【解決手段】デュアルSSIDを用いた2つの周波数帯による無線通信が可能な親機との通信を行う中継機1であって、2つの周波数帯のうち、一の周波数帯で使用されるSSIDを、親機から取得する情報取得部110と、取得した一の周波数帯で使用されるSSIDを基に、一の周波数帯以外の周波数帯で使用されるSSIDを生成するSSID生成部121と、SSID生成部121が生成したSSIDで、親機との通信が可能か否かを確認する接続確認部123と、SSID生成部121によって生成されたSSIDで、子機との通信を行う通信処理部130を有することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、
図1〜
図6を参照して、本実施形態の第1実施形態について説明する。
<中継機1の構成>
図1は、第1実施形態に係る中継機の構成を示す機能ブロック図である。
中継機(通信装置)1は、メモリ(記憶部)11、CPU(Central Processing Unit)12、親機及び子機との通信を行う送受信装置15、LED(Light Emitting Diode)表示装置13及び切替スイッチ14を有している。
メモリ11では、メモリ11に格納されているプログラムがCPU12によって実行されることにより、情報取得部110、通信設定処理部120、通信処理部130が具現化している。
情報取得部110は、親機から暗号化通信設定に必要な情報である通信設定情報等を取得する。
通信処理部130は、親機及び子機との間の通信を制御する。
【0014】
通信設定処理部120は、SSID生成部(識別情報生成部)121、接続確認部122、接続設定部123及び表示処理部124を有している。
SSID生成部121は、親機から取得した、一方の周波数帯(例えば、2.4GHz)の通信で用いられるSSID(識別情報)から、他方の周波数帯(例えば、5GHz)の通信で用いられるSSIDを生成する。
接続確認部122は、SSID生成部121が生成したSSIDを用いて親機との通信が可能か否かを確認する。
接続設定部123は、親機から取得したSSID及びSSID生成部121が生成したSSIDを用いて、親機及び子機との通信接続を設定する。
表示処理部124は、LED表示装置13の表示状態を制御する。
【0015】
なお、メモリ11に格納されているSSIDテーブル140、LED表示装置13及び切替スイッチ14については、後記する。
【0016】
<SSIDテーブル140>
図2は、第1実施形態に係るSSIDテーブルの例を示す図である。
SSIDテーブル140は、中継機1(
図1参照)のベンダ(A社、B社、C社、・・・)毎に、2.4GHzの周波数帯で使用するSSIDと、5GHzの周波数帯で使用されるSSIDと、暗号化キーとが対応付けられて格納される。なお、SSIDテーブル140におけるSSIDは、中継機1の工場出荷時には既に入力されている。
暗号化キーの欄は、後記する
図6や、
図8の処理が行われると格納される。つまり、中継機1の工場出荷時では、SSIDテーブル140における暗号化キーの欄は、すべて空欄となっており、後記する
図6や、
図8の処理が行われる毎に格納されていく。
図2では、A社の暗号化キーのみが取得され、格納されている例を示している。なお、親機が同じベンダの親機に交換される等した場合、暗号化キーの欄は上書きされる。例えば、親機を同じA社の親機に交換すると、暗号化キーが変わるため、SSIDテーブル140の暗号化キーの欄に格納されている暗号化キーは、新しい暗号化キーに上書きされる。
【0017】
図3は、第1実施形態に係るSSIDの例を示す図であり、(a)はA社における2.4GHzの周波数帯で使用されるSSIDの例を示し、(b)はA社における5GHzの周波数帯で使用されるSSIDの例を示す。
図3に示すように、SSID200は、ベンダ毎に固有の文字列である固定部201と、中継機1の個体毎に変更される文字列である可変部202とを有している。なお、一般的に、固定部201は、ベンダ毎に固有である(
図2参照)。
図3(a)に示すA社における2.4GHzの周波数帯で使用されるSSID200a(200)を参照すると、固定部201は「abcde −2G」であり、可変部202は「1234」である。なお、本実施形態では、説明のため、可変部202を4桁の数字としているが、実際には6桁程度の数字となる。
【0018】
そして、
図3(b)では、A社における5GHzのSSIDが示されている。
図3(b)に示されるように、A社における5GHzのSSID200b(200)では「abcde −5G」が固定部201であり、「1234」が可変部202である。
このように、同じベンダでは、固定部201を変え、可変部202を共通とすることで、2.4GHzと、5GHzの周波数帯におけるSSID200が区別される。
【0019】
図2に示されているように、工場出荷時におけるSSID200(
図3)は、ベンダが同じであれば、2.4GHz、5GHzの周波数帯とも同じ可変部202を用い、固定部201を変化させることで、使用対象の周波数帯を区別している。
【0020】
SSIDテーブル140は、中継機1におけるファームウェアのアップデート等で変更可能である。このようにすることで、ベンダにおけるSSID200の変更が行われても、対処可能となる。
【0021】
<外観斜視図>
図4は、第1実施形態に係る中継機の外観斜視図である。
図4に示すように、略長方体の形状を有する中継機1の筺体にLED表示装置13及び切替スイッチ14が備えられている。
(LED表示装置13)
LED表示装置13は、接続状態をLEDの表示状態で示すものである。例えば、
図6や、
図8に示す通信設定処理が実行されているとき、LED表示装置13は赤く点滅する。
図6や、
図8の処理の結果、2.4GHz及び5GHzの周波数帯によるSSIDの生成・設定が成功した場合、例えば、LED表示装置13は緑色に点灯する。
図6や、
図8の処理の結果、親機から取得した周波数帯のSSIDから他方のSSIDを生成することに失敗し、親機から取得した周波数帯でのみ子機との通信が可能である場合、例えば、橙色に点灯する。
このようなLED表示装置13を設けることで、ユーザは、現在、どのような接続状態であるのかを、容易に視認することができる。
【0022】
(切替スイッチ14)
さらに、切替スイッチ14は、子機との通信を、2.4GHz、5GHz両方とするか、2.4GHzもしくは5GHzの一方のみとするかを切り替えるものである。このような切替スイッチ14をユーザが操作することにより、使用しない周波数帯の回路をOFFにすることができ、中継機1の省エネルギ化を実現することができる。
なお、
図6や、
図8の処理の結果、2.4GHz及び5GHzの周波数帯によるSSIDの生成が成功した場合でも、使用しない周波数帯の回路をOFFあるいは省電力モードにすることで、中継機1の省エネルギ化を実現することができる。
ちなみに、LED表示装置13及び切替スイッチ14の位置は、
図4に示す位置に限らない。
【0023】
<システム動作>
図5は、第1実施形態に係る無線システムにおける動作の流れを示す図である。適宜、
図1〜
図3を参照する。
なお、ここでは、親機2と中継機1との間の通信が2.4GHzの周波数帯で行われ、中継機1が5GHzの周波数帯で用いられるSSID200を生成しているが、この逆の処理も同様に行われる。なお、親機2は
図2及び
図3におけるA社の製品であるものとする。
【0024】
まず、親機2及び複数の子機3との間で通信が行われている(S101)。ここで、親機2は2.4GHzによる通信と、5GHzによる通信が可能であり、親機2と複数の子機3との間では2.4GHz及び5GHz双方による通信が行われているものとする。そして、親機2と子機3との間の通信で使用されているSSID200は「abcde1234−2G」(2.4GHz)及び「abcde1234−5G」(5GHz)が使用され、暗号化キーは「キーA」が使用されているものとする。
【0025】
次に、中継機1が設置され、中継機1が対応している任意の周波数帯(ここでは2.4GHz)を使用して、無線通信による通信設定処理(WPS)を開始する。具体的には、中継機1の情報取得部110が、親機2に対してWPS対象となる周波数帯(2.4GHz)の通信設定情報を要求する(S102)。
通信設定情報を要求された親機2は、要求された周波数帯(2.4GHz)に関する通信設定情報を中継機1に送信する(S103)。通信設定情報には、要求された周波数帯におけるSSID200、暗号化キー等が含まれている。
【0026】
中継機1の情報取得部110が、通信設定情報を取得すると(S104)、通信設定処理部120が、通信設定処理を行う(S105)。ステップS105における通信設定処理については後記する。
通信設定処理の終了後、中継機1の通信処理部130は2.4GHzの周波数帯を用いて親機2との通信を行う(S106)とともに、2.4GHz及び5GHzの周波数帯を用いて、子機3との通信を行う(S107)。このとき、5GHzの周波数帯における中継機1と子機3との通信は、ステップS105の通信設定処理で生成・設定されたSSID200が用いられる。なお、後記する
図6のステップS251が実行され、5GHzの周波数帯の通信設定処理が中断された場合、中継機1の通信処理部130は、2.4GHzの周波数帯のみを用いて子機3との通信を行う。
【0027】
<中継機1の動作>
図6は、第1実施形態に係る中継機の動作手順を示すフローチャートである。適宜、
図1〜
図3を参照する。なお、
図6に示すフローチャートは、
図5のステップS105における通信設定処理の詳細なフローチャートである。なお、
図6の処理は、中継機1が初めて接続されるときや、親機2(
図5参照)が交換された後で、初めて中継機1が接続するとき等で行われる処理である。
図5のステップS104で、中継機1の情報取得部110が2.4GHzの周波数帯におけるSSID200及び暗号化キーを含む通信設定情報を取得すると、接続設定部123は、取得したSSID200及び暗号化キーを用いて、親機2及び子機3(
図5参照)との通信を設定する(S201)。すなわち、接続設定部123は、2.4GHzの周波数帯でのSSID「abcde1234−2G」と、暗号化キー「キーA」とで親機2及び子機3との通信を設定する。ちなみに、この処理はWPSで一般的に行われている処理である。
【0028】
次に、SSID生成部121が、SSIDテーブル140を参照し、取得したSSID200の固定部201と同じ固定部201があるか否かを判定する(S202)。
具体的には、SSID生成部121は、
図5のステップS104で取得したSSID200に含まれる固定部201の文字列と同じ文字列がSSIDテーブル140にあるか否かを判定する。例えば、SSID生成部121は、
図5のステップS104で取得したSSID「abcde1234−2G」と、
図2に示すSSIDテーブル140を比較すると、A社の2.4GHzに相当する欄に共通の文字列である「abcde −2G」があるので、SSID生成部121は、ステップS202で「Yes」と判定する。
【0029】
ステップS202の結果、SSIDテーブル140において、取得したSSID200の固定部201と同じ固定部がない場合(S202→No)、通信設定処理部120は5GHzの通信設定処理を中断する(S251)。つまり、中継機1は、ステップS201で設定された2.4GHZの周波数帯のみによる親機2及び子機3との通信を行う。このとき、表示処理部124が、5GHzの通信設定に失敗した旨の表示をLED表示装置13で表示してもよい。
【0030】
ステップS202の結果、SSIDテーブル140において、取得したSSID200の固定部201と同じ固定部がある場合(S202→Yes)、SSID生成部121は、SSIDテーブル140において、
図5のステップS104で取得したSSID200と対応している暗号化キー欄に、ステップS104で取得した暗号化キー「キーA」を格納する(S203)。
例えば、
図5のステップS104で取得したSSID200が「abcde1234−2G」である場合、SSID生成部121は、
図2のSSIDテーブル140で、A社における暗号化キーの欄に「キーA」を格納する。
【0031】
その後、SSID生成部121は、
図5のステップS104で取得したSSID200を固定部201と、可変部202とに分ける(S204)。
例えば、取得したSSID200が「abcde1234−2G」であれば、SSID生成部121は、このSSID200を固定部201の「abcde −2G」と、可変部202の「1234」とに分ける。
このとき、SSID生成部121は、SSIDテーブル140に格納されている文字列と一致する箇所を固定部201と判定する。
【0032】
次に、SSID生成部121は、SSIDテーブル140から、
図5のステップS104で取得したSSID200の固定部201と、対になっているSSID200の固定部201を取得する(S205)。
図2を参照して説明すると、例えば、
図5のステップS104で取得したSSID200の固定部201が「abcde −2G」であれば、SSID生成部121は、SSIDテーブル140で対となっている固定部201「abcde −5G」を取得する。
【0033】
図6の説明に戻る。
ステップS205の後、SSID生成部121は、
図5のステップS104で取得したSSID200の可変部202(本実施形態の例では「1234」)を、ステップS205で取得した固定部201(本実施形態の例では「abcde −5G」)に挿入する(S206)。この処理により、SSID生成部121は、2.4GHzで使用されるSSID200を基に、5GHzで使用されるSSID200を生成する。なお、SSIDテーブル140において、固定部201は「abcde****−5G」のように、どの部分に可変部202が相当するかが明示されていると、可変部202の挿入時に便利である。
【0034】
このように、SSIDテーブル140を用意しておき、SSID生成部121が、親機2から取得したSSID200と、SSIDテーブル140とを基に、5GHzの周波数帯におけるSSID200を生成することで、親機2でステルス設定が行われていても5GHzの周波数帯におけるSSID200を設定することができる。すなわち、親機2でSSID200(ESSID:Extended SSID)のステルス設定が行われていると、SSID200を含むビーコンが親機2から送信されることが停止される。このような設定が行われていると、ユーザによる手動設定なしで、機器を新たに親機2に接続することが不可能となる。本実施形態によれば、予めSSIDテーブル140を用意することで、中継機1は、親機2でSSID200のステルス設定が行われている場合でも、5GHzの周波数帯で用いられるSSID200を生成し、このSSID200を使用して子機3との間で、5GHzの通信を行うことが可能となる。
【0035】
続いて、接続確認部122は、
図5のステップS104で取得した暗号化キー(「キーA」)と、ステップS206で生成したSSID「abcde1234−5G」とを用いて、親機2との通信を試みる(S207)。
【0036】
このように、接続確認部122が、生成したSSID200を用いて親機2との通信を試みることで、生成したSSID200を用いることができるか否かを判定することができ、接続の確実性を向上させることができる。
また、親機2がSSID200を含むビーコンを送信していることが分かっている場合、ステップS207における接続を試みることなく、SSID生成部112が、このビーコンに含まれるSSID200と、ステップS206で生成されたSSID200とを比較することで、ステップS206で生成したSSID200が正しいか否かを判定してもよい。ただし、親機2において、SSID200(ESSID)のステルス設定が行われている場合、親機2からビーコンが送信されないため、ステップS207の処理が必要となる。一般に、親機2がSSID200のステルス設定を行っているか否かは、中継機1のみで判定することは困難であるため、ステップS207の処理を行うことが望ましい。
【0037】
なお、ステップS207において、WPSで接続した周波数帯(ここでは、2.4GHz)とは別の周波数帯(ここでは、5GHz)で親機2との通信が試みられているが、これに限らず、接続確認部122は、まず、WPSで接続した周波数帯(ここでは、2.4GHz)で親機2との通信接続を行い、その後、WPSで接続した周波数帯とは別の周波数帯(ここでは、5GHz)で親機2との通信を試みてもよい。
そして、接続確認部122は、ステップS207の結果、親機2との通信が成功したか否かを判定する(S208)。
ステップS208の結果、親機2との通信に失敗した場合(S208→No)、通信設定処理部120は5GHzの通信設定処理を中断する(S251)。つまり、中継機1は、ステップS201で設定された2.4GHZの周波数帯のみによる親機2及び子機3との通信を行う。このとき、表示処理部124が、5GHzの通信設定に失敗した旨の表示をLED表示装置13で表示してもよい。
【0038】
ステップS208の結果、親機2との通信に成功した場合(S208→Yes)、接続設定部123は、生成した5GHzの周波数帯におけるSSID200を用いた子機3との通信設定を追加する(S209)。すなわち、接続設定部123は、子機3との通信について、ステップSSSID「abcde1234−5G」と暗号化キー「キーA」による5GHzの周波数帯の設定を追加する。
ここで、ユーザは子機3の設定を行う必要がない。つまり、子機3において、親機2との間でデュアルSSID200の設定が行われている場合、その設定のまま、子機3は、中継機1との通信を行うことができる。
ちなみに、子機3は、2.4GHz、5GHzのどちらか一方に接続できるよう設定されていてもよいし、2.4GHz、5GHzの双方に接続できるよう設定されていてもよい。なお、2.4GHz、5GHzの双方に接続できるよう子機3が設定されている場合、ユーザは、接続する周波数帯を選択する必要がある。
【0039】
本実施形態によれば、WPSによって取得されたSSID200を基に、ユーザによる手動設定なしに、中継機1におけるデュアルSSIDの設定を行うことができる。
さらに、一般的にWPSは1つのチャネル(SSID200)に対する設定しか行うことができない。従って、特許文献1に記載の技術において、中継機が、1つめのSSID200及び暗号化キーを親機から取得すると、2つめのSSID200は、WPS以外の手法で取得する必要がある。すると、2つめのSSID200の取得・設定は、手動によるものか、自動で取得される場合でも、ベンダ固有のプロトコルに従って取得する必要が生じる。
これに対し、本実施形態によれば、2つめのSSIDは、WPSで取得した1つめのSSID200を基に、2つめのSSID200を生成するため、SSIDテーブル140が用意されていれば、ベンダ固有の情報が不要となる。
【0040】
また、特許文献1に記載の技術では、2つの周波数帯の通信を設定するために、2つめのSSID200を自動設定しようとすると、中継機1が親機2から2回通信設定のための情報を取得する必要があるが、本実施形態における中継機1は、親機2から通信設定のための情報を取得する回数は1回で済む。
このように、第1実施形態における中継機1によれば、親機2から取得した一方の周波数帯におけるSSID200を基に、他方のSSID200を生成することで、複数の周波数帯の通信に関する設定を容易かつ効率的に行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態では、デュアルSSIDにおいて、一方のSSID200から他方のSSID200を生成しているが、3つ以上の周波数帯を用いるマルチSSIDにおいて、1つのSSID200から他の複数のSSID200が生成されてもよい。この場合、SSIDテーブル140において、3つ以上の周波数帯のSSIDの固定部201が登録されていればよい。そして、SSID生成部121が、SSIDテーブル140を参照して、1つの周波数帯のSSID200の固定部201から、他の周波数帯のSSID200の固定部201を取得すればよい。
【0042】
[第2実施形態]
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態の第2実施形態を説明する。なお、中継機1の機能ブロック図及び外観斜視図は、
図1及び
図4と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0043】
<システム動作>
図7は、第2実施形態に係る無線システムにおける動作の流れを示す図である。適宜、
図1〜
図3を参照する。
なお、ここでは、親機2と中継機1との間の通信が2.4GHzの周波数帯で行われ、中継機1が5GHzの周波数帯で用いられるSSID200を生成しているが、この逆の処理も同様に行われる。なお、親機2は
図2及び
図3におけるA社の製品であるものとする。
【0044】
まず、親機2及び子機3との間で通信が行われている(S301)。ここで、親機2は2.4GHzによる通信と、5GHzによる通信が可能であり、親機2と複数の子機3との間では2.4GHz及び5GHz双方による通信が行われているものとする。そして、親機2と子機3との間の通信で使用されているSSID200は「SSID−A」(2.4GHz)及び「SSID−B」(5GHz)が使用され、暗号化キーは「キーA」が使用されているものとする。
【0045】
次に、中継機1が設置され、中継機1が対応している任意の周波数帯(ここでは2.4GHz)を使用して、無線通信による通信設定処理(WPS)を開始する。具体的には、中継機1の情報取得部110が、親機2に対してWPS対象となる周波数帯(2.4GHz)の通信設定情報を要求する(S302)。
通信設定情報を要求された親機2は、要求された周波数帯に関する通信設定情報を中継機1に送信する(S303)。通信設定情報には、要求された周波数帯におけるSSID200、暗号化キー、SSID200に対応するMAC(Media Access Control)アドレス等が含まれている。
【0046】
中継機1の情報取得部110が、通信設定情報を取得し(S304)、さらに、親機2との通信における電波強度を取得する(S305)と、通信設定処理部120が、通信設定処理を行う(S306)。ステップS306における通信設定処理については後記する。
通信設定処理の終了後、中継機1の通信処理部130は2.4GHzの周波数帯を用いて親機2との通信を行う(S307)とともに、2.4GHz及び5GHzの周波数帯を用いて、子機3との通信を行う(S308)。このとき、5GHzの周波数帯における中継機1と子機3との通信は、ステップS306の通信設定処理で生成、設定されたSSID200が用いられる。なお、後記する
図8のステップS451が実行され、5GHzの周波数帯の通信設定処理が中断された場合、中継機1の通信処理部130は、2.4GHzの周波数帯のみを用いて子機3との通信を行う。
【0047】
<中継機1の動作>
図8は、第2実施形態に係る中継機の動作手順を示すフローチャートである。適宜、
図1、
図3を参照する。なお、
図8に示すフローチャートは、
図7のステップS306における通信設定処理の詳細なフローチャートである。なお、
図8の処理は、中継機1が初めて接続されるときや、親機2(
図7参照)が交換された後で、初めて中継機1が接続するとき等で行われる処理である。
また、ここでは、親機2と中継機1との間の通信が2.4GHzの周波数帯で行われており、中継機1が5GHzの周波数帯で用いられるSSID200を生成しているが、この逆の処理が行われてもよい。
【0048】
図7のステップS304で、中継機1の情報取得部110が2.4GHzの周波数帯におけるSSID200及び暗号化キーを含む通信設定情報を取得すると、接続設定部123は、取得したSSID200及び暗号化キーを用いて、親機2及び子機3(
図7参照)との通信を設定する(S401)。すなわち、中継機1は、2.4GHzの周波数帯でのSSID200である「SSID−A」と、暗号化キーとで親機2及び子機3との通信を設定する。ちなみに、この処理はWPSで一般的に行われている処理である。
【0049】
次に、SSID生成部121が、
図7のステップS304で取得したMACアドレスから±αの範囲のMACアドレスを検索する(S402)。αの値は、例えば「16」である。
これは、一般的に、各ベンダにおいて2.4GHzにおけるSSID200のMACアドレスと、5GHzにおけるSSID200のMACアドレスとの関係が、所定の範囲内に入るよう設定されていることによる。例えば、あるベンダでは、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス+aであったり、また、別のベンダでは、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス−bであったりする(a,bは、正の整数)。ここで、前記したように、「SSID−A」は2.4GHzの周波数帯の通信に用いられるSSID200であり、「SSID−B」は5GHzの周波数帯の通信に用いられるSSID200である。
【0050】
従って、αの値は分かっている限りにおける、すべてのベンダに固有の値の最大値である。ここで、「ベンダに固有の値」とは、前記した「a」や、「b」である。例えば、あるベンダでは、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス+1であり、別のベンダでは、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス−5であり、さらに別のベンダでは、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス+15である場合、α=15となる。
【0051】
なお、ここでは、親機2のベンダが不明であるものと想定して、所定の値「α」の範囲でMACアドレスの検索を行っているが、ベンダがわかっていれば、そのベンダに固有の値を用いてMACアドレスの検索を行ってもよい。例えば、親機2がA社の製品であることが分かり、A社では、「SSID−B」のMACアドレス=「SSID−A」のMACアドレス+1であることが分かっていれば、ステップS402において、SSID生成部121は、
図7のステップS304で取得したMACアドレス±1を検索する。なお、使用されるMACアドレスは、ベンダ毎に固有の範囲内で用いられているので、親機2のベンダは
図7のステップS304で取得されたMACアドレスから推定可能である。ただし、MACアドレスから親機2のベンダを推定する場合、ベンダと、MACアドレスの対応表が必要となる。
また、αの値は、ファームウェアのアップデート等によって値が変更されてもよい。
【0052】
そして、SSID生成部121は、ステップS402の検索の結果、SSID200を検出したか否かを判定する(S403)。
ステップS402,S403において、具体的には、SSID生成部121は、以下のような処理を行うことで、MACアドレスからSSID200を生成する。
親機2は、使用しているチャネルに対して、一定間隔(およそ、100ms間隔)でビーコンを発している。このビーコンには、ESSID(=SSID200)や、BSSID(Basic SSID=MACアドレス)等が含まれている。
SSID生成部121は、中継機1が受信したすべてのチャネルのビーコンから、SSID200及びMACアドレスを抽出する。ここで、「すべてのチャネル」とは、親機2が複数のチャネルを発信していたり、近くに複数の親機2が存在したりする場合があることによる。
【0053】
SSID生成部121は、ビーコンから取得したSSID200及びMACアドレスがペアとなったリストを生成する。
そして、SSID生成部121は、このリスト中に、
図7のステップS304で取得したMACアドレスから所定範囲(±α)のMACアドレスがあるか否かを判定し、あれば、そのMACアドレスと対になっているSSID200を取得する。
なお、MACアドレスからSSID200を生成する方法は、前記した方法に限らない。
【0054】
ステップS403の結果、SSID200が検出されなかった場合(S403→No)、通信設定処理部120は5GHzの通信設定処理を中断する(S451)。つまり、中継機1は、ステップS401で設定された2.4GHZの周波数帯のみによる親機2及び子機3との通信を行う。このとき、表示処理部124が、5GHzの通信設定に失敗した旨の表示をLED表示装置13で表示してもよい。
【0055】
ステップS403の結果、SSID200が検出された場合(S403→Yes)、SSID生成部121は、検出したSSID200を「SSID−B」とし、この「SSID−B」が含まれていたビーコンの電波強度が、
図7のステップS304で取得した電波強度に対して、所定の範囲内の強度であるか否かを判定する(S404)。
これは、ステップS403,S403の処理が行われたときと、
図7のステップS302〜S305における処理(WPS処理)を行ったときとで、中継機1と親機2との距離がほぼ同じ距離であれば、「SSID−A」による通信も、「SSID−B」による通信もほぼ同じ電波強度となるためである。
【0056】
また、ステップS404において、SSID生成部121が、電波強度を比較することによって、なりすましによる接続を検知することができる。例えば、第3者が「SSID−B」と暗号化キーとを入手しており、親機2になりすまして、中継機1との接続を行っているものとする。しかしながら、親機2になりすましている機器が発したビーコンの電波強度は、
図7のステップS305で取得した電波強度よりも小さい。従って、本実施形態に係る中継機1によれば、なりすましている機器への接続を防ぐことができる。
【0057】
さらに、ステップS404で、電波強度の比較を行うことにより、ステップS403の結果、複数のSSID200が検出されてしまった場合でも、SSID200の候補を絞り込むことができる。
【0058】
ちなみに、ステップS403の処理が行われたときと、
図7のステップS302〜S305における処理(WPS処理)を行ったときとで、中継機1と親機2との距離が異なっていることがある。例えば、
図7のステップS302〜S305における処理(WPS処理)が行われた後で、ユーザが中継機1と親機2とを遠ざけた場合等である。このような場合、ステップS404の電波強度の比較処理が省略されてもよい。このような省略は、例えば、PCの表示画面における中継機1の設定画面等で行われたり、中継機1に備えられている切替スイッチによって行われたりしてもよい。
【0059】
なお、ステップS404において、SSID生成部121は、「SSID−B」による親機2との通信における電波強度が、
図7のステップS304で取得した電波強度に対して、所定の範囲内であるか否かを判定しているが、
図7のステップS304で取得した電波強度が、所定値以上の強度であるか否かを判定してもよい。
【0060】
ステップS404の結果、所定の範囲外の強度である場合(S404→No)、通信設定処理部120は5GHzの通信設定処理を中断する(S451)。つまり、中継機1は、ステップS401で設定された2.4GHZの周波数帯のみによる親機2及び子機3との通信を行う。このとき、表示処理部124が、5GHzの通信設定に失敗した旨の表示をLED表示装置13で表示してもよい。
【0061】
ステップS404の結果、所定の範囲内の強度である場合(S404→Yes)、接続設定部123が検出されたSSID200(「SSID−B」)と、
図7のステップS304で取得された暗号化キー「キーA」とを設定し、親機2との通信を試みる(S405)。
なお、ステップS405において、接続確認部122が、WPSで接続した周波数帯(ここでは、2.4GHz)とは別の周波数帯(ここでは、5GHz)で親機2との通信を試みているが、これに限らず、接続確認部122は、まず、WPSで接続した周波数帯(ここでは、2.4GHz)で親機2との通信接続を行い、その後、WPSで接続した周波数帯とは別の周波数帯(ここでは、5GHz)で親機2との通信を試みてもよい。
そして、接続確認部122は、ステップS405の結果、親機2との通信が成功したか否かを判定する(S406)。
ステップS406の結果、親機2との通信に失敗した場合(S406→No)、通信設定処理部120は5GHzの通信設定処理を中断する(S451)。つまり、中継機1は、ステップS401で設定された2.4GHZの周波数帯のみによる親機2及び子機3との通信を行う。このとき、表示処理部124が、5GHzの通信設定に失敗した旨の表示をLED表示装置13で表示してもよい。
【0062】
ステップS406の結果、親機2との通信に成功した場合(S406→Yes)、接続設定部123は、生成した5GHzのSSID200(「SSID−B」)を用いた子機3との通信設定を追加する(S407)。すなわち、接続設定部123は、子機3との通信について、「SSID−B」と、暗号化キー「キーA」による5GHzの周波数帯の通信設定を行う。
【0063】
なお、ステップS404における電波強度の比較処理を行わずに、ステップS403で検出されたすべてのSSID200について、ステップS405,S406における接続確認部122が親機2との接続を試してもよい。しかし、すべてのSSID200について親機2との接続を試す方法は、処理時間がかかるため、ステップS404における電波強度の比較処理を行うのが好ましい。
【0064】
第2実施形態における中継機1によれば、ビーコンに含まれる情報を利用して、WPSで取得されなかったSSIDを生成することで、第1実施形態と同様、親機2から取得した一方の周波数帯におけるSSID200を基に、他方のSSID200を生成している。
このようにすることで、第2実施形態における中継機1は、複数の周波数帯の通信に関する設定を容易かつ効率的に行うことができる。
ちなみに、特許文献1には、中継機が親機からどのように2.4GHz及び5GHzの周波数帯におけるSSIDを取得するのかについて具体的な記載がない。また、特許文献1には、送られた2つのSSIDが、本当にペアとなるSSIDなのか否かを判定することも記載されていない。つまり、特許文献1では、WPSによって取得したSSID200から、他方の周波数帯で用いられるSSID200を生成することが記載されていない。
【0065】
なお、中継機1が第1実施形態と同様のSSIDテーブル140(
図2)を有してもよい。この場合、SSID生成部121が、
図6のステップS202と同様に、
図7のステップS304で取得されたSSID200の固定部201と同じ固定部201があるか否かを判定してもよい。そして、同じ固定部201がある場合、
図8のステップS402へ進み、ない場合、
図8のステップS451へ進むようにしてもよい。
【0066】
また、親機2における2.4GHzの周波数帯におけるSSID200が変更されることにより、中継機1が親機2と接続できなくなった場合に、
図8のステップS401以下の処理が行われるようにしてもよい。
このようにすることで、第2実施形態によれば、中継機1が初めて親機2と接続するときだけでなく、ユーザが親機2におけるSSID200を変更した場合でも、ユーザによる手動設定なしに、中継機1の通信設定を変更することができる。
【0067】
また、
図8のステップS402,S403を省略してもよい。この場合、SSID生成部121は、
図7のステップS304で取得した電波強度に対して、所定の範囲内の強度のビーコンに含まれているSSID200を「SSID−B」として検出する。
さらに、本実施形態では、デュアルSSIDにおいて、一方のSSID200から他方のSSID200を生成しているが、3つ以上の周波数帯を用いるマルチSSIDにおいて、1つのSSID200から他の複数のSSID200が生成されてもよい。この場合、SSID推定部121は、
図8のステップS402で、
図7のステップS304で取得されたMACアドレス±αの範囲にあり、ステップS404において、
図7のステップS305で取得された電波強度から所定の範囲内の電波強度を有する複数のSSID200を取得する。
【0068】
[システム図]
図9は、本実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
図9に示す無線通信システムZは、親機2と中継機1との間が2.4GHzの周波数帯で通信が行われている。中継機1は、親機2から取得した2.4GHzの周波数帯で用いるSSID200(
図3)を基に、
図6や、
図8の処理を行うことにより、5GHzの周波数帯で用いるSSID200を生成する。そして、中継機1は、親機2から取得した2.4GHzの周波数帯で用いられるSSID200と、生成した5Gzの周波数帯で用いられるSSID200とを子機3との通信に設定する。このようにすることで、子機3は、中継機1に対して、2.4GHz及び5GHzの双方で通信を行うことができる。
図9の例では、子機3aと中継機1との間では2.4GHzの周波数帯による通信が行われ、子機3bと中継機1との間では5GHzの周波数帯による通信が行われている。
【0069】
ここで、元々中継機1が設置されておらず、親機2と、子機3との間で2.4GHz及び5GHz双方の周波数帯を用いた通信が行われていたものとする。この状態から、中継機1が設置され、
図6又は
図8の処理によって、2.4GHz及び5GHzの周波数帯を用いる通信の設定が行われると、前記したように子機3は、それまでの親機2との通信の設定のまま、中継機1との通信を行うことが可能となる。すなわち、子機3は、親機2に接続していた通信設定と同じ設定のまま、中継機1との通信を行うことが可能となる。
【0070】
(まとめ)
本実施形態によれば、ユーザによる手動設定なしに、中継機1におけるデュアルSSID200(
図3)の設定を行うことができる。このようにすることで、本実施形態における中継機1は、複数の周波数帯の通信に関する設定を容易かつ効率的に行うことができる。
【0071】
また、一般に、親機2と中継機1との間の通信の周波数帯が2.4GHzであり、中継機1と子機3との間の通信の周波数帯が2.4GHzであるとすると、中継機1の中での接続により親機2、子機3間の通信速度は半分程度となってしまう。ここで、5GHzの周波数帯を用いた通信は、2.4GHzの周波数帯より通信速度が速い。そこで、親機2と中継機1との間の通信を2.4GHzで行っておき、切替スイッチ14(
図4)を5GHz側に切り替えておくことで、中継機1と子機3との間の通信の周波数帯を5GHzとすることにより、中継機1での中継によって失われた通信速度を取り戻すことができ、通信速度の減衰を抑制することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、中継機1のみ
図6又は
図8における通信設定処理が行われるとし、子機3では親機2との通信時のままの設定としたが、子機3において
図6又は
図8における通信設定処理が行われてもよい。このようにすることで、子機3と、親機2との接続時において、ユーザの手を煩わすことなく子機3におけるデュアルSSIDの設定を行うことができる。
なお、本実施形態では、2.4GHz及び5GHzの周波数帯を使用可能なデュアルSSIDによる通信の例を記載しているが、これに限らず、3つ以上の周波数帯を使用可能なマルチSSIDによる通信に適用されてもよい。
さらに、本実施形態では、使用対象の周波数帯として2.4GHz及び5GHzを想定しているが、これらの周波数帯に限らない。例えば、使用対象の周波数帯が10GHzや、20GHz等でもよい。