【解決手段】要求通知端末2は、施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、同施術サービスが施される被施術者の身体部位の入力を施術者から受付ける。同端末2は、被施術者の身体部位が入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された個別部位施術時間を計時するとともに同身体部位と個別部位施術時間を対応付けて記録する。同端末2は、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージの画面表示ないしは同要求内容を示す音声データの再生出力を行うことにより同要求内容を施術者に通知する。さらに同端末2は、施術要求信号SGを施術要求発信端末1が発信した要求入力時刻ならびに同信号が示す要求内容を、同施術要求信号の受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて記録する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
美容業界などでは上記特許文献1のような技術も登場してきている一方で、マッサージなどの施術サービスを提供する現場ではまだまだIT(Information Technology)技術の浸透が充分とはいえず、施術サービスの提供中における施術者と被施術者間の意思伝達手段は口頭によるコミュニケーションに大きく依存しているのが実情である。
すなわち施術サービスの提供現場では、同サービスを享受している間に被施術者が施術者に対して要求したい事柄を伝達するための仕組(スキーム)は確立されていないといっても過言ではない。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、施術サービスを受けている間に口頭によるコミュニケーション以外の伝達手段により、施術者に対して被施術者からの施術サービスに関する要求を容易に通知可能な仕組の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔第1発明〕
そこで上記の課題を解決するために、本願の第1発明に係る施術要求伝達システムは、
マッサージ等の施術サービスを受ける被施術者が使用する端末であってスマートフォン端末もしくはタブレット端末から構成された施術要求発信端末と、
同施術サービスを施す施術者が使用する端末であってPC(Personal Computer)端末・スマートフォン端末・タブレット端末のいずれかにより構成された要求通知端末と、が構内通信網を介して通信可能に接続されてなる、
被施術者から施術者に対して施術サービスに関する要求内容を伝達するための施術要求伝達システムであって、
前記構内通信網に無線接続される端末であって、施術サービスに関する要求内容の入力を被施術者から受付けるとともに同要求内容を示す施術要求信号を無線発信する前記施術要求発信端末と、
同構内通信網に有線接続または無線接続される装置であって、施術要求信号を施術要求発信端末から受信したときに被施術者による施術サービスに関する要求内容を施術者に対して通知する前記要求通知端末と、
を備え、
前記要求通知端末は、
施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、同施術サービスが施される被施術者の身体部位の入力を施術者から受付ける動作と、
同被施術者の身体部位が入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された個別部位施術時間を計時するとともに、同身体部位と個別部位施術時間を対応付けて記録する動作と、
前記被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージの画面表示ないしは同要求内容を示す音声データの再生出力を行うことにより同要求内容を施術者に対して通知する動作と、
前記施術要求信号を施術要求発信端末が発信した要求入力時刻ならびに同信号が示す要求内容を、同施術要求信号の受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて記録する動作と、
を実行する構成とした。
【0009】
第1発明によれば、被施術者から施術者への意思(施術サービスに対する要求内容)伝達が電子機器(施術要求発信端末1・要求通知端末2)を介して行われる(
図1参照)。
そのため口頭によるコミュニケーションのように施術者の集中を乱すことなく、被施術者が施術サービスに関する要求を容易に通知できる。
【0010】
なおマッサージ業界においては現状、施術者が被施術者ごとの好みを記憶しておき、次回以降も経験と記憶に基づいてそれぞれの被施術者の嗜好に合うように施術サービスの提供が行われている。
しかし施術者の記憶に頼る手法によれば、顧客(被施術者)が来店した各回における各身体部位ごとの施術時間(各身体部位1つ1つに対して、それぞれ施術を施した個別部位施術時間)を施術者が正確に思い出すことは至難である。
しかしながら本願の第1発明によれば、施術サービスに対する要求内容(例えば、位置調節を希望された箇所・希望された力加減など)を記録していくことにより、個々の被施術者がそれぞれ好む施術箇所や施術時間などの情報がそれぞれの顧客(被施術者)ごとに記録(データベース化)される。
このように施術サービスに対する要求内容を記録していくことにより個々の被施術者がそれぞれ好む施術態様(施術部位・施術時間・施術強度)を傾向分析できるため、個々の施術者の嗜好に適合したよりきめ細かな施術サービスを提供することが可能になり、ひいてはリピータ率の向上も期待できる。
【0011】
〔第2発明〕
本願の第2発明に係る施術要求伝達システムは、
マッサージ等の施術サービスを受ける被施術者が手首に装着して使用する端末であって腕時計型のウェアラブル端末から構成された施術要求発信端末と、
同施術サービスを施す施術者が顔部分に装着して使用する装置であって眼鏡型のウェアラブル端末から構成された要求通知端末と、が構内通信網を介して通信可能に接続されてなる、
被施術者から施術者に対して施術サービスに関する要求内容を伝達するための施術要求伝達システムであって、
前記構内通信網に無線接続される端末であって、施術サービスに関する要求内容の入力を被施術者から受付けるとともに同要求内容を示す施術要求信号を無線発信する前記施術要求発信端末と、
同構内通信網に無線接続されるとともに眼鏡を構成する透光性のレンズ部分に画像表示手段を有し、加えて前記施術要求信号を施術要求発信端末から受信したときに被施術者からの施術サービスに関する要求内容を施術者に対して通知する前記要求通知端末と、
を備え、
前記要求通知端末は、
施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、同施術サービスが施される被施術者の身体部位の入力を施術者から受付ける動作と、
同被施術者の身体部位が入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された個別部位施術時間を計時するとともに、同身体部位と個別部位施術時間を対応付けて記録する動作と、
前記被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージの画像表示手段に対する画面表示ないしは同要求内容を示す音声データの再生出力により同要求内容を施術者に通知する動作と、
前記施術要求信号を施術要求発信端末が発信した要求入力時刻ならびに同信号が示す要求内容を、同施術要求信号の受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて記録する動作と、
を実行する構成とした。
【0012】
第2発明によれば施術者は、要求通知端末2A(眼鏡型のウェアラブル端末)を装着することにより、自分自身が行っている実際の作業の様子とともに、眼鏡のレンズ部分に投射された施術要求内容通知画面(
図15の破線部)を介して被施術者からの要求内容についても確認することができる。
このようにすることで施術者は要求通知端末から通知される施術サービスに関する要求内容を確認する際に、顔をそらしたりする必要がなくなる。
そのため施術サービスが中断されて施術者の集中が途切れてしまうことを回避でき、被施術者に対して従来通りの快適な施術サービスを提供することができる。
【0013】
〔第3発明〕
本願の第3発明に係る施術要求伝達システムは、
マッサージ等の施術サービスを受ける被施術者が使用する発信器であって物理的な押ボタンを備える施術要求発信器と、
同施術サービスを施す施術者が使用する端末であってPC(Personal Computer)端末・スマートフォン端末・タブレット端末のいずれかにより構成された要求通知端末と、が直接的に無線通信可能に接続されてなる、
被施術者から施術者に対して施術サービスに関する要求内容を伝達するための施術要求伝達システムであって、
前記被施術者により押ボタンが押下されたときに施術要求信号を無線発信する前記施術要求発信器と、
同無線発信された施術要求信号を施術要求発信器から受信したときに、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に通知する前記要求通知端末と、
を備え、
前記要求通知端末は、
施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、同施術サービスが施される被施術者の身体部位の入力を施術者から受付ける動作と、
同被施術者の身体部位が入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された個別部位施術時間を計時するとともに、同身体部位と個別部位施術時間を対応付けて記録する動作と、
前記被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を含むメッセージの画面表示、同施術サービスに関する要求があった旨を示す音声データの再生出力ないしはLED(Light Emitting Diode)点滅のいずれかを行うことにより、同要求があった旨を施術者に通知する動作と、
前記施術要求信号を施術要求発信器が発信した要求入力時刻ならびに同信号が示す要求内容を、同施術要求信号の受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて記録する動作と、を実行する構成とした。
【0014】
マッサージなどの施術サービスは、施術者が被施術者の身体に触れられる至近距離で行われる。そのため施術要求発信器と要求通知端末の位置関係もやはり、ごく短い至近距離に配置されるものと考えられる。
そこで第3発明の施術要求伝達システムでは、何ら通信網を介することなく近距離無線通信により施術要求発信器と要求通知端末が直接的に通信を行うような構成とした。
これによりネットワーク(通信網)も無線中継装置も不要となり、施術要求発信器と要求通知端末の機器を準備するだけで施術要求伝達システムを「手軽に且つ安価に構成」することが可能となる。
【0015】
また第3発明においては、施術要求発信器として構造が簡略な「押ボタン」を採用した。
このように広く一般に流通している汎用品である押ボタンに「施術要求信号の無線発信機能を付加」するだけで、施術要求伝達システムの構成要素である施術要求発信器(
図20(a))を簡易に構成することが可能となる。
【0016】
〔第4発明〕
本願の第4発明に係る施術要求伝達システムは、
マッサージ等の施術サービスを受ける被施術者が使用する発信器であって物理的な押ボタンを備える施術要求発信器と、
同施術サービスを施す施術者が使用する要求通知装置と、が有線接続もしくは直接的に近距離無線通信可能に接続されてなる、
被施術者から施術者に対して施術サービスに関する要求内容を伝達するための施術要求伝達システムであって、
前記被施術者により押ボタンが押下されたときに施術要求信号を発信する前記施術要求発信器と、
同発信された施術要求信号を施術要求発信器から受信したときに、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に通知する前記要求通知装置と、
を備え、
前記要求通知装置は、
前記被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を示す音声データの再生出力、LED(Light Emitting Diode)点滅またはバイブレーション動作を行うことにより、同要求があった旨を施術者に通知する構成とした。
【0017】
第4発明の施術要求伝達システムにおいても、第3発明と同様の技術的特徴(構成要素間の近距離無線通信による直接通信)を有することにより、第3発明と同様の効果を奏することが可能となる。
なお第4発明においては、施術要求発信器と要求通知装置が有線により接続された構成も採用することもできる。
【0018】
さらに第4発明においては、施術要求発信器として構造が簡略な「押ボタン」を採用するとともに、要求通知装置として照明機能を有する「照明器具」ないしは音声の出力機能を有する「スピーカ」を採用することができる。
このように広く一般に流通している汎用品(押ボタン・照明器具・スピーカ・モータ)に施術要求信号SGの発信機能ないしは施術要求信号SGの受信機能を付加するだけで、施術要求伝達システムの構成要素たる施術要求発信器(
図20(a))や要求通知装置(
図20(b)・
図20(c)・
図20(d))を簡易に構成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の施術要求伝達システムについて説明する。
[実施形態1]
本発明の実施形態1は、被施術者から施術者に対して施術サービスに関する要求内容を伝達するための施術要求伝達システム100の構成例である。
以下、この内容について詳しく説明する。
なお本例では本システム100を、施術サービスのうち来店した顧客(被施術者)に対してマッサージサービスを提供する店舗に適用したケースを例に挙げて説明する。
【0021】
施術要求伝達システム100は
図1に示すように、施術要求発信端末1と、要求通知端末2とを、構内通信網200(電気通信回線)を介して通信可能な状態で接続したシステムである。
本例では、施術要求発信端末1・要求通知端末2の双方ともに施術サービスを提供する店舗側が所有しており、同端末1を来店した顧客(被施術者)に対して貸与するものとして説明する。
なお構内通信網200においては、例えばVPN(Virtual Private Network)技術などを利用すればセキュリティレベルを高く確保可能である。
【0022】
施術要求発信端末1は、マッサージ等の施術サービスを受ける被施術者が使用する端末であって「スマートフォン端末・タブレット端末」から構成される。
また同端末1は、無線中継装置3を介して構内通信網200に無線接続される。
施術要求発信端末1は、施術サービスに関する要求内容の入力を被施術者から受付けるとともに同要求内容を示す施術要求信号SGを無線発信する。
【0023】
ここで施術要求発信端末1・要求通知端末2はともに同じ室内(ごく近い距離)で使用されるため、同端末1による施術要求信号SGの無線出力範囲は数メートル〜数十メートル程度の近距離無線通信が行える程度でよい。
なお無線発信に使用する電波の周波数帯域は任意の帯域を採用できるが、日本国内においては無線局免許状なしでの使用が認められている2.45GHz帯を選択することが望ましい。
【0024】
図1の要求通知端末2は、施術サービスを施す施術者が使用する端末であって「PC(Personal Computer)端末・スマートフォン端末・タブレット端末」のいずれかにより構成される。
同端末2は、構内通信網200に有線接続または無線接続(本例では有線接続)される。
また要求通知端末2は、施術要求信号SGを施術要求発信端末1から受信したときに、被施術者による施術サービスに関する要求内容を施術者に対して通知する。
【0025】
さらに要求通知端末2は、施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、同サービスが施される被施術者の身体部位の入力を施術者から受付ける。
また要求通知端末2は、被施術者の身体部位が入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された「個別部位施術時間」を計時するとともに「身体部位と個別部位施術時間を対応付けて記録」する。
【0026】
要求通知端末2は、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含む「メッセージの画面表示」ないしは同要求内容を示す「音声データの再生出力」を行うことにより、同要求内容を施術者に対して通知する。
また要求通知端末2は、施術要求発信端末1が施術要求信号SGを発信した「要求入力時刻」を、同信号SGの受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて記録する。
【0027】
つぎに実施形態1の施術要求発信端末1・要求通知端末2の各電気的構成について順次説明する。
これら端末1・2は、計算処理能力や記憶容量等の規模に相違があるものの装置構成は似通っている。いずれの端末1・2も
図1に示したごとく、液晶ディスプレイや図示しないプリンタ等を含む出力部と、各種の演算処理を実行する装置本体と、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部とを備えている。
また装置本体は、演算処理を実行するCPUを中心とした制御機能、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を利用する記憶機能、及び各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0028】
以下、施術要求発信端末1の電気的構成について説明する。
図2は、実施形態1に係る施術要求発信端末1の電気的構成を示すブロック図である。
同
図2に示すように本端末1は、液晶ディスプレイ(図示略)等の出力部14と、タッチパネル(図示略)等のポインティングデバイスを含む入力部13とを備えている。
【0029】
また本端末1は、任意の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を含む制御部11のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等を含む記憶部12、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部15を備えている。
なお本例において通信部15は、無線中継装置3を介して構内通信網200に接続される。
【0030】
図2の制御部11は、CPU・ROM・RAM等を有し、ROM・記憶部12に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
本端末1では、施術要求内容入力受付手段111、要求内容発信手段112、評価結果入力受付手段113および評価結果転送手段114が実現される。
【0031】
施術要求内容入力受付手段111は、被施術者から施術サービスに関する要求内容の入力を受付ける。
本例では被施術者から施術サービスに関する要求内容の入力を受付ける際、施術要求内容入力受付手段111は、施術要求内容入力画面(
図7)を表示する。
同
図7の画面例では、施術サービスに関する要求内容として希望施術部位(被施術者が施術を希望する身体部位)・希望調節位置(被施術者が施術を希望する、現施術位置に対する相対位置)・希望施術強度(被施術者が希望する施術の力加減)をプルダウンメニュー形式で指定することが可能となっている。
【0032】
図2の要求内容発信手段112は、施術要求内容入力画面(
図7)において「施術内容の要求」ボタンが押下されたときに、同画面(
図7)を介して被施術者から入力された施術サービスに関する要求内容を示す施術要求信号SGを要求通知端末2に送信する。
なお本例においては、要求内容発信手段112が施術要求信号SGを発信した時刻をもって「要求入力時刻」(施術サービスに関する要求内容が被施術者から寄せられた時刻)とする。
【0033】
評価結果入力受付手段113は、施術者によって提供された施術サービスに対する評価結果の入力操作を被施術者から受付ける。
本例では評価結果の入力操作受付の際、同手段113は、施術サービス評価入力画面(
図10)を表示する。
同画面(
図10)においては、施術者名に加えて同施術者が施した施術サービスの評価指標(施術の強さ・施術の位置・施術時間・応対の態度)が提示されている。
【0034】
図2の評価結果転送手段114は、上述の施術サービス評価入力画面(
図10)において施術サービスに対する評価結果の入力操作(「評価結果の転送」ボタンの押下)がなされると、同評価結果を入力した被施術者の氏名(被施術者名)・同被施術者による評価結果・同評価結果が入力された評価入力時刻を要求通知端末2に自動転送する。
なお本例においては「評価結果の転送」ボタン(
図10)が押下された時の現在時刻をもって「評価入力時刻」とする。
【0035】
つぎに要求通知端末2の電気的構成について説明する。
図3は、実施形態1に係る要求通知端末2の電気的構成を示すブロック図である。
同
図3に示すように本端末2は、液晶ディスプレイ(図示略)等の出力部24と、タッチパネル(図示略)ないしはマウス(図示略)等のポインティングデバイスを含む入力部23とを備えている。
【0036】
また本端末2は、任意の演算処理を実行するCPUを含む制御部21のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を含む記憶部22、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部25を備えている。
なお本例において通信部25は、構内通信網200に有線接続される。
【0037】
制御部21は、CPU・ROM・RAM等を有し、ROM・記憶部22に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
本端末2では、個別部位施術時間記録手段211、要求通知手段212、施術要求記録手段213、評価結果登録手段214および評価結果表示手段215が実現される。
【0038】
個別部位施術時間記録手段211は、施術者から施術部位(施術を開始する身体部位)の入力を受付けるとともに、その施術部位に対して施術がなされた個別部位施術時間を計時し、これら個別部位施術時間と施術部位を対応付けて施術要求履歴情報221(
図4)に記録する。
本例では施術者から施術部位の入力を受付ける際、個別部位施術時間記録手段211は、施術時間管理画面(
図8)を表示する。
【0039】
同
図8の画面例では、施術がなされた個々の身体部位について各施術部位への施術が行われた「個別部位施術時間」が提示されている。
そのため施術者は施術時間管理画面(
図8)を参照することで、現在行っている施術サービスにおいて施術が全く施されていない身体部位(すなわち個別部位施術時間がゼロとなっている部位)を確認したり、施術を行ったものの施術時間が不足気味の身体部位を確認することができる。
なお通常の場合、施術者はとかく施術サービス(マッサージなど)を行うことに意識を集中させていることが多い。そのため施術サービスが終わってしばらく時間が経った後に、施術者の記憶だけを頼りに「施術を始めてから何分後に被施術者のどこの部位のマッサージをしていたか」をすべて正確に思い出すことはほぼ再現不能といっても過言ではない。
しかしながら本例によれば施術時間管理画面(
図8)を介して非常に簡易な入力操作(例えば、入力部23によるタッチパネル操作)により、施術サービスのサービス品質低下を招くことなく「施術者がこれから施術を始めようとしている施術部位」ならびに「その施術部位に対して施術がなされた個別部位施術時間」を記録しておくことができる。
【0040】
要求通知手段212は、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージを画面表示することにより、同要求内容を施術者に対して通知する。
本例では施術要求内容通知画面(
図9)を表示することにより、被施術者からの要求内容を施術者に対して通知する。
施術者は同画面(
図9)を参照することにより、被施術者が施術を希望する身体部位・被施術者が施術を望んでいる現施術位置に対する相対位置・被施術者が希望する力加減に関する情報を把握できる。
なお本例の要求通知手段211は、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を示す音声データの再生出力を行うことにより、同要求内容を施術者に対して通知することもできる。
【0041】
図3の施術要求記録手段213は、施術要求信号SGを施術要求発信端末1が発信した要求入力時刻ならびに同信号SGが示す要求内容を、同信号SGの受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて施術要求履歴情報221(
図4)に記録する。
【0042】
施術要求履歴情報221は、被施術者から寄せられた個々の施術要求内容と、その施術要求内容に関する属性の対応関係を指定する情報である。
図4の例では同情報221において、個々の被施術者IDならびに被施術者名と、各被施術者が施術要求内容を入力した「要求入力時刻」と、各被施術者から寄せられた施術要求内容の属性(希望施術部位・希望調節位置・希望施術強度など)とが対応付けされている。
【0043】
図3の評価結果登録手段214は、施術サービスを受終わった施術者から実際に寄せられた同サービスに対する評価結果を評価結果履歴情報222(
図5)に記録する。
【0044】
評価結果履歴情報222は、施術サービスを受終わった被施術者と、同被施術者から寄せられた評価に関する属性の対応関係を指定する情報である。
図5の例では評価結果履歴情報222において、個々の被施術者IDならびに被施術者名と、各被施術者が施術サービスに対する評価結果を入力した評価入力時刻と、各被施術者から寄せられた評価の属性(施術の強さに対する評価結果・施術の位置に対する評価結果・施術時間に対する評価結果・応対の態度に対する評価結果など)とが対応付けされている。
【0045】
このように評価結果と評価入力時刻を対応付けて評価結果履歴情報222に登録しておくことで、施術サービスに対する評価の変遷(履歴情報)を個々の被施術者ごとに追跡することが可能となる。
そのため店舗側では、施術サービスの品質が維持もしくは向上しているか、また被施術者の要望に対して希望通りの施術サービスが行われているか等を傾向分析することができ、経営戦略上のサービス改善に役立てることが可能となる。
【0046】
図3の評価結果表示手段215は評価結果履歴情報222に基づいて、施術サービスを受終わった施術者から実際に寄せられた同サービスに対する評価結果を表示する。
なお本例では評価結果を表示する際、評価結果表示手段215は、評価結果参照画面(
図11)を表示する。
同
図11の画面例では、同一の被施術者が来店するごとに入力を行った施術サービスに対する評価結果が提示されている。
【0047】
つぎに上記構成を有する施術要求伝達システム100の動作について説明する。
以下では、施術サービスを受けている最中に被評価者が発信した同サービスに関する要求内容を施術者に通知し、さらに施術サービスの終了後に被施術者が入力した評価結果を登録するときの各構成要素1・2の動作フローについて説明する。
なお
図6に例示する使用形態では施術サービスが提供される際、被施術者はスマートフォン端末からなる施術要求発信端末1を手に持った状態で同サービスを受けている一方、据置型のPC端末からなる要求通知端末2は施術者の近傍に設置されている。
【0048】
[
図12のステップS10]
図12に示すように要求通知端末2は、施術部位(施術が行われる身体部位)の入力を施術者から受付ける(ステップS10)。
なお本例では施術者は、施術時間管理画面(
図8)において施術を開始する身体部位を表すボタン(例えば「腰部」ボタン)を押下することにより施術部位を入力する。
【0049】
[
図12のステップS11]
続いて要求通知端末2は、施術者から入力された施術部位に対して施術がなされた個別部位施術時間を計時し(ステップS11)、これら個別部位施術時間と施術部位を対応付けて施術要求履歴情報221(
図4)に記録する。
なお「個別部位施術時間」を計時する場合、施術者が施術部位(これから施術が行われる身体部位)を入力した施術部位入力時刻からの経過時間を計測すればよい。
【0050】
[
図12のステップS12]
一方、施術要求発信端末1は、被施術者から施術サービスに関する要求内容の入力を受付ける(ステップS12)。
なお本例では施術要求内容入力画面(
図7)を介して、施術サービスに関する要求内容(希望施術部位・希望調節位置・希望施術強度)の入力が行われる。
【0051】
[
図12のステップS13]
その後、施術要求内容入力画面(
図7)において「施術内容の要求」ボタンが押下されると、施術要求発信端末1は、同画面(
図7)を介して被施術者から入力された施術サービスに関する要求内容を示す施術要求信号SGを要求通知端末2に発信する(ステップS13)。
なお本例の施術要求信号SGには、要求入力時刻(要求内容発信手段112が施術要求信号SGを発信した時刻)に関する情報も包含される。
【0052】
[
図12のステップS14]
要求通知端末2は上記施術要求信号SGを施術要求発信端末1から受信すると、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージを画面表示することにより同要求内容を施術者に対して通知する(ステップS14)。
【0053】
[
図12のステップS15]
また要求通知端末2は、施術要求信号SGを施術要求発信端末1が発信した要求入力時刻ならびに同信号SGが示す要求内容を、同信号SGの受信時に施術者が施術サービスを行っていた身体部位と対応付けて施術要求履歴情報221(
図4)に記録する(ステップS15)。
【0054】
[
図12のステップS16]
その後、施術サービス(本例ではマッサージ)を受終わると、被施術者は施術要求発信端末1を操作することにより評価結果を入力する。
同端末1は、施術サービスに対する評価結果の入力操作を被施術者から受付ける(ステップS16)。
本例では施術サービス評価入力画面(
図10)を介して、施術者が施した施術サービスの評価指標(施術の強さ・施術の位置・施術時間・施術者による応対の態度)が入力可能となっている。
【0055】
[
図12のステップS17]
施術要求発信端末1は、上記画面(
図10)において施術サービスに対する評価結果の入力操作(「評価結果の転送」ボタンの押下)がなされると、同評価結果を入力した被施術者の氏名(被施術者名)・同被施術者による評価結果・同評価結果が入力された評価入力時刻・施術を行った施術者名を要求通知端末2に自動転送する(ステップS17)。
【0056】
[
図12のステップS18]
要求通知端末2は、施術サービスを受終わった施術者による評価結果を施術要求発信端末1から受信すると、同評価結果を評価結果履歴情報222(
図5)に記録する(ステップS18)。
なお本例では個々の被施術者ID・被施術者名に対して、施術を行った施術者名と、各被施術者が評価結果を入力した評価入力時刻と、各被施術者から寄せられた評価の属性(施術の強さ・施術の位置・施術時間・応対の態度それぞれに対する評価結果)が対応付けされて登録される。
【0057】
[
図12のステップS19]
施術者は評価結果を参照する場合、評価結果参照画面(
図11)を起動する。
同画面(
図11)が起動されると要求通知端末2は、評価結果履歴情報222(
図5)に登録されている評価結果を読出して評価結果参照画面(
図11)に表示する(ステップS19)。
以上で、施術サービスに関する要求内容の通知処理ならびに被施術者による評価結果の登録処理をするときの一連の動作が終了する。
【0058】
以上説明したように実施形態1によれば、被施術者から施術者に対する意思(施術サービスに対する要求内容)の伝達が施術要求発信端末1・要求通知端末2により行われるため、口頭によるコミュニケーションのように施術者の集中を乱すことなく被施術者が施術サービスに関する要求を容易に通知できる。
また実施形態1によれば施術サービスに対する要求内容を記録していくことにより個々の被施術者がそれぞれ好む施術位置・力加減をデータベース化できるため、個々の施術者の嗜好に適合したよりきめ細かな施術サービスを提供することが可能になり、ひいてはリピータ率の向上も期待できる。
【0059】
なお本実施形態ではアプリケーションを任意の多機能電子装置に導入することにより本発明の特徴的な各種機能を付加することができ、上記施術要求発信端末1ないしは要求通知端末2を構成可能である。
また本実施形態によれば多機能電子装置に専用アプリケーションをインストールするだけで、安価に、また簡易かつ短時間で同端末1・2を構成できる。これらの端末1・2の各機能は、同一の多機能電子装置に実装してもよい。
【0060】
ここで多機能電子装置としては、スマートフォン、タブレット端末・PC(Personal Computer)等を採用できる。
画像表示処理時はCPUに対しかなりの処理負担がかかるものの、スマートフォンやタブレット端末であれば処理性能が日進月歩の勢いで飛躍的に向上しており、各種画面の表示処理・音声データの再生処理を実行する際にも快適な動作速度を担保できる。
また携帯型の多機能電子装置であれば携行性というメリットを備えるがゆえに、被施術者が施術サービスを受けている最中に姿勢を変える際にも妨げになることがなく(
図6参照)、さらに施術者に対しても施術作業に支障をきたすことを未然回避できる。
【0061】
[実施形態2]
つぎに、本発明の実施形態2の施術要求伝達システム100Aについて説明する。
実施形態2に係る施術要求伝達システム100Aは、被施術者が用いる施術要求発信端末1A・施術者が用いる要求通知端末2Aが双方ともに「身体に装着して使用する携帯型電子装置(すなわちウェアラブル端末)」で構成されている点に大きな特徴がある。
なお本例においても実施形態1と同様に施術要求発信端末1A・要求通知端末2Aはともに施術サービスを提供する店舗側が所有しており、来店した顧客(被施術者)に対して施術要求発信端末1Aを貸与するものとして説明する。
【0062】
施術要求伝達システム100Aは
図13のように、施術要求発信端末1Aならびに要求通知端末2Aを構内通信網200(電気通信回線)を介して通信可能な状態で接続したシステムである。
【0063】
施術要求発信端末1Aは、被施術者が手首に装着して使用する端末であって「腕時計型のウェアラブル端末」から構成されている。
同発信端末1Aは、無線中継装置3経由で構内通信網200に無線接続される。
また同発信端末1Aは、施術サービスに関する要求内容の入力を被施術者から受付けて、同要求内容を示す施術要求信号SGを無線発信する。
【0064】
要求通知端末2Aは、施術者が顔部分に装着して使用する装置であって「眼鏡型のウェアラブル端末」から構成されている。
同端末2A(眼鏡型のウェアラブル端末)は、無線中継装置3経由で構内通信網200に無線接続される。
また同端末2Aは、眼鏡を構成する透光性のレンズ部分に画像表示手段(出力部)を有している。
要求通知端末2Aは、施術要求信号SGを施術要求発信端末1Aから受信したときに被施術者からの施術サービスに関する要求内容を施術者に対して通知する。
【0065】
同端末2Aは、施術者が被施術者の個々の身体部位について施術サービスを行う都度、施術部位(施術が開始される被施術者の身体部位)の入力を施術者から受付ける。
実施形態2においても実施形態1と同様に、施術者から施術部位の入力を受付ける場合、要求通知端末2Aは施術時間管理画面(
図8)を表示する。
【0066】
また要求通知端末2Aは、上記施術部位が施術者により入力された施術部位入力時刻に基づいて当該身体部位に対して施術サービスが施された個別部位施術時間を計時する。
さらに同端末2Aは、施術者によって施術が行われる施術部位と個別部位施術時間を対応付けて記録する。
【0067】
また要求通知端末2Aは、施術要求信号SGを施術要求発信端末1Bから受信すると、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を含むメッセージの画像表示手段(出力部24)に対する画面表示により同要求内容を施術者に通知する。
なお同端末2Aは、被施術者からの施術サービスに関する要求内容を示す音声データの再生出力により同要求内容を施術者に通知することもできる。
【0068】
また要求通知端末2Aは、施術要求信号SGを施術要求発信端末1Bが発信した「要求入力時刻」ならびに同信号SGが示す「要求内容」を、同信号SGの受信時に施術者が施術サービスを行っていた「身体部位」と対応付けて記録する。
【0069】
なお上記機能を実現する本実施形態2の施術要求発信端末1Aの電気的構成は、実施形態1で説明した施術要求発信端末1の電気的構成(
図2)と実質的に同一である。
また本実施形態2の要求通知端末2Aの電気的構成についても、実施形態1で説明した要求通知端末2の電気的構成(
図3)と実質的に同一である。
【0070】
なお本実施形態2の要求通知端末2Aは「眼鏡型のウェアラブル端末」で構成されている。
ここで要求通知端末2Aの出力部24A(画像表示手段)は、施術者が施術サービスを実施するときの作業快適性を確保するため、施術者の視界を遮ることのないよう配慮する必要がある。
そのため同端末2Aの出力部24A(
図15の破線部)における画像表示方式としては、眼鏡を構成する透光性のレンズ部分の後方から映像を投射しておき同レンズ部分に対して映像を反射させることでユーザ(本例では施術者)の眼から数メートルほど前方に任意の画像を表示する光学シースルー型バーチャルイメージ方式を採用するのが望ましい。
【0071】
要求通知端末2Aの出力部(画像表示手段)における画像表示手法として光学シースルー型バーチャルイメージ方式を採用することにより、施術者は同端末2Aから通知される施術サービスに関する要求内容を確認する際、顔をそらしたりする必要がなくなる。
そのため施術者の施術サービスが中断されることにより集中が途切れてしまうことを回避でき、被施術者に対して従来通りの快適な施術サービスを提供することができる。
【0072】
なお
図14に例示する使用形態では施術サービスが提供される際、被施術者は「腕時計型のウェアラブル端末」からなる施術要求発信端末1Aを手首に装着した状態で同サービスを受けている一方、「眼鏡型のウェアラブル端末」からなる要求通知端末2Aは一般的な眼鏡をかける要領で施術者の顔部分に装着されている。
【0073】
実施形態2において施術者はその視界を通じて、自身が現在施術を行っている実際の作業の様子とともに(
図15)、自身が装着している要求通知端末2Aの出力部24A(同
図15に破線で示すレンズ部分)に投射された施術要求内容通知画面を介して被施術者から要求についても確認することができる。
なお実施形態2における要求通知端末2Aの出力部24Aは施術者の眼にあてがわれる眼鏡型ウェアラブル端末のレンズ部分である。そのため同部24Aの画像表示範囲(画面サイズ)が制約を受けることに鑑み、
図15に例示したごとく施術要求内容通知画面に提示する要求内容の情報量は適宜少なくしてもよい。
【0074】
[実施形態3]
つぎに、本発明の実施形態3の施術要求伝達システム100Bについて説明する。
実施形態3においては
図16のごとく施術要求発信器1Bと要求通知端末2Bが構内通信網を介して通信接続されておらず、これら施術要求発信器1と要求通知端末2Bが通信網を介することなく「直接的に近距離無線通信を行う」点で上記実施形態1・2の構成と異なっている。
このように直接通信可能な構成とした理由は、マッサージなどの施術サービスは施術者が被施術者の身体に触れることのできる至近距離で行われることから施術要求発信器1Bと要求通知端末2Bもやはり至近距離に配置され、施術要求発信器1Bと要求通知端末2Bが直接的に近距離無線通信することが可能と考えられるからである。
【0075】
実施形態3の施術要求発信器1Bは
図20(a)に示すように、押ボタン13Bと、発信部15Bを備えている。
本例で採用する押ボタン13Bは、被施術者によりボタン押下されている間だけスイッチのオン状態(接点の導通)を維持し、被施術者がボタン押下を終了するとスイッチをオフ状態(接点の遮断)にする自動復帰型(モーメンタリタイプ)のスイッチである。
また発信部15Bは、被施術者により押ボタン13Bが押下されたときに施術要求信号SGを無線発信する。
【0076】
ここで本実施形態3の施術要求発信器1Bを構成する主要な部品は上記のとおり押ボタン13Bと発信部15Bだけであり部品点数が非常に少なくなっている。そのため、同発信器1Bのサイズは被施術者の手にすっぽりと収まるよう「充分に小型化」することが可能である。
図17に例示する使用形態では施術サービスが提供される際、被施術者は押ボタン13を押下しやすいよう施術要求発信器1Bを手に握った状態で同サービスを受けており、一方で据置型のPC端末からなる要求通知端末2Bは施術者の近傍に設置される。
同
図17の例では、上記PC端末の画面(出力部24B)上に施術要求内容通知画面(
図18)が表示される。なお同
図18の画面例においては、被施術者からの要求内容が簡略化して表示(通知)される。
【0077】
なお実施形態3における施術要求発信器1Bの「無線発信」方式は、光のうち周波数が最も低い「赤外線」、ないしは赤外線よりもさらに周波数の低い「電波」(電波法に規定する周波数300万MHz以下の電磁波)のどちらを選択してもよい。
赤外線により無線発信する場合、カスタムコード(またはデバイスコード)とデータコードの組合せから成る一連の符号が信号送信される。カスタムコードとは、命令指示対象の要求通知端末2Bを固有に識別するためのコードであり、データコードとは、指示する動作内容を指定するためのコードである。
なお無線発信方式を選定する場合、電波では指向性がないが、赤外線は指向性が高いため無線信号(施術要求信号SG)が障害物の影響を受けやすいことに留意が必要となる。
【0078】
実施形態3によれば施術要求発信器1Bと要求通知端末2Bが直接的に近距離無線通信させるため「いかなるネットワーク環境(通信網や無線中継装置)も不要」である。
そのためネットワークにかかる費用(例えば、通信事業者から課金される構内通信網200の利用料金、無線中継装置3の購入費やレンタル料)を抑制することができ、施術要求発信器1Bと要求通知端末2Bの各機器を準備するだけで施術要求伝達システムを「手軽に且つ安価に構成」できる。
また実施形態3によれば、広く一般に流通している汎用品である押ボタン13Bに対して施術要求信号SGの無線発信機能を付加するだけで施術要求発信器1Bを構成できるため、施術要求伝達システムを簡易に実現できる。
【0079】
[実施形態4]
つぎに、本発明の実施形態4の施術要求伝達システム100Cについて説明する。
実施形態4の施術要求伝達システム100Cは
図19に示すように、施術要求発信器1Bと、要求通知装置2C(もしくは2Cに代えて2D・2E)とが、いかなる通信網を介することなしに直接的に近距離無線通信可能に接続されたシステムである。
【0080】
実施形態4の施術要求発信器1Bの電気的構成は、実施形態3における施術要求発信器の電気的構成(
図20(a))と同一である。
すなわち実施形態4の施術要求発信器1Bも、自動復帰型の押ボタン13Bが被被施術者により押下されたときに発信部15Bにより施術要求信号SGを無線発信する。
【0081】
要求通知装置2Cは、施術サービスを施す施術者が使用する。
同通知装置2Cは、無線発信された施術要求信号を施術要求発信器1から受信したときに、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に通知する。
【0082】
以下、実施形態4における要求通知装置の電気的構成について説明する。
本実施形態4の要求通知装置の通知手法としては(1)発光通知(LED(Light Emitting Diode)点滅など)、(2)音声通知、(3)バイブレーション通知(モータによる振動通知)のいずれかを採用できる。
【0083】
要求通知装置の通知手法が「発光通知」である場合、同装置2Cは
図20(b)に示すように、点灯制御回路21Cと、発光部24Cと、受信部25Cを備えるように構成される。
【0084】
点灯制御回路21Cは、発光部24Cの点灯動作・消灯動作を制御するための回路である。本例では点灯制御回路21Cは、無線発信された施術要求信号SGを受信部25Cが施術要求発信器1Bから受信したときに、発光部24Cを所定回数点滅後に自動消灯させる。
発光部24Cは、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子から構成される。同発光部24Cは、光を放出することにより被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に通知する。
【0085】
なお要求通知装置2Cについては、施術要求発信器1Bの押ボタン13Bの押下に応じて発光部24Cが点滅動作を行うようにLED電球(発光部24C)を具備する「一般的な照明器具を改造」することで同装置2Cを構成することもできる。
一般的な照明器具製品では、審美的な装飾が施されたデザイン性の高い製品が数多く市場に流通している。
本実施形態では上述したように一般的な照明器具に改造を加えることで要求通知装置2Cとしても使用することができるため、数ある照明器具のなかから美観性に優れた照明器具を施術サービス提供者が任意に選択・購入し、この購入した照明器具を要求通知装置2Cとして使用することもできる。
そのため施術サービスの提供者が店舗の構えに調和するよう店内の雰囲気に合った照明器具をすでに購入設置していた場合でも、その照明器具に一部改造を加えることで引続きそのまま「照明器具」兼「要求通知装置2C」として使用できる。
これにより元々の店舗の雰囲気を損なうことなく、施術要求伝達システム100Cを導入することができる。
また要求通知装置2Cを製造するメーカー側においても、すでに市場で出回っているデザイン性の高い照明器具を選んで要求通知装置2Cとして作り変えて販売することにより、施術要求伝達システム100Cの購入を検討する需要者の購買意欲が高まることを期待できる。
【0086】
また要求通知装置2Cについては、発光部24C(LED等)の明るさを調節する明度切替機能を設けてもよい。
このようにすることで顧客への演出効果として施術サービスの最中は被施術者が落着けるよう明るさを落として施術空間を暗めに設定したり、LED点滅により施術者に対して要求内容を通知するときに施術者の目が眩しくないように明るさを調節したり、また施術サービスの終了後に施術中よりも室内を明るく照らすこと等が可能となる。
【0087】
また要求通知装置の通知手法が「音声通知」である場合、同装置2Dは
図20(c)に示すように、音声再生回路21Dと、スピーカ24Dと、受信部25Dを備えるように構成される。
【0088】
音声再生回路21Dは、無線発信された施術要求信号SGを受信部25Dが施術要求発信器1Bから受信したときに音声信号(電気信号)をスピーカ24Dに出力する。
この音声信号は、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨の音声データが記録された電気信号である。
【0089】
スピーカ24Dは、入力された電気信号を物理振動(音波)に変換して出力する。
同スピーカ24Dは、音声再生回路21Dから出力された音声信号(電気信号)を変換して音声(音波)として出力することにより、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に通知する。
なお要求通知装置2Dによる音声通知を行う場合、施術サービスを受ける被施術者の快適性が担保されるよう、同装置2Dをイヤホン型に構成して被施術者からの通知内容が施術者のみに聴こえるようにすることが好ましい。
【0090】
また要求通知装置の通知手法が「振動通知」である場合、同装置2Eは
図20(d)に示すように、駆動制御回路21Eと、モータ24Eと、受信部25Eを備えるように構成される。
【0091】
駆動制御回路21Eは、モータ24Eの動作(回転・停止)を制御するための回路である。本例では駆動制御回路21Eは、施術要求発信器1Bから無線発信された施術要求信号SGを受信部25Eが受信したときに、モータ24Eを所定時間だけ駆動させた後に自動停止させる。
モータ24Eは、同モータ24自体の回転動作に起因して発生する物理的振動により、被施術者から施術サービスに関する要求があった旨を施術者に対して通知する。
【0092】
実施形態4によれば、実施形態3と同様にいかなるネットワーク環境も不要であり、また広く一般に流通している汎用品(押ボタン・発光素子・スピーカ・モータ)に対して施術要求信号SGの無線発信機能ないしは同信号SGの受信機能を付加するだけで施術要求発信器・要求通知装置ともに構成できるため、実施形態3よりもさらに簡素な構成で施術要求伝達システムを実現できる。
【0093】
なお施術サービスを提供する店舗によっては当然に、施術するスペースがあまり広くないケースも想定される。
このような状況下では
図6・
図17に例示したような据置型PC端末(要求通知端末2・2B)の設置スペースを確保することが困難な場合もある。
上記のようなケースでは照明器具を主として構成された要求通知装置2Cないしはスピーカを主として構成された要求通知装置2Dを採用することで、狭小スペースでも空間的制約を受けることなく施術要求伝達システムを導入することが可能である。
このとき要求通知装置2C・2Dの背面には引掛具を差込むための開口部を設けておき、同装置2C・2Dを設置する壁面には引掛具(例えばフックなど)を取付けておく。
そして壁面に取付けられた引掛具に上記開口部をはめ込むことで
図21に例示するように要求通知装置2C(または2D)を壁沿いに設置でき、据置型PC端末の設置が困難な狭い施術スペースであっても空間を圧迫することなく施術要求伝達システムを導入できる。
【0094】
なお実施形態4の施術要求伝達システム100Cは、施術要求発信器1Bならびに要求通知装置2C(2D・2E)を有線接続することにより構成してもよい。
施術要求発信器1Bと要求通知装置2Cを有線接続した場合、同発信器1B側では発信部15B(
図20(a))が不要になり、また同装置2C側では受信部25(同
図20(b))が不要となる。
そして施術要求発信器1Bの押ボタン13Bから送信された施術要求信号SGが要求通知装置2Cの点灯制御回路21Cへ直接入力されるよう、同ボタン13Bと点灯制御回路21Cを信号線(図示略)により相互に結線すればよい。
このような構成下では、被施術者が施術要求発信器1Bを持ち歩き可能な範囲は施術要求発信器1Bと要求通知装置2Cを結ぶ信号線(図示略)の長さによって制限されてしまうものの、同発信器1B・同装置2Cの双方ともに無線通信用の部品(発信部15B・受信部25)が不要となるため装置構成をさらに簡略化することができる。
【0095】
[変形例:公衆通信回線に対する通信接続]
本実施形態の施術要求伝達システム100は
図22に示すように、施術要求発信端末1ならびに要求通知端末2がインターネット等の公衆通信回線300を介して通信可能な状態で接続した構成を採用することもできる。
なお上述した実施形態1・2の構成と同様に、公衆通信回線300についてもVPN技術等を利用することでセキュリティレベルを高く確保できる。
このように公衆通信回線300を利用して施術要求伝達システムを構成する利点の1つとしては、施術要求発信端末1のユーザ(施術サービスに対して評価を与える被施術者)がSNS(Social Networking Service)を利用している場合、被施術者が自ら体験した施術サービスの評価結果をSNSにより共有することで、店舗が提供している施術サービスをインターネット経由で不特定多数のユーザに広く認知してもらうことができることが挙げられる。
【0096】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る各種の変形が可能である。