特開2017-172290(P2017-172290A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-172290(P2017-172290A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】歯車装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/04 20060101AFI20170901BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   E05F11/04
   F16H1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-61791(P2016-61791)
(22)【出願日】2016年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503428703
【氏名又は名称】オイレスECO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】細谷 佳守臣
(72)【発明者】
【氏名】内海 孝映
(72)【発明者】
【氏名】濱 克徳
【テーマコード(参考)】
2E050
3J009
【Fターム(参考)】
2E050NA03
2E050QA05
2E050QB04
2E050QC02
2E050QD02
2E050QE02
3J009DA14
3J009EA06
3J009EA19
3J009EA23
3J009EA35
3J009EB17
3J009FA30
(57)【要約】
【課題】 第1ギヤードケーブル及び第2ギヤードケーブルそれぞれの位置調整を容易に実行可能とする。
【解決手段】 蓋材17に回転可能に組み付けられた伝達部材19に、第1歯車11と係合する第1係合部19A及び第2歯車13と係合して当該第2歯車13を支持可能な第2係合部19Bを設け、伝達部材19を介して第1歯車11の回転を第2歯車13に伝達する。これにより、蓋材17がケーシング15から取り外されると、第2歯車13は、当該蓋材17による支持が消失する。このため、第1ギヤードケーブル及び第2ギヤードケーブル9B置調整作業を行う作業者は、第2歯車13と第2ギヤードケーブルとの噛み合い状態を開放し、非噛み合い状態とすることができる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓開閉装置に操作力を伝達するギヤードケーブルに操作力を伝達する歯車装置において、
操作力を受けて変位する第1ギヤードケーブルと噛み合うとともに、当該第1ギヤードケーブルの変位と連動して回転する第1歯車と、
第2ギヤードケーブルと噛み合う第2歯車であって、前記第1歯車側から供給された回転力を受けて回転することにより当該第2ギヤードケーブルを変位させる第2歯車と、
前記第1歯車及び前記第2歯車を収納するとともに、前記第1ギヤードケーブル及び前記第2ギヤードケーブルが変位可能に挿入されたケーシングであって、前記第2歯車の回転中心線方向一端側に開口部が設けられたケーシングと、
前記ケーシングに着脱自在に装着され、前記ケーシングに装着されたときに前記開口部を閉塞する蓋材と、
前記蓋材に回転可能に組み付けられた伝達部材であって、前記第1歯車と係合する第1係合部及び前記第2歯車と係合して当該第2歯車を支持可能な第2係合部を有し、前記第1歯車の回転を前記第2歯車に伝達する伝達部材と
を備えることを特徴とする歯車装置。
【請求項2】
前記第1歯車と前記第2歯車とは同軸上に配置され、
前記第1歯車の回転中心には、前記第2歯車側に突出した第1突起部が設けられ、
前記第2係合部は、前記第2歯車の回転中心に設けられた穴に嵌り込んだ第2突起部により構成され、
さらに、前記第1係合部は、前記第2突起部の先端から当該第2突起部の根元側に窪み、かつ、前記第1突起部が嵌り込んだ穴により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
【請求項3】
前記蓋材には、前記第2ギヤードケーブルが前記第2歯車から予め決められた寸法を超えて離間することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車装置。
【請求項4】
前記ケーシングには、前記第1歯車を支持する支持部が設けられており、
さらに、前記ケーシングのうち前記第1ギヤードケーブルを覆う第2の蓋材は、前記ケーシングのうち前記支持部が設けられた本体部に対して着脱自在に組み付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項1に記載の歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓開閉装置に操作力を伝達するギヤードケーブルに操作力を伝達する歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ギヤードケーブルとは、例えば、特許文献1に記載されているように、複数本の素線を撚り合わせた芯線に噛合線を螺旋状に巻き付けられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−227590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窓開閉装置にギヤードケーブルで操作力を伝達する場合、操作力を受けて変位する第1ギヤードケーブルと当該操作力を窓開閉装置側に伝達する第2ギヤードケーブルとの位置を調整する必要がある。
【0005】
しかし、第1ギヤードケーブルと第2ギヤードケーブルとは、歯車を介して機械的に連動変位するので、第1ギヤードケーブル及び第2ギヤードケーブルそれぞれを独立して位置調整することが難しい。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、第1ギヤードケーブル及び第2ギヤードケーブルそれぞれの位置調整を容易に実行可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願では、窓開閉装置に操作力を伝達するギヤードケーブルに操作力を伝達する歯車装置において、操作力を受けて変位する第1ギヤードケーブル(9A)と噛み合うとともに、当該第1ギヤードケーブル(9A)の変位と連動して回転する第1歯車(11)と、第2ギヤードケーブル(9B、9C)と噛み合う第2歯車(13)であって、第1歯車(11)側から供給された回転力を受けて回転することにより当該第2ギヤードケーブル(9B、9C)を変位させる第2歯車(13)と、第1歯車(11)及び第2歯車(13)を収納するとともに、第1ギヤードケーブル(9A)及び第2ギヤードケーブル(9B、9C)が変位可能に挿入されたケーシング(15)であって、第2歯車(13)の回転中心線方向一端側に開口部(15A)が設けられたケーシング(15)と、ケーシング(15)に着脱自在に装着され、ケーシング(15)に装着されたときに開口部(15A)を閉塞する蓋材(17)と、蓋材(17)に回転可能に組み付けられた伝達部材(19)であって、第1歯車(11)と係合する第1係合部(19A)及び第2歯車(13)と係合して当該第2歯車(13)を支持可能な第2係合部(19B)を有し、第1歯車(11)の回転を第2歯車(13)に伝達する伝達部材(19)とを備える。
【0008】
これにより、本願では、蓋材(17)がケーシング(15)から取り外されると、第2歯車(13)は、当該蓋材(17)による支持が消失する。このため、第1ギヤードケーブル(9A)及び第2ギヤードケーブル(9B、9C)の位置調整作業を行う作業者は、第2歯車(13)と第2ギヤードケーブル(9B、9C)との噛み合い状態を開放し、非噛み合い状態とすることができる。
【0009】
そして、非噛み合い状態では、第1ギヤードケーブル(9A)と第2ギヤードケーブル(9B、9C)とは、互いに独立して変位可能な状態となる。したがって、作業者は、第1ギヤードケーブル(9A)及び第2ギヤードケーブル(9B、9C)それぞれの位置調整を容易に実行することができ得る。
【0010】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る窓開閉装置1の模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る歯車装置10の外観図である。
図3】本発明の実施形態に係る歯車装置10の断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る歯車装置10の分解断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る歯車装置10の外観斜視図である。
図6】Aは蓋材17及び第2蓋材15Dを組み付けた状態を示す図である。Bは蓋材17及び第2蓋材15Dは外された状態を示す図である。
図7】第2蓋材15Dは外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0014】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。
(第1実施形態)
1.窓開閉装置の構成
本実施形態は、図1に示すように、換気窓用の窓開閉装置用歯車装置に本発明を適用したものである。窓開閉装置1は、枠体3及び障子5等を有している。枠体3は、外壁等の建築物(図示せず)の壁に設けられた窓開口1Aを縁取る窓枠である。
【0015】
枠体3は、一対の縦枠部3A及び一対の横枠部3B等を有する。一対の縦枠部3Aは、障子5を挟んで水平方向両側に位置する。一対の横枠部3Bは、障子5を挟んで鉛直方向両側に位置する。
【0016】
障子5は枠体3に対して変位可能である。具体的には、障子5は、窓開口1Aを閉じた状態と窓開口1Aを開いた状態との間で変位できる。当該障子5は、揺動軸5Aを介して枠体3に対して揺動可能に組み付けられている。
【0017】
障子5を挟んで水平方向両側には作動部材7が設けられている。各作動部材7は、枠体3に対して変位することにより、開いた状態に位置する障子5を閉じた状態側に変位させる。なお、作動部材7及び障子5の開閉作動は、例えば特開2014−240564号公報と同様である。
【0018】
作動部材7には歯車装置10から操作力が供給される。つまり、窓開閉装置1は、歯車装置10及びギヤードケーブル9A〜9Cを介して供給される操作力を受けて開閉作動する。
【0019】
歯車装置10は、第1ギヤードケーブル9Aの変位を一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cに伝達する。すなわち、第1ギヤードケーブル9Aは、操作力発生部8で発生した操作力を受けて長手方向に変位する。
【0020】
歯車装置10は、第1ギヤードケーブル9Aを介して伝達された操作力を一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cに伝達する。一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cそれぞれは、長手方向に変位することにより各作動部材7に操作力を伝達する。
【0021】
本実施形態に係る操作力発生部8は電動モータにより操作力を回転発生する。操作パネル8Aは、作業者により操作される第1操作部8B〜第3操作部8Dを有する。作業者は、第1操作部8B〜第3操作部8Dを操作することにより、操作力発生部8の作動、つまり電動モータの回転及び停止等を指示することができる。
【0022】
2.歯車装置の構造
歯車装置10は、図2に示すように、少なくとも第1歯車11、第2歯車13及びケーシング15等を備える。第1歯車11は、第1ギヤードケーブル9Aと噛み合うとともに、当該第1ギヤードケーブル9Aの変位と連動して回転する。
【0023】
第1ギヤードケーブル9Aは、複数本の素線を撚り合わせた可撓性を有する芯線に、噛合線を螺旋状に巻き付けられた形状である。第1歯車11は、第1ギヤードケーブル9Aの噛合線に噛み合う歯車である。
【0024】
なお、第1歯車11の外周には、図3に示すように、第1ギヤードケーブル9Aが嵌り込み可能なU字状の溝11Aが設けられている。噛合線に噛み合う歯部11Bは、溝11Aの底部に設けられている。
【0025】
第2歯車13は、一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cと噛み合う歯車であって、第1歯車11側から供給された回転力を受けて回転することにより当該一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cを変位させる(図2参照)。一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cは、第1ギヤードケーブル9Aと同じ構造である。
【0026】
第2歯車13は、第1歯車11と相似形状である。すなわち、第2歯車13の外周には、一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cが嵌り込み可能なU字状の溝13Aが設けられている。一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cの噛合線に噛み合う歯部13Bは、溝13Aの底部に設けられている。
【0027】
因みに、本実施形態では、第2歯車13の直径は、第1歯車11の直径より小さく、かつ、第2歯車13は、第1歯車11の角速度と同一の角速度で回転する。このため、一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cの変位量は第1ギヤードケーブル9Aの変位量より小さくなる。
【0028】
ケーシング15は、第1歯車11及び第2歯車13を収納するとともに、第1ギヤードケーブル9A及び一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cが変位可能に挿入されたケーシングである。当該ケーシング15のうち第2歯車13の回転中心線Lo方向一端側には、図4に示すように、開口部15Aが設けられている。
【0029】
そして、ケーシング15には、図3及び図4に示すように、蓋材17が着脱自在に装着されている。蓋材17は、ケーシング15に装着されたときに開口部15Aを閉塞する(図3参照)。なお、蓋材17はPねじ等にてケーシング15に固定されている(図5参照)。
【0030】
蓋材17には、伝達部材19が回転可能に組み付けられている。すなわち、伝達部材19の一部は、蓋材17に設けられた貫通穴を貫通している。そして、伝達部材19のうち外部に露出した部分にE型止め輪等のスナップリング19Eが装着されている。
【0031】
なお、蓋材17に設けられた貫通穴と伝達部材19との間には滑り軸受材19Fが配設されている。滑り軸受材19Fは、伝達部材19の回転抵抗を小さくするとともに、伝達部材19が早期に摩耗してしまうことを抑制するための部材である。
【0032】
伝達部材19は、図3に示すように、第1歯車11の回転を第2歯車13に伝達するための部材である。伝達部材19は、図4に示すように、第1係合部19A及び第2係合部19Bを有する。第1係合部19Aは第1歯車11と係合する。第2係合部19Bは第2歯車13と係合して当該第2歯車13を支持する。
【0033】
具体的には、第1歯車11と第2歯車13とは同軸状に配置されている。第1歯車11の回転中心には、第2歯車13側に突出した第1突起部11Cが設けられている。伝達部材19には、第2歯車13側に突出した第2突起部19Cが設けられている。そして、第2係合部19Bは、第2突起部19Cが、第2歯車13の回転中心に設けられた穴13Cに嵌り込むことにより構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、穴13C及び第2突起部19Cの断面形状は、多角形状、二面幅を有する形状又は略D字状の形状に構成されている。したがって、第2歯車13の穴13Cに伝達部材19の第2突起部19Cが嵌り込むと、伝達部材19から第2歯車13に回転力が伝達される。
【0035】
第1係合部19Aは、第2突起部19Cの先端から当該第2突起部19Cの根元側に窪み、かつ、第1突起部11Cが嵌り込んだ穴19Dにより構成されている。穴19D及び第1突起部11Cの断面形状は、多角形状、二面幅を有する形状又は略D字状の形状に構成されている。したがって、伝達部材19の穴19Dに第1歯車11の第1突起部11Cが嵌り込むと、第1歯車11から伝達部材19に回転力が伝達される。
【0036】
なお、第1突起部11Cの根元側は、ラジアル軸受部11Dの内輪に嵌め込まれている。ラジアル軸受部11Dの外輪はケーシング15の円筒部15Bに嵌め込まれている。第1歯車11を挟んで第1突起部11Cと反対側には、スラスト軸受部を構成するための球状の転動体11Eが配設されている。
【0037】
第1歯車11のうち転動体11Eと接触する部位には円錐状の凹部11Fが設けられている。つまり、ラジアル軸受部11D及び転動体11Eは、第1歯車11を支持する支持部を構成する。
【0038】
蓋材17には規制部17A、17Bが設けられている。各規制部17A、17Bは、一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cそれぞれが第2歯車13から予め決められた寸法を超えて離間することを規制する。そして、各規制部17A、17Bは、蓋材17がケーシング15に組み付けられた状態において、溝13Aと空間を隔てて当該溝13Aと対向する(図3参照)。
【0039】
各規制部17A、17Bは、各第2ギヤードケーブル9B、9Cの変位方向に沿って構成されているとともに、各第2ギヤードケーブル9B、9Cと滑り接触可能な壁面を構成する。なお、「予め決められた寸法」とは、各第2ギヤードケーブル9B、9Cと第2歯車13との噛み合いが外れない程度の寸法である。
【0040】
ケーシング15のうち第1ギヤードケーブル9Aを覆う部分(以下、第2蓋材15Dという。)は、図6及び図7に示すように、本体部15Cに対して着脱自在に組み付けられている。本体部15Cとは、ケーシング15のうち、ラジアル軸受部11D、転動体11E及び第1歯車11等が収納された部位をいう。
【0041】
第2蓋材15Dは、図6に示すように、フック15Eを有する。フック15Eは、本体部15Cのうち第1歯車11側の部位に引っ掛かって係止される部位である。そして、第2蓋材15Dは、フック15Eが本体部15Cに係止された状態で、蓋材17側がPねじ等にて本体部15Cに固定される(図5参照)。
【0042】
3.本実施形態に係る窓開閉装置の特徴
本実施形態では、蓋材17がケーシング15から取り外されると、第2歯車13は、当該蓋材17による支持が消失する。このため、第1ギヤードケーブル9A及び一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cの位置調整作業を行う作業者は、第2歯車13と一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cとの噛み合い状態を開放し、非噛み合い状態とすることができる。
【0043】
そして、非噛み合い状態では、第1ギヤードケーブル9Aと一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cとは、互いに独立して変位可能な状態となる。したがって、作業者は、第1ギヤードケーブル9A及び一対の第2ギヤードケーブル9B、9Cそれぞれの位置調整を容易に実行することができ得る。
【0044】
本実施形態では、第2係合部19Bは、第2歯車13の回転中心に設けられた穴13Cに嵌り込んだ第2突起部19Cにより構成され、さらに、第1係合部19Aは、第2突起部19Cの先端から当該第2突起部19Cの根元側に窪み、かつ、第1突起部11Cが嵌り込んだ穴19Dにより構成されている。
【0045】
これにより、伝達部材19が簡素な構造となり得るので、歯車装置の小型化及び製造原価低減を図ることが可能となる。
本実施形態では、蓋材17には、第2ギヤードケーブル9B、9Cが第2歯車13から予め決められた寸法を超えて離間することを規制する規制部17A、17Bが設けられている。これにより、操作力を伝達している際に、第2歯車13と第2ギヤードケーブル9B、9Cとが非噛み合い状態となってしまうことを抑制できる。
【0046】
本実施形態では、第1ギヤードケーブル9Aを覆う第2蓋材15Dは、本体部15Cに対して着脱自在に組み付けられている。これにより、第2蓋材15Dが本体部15Cから取り外されると、第1ギヤードケーブル9Aの位置を拘束する拘束力が消失する。したがって、作業者は、第1ギヤードケーブル9A及び第2ギヤードケーブル9B、9Cそれぞれの位置調整を容易に実行することができ得る。
【0047】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る第1係合部19A及び第2係合部19Bは、穴に突起部が嵌り込む構成であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。
【0048】
上述の実施形態では、第1歯車11と第2歯車13とが同軸上に配設されていた。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第3の歯車を介して第1歯車11の回転を第2歯車13に伝達する構成とすることにより、第1歯車11の回転中心と第2歯車13の回転中心とをずらしてもよい。
【0049】
上述の実施形態では、第2ギヤードケーブルが2本設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2ギヤードケーブルを1本としてもよい。
上述の実施形態では、伝達部材19は、第2歯車13を支持するとともに、第1歯車11の回転を第2歯車13に伝達するものであった。
【0050】
しかし、例えば、第2歯車13が第1歯車11に着脱自在に係合され、伝達部材19は第2歯車13の軸部を構成する場合、又は第2歯車13が第1歯車11に着脱自在に係合され、伝達部材19が存在しない場合等であっても、本願の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1… 窓開閉装置 3… 枠体 5… 障子 7… 作動部材
8… 操作力発生部 9A… 第1ギヤードケーブル
9B、9C… 第2ギヤードケーブル 10… 歯車装置
11… 第1歯車 13… 第2歯車 15… ケーシング
17… 蓋材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7