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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-175260(P2017-175260A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】発振回路及び発振方法
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/185 20060101AFI20170901BHJP
   H03L 7/22 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   H03L7/185
   H03L7/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-56803(P2016-56803)
(22)【出願日】2016年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】倉光 康太
(72)【発明者】
【氏名】大谷 暢
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106QQ12
5J106RR04
5J106RR06
5J106RR20
(57)【要約】
【課題】回路構成の簡易化を図ることができる発振回路及び発振方法を提供する。
【解決手段】発振回路10は、メインPLL30及びサブPLL20を備え、メインPLL30は、第1の信号の位相と第2の信号の位相との差に応じた電圧を有する電圧信号を出力するPFD32と、電圧信号の電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力するVCO34と、所定の入力信号とVCO34の出力信号とを混合し、VCO34の出力信号の周波数から所定の入力信号の周波数を減算した周波数の信号を第2の信号としてPFD32に出力するミキサ35と、を備え、サブPLL20は、入力電圧に応じた周波数の信号を所定の入力信号としてミキサ35に出力するVCO24と、VCO34の出力信号の周波数から第1の信号の周波数を減算した周波数の信号を出力させる電圧をVCO24に印加する電圧印加回路21と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の位相同期ループ回路(20、30)を備え、
前記第1の位相同期ループ回路(30)は、
第1の信号の位相と第2の信号の位相との差に応じた電圧を有する電圧信号を出力する電圧信号出力手段(32)と、
前記電圧信号の電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する第1の電圧制御発振器(34)と、
所定の入力信号と前記出力信号とを混合し、前記出力信号の周波数(fMain(V))から前記所定の入力信号の周波数(fSub(V))を減算した周波数の信号を前記第2の信号として前記電圧信号出力手段に出力する混合手段(35)と、
を備え、
前記第2の位相同期ループ回路(20)は、
入力電圧に応じた周波数の信号を前記所定の入力信号として前記混合手段に出力する第2の電圧制御発振器(24)と、
前記出力信号の周波数(fMain(V))から前記第1の信号の周波数(fRef)を減算した周波数の信号(fSub(V))を出力させる電圧を前記第2の電圧制御発振器に印加する電圧印加手段(21)と、
を備えたことを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記電圧信号の電圧と前記出力信号の周波数との関係を示す第1の電圧周波数テーブルと、前記第2の電圧制御発振器の入力電圧と出力周波数との関係を示す第2の電圧周波数テーブルとを記憶する記憶手段(12a)をさらに備え、
前記電圧印加手段は、前記第1及び前記第2の電圧周波数テーブルに基づいて前記第2の電圧制御発振器に電圧を印加するものであることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
請求項1に記載の発振回路を用いた発振方法であって、
前記電圧信号の電圧と前記出力信号の周波数との関係を示す第1の電圧周波数テーブルを取得する第1の電圧周波数テーブル取得ステップ(S12)と、
前記第2の電圧制御発振器の入力電圧と出力周波数との関係を示す第2の電圧周波数テーブルを取得する第2の電圧周波数テーブル取得ステップ(S23)と、
前記第1の電圧周波数テーブルに基づいて、設定された発振周波数に対応する前記第2の電圧制御発振器の出力周波数を求める出力周波数算出ステップ(S32)と、
前記第2の電圧周波数テーブル及び前記出力周波数算出ステップで求めた出力周波数に基づいて前記第2の電圧制御発振器の入力電圧を取得する入力電圧取得ステップ(S33)と、
前記入力電圧取得ステップで取得した前記第2の電圧制御発振器の入力電圧を前記第2の電圧制御発振器に印加する電圧印加ステップ(S34)と、
を含むことを特徴とする発振方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、信号発生装置や信号解析装置等の測定装置に使用される発振回路及び発振方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、信号発生装置や信号解析装置等の測定装置には位相同期ループ(Phase Locked Loop:PLL)回路が使用されている。PLL回路は、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)を備え、入力信号にVCOの出力信号を位相同期させる構成を有している。
【0003】
PLL回路により高周波のローカル信号を生成する構成の測定装置では、VCOの出力信号を低周波の信号に変換する手段が必要となり、その手段として例えばミキサが用いられる。従来、この種の測定装置は、一般に、複数のPLL回路がミキサを介して多段接続される構成を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図7は、特許文献1の図6に記載の従来の発振回路を簡略化して示した図である。図7に示すように、従来の発振回路100は、比較信号生成部101、メインPLL102、比較信号生成部103、基準信号生成部104、サブPLL110を備えている。
【0005】
サブPLL110は、PFD(位相周波数比較器)111、LF(ループフィルタ)112、VCO113、ミキサ114、入力電圧取得部120を備えている。入力電圧取得部120は、サブPLL110が周波数fSub(V)の信号を出力する際のVCO113の入力電圧Vを取得するものである。この入力電圧取得部120は、ADC(アナログデジタルコンバータ)121、SW(スイッチ)122及び123、分周器124を備えている。入力電圧取得部120が必要な理由は、VCO113の入力電圧Vと出力周波数fSub(V)とが非線形であるからである。
【0006】
なお、図示を省略したが、メインPLL102もサブPLL110と同様に、メインPLL102が有するVCOの入力電圧Vを取得する入力電圧取得部を備えている。
【0007】
この構成において、従来の発振回路100は、分周器124を経由する経路をSW122及び123に選択させることにより、工場出荷時に、Vtと周波数fSub(V)との関係を示すテーブルデータを記憶するようになっている。
【0008】
実使用時には、従来の発振回路100は、ミキサ114を経由する経路をSW122及び123に選択させ、予め記憶されたテーブルデータに基づいて、所望の周波数の信号をメインPLL102に出力することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−8408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の発振回路では、VCOの入力電圧を予め取得するために入力電圧取得部という専用の回路が必要であるので、回路構成が複雑になるという課題があった。
【0011】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたもので、回路構成の簡易化を図ることができる発振回路及び発振方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発振回路は、第1及び第2の位相同期ループ回路(20、30)を備え、前記第1の位相同期ループ回路(30)は、第1の信号の位相と第2の信号の位相との差に応じた電圧を有する電圧信号を出力する電圧信号出力手段(32)と、前記電圧信号の電圧に応じた周波数の信号を出力信号として出力する第1の電圧制御発振器(34)と、所定の入力信号と前記出力信号とを混合し、前記出力信号の周波数(fMain(V))から前記所定の入力信号の周波数(fSub(V))を減算した周波数の信号を前記第2の信号として前記電圧信号出力手段に出力する混合手段(35)と、を備え、前記第2の位相同期ループ回路(20)は、入力電圧に応じた周波数の信号を前記所定の入力信号として前記混合手段に出力する第2の電圧制御発振器(24)と、前記出力信号の周波数(fMain(V))から前記第1の信号の周波数(fRef)を減算した周波数(fSub(V))の信号を出力させる電圧を前記第2の電圧制御発振器に印加する電圧印加手段(21)と、を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項1に係る発振回路は、電圧印加手段が、出力信号の周波数から第1の信号の周波数を減算した周波数の信号を出力させる電圧を第2の電圧制御発振器に印加するので、従来のものとは異なり、第2の電圧制御発振器のチューニング電圧を予め取得するための専用の回路を必要としないので、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る発振回路は、前記電圧信号の電圧と前記出力信号の周波数との関係を示す第1の電圧周波数テーブルと、前記第2の電圧制御発振器の入力電圧と出力周波数との関係を示す第2の電圧周波数テーブルとを記憶する記憶手段(12a)をさらに備え、前記電圧印加手段は、前記第1及び前記第2の電圧周波数テーブルに基づいて前記第2の電圧制御発振器に電圧を印加するものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項2に係る発振回路は、電圧印加手段が、第1及び第2の電圧周波数テーブルに基づいて第2の電圧制御発振器に電圧を印加するので、従来のものとは異なり、電圧制御発振器のチューニング電圧を予め取得するための専用の回路を必要としないので、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る発振方法は、請求項1に記載の発振回路を用いた発振方法であって、前記電圧信号の電圧と前記出力信号の周波数との関係を示す第1の電圧周波数テーブルを取得する第1の電圧周波数テーブル取得ステップ(S12)と、前記第2の電圧制御発振器の入力電圧と出力周波数との関係を示す第2の電圧周波数テーブルを取得する第2の電圧周波数テーブル取得ステップ(S23)と、前記第1の電圧周波数テーブルに基づいて、設定された発振周波数に対応する前記第2の電圧制御発振器の出力周波数を求める出力周波数算出ステップ(S32)と、前記第2の電圧周波数テーブル及び前記出力周波数算出ステップで求めた出力周波数に基づいて前記第2の電圧制御発振器の入力電圧を取得する入力電圧取得ステップ(S33)と、前記入力電圧取得ステップで取得した前記第2の電圧制御発振器の入力電圧を前記第2の電圧制御発振器に印加する電圧印加ステップ(S34)と、を含む構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項3に係る発振方法は、第1及び第2の電圧周波数テーブルに基づいて第2の電圧制御発振器に電圧を印加するので、従来のものとは異なり、第2の電圧制御発振器のチューニング電圧を予め取得するための専用の回路を必要としないので、回路構成の簡易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、回路構成の簡易化を図ることができるという効果を有する発振回路及び発振方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における発振回路のブロック構成図である。
図2】本発明の一実施形態における発振回路において、メインVCOテーブル取得モードにおける動作を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態における発振回路のメインVCOテーブルの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における発振回路において、サブVCOテーブル取得モードにおける動作を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態における発振回路のサブVCOテーブルの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における発振回路において、通常モードにおける動作を説明するためのフローチャートである。
図7】従来の発振回路を簡略化して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本発明に係る発振回路の一実施形態における構成について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態における発振回路10は、操作部11、制御部12、サブPLL20、メインPLL30を備えている。
【0023】
発振回路10は、サブPLL20の後述するVCO24の入力電圧と出力周波数との関係を示すサブVCOテーブルのデータを取得するためのサブVCOテーブル取得モードを有する。また、発振回路10は、メインPLL30の後述するVCO34の入力電圧と出力周波数との関係を示すメインVCOテーブルのデータを取得するためのメインVCOテーブル取得モードを有する。さらに、発振回路10は、操作部11を介して入力された情報に基づいて所定周波数の信号を出力するための通常モードを有する。なお、メインVCOテーブルは、第1の電圧周波数テーブルの一例であり、サブVCOテーブルは、第2の電圧周波数テーブルの一例である。
【0024】
操作部11は、例えば、発振回路10の発振周波数を設定するために利用者が操作するものである。この操作部11は、例えば、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、所定の情報を表示するディスプレイ、これらを制御する制御回路やソフトウェア等で構成されている。
【0025】
制御部12は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。例えば、制御部12は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、操作部11によって設定された発振周波数に基づいて、サブPLL20及びメインPLL30を制御するようになっている。
【0026】
また、制御部12は、メインVCOテーブル及びサブVCOテーブルのデータや、これらのテーブルに関連するデータ等を記憶するテーブルメモリ12aを備えている。このテーブルメモリ12aは、記憶手段の一例である。
【0027】
また、制御部12は、後述するVCO24及びVCO34の出力周波数を取得する手段と、後述するADC41が取得したVCO34の入力電圧を取得する手段と、を備えている。
【0028】
サブPLL20は、電圧印加回路21、PLL回路22、SW23、VCO24を備えている。このサブPLL20は、第2の位相同期ループ回路の一例である。
【0029】
電圧印加回路21は、例えばDAC(デジタルアナログコンバータ)で構成され、制御部12からの制御信号に基づいて、SW23を介して所定の電圧をVCO24に印加するようになっている。この電圧印加回路21は、電圧印加手段の一例である。
【0030】
PLL回路22は、制御部12からの制御信号に基づいて、VCO24の出力信号を入力し、SW23を介して所定の電圧をVCO24に印加するようになっている。
【0031】
SW23は、制御部12からの制御信号に基づいて、電圧印加回路21又はPLL回路22とVCO24とを接続するようになっている。
【0032】
VCO24は、入力電圧(以下「V」と表す)に応じた周波数の信号をPLL回路22及びミキサ35(後述)に出力するようになっている。このVCO24の出力信号の周波数(以下「fSub(V)」と表す)は、制御部12によって取得されるようになっている。なお、VCO24は、第2の電圧制御発振器の一例である。
【0033】
メインPLL30は、比較信号生成部31、PFD32、LF33、VCO34、ミキサ35、入力電圧取得部40を備えている。このメインPLL30は、第1の位相同期ループ回路の一例である。
【0034】
比較信号生成部31は、例えばDDS(Direct Digital Synthesizer)で構成され、制御部12からの制御信号に基づいて生成した比較信号をPFD32に出力するようになっている。比較信号生成部31が生成した比較信号の周波数を以下「fRef」と表す。本実施形態では、比較信号生成部31は、周波数fRef=50MHzの比較信号を生成するものとする。
【0035】
PFD32は、比較信号生成部31の出力信号とミキサ35の出力信号とを比較して位相誤差信号(電圧信号)をLF33に出力するようになっている。このPFD32は、電圧信号出力手段の一例である。
【0036】
LF33は、所定のループ帯域幅を有し、PFD32の出力信号をループ帯域幅で通過させてVCO34に出力するようになっている。
【0037】
VCO34は、通常モードにおいて、LF33からの入力電圧に応じた周波数の信号をSW42(後述)を経由してミキサ35に出力するとともに、発振回路10の出力信号として外部に出力するようになっている。このVCO34の出力信号の周波数は、制御部12によって取得されるようになっている。なお、VCO34は、第1の電圧制御発振器の一例である。VCO34の入力電圧は、サブPLL20のVCO24の入力電圧Vtによって変化するので、VMain(V)と表す。また、VCO34の出力周波数をfMain(V)と表す。
【0038】
ミキサ35は、通常モードにおいて、サブPLL20の出力信号とVCO34の出力信号とを混合し、SW43(後述)を経由してPFD32に出力するようになっている。このミキサ35の出力周波数は、fMain(V)からfSub(V)を減算した値となり、メインPLL30のロック状態においてはfRefと一致する周波数となる。なお、ミキサ35は、混合手段の一例である。
【0039】
入力電圧取得部40は、ADC41、SW42及び43、分周器44を備えている。
【0040】
ADC41は、VCO34の入力電圧をアナログ値からデジタル値に変換するようになっている。ADC41によってデジタル値に変換された電圧値のデータは、制御部12によって取得されるようになっている。
【0041】
SW42及び43は、制御部12からの制御信号に基づいて、分周器44を経由する経路と、ミキサ35を経由する経路とを切り替えるようになっている。分周器44を経由する経路は、メインVCOテーブルのデータを取得する場合の経路である。ミキサ35を経由する経路は、発振回路10に通常の動作をさせる場合の経路である。すなわち、SW42及び43は、メインVCOテーブル取得モードと通常モードとを切り替えるようになっている。
【0042】
分周器44は、メインVCOテーブル取得モードにおいて、制御部12からの制御信号に基づいて、VCO34の出力周波数を1/N(N:2以上の整数)に分周するようになっている。
【0043】
次に、本実施形態における発振回路10のメインVCOテーブル取得モードにおける動作について図2を用いて説明する。このメインVCOテーブル取得モードの動作は、例えば工場出荷時に実行される。
【0044】
制御部12は、分周器44を経由する経路をSW42及び43に選択させるための制御信号をSW42及び43に出力し、メインVCOテーブル取得モードを設定する(ステップS11)。その結果、SW42及び43は、分周器44を経由する経路を選択する。
【0045】
制御部12は、比較信号を生成させるための制御信号を比較信号生成部31に出力するとともに、分周器44の分周比を変化させるための制御信号を分周器44に出力し、メインVCOテーブルのデータを取得する(ステップS12)。
【0046】
具体的には、制御部12は、fRef=50MHzの比較信号を比較信号生成部31に生成させて出力させ、分周器44の分周比に応じて変化するVCO34の入力電圧VMain(V)をADC41に取得させる。これと並行して、制御部12は、VCO34の入力電圧VMain(V)に対するVCO34の出力周波数fMain(V)を取得する。その結果、図3に示すようなテーブルが得られる。
【0047】
図3は、メインVCOテーブルの一例を示している。図3に示すように、入力電圧VMain(V)=V11、V12、V13、・・・にそれぞれ対応したVCO34の出力周波数fMain(V)=f11、f12、f13、・・・が得られている。
【0048】
制御部12は、メインVCOテーブルのデータを取得した後、メインVCOテーブル及びfRefのデータをテーブルメモリ12aに記憶する(ステップS13)。
【0049】
次に、本実施形態における発振回路10のサブVCOテーブル取得モードにおける動作について図4を用いて説明する。このサブVCOテーブル取得モードの動作は、例えば工場出荷時に実行される。
【0050】
制御部12は、メインVCOテーブル及びfRefのデータをテーブルメモリ12aから読み出す(ステップS21)。
【0051】
制御部12は、fRefのデータと、メインVCOテーブルに含まれるfMain(V)の各データとに基づいて、fMain(V)ごとに、VCO24の出力信号の周波数fSub(V)を[数1]により算出する(ステップS22)。
【0052】
[数1]
Sub(V)=fMain(V)−fRef
【0053】
具体的には、fRef=50MHzとしているので、図3に示された値を用いると、制御部12は、fSub(V)=f11−50MHz、f12−50MHz、f13−50MHz、・・・の各値を算出する。
【0054】
制御部12は、SW23を制御して電圧印加回路21とVCO24とを接続し、ステップS22で算出した各fSub(V)の周波数が得られるVをfSub(V)ごとに求め、サブVCOテーブルのデータを取得する(ステップS23)。
【0055】
図5は、サブVCOテーブルの一例を示している。図5に示すように、fSub(V)=f21、f22、f23、・・・に対応した入力電圧V=V21、V22、V23、・・・が得られている。
【0056】
ここで、例えば、fSub(V)=f21は、fRef=50MHzのデータと、メインVCOテーブル(図3参照)に含まれるfMain(V)=f11のデータとに基づいて、[数1]により、f11−50MHz=f21と算出した値である。
【0057】
制御部12は、サブVCOテーブルのデータを取得した後、サブVCOテーブルのデータをテーブルメモリ12aに記憶する(ステップS24)。
【0058】
制御部12は、ミキサ35を経由する経路を選択させるための制御信号をSW42及び43に出力するとともに、PLL回路22とVCO24とを接続させるための制御信号をSW23に出力し、通常モードに切り替える(ステップS25)。
【0059】
以上のように、本実施形態における発振回路10は、従来のものとは異なり、専用の回路を備えることなくサブVCOテーブルのデータを取得することができるので、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0060】
次に、本実施形態における発振回路10の通常モードにおける動作について図6を用いて説明する。この通常モードの動作は、例えば、発振回路10の工場出荷後に実行される。
【0061】
制御部12は、操作部11を介して設定された発振回路10の発振周波数、すなわちfMain(V)の情報を取得する(ステップS31)。
【0062】
制御部12は、テーブルメモリ12aに記憶されたメインVCOテーブルを参照し、fRef及びfMain(V)に基づき、設定された発振周波数に対応するfSub(V)を[数1]により算出する(ステップS32)。
【0063】
制御部12は、テーブルメモリ12aに記憶されたサブVCOテーブルを参照し、ステップS32において算出したfSub(V)に基づき、Vを取得する(ステップS33)。なお、サブVCOテーブルからVが取得できない場合には、例えば補間によりVを求める。
【0064】
制御部12は、PLL回路22の出力電圧が、ステップS33において取得したVになるよう制御信号をPLL回路22に出力すると、VCO24にはVが印加される(ステップS34)。その結果、発振回路10は、操作部11を介して設定された発振周波数を有する信号を出力することとなる。
【0065】
以上のように、本実施形態における発振回路10は、メインVCOテーブル及びサブVCOテーブルに基づいてVCO24に電圧を印加するため、従来のものとは異なり、VCO24のチューニング電圧を予め取得するための専用の回路を必要としないので、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0066】
以上説明した発振回路10は、信号発生装置や信号解析装置等の測定装置において、局部発振信号を発生する発振回路として用いることができる。この種の測定装置は、本実施形態における発振回路10を備えることにより、前述のように、回路構成の簡易化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明に係る発振回路及び発振方法は、回路構成の簡易化を図ることができるという効果を有し、信号発生装置や信号解析装置等の測定装置に使用される発振回路及び発振方法として有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 発振回路
12a テーブルメモリ(記憶手段)
20 サブPLL(第2の位相同期ループ回路)
21 電圧印加回路(電圧印加手段)
24 VCO(第2の電圧制御発振器)
30 メインPLL(第1の位相同期ループ回路)
32 PFD(電圧信号出力手段)
34 VCO(第1の電圧制御発振器)
35 ミキサ(混合手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7