【解決手段】荷物を撮像する撮像部を備えた複数の荷物撮像装置102と、画像を表示させ、検査官による検査結果の入力を受け付ける読影端末106と、複数の荷物撮像装置102から送信された画像を読影端末に配信するサーバ104と、を備え、荷物撮像装置102の各々にて滞留可能な撮像後の荷物数である許容滞留数を記憶すると共に、読影端末106による画像の検査状態を示す検査情報を記憶する記憶部と、検査情報に基づいて未検査状態の荷物の数である未検査荷物数を求め、許容滞留数と未検査荷物数との差が小さい荷物撮像装置で撮像された画像をより優先的にサーバ104から読影端末106へ配信させる配信順番決定手段を備える荷物検査システム100とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態における荷物検査システム100は、
図1のシステム構成図に示すように、荷物撮像装置102(102a〜102c)、サーバ104及び読影端末106(106a〜106c)を含んで構成される。本実施の形態では、サーバ104及び読影端末106は読影センタに配置され、インターネット等の情報通信網108を介してそれぞれ荷物撮像装置102と接続される。
【0013】
荷物検査システム100は、複数の荷物撮像装置102(102a〜102c)の検査レーンに並んでいる被検査者が所持していた荷物を検査して、検査結果に応じて被検査者の通行を制御する。ここで、「検査レーン」とは、荷物撮像装置102毎に検査を待つ被検査者が所持していた荷物を搬送する経路のことであり、特に、荷物撮像装置102によって画像を撮像された後に検査結果の通知を受けて被検査者が受け取る迄の間に荷物が滞留する経路を意味する。なお、各検査レーンには、被検査者に対する金属探知機等を併設してもよい。
【0014】
荷物撮像装置102は、
図2の装置構成図に示すように、X線撮像部10、搬送部12、ゲート14、滞留数計数部16、通信部18、制御部20及び記憶部22を含んで構成される。荷物撮像装置102は、被検査者が所持していた荷物を撮像した画像をサーバ104へ送信する。
【0015】
X線撮像部10は、X線カメラを備え、荷物の中身を撮像した画像を出力する。X線撮像部10で撮像された荷物の画像は、一時的に記憶部22に記憶した後、通信部18を介してサーバ104に送信される。なお、本実施の形態では、X線カメラを用いて荷物の中身を透過撮像するX線撮像部10としたが、これに限定されるものではなく、被検査者が所持していた荷物の中身を撮像できる装置であればよい。例えば、荷物の中身が見えるような状態であれば通常の可視カメラ等を用いてもよく、荷物の中身を透視しなくてはならない状態であればCT(computed tomography)スキャナ等を用いてもよい。
【0016】
搬送部12は、搬送ベルト及びモータ等を備え、被検査者が所持していた荷物をX線撮像部10に搬送する。搬送部12は、X線撮像部10による撮像前に搬送ベルトに載せ置かれた荷物をX線撮像部10へ搬送し、X線撮像部10での荷物の撮像後に荷物を被検査者への返却場所まで搬送する。搬送部12は、後述する制御部20の搬送速度調整手段20aからの速度調整信号を受けて、速度調整信号に応じた搬送速度に調整される。
【0017】
ゲート14は、開閉可能な扉等を備え、荷物の検査を受けるために各荷物撮像装置102(102a〜102c)の検査レーンに並んだ被検査者の通過を制御する。ゲート14は、後述する制御部20のゲート制御手段20bからのゲート制御信号に基づいて開閉が制御される。ゲート14は、X線撮像部10によって撮像された荷物の画像の検査が終了するまで被検査者が通行できないように閉じられたままに維持される。また、後述するサーバ104から荷物の画像の検査の結果を受信すると、ゲート制御手段20bの制御によって、荷物に問題がない状態(以下、OK状態という)と判定されたときにはその荷物を所持する被検査者が通過できるようにゲート14は開けられる。一方、荷物に問題がある状態(以下、NG状態という)と判定されたときには、その荷物を所持する被検査者が通過できないようにゲート14は閉じたままにされる。
【0018】
滞留数計数部16は、荷物検査システム100による荷物検査のための検査レーンに滞留している荷物の数を計数する。滞留数計数部16は、例えば可視カメラなどの撮像装置を備え、X線撮像部10による荷物の撮像後から検査が終了して被検査者が荷物を受け取るまでの間に検査レーンに残っている荷物を撮像し、当該荷物の数を現滞留数として計数する。例えば、滞留数計数部16は、可視カメラなどにより撮像された画像に含まれる荷物の形状から現滞留数を計数することができる。ただし、これに限定されるものではなく、滞留数計数部16は、検査レーンに滞留している荷物を載せ置くための荷物トレイの数を計数するものとしてもよい。例えば、荷物トレイにICチップ等の検出用手段を設けておき、X線撮像部10による撮像後に検査レーンに残っている荷物トレイの数を検出して計数するようにしてもよい。計数された荷物の現滞留数は一時的に記憶部22に記憶させると共に、通信部18を介してサーバ104に送信される。
【0019】
通信部18は、情報通信網108を介してサーバ104及び読影端末106と通信を行う。通信部18は、ネットワークインターフェース等を備え、荷物撮像装置102とサーバ104及び読影端末106との間で情報の送受信を実現する。
【0020】
制御部20は、CPUやASIC等の情報処理デバイスを備え、荷物撮像装置102の制御を行う。制御部20は、搬送速度調整手段20a及びゲート制御手段20bとして機能する。搬送速度調整手段20aは、搬送部12に対して速度調整信号を出力して搬送部12における荷物の搬送速度を調整する。ゲート制御手段20bは、ゲート14に対してゲート制御信号を出力してゲート14の開閉を制御する。また、制御部20は、通信部18を介してサーバ104や読影端末106に情報(例えば、画像、荷物の現滞留数など)を送信する処理等を行う。
【0021】
記憶部22は、荷物撮像装置102において利用される情報を記憶する。記憶部22は、制御部20からアクセス可能であり、例えば、X線撮像部10で撮像された荷物の画像の画像データ、滞留数計数部16で計測された現滞留数等を記憶する。
【0022】
次に、サーバ104について説明する。サーバ104は、
図3の装置構成図に示すように、制御部30、記憶部32、入力部34、出力部36及び通信部38を含んで構成される。
【0023】
制御部30は、CPUやASIC等の情報処理デバイスを備え、各荷物撮像装置102から撮像された荷物の画像データを受信して、当該画像を各読影端末106に配信して画像の検査を行わせる。また、制御部30は、荷物撮像装置102から画像を受信した際、当該画像に対して一意の識別子である画像IDを付与して画像情報32cとして記憶する。また、制御部30は、各読影端末106から画像の検査結果を受信して、画像の送信元の荷物撮像装置102に対して検査結果を送信する。また、制御部30は、配信順番決定手段30aとして機能する。ここで、配信順番決定手段30aは、検査情報32a及び検査レーン情報32bを参照して、荷物を滞留させる余裕がない検査レーンほど荷物撮像装置102で撮像された荷物の画像をより優先的にサーバ104から読影端末106へ配信する配信順番決定処理を実行する。配信順番決定処理の詳細については後述する。
【0024】
記憶部32は、検査情報32a、検査レーン情報32b、画像情報32c等の制御部30で処理される情報を記憶する。記憶部32は、許容滞留数記憶手段及び検査情報記憶手段として機能する。
【0025】
検査情報32aは、
図4に示すように、荷物撮像装置102から送信された荷物の画像の識別子である画像ID、その荷物の画像を撮像した荷物撮像装置102の識別子である荷物撮像装置ID、検査状態及び待ち時間を関連付けたデータベースである。ここで、検査状態とは、荷物の画像が未検査であることを示す未検査状態、読影端末106にて検査中であることを示す検査中状態、検査により荷物に問題がないとされたOK状態、検査により荷物に問題があるとされたNG状態のいずれかの状態を示す情報である。荷物撮像装置102から荷物の画像を取得とすると、サーバ104は、検査状態を「未検査」として登録し、読影端末106に荷物画像を送信すると「検査中」に更新し、読影端末106から検査結果を受信すると「OK状態」又は「NG状態」に更新する。
【0026】
また、待ち時間とは、荷物撮像装置102において荷物の画像を撮像してから当該画像を配信するまでの経過時間を示す情報である。本実施の形態では、荷物撮像装置102で撮像された荷物の画像は瞬時にサーバ104に送信されるように処理することで、サーバ104にて各荷物の画像を受信した時刻からの経過時間を待ち時間とする。サーバ104から読影端末106のいずれかに荷物画像を配信した後、その荷物の画像に対する待ち時間はクリアされる。
【0027】
例えば、
図4の検査情報32aの例では、画像ID「000001」で特定される荷物の画像は、荷物撮像装置102cで撮像されたものであり、検査状態は「NG状態」であり、既に検査が終了して待ち時間はクリアされている。画像ID「000002」で特定される荷物の画像は、荷物撮像装置102aで撮像されたものであり、検査状態は「OK状態」であり、既に検査が終了して待ち時間はクリアされている。画像ID「000003」で特定される荷物の画像は、荷物撮像装置102bで撮像されたものであり、検査状態は「未検査」であり、撮像からの待ち時間は13(単位は任意)である。画像ID「000005」で特定される荷物の画像は、荷物撮像装置102aで撮像されたものであり、検査状態は「検査中」であり、待ち時間はクリアされている。
【0028】
検査レーン情報32bは、
図5に示すように、各荷物撮像装置102の荷物撮像装置IDに荷物の許容滞留数、未検査荷物数、現滞留数、余裕数、検査済荷物数及びNG数を関連付けたデータベースである。許容滞留数は、各荷物撮像装置102の検査レーンにおいて撮像後に滞留させることが可能な荷物数である。本実施の形態では、許容滞留数は荷物撮像装置102毎に固定値として設定される。ただし、許容滞留数は荷物撮像装置102毎の検査レーンの長さに応じた値となると考えられるので、検査レーンが長いほど許容滞留数が大きくなるように設定してもよい。例えば、荷物撮像装置102毎の荷物の搬送レーンの長さを荷物の標準サイズで除した値や荷物の搬送レーンの長さを荷物トレイのサイズで除した値としてもよい。未検査荷物数は、撮像後に未検査状態となっている荷物数である。検査情報32aにおける「未検査」状態及び「検査中」状態となっている荷物の数を荷物撮像装置102毎に計数することにより求められる。現滞留数は、上記のように、荷物撮像装置102毎に設けられた滞留数計数部16により計数された検査レーンに現在滞留している荷物数である。余裕数は、本実施の形態における検査レーンの残キャパシティであって、荷物撮像装置102毎の現在の検査レーンにさらに滞留させることが可能な荷物数である。余裕数は、許容滞留数から未検査荷物数を引いた値として求められる。検査済荷物数は、荷物撮像装置102毎の検査レーンに滞留している荷物の中で既に検査結果が出ている荷物数である。検査済荷物数は、現滞留数から未検査荷物数を引いた値として求められる。NG数は、荷物撮像装置102毎の検査レーンにおいてNGとされた荷物数である。NG数は、検査情報32aにおける「NG状態」となっている荷物の数を荷物撮像装置102毎に計数することにより求められる。
【0029】
例えば、
図5の検査レーン情報32bの例では、荷物撮像装置102aを示す荷物撮像装置ID「A」には、許容滞留数が8、未検査荷物数が5、現滞留数が7、余裕数が3、検査済荷物数が2及びNG数が0として登録されている。また、荷物撮像装置102bを示す荷物撮像装置ID「B」には、許容滞留数が8、未検査荷物数が2、現滞留数が2、余裕数が6、検査済荷物数が0及びNG数が0として登録されている。また、荷物撮像装置102cを示す荷物撮像装置ID「C」には、許容滞留数が8、未検査荷物数が3、現滞留数が4、余裕数が5、検査済荷物数が1及びNG数が1として登録されている。
【0030】
また、画像情報32cは、各荷物撮像装置102から受信した各荷物の画像データとそれに割り振られた画像IDとを関連付けたデータベースである。
【0031】
入力部34は、キーボードやマウス等の情報入力デバイスを備え、サーバ104に対する指示や情報を入力するために用いられる。出力部36は、ディスプレイやプリンタ等の情報出力デバイスを備え、サーバ104における情報処理の内容を出力するために用いられる。通信部38は、ネットワークインターフェース等を備え、情報通信網108を介して荷物撮像装置102及び読影端末106と通信を行う。
【0032】
次に、読影端末106について説明する。読影端末106は、サーバ104から荷物の画像の配信を受けて、端末を操作する検査官に当該画像を呈示して荷物の検査を行わせる。また、読影端末106は、荷物の画像に対する検査結果の入力を受けて、検査結果をサーバ104へ送信する。読影端末106は、
図6の装置構成図に示すように、制御部40、記憶部42、入力部44、出力部46及び通信部48を含んで構成される。
【0033】
制御部40は、CPUやASIC等の情報処理デバイスを備え、読影端末106における情報処理を制御する。記憶部42は、サーバ104から受信した荷物の画像等の読影端末106での情報処理に利用される情報を記憶する。入力部44は、キーボードやマウス等の情報入力デバイスを備え、読影端末106に対する指示や検査官からの検査結果の入力を受け付ける。出力部46は、ディスプレイやプリンタ等の情報出力デバイスを備え、荷物の画像等の情報を出力するために用いられる。通信部48は、ネットワークインターフェース等を備え、情報通信網108を介して荷物撮像装置102及びサーバ104と通信を行う。
【0034】
[荷物検査処理]
以下、本実施の形態における荷物検査システム100を用いた荷物検査処理について説明する。荷物検査処理は、
図7のフローチャートに沿って実行される。
【0035】
ステップS10では、荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している荷物の数(現滞留数)が計数される。滞留数計数部16によって、荷物撮像装置102の各々の検査レーンにおいて既に撮像が済んでいる荷物の数が計数されて現滞留数として取得される。各荷物撮像装置102は、通信部18を介してサーバ104へ自らの荷物撮像装置IDと計数した現滞留数とを対応付けて送信する。
【0036】
ステップS12では、サーバ104において検査レーン情報32bの更新処理が行われる。サーバ104は、通信部38を介して荷物撮像装置102から送信された荷物撮像装置ID及び現滞留数を受信し、
図5に示すように、荷物撮像装置102から受信した荷物撮像装置IDに関連付けられている現滞留数を更新する。また、現滞留数の更新に伴って、現滞留数から未検査荷物数を差し引くことで検査済荷物数を求めて更新する。
【0037】
なお、ステップS10及びS12の処理は、適切なタイミングで繰り返し行うことが好適である。例えば、一定時間毎にステップS10及びS12の処理を繰り返して検査レーン情報32bを更新することが好適である。
【0038】
ステップS14では、荷物撮像装置102において荷物の画像が撮像される。X線撮像部10によって、撮像待ちのうち先頭の被検査者の荷物が撮像される。荷物撮像装置102は、通信部18を介して荷物の画像及び自らの荷物撮像装置IDをサーバ104へ送信する。
【0039】
ステップS16では、サーバ104において画像情報32cの登録処理が行われる。サーバ104は、通信部38を介して荷物撮像装置102から荷物の画像を受信すると、当該画像に対して一意の識別子である画像IDを付与し、画像データと画像IDとを関連付けて記憶部32の画像情報32cとして記憶させる。
【0040】
ステップS18では、サーバ104において検査情報32aの更新処理が行われる。サーバ104は、荷物撮像装置102から受信した荷物の画像の画像IDに対してその荷物の画像を撮像した荷物撮像装置102の荷物撮像装置IDを関連付けると共に、検査状態を「未検査」として検査情報32aとして記憶させる。さらに、待ち時間を初期値0から計時し始める。
【0041】
なお、ステップS14〜S18の処理は、適切なタイミングで繰り返し行うことが好適である。例えば、一定時間毎にステップS14〜S18の処理を繰り返して画像情報32c及び検査情報32aを更新することが好適である。
【0042】
ステップS20では、読影端末106から画像の取得要求処理が行われる。前の検査が終了して空き状態である読影端末106を操作している検査官からの指示入力にしたがって、通信部48を介してサーバ104へ画像取得要求信号が送信される。
【0043】
ステップS22では、画像取得要求信号を受信したサーバ104において荷物の画像の配信順番を決定する配信順番決定処理が行われ、決定された配信順番にしたがって、通信部38を介して画像取得要求元の読影端末106へ荷物の画像が配信される。配信順番決定処理については後述する。当該処理によって、サーバ104の制御部30は配信順番決定手段30aとして機能する。また、サーバ104は、検査情報32aにおいて読影端末106へ配信された荷物の画像の画像IDに関連付けられている検査状態を「検査中」に更新する。
【0044】
ステップS24では、読影端末106において荷物の画像の検査が行われる。ステップS20において画像取得要求を送信した読影端末106は、通信部48を介してステップS22においてサーバ104から送信された荷物の画像の画像データを受信する。読影端末106は、受信した画像データに基づいて出力部46に荷物の画像を表示させて検査官に画像の検査(セキュリティチェック)を行わせる。そして、読影端末106は、入力部44により検査官から検査結果(OK状態又はNG状態)の入力を受け、通信部48を介して検査対象の荷物画像の画像IDと共に検査結果をサーバ104へ送信する。
【0045】
ステップS26では、サーバ104において荷物撮像装置102に対して検査結果を通知する処理が行われる。サーバ104は、通信部38を介して読影端末106から送信された荷物画像の画像ID及び検査結果を受信すると、検査情報32aにおいて当該画像IDに関連付けられている検査状態を受信した検査結果で更新する。さらに、サーバ104は、検査情報32aにおいて当該画像IDに関連付けられている荷物撮像装置ID及び画像IDを読み出し、通信部38を介して当該荷物撮像装置IDに対応する当該荷物撮像装置102に対して画像ID及び検査結果を送信する。
【0046】
ステップS28では、荷物撮像装置102において検査結果に応じた処理が行われる。S26において送信先となった荷物撮像装置102は、通信部18を介してサーバ104から送信された検査結果を受信し、当該検査結果に応じた処理を実行する。荷物撮像装置102の制御部20は、受信した検査結果に応じたゲート制御信号を出力してゲート14の開閉を制御する。具体的には、検査結果が「OK状態」であればゲート14を開き、「NG状態」であればゲート14を閉じたままにして検査された荷物を所持する被検査者の通行を物理的に制御する。なお、検査結果が「NG状態」である場合、荷物撮像装置102に設けた警報手段(警告ライト、警告ブザー)によって警備員等に報知して、「NG状態」である荷物を警備員等によって目視検査する。
【0047】
ステップS30では、ステップS28における警備員の目視検査等に応じた検査情報32aの更新処理が行われる。荷物の安全が確認できたときは、警備員からの入力を受けて通信部18を介してステップS26において送信された画像IDと共に安全が確認された旨の情報がサーバ104へ送信される。サーバ104では、画像IDと安全が確認された旨の情報を受信すると、検査情報32aにおいて当該画像IDに関連付けられている検査状態をNG状態からOK状態へ更新する。
【0048】
[荷物画像の配信順番決定処理]
次に、ステップS22における荷物画像の配信順番決定処理について説明する。配信順番決定処理は、
図8のフローチャートに沿って実行される。配信順番決定処理は、記憶部32に記憶されている検査情報32a及び検査レーン情報32bを参照してサーバ104の制御部30によって実行される。
【0049】
ステップS30では、検査情報32aの検査状態が「未検査」である未検査画像が存在するか否かが判定される。検査情報32aに未検査画像が存在しない場合にはステップS32に処理を移行させ、存在する場合にはステップS34に処理を移行させる。
【0050】
ステップS32では、サーバ104は、通信部38を介して未検査画像が無いことを示す情報をステップS20における画像取得要求の送信元の読影端末106へ送信する。これによって、配信順番決定処理は終了する。
【0051】
ステップS34では、検査レーン情報32bの「余裕数」が唯一最小となる荷物撮像装置102が存在するか否かが判定される。ここで、「唯一最小」とは、最小値となる荷物撮像装置102が1つだけ存在することを意味する。すなわち、同一の最小値となる荷物撮像装置102が複数存在する場合を含まない。「余裕数」が唯一最小となる荷物撮像装置102が存在する場合にはステップS36に処理を移行させ、そうでない場合にはステップS38に処理を移行させる。
【0052】
ステップS36では、「余裕数」が唯一最小となる荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。その後、処理はステップS48に移行される。
【0053】
ステップS34及びS36の処理により、検査レーンにさらに滞留させることが可能な荷物数を示す余裕数が最も小さい荷物撮像装置102が唯一存在する場合、その荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。
【0054】
ステップS38では、「検査済荷物数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が存在するか否かが判定される。ここで、「唯一最大」とは、最大値となる荷物撮像装置102が1つだけ存在することを意味する。すなわち、同一の最大値となる荷物撮像装置102が複数存在する場合を含まない。「検査済荷物数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が存在する場合にはステップS40に処理を移行させ、そうでない場合にはステップS42に処理を移行させる。
【0055】
ステップS40では、「検査済荷物数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。その後、処理はステップS48に移行される。
【0056】
ステップS38及びS40の処理により、検査レーンに滞留している荷物の中で既に検査結果が出ている荷物数を示す検査済荷物数が最も大きい荷物撮像装置102が唯一存在する場合、その荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。
【0057】
ステップS42では、「NG数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が存在するか否かが判定される。「NG数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が存在する場合にはステップS44に処理を移行させ、そうでない場合にはステップS46に処理を移行させる。
【0058】
ステップS44では、「NG数」が唯一最大となる荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。その後、処理はステップS48に移行される。
【0059】
ステップS42及びS44の処理により、検査レーンに滞留している荷物の中で検査済みの荷物のうちNG状態と判定された荷物を示すNG数が最も大きい荷物撮像装置102が唯一存在する場合、その荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。
【0060】
ステップS46では、「現滞留数」が最大の荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。このステップS46の処理により、検査レーンに滞留している荷物の数を示す現滞留数が最も大きい荷物撮像装置102が優先検査装置に設定される。その後、処理はステップS48に移行される。
【0061】
ステップS48では、優先荷物撮像装置に決定された荷物撮像装置102における未検査画像のうち「待ち時間」が最大の画像を優先配信画像に決定する。
【0062】
ステップS50では、サーバ104から画像取得要求元の読影端末106へ優先配信画像に決定された未検査画像を送信する。制御部30は、記憶部32に記憶されている検査情報32aを参照して、優先配信画像に決定された未検査画像の画像IDを読み出し、画像情報32cから当該画像IDが割り当てられた未検査画像の画像データを読み出して、通信部38を介して画像取得要求元の読影端末106へ送信する。
【0063】
以上の処理によって、サーバ104から画像取得要求元の読影端末106へ荷物の画像が配信され、読影端末106における荷物の画像の検査が可能となる。
【0064】
ここで、ステップS34及びS36において検査レーンにさらに滞留させることが可能な荷物数を示す余裕数(残キャパシティ)が最も小さい唯一の荷物撮像装置102を優先検査装置に設定することによって、当該荷物撮像装置102で撮像された荷物画像を優先的に読影端末106に配信することができる。余裕数が小さい荷物撮像装置102は、未検査状態の荷物数(未検査荷物数)が当該荷物撮像装置102の検査レーンに滞留できる許容滞留数に達しつつあることを意味する。そこで、このような荷物撮像装置102からの画像を優先的に読影端末106へ送信することによって、当該荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している荷物数を迅速に減少させることができる。
【0065】
また、ステップS38及びS40において検査レーン上の検査済荷物数が最も大きい唯一の荷物撮像装置102を優先検査装置に設定することによって、当該荷物撮像装置102で撮像された荷物画像を優先的に読影端末106に配信することができる。検査済荷物数が大きい荷物撮像装置102は、検査後であっても何らかの理由(例えば、検査においてNG状態とされた荷物がある場合や金属探知機等で被検査者が足止めされている場合等)により当該荷物が被検査者に受け取られずに検査レーン上に滞留していることを意味する。すなわち、たとえ検査済みとされた荷物であっても当該荷物が受け取られず、荷物撮像装置102の検査レーンに数多く滞留しているような場合にはスムーズな検査を阻害することになる。そこで、荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している撮像後の荷物の数(現滞留数)から未検査荷物数を引いた検査済荷物数が大きい荷物撮像装置102からの画像を優先的に読影端末106へ送信することによって、当該荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している荷物数を迅速に減少させることができる。
【0066】
また、ステップS42及びS44において検査レーンに滞留しているNG状態と判定された荷物を示すNG数が最も大きい唯一の荷物撮像装置102を優先検査装置に設定することによって、当該荷物撮像装置102で撮像された荷物画像を優先的に読影端末106に配信することができる。NG状態と判定された荷物については、その後、各検査レーンに配置された警備員等によって詳細な検査を受けることになるため検査レーン上に長時間滞留する可能性が高い。そこで、NG数が大きい荷物撮像装置102からの画像を優先的に読影端末106へ送信することによって、当該荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している荷物数を迅速に減少させることができる。
【0067】
また、ステップS46において、検査レーンに滞留している荷物の数を示す現滞留数が最も大きい荷物撮像装置102を優先検査装置に設定することによって、当該荷物撮像装置102で撮像された荷物画像を優先的に読影端末106に配信することができる。現滞留数が大きい荷物撮像装置102は、より早く許容滞留数に達してしまう可能性が高いので現滞留数が大きい荷物撮像装置102からの画像を優先的に読影端末106へ送信することによって、当該荷物撮像装置102の検査レーンに滞留している荷物数を迅速に減少させることができる。
【0068】
以上の処理によって、荷物検査システム100における荷物検査における流れをスムーズにすることができる。
【0069】
[変形例]
荷物撮像装置102において、荷物の検査状況に応じて搬送速度調整手段20aによって搬送部12の搬送速度を制御するようにしてもよい。サーバ104は、検査レーン情報32bを参照して余裕数を抽出し、それぞれの荷物撮像装置102へ抽出された余裕数を送信する。荷物撮像装置102の搬送速度調整手段20aは、サーバ104から送信された余裕数を受信すると、余裕数が大きいほど搬送速度が大きくなるような速度調整信号を出力して搬送部12における荷物の搬送速度を調整する。
【0070】
すなわち、検査レーンに余裕があるほど、さらに検査を早く進めても荷物の滞留が問題とならないので、余裕数が大きいほど搬送速度が大きくなるように荷物の搬送速度を調整することによって、荷物検査システム100における荷物検査における流れをよりスムーズに行うことができる。
【0071】
ところで、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施の形態で実施されてもよいものである。また、実施の形態に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0072】
上記実施の形態では、配信順番決定手段30aは、ステップS34、S36において、各検査レーンの残キャパシティとして、当該検査レーンの荷物撮像装置102毎に許容滞留数から未検査荷物数を引いた余裕数を求め、当該余裕数が最小の荷物撮像装置102を優先荷物検査装置として設定している。しかし、これに限らず、配信順番決定手段30aは、各検査レーンの残キャパシティとして、許容滞留数から現滞留数を引いた実余裕数(検査レーンにさらに滞留させることが可能な実際の荷物数)を求め、当該実余裕数が最小の荷物撮像装置102を優先荷物検査装置として設定してもよい。余裕数が検査情報32aに基づいて予想した残キャパシティである一方で、実余裕数は、滞留数計数部16によって計数した実際に現滞留数に基づいているため、実際の残キャパシティに近いといえる。したがって、このような実余裕数を用いた他の実施の形態では、より正確に残キャパシティを求めることができ、よりスムーズに荷物検査を行うことができる。なお、この場合、荷物撮像装置102の搬送速度調整手段20aは、サーバ104から送信された実余裕数を受信受診すると、実余裕数が大きいほど搬送速度が大きくなるような速度調整信号を出力して搬送部12における荷物の搬送速度を調整するものとする。
【0073】
また、上記実施の形態では、サーバ104に配信順番決定手段30a、検査情報32a、検査レーン情報32b、画像情報32cを備えている。しかし、これに限らず、これらの構成要素がいずれかの荷物撮像装置102やいずれかの読影端末106に備えていてもよい。この場合、これらの構成要素を備えた荷物撮像装置102や読影端末106は、上記実施の形態におけるサーバ104と同等のサーバ機能をネットワーク上で提供することになる。そして、他の荷物撮像装置102や読影端末106は、ネットワークを介してサーバ機能を有する荷物撮像装置102(又は読影端末106)にサーバ104と通信するのと同様に情報のやり取りを行う。