【課題】略直方体状のコンデンサ本体の高さ方向一面に第1外部電極と第2外部電極が設けられた積層セラミックコンデンサにおいて小型化と大容量化の要求に応じる場合であっても、第1外部電極に対する各第1内部電極層の接続と第2外部電極に対する各第2内部電極層の接続のそれぞれに信頼性の高い接続を実現できる積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】コンデンサ本体110の第1導体層112には各第1内部電極層111aの長さ方向一端縁が各第1内部電極層111aの幅と同等の接続幅にて接続され、第2導体層113には各第2内部電極層111bの長さ方向他端縁が各第2内部電極層111bの幅と同等の接続幅にて接続されている。第1外部電極120には前記第1導体層112の高さ方向一端縁が第1導体層112の幅と同等の接続幅にて接続され、第2外部電極130には前記第2導体層113の高さ方向一端縁が第2導体層113の幅と同等の接続幅にて接続されている。
前記コンデンサ本体は、(8)前記容量素子の高さ方向他面と前記第1導体層の高さ方向他端縁と前記第2導体層の高さ方向他端縁とを覆い、前記第1被覆層の高さ方向他端縁と前記第2被覆層の高さ方向他端縁とに接し、前記第3被覆層と前記第4被覆層とに接する第5被覆層を、さらに備えている、
請求項1〜3の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1実施形態》
先ず、
図1〜
図5を用いて、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの構造について説明する。この説明では、
図1の左右方向を長さ方向と言い、
図1の上下方向を幅方向と言い、
図2の上下方向を高さ方向と言うと共に、各構成要素の長さ方向、幅方向及び高さ方向それぞれに沿う寸法を長さ、幅及び高さと言う。
【0011】
この積層セラミックコンデンサは、略直方体状のコンデンサ本体110と、コンデンサ本体110の高さ方向一面に設けられた略矩形状の第1外部電極120と略矩形状の第2外部電極130とを備えていて、全体寸法が長さLと幅Wと高さHによって規定されている。ちなみに、
図1〜
図5に示した積層セラミックコンデンサの長さLと幅Wと高さHそれぞれは、例えば1000μmと500μmと500μmや、600μmと300μmと300μmである。なお、
図1〜
図5には、長さLと幅Wと高さHそれぞれが長さL>幅W=高さHである積層セラミックコンデンサを描いているが、これら長さLと幅Wと高さHの関係は長さL>幅W>高さHや、長さL>高さH>幅Wの他、幅W>長さL=高さHや、幅W>長さL>高さHや、幅W>高さH>長さLであってもよい。
【0012】
コンデンサ本体110は、容量素子111と、第1導体層112と、第2導体層113と、第1被覆層114と、第2被覆層115と、第3被覆層116と、第4被覆層117と、によって構成されている。
【0013】
容量素子111は、略直方体状を成していて、長さ方向で向き合う第1面f1及び第2面f2と、幅方向で向き合う第3面f3及び第4面f4と、高さ方向で向き合う第5面f5及び第6面f6とを有している。また、容量素子111は、誘電体層(符号省略)を介して高さ方向に交互に配された略矩形状の複数の第1内部電極層111aと略矩形状の複数の第2内部電極層111bを内包している。容量素子111の幅は、各第1内部電極層111aの幅と各第2内部電極層111bの幅と略同じである(
図6(A)を参照)。各第1内部電極層111aの幅、長さ及び厚さと各第2内部電極層111bの幅、長さ及び厚さは略同じであり、各誘電体層の厚さは略同じである。ちなみに、各第1内部電極層111aの厚さと各第2内部電極層111bの厚さは、例えば0.5〜2μmの範囲内で設定されており、各誘電体層の厚さは、例えば0.5〜2μmの範囲内で設定されている。なお、
図1〜
図5には、第1内部電極層111aと第2内部電極層111bそれぞれを10層ずつ描いているが、これらは図示の都合によるものであって、第1内部電極層111aと第2内部電極層111bの数は11層以上であってもよい。
【0014】
容量素子111の各第1内部電極層111aと各第2内部電極層111bを除く部分には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックスが使用できる。また、各第1内部電極層111aと各第2内部電極層111bには、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体が使用できる。
【0015】
第1導体層112は、略矩形状を成していて、容量素子111の第1面f1を密着状態で覆っている。第1導体層112の幅は第1面f1の幅と略同じであるが、高さは第1面f1の高さよりも僅かに高く、高い分が第1外部電極120側に突出している。第1導体層112の厚さは、コンデンサ本体110の長さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第1導体層112の厚さは、例えば第1内部電極層111aの厚さの1〜5倍の範囲内で設定されており、好ましくは0.5〜5μmの範囲内で設定されている。また、第1導体層112には、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体が使用でき、好ましくは第1内部電極層111aの主成分と同じ主成分の良導体が使用できる。この第1導体層112には、各第1内部電極層111aの長さ方向一端縁が各第1内部電極層111aの幅と同等の接続幅にて接続されている。なお、第1導体層112に対する各第1内部電極層111aの長さ方向一端縁の接続幅は理想的には各第1内部電極層111aの幅となるが、実際のものでは各第1内部電極層111aの長さ方向一端縁の幅に各第1内部電極層111aの幅の±5%程度の変動が確認できたため、ここでは敢えて「各第1内部電極層111aの幅と同じ接続幅」と表現せずに「各第1内部電極層111aの幅と同等の接続幅」と表現している。
【0016】
第2導体層113は、略矩形状を成していて、容量素子111の第2面f2を密着状態で覆っている。第2導体層113の幅は第2面f2の幅と略同じであるが、高さは第2面f2の高さよりも僅かに高く、高い分が第2外部電極130側に突出している。第2導体層113の厚さは、コンデンサ本体110の長さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第2導体層113の厚さは、例えば第2内部電極層111bの厚さの1〜5倍の範囲内で設定されており、好ましくは0.5〜5μmの範囲内で設定されている。また、第2導体層113には、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体が使用でき、好ましくは第2内部電極層111bの主成分と同じ主成分の良導体が使用できる。この第2導体層113には、各第2内部電極層111bの長さ方向他端縁が各第2内部電極層111bの幅と同等の接続幅にて接続されている。なお、第2導体層113に対する各第2内部電極層111bの長さ方向他端縁の接続幅は理想的には各第2内部電極層111bの幅となるが、実際のものでは各第2内部電極層111bの長さ方向他端縁の幅に各第2内部電極層111bの幅の±5%程度の変動が確認できたため、ここでは敢えて「各第2内部電極層111bの幅と同じ接続幅」と表現せずに「各第2内部電極層111bの幅と同等の接続幅」と表現している。
【0017】
第1被覆層114は、略矩形状を成していて、第1導体層112の外面を密着状態で覆っている。第1被覆層114の幅は第1導体層112の外面の幅と略同じであるが、高さは第1導体層112の外面の高さよりも僅かに高く、高い分が第1外部電極120の長さ方向一端縁に及ぶ支持部114aとなっている(
図5(A)を参照)。第1被覆層114の厚さは、コンデンサ本体110の長さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第1被覆層114の厚さは、例えば第1内部電極層111aと第2内部電極層111bとの間に介在する誘電体層の厚さの1〜10倍の範囲内で設定されており、好ましくは1〜10μmの範囲内で設定されている。また、第1被覆層114には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子111の第1内部電極層111aと第2内部電極層111bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0018】
第2被覆層115は、略矩形状を成していて、第2導体層113の外面を密着状態で覆っている。第2被覆層115の幅は第2導体層113の外面の幅と略同じであるが、高さは第1導体層113の外面の高さよりも僅かに高く、高い分が第2外部電極130の長さ方向他端縁に及ぶ支持部115aとなっている(
図5(B)を参照)。第2被覆層115の厚さは、コンデンサ本体110の長さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第2被覆層115の厚さは、例えば第1内部電極層111aと第2内部電極層111bとの間に介在する誘電体層の厚さの1〜10倍の範囲内で設定されており、好ましくは1〜10μmの範囲内で設定されており、より好ましくは第1被覆層114の厚さと略同じある。また、第2被覆層115には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子111の第1内部電極層111aと第2内部電極層111bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0019】
第3被覆層116は、略矩形状を成していて、容量素子111の第3面f3と、第1導体層112の幅方向一端縁と、第2導体層113の幅方向一端縁とを密着状態で覆い、第1被覆層114の幅方向一端縁と、第2被覆層115の幅方向一端縁とに接している。第3被覆層116の長さは、容量素子111の第3面f3の長さと第1導体層112の厚さと第2導体層113の厚さと第1被覆層114の厚さと第2被覆層115の厚さとの和と、略同じである。第3被覆層116の長さ方向中央部の高さは容量素子111の第3面f3の高さとなるが、長さ方向両端部の高さは容量素子111の第3面f3の高さよりも僅かに高く、大きい分が第1外部電極120の幅方向一端縁に及ぶ第1支持部116aと第2外部電極130の幅方向一端縁に及ぶ第2支持部116bとなっている(
図2及び
図3を参照)。つまり、第3被覆層116は、高さ方向一端縁の中央にU字状の切り欠き116cを有し、その両側に矩形状の第1支持部116aと矩形状の第2支持部116bを有するような形状となっている。第3被覆層116の厚さは、コンデンサ本体110の幅に関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第3被覆層116の厚さは、例えば第1被覆層114の厚さ又は第2被覆層115の厚さの1〜20倍の範囲内で設定されており、好ましくは5〜20μmの範囲内で設定されている。また、第3被覆層116には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子111の第1内部電極層111aと第2内部電極層111bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0020】
第4被覆層117は、略矩形状を成していて、容量素子111の第4面f4と、第1導体層112の幅方向他端縁と、第2導体層113の幅方向他端縁とを密着状態で覆い、第1被覆層114の幅方向他端縁と、第2被覆層115の幅方向他端縁とに接している。第4被覆層117の長さは、第3被覆層116の長さと略同じである。第4導体層117の長さ方向中央部の高さは容量素子111の第4面f4の高さとなるが、長さ方向両端部の高さは容量素子111の第4面f4の高さよりも僅かに高く、大きい分が第1外部電極120の幅方向他端縁に及ぶ第1支持部117aと第2外部電極130の幅方向他端縁に及ぶ第2支持部117bとなっている(
図3を参照)。つまり、第4被覆層117は、第3被覆層116と同様、高さ方向一端縁の中央にU字状の切り欠き116cを有し、その両側に矩形状の第1支持部116aと矩形状の第2支持部116bを有するような形状となっている。第4被覆層117の厚さは、コンデンサ本体110の幅に関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第4被覆層117の厚さは、例えば第1被覆層114の厚さ又は第2被覆層115の厚さの1〜20倍の範囲内で設定されており、好ましくは5〜20μmの範囲内で設定されている。また、第4被覆層117には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子111の第1内部電極層111aと第2内部電極層111bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0021】
第1外部電極120は、略矩形状を成していて、コンデンサ本体110の高さ方向一面に相当する容量素子111の第5面f5の第1被覆層114側に密着状態で設けられている。第1外部電極120の幅は容量素子111の第5面f5の幅と略同じであり、長さは例えば積層セラミックコンデンサの長さLの1/8〜1/3の範囲内で設定されており、厚さは例えば1〜15μmの範囲内で設定されている。また、第1外部電極120の長さ方向一端縁は第1被覆層114の支持部114aによって支えられ、幅方向一端縁は第3被覆層116の第1支持部116aによって支えられ、幅方向他端縁は第4被覆層117の第1支持部117aによって支えられている(
図2、
図3及び
図5を参照)。この第1外部電極120には、第1導体層112の高さ方向一端縁が第1導体層112の幅と同等の接続幅にて接続されている。なお、第1外部電極120に対する第1導体層112の高さ方向一端縁の接続幅は理想的には第1導体層112の幅となるが、実際のものでは第1導体層112の高さ方向一端縁の幅に第1導体層112の幅の±5%程度の変動が確認できたため、ここでは敢えて「第1導体層112の幅と同じ接続幅」と表現せずに「第1導体層112の幅と同等の接続幅」と表現している。また、
図2及び
図5には、第1外部電極120の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第1被覆層114の支持部114aと第3被覆層116の第1支持部116aと第4被覆層117の第1支持部117aとによって覆い隠されているものを示してあるが、第1外部電極120の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部114a、116a及び117aが及んでいれば、第1外部電極120の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部114a、116a及び117aによって覆い隠されていなくてもよい。即ち、第1外部電極120の厚さ方向外側部分、例えば
図5(A)に示した中間膜122及び表面膜123が露出するように、第1外部電極120の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部114a、116a及び117aによって覆われていてもよい。
【0022】
第2外部電極130は、略矩形状を成していて、コンデンサ本体110の高さ方向一面に相当する容量素子111の第5面f5の第2被覆層115側に密着状態で設けられている。第2外部電極130の幅は容量素子111の第5面f5の幅と略同じであり、長さは例えば積層セラミックコンデンサの長さLの1/8〜1/3の範囲内で設定されており、厚さは例えば1〜15μmの範囲内で設定されている。また、第2外部電極130の長さ方向他端縁は第2被覆層115の支持部115aによって支えられ、幅方向一端縁は第3被覆層116の第2支持部116bによって支えられ、幅方向他端縁は第4被覆層117の第2支持部117bによって支えられている(
図2、
図3及び
図5を参照)。この第2外部電極130には、第2導体層113の高さ方向一端縁が第2導体層113の幅と同等の接続幅にて接続されている。なお、第2外部電極130に対する第2導体層113の高さ方向一端縁の接続幅は理想的には第2導体層113の幅となるが、実際のものでは第2導体層113の高さ方向一端縁の幅に第2導体層113の幅の±5%程度の変動が確認できたため、ここでは敢えて「第2導体層113の幅と同じ接続幅」と表現せずに「第2導体層113の幅と同等の接続幅」と表現している。また、
図2及び
図5には、第2外部電極130の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第2被覆層115の支持部115aと第3被覆層116の第2支持部116bと第4被覆層117の第2支持部117bとによって覆い隠されているものを示してあるが、第2外部電極130の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部115a、116b及び117bが及んでいれば、第2外部電極130の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部115a、116b及び117bによって覆い隠されていなくてもよい。即ち、第2外部電極130の厚さ方向外側部分、例えば
図5(B)に示した中間膜132及び表面膜133が露出するように、第2外部電極130の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部115a、116b及び117bによって覆われていてもよい。
【0023】
ここで、
図5を用いて、第1外部電極120と第2外部電極130の態様について補足する。
【0024】
図5(A)に示した第1外部電極120は、容量素子111の第5面f5に密着した下地膜121と、下地膜121の外面に密着した中間膜122と、中間膜122の外面に密着した表面膜123とを有する3層構造である。また、
図5(B)に示した第2外部電極130は、容量素子111の第5面f5に密着した下地膜131と、下地膜131の外面に密着した中間膜132と、中間膜132の外面に密着した表面膜133とを有する3層構造である。なお、第1外部電極120と第2外部電極130は必ずしも3層構造である必要はなく、中間膜122及び132を除外した2層構造や、中間膜122及び132を2層以上とした多層構造や、表面膜123及び133のみとした単層構造であってもよい。
【0025】
3層構造の場合を例に挙げて説明すれば、下地膜121及び131は例えば焼き付け膜からなり、この焼き付け膜には好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体が使用できる。中間膜122及び132は例えばメッキ膜からなり、このメッキ膜には好ましくは白金、パラジウム、金、銅、ニッケル、これらの合金等を主成分とした良導体が使用できる。表面膜123及び133は例えばメッキ膜からなり、このメッキ膜には好ましくは銅、スズ、パラジウム、金、亜鉛、これらの合金等を主成分とした良導体が使用できる。
【0026】
次に、前述の積層セラミックコンデンサに適した製造方法の例を、
図6を用い、且つ、
図1〜
図5に示した符号等を適宜用いて説明する。
【0027】
製造に際しては、誘電体セラミックス粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有したセラミックスラリーと、良導体粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有した電極ペーストと、良導体粉末、有機バインダ及び有機溶剤のみを含有した導体ペ−ストを用意する。
【0028】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、第1シートを作製する。また、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、下地膜パターン群が形成された第3シートを作製する。さらに、第1シートの表面に導体ペーストを印刷して乾燥することにより、導体層パターン群が形成された第4シートを作製する。
【0029】
続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子111の高さ方向一方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第2シートから取り出した単位シート(内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子111の第1内部電極層111a及び第2内部電極層111bが存在する部分に対応する部位を形成する。続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子111の高さ方向他方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第3シートから取り出した単位シート(下地膜パターン群を含む)を下地膜パターン群が外側を向くように積み重ねて熱圧着し、最後に積み重ねられた全体を本熱圧着することにより、未焼成シートを作製する。
【0030】
続いて、未焼成シートを格子状に切断することにより、容量素子111に対応した未焼成素子CEを作製する(
図6(A)を参照)。この未焼成素子CEは、第1内部電極層111a及び第2内部電極層111bとなる複数の未焼成内部電極層IEL1及びIEL2を有する他、第1外部電極120の下地膜121及び第2外部電極130の下地膜131となる未焼成下地膜BF1及びBF2を高さ方向一面(第5面f5)に有している。
【0031】
続いて、多数の未焼成素子CEの向きを揃えてから、各々の長さ方向一面と長さ方向他面に第4シートの導体層パターン群側を押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第4シートを切断することにより、未焼成素子CEの長さ方向一面に第1導体層112及び第1被覆層114となる未焼成導体層CL1及び未焼成被覆層DL1が形成され、且つ、長さ方向他面に第2導体層113及び第2被覆層115となる未焼成導体層CL2及び未焼成被覆層DL2が形成されたものを作製する(
図6(B)を参照)。
【0032】
続いて、
図6(B)に示したものの向きを揃えてから、各々の幅方向一面と幅方向他面それぞれに第1シートを押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第1シートを切断することにより、
図6(B)に示したものの幅方向一面に第3被覆層116となる未焼成被覆層DL3が形成され、且つ、幅方向他面に第4被覆層117となる未焼成被覆層DL4が形成されたものを作製する(
図6(C)を参照)。
【0033】
続いて、
図6(C)に示したものをこれに含まれている誘電体セラミックス粉末と良導体粉末に応じた雰囲気下、並びに、温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)を行い、必要に応じて多数個一括でバレル研磨を行う。これにより、第1外部電極120の下地膜121及び第2外部電極130の下地膜131を有するコンデンサ本体110が作製される。
【0034】
続いて、第1外部電極120の下地膜121及び第2外部電極130の下地膜131を覆う中間膜122及び132をメッキ処理で形成し、中間膜122及び132を覆う表面膜123及び133をメッキ処理で形成して、第1外部電極120と第2外部電極130を作製する。
【0035】
なお、前記製法例では、第1外部電極120の下地膜121及び第2外部電極130の下地膜131をコンデンサ本体110に先に形成する方法を説明したが、下地膜121及び131を有しないコンデンサ本体110を作製してから、このコンデンサ本体110の外部電極形成箇所に前記電極ペ−ストを印刷して乾燥した後に焼き付け処理を行って下地膜121及び131を形成し、この後に中間膜122及び132と表面膜123及び133を順次形成して、第1外部電極120と第2外部電極130を作製してもよい。
【0036】
次に、前述の積層セラミックコンデンサによって得られる効果(効果e1〜効果e5)について説明する。
【0037】
(e1)コンデンサ本体110が、(1)誘電体層を介して交互に配された略矩形状の複数の第1内部電極層111aと略矩形状の複数の第2内部電極層111bとを内包する略直方体状の容量素子111と、(2)容量素子111の長さ方向一面を覆う第1導体層112と、(3)容量素子111の長さ方向他面を覆う第2導体層113と、(4)第1導体層112の外面を覆う第1被覆層114と、(5)第2導体層113の外面を覆う第2被覆層115と、(6)容量素子111の幅方向一面と第1導体層112の幅方向一端縁と第2導体層113の幅方向一端縁とを覆い、第1被覆層114の幅方向一端縁と第2被覆層115の幅方向一端縁とに接する第3被覆層116と、(7)容量素子111の幅方向他面と第1導体層112の幅方向他端縁と第2導体層113の幅方向他端縁とを覆い、第1被覆層114の幅方向他端縁と第2被覆層115の幅方向他端縁とに接する第4被覆層117と、によって構成されている。また、第1導体層112には複数の第1内部電極層111aの長さ方向一端縁それぞれが複数の第1内部電極層111aそれぞれの幅と同等の接続幅にて接続され、第2導体層113には複数の第2内部電極層111bの長さ方向他端縁それぞれが複数の第2内部電極層111bそれぞれの幅と同等の接続幅にて接続され、第1外部電極120には第1導体層112の高さ方向一端縁が第1導体層112の幅と同等の接続幅にて接続され、前記第2外部電極130には第2導体層113の高さ方向一端縁が第2導体層113の幅と同等の接続幅にて接続されている。
【0038】
即ち、コンデンサ本体110に、各第1内部電極層111aを各々の幅を活かして第1外部電極120に接続する役目を果たす第1導体層112と、各第2内部電極層111bを各々の幅を活かして第2外部電極130に接続する役目を果たす第2導体層113が設けられているため、各第1内部電極層111aの幅及び長さと各第2内部電極層111bの幅及び長さが縮小されても、第1外部電極120に対する各第1内部電極層111aの接続と第2外部電極130に対する各第2内部電極層111bの接続が不安定になることを極力回避することができる。依って、略直方体状のコンデンサ本体110の高さ方向一面に第1外部電極120と第2外部電極130が設けられた積層セラミックコンデンサにおいて小型化と大容量化の要求に応じる場合であっても、第1外部電極120に対する各第1内部電極層111aの接続と第2外部電極130に対する各第2内部電極層111bの接続のそれぞれに信頼性の高い接続を実現できる。
【0039】
また、コンデンサ本体110は、第1導体層112の外面を覆う第1被覆層114と、第2導体層113の外面を覆う第2被覆層115と、容量素子111の幅方向一面と第1導体層112の幅方向一端縁と第2導体層113の幅方向一端縁とを覆い、第1被覆層114の幅方向一端縁と第2被覆層115の幅方向一端縁とに接する第3被覆層116と、容量素子111の幅方向他面と第1導体層112の幅方向他端縁と第2導体層113の幅方向他端縁とを覆い、第1被覆層114の幅方向他端縁と第2被覆層115の幅方向他端縁とに接する第4被覆層117とを備えている。即ち、回路基板に実装するときに積層セラミックコンデンサが倒れても、第1導体層112と第2導体層113が回路基板の導体ラインや隣接する電子部品等に接触してショート等の問題を生じることを防げる。
【0040】
(e2)コンデンサ本体110の幅方向両面に位置する第3被覆層116と第4被覆層117のうち、第3被覆層116が第1外部電極120と第2外部電極130それぞれの幅方向一端縁に及ぶ第1支持部116a及び第2支持部116bを有し、第4被覆層117が第1外部電極120と第2外部電極130それぞれの幅方向他端縁に及ぶ第1支持部117a及び第2支持部117bを有している。即ち、第1外部電極120の幅方向両端縁を第1支持部116a及び117aによって支え、且つ、第2外部電極130の幅方向両端縁を第2支持部116b及び117bによって支えることができるため、第1外部電極120と第2外部電極130それぞれの安定性を向上することができる。
【0041】
(e3)コンデンサ本体110の長さ方向両面に位置する第1被覆層114と第2被覆層115のうち、第1被覆層114が第1外部電極120の長さ方向一端縁に及ぶ支持部114aを有し、第2被覆層115が第2外部電極130の長さ方向他端縁に及ぶ支持部115aを有している。即ち、第1外部電極120の長さ方向一端縁を支持部114aによって支え、且つ、第2外部電極130の長さ方向他端縁を支持部115a6b及び117bによって支えることができるため、第1外部電極120と第2外部電極130それぞれの安定性をより向上することができる。
【0042】
(e4)コンデンサ本体110の第1導体層112と第2導体層113それぞれの厚さが、複数の第1内部電極層111aと複数の第2内部電極層111bそれぞれの厚さの1〜5倍の範囲内で設定されているので、第1導体層112と第2導体層113それぞれの厚さによって積層セラミックコンデンサの長さLが増加することを極力回避することができる。
【0043】
(e5)コンデンサ本体110の第1被覆層114と第2被覆層115それぞれの厚さが、容量素子111の誘電体層の厚さの1〜10倍の範囲内で設定されているので、第1被覆層114と第2被覆層115それぞれの厚さによって積層セラミックコンデンサの長さLが増加することを極力回避することができる。加えて、コンデンサ本体110の第3被覆層116と第4被覆層117それぞれの厚さが、第1被覆層114の厚さ又は第2被覆層115の厚さの1〜20倍の範囲内で設定されているので、第3被覆層116と第4被覆層117それぞれの厚さによって積層セラミックコンデンサの幅Wが増加することも極力回避することができる。
【0044】
《第2実施形態》
先ず、
図7〜
図11を用いて、本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサの構造について説明する。この説明では、
図7の左右方向を長さ方向と言い、
図7の上下方向を幅方向と言い、
図8の上下方向を高さ方向と言うと共に、各構成要素の長さ方向、幅方向及び高さ方向それぞれに沿う寸法を長さ、幅及び高さと言う。
【0045】
図7〜
図11に示した符号210はコンデンサ本体、211は容量素子、211aは第1内部電極層、211bは第1内部電極層、212は第1導体層、213は第2導体層、214は第1被覆層、214aは第1被覆層の支持部、215は第2被覆層、215aは第2被覆層の支持部、216は第3被覆層、216aは第3被覆層の第1支持部、216bは第3被覆層の第2支持部、217は第4被覆層、217aは第4被覆層の第1支持部、217bは第4被覆層の第2支持部、218は第5被覆層、220は第1外部電極、221は第1外部電極の下地膜、222は第1外部電極の中間膜、223は第1外部電極の表面膜、230は第2外部電極、231は第2外部電極の下地膜、232は第2外部電極の中間膜、233は第2外部電極の表面膜である。
図7〜
図11に示した積層セラミックコンデンサの第5被覆層218を除く同一名称の構成は前記《第1実施形態》欄で説明したとおりであるため、以下、相違点について主に説明する。
【0046】
第5被覆層218は、略矩形状を成していて、容量素子211の第6面f6と、第1導体層212の高さ方向他端縁と、第2導体層213の高さ方向他端縁とを密着状態で覆い、第1被覆層214の高さ方向他端縁と、第2被覆層215の高さ方向他端縁とに接し、第3被覆層216の高さ方向他端縁と、第4被覆層217の高さ方向他端縁とに接している。第5被覆層218の長さは、第3被覆層216の長さと第4被覆層217の長さと略同じである。第5被覆層218の幅は、容量素子211の第6面f6の幅と第3被覆層216の厚さと第4被覆層217の厚さとの和と、略同じである。第5被覆層218の厚さは、コンデンサ本体210の高さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第5被覆層218の厚さは、例えば第1被覆層214の厚さ又は第2被覆層215の厚さの1〜20倍の範囲内で設定されており、好ましくは5〜20μmの範囲内で設定されている。また、第5被覆層218には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子211の第1内部電極層211aと第2内部電極層211bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0047】
次に、前述の積層セラミックコンデンサに適した製造方法の例を、
図12を用い、且つ、
図7〜
図11に示した符号等を適宜用いて説明する。
【0048】
製造に際しては、誘電体セラミックス粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有したセラミックスラリーと、良導体粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有した電極ペーストと、良導体粉末、有機バインダ及び有機溶剤のみを含有した導体ペ−ストを用意する。
【0049】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、第1シートを作製する。また、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、下地膜パターン群が形成された第3シートを作製する。さらに、第1シートの表面に導体ペーストを印刷して乾燥することにより、導体層パターン群が形成された第4シートを作製する。
【0050】
続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子211の高さ方向一方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第2シートから取り出した単位シート(内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子211の第1内部電極層211a及び第2内部電極層211bが存在する部分に対応する部位を形成する。続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子211の高さ方向他方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第3シートから取り出した単位シート(下地膜パターン群を含む)を下地膜パターン群が外側を向くように積み重ねて熱圧着し、最後に積み重ねられた全体を本熱圧着することにより、未焼成シートを作製する。
【0051】
続いて、未焼成シートを格子状に切断することにより、容量素子211に対応した未焼成素子CEを作製する(
図12(A)を参照)。この未焼成素子CEは、第1内部電極層211a及び第2内部電極層211bとなる複数の未焼成内部電極層IEL1及びIEL2を有する他、第1外部電極220の下地膜221及び第2外部電極230の下地膜231となる未焼成下地膜BF1及びBF2を高さ方向一面(第5面f5)に有している。
【0052】
続いて、多数の未焼成素子CEの向きを揃えてから、各々の長さ方向一面と長さ方向他面に第4シートの導体層パターン群側を押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第4シートを切断することにより、未焼成素子CEの長さ方向一面に第1導体層212及び第1被覆層214となる未焼成導体層CL1及び未焼成被覆層DL1が形成され、且つ、長さ方向他面に第2導体層213及び第2被覆層215となる未焼成導体層CL2及び未焼成被覆層DL2が形成されたものを作製する(
図12(B)を参照)。
【0053】
続いて、
図12(B)に示したものの向きを揃えてから、各々の幅方向一面と幅方向他面それぞれに第1シートを押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第1シートを切断することにより、
図12(B)に示したものの幅方向一面に第3被覆層216となる未焼成被覆層DL3が形成され、且つ、幅方向他面に第4被覆層217となる未焼成被覆層DL4が形成されたものを作製する(
図12(C)を参照)。
【0054】
続いて、
図12(C)に示したものの向きを揃えてから、各々の高さ方向他面に第1シートを押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第1シートを切断することにより、
図12(C)に示したものの高さ方向他面に第5被覆層218となる未焼成被覆層DL5が形成されたものを作製する(
図12(D)を参照)。
【0055】
続いて、
図12(D)に示したものをこれに含まれている誘電体セラミックス粉末と良導体粉末に応じた雰囲気下、並びに、温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)を行い、必要に応じて多数個一括でバレル研磨を行う。これにより、第1外部電極220の下地膜221及び第2外部電極230の下地膜231を有するコンデンサ本体210が作製される。
【0056】
続いて、第1外部電極220の下地膜221及び第2外部電極230の下地膜231を覆う中間膜222及び232をメッキ処理で形成し、中間膜222及び232を覆う表面膜223及び233をメッキ処理で形成して、第1外部電極220と第2外部電極230を作製する。
【0057】
なお、前記製法例では、第1外部電極220の下地膜221及び第2外部電極230の下地膜231をコンデンサ本体210に先に形成する方法を説明したが、下地膜221及び231を有しないコンデンサ本体210を作製してから、このコンデンサ本体210の外部電極形成箇所に前記電極ペ−ストを印刷して乾燥した後に焼き付け処理を行って下地膜221及び231を形成し、この後に中間膜222及び232と表面膜223及び233を順次形成して、第1外部電極220と第2外部電極230を作製してもよい。
【0058】
図11には、第1外部電極220と第2外部電極230として3層構造のものを示してあるが、第1実施形態と同様、第1外部電極220と第2外部電極230は必ずしも3層構造である必要はなく、中間膜222及び232を除外した2層構造や、中間膜222及び232を2層以上とした多層構造や、表面膜223及び233のみとした単層構造であってもよい。また、
図8及び
図11には、第1外部電極220の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第1被覆層214の支持部214aと第3被覆層216の第1支持部216aと第4被覆層217の第1支持部217aとによって覆い隠され、第2外部電極230の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第2被覆層215の支持部215aと第3被覆層216の第2支持部216bと第4被覆層217の第2支持部217bとによって覆い隠されているものを示してあるが、第1実施形態と同様、第1外部電極220の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部214a、216a及び217aが及んでおり、第2外部電極230の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部215a、216b及び217bが及んでいれば、第1外部電極220の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部214a、216a及び217aによって覆い隠されていなくてよく、また、第2外部電極230の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部215a、216b及び217bによって覆い隠されていなくてもよい。即ち、第1外部電極220の厚さ方向外側部分、例えば
図11(A)に示した中間膜222及び表面膜223が露出するように、第1外部電極220の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部214a、216a及び217aによって覆われていてもよく、また、第2外部電極230の厚さ方向外側部分、例えば
図11(B)に示した中間膜232及び表面膜233が露出するように、第2外部電極230の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部215a、216b及び217bによって覆われていてもよい。
【0059】
次に、前述の積層セラミックコンデンサによって得られる効果について説明する。前述の積層セラミックコンデンサによれば前記《第1実施例》欄で説明した効果e1〜効果e5と同様の効果を得ることができる他、下記効果e6を得ることができる。
【0060】
(e6)コンデンサ本体210は、容量素子211の高さ方向他面と第1導体層212の高さ方向他端縁と第2導体層213の高さ方向他端縁とを覆い、第1被覆層214の高さ方向他端縁と第2被覆層215の高さ方向他端縁とに接し、第3被覆層216と第4被覆層217とに接する第5被覆層218を備えている。即ち、回路基板に実装するときに積層セラミックコンデンサが倒れても、第1導体層212と第2導体層213が回路基板の導体ラインや隣接する電子部品等に接触してショート等の問題を生じることをより確実に防げる。
【0061】
《第3実施形態》
先ず、
図13〜
図17を用いて、本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサの構造について説明する。この説明では、
図13の左右方向を長さ方向と言い、
図13の上下方向を幅方向と言い、
図14の上下方向を高さ方向と言うと共に、各構成要素の長さ方向、幅方向及び高さ方向それぞれに沿う寸法を長さ、幅及び高さと言う。
【0062】
図13〜
図17に示した符号310はコンデンサ本体、311は容量素子、311aは第1内部電極層、311bは第1内部電極層、312は第1導体層、313は第2導体層、314は第1被覆層、314aは第1被覆層の支持部、315は第2被覆層、315aは第2被覆層の支持部、316は第3被覆層、316aは第3被覆層の第1支持部、316bは第3被覆層の第2支持部、317は第4被覆層、317aは第4被覆層の第1支持部、317bは第4被覆層の第2支持部、318は第5被覆層、320は第1外部電極、321は第1外部電極の下地膜、322は第1外部電極の中間膜、323は第1外部電極の表面膜、330は第2外部電極、331は第2外部電極の下地膜、332は第2外部電極の中間膜、333は第2外部電極の表面膜である。
図13〜
図17に示した積層セラミックコンデンサの第5被覆層318を除く同一名称の構成は前記《第1実施形態》欄で説明したとおりであるため、以下、相違点について主に説明する。
【0063】
第5被覆層318は、略矩形状を成していて、容量素子311の第6面f6と、第1導体層312の高さ方向他端縁と、第2導体層313の高さ方向他端縁とを密着状態で覆い、、第1被覆層314の高さ方向他端縁と、第2被覆層315の高さ方向他端縁とに接し、第3被覆層316の高さ方向他端縁の内側と、第4被覆層317の高さ方向他端縁の内側とに接している。第5被覆層318の長さは、第3被覆層316の長さと第4被覆層317の長さと略同じである。第5被覆層318の幅は、容量素子311の第6面f6の幅と略同じである。第3被覆層316の高さと第4誘電体層317の高さは、第5被覆層318の厚さ分だけ高くなっている。第5被覆層318の厚さは、コンデンサ本体310の高さに関与することから極力薄い方が望ましい。ちなみに、第5被覆層318の厚さは、例えば第1被覆層314の厚さ又は第2被覆層315の厚さの1〜20倍の範囲内で設定されており、好ましくは5〜20μmの範囲内で設定されている。また、第5被覆層318には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、好ましくは比誘電率が1000以上の高誘電率系誘電体セラミックス、より好ましくは容量素子311の第1内部電極層311aと第2内部電極層311bを除く部分の主成分と同じ主成分の誘電体セラミックスが使用できる。
【0064】
次に、前述の積層セラミックコンデンサに適した製造方法の例を、
図18を用い、且つ、
図13〜
図17に示した符号等を適宜用いて説明する。
【0065】
製造に際しては、誘電体セラミックス粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有したセラミックスラリーと、良導体粉末、有機バインダ、有機溶剤及び各種添加剤を含有した電極ペーストと、良導体粉末、有機バインダ及び有機溶剤のみを含有した導体ペ−ストを用意する。
【0066】
続いて、キャリアフィルムの表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥することにより、第1シートを作製する。また、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、内部電極層パターン群が形成された第2シートを作製する。さらに、第1シートの表面に電極ペーストを印刷して乾燥することにより、下地膜パターン群が形成された第3シートを作製する。さらに、第1シートの表面に導体ペーストを印刷して乾燥することにより、導体層パターン群が形成された第4シートを作製する。
【0067】
続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子311の高さ方向一方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第2シートから取り出した単位シート(内部電極層パターン群を含む)を所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子311の第1内部電極層311a及び第2内部電極層311bが存在する部分に対応する部位を形成する。続いて、第1シートから取り出した単位シートを所定枚数に達するまで積み重ねて熱圧着する作業を繰り返すことにより、容量素子311の高さ方向他方のマージン部分に対応する部位を形成する。続いて、第3シートから取り出した単位シート(下地膜パターン群を含む)を下地膜パターン群が外側を向くように積み重ねて熱圧着し、最後に積み重ねられた全体を本熱圧着することにより、未焼成シートを作製する。
【0068】
続いて、未焼成シートを格子状に切断することにより、容量素子311に対応した未焼成素子CEを作製する(
図18(A)を参照)。この未焼成素子CEは、第1内部電極層311a及び第2内部電極層311bとなる複数の未焼成内部電極層IEL1及びIEL2を有する他、第1外部電極320の下地膜321及び第2外部電極330の下地膜331となる未焼成下地膜BF1及びBF2を高さ方向一面(第5面f5)に有している。
【0069】
続いて、多数の未焼成素子CEの向きを揃えてから、各々の長さ方向一面と長さ方向他面に第4シートの導体層パターン群側を押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第4シートを切断することにより、未焼成素子CEの長さ方向一面に第1導体層312及び第1被覆層314となる未焼成導体層CL1及び未焼成被覆層DL1が形成され、且つ、長さ方向他面に第2導体層313及び第2被覆層315となる未焼成導体層CL2及び未焼成被覆層DL2が形成されたものを作製する(
図18(B)を参照)。
【0070】
続いて、
図18(B)に示したものの向きを揃えてから、各々の高さ方向他面に第1シートを押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第1シートを切断することにより、
図18(C)に示したものの高さ方向他面に第5被覆層318となる未焼成被覆層DL5が形成されたものを作製する(
図18(C)を参照)。
【0071】
続いて、
図18(C)に示したものの向きを揃えてから、各々の幅方向一面と幅方向他面それぞれに第1シートを押し付けて熱圧着し、熱圧着後に第1シートを切断することにより、
図18(C)に示したものの幅方向一面に第3被覆層316となる未焼成被覆層DL3が形成され、且つ、幅方向他面に第4被覆層317となる未焼成被覆層DL4が形成されたものを作製する(
図18(D)を参照)。
【0072】
続いて、
図18(D)に示したものをこれに含まれている誘電体セラミックス粉末と良導体粉末に応じた雰囲気下、並びに、温度プロファイルにて多数個一括で焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)を行い、必要に応じて多数個一括でバレル研磨を行う。これにより、第1外部電極320の下地膜321及び第2外部電極330の下地膜331を有するコンデンサ本体310が作製される。
【0073】
続いて、第1外部電極320の下地膜321及び第2外部電極330の下地膜331を覆う中間膜322及び332をメッキ処理で形成し、中間膜322及び332を覆う表面膜323及び333をメッキ処理で形成して、第1外部電極320と第2外部電極330を作製する。
【0074】
なお、前記製法例では、第1外部電極320の下地膜321及び第2外部電極330の下地膜331をコンデンサ本体310に先に形成する方法を説明したが、下地膜321及び331を有しないコンデンサ本体310を作製してから、このコンデンサ本体310の外部電極形成箇所に前記電極ペ−ストを印刷して乾燥した後に焼き付け処理を行って下地膜321及び331を形成し、この後に中間膜322及び332と表面膜323及び333を順次形成して、第1外部電極320と第2外部電極330を作製してもよい。
【0075】
図17には、第1外部電極320と第2外部電極330として3層構造のものを示してあるが、第1実施形態と同様、第1外部電極320と第2外部電極330は必ずしも3層構造である必要はなく、中間膜322及び332を除外した2層構造や、中間膜322及び332を2層以上とした多層構造や、表面膜323及び333のみとした単層構造であってもよい。また、
図14び
図17には、第1外部電極320の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第1被覆層314の支持部314aと第3被覆層316の第1支持部316aと第4被覆層317の第1支持部317aとによって覆い隠され、第2外部電極330の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが、第2被覆層315の支持部315aと第3被覆層316の第2支持部316bと第4被覆層317の第2支持部317bとによって覆い隠されているものを示してあるが、第1実施形態と同様、第1外部電極320の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部314a、316a及び317aが及んでおり、第2外部電極330の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれに各支持部315a、316b及び317bが及んでいれば、第1外部電極320の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部314a、316a及び317aによって覆い隠されていなくてよく、また、第2外部電極330の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部315a、316b及び317bによって覆い隠されていなくてもよい。即ち、第1外部電極320の厚さ方向外側部分、例えば
図17(A)に示した中間膜322及び表面膜323が露出するように、第1外部電極320の長さ方向一端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部314a、316a及び317aによって覆われていてもよく、また、第2外部電極330の厚さ方向外側部分、例えば
図17(B)に示した中間膜332及び表面膜333が露出するように、第2外部電極330の長さ方向他端縁、幅方向一端縁及び幅方向一端縁それぞれが各支持部315a、316b及び317bによって覆われていてもよい。
【0076】
次に、前述の積層セラミックコンデンサによって得られる効果について説明する。前述の積層セラミックコンデンサによれば前記《第1実施例》欄で説明した効果e1〜効果e5と同様の効果を得ることができる他、下記効果e7を得ることができる。
【0077】
(e7)コンデンサ本体310は、容量素子311の高さ方向他面と第1導体層312の高さ方向他端縁と第2導体層313の高さ方向他端縁とを覆い、第1被覆層314の高さ方向他端縁と第2被覆層315の高さ方向他端縁とに接し、第3被覆層316と第4被覆層317とに接する第5被覆層318を備えている。即ち、回路基板に実装するときに積層セラミックコンデンサが倒れても、第1導体層312と第2導体層313が回路基板の導体ラインや隣接する電子部品等に接触してショート等の問題を生じることをより確実に防げる。
【0078】
《変形例》
次に、先に説明した第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサと第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサと第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサに共通の変形例(変形例m1及び変形例m2)について説明する。
【0079】
(m1)
図6、
図12及び
図18に示した未焼成被覆層DL1及びDL2に、MgO等の酸化促進剤を0.1〜10at%程度含有させておけば、後の焼成工程で作製される第1導体層112、212及び312の主として第1被覆層114、214及び314との境界部分、並びに、第2導体層113、213及び313の主として第2被覆層115、215及び315との境界部分に金属酸化物を散在させて、この金属酸化物によって第1導体層112、212及び312に対する第1被覆層114、214及び314の密着性と第2導体層113、213及び313に対する第2被覆層115、215及び315の密着性を高めることができる。
【0080】
(m2)
図6、
図12及び
図18に示した未焼成導体層CL1及びCL2に、容量素子111、211及び311の第1内部電極層111a、211a及び311aと第2内部電極層111b、211b及び311bを除く部分の主成分と同じ誘電体セラミック粉末を5〜50wt%程度含有させておけば、容量素子111、211及び311に対する第1導体層112、212及び312の密着性と容量素子111、211及び311に対する第2導体層113、213及び313の密着性を高めることができる。