【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8は、従来技術によるロック機構付きコネクタの構成を示す斜視図であり、一方のコネクタと他方のコネクタを対向配置した状態図である。
図9は、従来技術によるロック機構付きコネクタの構成を示す縦断面図であり、一方のコネクタと他方のコネクタを接続した状態図である。なお、本願の
図8と
図9は、特許文献1の
図1と
図3に対応している。
【0008】
図8又は
図9を参照すると、一方のコネクタ(以下、プラグという)91は、直方体状のハウジング91hと複数のソケット形のコンタクト91cを備えている。これらのコンタクト91cは、ハウジング91hの内部に配列されている(
図9参照)。コンタクト91cは、その基端部がケーブルCbの端末を結線している。コンタクト91cの先端部は、後述するピンコンタクト93cと接続できる。
【0009】
又、
図8又は
図9を参照すると、プラグ91は、レバー式のロックアーム92を更に備えている。ロックアーム92は、略矩形の板状に形成している。又、ロックアーム92は、その底面がハウジング91hの一方の外壁面と略平行に配置されている。
【0010】
図9を参照すると、ハウジング91hは、所定の間隔で離隔した一対の支持部92m・92mを有している。一対の支持部92m・92mは、ロックアーム92に向かって、ハウジング91hの一方の外壁から突出している。又、一対の支持部92m・92mは、それらの先端部がロックアーム92の中間部に結合している。つまり、ハウジング91hとロックアーム92は、一体に成形されている。
【0011】
図8又は
図9を参照すると、ロックアーム92は、第1の部分921と第2の部分922を有している。第1の部分921は、支持部92mから相手方のベースコネクタ93への装着方向A側に位置している(
図8参照)。第2の部分922は、支持部92mから相手方のベースコネクタ93との反装着方向B側に位置している(
図8参照)。
【0012】
図8又は
図9を参照すると、ロックアーム92の第1の部分921は、鉤状に形成した一対のフック部91a・91bを含んでいる。一対のフック部91a・91bは、相手方のベースコネクタ93に形成した一対の係合突起93a・93bに係合できる。
【0013】
図8又は
図9を参照すると、ロックアーム92の第2の部分922は、指押さえ部92fを含んでいる。指押さえ部92fをハウジング91hの一方の外壁に向かって押すと、一対の支持部92m・92mが弾性変形し、ハウジング91hの一方の外壁から、第1の部分921を離反できる。そして、一対のフック部91a・91bと一対の係合突起93a・93bの係合を解除できる。一方、指押さえ部92fを解放すると、ロックアーム92を元の状態に復帰できる。
【0014】
図8又は
図9を参照すると、他方のコネクタ(以下、ベースコネクタという)93は、直方体状のハウジング93hと複数のピンコンタクト93cを備えている。これらのピンコンタクト93cは、ハウジング93hの底部に配列されている(
図9参照)。ピンコンタクト93cは、その一端部がハウジング93hの内部に突出している。そして、ピンコンタクト93cの一端部は、コンタクト91cと接続できる(
図9参照)。
【0015】
図9を参照すると、ピンコンタクト93cの他端部は、ハウジング93hの底面から突出している。ピンコンタクト93cの他端部は、プリント基板9pに開口されたスルーホール(図示せず)に挿入できる(
図8参照)。そして、ピンコンタクト93cの他端部とスルーホール(図示せず)をハンダ接合することで、ベースコネクタ93をプリント基板9pに実装できる。つまり、ベースコネクタ93は、プリント基板に実装できるプリント基板用コネクタである。
【0016】
図8を参照すると、ハウジング93hは、一方の面を開口した凹部930を有している。ハウジング93hの凹部930には、プラグ91を挿抜できる(
図9参照)。
【0017】
図8を参照すると、ハウジング93hは、一対の係合突起93a・93bを一方の外壁面に形成している。一対の係合突起93a・93bは、ロックアーム92に設けた一対のフック部91a・91bに係合できる。一対の係合突起93a・93は、縦リブ931を挟んだ一対の凹部93d・93eの端部に形成している。
【0018】
図8又は
図9を参照すると、一対の係合突起93a・93bは、傾斜した案内面93sを一端部側に形成している。プラグ91をベースコネクタ93の凹部930に挿入すると、一対のフック部91a・91bの先端縁が案内面93sに当接して、一対のフック部91a・91bを持ち上げることができる。
【0019】
図8又は
図9を参照して、プラグ91を凹部930に更に挿入すると、一対のフック部91a・91bが一対の係合突起93a・93bを乗り越して、一対のフック部91a・91bを一対の係合突起93a・93bに係合できる。これにより、ベースコネクタ93に対して、プラグ91をロックできる。
【0020】
図10は、他の従来技術によるロック機構付きコネクタの構成を示す斜視図であり、一方のコネクタと他方のコネクタを対向配置した状態図である。
図11は、他の従来技術によるロック機構付きコネクタの構成を示す正面図であり、一方のコネクタと他方のコネクタを接続した状態図である。なお、本願の
図10と
図11は、特許文献2の
図7と
図8に対応している。
【0021】
図10又は
図11を参照すると、一方のコネクタ(以下、プラグという)81は、直方体状のハウジング81hと図示しない複数のソケット形のコンタクトを備えている。これらのコンタクトは、ハウジング81hの内部に配列されている。又、コンタクトは、その基端部がケーブルCbの端末を圧接により結線している。これらのコンタクトの先端部は、後述するピンコンタクト83cと接続できる。
【0022】
図10を参照すると、プラグ81は、一対の突起81b・81bを更に備えている。これらの突起81b・81bは、ハウジング81hの一方の側面から突出している。又、これらの突起81b・81bは、後述する一対の係止穴83i・83iに嵌合できる。
【0023】
図10又は
図11を参照すると、他方のコネクタ(以下、ベースコネクタという)83は、直方体状のハウジング83hと複数のピンコンタクト83cを備えている。これらのピンコンタクト83cは、ハウジング83hの底部に配列されている。ピンコンタクト83cは、その一端部がハウジング83hの内部に突出している。そして、ピンコンタクト83cの一端部は、プラグ81のコンタクト(図示せず)と接続できる。
【0024】
図10を参照すると、ピンコンタクト83cの他端部は、ハウジング83hの底面から突出している。ピンコンタクト83cの他端部は、プリント基板9pに開口されたスルーホール(図示せず)に挿入できる(
図11参照)。そして、ピンコンタクト93cの他端部とスルーホール(図示せず)をハンダ接合することで、ベースコネクタ83をプリント基板9pに実装できる。
【0025】
図10を参照すると、ハウジング83hは、一方の面を開口した凹部830を有している。ハウジング83hの凹部830には、プラグ81を挿抜できる(
図11参照)。
【0026】
又、
図10を参照すると、ハウジング83hは、一対の係止穴83i・83iを一方の側面に開口している。これらの係止穴83i・83iは、凹部830の内壁から一方の側面に貫通している。
【0027】
図10を参照して、プラグ81をベースコネクタ83の凹部830に挿入すると、一対の突起81b・81bは、その先端部が凹部830の内壁をスライドしながら進入する。プラグ81を凹部830に更に挿入すると、一対の突起81b・81bを一対の係止穴83i・83iに係合できる。これにより、ベースコネクタ83に対して、プラグ81をロックできる(
図11参照)。
【0028】
図10又は
図11を参照すると、プラグ81とベースコネクタ83は、摩擦力によりロックする、いわゆるフリクションロック式のロック機構を備えたロック機構付きコネクタとなっている。
【0029】
一方、
図11に示した状態から、プラグ81の両端部に配置した一対の鍔部81f・81fを把持し(
図10参照)、突起81bが係止穴83iから離脱する強い力で、プラグ81を引っ張ることで、ベースコネクタ83からプラグ81を引き抜くことができる。
【0030】
図8又は
図9に示したレバーロック式のロック機構は、ロックアーム92の先端部が一対の係合突起93a・93bを乗り越えたときの感触(いわゆる、クリック感)で、プラグ81とベースコネクタ83の完全嵌合を実感できるという利点がある。
【0031】
一方、レバーロック式のロック機構は、コネクタを挿抜するとき以外は、ハウジングの外壁に構成したロックアームが不要な突起物ということもできる。プリント基板に実装した他の実装物がロックアームに当接して、コネクタのロックが不安定になるという心配がある。
【0032】
図10又は
図11に示したフリクションロック式のロック機構は、コネクタの外壁にロックアームを設けていないので、コネクタのロックが不安定になる心配が無い。又、フリクションロック式のロック機構は、一方のコネクタの両側部を把持して、他方のコネクタから容易に引き抜くことができるので、操作性に優れているという利点がある。
【0033】
しかし、フリクションロック式のロック機構は、一方のコネクタと他方のコネクタを摩擦力によりロックしているので、一方のコネクタと他方のコネクタが完全嵌合したことを実感するのが容易でない、という不便な構造になっている。
【0034】
一方のコネクタと他方のコネクタが完全嵌合したことを実感できると共に、一方のコネクタと他方のコネクタとの着脱が容易な操作性に優れたロック機構付きコネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0035】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、一方のコネクタと他方のコネクタの完全嵌合を実感できると共に、操作性に優れたロック機構付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明者は、一方の第1コネクタには、第1ハウジングに形成した凹部の開口面に向って突出したロックアームを第1ハウジングに設け、他方の第2コネクタには、ロックアームの先端部に形成したフック部と係脱自在な四角錐台状の係合突起を第2ハウジングのヘッダー部に設け、ヘッダー部を凹部に挿入したときは、係合突起がフック部を乗り越えて、第1コネクタと第2コネクタの完全嵌合を実感でき、ヘッダー部を凹部から引き抜いたときは、フック部を変位させて、第2コネクタを第1コネクタから容易に引き抜くことができると考え、これに基づいて、以下のような新たなロック機構付きコネクタを発明するに至った。
【0037】
(1) 一方の第1コネクタと他方の第2コネクタが互いに係脱自在なロック機構を備えたロック機構付きコネクタであって、前記第1コネクタは、一方の面を略矩形に開口した凹部を有する直方体状の第1ハウジングと、ピン状の接続端子を前記凹部の内部に配置した一つ以上の第1コンタクトと、を備え、前記第2コネクタは、前記凹部に嵌合自在なヘッダー部を一端部側に有し、前記第1ハウジングの一方の面に部分的に当接自在な鍔部を他端部に有する直方体状の第2ハウジングと、前記第2ハウジングの内部に配置され、前記第1コンタクトの接続端子と接続自在なベローズ端子を一端部に有する第2コンタクトと、を備え、前記第1ハウジングは、前記凹部の一方の内壁と所定の間隔を設けて、当該凹部の一方の内壁と略平行に、前記凹部の開口面に向って前記凹部の底部から突出し、前記凹部の中心部に向けて突出した台形状のフック部を先端部に設けた帯板状のロックアームを有し、前記第2ハウジングは、前記ヘッダー部の一方の面から隆起し、前記フック部と係脱自在な一つ以上の四角錐台状の係合突起を有している、ロック機構付きコネクタ。
【0038】
(2) 前記第1コンタクトは、前記接続端子と連続し、プリント基板にハンダ接合自在なリード端子を有している、(1)記載のロック機構付きコネクタ。
【0039】
(3) 前記第2コンタクトは、ケーブルの端末を圧接により結線する圧接端子を他端部に有している、(1)又は(2)記載のロック機構付きコネクタ。
【0040】
(4) 前記第1コンタクトは、前記接続端子に対して前記リード端子を略直角に屈曲している、(2)記載のロック機構付きコネクタ。