凹みを起点として延在部の変形を引き起こすことができるから、延在部をさらに変形し易いものとすることができる。
【0012】
本発明のクラッシュボックスの製造方法は、
車両の内外方向に配置される2つの部材間に設けられ、前記車両の衝突時に変形して衝突エネルギを吸収するクラッシュボックスの製造方法であって、
一枚の金属板から台座部と前記台座部から立ち上がる有底の筒状部とを一体成形するよう深絞り加工を行う工程と、
前記深絞り加工で成形された前記筒状部において、前記台座部側における側壁の厚みよりも前記底側における側壁の厚みが小さくなるようしごき加工を行う工程と、
を含むことを要旨とする。
【0013】
本発明のクラッシュボックスの製造方法では、一枚の金属板から台座部と台座部から立ち上がる有底の筒状部とを一体成形するよう深絞り加工を行う工程と、深絞り加工で成形された筒状部において台座部側における側壁の厚みよりも底側における側壁の厚みが小さくなるようしごき加工を行う工程と、を含む。しごき加工により筒状部における底側の部分が側壁の厚みの小さな延在部として形成されると共に台座部側の部分が側壁の厚みの大きな基端部として形成され、底側の延在部よりも台座部側の基端部の剛性を高めることができるから、従来よりも広範囲の衝突に対して底側の延在部の変形(潰れ)を促して、衝突エネルギを吸収することができる。また、このような筒状部内で厚みの異なるクラッシュボックスを一枚の金属板から一体成形するから、強度の低い接合部分が生じるのを防止して、車両の衝突時にクラッシュボックスが意図しない箇所で折損するのを抑制することができる。これにより、車両の衝突時の衝突エネルギをより適切に吸収するクラッシュボックスを、複雑な加工工程を経ることなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例としてのクラッシュボックス10を含むバンパ装置1の外観を示す外観図である。
図2】クラッシュボックス10の外観斜視図である。
図3図2のA−A断面を示す断面図である。
図4】クラッシュボックス10を製造する様子を示す説明図である。
図5】クラッシュボックス10が車両の衝突により変形する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は本発明の一実施例としてのクラッシュボックス10を含むバンパ装置1の外観を示す外観図であり、図2はクラッシュボックス10の外観斜視図であり、図3図2のA−A断面を示す断面図である。なお、以下の説明中の前後、左右、上下方向は、図1図2に示す通りとする。
【0017】
実施例のバンパ装置1は、図1に示すように、車両の前方に幅方向(左右方向)に沿って設けられるバンパリインフォースメント2と、車両の側方に前後方向に沿って設けられるサイドメンバ4と、バンパリインフォースメント2の後面とサイドメンバ4の前面との間に設けられ車両の衝突時に変形することで衝突エネルギを吸収するクラッシュボックス10と、を備える。クラッシュボックス10は、左右に1つずつ設けられており、各クラッシュボックス10は、同じ構造であるため特に区別することなく説明する。
【0018】
クラッシュボックス10は、図2図3に示すように、挿通孔12aが四隅に形成された矩形平板状の台座部12と、台座部12から立ち上がる中空の筒状部13とが、一体成形された部材である。台座部12は、挿通孔12aに挿通されたボルトがサイドメンバ4に形成された雌ネジ孔に締結されることで、サイドメンバ4に固定される。また、筒状部13は、台座部12から略円錐台状に立ち上がる円錐台部14と、円錐台部14の立ち上がり方向と同方向(前方)に円錐台部14から円筒状に延びる円筒部16と、を備え、有底の筒状に形成されている。
【0019】
筒状部13の円錐台部14は、台座部12側から円筒部16側に向かうにつれて外径が小さくなっている(円筒部16側から台座部12側へ向かうにつれて外径が大きくなっている)。円筒部16の底部をなす先端壁18には、雌ネジ孔としての2つの締結孔18aが形成されている。先端壁18は、バンパリインフォースメント2に形成された挿通孔に挿通されたボルトが先端壁18の締結孔18aに締結されることで、バンパリインフォースメント2に固定される。また、円筒部16は、側壁に複数の凹み16aが形成されている。なお、図3では、凹み16aの図示を省略した。
【0020】
クラッシュボックス10は、図3に示すように、円筒部16の側壁の厚みt1が、円錐台部14の側壁の厚みt2よりも小さいものとなっている。また、実施例では、円筒部16の先端壁18の厚みt3と、台座部12の厚みt4とが、いずれも円錐台部14の厚みt2と同等の厚みとなっている。即ち、円筒部16の先端壁18の厚みt3と、台座部12の厚みt4とが、円筒部16の側壁の厚みt1よりも大きいものとなっている。
【0021】
ここで、図4は、クラッシュボックス10を製造する様子を示す説明図である。本実施例のクラッシュボックス10は、素材である一枚の金属板P(図4(a))に対し、深絞り加工を行う深絞り工程と、しごき加工を行うしごき工程とを経て、一体的に形成されるものである。金属板Pとしては、例えばSPCDなどの冷間圧延鋼板を用いることができる。
【0022】
深絞り工程では、複数段階に亘る深絞り加工が行われる。図4では、一例として図4(b)〜(d)の3段階の深絞り加工を示すが、1段階としたり、2段階あるいは4段階以上の複数段階としたりしてもよい。各段階では、いずれも図示しないダイスとパンチとを用いて所定の形状となるよう深絞り加工が行われる。例えば、図4(b)の第1段階では、金属板Pから大径の底付き円筒状のワーク10Aが形成される。図4(c)の第2段階では、円筒状の部分の外径を小さくして深さ(高さ)を高くしたワーク10Bが形成される。図4(d)の第3段階では、円筒状の部分を円筒部16に相当する部分の外径と円錐台部14に相当する部分の外径とに分けた段付き円筒状のワーク10Cが形成される。なお、段階が進むにつれて小さな径のパンチを用いて深絞り加工が行われる。
【0023】
こうして深絞り加工により形成されたワーク10Cに対し、図4(e)では筒状部に相当する部分のうち先端側(底側)の側壁の厚みを小さくするしごき加工が行われる。図4(e)においても、図示しないダイスとパンチとを用いて、円筒部16に相当する部分の側壁の厚みが所定の厚み(厚みt1)まで薄くなると共に所定の高さまで延びるようにしごき加工が行われる。また、しごき加工が行われたワーク10Dに対し、図示は省略するが、円錐台部14に相当する部分の径を押し広げて円錐台部14の形状を形成し、フランジ部分をレーザ加工によりトリミングしてから縁部を曲げることにより台座部12の形状を形成する。さらに、円筒部16に相当する部分の側壁に複数の凹み16aを形成したり、台座部12に挿通孔12aを形成したり、筒状部13の先端壁18に締結孔18aを形成したりすることにより、クラッシュボックス10が完成する。
【0024】
次に、実施例のクラッシュボックス10が変形する様子を説明する。図5は、クラッシュボックス10が車両の衝突により変形する様子を示す説明図である。図示するように、衝突によりバンパリインフォースメント2がサイドメンバ4側に押し込まれると、クラッシュボックス10は、円錐台部14よりも厚みが小さいために剛性の低い円筒部16から潰れ始める(変形し始める)ものとなる(図5(a)〜(c))。また、上述したように、先端壁18の厚みt3や台座部12の厚みt4は、円筒部16の厚みt1よりも厚く、剛性が高いため、円筒部16よりも変形の度合いが小さなものとなっている。そして、円筒部16が殆ど潰れると(図5(d))、円錐台部14が潰れ始めるものとなる(図5(e),(f))。クラッシュボックス10は、一体成形されており、強度の低い接合部分がないため、接合部分などの強度の低い部分で意図しない折損が生じることがない。また、円錐台部14よりも円筒部16の厚みを小さくすることで、円筒部16の変形を促すことができる。なお、図5では、バンパリインフォースメント2が傾くことなくサイドメンバ4側に平行に押し込まれる様子を示しているが、バンパリインフォースメント2が傾きながら押し込まれる場合であっても、衝突荷重が円筒部16に作用して円筒部16から変形し始めるものとなる。したがって、比較的広範囲の衝突方向に対して円筒部16の変形(潰れ)を促して、衝突エネルギを吸収することができる。
【0025】
以上説明した本実施例のクラッシュボックス10は、サイドメンバ4に取り付けられる台座部12と、台座部12から立ち上がる円錐台部14と円錐台部14から延びて先端壁18がバンパリインフォースメント2に取り付けられる円筒部16とを有する筒状部13とが、一体成形されている。また、筒状部13は、円筒部16の側壁が円錐台部14の側壁よりも厚みが小さくなるよう形成されている。これにより、円筒部16よりも円錐台部14の剛性を高めることができるから、比較的広範囲の衝突方向に対して円筒部16の変形(潰れ)を促して、衝突エネルギを吸収することができる。また、このようなクラッシュボックス10が一体成形されているから、車両の衝突時に意図しない箇所でクラッシュボックス10が折損するのを抑制することができる。この結果、車両の衝突時の衝突エネルギをより適切に吸収することができる。
【0026】
また、筒状部13は、円錐台部14が円筒部16側から台座部12側に向かうにつれて外径が大きくなるよう形成されており、円錐台部14の剛性を高めて円筒部16が変形し易いものとすることができるから、衝突エネルギをさらに適切に吸収することができる。
【0027】
また、円筒部16の先端壁18と、台座部12とは、円筒部16の側壁よりも厚みが大きくなるよう形成されているため、サイドメンバ4やバンパリインフォースメント2への取り付け箇所の剛性を高めることができる。このため、車両の衝突時にサイドメンバ4やバンパリインフォースメント2への取り付け箇所で意図しない変形が生じるのを防止して、衝突エネルギをさらに適切に吸収することができる。
【0028】
また、筒状部13は、円筒部16の側壁に凹み16aが形成されており、車両の衝突時に凹み16aを起点として円筒部16の変形を引き起こすことができるから、円筒部16をさらに変形し易いものとすることができる。
【0029】
また、本実施例では、一枚の金属板から台座部12と筒状部13とに相当する部分を一体成形するよう深絞り加工を行う工程と、深絞り加工で成形された筒状部13に相当する部分において台座部側における側壁の厚みよりも先端側における側壁の厚みが小さくなるようしごき加工を行う工程と、を含む製造方法により、上述した効果を奏するクラッシュボックス10を比較的簡易な加工で製造することができる。
【0030】
実施例のクラッシュボックス10では、円錐台部14が台座部12から略円錐台状に立ち上がるものとしたが、これに限られず、円錐台部14が台座部12から角錐台状(例えば四角錐台状など)に立ち上がるものなどとしてもよい。また、円錐台部14が、円筒部16側から台座部12側へ向かうにつれて外径が大きくなるものとしたが、これに限られず、略一定の外径で立ち上がるもの(例えば円筒状や角筒状など)としてもよい。また、このようにする場合、円錐台部14の外径を円筒部16よりも大きくして筒状部13を段付き円筒状とするものとしてもよい。
【0031】
実施例のクラッシュボックス10では、先端壁18の厚みt3と、台座部12の厚みt4とは、円錐台部14の厚みt2と同等の厚みとすることで円筒部16の側壁の厚みt1よりも大きな厚みに形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、先端壁18の厚みt3と、台座部12の厚みt4とは、円錐台部14の厚みt2よりも大きな厚みに形成されているものとしてもよいし、円錐台部14の厚みt2よりも小さく円筒部16の側壁の厚みt1よりも大きな厚みに形成されているものとしてもよい。あるいは、先端壁18の厚みt3と、台座部12の厚みt4とのうち少なくともいずれか一方が、円筒部16の側壁の厚みt1と同等の厚みに形成されているものなどとしてもよい。
【0032】
実施例のクラッシュボックス10では、筒状部13の円筒部16の側壁に複数の凹み16aが形成されているものとしたが、これに限られず、一つの凹み16aが形成されているものとしてもよい。あるいは、このような凹み16aが形成されていないものとしてもよい。
【0033】
実施例のクラッシュボックス10は、深絞り加工を行う工程と、しごき加工を行う工程とを含む製造方法により製造されるものとしたが、これに限られず、後方押し出し加工や機械加工などの他の加工を含む製造方法により製造されるものとしてもよい。
【0034】
実施例のクラッシュボックス10は、サイドメンバ4に台座部12が取り付けられる(固定される)と共にバンパリインフォースメント2に先端壁18が取り付けられる(固定される)ものとしたが、これに限られず、車両の内外方向に配置される2つの部材間のうち一方に台座部12が取り付けられ他方に先端壁18が取り付けられるものであればよい。また、クラッシュボックス10がボルトで取り付けられるものに限られず、溶接など他の方法で取り付けられるものとしてもよい。
【0035】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クラッシュボックス10が「クラッシュボックス」に相当し、台座部12が「台座部」に相当し、円錐台部14が「基端部」に相当し、円筒部16が「延在部」に相当し、筒状部13が「筒状部」に相当する。また、凹み16aが「凹み」に相当する。
【0036】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、クラッシュボックスの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 バンパ装置、2 バンパリインフォースメント、4 サイドメンバ、10 クラッシュボックス、10A〜10D ワーク、12 台座部、12a 挿通孔、13 筒状部、14 円錐台部(基端部)、16 円筒部(延在部)、16a 凹み、18 先端壁、18a 締結孔、P 金属板。
図1
図2
図3
図4
図5