【解決手段】ハウジング10と、ハウジング10の開口部を覆った状態でハウジング10に固定されるカバー30と、ハウジング10内に収容されハウジング10に対してスライド自在に設けられスライド移動することでハウジング10が相手側コネクタ3に嵌合するスライダー50と、操作されることによりスライダー50をスライドさせる被操作部63と、スライダー50に形成されたスライダー係合部53とカバー30に形成されたカバー第2係合部41とを有し、ハウジング10と相手側コネクタ3との嵌合が完了した状態においてスライダー係合部53がカバー第2係合部41に係合し、カバー30がスライダー50から外れることを防止するロック機構28と、を備えたコネクタ2を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、コネクタ及び電気的接続装置に広く適用できる。
【0021】
図1は、本実施形態に係る電気的接続装置1を示す斜視図であって、コネクタ2が相手側コネクタ3に載せ置かれた状態を示す図であり、両者が嵌合する前の状態を示す図である。また、
図2は、
図1に示す状態のコネクタ2及び相手側コネクタ3の断面図である。また、
図3は、
図1に示す電気的接続装置1のコネクタ2のレバー60が操作されることによりコネクタ2と相手側コネクタ3とが嵌合した状態を示す断面図であって、
図2に対応させて示す図である。
【0022】
なお、各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称する。下方とは、コネクタ2が相手側コネクタ3と嵌合する際の方向(嵌合方向)であり、上方とは、コネクタ2が相手側コネクタ3から抜去される際の方向(抜去方向)である。
【0023】
本実施形態に係る電気的接続装置1は、相手側コネクタ3にコネクタ2を載せ置いた状態(
図1及び
図2参照)で、コネクタ2が有するレバー60を後側へ倒しこむことにより(
図3参照)、コネクタ2を相手側コネクタ3へ容易に押し込んで嵌合させることが可能に構成されている。
【0024】
[相手側コネクタの概略構成]
相手側コネクタ3は、図示しない筐体に固定されるコネクタであって、コネクタ2の嵌合相手となるコネクタである。相手側コネクタ3は、
図1から
図3を参照して、相手側ハウジング4と、シールリング7と、複数のオス型コンタクト8とを有している。
【0025】
相手側ハウジング4は、上下方向に薄い略皿状に形成された部材である。相手側ハウジング4は、
図2及び
図3を参照して、前後左右方向に拡がり上下方向に所定の厚さを有する底部5と、該底部5の外周部分から上方へ延びる周壁部6とを有している。相手側ハウジング4は、該相手側ハウジング4の取付け部4aが、筐体側に設けられた基板Sに固定されることにより、基板Sに固定される。
【0026】
相手側ハウジング4における底部5及び周壁部6によって囲まれた空間には、コネクタ2と相手側コネクタ3とが嵌合した状態において、コネクタ2の下端部分が収容される。底部5には、該底部5を上下方向に貫通する複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。この貫通孔には、オス型コンタクト8が挿通している。また、周壁部6の外側には、環状に形成された環状溝6aが形成されている。この環状溝6aには、シールリング7が嵌まり込んでいる。
【0027】
シールリング7は、環状に形成された弾性を有する部材である。シールリング7は、相手側ハウジング4に形成された環状溝6aに嵌まり込んでいる。シールリング7は、相手側コネクタ3が筐体に固定された状態において、相手側ハウジング4と筐体との間の隙間を封止している。これにより、電気的接続装置1の防水性を高めることができる。
【0028】
各オス型コンタクト8は、導電性を有する棒状の金属製部材がL字状に折り曲げられて形成されたものである。各オス型コンタクト8の一端側(基端側)は、筐体側に設けられた基板Sに半田付けされている。一方、各オス型コンタクト8の他端側(先端側)は、相手側ハウジング4の底部5に形成された貫通孔を貫通して上方に露出している。各オス型コンタクト8は、コネクタ2と相手側コネクタ3とが嵌合した状態において、コネクタ2のメス型コンタクト(図示省略)に嵌合する。
【0029】
[コネクタの全体構成]
コネクタ2は、
図1から
図3を参照して、ハウジング10と、カバー30と、一対のスライダー50,59(
図2及び
図3では右側スライダー50のみを図示)と、レバー60と、複数のメス型コンタクト(図示省略)と、前記メス型コンタクトがハウジング10から抜けるのを防止するためのリテーナ(図示省略)とを有している。
【0030】
図4は、
図1に示すハウジング10を前方側から視た斜視図である。また、
図5は、
図4に示すハウジング10を後方側から視た斜視図である。また、
図6は、
図4に示すハウジング10の底面図である。
【0031】
ハウジング10は、内部に複数のメス型コンタクト(図示省略)と、一対のスライダー50,59とを収容する略箱状に形成されている。ハウジング10は、外壁部11と、内壁部16と、右側底壁部20及び左側底壁部21と、メス型コンタクト収容部22とを有し、これらが一体に形成されている。
【0032】
外壁部11は、ハウジング10における最も外側に設けられた壁状の部分である。外壁部11は、外側前壁部12と、外側右壁部13と、外側左壁部14と、外側後壁部15とを有し、これらが一体に形成されている。
【0033】
図2、
図3、及び
図5を参照して、外側後壁部15の上側における左右両端側には、それぞれ、該外側後壁部15を前後方向に貫通する貫通孔により係合用孔部15a(ハウジング係合部)が形成されている。この係合用孔部15aには、詳しくは後述するカバー30の第1爪部40が係合する。
【0034】
また、
図5を参照して、外側後壁部15の左右両端部には、それぞれ、上下方向に細長く形成され、該外側後壁部15を前後方向に貫通する細長貫通孔15bが形成されている。コネクタ2の組立時において、詳しくは後述するスライダー50,59が、この細長貫通孔15bを介して、ハウジング10内におけるスライダー収容部23,24に収容される。
【0035】
内壁部16は、外壁部11よりもやや内側に形成された壁状の部分であって、上方から視て略U字状に形成されている。このように略U字状に形成された内壁部16によって、その内側の部分が、上方に向かって開口する開口部16aとして設けられる。内壁部16は、内側前壁部17と、内側右壁部18と、内側左壁部19とを有し、これらが一体に形成されている。内壁部16では、内側前壁部17が外側前壁部12と一体に設けられており、内側右壁部18の後端部分及び内側左壁部19の後端部分が、それぞれ、外側後壁部15と一体に設けられている。
【0036】
右側底壁部20は、
図6を参照して、外側右壁部13の下端部分と内側右壁部18の下端部分とを連結する壁状の部分である。右側底壁部20には、下方から上方へ向かって切り欠かれた切り欠き部20aが形成されている。切り欠き部20aは、前後方向に間隔を空けて2つ、形成されている。この切り欠き部20aには、コネクタ2を相手側コネクタ3に嵌合させる際に、相手側コネクタ3の相手側ハウジング4に形成された右側突出部9(
図2及び
図3参照)が挿通する。なお、この右側突出部9は、相手側ハウジング4の右側の部分において、前後方向に間隔を空けて2つ、形成されている。
【0037】
左側底壁部21は、
図6を参照して、外側左壁部14の下端部分と内側左壁部19の下端部分とを連結する壁状の部分である。左側底壁部21には、右側底壁部20の場合と同様、下方から上方へ向かって切り欠かれた切り欠き部21aが形成されている。切り欠き部21aは、前後方向に間隔を空けて2つ、形成されている。この切り欠き部21aには、コネクタ2を相手側コネクタ3に嵌合させる際に、相手側コネクタ3の相手側ハウジング4に形成された左側突出部(図示省略)が挿通する。なお、この左側突出部は、相手側ハウジング4の左側の部分において、前後方向に間隔を空けて2つ、形成されている。
【0038】
メス型コンタクト収容部22は、ハウジング10の左右方向における中央部分に設けられた部分であって、上下方向に所定の厚みを有している。メス型コンタクト収容部22には、該メス型コンタクト収容部22を上下方向に貫通する複数の貫通孔22aが形成されている。各貫通孔22aには、相手側コネクタ3のオス型コンタクト8と嵌合するメス型コンタクト(図示省略)が収容されている。なお、図示は省略するが、各メス型コンタクトには、ケーブルの端部が、かしめ或いは半田付け等により機械的且つ電気的に接続されている。各ケーブルは、ハウジング10の開口部16a、及び後述するカバー30の内部空間を通じて、外部へ延びている。
【0039】
また、ハウジング10は、
図4及び
図5を参照して、右側スライダー収容部23及び左側スライダー収容部24を有している。
【0040】
右側スライダー収容部23は、ハウジング10における右側に設けられた部分であって、内部に右側スライダー50を収容可能に構成されている。右側スライダー収容部23は、上述した外側右壁部13、内側右壁部18、及び右側底壁部20を有していて、それらで囲まれた空間に右側スライダー50が収容される。
【0041】
左側スライダー収容部24は、ハウジング10における左側に設けられた部分であって、内部に左側スライダー59を収容可能に構成されている。左側スライダー収容部24は、上述した外側左壁部14、内側左壁部19、及び左側底壁部21を有していて、それらで囲まれた空間に左側スライダー59が収容される。
【0042】
図7は、
図1に示すカバー30を前方側から視た斜視図である。また、
図8は、
図7に示すカバー30を後方側から視た斜視図である。カバー30は、ハウジング10に固定された状態において該ハウジング10の開口部16aを覆っている。
【0043】
カバー30は、カバー本体部31と、支軸部37と、カバー第1係合部38と、カバー第2係合部41とを有し、これらが一体に形成されている。
【0044】
カバー本体部31は、内部に空間を有する略ドーム状に形成された部分である。カバー本体部31は、右壁部32と、左壁部33と、覆い部34とを有し、これらが一体に形成されている。
【0045】
右壁部32は、カバー本体部31における右側に設けられた壁状の部分であって、左右方向に所定の厚さを有する壁部である。
【0046】
左壁部33は、カバー本体部31における左側に設けられた壁状の部分であって、左右方向に所定の厚さを有する壁部である。
【0047】
覆い部34は、右壁部32及び左壁部33の上側に設けられた部分であって、それらと一体に形成されている。覆い部34は、前方から後方へ向かって上方へ傾斜しながら延びる傾斜部35と、傾斜部35における後端部分から後方へ延びる延出部36とを有している。覆い部34は、右壁部32及び左壁部33と繋がっている部分が、R状に形成されている。
【0048】
支軸部37は、右壁部32及び左壁部33のそれぞれに形成されている。各支軸部37は、各壁部32,33から外側へ突出する略円柱状に形成されている。各支軸部37は、詳しくは後述するレバー60の支軸用孔部64に挿通している。
【0049】
カバー第1係合部38は、右壁部32及び左壁部33のそれぞれの後端部における下側の部分に形成されている。カバー第1係合部38は、カバー30をハウジング10に固定するためのものである。カバー第1係合部38は、直方体状に形成された部分である直方体部39と、直方体部39から後方へ突出する第1爪部40とを有している。
【0050】
直方体部39は、左右方向の厚さが各壁部32,33の厚さよりもやや厚い。直方体部39は、各壁部32,33よりもやや外側へ出っ張るように形成されている。
【0051】
第1爪部40は、直方体部39における後面の下側から後方へ突出する直方体状に形成されている。
【0052】
カバー第2係合部41は、右壁部32及び左壁部33のそれぞれの前端部において、上下方向に延びるように形成されている。カバー第2係合部41は、詳しくは後述するスライダー係合部53とともにロック機構28を構成する。ロック機構28は、カバー30がスライダー50,59から外れることを防止するためのものである。カバー第2係合部41は、上下方向に延びる突条部42と、第1延出部43及び第2延出部44と、第2爪部45(第1面部)とを有し、これらが一体に形成されている。
【0053】
突条部42は、各壁部32,33の前端部における上側の部分から下方へ延びる突条の部分である。突条部42は、上方から各壁部32,33の下端まで延びている。
【0054】
第1延出部43は、突条部42の下端面における前側の部分から下方へ延びるように形成されている。
【0055】
第2延出部44は、突条部42の下端面における内側の部分から下方へ延びるように形成されている。第2延出部44は、第1延出部43の先端部まで延びている。第2延出部44は、第1延出部43と一体に設けられている。
【0056】
第2爪部45は、第2延出部44の先端部における外側の部分からやや外方へ突出する小さな直方体状に形成されている。第2爪部45の上面は、平坦状に形成された第1面45aとして設けられている。
【0057】
コネクタ2では、カバー30は、以下のようにしてハウジング10に係合している。具体的には、
図2及び
図3を参照して、コネクタ2のおける後側の部分では、カバー30の第1爪部40が、ハウジング10の係合用孔部15aに挿通している。一方、コネクタ2における前側の部分では、カバー30の第3爪部48(
図7及び
図8参照)が、ハウジング10に形成された溝部25(
図4及び
図5参照)に嵌まり込んでいる。これにより、ハウジング10及びカバー30における前側の部分と後側の部分とが係合するため、カバー30がハウジング10から離脱する方向(上方、抜去方向)へ移動してハウジング10から抜けてしまうことを防止できる。
【0058】
図9は、右側スライダー50の斜視図である。また
図10は、左側スライダー59の斜視図である。各スライダー50,59は、左右方向に薄い略板状に形成された部材であって、対応するスライダー収容部23,24に収容される。
【0059】
右側スライダー50は、
図9を参照して、スライダー本体部51と、ラック部52と、スライダー係合部53と、延出部54とを有している。
【0060】
スライダー本体部51は、左右方向に所定の厚みを有する板状の部分であって、上下方向よりも前後方向が長くなるように形成されている。
【0061】
スライダー本体部51には、2つのカム溝55が形成されている。各カム溝55は、スライダー本体部51の内側の面(右側スライダー50の場合、左側面)において、前後方向に間隔を空けて形成されている。カム溝55は、スライダー本体部51の下端面からやや上方へ延びた後、後方へ進むにしたがって徐々に上方へ延びるように形成されている。
【0062】
ラック部52は、複数のラック歯52aを有している。ラック部52は、スライダー本体部51の上端面に形成されている。ラック部52には、後述するレバー60のピニオン部65が噛み合う。
【0063】
延出部54は、スライダー本体部51の上端面に形成された突条の部分であり、ラック部52よりもやや後方の部分からスライダー本体部51の後端面まで延びるように形成されている。
【0064】
スライダー係合部53は、
図3を参照して、コネクタ2が相手側コネクタ3と嵌合した状態において、カバー30のカバー第2係合部41と係合するように構成されている。スライダー係合部53は、
図9を参照して、第1延出部53a及び第2延出部53bと、平面部53c(第2面部)とを有し、これらが一体に形成されている。
【0065】
第1延出部53aは、ラック部52よりもやや前側の部分から上方へやや延びるように形成されている。第1延出部53aは、前後方向に厚みを有する片状の部分である。
【0066】
第2延出部53bは、第1延出部53aの場合と同様、ラック部52よりもやや前側の部分から上方へやや延びるように形成されている。第2延出部53bは、左右方向に厚みを有する片状の部分であって、その後端部分が第1延出部53aの外側の部分(右側スライダー50の場合、右側の部分)と一体となっている。
【0067】
平面部53cは、第1延出部53aと第2延出部53bとによって囲まれた空間を上方から覆う平面状の部分である。平面部53cは、上方から視て矩形状に形成され、上下方向に所定の厚みを有している。平面部53cの下面は、平面状に形成された第2面53dとして設けられている。
【0068】
左側スライダー59は、右側スライダー50と同様、スライダー本体部51と、ラック部52と、スライダー係合部53と、延出部54とを有している。左側スライダー59は、上述した右側スライダー50の構成と比べて左右対称の形状を有する点を除き、右側スライダー50の構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0069】
各スライダー50,59は、以下のようにしてハウジング10内に収容され、ハウジング10に対して前後方向にスライド自在に設けられている。具体的には、右側スライダー50は、左右両側面が外側右壁部13及び内側右壁部18のそれぞれに対して摺動可能な程度に挟まれており、下端部分が右側底壁部20に載せ置かれている。この状態において、詳しくは後述するレバー60によって前後方向に沿った力が加えられることにより、右側スライダー50は、前後方向に沿ってスライド移動する。なお、右側スライダー50は、
図2を参照して、ハウジング10に形成された上壁部26と右側底壁部20との間で上下方向において挟まれており、これにより、上下方向への移動が規制されている。
【0070】
一方、左側スライダー59は、左右両側面が外側左壁部14及び内側左壁部19のそれぞれに対して摺動可能な程度に挟まれており、下端部分が左側底壁部21に載せ置かれている。この状態において、詳しくは後述するレバー60によって前後方向に沿った力が加えられることにより、左側スライダー59は、前後方向に沿ってスライド移動する。なお、左側スライダー59も、右側スライダー50の場合と同様、上壁部26と左側底壁部21との間で上下方向において挟まれており、これにより、上下方向への移動が規制されている。
【0071】
レバー60は、
図1から
図3を参照して、一対の板部61と、該一対の板部61の端部同士を繋ぐ連結部62とを有し、これらが一体に形成されている。連結部62は、ユーザによって操作される被操作部63として設けられている。
【0072】
板部61は、左右方向に所定の厚みを有するやや細長い板状に形成された部分である。板部61の先端部分(連結部62が設けられている側と反対側の部分)には、その部分を厚さ方向に貫通する円形の貫通孔が形成されており、その貫通孔には、カバー30の支軸部37が挿通している。すなわち、その貫通孔によって、支軸用孔部64が形成される。これにより、レバー60は、左右方向に延びる支軸部37を中心として回動自在となっている。
【0073】
板部61の先端部分には、複数のピニオン歯65aを有するピニオン部65が形成されている。ピニオン部65は、スライダー50,59に形成されたラック部52と噛み合っている。コネクタ2では、レバー60を前後方向に操作することにより、スライダー50,59を前後方向に沿ってスライド移動させることができる。
【0074】
また、レバー60では、最も前側に倒し込まれた状態において、各板部61に形成された第1孔部66に、カバー30に形成された突起部46が嵌まり込む。これにより、レバー60がそれ以上後方へ倒れ込むのを規制できる。
【0075】
また、レバー60では、最も後側に倒し込まれた状態において、連結部62に形成された第2孔部67(
図1参照)に、カバー30に形成された突起部47が嵌まり込む。これにより、レバー60がそれ以上前方へ倒れ込むのを規制できる。
【0076】
[コネクタと相手側コネクタとの嵌合動作]
本実施形態に係る電気的接続装置1において、コネクタ2を相手側コネクタ3に接続する際には、まず、コネクタ2が相手側コネクタ3に載せ置かれる。具体的には、
図2を参照して、コネクタ2のハウジング10に形成された切り欠き部20aに、相手側ハウジング4に形成された右側突出部9が挿通し、且つ、
図2での図示は省略されているが、切り欠き部21aに左側突出部が挿通するように、コネクタ2が相手側コネクタ3に載せ置かれる。これにより、相手側コネクタ3に対するコネクタ2の前後左右方向の位置決めが行われる。
【0077】
次に、電気的接続装置1では、ユーザによってレバー60が後側へ向かって回動される。そうすると、レバー60に形成されたピニオン部65が、各スライダー50,59のラック部52を前方へ向かって移動させる。これにより、各スライダー50,59が前方へ移動し、それとともに、相手側コネクタ3の突出部9がカム溝55に沿って上方へ移動する。そうすると、コネクタ2が相手側コネクタ3側へ押し付けられるため、コネクタ2の各メス型コンタクトに相手側コネクタ3の各オス型コンタクト8が挿入される。これにより、コネクタ2と相手側コネクタ3との嵌合が完了する(
図3参照)。
【0078】
図11は、
図3におけるXI部付近を拡大して示す図である。
図11を参照して、上述のようにコネクタ2と相手側コネクタ3との嵌合が完了した状態では、各スライダー50,59に形成されたスライダー係合部53が、カバー30に形成されたカバー第2係合部41と係合する。より具体的には、
図11を参照して、スライダー係合部53の第2面53dが、カバー第2係合部41の第1面45aと、上下方向にやや間隔を空けて対向する。これにより、例えば、何らかの理由によりハウジング10に対するカバー30の係合が外れた場合(具体的には、係合用孔部15aが壊れて、且つ第3爪部48が溝部25から外れた場合)において、カバー30に上方への力が作用してハウジング10から外れようとしても、カバー30はハウジング10から外れない。具体的には、ハウジング10内における上下方向の移動が規制されたスライダー50,59の第2面53dによって、カバー第2係合部41の第1面45aの上方への移動が規制されるため、ハウジング10に対するカバー30の離脱を防止できる。
【0079】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る電気的接続装置1のコネクタ2では、カバー第1係合部38が係合用孔部15aに係合することにより、カバー30がハウジング10の開口部16aを覆った状態で該ハウジング10に固定される。また、コネクタ2では、レバー60がユーザによって操作されることにより、ハウジング10内に収容されたスライダー50,59がスライド移動する。これにより、コネクタ2のハウジングを相手側コネクタに嵌合させることができる。
【0080】
そして、コネクタ2では、コネクタ2のハウジング10が相手側コネクタ3に嵌合した状態において、スライダー係合部53がカバー第2係合部41と係合する。これにより、カバー30が、ハウジング10内に収容されたスライダー50,59、すなわちハウジング10から外れることを防止できる。
【0081】
従って、コネクタ2によると、ハウジング10に対するカバー30の嵌合性能を高めることができる。
【0082】
また、コネクタ2によれば、嵌合方向と反対側への力がカバー30に作用しても、カバー第2係合部41の第1面45aがスライダー係合部53の第2面53dに当接し、カバー30がそれ以上嵌合方向と反対側へ移動しない。これにより、カバー30がハウジング10から外れてしまうことを適切に防止することができる。
【0083】
また、コネクタ2によれば、スライダー係合部53の第2面53dが、前記スライダー50,59における前記カバー側の部分に形成されているため、カバー第2係合部41をスライダー50,59側へ大きく延ばして形成する必要がない。すなわち、コネクタ2によれば、カバー30を小型化できる。
【0084】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1によれば、ハウジング10に対するカバー30の嵌合性能が高いコネクタ2を有する電気的接続装置を提供することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0086】
[変形例]
(1)
図12は、変形例に係る電気的接続装置1aを後側から視た斜視図である。また、
図13は、
図12に示す電気的接続装置1aのコネクタ2aが有するレバー付きスライダー70の斜視図である。
【0087】
上述した実施形態では、スライダー50,59をレバー60によって操作する例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、
図12に示す変形例のように、レバー60が省略されたコネクタ2aを構成してもよい。
【0088】
図12を参照して、本変形例のコネクタ2aは、ハウジング10と、カバー30aと、レバー付きスライダー70と、複数のメス型コンタクト(図示省略)とを有している。すなわち、本変形例のコネクタ2aは、上述した実施形態と比べて、レバー60及び各スライダー50,59が省略された構成となっており、その代わりに、レバー付きスライダー70を備えた構成となっている。
【0089】
上記実施形態に係るコネクタ2は、レバー60が回動操作されることによりスライダー50,59を前後方向へスライド移動させた。この点につき、本変形例に係るコネクタ2aによれば、スライダー部分に一体化されたレバー部分を前後方向に沿って操作することにより、スライダー部分を前後方向にスライド移動させることができる。また、本変形例のコネクタ2aは、上述した実施形態と比べて、カバー30aの構成がやや異なっている。以下では、上述した実施形態と異なる箇所について主に説明し、それ以外の箇所については説明を省略する。
【0090】
カバー30aは、上記実施形態のカバー30と比べて、支軸部37が省略された構成となっているものの、それ以外の構成は上記実施形態のカバー30と同じであるため、その他の箇所については説明を省略する。
【0091】
図13は、レバー付きスライダー70の構成を示す斜視図である。レバー付きスライダー70は、右側スライダー部50aと、左側スライダー部59aと、連結部71とを有し、これらが一体に形成されている。
【0092】
右側スライダー部50aは、上記実施形態の右側スライダー50と比べて、ラック部52及び延出部54が省略され、且つスライダー本体部51aにおける前後方向の長さが、上記実施形態の場合と比べてやや長くなっている。また、右側スライダー部50aでは、その後端部分が、詳しくは後述する連結部71と一体となっている。
【0093】
左側スライダー部59aも、上記実施形態の左側スライダー59と比べて、ラック部52及び延出部54が省略され、且つスライダー本体部51aにおける前後方向の長さが、上記実施形態の場合と比べてやや長くなっている。また、左側スライダー部59aでも、その後端部分が、詳しくは後述する連結部71と一体となっている。
【0094】
連結部71は、左右方向に延びる板状に形成された部分であり、右側スライダー部50aの後端部分と、左側スライダー部59aの後端部分とを連結している。この連結部71は、ユーザによって操作される被操作部72として設けられている。
【0095】
そして、本変形例に係る電気的接続装置1aでは、コネクタ2aが相手側コネクタ3に載せ置かれた状態において、被操作部72が前方へ押圧される。これにより、各スライダー部50a,59aが前方へスライド移動するため、コネクタ2aが相手側コネクタ3側へ押し付けられる。これにより、上記実施形態の場合と同様、コネクタ2aと相手側コネクタ3との嵌合が完了する。また、この状態において、本変形例に係るコネクタ2aでも、上記実施形態の場合と同様、スライダー係合部53がカバー第2係合部41に係合しているので、ハウジング10に対するカバー30aの離脱を防止できる。以上のように、本変形例に係るコネクタ2aでも、上記実施形態の場合と同様、ハウジング10に対するカバー30aの嵌合性能を高めることができる。
【0096】
(2)
図14は、変形例に係る電気的接続装置1bの断面図である。また、
図15は、
図14に示す右側スライダー50bの斜視図である。
【0097】
上述した実施形態に係る電気的接続装置1aでは、各スライダー50,59が1つのスライダー係合部53を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。本変形例のコネクタ2bが有する各スライダー50bは、2つのスライダー係合部53,57を有している。なお、以下では、スライダー係合部53を前側スライダー係合部53と称し、スライダー係合部57を後側スライダー係合部57と称する場合もある。また、本変形例の左側スライダーは、図示は省略するが、右側スライダー50bと左右対称な形状を有している。
【0098】
本変形例の右側スライダー50bは、スライダー本体部51b、ラック部52、スライダー係合部53、延出部54b、及びカム溝55を有している。これらのうち、ラック部52、スライダー係合部53、及びカム溝55は、上述した実施形態の右側スライダー50の場合と同じであるため、その説明を省略する。
【0099】
スライダー本体部51bは、上記実施形態の場合と同様、左右方向に所定の厚みを有する板状の部分であって、上下方向よりも前後方向が長くなるように形成されている。しかしながら、本変形例のスライダー本体部51bは、上記実施形態の場合と比べて、前後方向における長さがやや長くなるように形成されている。
【0100】
延出部54bは、上記実施形態の場合と同様、スライダー本体部51bの上端面に形成された突条の部分であり、ラック部52よりもやや後方の部分からスライダー本体部51bの後端面まで延びるように形成されている。しかしながら、延出部54bは、上記実施形態の場合と比べて、前後方向における長さがやや長くなるように形成されている。
【0101】
後側スライダー係合部57(第2面部)は、
図14を参照して、カバー30bに形成されたカバー第4係合部49と係合するように構成されている。後側スライダー係合部57は、延出部54bの後端部における上側の部分から内側へ突出する直方体状の部分として設けられている。後側スライダー係合部57の下面は、平坦状に形成された第2面57aとして設けられている。
【0102】
図14を参照して、カバー30bには、カバー第4係合部49が形成されている。カバー第4係合部49は、カバー第1係合部38の下端面に形成されている。カバー第4係合部49は、カバー第1係合部38の下端面から下方へ延びる延出部49aと、該延出部49aの先端部から後方へ延びる板状の爪部49b(第1面部)とを有し、これらが一体に形成されている。爪部49bの上面は、平坦状に形成された第1面49cとして設けられている。
【0103】
そして、本変形例に係る電気的接続装置1bでは、
図14に示す状態(相手側コネクタ3に嵌合する前の状態)からレバー60を後方へ操作してコネクタ2bを相手側コネクタ3に嵌合させると、前側スライダー係合部53だけでなく、後側スライダー係合部57もカバー30bと係合する。すなわち、本変形例では、ロック機構28aが、カバー第2係合部41、前側スライダー係合部53、カバー第4係合部49、及び後側スライダー係合部57を有している。本変形例では、コネクタ2bと相手側コネクタ3とが嵌合した状態において、各スライダー50bとカバー30bとが、2箇所で係合する。これにより、上記実施形態の場合よりも、ハウジング10に対するカバー30bの嵌合性能を高めることができる。
【0104】
(3)
図16は、変形例に係る電気的接続装置1cの断面図である。また、
図17は、
図16に示す右側スライダー50cの斜視図である。
【0105】
図14及び
図15を用いて説明した変形例に係る電気的接続装置1bでは、
図14を参照して、上下方向に対向して設けられた第1面部及び第2面部が、前後方向に間隔を空けて形成されている例を挙げて説明した。具体的には、電気的接続装置1bでは、第1面部としての第2爪部45及び第2面部としての平面部53cが前側に設けられ、且つ、第1面部としての爪部49b及び第2面部としての後側スライダー係合部57とが後側に設けられている例を挙げて説明した。しかし、これに限らず、対となる第1面部及び第2面部が、上下方向に間隔を空けて設けられていてもよい。
【0106】
本変形例の右側スライダー50cは、
図17を参照して、スライダー本体部51、ラック部52、延出部54、カム溝55、及びスライダー係合部58を有している。これらのうち、ラック部52、延出部54、カム溝55は、上述した実施形態の右側スライダー50bの場合と同じであるため、その説明を省略する。
【0107】
スライダー係合部58は、上記実施形態のスライダー係合部53の場合と同様、ラック部52よりもやや前側の部分に形成されている。スライダー係合部58は、第1延出部58a及び第2延出部58bと、上側平面部58c(第2面部)と、下側平面部58d(第2面部)とを有し、これらが一体に形成されている。
【0108】
第1延出部58aは、ラック部52よりもやや前側の部分から上方へやや延びるように形成されている。第1延出部58aは、前後方向に厚みを有する片状の部分である。
【0109】
第2延出部58bは、第1延出部58aの場合と同様、ラック部52よりもやや前側の部分から上方へやや延びるように形成されている。第2延出部58bは、左右方向に厚みを有する片状の部分であって、その後端部分が第1延出部58aの外側の部分(右側スライダー50cの場合、右側の部分)と一体となっている。
【0110】
上側平面部58cは、第1延出部58aと第2延出部58bとによって囲まれた空間を上方から覆う平面状の部分である。上側平面部58cは、上方から視て矩形状に形成され、上下方向に所定の厚みを有している。上側平面部58cの下面は、平坦状に形成された第2面58eとして設けられている。
【0111】
下側平面部58dは、上側平面部58cの下面と、スライダー本体部51の上端面との間に設けられている。下側平面部58dは、上下方向に所定の厚みを有している。下側平面部58dの下面は、平坦状に形成された第2面58fとして設けられている。
【0112】
カバー30cのカバー第2係合部41aには、
図16を参照して、上側爪部75(第1面部)及び下側爪部76(第1面部)が形成されている。上側爪部75は、第2延出部44の上下方向における中途部分からやや外方(
図16における紙面手前側)へ突出する小さな直方体状の部分として設けられている。上側爪部75の上面は、平坦状に形成された第1面75aとして設けられている。下側爪部76は、第2延出部44の下端部からやや外方へ突出する小さな直方体状の部分として設けられている。下側爪部76は、上下方向に所定の厚みを有している。下側爪部76の上面は、平坦状に形成された第1面76aとして設けられている。
【0113】
そして、本変形例に係る電気的接続装置1cでは、ロック機構28bが、カバー第2係合部41a及びスライダー係合部58を有している。電気的接続装置1cでは、
図16に示す状態(相手側コネクタ3に嵌合する前の状態)からレバー60を後方へ操作してコネクタ2cを相手側コネクタ3に嵌合させると、上側平面部58cと上側爪部75とが係合し、且つ下側平面部58dと下側爪部76とが係合する。すなわち、本変形例では、コネクタ2cと相手側コネクタ3とが嵌合した状態において、各スライダーとカバー30cとが、2箇所で係合する。これにより、
図14及び
図15を用いて説明した変形例の場合と同様、ハウジング10に対するカバー30cの嵌合性能を高めることができる。
【0114】
(4)上記実施形態では、スライダー50,59にカム溝55を形成する一方、相手側コネクタ3に、該カム溝55に案内される突出部9を形成する例を挙げて説明したが、これに限らず、スライダーに突出部を形成する一方、相手側コネクタにカム溝を形成してもよい。このような構成であっても、上記実施形態の場合と同様、レバーを操作することで、コネクタと相手側コネクタとを容易に嵌合させることができる。
【0115】
(5)上記実施形態では、シールリング7及びリテーナを有する電気的接続装置1を例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明は、これらのうち一方のみを有する電気的接続装置、或いはこれらを有さない電気的接続装置にも適用できる。