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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-174701(P2017-174701A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】圧接コンタクト及び圧接コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/24 20060101AFI20170901BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   H01R4/24
   H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-61131(P2016-61131)
(22)【出願日】2016年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 広紀
【テーマコード(参考)】
5E012
5E021
【Fターム(参考)】
5E012AA03
5E012AA42
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC31
5E021HC09
(57)【要約】
【課題】相手側コネクタとの着脱が容易な圧接コンタクト及び圧接コネクタを提供する。
【解決手段】圧接コンタクト1は、電線接続部1aとコンタクト接続部1bを備える。電線接続部1aは、電線Wの端末を圧接接続により結線できる。コンタクト接続部1bは、相手側コンタクトと接続できる。電線接続部1aは、第1固定板11と圧接片12を有する。圧接片12は、電線Wの芯線を導入自在な切り欠き溝12dを有する。コンタクト接続部1bは、第2固定板13と弾性片14を有する。第2固定板13は、第1固定板11に密着している。弾性片14は、第2固定板13の基端部132から反転している。又、弾性片14は、第2固定板13の先端部131に向かって、上り傾斜した状態で配置されている。弾性片14は、接点部14sを先端部に有する。第2固定板13と弾性片14の間から、相手側コンタクトを挿入できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末を圧接接続により結線する電線接続部、及び、相手側コンタクトと接続自在なコンタクト接続部を備えた圧接コンタクトであって、
前記電線接続部は、
前記電線の端末をその外周方向から一方の面に載置自在な帯状の第1固定板と、
前記第1固定板の基端部から連続して一方の面から起立し、前記電線の芯線を外周方向から導入自在な切り欠き溝を前記第1固定板の一方の面に向って切り欠いた圧接片と、を有し、
前記コンタクト接続部は、
前記第1固定板の先端部から当該第1固定板の他方の面に一方の面が密着した状態で、前記圧接片に向かって延在する帯状の第2固定板と、
前記第2固定板の基端部から前記第2固定板の他方に面に向って反転し、当該第2固定板の先端部に向かって先端部が上り傾斜した状態で配置された弾性片と、を有し、
前記弾性片は、前記第2固定板の他方の面と対向配置された接点部を先端部に有し、
前記第2固定板の先端部と前記弾性片の先端部の間から、前記弾性片の基端部に向けて、前記相手側コンタクトが挿入自在な穴部を一方の端面に開口した第1ハウジングに保持される、圧接コンタクト。
【請求項2】
前記圧接片は、その先端縁を切り離し容易なノッチで帯状のコンタクトキャリアの側部と連結し、このコンタクトキャリアは、当該コンタクトキャリアか延びる方向に対して、略直交する方向に当該圧接片を繋いでいる、請求項1記載の圧接コンタクト。
【請求項3】
請求項1又は2記載の圧接コンタクトを一つ以上内部に配置した直方体状の第1ハウジングを備え、
前記第1ハウジングは、
前記弾性片が底面と対向配置され、前記圧接コンタクトを収容自在に当該第1ハウジングの一方の面から窪んだ第1スロットと、
前記第1スロットと連通し、前記電線の端末を絶縁被覆した状態で外周方向から導入自在な第2スロットと、
前記第1ハウジングの一方の面と隣接した一方の端面に開口し、前記第2固定板の先端部と前記弾性片の先端部の間に向かって、相手側コンタクトを挿入自在な一つ以上の穴部と、を有している、圧接コネクタ。
【請求項4】
前記相手側コンタクトは、ピン状の接続端子からなり、
相手側コネクタは、一方の面を略矩形に開口した凹部の内部に、一つ以上の前記接続端子を配置した直方体状の第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジングは、
一端部側に形成し、前記凹部に嵌合自在なヘッダー部と、
他端部に形成し、前記第2ハウジングの一方の面に部分的に当接自在な鍔部と、を有し、
前記第2ハウジングは、前記凹部の一方の内壁と所定の間隔を設けて、当該凹部の一方の内壁と略平行に、前記凹部の開口面に向って前記凹部の底部から突出し、前記凹部の中心部に向けて突出した台形状のフック部を先端部に設けた帯板状のロックアームを有し、
前記第1ハウジングは、前記ヘッダー部の一方の面から隆起し、前記フック部と係脱自在な一つ以上の四角錐台状の係合突起を有している、請求項3記載の圧接コネクタ。
【請求項5】
前記相手側コンタクトは、前記接続端子と連続し、プリント基板にハンダ接合自在なリード端子を有している、請求項4記載の圧接コネクタ。
【請求項6】
前記相手側コンタクトは、前記接続端子に対して前記リード端子を略直角に屈曲している、請求項5記載の圧接コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接コンタクト及び圧接コネクタに関する。特に、電線の端末を圧接接続する圧接コンタクト、及び、この圧接コンタクトを備えた圧接コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電線対電線、又は、電線対プリント基板を電気的及び機械的に着脱自在に接続するために、電気コネクタが広く用いられている。電線用の電気コネクタは、圧着又は圧接により、電線の端末を結線したコンタクトを備えている。
【0003】
圧接接続は、電線の端末を外周方向から、コンタクトに形成したスロットに挿入すると、スロットの両側面が絶縁被覆に食い込むことで、芯線とコンタクトを電気的に接続できる。圧接接続は、電線の端末の絶縁被覆を剥離しておくなど、圧着接続用の端末処理が不要のため、結線に要する処理時間を短縮できる。又、圧接接続は、圧着接続に比べて、作業者の技量に左右され難いという長所を有している。
【0004】
このような圧接コンタクトを備えた圧接コネクタとしては、ハウジングの底部後端に沿って、フランジ状突条片を張り出すことで、手指で持ち易く、組立作業が容易な圧接コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、微小サイズであっても相手側コンタクトとの弾性的な圧接状態を確保できる圧接コンタクト及び、この圧接コンタクト及び圧接コネクタ圧接コネクタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−67988号公報
【特許文献2】特開2005−294217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図15は、従来技術による圧接コネクタの構成を示す図であり、図15(A)は、圧接コネクタの平面図、図15(B)は、圧接コネクタの正面図、図15(C)は、図15(B)のX−X矢視断面図である。
【0008】
図16は、従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図である。図17は、従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。なお、本願の図15は、特許文献1の図1から図3に対応している。又、本願の図16図17は、特許文献1の図4図7に対応している。
【0009】
図15から図17を参照すると、従来技術による圧接コネクタ(以下、プラグという)60は、直方体状のハウジング61と複数の圧接コンタクト(以下、コンタクトと略称する)62を備えている。これらのコンタクト62は、ハウジング61の内部に配列されている。又、コンタクト62は、その基端部が電線Wの端末を圧接により結線している。これらのコンタクト62の先端部は、ピンコンタクト72と接続できる(図17参照)。
【0010】
図15を参照すると、コンタクト62は、電線接続部62aとコンタクト接触部62bを備えている。電線接続部62aは、電線Wを圧接接続できる。コンタクト接触部62bは、ピンコンタクト72と電気的に接続できる(図17参照)。
【0011】
図15を参照すると、ハウジング61は、第1スロット611と第2スロット612を一方の側面に開口している。第1スロット611と第2スロット612は、互いに連通している。第1スロット611には、コンタクト62を収容できる。第2スロット612には、絶縁被覆で覆った状態の電線Wを保持できる。
【0012】
図15を参照すると、電線接続部62aは、一組の圧接片621・621を備えている。圧接片621は、第3スロット62sを中央部に開口している。第3スロット62sには、電線Wの芯線をその外周方向から導入できる。
【0013】
図15を参照して、第1スロット611及び第2スロット612に向かって、電線Wをその外周方向から押し込むと、第3スロット62sの両側に配置した一対の圧接刃が電線Wの絶縁被覆に喰い込み、一組の圧接片621・621を電線Wの芯線に接触できる。一方、第1スロット611には、絶縁被覆で覆った状態の電線Wを保持できる。
【0014】
図15(A)又は図15(B)を参照すると、ハウジング61は、複数のコンタクト導入孔61hを一方の面に開口している。コンタクト接触部62bは、コンタクト導入孔61hに臨んで配置されている。
【0015】
図17を参照して、プラグ60をベースコネクタ70の凹部710に挿入すると、コンタクト導入孔61hを介して、ピンコンタクト72の先端部がハウジング61の内部に進入することで、ピンコンタクト72とコンタクト接触部62bを電気的に接続できる。
【0016】
図17を参照すると、プラグ60は、一対の突起61b・61bを更に備えている。これらの突起61b・61bは、ハウジング61の他方の側面から突出している。又、これらの突起61b・61bは、後述する一対の係止穴71i・71iに嵌合できる。
【0017】
図17を参照すると、相手側コネクタ(以下、ベースコネクタという)70は、直方体状のハウジング71と複数のピンコンタクト72を備えている。これらのピンコンタクト72は、ハウジング71の底部に配列されている。ピンコンタクト72は、その一端部がハウジング71の内部に突出している。そして、ピンコンタクト72の一端部は、プラグ60のコンタクト62と接続できる。
【0018】
図17を参照すると、ピンコンタクト72の他端部は、ハウジング71の底面から突出している。ピンコンタクト72の他端部は、図示しないプリント基板に開口されたスルーホールに挿入できる。そして、ピンコンタクト72の他端部とスルーホール(図示せず)をハンダ接合することで、ベースコネクタ70をプリント基板(図示せず)に実装できる。
【0019】
図17を参照すると、ハウジング71は、一方の面を開口した凹部710を有している。ハウジング71の凹部710には、プラグ60を挿抜できる(図16参照)。
【0020】
又、図17を参照すると、ハウジング71は、一対の係止穴71i・71iを他方の側面に開口している。これらの係止穴71i・71iは、凹部710の内壁から他方の側面に貫通している。
【0021】
図17を参照して、プラグ60をベースコネクタ70の凹部710に挿入すると、一対の突起61b・61bは、その先端部が凹部710の内壁をスライドしながら進入する。プラグ60を凹部710に更に挿入すると、一対の突起61b・61bを一対の係止穴71i・71iに係合できる。これにより、ベースコネクタ70に対して、プラグ60をロックできる。
【0022】
図17を参照すると、プラグ60とベースコネクタ70は、摩擦力によりロックする、いわゆるフリクションロック式のロック機構を備えた圧接コネクタとなっている。
【0023】
一方、プラグ60とベースコネクタ70がロックした状態から、プラグ60の両端部に配置した一対の鍔部61f・61fを把持し(図17参照)、突起61bが係止穴71iから離脱する強い力で、プラグ60を引っ張ることで、ベースコネクタ70からプラグ60を引き抜くことができる。
【0024】
図18は、他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。図19は、他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図である。図20は、他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、図19と異なる方向から圧接コネクタを観ている。
【0025】
図21は、他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。図22は、他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す右側面図である。図23は、他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す正面図である。
【0026】
図24は、他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、図24(A)は、圧接コネクタを相手側コネクタに接続する前の状態図、図24(B)は、圧接コネクタを相手側コネクタに接続した状態図である。
【0027】
なお、本願の図18から図23は、特許文献2の図1から図6に対応している。又、本願の図24は、特許文献2の図7に対応している。
【0028】
図18から図24を参照すると、他の従来技術による圧接コネクタ(以下、プラグという)80は、平板体状のハウジング81と複数の圧接コンタクト(以下、コンタクトと略称する)82を備えている。これらのコンタクト82は、ハウジング81の内部に配列されている。又、コンタクト82は、その基端部が電線Wの端末を圧接により結線している(図23参照)。これらのコンタクト82の先端部は、ブレードコンタクト92と接続できる(図24参照)。
【0029】
図21から図23を参照すると、コンタクト82は、電線接続部82aとコンタクト接触部82bを備えている。電線接続部82aは、電線Wを圧接接続できる。コンタクト接触部82bは、ブレードコンタクト92と電気的に接続できる(図24参照)。
【0030】
図21から図23を参照すると、電線接続部82aは、帯状の基底板821と一対の圧接片822・823で構成している。基底板821は、一対のバーブ(圧入突起)82v・82vを両側面から突出している。一対のバーブ82v・82vは、ハウジング81に形成した後述する第1スロット811の内壁に圧入できる。一対の圧接片822・823は、基底板821の両端部を略直角に折り曲げた状態で、基底板821と連続している。
【0031】
図21又は図23を参照すると、一対の圧接片822・823は、スロット82sを中央部に開口している。スロット82sには、電線Wの芯線Wcをその外周方向から導入できる。
【0032】
図21又は図23を参照して、一対のスロット82s・82sに向かって、電線Wをその外周方向から押し込むと、スロット82sの両側に配置した一対の圧接刃が電線Wの絶縁被覆に喰い込み、一組の圧接片822・823を電線Wの芯線Wcに接触できる。
【0033】
図21から図23を参照すると、コンタクト接触部82bは、一対の挟持片824・824で構成している。一対の挟持片824・824は、それらの基端部が他方の圧接片823から一方の圧接片822と反対側に略平行に延出している。
【0034】
図21又は図23を参照すると、一対の挟持片824・824は、それらの基端部から先端部に向かって、対向距離が漸次縮小するように配置されている。そして、一対の挟持片824・824の最近接部は、後述するブレードコンタクト92の両側面に接触自在な一対の接点84s・84sを形成している。
【0035】
図19又は図20を参照すると、ハウジング81は、第1スロット811と第2スロット812を一方の側面に開口している。第1スロット811と第2スロット812は、互いに連通している。第1スロット811には、コンタクト82を収容できる。第2スロット812には、絶縁被覆で覆った状態の電線Wを保持できる。
【0036】
図18又は図20を参照すると、ハウジング81は、複数のコンタクト導入溝81dを一方の面に開口している。これらのコンタクト導入溝81dは、第1スロット811に連通している。コンタクト接触部82bは、コンタクト導入溝81dに臨んで配置されている(図24(A)参照)。
【0037】
図24を参照して、プラグ80をベースコネクタ90の凹部910に挿入すると、コンタクト導入溝81d介して、後述するブレードコンタクト92の先端部がハウジング81の内部に進入することで、ブレードコンタクト92とコンタクト接触部82bを電気的に接続できる。
【0038】
図18又は図24を参照すると、相手側コネクタ(以下、ベースコネクタという)90は、平板状のハウジング91と複数の板状のブレードコンタクト92を備えている。これらのブレードコンタクト92は、ハウジング91の背面側に配列されている。ブレードコンタクト92は、その一部がハウジング91の内部に突出している。そして、ピンコンタクト72の一部は、プラグ80のコンタクト82と接続できる。
【0039】
図24を参照すると、ブレードコンタクト92は、圧入片92a、コンタクト接続片92b、及び、連結片92cを有している。圧入片92aは、ハウジング91の背面壁に圧入できる。そして、ブレードコンタクト92をハウジング91に固定できる。
【0040】
図24を参照すると、コンタクト接続片92bは、その先端部側をハウジング71の内部に突出している。コンタクト接続片92bの先端部側は、コンタクト接触部82bと接続できる。連結片92cは、圧入片92aとコンタクト接続片92bを連結している。
【0041】
図24を参照すると、連結片92cは、その板厚面をプリント基板9pの一方の面にハンダ接合できる。つまり、図示したベースコネクタ90は、プリント基板9pの表面に実装できる、表面実装型のコネクタになっている。
【0042】
図24(A)を参照すると、ハウジング91は、一方の面を開口した凹部910を有している。ハウジング91の凹部910には、プラグ80を挿抜できる(図24(B)参照)。
【0043】
図15(C)を参照すると、コンタクト62のコンタクト接触部62bは、一対の挟持片624・624で構成している。ピンコンタクト72は、一対の挟持片624・624の先端部が開閉する方向と直交する方向から、一対の挟持片624・624の間に挿入している。
【0044】
図15(C)を参照して、一対の挟持片624・624の間に、ピンコンタクト72を挿入しようとすると(図17参照)、一対の挟持片624・624の曲げ応力に抗して、ピンコンタクト72を挿入する必要がある。
【0045】
図15(C)を参照すると、プラグ60は、プリント基板(図示せず)での実装面積を高密度にするために、ハウジング61の幅Whを狭くしている。これにより、挟持片624の固定端からピンコンタクト72との接点までの距離を短くすることを余儀なくされ、ピンコンタクト72との挿抜力が大きいという、問題がある。
【0046】
図15(C)又は図17を参照して、コンタクト62とピンコンタクト72との一本当たりの挿抜力が小さくても、コンタクトの極数が多くなると、ベースコネクタ70に対して、プラグ60を着脱することが容易で無くなるという問題がある。
【0047】
相手側コンタクト及び相手側コネクタと着脱が容易な、圧接コンタクト及び圧接コネクタが求められている。
【0048】
図23又は図24を参照すると、コンタクト82のコンタクト接触部82bは、一対の挟持片824・824で構成している。コンタクト接続片92bは、一対の挟持片824・824の先端部が開閉する方向と直交する方向から、一対の挟持片824・824の間に挿入している。
【0049】
図24(A)を参照して、一対の挟持片824・824の間に、コンタクト接続片92bを挿入しようとすると、一対の挟持片824・824の曲げ応力に抗して、コンタクト接続片92bを挿入する必要がある。
【0050】
図24(A)を参照すると、プラグ80は、プリント基板9pの実装高さを低背化するために、ハウジング81の高さHを狭くしている。これにより、挟持片824の固定端からコンタクト接続片92bとの接点84sまでの距離を短くすることを余儀なくされ(図23参照)、ブレードコンタクト92との挿抜力が大きいという、問題がある。
【0051】
図18又は図24を参照して、コンタクト82とブレードコンタクト92との一本当たりの挿抜力が小さくても、コンタクトの極数が多くなると、ベースコネクタ90に対して、プラグ80を着脱することが容易で無くなるという問題がある。
【0052】
一方、図21から図23に示したコンタクト82は、打ち抜き加工後の展開した金属板をプレス成形して製造している。このようなコンタクトは、生産性を向上するために、複数のコンタクトが一括してプレス成形されて製造されている。そして、これらのコンタクトは、その端部が長尺の帯板状のコンタクトキャリアで結合されており、連続してプレス成形されている。
【0053】
又、コンタクトキャリアから1個、1個バラ状に切り離されたコンタクトは、バラ状コンタクトと呼ばれ、手動工具などを用いて電線を結線している。一方、コンタクトキャリアに結合した状態のコンタクトは、連鎖状コンタクトと呼ばれている。リールに巻回された連鎖状コンタクトは、引き出されて、自動圧着機などで電線を連続して結線できる。
【0054】
図21から図23を参照すると、コンタクト82は、打ち抜き加工後の展開板の状態では、一対の挟持片824・824がコンタクトキャリア(図示せず)の延びる方向と略平行に配置されている。つまり、コンタクト82を連鎖状コンタクトとして製造した場合には、連鎖状コンタクトのピッチとハウジング81への取り付けピッチが異なっている。
【0055】
連鎖状コンタクトのピッチとハウジングへの取り付けピッチが一致する圧接コンタクトが実現できれば、コンタクトのハウジングへの組立が容易になり、生産性を向上できる。又、連鎖状コンタクトのピッチを短くできれば、コンタクトキャリアの単位長さに対して、コンタクトの本数を多くでき、省資源化に寄与できる。
【0056】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、相手側コンタクト及び相手側コネクタと着脱が容易であり、連鎖状コンタクトのピッチを短くすることが可能な圧接コンタクト及び圧接コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0057】
本発明者は、上記目的を満たすため、電線の端末を圧接接続自在な電線接続部と相手側コンタクトを導入自在なコンタクト接続部を備えた圧接コンタクトであって、コンタクト接続部を帯板状のベローズ端子で構成することで、これらの課題を解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな圧接コンタクト及び圧接コネクタを発明するに至った。
【0058】
(1) 電線の端末を圧接接続により結線する電線接続部、及び、相手側コンタクトと接続自在なコンタクト接続部を備えた圧接コンタクトであって、前記電線接続部は、前記電線の端末をその外周方向から一方の面に載置自在な帯状の第1固定板と、前記第1固定板の基端部から連続して一方の面から起立し、前記電線の芯線を外周方向から導入自在な切り欠き溝を前記第1固定板の一方の面に向って切り欠いた圧接片と、を有し、前記コンタクト接続部は、前記第1固定板の先端部から当該第1固定板の他方の面に一方の面が密着した状態で、前記圧接片に向かって延在する帯状の第2固定板と、前記第2固定板の基端部から前記第2固定板の他方に面に向って反転し、当該第2固定板の先端部に向かって先端部が上り傾斜した状態で配置された弾性片と、を有し、前記弾性片は、前記第2固定板の他方の面と対向配置された接点部を先端部に有し、前記第2固定板の先端部と前記弾性片の先端部の間から、前記弾性片の基端部に向けて、前記相手側コンタクトが挿入自在な穴部を一方の端面に開口した第1ハウジングに保持される、圧接コンタクト。
【0059】
(2) 前記圧接片は、その先端縁を切り離し容易なノッチで帯状のコンタクトキャリアの側部と連結し、このコンタクトキャリアは、当該コンタクトキャリアか延びる方向に対して、略直交する方向に当該圧接片を繋いでいる、(1)記載の圧接コンタクト。
【0060】
(3) (1)又は(2)記載の圧接コンタクトを一つ以上内部に配置した直方体状の第1ハウジングを備え、前記第1ハウジングは、前記弾性片が底面と対向配置され、前記圧接コンタクトを収容自在に当該第1ハウジングの一方の面から窪んだ第1スロットと、前記第1スロットと連通し、前記電線の端末を絶縁被覆した状態で外周方向から導入自在な第2スロットと、前記第1ハウジングの一方の面と隣接した一方の端面に開口し、前記第2固定板の先端部と前記弾性片の先端部の間に向かって、相手側コンタクトを挿入自在な一つ以上の穴部と、を有している、圧接コネクタ。
【0061】
(4) 前記相手側コンタクトは、ピン状の接続端子からなり、相手側コネクタは、一方の面を略矩形に開口した凹部の内部に、一つ以上の前記接続端子を配置した直方体状の第2ハウジングを備え、前記第1ハウジングは、一端部側に形成し、前記凹部に嵌合自在なヘッダー部と、他端部に形成し、前記第2ハウジングの一方の面に部分的に当接自在な鍔部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記凹部の一方の内壁と所定の間隔を設けて、当該凹部の一方の内壁と略平行に、前記凹部の開口面に向って前記凹部の底部から突出し、前記凹部の中心部に向けて突出した台形状のフック部を先端部に設けた帯板状のロックアームを有し、前記第1ハウジングは、前記ヘッダー部の一方の面から隆起し、前記フック部と係脱自在な一つ以上の四角錐台状の係合突起を有している、(3)記載の圧接コネクタ。
【0062】
(5) 前記相手側コンタクトは、前記接続端子と連続し、プリント基板にハンダ接合自在なリード端子を有している、(4)記載の圧接コネクタ。
【0063】
(6) 前記相手側コンタクトは、前記接続端子に対して前記リード端子を略直角に屈曲している、(5)記載の圧接コネクタ。
【発明の効果】
【0064】
本発明による圧接コンタクトは、第2固定板の基端部から反転し、第2固定板の先端部に向かって先端部が上り傾斜した状態で配置された弾性片を有し、弾性片は、第2固定板の他方の面と対向配置された接点部を先端部に有しているので、第2固定板の先端部と弾性片の先端部の間から、弾性片の基端部に向けて挿入した相手側コンタクトの挿抜力を低減できる。
【0065】
又、本発明による圧接コンタクトは、圧接片の先端縁を切り離し容易なノッチで帯状のコンタクトキャリアの側部と連結し、コンタクトキャリアか延びる方向に対して、略直交する方向に圧接片を繋いでいるので、コンタクトキャリア上に連設されるコンタクトピッチと第1ハウジングに連設された第1スロットのピッチを同一にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の一実施形態による圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による圧接コンタクトの構成を示す右側面図であり、圧接コンタクトを第1ハウジングの内部に実装した状態図である。
図3】前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの斜視図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装する前の状態図である。
図4】前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの正面図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装する前の状態図である。
図5】前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの斜視図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装した状態図である。
図6】前記実施形態による圧接コンタクトの構成を示す平面図であり、コンタクトキャリアとの連結を切り離して、第1ハウジングに圧接コンタクトを実装した状態図である。
図7】本発明の一実施形態による圧接コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す斜視図である。
図8】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態図である。
図9】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図10】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視断面図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態図である。
図11】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す図であり、図11(A)は、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態で示す平面図、図11(B)は、図11(A)の正面図、図11(C)は、図11(A)の背面図、図11(D)は、図11(A)の右側面図、図11(E)は、図11(A)の左側面図、図11(F)は、図11(A)の下面図である。
図12】相手側コネクタの構成を示す斜視図であり、相手側コネクタを底面側から観た状態図である。
図13】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、圧接コネクタを相手側コネクタに挿入する前の状態図である。
図14】前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、圧接コネクタを相手側コネクタに挿入した状態図である。
図15】従来技術による圧接コネクタの構成を示す図であり、図15(A)は、圧接コネクタの平面図、図15(B)は、圧接コネクタの正面図、図15(C)は、図15(B)のX−X矢視断面図である。
図16】従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図である。
図17】従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図18】他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。
図19】他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図である。
図20】他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、図19と異なる方向から圧接コネクタを観ている。
図21】他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。
図22】他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す右側面図である。
図23】他の従来技術による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの構成を示す正面図である。
図24】他の従来技術による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、図24(A)は、圧接コネクタを相手側コネクタに接続する前の状態図、図24(B)は、圧接コネクタを相手側コネクタに接続した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[圧接コンタクトの構成]
最初に、本発明の一実施形態による圧接コンタクトの構成を説明する。
【0068】
図1は、本発明の一実施形態による圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。図2は、前記実施形態による圧接コンタクトの構成を示す右側面図であり、圧接コンタクトを第1ハウジングの内部に実装した状態図である。
【0069】
図3は、前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの斜視図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装する前の状態図である。
【0070】
図4は、前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの正面図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装する前の状態図である。
【0071】
図5は、前記実施形態による圧接コンタクトを連設したコンタクトキャリアの斜視図であり、コンタクトキャリアに対向配置した第1ハウジングに圧接コンタクトを実装した状態図である。
【0072】
図1又は図2を参照すると、本発明の一実施形態による圧接コンタクト1は、電線接続部1aとコンタクト接続部1bを備えている。電線接続部1aは、電線Wの端末を圧接接続により結線できる(図8又は図13及び図14参照)。コンタクト接続部1bは、相手側コンタクト(以下、ピンコンタクトという)2と接続できる(図13又は図14参照)。
【0073】
図1又は図2を参照すると、電線接続部1aは、帯状の第1固定板11と圧接片12を有している。第1固定板11は、電線Wの端末をその外周方向から一方の面に載置できる(図13又は図14参照)。圧接片12は、第1固定板11の基端部から連続して第1固定板11の一方の面から起立している。又、圧接片12は、電線Wの芯線を外周方向から導入自在な切り欠き溝12dを第1固定板11の一方の面に向って切り欠いている。
【0074】
図1又は図2を参照すると、コンタクト接続部1bは、帯状の第2固定板13と弾性片14を有している。第2固定板13は、第1固定板11の先端部から、第1固定板11の他方の面に第2固定板13の一方の面が密着している。そして、第2固定板13は、圧接片12に向かって延在している。
【0075】
図1又は図2を参照すると、弾性片14は、第2固定板13の基端部132から第2固定板13の他方の面に向って反転している。又、弾性片14は、第2固定板13の先端部131に向かって、弾性片14の先端部141が上り傾斜した状態で配置されている。
【0076】
図1又は図2を参照すると、弾性片14は、接点部14sを先端部に有している。接点部14sは、所定の間隙を設けて、第2固定板13の他方の面と対向配置されている。第2固定板13の先端部131と弾性片14の先端部141の間から、弾性片14の基端部142に向けて、ピンコンタクト2を挿入できる(図13又は図14参照)。
【0077】
図2を参照すると、実施形態による圧接コンタクト1は、第1ハウジング3に保持されている。第1ハウジング3は、一方の端面に穴部3dを開口している(図3参照)。相手側コンタクトであるピンコンタクト2を穴部3dに挿入すると、コンタクト接続部1bと接続できる(図14参照)。
【0078】
図1又は図2を参照すると、実施形態による圧接コンタクト1は、第2固定板13の基端部132から反転し、第2固定板13の先端部131に向かって先端部が上り傾斜した状態で配置された弾性片14を有し、弾性片14は、第2固定板13の他方の面と対向配置された接点部14sを先端部に有しているので、第2固定板13の先端部131と弾性片14の先端部141の間から、弾性片14の基端部142に向けて挿入した相手側コンタクトの挿抜力を低減できる。
【0079】
(コンタクトキャリアの構成)
次に、本発明の一実施形態によるコンタクトキャリアの構成を説明する。図3から図5を参照すると、本発明の一実施形態によるコンタクトキャリア5は、導電性を有する帯状の金属板からなり、複数の圧接コンタクト1を一方の側部に連結している。
【0080】
図3から図5を参照すると、コンタクトキャリア5は、連鎖状コンタクトの長手方向の片端部をコンタクトキャリアで結合したサイドヒィードシングルキャリアとなっている。コンタクトキャリア5は、その長手方向と連鎖状の圧接コンタクト1の長手方向が略直交するように、圧接片12の先端縁が結合している(図1参照)。つまり、コンタクトキャリア5は、コンタクトキャリア5か延びる方向に対して、略直交する方向に圧接片12を繋いでいる。
【0081】
図3から図5を参照すると、コンタクトキャリア5と圧接コンタクト1との境界には、V字状のノッチ(刻み)5nを形成している。圧接コンタクト1をノッチ5nでコンタクトキャリア5から切り離すことができ、圧接コンタクト1をバラ状コンタクトとすることもできる。
【0082】
図3から図5を参照すると、コンタクトキャリア5には、圧接コンタクト1を成形するために、金型と位置合わせする基準穴5hを圧接コンタクト1に対応して開口している。これらの基準穴5hを利用して、複数の圧接コンタクト1付きコンタクトキャリア5を正確に搬送することもできる。
【0083】
[圧接コンタクトの作用]
次に、実施形態による圧接コンタクト1の作用及び効果を説明する。図1又は図2を参照して、圧接コンタクト1は、導電性を有している。導電性の金属板を打ち抜き加工して、所望の形状の導電性の圧接コンタクト1を得ることができる。圧接コンタクト1は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0084】
図1又は図2を参照すると、実施形態による圧接コンタクト1は、第2固定板13の基端部132から反転し、第2固定板13の先端部131に向かって先端部が上り傾斜した状態で配置された弾性片14を有し、弾性片14は、第2固定板13の他方の面と対向配置された接点部14sを先端部に有しているので、第2固定板13の先端部131と弾性片14の先端部141の間から、弾性片14の基端部142に向けて挿入した相手側コンタクトの挿抜力を低減できる。
【0085】
(コンタクトキャリアの作用)
次に、実施形態によるコンタクトキャリア5の動作を説明しながら、コンタクトキャリア5の作用及び効果を説明する。図3を参照すると、コンタクトキャリア5は、第1ハウジング3の一方の面に穿設した第1スロット31の上方に、圧接コンタクト1を搬送することができる。
【0086】
次に、図3又は図4に示した状態から、自動挿入機(図示せず)などを用いて、複数の圧接コンタクト1を一括して、第1スロット31に挿入する(図5参照)。次に、圧接コンタクト1に対して、コンタクトキャリア5を傾倒することで、複数の圧接コンタクト1を一括して、第1ハウジング3に実装できる(図2又は図6参照)。
【0087】
実施形態によるコンタクトキャリア5は、圧接片12の先端縁と切り離し容易なノッチで圧接片12の先端縁と連結し、コンタクトキャリア5か延びる方向に対して、略直交する方向に圧接片12を繋いでいるので、コンタクトキャリア5上に連設されるコンタクトピッチと第1ハウジング3に連設された第1スロット31のピッチを同一にすることができる。
【0088】
[圧接コネクタの構成]
次に、本発明の一実施形態による圧接コネクタの構成を説明する。
【0089】
図7は、本発明の一実施形態による圧接コネクタに備わる第1ハウジングの構成を示す斜視図である。図8は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態図である。
【0090】
図9は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを対向配置した状態図である。図10は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視断面図であり、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態図である。
【0091】
図11は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す図であり、図11(A)は、圧接コネクタと相手側コネクタを接続した状態で示す平面図、図11(B)は、図11(A)の正面図、図11(C)は、図11(A)の背面図、図11(D)は、図11(A)の右側面図、図11(E)は、図11(A)の左側面図、図11(F)は、図11(A)の下面図である。
【0092】
(全体構成)
図7から図11を参照すると、本発明の一実施形態による圧接コネクタ10は、複数の圧接コンタクト1を内部に配置した直方体状の第1ハウジング3を備えている。第1ハウジング3は、絶縁性を有している。非導電性の材料からなる合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性の第1ハウジング3を得ることができる。
【0093】
(第1ハウジングの構成)
図7から図10を参照すると、第1ハウジング3は、第1スロット31と第2スロット32を有している。図10を参照すると、第1スロット31は、第1ハウジング3の一方の面から窪んでいる。第1スロット31の底面は、圧接コンタクト1の弾性片14と対向配置されている(図2参照)。そして、第1スロット31には、圧接コンタクト1を収容できる(図2又は図10参照)。
【0094】
図7から図10を参照すると、第2スロット32は、第1スロット31と連通している。第2スロット32には、電線Wの端末を絶縁被覆した状態で外周方向から導入できる。第2スロット32は、電線Wが第1ハウジング3から離反困難にΩ字状に開口側が狭まっている。
【0095】
図2又は図10を参照すると、第1スロット31には、圧接コンタクト1を配置している。電線Wをその外周方向から第2スロット32に導入すると、圧接片12の切り欠き溝12dに設けた一対の圧接刃(図1参照)が電線Wの絶縁被覆を押しのけて、電線Wの芯線と圧接コンタクト1を電気的に接続できる。
【0096】
図3から図5を参照すると、第1ハウジング3は、一方の端面に複数の穴部3dを開口している。相手側コンタクトであるピンコンタクト2を穴部3dに挿入すると、コンタクト接続部1bと接続できる(図14参照)。
【0097】
図7から図11を参照すると、第1ハウジング3は、ヘッダー部3hを一端部側に有し、鍔部3fを他端部に有している。ヘッダー部3hは、後述する第2ハウジング4の凹部410に嵌合できる。鍔部3fは、後述する第2ハウジング4の一方の面に部分的に当接できる。
【0098】
図7又は図8を参照すると、第1ハウジング3は、四つの四角錐台状の係合突起3bを有している。これらの係合突起3bは、ヘッダー部3hの一方の面から隆起している。そして、これらの係合突起3bは、後述するロックアーム42のフック部42hと係脱できる(図13又は図14参照)。
【0099】
[相手側コネクタの構成]
次に、本発明の一実施形態による相手側コネクタの構成を説明する。
【0100】
図12は、相手側コネクタの構成を示す斜視図であり、相手側コネクタを底面側から観た状態図である。
【0101】
図13は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、圧接コネクタを相手側コネクタに挿入する前の状態図である。図14は、前記実施形態による圧接コネクタの構成を示す縦断面図であり、圧接コネクタを相手側コネクタに挿入した状態図である。
【0102】
(全体構成)
図8から図14を参照すると、本発明の一実施形態による相手側コネクタ(以下、ベースコネクタという)20は、複数の相手側コンタクト(以下、ピンコンタクトという)2と直方体状の第2ハウジング4を備えている。
【0103】
図9又は図12を参照すると、第2ハウジング4は、一方の面を略矩形に開口した凹部410を有している。第1ハウジング3のヘッダー部3hは、凹部410に嵌合できる。ピンコンタクト2は、ピン状の接続端子2cを凹部410の内部に配置している(図9又は図10及び図12参照)。圧接コンタクト1のコンタクト接続部1bは、接続端子2cと電気的に接続できる。
【0104】
図9又は図10及び図13又は図14を参照すると、第2ハウジング4は、帯板状のロックアーム42を有している。ロックアーム42は、凹部410の一方の内壁と所定の間隔を設けて、凹部410の一方の内壁と略平行に、凹部410の開口面に向って凹部410の底部から突出している。
【0105】
又、図10又は図12を参照すると、ロックアーム42は、台形状のフック部42hを先端部に設けている。フック部42hは、凹部410の中心部に向けて突出している。
【0106】
一方、図7又は図9を参照すると、第1ハウジング3は、四つの四角錐台状の係合突起3bを有している。これらの係合突起3bは、ヘッダー部3hの一方の面から隆起している。そして、これらの係合突起3bは、ロックアーム42のフック部42hと係脱できる(図13又は図14参照)。
【0107】
図13又は図14を参照すると、ヘッダー部3hを凹部410に挿入したときは、係合突起3bがフック部42hを乗り越えて、ベースコネクタ20と圧接コネクタ10の完全嵌合を実感できる。一方、ヘッダー部3hを凹部410から引き抜いたときは、フック部42hを変位させて、圧接コネクタ10をベースコネクタ20から容易に引き抜くことができる。
【0108】
(第2ハウジングの構成)
次に、実施形態による第2ハウジング4の構成を説明する。図8から図14を参照すると、第2ハウジング4は、絶縁性を有している。非導電性の材料からなる合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性の第2ハウジング4を得ることができる。
【0109】
図9又は図12を参照すると、第2ハウジング4は、一対のキー溝4d・4dを有している。一対のキー溝4d・4dは、凹部410と連通している。又、一対のキー溝4d・4dは、凹部410の一方の内壁に穿設している。一対のキー溝4d・4dは、後述するキー3kをスライド自在に案内できる。
【0110】
一方、図7又は図9を参照すると、第1ハウジング3は、一対のキー3k・3kをヘッダー部3hに有している。一対のキー3k・3kは、ヘッダー部3hの一方の面から隆起している。又、一対のキー3k・3kは、所定の間隔を設けて、ヘッダー部3hの前部に配置されている。
【0111】
図9を参照して、一対のキー3k・3kは、一対のキー溝4d・4dに嵌合できる。圧接コネクタ10の天地を逆にして、ベースコネクタ20の凹部410に挿入しようとすると、一対のキー3k・3kが第2ハウジング4の一方の面に当接することで、圧接コネクタ10の誤挿入を防止できる。
【0112】
(相手側コンタクトの構成)
次に、実施形態によるピンコンタクト2の構成を説明する。図9から図14を参照して、ピンコンタクト2は、導電性を有している。導電性の金属板を打ち抜き加工して、所望の形状の導電性のピンコンタクト2を得ることができる。ピンコンタクト2は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0113】
図10又は図12から図14を参照すると、ピンコンタクト2は、リード端子2rを有している。リード端子2rは、接続端子2cと連続している。リード端子2rをプリント基板9pの表面にあるパターン(図示せず)にハンダ接合することで、ベースコネクタ20をプリント基板9pに実装できる(図8又は図9参照)。
【0114】
又、図10又は図12から図14を参照すると、ピンコンタクト2は、接続端子2cに対してリード端子2rをプリント基板9pの表面に実装するため、略直角に屈曲させている。
【0115】
[圧接コネクタの作用]
次に、実施形態による圧接コネクタ10の動作を説明しながら、圧接コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0116】
図8又は図9を参照して、プリント基板9pの垂直方向から、圧接コネクタ10をベースコネクタ20の凹部410に挿入することで、圧接コンタクト1及びピンコンタクト2を介して、電線Wとプリント基板9pのパターンを電気的に接続できる(図14参照)。実施形態による圧接コネクタ10とベースコネクタ20は、「電線対基板コネクタ」ということもできる。
【0117】
図13に示した状態から、圧接コネクタ10をベースコネクタ20の凹部410の奥部に挿入すると、係合突起3bがフック部42hに当接する。圧接コネクタ10を更に挿入すると、係合突起3bとフック部42hの当接面は、斜面を形成しているので、フック部42hは凹部410の一方の内壁に向かって変位する。圧接コネクタ10を更に挿入して、係合突起3bがフック部42hを乗り越えると(図14参照)、フック部42hが弾性復帰して、圧接コネクタ10とベースコネクタ20の完全嵌合を実感できる。
【0118】
一方、図14に示した状態から、圧接コネクタ10をベースコネクタ20の凹部410から引き抜くと、係合突起3bとフック部42hの当接面は、斜面を形成しているので、フック部42hは凹部410の一方の内壁に向かって変位する。これにより、圧接コネクタ10をベースコネクタ20から容易に引き抜くことができる(図13参照)。
【0119】
実施形態によるベースコネクタ20は、ロック機構であるロックアーム42を凹部410の内部に配置しているので、プリント基板9pに実装した他の実装物がロックアームに当接して、コネクタのロックが不安定になるという心配が無くなる。
【0120】
又、実施形態では、圧接コネクタ10とベースコネクタ20が完全嵌合したことを実感できると共に、圧接コネクタ10とベースコネクタ20との着脱が容易であり、操作性に優れている。
【符号の説明】
【0121】
1 圧接コンタクト
1a 電線接続部
1b コンタクト接続部
2 ピンコンタクト(相手側コンタクト)
3 第1ハウジング
3d 穴部
11 第1固定板
12 圧接片
12d 切り欠き溝
13 第2固定板
14 弾性片
14s 接点部
W 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24