【課題】回動操作によって押下可能状態と非押下可能状態とに切り替えることができる押し下げ式の操作ボタンに対して回動方向に過大な力が作用した場合に、コストアップや操作性の悪化を招くことなく、各部の破損を抑制できる。
【解決手段】操作ボタン20の外面には当接面が設けられている。筒状カバー40には、操作ボタンの当接面と隙間をあけた状態で対向するように配置されるボタン支持壁部46が設けられている。操作ボタン20に対して所定以上の回動力が作用したときに当接面がボタン支持壁部46に当接して支持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、操作ボタンを吐出管の中心線周りに回動させることによって押下可能状態と非押下可能状態とに切り替えることができるので、使用者による切替操作が素早くかつ簡単に、しかも確実に行える。そして、使用しないときに非押下可能状態にしておくことで操作ボタンをロックすることができるので安全性が高まり、また、使用するときにはすぐに押下可能状態に切り替えて薬剤を噴射させることができるので利便性も高い。つまり、操作ボタンを吐出管の中心線周りに回動操作することによって押下可能状態と非押下可能状態とに切り替える構成を採用したいという要求がある。
【0007】
ところが、特許文献1の容器が例えば床に落下した場合を想定すると、操作ボタンのノズルがカバー筒の外部へ突出しているのでノズルが床面に直接当たって該ノズルに衝撃力が作用し、そのときの衝撃力の方向によっては操作ボタンを吐出管周りに回動させる衝撃力として作用することが考えられる。この衝撃力によって操作ボタンのフランジから突出している突部が、筒部材の突出筒部の張り出し部の内側面に強く当接し、これにより、突部に過大な力が加わって突部が損傷する恐れがある。
【0008】
また、使用者が操作ボタンを回動操作する際、操作ボタンのノズルが突出していることからノズルを持つようにして力を加えることが考えられる。このノズルは操作ボタンの回動中心線の径方向に突出しているので、使用者が意図していなくても操作ボタンに対して過大な回動力が加わってしまいがちであり、このことによっても操作ボタンの突部が損傷する恐れがある。
【0009】
上述したような過大な力が作用した際に操作ボタンの突部の損傷を防止するためには、突部の数を増やして力を分散させることが考えられる。しかしながら、突部の数を増やした場合にはコストアップに加えて筒部材との摺動抵抗が増加して操作性の悪化を招く懸念がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回動操作によって押下可能状態と非押下可能状態とに切り替えることができる押し下げ式の操作ボタンに対して回動方向に過大な力が作用した場合に、コストアップや操作性の悪化を招くことなく、各部の破損を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに、筒状カバーの支持壁部によって操作ボタンの外面を支持するようにした。
【0012】
第1の発明は、
押動操作されることによって内容物を吐出する吐出管が設けられた容器本体と、
上記吐出管に嵌合し、該吐出管を押動操作する押し下げ式の操作ボタンと、
上記容器本体に取り付けられ、上記操作ボタンの周囲を囲むように形成された筒状カバーとを備え、
上記操作ボタンを上記吐出管の中心線周りに回動操作することにより、押し下げ可能な押下可能状態と、押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成された操作ボタン付き容器において、
上記操作ボタンには、上記吐出管に連通するノズル部が上記吐出管の中心線と交差する方向に突出するように設けられ、
上記操作ボタンの外面には、上記吐出管の中心線方向に延びる当接面が設けられ、
上記筒状カバーには、押下可能状態にある上記操作ボタンの上記当接面と隙間をあけた状態で対向するように配置されるとともに、上記吐出管の中心線方向に延びるボタン支持壁部が設けられ、
上記操作ボタンに対して上記吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに上記当接面が上記ボタン支持壁部に当接して支持されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、押下可能状態にある操作ボタンを押し下げる際には、操作ボタンの当接面と筒状カバーのボタン支持壁部との間に隙間があるので、摺動抵抗が増大することはなく、良好な操作性が得られる。そして、吐出管を操作ボタンによって押動操作することで、内容物が操作ボタンのノズル部から吐出される。このとき、ノズル部が吐出管の中心線と交差する方向に突出しているので、内容物の吐出方向をノズル部によって容易に定めることが可能になる。
【0014】
一方、ノズル部が上述のように突出していることから、例えば容器を落下等させた場合にはノズル部に衝撃力が加わって操作ボタンに対して回動方向に過大な力が作用することが考えられる。この発明では、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用すると、操作ボタンの外面に設けられている当接面が筒状カバーのボタン支持壁部に当接して支持される。このとき、当接面及びボタン支持壁部が共に吐出管の中心線方向に延びているので、接触面積が広く確保されて力が分散して作用することになる。これにより、各部の破損が抑制される。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
上記操作ボタンの外面には、被案内部が突出するように設けられ、
上記筒状カバーには、上記被案内部が挿入され、該被案内部を上記吐出管の中心線方向に案内する案内用開口部が該中心線方向に延びるように形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、操作ボタンを押し下げる際には、操作ボタンの被案内部が筒状カバーの案内用開口部によって吐出管の中心線方向に案内されるので、操作ボタンの押し下げ方向が吐出管の中心線方向と略一致するようになる。これにより、操作ボタンの操作性が良好になる。
【0017】
本発明では、被案内部を案内用開口部に挿入する構成としているので、操作ボタンに対して回動方向に過大な力が作用すると、案内用開口部の周縁部が変形したり、被案内部が変形してしまい、操作ボタンを狙いとする方向に案内することができなくなることが考えられるが、そのような回動力が作用したときには、上述したように操作ボタンの当接面が筒状カバーのボタン支持壁部に当接して支持されるので、案内用開口部の周縁部や被案内部には無理な力が作用しにくくなる。
【0018】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記操作ボタン及び上記筒状カバーは、上記容器本体の上側に設けられており、
上記ノズル部は、上記操作ボタンから斜め上方へ突出し、該ノズル部の先端部は、上記筒状カバーの上端部よりも上方に位置していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、ノズル部が斜め上方へ突出し、かつ、該ノズル部の先端部が筒状カバーの上端部よりも上方に位置しているので、内容物を容器本体の上方へ向けて容易に吐出させることが可能になる。一方、ノズル部の先端部が筒状カバーの上端部よりも上方に位置していることでノズル部に対して無理な力が作用しやすくなることが考えられるが、無理な力が作用したとしても、上述したように操作ボタンの当接面が筒状カバーのボタン支持壁部に当接して支持されるので、各部の破損が抑制される。つまり、第1の発明の作用効果がより一層顕著なものになる。
【0020】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記筒状カバーの周壁部には、上記ノズル部が挿入される切欠部が設けられ、
上記筒状カバーにおける上記切欠部の縁部には、上記ノズル部の外面と対向するように配置されるノズル支持壁部が設けられ、
上記操作ボタンに対して上記吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに上記ノズル部の外面が上記ノズル支持壁部に当接して支持されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用すると、ノズル部の外面が筒状カバーのノズル支持壁部に当接して支持される。これにより、上記回動力がノズル部にも分散されることになるので、各部の破損が抑制される。
【0022】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記操作ボタンの上記当接面は、上記吐出管の中心線周りに仮想円を描いたときに該仮想円の接線方向に延びていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、操作ボタンの当接面が接線方向に延びる形状となる。すなわち、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに、ボタン支持壁部によって当接面が確実に支持される。
【0024】
第6の発明は、第5の発明において、
上記操作ボタンには、使用者の指が置かれる指載置面が形成され、
上記操作ボタンの上記当接面は、上記操作ボタンの側面において上記ノズル部の基端部を挟むように位置する第1当接面と第2当接面とで構成され、該第1当接面及び該第2当接面は、上記ノズル部の基端部から離れるに従って互いの離間距離が長くなるように延び、
上記筒状カバーの上記ボタン支持壁部は、上記操作ボタンの上記第1当接面と対向するように配置される第1ボタン支持壁部と、上記操作ボタンの上記第2当接面と対向するように配置される第2ボタン支持壁部とで構成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、ノズル部の基端部を挟むように第1当接面及び第2当接面が位置しているので、操作ボタンに対して吐出管の中心線周り一方及び他方の何れの方向に過大な回動力が作用しても、第1当接面または第2当接面が第1ボタン支持壁部または第2ボタン支持壁部に当接することで確実に支持される。
【0026】
そして、第1当接面及び第2当接面の離間距離がノズル部の基端部から離れるに従って長くなっているので、操作ボタンの上面に形成されている指載置面の形状が、反ノズル部側へ向かって拡大する形状となる。これにより、指載置面に指を置きやすくなる。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、操作ボタンの外面に吐出管の中心線方向に延びる当接面を設け、筒状カバーに操作ボタンの当接面と隙間をあけた状態で対向するように配置されるボタン支持壁部を設け、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに、ボタン支持壁部によって当接面を支持することができる。これにより、コストアップや操作性の悪化を招くことなく、各部の破損を抑制できる。
【0028】
第2の発明によれば、操作ボタンの被案内部が挿入される案内用開口部を筒状カバーに形成したので、操作ボタンの操作性を良好にすることができる。そして、操作ボタンに対して回動方向に過大な力が作用した場合に、筒状カバーのボタン支持壁部によって操作ボタンの当接面を支持ようにしているので、案内用開口部の周縁部や被案内部には無理な力が作用しにくくなり、それらの変形を未然に防止できる。
【0029】
第3の発明によれば、ノズル部の先端部が筒状カバーの上端部よりも上方に位置しているので、内容物を容器本体の上方へ向けて容易に吐出させることができる。また、この構成によってノズル部に対して無理な力が作用しやすくなったとしても、上述したように操作ボタンの当接面を筒状カバーのボタン支持壁部によって支持して各部の破損を抑制できるので、第1の発明の作用効果がより一層顕著なものになる。
【0030】
第4の発明によれば、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときにノズル部の外面を筒状カバーのノズル支持壁部によって支持することができる。これにより、回動力をノズル部にも分散できるので、各部の破損を抑制できる。
【0031】
第5の発明によれば、操作ボタンの当接面が、吐出管の中心線周りに仮想円を描いたときに該仮想円の接線方向に延びているので、操作ボタンに対して吐出管の中心線周りに所定以上の回動力が作用したときに、ボタン支持壁部によって当接面を確実に支持できる。
【0032】
第6の発明によれば、操作ボタンの側面に、ノズル部の基端部を挟むように第1当接面と第2当接面を設け、筒状カバーに第1ボタン支持壁部と第2ボタン支持壁部とを設けたので、操作ボタンに対して吐出管の中心線周り一方及び他方の何れの方向に過大な回動力が作用しても各部の破損を抑制できる。そして、第1当接面及び第2当接面の離間距離がノズル部の基端部から離れるに従って長くなっているので、操作ボタンに形成されている指載置面を、反ノズル部側へ向かって拡大する形状にすることができ、これにより、指載置面に指を置きやすくすることができ、操作性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る操作ボタン付き容器1の斜視図である。この操作ボタン付き容器1は、
図2〜
図5にも示すように、容器本体10と、押し下げ式の操作ボタン20と、容器本体10に取り付けられる筒状ベース30と、筒状ベース30に取り付けられる筒状カバー40とを備えている。そして、操作ボタン20及び筒状カバー40を容器本体10の吐出管13の中心線A(
図5に示す)周りに回動操作することによって、操作ボタン20を押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタン20の押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成されている。
【0036】
尚、この実施形態の説明では、使用者が手で持って使用するときに使用者から見て左側及び右側をそれぞれ単に「左」及び「右」といい、使用者から見て手前側となる側を単に「後」といい、使用者から見て奥側となる側を単に「前」というものとする。
【0037】
(容器本体の構成)
容器本体10には、例えば害虫忌避剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤、除菌剤等の液状の薬剤(内容物)を収容することができ、これらのうち、1つだけ収容するようにしてもよいし、任意の複数種を混合して収容してもよい。また、容器本体10には、上記薬剤を噴射させるためのガス等からなる噴射剤(内容物)を収容することもできる。
【0038】
容器本体10の周壁部は円筒状に形成されており、外部から内容物の残量を把握できるように透光性を有している。
図5に示すように、容器本体10の上部には、バルブ機構(図示せず)を内蔵した閉塞部材12が固定されており、この閉塞部材12によって容器本体10の上部開口が閉塞されている。閉塞部材12の外径は、容器本体10の上下方向中間部の外径よりも十分に小さく設定されている。
【0039】
閉塞部材12に内蔵されているバルブ機構は従来から周知のものであり、上下方向に移動するとともに内容物を吐出するための吐出管13と、吐出管13を上方に付勢するバネ等からなる付勢部材(図示せず)と、弁体(図示せず)とを有している。吐出管13が上昇端位置にあるときには弁体によって吐出管13の下端部(上流端部)が閉じられて容器本体10の内部と吐出管13とが連通しないようになる一方、吐出管13が上昇端位置から下方へ押動操作されると吐出管13の下端部が開かれて容器本体10の内部と吐出管13とが連通して内容物が吐出管13の上端部から吐出されるように、上記バルブ機構が構成されている。
【0040】
尚、上述したバルブ機構は一例であり、吐出管13を押動操作することによって吐出管13から内容物を吐出可能にする構造のものであればよい。また、内容物を吐出する際の単位時間当たりの吐出量は任意に設定することができ、例えば霧状に吐出する噴射状態であってもよいし、垂れるように吐出する状態であってもよい。また、容器本体10に噴射剤を収容しない場合には、操作ボタン20によって操作される手動式ポンプを容器本体10に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
(操作ボタンの構成)
図6〜
図10に示す操作ボタン20は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されている。
図5に示すように、操作ボタン20は、吐出管13の上側に嵌合し、該吐出管13を押動操作するためのものであり、ボタン本体21と、ノズル部23とを有している。ノズル部23は、ボタン本体21の前部から突出している。
【0042】
図8等に示すように、ボタン本体21は、左側壁部24、右側壁部25、後壁部26及び上壁部27を有しており、
図10に示すように下方にのみ開放する中空状となっている。
図6、
図7、
図9等に示すように、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26は上下方向、即ち吐出管13の中心線A(
図10に示す)方向に延びていて、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26により、三角形に近い形状の周壁部が構成されている。すなわち、左側壁部24は、ボタン本体21の前端部から後側へ向かって延び、後側へ行くほど左側に位置している。右側壁部25は、左側壁部24の前端部に連続し、後側へ向かって延び、後側へ行くほど右側に位置している。
【0043】
また、
図8に示すように、左側壁部24及び右側壁部25の左右方向の離間距離はボタン本体21の後側へ行くほど長くなっている。左側壁部24の外面は、吐出管13の中心線A方向(上下方向)に延びる左側当接面(第1当接面)24aであり、右側壁部25の外面は、吐出管13の中心線A方向に延びる右側当接面(第2当接面)25aである。左側当接面24a及び右側当接面25aは、操作ボタン20の側面においてノズル部23の基端部(後端部)を挟むように位置し、また、左側壁部24及び右側壁部25の左右方向の離間距離がボタン本体21の後側へ行くほど長くなっているので、左側当接面24a及び右側当接面25aは、ノズル部23の基端部から離れるに従って互いの離間距離が長くなる。また、左側当接面24a及び右側当接面25aは、吐出管13の中心線A周りに仮想円を描いたときに、該仮想円の接線方向に延びている。
【0044】
左側当接面24aにおける前後方向中間部には、左側被案内部24bが設けられている。左側被案内部24bは、左側へ突出して吐出管13の中心線A方向に延びる板状をなしている。また、右側当接面25aにおける前後方向中間部には、右側被案内部25bが設けられている。右側被案内部25bは、右側へ突出して吐出管13の中心線A方向に延びる板状をなしている。
図6及び
図7に示すように、左側被案内部24b及び右側被案内部25bの下端部は、それぞれ左側壁部24及び右側壁部25の下端部に位置している。左側被案内部24b及び右側被案内部25bの上端部は、それぞれ左側壁部24及び右側壁部25の上下方向中間部に位置している。左側被案内部24b及び右側被案内部25bは、後述するが、筒状カバー40によって上下方向に案内される部分である。
【0045】
ボタン本体21の後壁部26は、左側壁部24の後端部から右側壁部25の後端部まで左右方向に延びており、全体として左右方向中央部が最も後側に位置するように後側に向けて湾曲している。
図6に示すように、後壁部26の上下方向中央部よりも下側には、後側へ突出する突起26a、26aが左右方向に間隔をあけて設けられている。後壁部26の下部には、左右方向の中央部に、下方に開放する切欠部26bが形成されている。この切欠部26bは、突起26a、26aの間に位置している。切欠部26bの左右両縁部は互いに平行に上下方向に延び、切欠部26bの上縁部は左右方向に延びている。
【0046】
ボタン本体21の上壁部27は、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26の上端部に連続している。
図9に示すように、上壁部27は、後側へ行くほど下に位置するように全体として傾斜しており、特に後側部分は後端に近づくほど下に位置するように湾曲形成されている。上壁部27の上面は、使用者の指が置かれる指載置面27aとされている。この指載置面27aは、平面視で、後側へ行くほど左右方向の寸法が長くなるように形成されており、指を後側から容易に置いて掛けることができるようになっている。
【0047】
図10に示すように、ボタン本体21の上壁部27の下面には、その中央部近傍から下方へ突出する嵌合筒部27bが設けられている。嵌合筒部27bの下側に、吐出管13の上側が挿入されて嵌合する。嵌合筒部27bが吐出管13に嵌合した状態で全周に亘ってシールされる。
【0048】
ボタン本体21の上壁部27の下面には、その前側に、通路形成部27cが下方へ膨出するように形成されている。通路形成部27cの内部には、嵌合筒部27bの上端部に連通する吐出通路27dが形成されている。吐出通路27dは、前側へ向かって延び、前側へ行くほど上に位置するように傾斜している。
【0049】
ノズル部23は、吐出管13の中心線Aと交差する方向である前側へ突出しており、前側へ行くほど上に位置するように傾斜している。ノズル部23は、その基端側が吐出通路27d及び嵌合筒部27bを介して容器本体10の吐出管13と連通している。ノズル部23の傾斜角度は、例えば吐出管13の中心線Aと直交する平面とのなす角度が5度以上45度以下の範囲で設定することができる。ノズル部23を傾斜させることで、内容物を斜め上方へ向けて効果的に吐出することが可能になる。
【0050】
図6〜
図9に示すように、ノズル部23の外面には、左側及び右側へ突出して該ノズル部23の中心線方向に延びる左リブ23a及び右リブ23bが形成されている。左リブ23a及び右リブ23bの基端部は、上壁部27に連続している。また、ノズル部23の外面には、上側及び下側へ突出して該ノズル部23の中心線方向に延びる上リブ23c及び下リブ23dが形成されている。上リブ23cの基端部は、上壁部27の前部に連続している。下リブ23dの基端部は、左側壁部24及び右側壁部25の前部に連続し、該左側壁部24及び右側壁部25の下端部まで延びている。
【0051】
(筒状ベースの構成)
図11〜
図17に示す筒状ベース30は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されている。筒状ベース30は、外筒部31と、外筒部31の内側に設けられる内筒部32と、環状板部33とを有している。外筒部31は、上下方向に延び、容器本体10の上下方向中間部の外径と略同じ外径を有する円筒状に形成されている。外筒部31の中心線は、吐出管13の中心線Aと略一致するようになっている。外筒部31の下端部は全体が開放され、容器本体10の上部が外筒部31の下端部から挿入される。
【0052】
外筒部31の上端部には環状板部33が連続している。環状板部33は、外筒部31の上端部から径方向内方へ向けて外筒部31の中心線と直交するように延び、周方向に連続する円環状をなしている。環状板部33の内方に容器本体10の上部が位置するようになっている。
【0053】
内筒部32は、環状板部33の内側から下方へ延びる円筒状をなしており、外筒部31と同心状に位置している。内筒部32の下端部は全体が開放され、容器本体10の上部が内筒部32の下端部から挿入される。内筒部32の外径は、外筒部31の内周面との間に隙間ができるように設定されている。内筒部32の内周面には、左右方向両側に突条部32a、32aが形成されている。突条部32a、32aは、容器本体10の上部に嵌合するようになっている。つまり、容器本体10の上部を内筒部32の下端部から挿入して突条部32a、32aを容器本体10の上部に嵌合させることによって筒状ベース30が容器本体10に取り付けられる。この状態で、吐出管13の上側は環状板部33よりも上方へ突出している。
【0054】
環状板部33の上面には、上方へ突出するとともに、外筒部31の中心線を中心とした円環状に延びる円環状壁部34が設けられている。円環状壁部34の外径は外筒部31の外径よりも小さく設定されており、これにより、筒状ベース30の外周面に段部30aが形成され、筒状カバー40の下側が筒状ベース30の外側に嵌合可能になる。円環状壁部34の後側には、上方へ突出する後側円弧板部35が設けられている。また、円環状壁部34の左側及び右側には、それぞれ、上方へ突出する左側円弧板部36及び右側円弧板部37が設けられている。左側円弧板部36と右側円弧板部37とは左右方向に離れている。また、左側円弧板部36及び右側円弧板部37は、後側円弧板部35から前方に離れている。左側円弧板部36及び右側円弧板部37の上端部は、後側円弧板部35の上端部よりも上方に位置している。後側円弧板部35、左側円弧板部36及び右側円弧板部37の円弧中心は、それぞれ外筒部31の中心線上に位置している。左側円弧板部36及び右側円弧板部37の間に操作ボタン20の下リブ23dが位置するようになっている。
【0055】
円環状壁部34の内周面の後側には、前側へ突出する後側突片34aが設けられている。後側突片34aは、環状板部33の上面から上方へ延びている。後側突片34aの上端部は、後側円弧板部35の上端部よりも下方に位置している。操作ボタン20が押下可能状態にあるときには操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bの直下方に後側突片34aが位置し、かつ、操作ボタン20が非押下可能状態にあるときには操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bから外れたところに後側突片34aが位置するように、後側突片34aの周方向の形成位置が設定されている。
【0056】
円環状壁部34の内周面の左側及び右側には、それぞれ、左側及び右側突片34b、34cが設けられている。左側突片34bは右側へ突出し、右側突片34cは左側へ突出している。左側及び右側突片34b、34cは、環状板部33の上面から上方へ延びている。左側及び右側突片34b、34cの上端部は、左側円弧板部36及び右側円弧板部37の上端部よりも下方に位置している。
【0057】
環状板部33の上面には、上方へ突出する前側円弧板部38が設けられている。前側円弧板部38は、環状板部33の内縁部に沿って延びており、環状板部33の略前半部にのみ設けられている。前側円弧板部38の左右方向中央部には、上方に開放する切欠部38aが形成されている。
【0058】
前側円弧板部38の左縁部及び右縁部には、それぞれ、上下方向に延びる左板部38b及び右板部38cが設けられている。左板部38bは、前側円弧板部38の左縁部から左側へ延び、円環状壁部34の内周面に連続している。左板部38bは、左側突片34bと略平行に延びている。右板部38cは、前側円弧板部38の右縁部から右側へ延び、円環状壁部34の内周面に連続している。右板部38cは、右側突片34cと略平行に延びている。押下可能状態にある操作ボタン20を押し下げると、左側被案内部24bが左板部38bと左側突片34bとの間に入り、右側被案内部25bが右板部38cと右側突片34cとの間に入る。
【0059】
前側円弧板部38には、左側連結リブ38dと右側連結リブ38eとが設けられている。左側連結リブ38d及び右側連結リブ38eは、それぞれ径方向に延びて前側円弧板部38と円環状壁部34とを連結している。
【0060】
円環状壁部34の外周面には、ベース側係合突部(ベース側係合部)39が設けられている。ベース側係合突部39は、後述するカバー側係合溝部42に入ることによって該カバー側係合溝部42に係合する部分であり、筒状ベース30のノズル部23側である前側から両側方(左右両側)に亘って連続して延びるように形成された突条で構成されている。ベース側係合突部39の左側端部及び右側端部は、それぞれ筒状ベース30の中心部よりも後側まで延びているが、これら両端部は連続することなく左右方向に離れている。従って、ベース側係合突部39は、筒状ベース30の反ノズル部23側(後側)には形成されないように、該後側において非連続となっている。ベース側係合突部39は、円環状壁部34の外周面に沿って延びているので、吐出管13の中心線A周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びている。
【0061】
筒状ベース30の後側には、ベース側係合突部39の非連続部分にストッパ部30bが設けられている。ストッパ部30bは、円環状壁部34の外周面から後側へ突出する凸部で構成されており、詳細は後述するが、非押下可能状態にある筒状カバー40に係合して操作ボタン20及び筒状カバー40の回動を停止させるためのものである。また、ストッパ部30bは、押下可能状態にある筒状カバー40に係合して操作ボタン20及び筒状カバー40の回動を停止させることもできるようになっている。
【0062】
円環状壁部34におけるストッパ部30bの周囲には、該ストッパ部30bを囲むように延びるスリット30cが形成されている。スリット30cは、ストッパ部30bの左側方を上下方向に延びる部分と、ストッパ部30bの右側方を上下方向に延びる部分と、これらの上端部同士を繋ぐように左右方向に延びる部分とで構成されており、これにより、円環状壁部34におけるストッパ部30bが形成された部分は、その下端部を基点として上側が前後方向(円環状壁部34の径方向)に撓み変形する可撓片30dとなる。この可撓片30dの変形は弾性変形である。
【0063】
図14に示すように、筒状ベース30の後側には、段部30aの下方に「LOCK」の文字からな非押下可能状態表示部30eと、「OPEN」の文字からなる押下可能状態表示部30fとが設けられている。詳細は後述するが、
図12等に示す筒状カバー40に設けられている目印部40aが、非押下可能状態表示部30eと一致したときに操作ボタン20が非押下可能状態であることを示す一方、筒状カバー40に設けられている目印部40aが、押下可能状態表示部30fと一致したときに操作ボタン20が押下可能状態であることを示すようになっている。
【0064】
(筒状カバーの構成)
図18〜
図23に示す筒状カバー40は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されたものであり、筒状ベース30に取り付けられた状態で操作ボタン20の周囲を囲むように形成されている。
【0065】
筒状カバー40の下側には、嵌合壁部41が設けられている。嵌合壁部41は、筒状ベース30の円環状壁部34の外側に嵌合する円環状に形成されており、嵌合壁部41の中心は、円環状壁部34の中心と一致するようになっている。嵌合壁部41の内周面には、カバー側係合溝部(カバー側係合部)42が設けられている。
【0066】
カバー側係合溝部42には、ベース側係合突部39が入るようになっている。カバー側係合溝部42にベース側係合突部39が入ることで、筒状ベース30と筒状カバー40とを中心線A方向に引き離すような力が作用した際に、カバー側係合溝部42の内面にベース側係合突部39の外面が当接して係合し、筒状ベース30から筒状カバー40が外れないようになっている。
【0067】
カバー側係合溝部42は、筒状カバー40のノズル部23側である前側から両側方(左右両側)に亘って連続して延びるように形成されている。カバー側係合溝部42の左側端部及び右側端部は、それぞれ筒状カバー40の中心部よりも後側まで延びているが、両端部は連続することなく左右方向に離れている。従って、カバー側係合溝部42は、筒状カバー40の反ノズル部23側(後側)には形成されないように、該後側において非連続となっている。カバー側係合溝部42は、嵌合壁部41の内周面に沿って延びているので、吐出管13の中心線A周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びている。また、カバー側係合溝部42の周方向の長さは、ベース側係合突部39の周方向の長さよりも長く設定されており、これにより、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42に非連続部分が存在していても、カバー側係合溝部42にベース側係合突部39が入った状態で、筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動可能になる。
【0068】
筒状カバー40の嵌合壁部41の内周面には、カバー側係合溝部42の非連続部分(後側部分)に凹部41a(
図21に外形を破線で示す)が形成されている。この凹部41a内に、上記筒状ベース30のストッパ部30bが配置されるようになっている。さらに、凹部41aの内面には、その左側及び右側にそれぞれ左側窪み部41b及び右側窪み部41c(
図21に外形を破線で示す)が形成されており、左側窪み部41bと右側窪み部41cとは嵌合壁部41の周方向に互いに離れている。左側窪み部41b及び右側窪み部41cには、筒状ベース30のストッパ部30bが入ることによって係合するようになっている。すなわち、筒状ベース30のストッパ部30bが左側窪み部41bに入るまで筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動すると、ストッパ部30bが左側窪み部41bに係合し、筒状カバー40の回動が停止する。この状態が、非押下可能状態であり、このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の非押下可能状態表示部30eと一致する。一方、筒状ベース30のストッパ部30bが右側窪み部41cに入るまで筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動すると、ストッパ部30bが右側窪み部41cに係合し、筒状カバー40の回動が停止する。この状態が、押下可能状態であり、このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の押下可能状態表示部30fと一致する。
【0069】
図18に示すように、筒状カバー40の嵌合壁部41の後側には、径方向内方へ突出して周方向に延びる突条部41dが形成されている。
図5に示すように、この突条部41dによって、筒状ベース30の後側円弧板部35の上端部が覆われている。また、図示しないが、操作ボタン20を筒状カバー40に仮に組み付けた状態では、操作ボタン20の突起26a、26aが突条部41dに対して上方から接触して係合するようになっている。
【0070】
図19に示すように、筒状カバー40の周壁部43の前側には、操作ボタン20のノズル部23が挿入される切欠部43aが設けられている。この切欠部43aは上方に開放している。切欠部43aの下側部分の幅は上側部分の幅よりも狭く設定されている。切欠部43aの下側部分には、ノズル部23の下リブ23dが入るようになっている。切欠部43aの上側部分の幅は、ノズル部23の左リブ23a及び右リブ23bが入ることが可能な幅となっている。
図1等に示すようにノズル部23の先端部は、切欠部43aから筒状カバー40の外部へ突出するように延び、筒状カバー40の上端部よりも上方に位置している(
図3参照)。
【0071】
図18に示すように、筒状カバー40の周壁部43の上端部には、左側上板部44と、右側上板部45とが設けられている。左側上板部44及び右側上板部45は、後側へ向かって下降傾斜している。左側上板部44には、周壁部43の内部に位置する左側ボタン支持壁部46が下方へ延びるように設けられている。左側ボタン支持壁部46は、押下可能状態にある操作ボタン20の左側当接面24aと隙間をあけた状態で対向するように配置されるとともに、上下方向、即ち吐出管13の中心線A方向に延びている。
【0072】
また、
図21に示すように、右側上板部45には、周壁部43の内部に位置する右側ボタン支持壁部47が下方へ延びるように設けられている。右側ボタン支持壁部47は、押下可能状態にある操作ボタン20の右側当接面25aと隙間をあけた状態で対向するように配置されるとともに、上下方向、即ち吐出管13の中心線A方向に延びている。
【0073】
左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47は、吐出管13の中心線A周りに仮想円を描いたときに、該仮想円の接線方向に延びている。そして、詳細は後述するが、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに左方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、操作ボタン20の左側当接面24aが左側ボタン支持壁部46に当接して支持され、一方、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに右方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、操作ボタン20の右側当接面25aが右側ボタン支持壁部47に当接して支持されるようになっている。
【0074】
図18に示すように、左側ボタン支持壁部46には、上記操作ボタン20の左側被案内部24bが挿入され、該左側被案内部24bを吐出管13の中心線A方向に案内する左側案内用開口部46aが該中心線A方向(上下方向)に延びるように形成されている。左側案内用開口部46aは左側ボタン支持壁部46に形成されたスリットで構成されていて、下端部は開放されている。操作ボタン20が押下可能状態にあるときに、左側案内用開口部46aの下端部は、筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間の直上方に位置している。
【0075】
図21に示すように、右側ボタン支持壁部47には、上記操作ボタン20の右側被案内部25bが挿入され、該右側被案内部25bを吐出管13の中心線A方向に案内する右側案内用開口部47aが該中心線A方向(上下方向)に延びるように形成されている。右側案内用開口部47aは右側ボタン支持壁部47に形成されたスリットで構成されていて、下端部は開放されている。操作ボタン20が押下可能状態にあるときに、右側案内用開口部47aの下端部は、筒状ベース30の右板部38cと右側突片34cとの間の直上方に位置している。
【0076】
筒状カバー40の周壁部43における切欠部43aの左縁部には、ノズル部23の左側の外面と対向するように配置される左側ノズル支持壁部48が設けられている。左側ノズル支持壁部48と、ノズル部23の左側の外面との間には所定の隙間が形成されていて、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、左側ノズル支持壁部48とノズル部23とが接触しないようになっている。左側ノズル支持壁部48は、左側ボタン支持壁部46と連続しており、左側ボタン支持壁部46は左側ノズル支持壁部48を介して周壁部43と一体化している。また、左側ノズル支持壁部48の下端部は、左側ボタン支持壁部46の下端部よりも上に位置している。
【0077】
筒状カバー40の周壁部43における切欠部43aの右縁部には、ノズル部23の右側の外面と対向するように配置される右側ノズル支持壁部49が設けられている。右側ノズル支持壁部49と、ノズル部23の右側の外面との間には所定の隙間が形成されていて、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、右側ノズル支持壁部49とノズル部23とが接触しないようになっている。右側ノズル支持壁部49は、右側ボタン支持壁部47と連続しており、右側ボタン支持壁部47は右側ノズル支持壁部49を介して周壁部43と一体化している。また、右側ノズル支持壁部49の下端部は、右側ボタン支持壁部47の下端部よりも上に位置している。
【0078】
そして、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りの左方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、ノズル部23の左側の外面が左側ノズル支持壁部48に当接して支持され、一方、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りの右方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、ノズル部23の右側の外面が右側ノズル支持壁部48に当接して支持される。
【0079】
(組立方法)
次に、上記のように構成された操作ボタン付き容器1の組立方法について説明する。操作ボタン20と、筒状ベース30と、筒状カバー40とを成型した後、はじめに操作ボタン20を筒状カバー40に組み付ける。すなわち、操作ボタン20を筒状カバー40の下方から該筒状カバー40の周壁部43の内部へ挿入していき、このとき、ノズル部23の先端部を周壁部43の内部へ先に差し込んで、該先端部を切欠部43aの内部に挿入する。そして、ボタン本体21を周壁部43の内部に挿入する。ボタン本体21を周壁部43の内部に挿入する際には、ボタン本体21の左側被案内部24bを筒状カバー40の左側案内用開口部46aに下端部から挿入するとともに、ボタン本体21の右側被案内部25bを筒状カバー40の右側案内用開口部47aに下端部から挿入する。ボタン本体21を周壁部43に更に深く挿入する際には、左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aによって案内されるので、スムーズに挿入することができる。ボタン本体21を周壁部43に完全に挿入すると、操作ボタン20の突起26a、26aが筒状カバー40の突条部41dに対して上方から接触して係合するので、操作ボタン20が筒状カバー40に仮組み付けされた状態で離脱することはない。
【0080】
その後、筒状カバー40の嵌合壁部41の内側に筒状ベース30の円環状壁部34を挿入して、嵌合壁部41を円環状壁部34の外側に嵌合させ、筒状カバー40の嵌合壁部41のカバー側係合溝部42に、筒状ベース30の円環状壁部34のベース側係合突部39を入れて両者を係合させる。カバー側係合溝部42にベース側係合突部39を入れるときには、嵌合壁部41や円環状壁部34が弾性変形することや、ベース側係合突部39が弾性変形し、これにより、カバー側係合溝部42にベース側係合突部39を入れることができる。また、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42には非連続部分があるので、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42を係合させるのに要する力が小さくて済む。
【0081】
尚、非連続部分はベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42の一方にのみ形成されていてもよい。また、ベース側係合部を溝部とし、カバー側係合部を突部としてもよい。
【0082】
次いで、容器本体10の上部を筒状ベース30の内筒部32の下端部から該内筒部32に挿入し、
図17等に示す突条部32a、32aを容器本体10の上部に嵌合させる。これにより、筒状ベース30が容器本体10に取り付けられる。筒状ベース30は、使用者が操作ボタン20を回動させようとしたときに、操作ボタン20と共に回動しないように容器本体10に対して強固に取り付けられている。
【0083】
図5に示すように、筒状ベース30を容器本体10に取り付けると、嵌合筒部27bの下側に吐出管13の上側が挿入されて嵌合する。
【0084】
(実施形態の作用効果)
次に、上記のように構成された操作ボタン付き容器1の作用効果について説明する。操作ボタン20の左側被案内部24b及び右側被案内部25bが筒状カバー40の左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aに挿入されているので、操作ボタン20を回動させる力は筒状カバー40に伝達される。
【0085】
従って、操作ボタン20を左方向に回動させると、筒状カバー40も同方向に回動する。筒状ベース30のストッパ部30bが筒状カバー40の右側窪み部41cに入るまで筒状カバー40が回動すると、ストッパ部30bが右側窪み部41cに入って係合し、これにより、筒状カバー40の回動が停止して押下可能状態になる。このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の押下可能状態表示部30fと一致するので、使用者は操作ボタン20が押下可能状態であることを容易に把握できる。
【0086】
操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bの直下方に位置しているので、後側突片34aが操作ボタン20の押下を阻害することはない。また、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状カバー40の左側案内用開口部46aの下端部が、筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間の直上方に位置しているので、操作ボタン20の左側被案内部24bは、左側案内用開口部46aの下端部から筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間に挿入可能になっており、左板部38bと左側突片34bが操作ボタン20の押下を阻害することはない。さらに、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状カバー40の右側案内用開口部47aの下端部が、筒状ベース30の右板部38cと左側突片34cとの間の直上方に位置しているので、操作ボタン20の右側被案内部25bは、右側案内用開口部47aの下端部から筒状ベース30の右板部38cと右側突片34cとの間に挿入可能になっており、右板部38cと右側突片34cが操作ボタン20の押下を阻害することはない。
【0087】
したがって、使用者は操作ボタン20の指載置面27aに指を置いて操作ボタン20を押し下げると、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bに入り、また、操作ボタン20の左側被案内部24bが左板部38bと左側突片34bとの間に挿入され、さらに操作ボタン20の右側被案内部25bが右板部38cと右側突片34cとの間に挿入される。これにより、操作ボタン20の嵌合筒部27bが容器本体10の吐出管13を押動操作する。押動操作された吐出管13から吐出された内容物は、操作ボタン20の吐出通路27dを経てノズル部23に流入して吐出される。ノズル部23が傾斜しているので、内容物を斜め上方へ向けて効果的に吐出させることができる。
【0088】
操作ボタン20を押し下げる際には、操作ボタン20が筒状カバー40の左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aによって下方へ案内されるので、操作が容易に行える。また、押下可能状態にある操作ボタン20を押し下げる際には、操作ボタン20の左側当接面24a及び右側当接面25aと、筒状カバー40の左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47との間に隙間があるので、摺動抵抗が増大することはなく、良好な操作性が得られる。
【0089】
使用者が指を操作ボタン20の指載置面27aに置いて操作ボタン20を押し下げる際、指を反ノズル部23側である後側から指載置面27aに置いているので、操作ボタン20には後側に引っ張る力が作用し、この力が操作ボタン20から筒状カバー40にも伝達して筒状カバー40が後側に引っ張られることがある。筒状カバー40のカバー側係合溝部42が前側から左右両側方に亘って延びていて、同様に延びるベース側係合突部39に係合しているので、従来例のように等間隔に配置されて分断された4つの係合突起を設ける場合に比べて、筒状カバー40が後側に引っ張られた場合の耐力が大きく確保される。これにより、操作ボタン20の操作時に筒状カバー40及び操作ボタン20が筒状ベース30から外れるのを抑制できる。
【0090】
尚、後側にはベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42が形成されていない非連続部分があるが、上記した引っ張り力は、筒状カバー40の外れ防止という観点からは、筒状カバー40の後側において影響を殆ど及ぼさないので、上述のように引っ張られた場合の耐力の低下は回避される。
【0091】
また、押下可能状態にある操作ボタン20を右方向に回動させると、筒状カバー40も同方向に回動し、筒状ベース30のストッパ部30bが筒状カバー40の左側窪み部41bに入るまで筒状カバー40が回動すると、ストッパ部30bが左側窪み部41bに入って係合し、これにより、筒状カバー40の回動が停止して非押下可能状態になる。このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の非押下可能状態表示部30eと一致するので、使用者は操作ボタン20が非押下可能状態であることを容易に把握できる。
【0092】
操作ボタン20が非押下可能状態にあるときには、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bから外れたところに位置しているので、後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の下端部に当接して操作ボタン20が押下できなくなる。また、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、操作ボタン20の左側被案内部24bが筒状ベース30の左側円弧板部36の上方に位置しているので、左側円弧板部36が操作ボタン20の左側被案内部24bの下端部に当接して操作ボタン20が押下できなくなる。
【0093】
例えば操作ボタン付き容器1を落下させた場合には、ノズル部23が上述のように突出していることから、ノズル部23に衝撃力が加わって操作ボタン20に対して回動方向に過大な力が作用することが考えられる。つまり、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに所定以上の回動力が作用することがあり、この実施形態では、左方向の過大な回動力が作用した場合には、操作ボタン20の左側当接面24aが筒状カバー40の左側ボタン支持壁部46に当接して支持される。また、右方向の過大な回動力が作用した場合には、操作ボタン20の右側当接面25aが筒状カバー40の右側ボタン支持壁部47に当接して支持される。左側当接面24a、右側当接面25a、左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47が共に吐出管13の中心線A方向に延びているので、接触面積が広く確保されて力が分散して作用することになる。これにより、各部の破損を抑制できる。特に、左側被案内部24b及び右側被案内部25bの変形や破損を抑制できるとともに、左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aの周縁部の変形や破損も抑制できるので、操作ボタン20の操作性が悪化してしまうのを回避できる。
【0094】
また、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに所定以上の回動力が作用したときにノズル部23の外面を筒状カバー40の左側ノズル支持壁部48及び右側ノズル支持壁部49によって支持することができる。これにより、回動力をノズル部23にも分散できるので、各部の破損を抑制できる。
【0095】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。