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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-174579(P2017-174579A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】電磁調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20170901BHJP
【FI】
   H05B6/12 308
   H05B6/12 314
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-58009(P2016-58009)
(22)【出願日】2016年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000219004
【氏名又は名称】島田理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松原 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】巽 敏之
(72)【発明者】
【氏名】石間 勉
(72)【発明者】
【氏名】田内 良男
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA36
3K151BA14
3K151BA17
(57)【要約】
【課題】調理容器の底面を均一に加熱し、調理容器のエッジ部分を過加熱しない電磁調理器を提供する。
【解決手段】調理容器を高周波電流により誘導加熱する電磁調理器において、X軸方向の第1の方向に延設され、Y軸方向に沿って凹凸形状が形成された略矩形波型の第1の領域と、第1の領域の端部からX軸方向における第2の方向に延長され、Y軸方向に沿って凹凸形状が形成された略矩形波型の第2の領域とを備えた加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を給電する電源と、調理容器が載置されるトッププレートとを有し、第1の領域および第2の領域の互いに隣り合うY軸方向に延長した部位では、同じ方向に高周波電流が流れるように形成され、第1の領域と第2の領域とは、互い接することなく1回以上交差し、Y軸方向に延長するとともにX軸方向に複数並設された空間を形成するようにした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器を高周波電流により誘導加熱する電磁調理器において、
XYZ直交座標系におけるX軸方向の第1の方向に延設され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の第1の領域と、前記第1の領域の端部からX軸方向における第2の方向に延長され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の第2の領域とを備えた加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を給電する電源と、
前記加熱コイルの上方側に配設され、調理容器が載置されるトッププレートと
を有し、
前記加熱コイルは、
隣り合う前記第1の領域のY軸方向に延長した部位と前記第2の領域のY軸方向に延長した部位とが、前記電源より高周波電流が給電された際に、互いに同じ方向に高周波電流が流れるように形成され、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、互いに接することなく、少なくとも1回以上交差し、Y軸方向に延長するとともにX軸方向に沿って複数並設された略矩形形状の空間を形成する
ことを特徴とする電磁調理器。
【請求項2】
調理容器を高周波電流により誘導加熱する電磁調理器において、
XYZ直交座標系におけるX軸方向に延長され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を給電する電源と、
前記加熱コイルの上方側に配設され、調理容器が載置されるトッププレートと
を有することを特徴とする電磁調理器。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の電磁調理器において、さらに、
前記加熱コイルの下方側に配設されるフェライト板と
を有することを特徴とする電磁調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の電磁調理器において、
前記フェライト板は、前記加熱コイルの下方側においてY軸方向に複数並設される
ことを特徴とする電磁調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁調理器において、さらに、
前記フェライト板と前記加熱コイルとの間隔をそれぞれ独立して調整可能な移動機構と
を有することを特徴とする電磁調理器。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の電磁調理器において、さらに、
前記トッププレート上で前記調理容器をX軸方向に搬送する搬送機構と
を有することを特徴とする電磁調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁調理器に関し、さらに詳細には、調理容器を誘導加熱する電磁調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電磁調理器では、リッツ線などの導線を平型の渦巻状に形成した加熱コイル(以下、「平型の渦巻状に形成した加熱コイル」を、「平型渦巻状加熱コイル」と適宜に称する。)が用いられ(図1(a)を参照する。)、こうした平型渦巻状加熱コイルの上に、耐熱ガラス板などのトッププレートが配設されている。
【0003】
そして、平型渦巻状加熱コイルに高周波電流を給電することで、トッププレート上に載置された調理容器を誘導加熱するようにしていた。
【0004】
しかしながら、平型渦巻状加熱コイルにより生じる磁界は、中心部が最も弱く、中心部から平型渦巻状加熱コイルの外周に向かって徐々に強くなってピークに達し、さらに最外周に向かって徐々に弱くなる(図1(b)を参照する。)。
【0005】
このため、平型渦巻状加熱コイルを用いた電磁調理器では、トッププレート上に載置された調理容器の底面を均一に加熱することができないことが問題点として指摘されていた。
【0006】
また、平型渦巻状加熱コイルでは、上記したように磁界の強さにムラがあることから、平型渦巻状加熱コイルを用いた電磁調理器では、調理容器を平型渦巻状加熱コイルからズレて載置してしまうと、当該調理容器のエッジ部分が過剰に加熱されてしまうため(図1
(c)を参照する。)、調理容器を載置する位置が限定されてしまうことが問題点として指摘されていた。
【0007】
さらに、こうした平型渦巻状加熱コイルを用いた電磁調理器は、例えば、工場での量産調理に用いる場合などには、平型渦巻状加熱コイルを所定の方向に並設し、調理容器を当該平型渦巻状加熱コイルの上方側に配設されたトッププレート上で、例えば、トッププレートに接することなく水平移動して加熱するように構成される。
【0008】
しかしながら、上記したように、調理容器の配置位置により当該調理容器のエッジ部分が過加熱されるため、調理容器の配置位置を管理しなければならないという問題点が指摘されていた。
【0009】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、調理容器の底面を均一に加熱することができ、かつ、調理容器の載置位置がズレても、調理容器のエッジ部分が過加熱されない電磁調理器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、調理容器を高周波電流により誘導加熱する電磁調理器において、XYZ直交座標系におけるX軸方向の第1の方向に延設され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の第1の領域と、上記第1の領域の端部からX軸方向における第2の方向に延長され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の第2の領域とを備えた加熱コイルと、上記加熱コイルに高周波電流を給電する電源と、上記加熱コイルの上方側に配設され、調理容器が載置されるトッププレートとを有し、上記加熱コイルは、隣り合う上記第1の領域のY軸方向に延長した部位と上記第2の領域のY軸方向に延長した部位とが、上記電源より高周波電流が給電された際に、互いに同じ方向に高周波電流が流れるように形成され、上記第1の領域と上記第2の領域とは、互いに接することなく、少なくとも1回以上交差し、Y軸方向に延長するとともにX軸方向に沿って複数並設された略矩形形状の空間を形成するようにしたものである。
【0012】
また、本発明は、調理容器を高周波電流により誘導加熱する電磁調理器において、XYZ直交座標系におけるX軸方向に延長され、Y軸方向に沿って延長して凹形状および凸形状が形成された略矩形波型の加熱コイルと、上記加熱コイルに高周波電流を給電する電源と、上記加熱コイルの上方側に配設され、調理容器が載置されるトッププレートとを有するようにしたものである。
【0013】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記加熱コイルの下方側に配設されるフェライト板とを有するようにしたものである。
【0014】
また、本発明は、上記した発明において、上記フェライト板は、上記加熱コイルの下方側においてY軸方向に複数並設されるようにしたものである。
【0015】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記フェライト板と上記加熱コイルとの間隔をそれぞれ独立して調整可能な移動機構とを有するようにしたものである。
【0016】
また、本発明は、上記した発明において、さらに、上記トッププレート上で上記調理容器をX軸方向に搬送する搬送機構とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように構成されているので、調理容器の底面を均一に加熱することができ、かつ、調理容器の載置位置がズレても、調理容器のエッジ部分が過加熱されないという優れた効果を奏するものである。
【0018】
また、本発明は、上記した効果を奏するため、工場における量産調理時に調理容器をトッププレート上で、例えば、トッププレートに接することなく水平移動して加熱する際などでは、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)は、平型渦巻状加熱コイルの概略構成説明図であり、また、図1(b)は、平型渦巻状加熱コイルにより生じる磁界の強さを示す説明図であり、また、図1(c)は、平型渦巻状加熱コイルを用いた従来の技術による電磁調理器において、平型渦巻状加熱コイルからズレた位置に調理容器が載置されたときに、調理容器のエッジ部分が過加熱されることを示す説明図である。
図2図2(a)は、本発明による電磁調理器の要部の概略構成説明図であり、また、図2(b)は、図2(a)のA−A線により切断した切断面の端面説明図である。
図3図3(a)は、加熱コイルに形成された2つの領域を示す説明図であり、また、図3(b)は、加熱コイルにおける高周波電流の流れおよび加熱コイルに形成された空間における磁束の向きを示す説明図である。
図4図4(a)(b)は、本発明による電磁調理器における加熱コイルの変形例を示す説明図である。
図5図5(a)は、本発明による電磁調理器の変形例であって、フェライト板を配設した状態を説明する説明図であり、また、図5(b)は、図5(a)のB−B線による切断した切断面の端面説明図である。
図6図6は、本発明による電磁調理器の変形例であって、図2に示す電磁調理器の要部を複数配設した構成を示す説明図である。
図7図7は、本発明による電磁調理器の変形例であって、図2に示す電磁調理器の加熱コイルを延長して形成した構成を示す説明図である。
図8図8は、図6または図7に示す電磁調理器で加熱可能な調理容器の大きさの一例を示す説明図である。
図9図9(a)は、図3(a)のI矢視端面図であり、また、図9(b)は、図3(a)のII矢視端面図である。
図10図10(a)は、本発明による電磁調理器における要部の変形例の概略構成説明図であり、また、図10(b)は、図10(a)に示す電磁調理器の要部にフェライト板を配設した状態を説明する説明図である。
図11図11は、本発明による電磁調理器における要部の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明よる電磁調理器の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0021】
ここで、図2(a)には、本発明による電磁調理器の要部の概略構成説明図が示されており、また、図2(b)には、図2(a)のA−A線断で切断した切断面の端面説明図が示されている。
【0022】
この図2(a)(b)に示す電磁調理器10は、高周波電流を給電する電源12に接続された加熱コイル14を備えており、この加熱コイル14の上方側に、加熱コイル14と略平行となるように、非磁性材からなるトッププレート20が配設されている。
【0023】
加熱コイル14は、一方の端部14aがフィーダー16を介して電源12に接続されるとともに、他方の端部14bがフィーダー18を介して電源12に接続されている。
【0024】
また、加熱コイル14は、導体の線材、パイプあるいは棒により構成されており、XYZ直交座標系におけるX軸方向に延長して、7回交差するように形成されている。
【0025】
即ち、加熱コイル14は、X軸方向における行き方向(つまり、図2(a)では、左方側から右方側へ向かう方向である。)に延設され、凹形状(谷形状)および凸形状(山形状)がY軸方向に沿って延長して形成された矩形波型の領域14−1と、領域14−1の端部14−1aからX軸方向における帰り方向(つまり、図2(a)では、右方側から左方側へ向かう方向である。)に延設され、凹形状および凸形状がY軸方向に沿って延長して形成された矩形波型の領域14−2とを有している(図3(a)を参照する。)。
【0026】
領域14−1と領域14−2とは、互いに接することなく7回交差するように形成されている。
【0027】
このとき、領域14−1におけるY軸方向に延長した部位P1と領域14−2におけるY軸方向に延長した部位Q1とは、互いに接することなく隣接し、かつ、同じ高さ位置(つまり、Z軸方向における位置である。)で平行とするように形成される(図2(a)(b)を参照する。)。
【0028】
即ち、領域14−1では、Y軸方向に延長した部位P1とX軸方向に延長した部位P2とはXY平面上に形成され、領域14−2では、Y軸方向に延長した部位Q1は部位P1、P2が形成されたXY平面上に形成され、X軸方向に延長した部位Q2は、当該XY平面よりも下方側に形成される(図2(b)および図9(a)(b)を参照する。)。
【0029】
なお、隣接する部位P1と部位Q1とは、加熱コイル14に高周波電流を流した際に、同じ方向に高周波電流が流れるようにする。
【0030】
これにより、加熱コイル14には、XY平面においてY軸方向に延長した矩形形状の8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8が、X軸方向に沿って並んで形成されることとなる。
【0031】
即ち、加熱コイル14では、領域14−1の凸形状と領域14−2の凹形状とにより空間S1、S3、S5、S7が形成されるとともに、領域14−1の凹形状と領域14−2の凸形状とにより空間S2、S4、S6、S8が形成される。
【0032】
なお、加熱コイル14のX軸方向における長さおよびY軸方向における長さは、加熱対象とする調理容器100の底面より大きくなるように設計されている。
【0033】
以上の構成において、電磁調理器10のトッププレート20上に載置された調理容器100を加熱する場合について説明する。
【0034】
トッププレート20上に調理容器100が載置され、操作子(図示せず。)が操作されて加熱開始の指示がなされると、電源12から加熱コイル14に高周波電流が給電される。
【0035】
具体的には、電源12からフィーダー16を介して加熱コイル14の一方の端部14aに給電された高周波電流は、図3(b)に示すように、領域14−1のY軸方向に延長した部位P1では、隣接した位置に形成された領域14−2のY軸方向に延長した部位Q1と同じ方向に流れ、領域14−1のX軸方向に延長した部位P2では、隔てた位置に形成された領域14−2のX軸方向に延長した部位Q2と逆方向に流れる。
【0036】
このようにして加熱コイル14に高周波電流が流れると、加熱コイル14に形成された8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8において、それぞれ磁束が生起される(図3(b)を参照する。)。
【0037】
こうして8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8において生起された磁束は、トッププレート20を介して、トッププレート20上に載置された調理容器100の底面を貫通し、その表面に渦電流を誘導することにより、調理容器100の底面を誘導加熱する。
【0038】
以上において説明したように、本発明による電磁調理器10は、加熱コイル14により、X軸方向に沿って、Y軸方向に延長された8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8を形成し、当該空間において磁束が発生することによってトッププレート20上に載置された調理容器100の底面を誘導加熱するようにした。
【0039】
これにより、本発明による電磁調理器10においては、Y軸方向に延長した細長い空間を形成した加熱コイルが、X軸方向に複数並設されている状態と同じ磁界分布を得ることができる。
【0040】
このため、本発明による電磁調理器10によれば、平型渦巻状加熱コイルを用いた従来の技術による電磁調理器100と比較して、調理容器100の底面をより均一に加熱することができるようになる。
【0041】
また、本発明による磁界調理器10によれば、上記したような磁界分布を得ることができるので、配置位置によって調理容器100のエッジ部分が過加熱されることがなくなるだけでなく、加熱コイル14のX軸方向およびY軸方向の長さよりも小さい径(あるいは長さ)調理容器を加熱する際にも、その配置位置によらず、当該調理容器を均一に効率的に加熱することができるようになる。
【0042】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(9)に示すように変形することができるものである。
【0043】
(1)上記した実施の形態においては、加熱コイル14において領域14−1、14−2を矩形波型とし、加熱コイル14に形成される8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8が矩形形状となるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、図4(a)に示すように、領域14−1、14−2を凹形状および凸形状の頂点部分が曲線となるような略矩形波型とし、加熱コイル14に形成される8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8が略矩形形状となるようにしてもよい。
【0044】
(2)上記した実施の形態においては、加熱コイル14において、領域14−1におけるY軸方向に延長された部位P1と領域14−1におけるY軸方向に延長された部位Q1とが隣接するように形成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、部位P1と部位Q1とは、一定の間隔を空けて形成するようにしてもよい(図4(b)を参照する。)。
【0045】
なお、このときには、部位P1は、同じ方向に高周波電流が流れる部位Q1が近くに位置し、異なる方向に高周波電流が流れる部位Q1が遠くに位置するようにする。
(3)上記した実施の形態においては、加熱コイル14の下方側にフェライト板22を配設するようにしてもよいことは勿論である(図5(a)(b)を参照する。)。
【0046】
これにより、加熱コイル14の8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8において生じた磁束を集中することができ、加熱効率を向上することができる。
【0047】
なお、こうしたフェライト板22は、加熱コイル14のY軸方向の長さに応じて形成された一枚のフェライト板であってもよいし、図5(a)に示すように、X軸方向に延長した複数のフェライト板をY軸方向に並設するようにしてもよい。
【0048】
また、図5(a)に示すように、X軸方向に延長したフェライト板22をY軸方向に複数並設したときに、各フェライト板22をそれぞれ独立してZ軸方向に移動可能な構成とすることにより、各フェライト板22と加熱コイル14との間隔を調整して、加熱パターンを調節可能な構成としてもよい。
【0049】
なお、こうしたフェライト板22の移動機構については、従来より公知の技術を利用することができるため、その詳細な説明は省略する。
【0050】
(4)上記した実施の形態においては、加熱コイル14の領域14−1と領域14−2とを、互いに接することなく7回交差して、8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8を形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、加熱コイル14において形成される空間は、2〜7つ、あるいは、9つ以上であってもよいことは勿論である。
【0051】
(5)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、加熱コイル14に形成される8つの空間S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8はそれぞれ、Y軸方向の長さおよびX軸方向の長さが略一致するように構成される。
【0052】
(6)上記した実施の形態においては、加熱コイル14のX軸方向およびY軸方向における長さが、単に、加熱対象となる調理容器100の底面より大きくなるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、加熱コイル14をX軸方向に延長するように構成してもよい。
【0053】
具体的には、加熱コイル14をX軸方向に沿って複数並設するようにしてもよいし(図6を参照する。)、上記変形例(4)の記載のように、9つ以上の空間を形成したり、各空間をX軸方向に延長してもよい(図7を参照する。)。
【0054】
そして、例えば、加熱コイル14の上方側に配設されるトッププレート20上において、複数の調理容器100をX軸方向に沿って搬送可能な構成とすることで、複数の調理容器100を加熱しながら搬送することができ、生産ラインとして用いることができる電磁調理器200を構築することができる(図6図7を参照する。)。
【0055】
なお、電磁調理器200では、トッププレート20は、絶縁性を備えるとともに、例えば、加熱した調理容器100からの吹きこぼれに対応した機能を備えるようにする。
【0056】
また、トッププレート20上で複数の調理容器100をX軸方向に沿って搬送する搬送機構については、例えば、トッププレート20をベルトコンベア状に形成してもよいし、あるいは、調理容器100を把持可能な支持部材を設け、こうした支持部材を搬送方向に移動可能に形成すればよい。
【0057】
こうした電磁調理器200においては、トッププレート20上でX軸方向に沿って搬送される複数の調理容器100を、均一に効率よく加熱することができるようになる。
【0058】
なお、電磁調理器200では、均一に効率よく加熱することが可能な調理容器100としては、図8(a)に示すような加熱コイル14のY軸方向の長さと略一致する直径(あるいは長さ)の調理容器100に限られるものではない。
【0059】
即ち、図8(b)に示すように、加熱コイル14のY軸方向の長さよりも短い直径(あるいは長さ)の調理容器110を、Y軸方向に複数列並べ、さらに、X軸方向に複数配置した状態で搬送しても、各調理容器110は、その配置位置にかかわらず、均一に効率よく加熱される。
【0060】
このため、電磁調理器200においては、配置位置によってエッジ部分が過加熱されてしまう従来の技術を用いた場合と比較して、調理容器110が均一加熱されるため高品質の調理が可能となるとともに、調理容器110に熱による過度な負荷がかからず、調理容器の交換頻度が少なくなり、生産コストを抑制することができるようになる。
【0061】
(7)上記した実施の形態においては、加熱コイル14を、X軸方向における行き方向に延長した領域14−2と、X軸方向における帰り方向に延長した領域14−2とにより構成されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0062】
即ち、加熱コイル14は、X軸方向における行き方向に延設され、凹形状および凸形状がY軸方向に沿って延長して形成された矩形波形状に形成するようにしてもよい(図10(a)を参照する。)。
【0063】
こうした形状としても、Y軸方向に交互に向きの反対となる電流が流れるため、同様の効果が得られる。
【0064】
なお、この場合、上記した変形例(3)の技術を用いて、図10(b)に示すように、加熱コイルの下方側にフェライト板を配設するようにしてもよい。
【0065】
(8)上記した実施の形態においては、領域14−1と領域14−2とが互いに接することなく交差するために、領域14−2におけるX軸方向に延長した部位Q2を、領域14−1におけるY軸方向に延長した部位P1、X軸方向に延長した部位P2および領域14−2におけるY軸方向に延長した部位Q1が形成された平面よりも下方側形成されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0066】
即ち、領域14−2を領域14−1の下方側に位置するように形成し、領域14−2の凸形状の下方側に領域14−2の凹形状が位置し、領域14−1の凹形状の下方側に領域14−2の凸形状が位置するようにしてもよい(図11を参照する。)。
【0067】
(9)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(8)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、調理容器を加熱する電磁調理器として用いて好適である。
【符号の説明】
【0069】
10、200 電磁調理器
12 電源
14 加熱コイル
16、18 フィーダー
20 トッププレート
22 フェライト板
100、110 調理容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11