(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-175591(P2017-175591A)
(43)【公開日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】無線LAN通信機器
(51)【国際特許分類】
H04W 76/02 20090101AFI20170901BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20170901BHJP
【FI】
H04W76/02
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-152511(P2016-152511)
(22)【出願日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-56727(P2016-56727)
(32)【優先日】2016年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰毅
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線LAN通信機器において、設定処理と初期化処理を一つのボタンで行えるようにする。
【解決手段】プッシュボタンスイッチ8のボタン8aが押されてから経過した時間が第1の期間Tb内にあるときにはLED7aが点灯し、この間ボタン8aを離すと設定処理、例えば無線自動設定の処理が行われる。経過時間が第2の期間Td内であるときにはLED7aが点滅し、このときボタン8aを離すと初期化処理が行われる。LED7aが消灯している状態でボタン8aを離すと、操作がキャンセルされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN通信部と、
報知部と、
スイッチと、
前記スイッチが接続され、前記無線LAN通信部及び前記報知部を制御する制御部を備え、
制御部は下記の動作を実行するよう構成される、
前記スイッチが操作されたことと、その後前記スイッチの操作が解除されたことを検出し、
前記スイッチの操作が検出されてからの経過時間をカウントし、
前記経過時間が第1の期間内にあるときに前記スイッチの操作の解除を検出した場合には設定処理を行い、
前記経過時間が、第1の期間と重複しない第2の期間内にあるときに前記スイッチの操作の解除を検出したときには初期化処理を行い、
前記経過時間が第1の期間及び第2の期間内にあることを区別できるよう、第1の期間と第2の期間とで異なる態様で報知するよう報知部を制御することを特徴とする無線LAN通信機器。
【請求項2】
請求項1記載の無線LAN通信機器において、
第1の期間と第2の期間との間に第3の期間を有し、第3の期間内で前記スイッチの操作の解除が検出された場合には、前記制御部は前記設定処理も、前記初期化処理のどちらも行わないことを特徴とする無線LAN通信機器。
【請求項3】
請求項1又は2いずれか1項に記載の無線LAN通信機器において、
第1の期間と第2の期間の内、時間的に後の期間の終了後、前記スイッチの操作の解除を検出した場合には、前記制御部は前記設定処理も、前記初期化処理のどちらも行わないことを特徴とする無線LAN通信機器。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項に記載の無線LAN通信機器において、
前記スイッチの操作が検出された後、第1の期間と第2の期間内に時間的に前の期間が始まるまでの間に第4の期間を有し、第4の期間内で前記スイッチの操作の解除を検出したときには、前記制御部は前記設定処理も、前記初期化処理のどちらも行わないことを特徴とする無線LAN通信機器。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項に記載の無線LAN通信機器において、
前記設定処理は、無線自動設定の処理であることを特徴とする無線LAN通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LAN(Local Area Network)を用いて通信を行う通信機器に関し、機器の設定と機器の初期化を一つのスイッチで操作できる無線LAN通信機器を提供する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN通信機器には、プッシュボタンスイッチが設けられているものがあり、各種設定の際にプッシュボタンスイッチを用いることができる。このような設定の一つとして、無線LANの自動設定がある。このような自動設定では、アクセスポイント、ステーションの自動設定のボタンを押すことにより、アクセスポイントとステーションとの間で、無線の自動設定が行われる。
【0003】
先行技術文献1には、アクセスポイントのボタンと放射線撮像装置のボタンを押すことにより、放射線撮像装置がアクセスポイントに接続するための設定が行われていることが開示されている。
【0004】
一方、携帯端末の機種交換した場合など、設定を初期化したい場合もある。先行技術文献2には、初期化(リセット)ボタンを備えたセットトップボックスが開示されている。セットトップボックスはアクセスポイント部を備え、リセットボタンを押されることより、設定されているSSID(Service Set IDentifier)等の接続情報が消去されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−198148号公報
【特許文献2】特開2014−078771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線LAN通信機器は屋内で用いられるだけでなく、車両等に搭載して屋外で用いられることもある。そのような場合、無線LAN通信機器のケースを防水構造とする必要がある。機器の設定を行うためのプッシュボタンスイッチも防水構造のスイッチとする必要がある。当然、初期化スイッチも防水構造のスイッチとする必要がある。
【0007】
防水構造のスイッチはコストがかかるため、一つの防水構造のスイッチで設定処理のスイッチと初期化スイッチを兼用することも考えられる。前述の先行文献1では、ボタンを一度押すと赤外線通信を開始し、ボタンを所定時間以内に2回押すと無線自動設定を起動するという、1つのボタンに2つの機能を割り当てる技術が開示されている。しかしながら、初期化は機器に設定されている情報を消去する操作であるから、設定処理を行う操作とは同列には扱えない。ユーザーがボタンを押す際にチャタリング等の誤操作は避けられず、設定処理を行うつもりでボタンを押したつもりが初期化となってしまうことも十分に起こり得る。初期化されると今までに設定された情報が失われてしまい、無線LANの設定を全て最初からやりなおさねばならない問題がある。
【0008】
この発明は上記に鑑みなされたものであり、一つのスイッチで設定処理と初期化処理とを確実に操作し分けることができる無線LAN通信機器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の無線LAN通信機器は、無線LAN通信部と、報知部と、スイッチと、前記スイッチが接続され、前記無線LAN通信部及び前記表示部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記スイッチの操作が検出されたことと、その後前記スイッチの操作の解除がされたことを検出し、前記スイッチの操作が検出されてからの経過時間をカウントし、前記経過時間が第1の期間内にあるときに前記スイッチの操作の解除を検出したときには設定処理を行い、前記経過時間が、前記第1の期間と重複しない第2の期間内にあるときに前記スイッチの操作の解除を検出したときには初期化処理を行い、経過時間が第1の期間及び第2の期間にあることを区別できるよう、第1の期間と第2の期間とで異なる態様で報知するよう報知部を制御する。
【0010】
本発明の無線LAN通信機器では、スイッチを操作してから、スイッチの操作が解除されるまでの経過時間により、設定処理を行うか、初期化処理を行うかが決まることとなる。ユーザーが、この経過時間を正確に知ること難しいため、現在第1の期間か第2の期間かがユーザーに判る態様で報知部が報知している。ユーザーは、報知部の報知の態様を確認してスイッチの操作を解除すればよい。
【0011】
また、本発明の無線LAN通信機器では、第1の期間と第2の期間との間に第3の期間を有し、第3の期間内で前記スイッチの操作の解除が検出された場合には、前記制御部は設定処理、初期化処理のどちらも行わない。すなわち、第3の期間内でスイッチの操作を解除すれば、スイッチの操作をキャンセルすることができる。
【0012】
さらに、本発明の無線LAN通信機器では、第2の期間が終了した後で、スイッチの操作が解除されたときには、その後の時間経過に関わらず、設定処理も初期化処理も行われない。例えば、何らかの物体がスイッチに当たりスイッチの操作状態が長く続いた場合に、その物体を排除したときにもスイッチの操作がキャンセルされるようになっている。
【0013】
加えて、本発明の無線LAN通信機器では、前記スイッチの操作が検出された後、前記第1の期間が始まるまでの間に第4の期間を有し、第4の期間内で前記スイッチの操作の解除が検出されたときには、前記制御部は設定処理・初期化処理のどちらも行わない。スイッチに手などが当たって一瞬スイッチが操作されたとしも、その程度の時間では、スイッチの操作はキャンセルされるよう第4の期間は定められる。
【0014】
さらに加えて、本発明の無線LAN通信機器では、前記設定処理として無線自動設定の処理を適用している。報知に従い前記スイッチを操作することで、ユーザーは無線自動処理と初期化処理を容易に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両搭載用無線LAN通信機器の構成を説明するブロック図である。
【
図2】スイッチを操作してからの時間経過と報知の態様を説明する図である。
【
図3】車両搭載用無線LAN通信機器の動作を説明するフロー図である。
【
図4】車両搭載用無線LAN通信機器の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を
図1〜
図4を参照しながら以下に説明する。この実施の形態では、屋外で主に使用される無線LAN通信機器を例に挙げて説明する。またこの実施の形態の無線LAN通信機器は設定処理として無線自動設定処理を採用している。
【0017】
無線LAN通信機器1は、無線LAN通信部2、制御部3を備えている。無線LAN通信部2はPCI(Peripheral Component Interconnect)バス12を介して制御部3に接続される。制御部3の制御に基づき、無線LAN通信部2は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11の規格に準拠したインフラストラクチャーモードのアクセスポイントとして動作する。無線LAN通信部2には、ステーションとして例えばノート型パーソナルコンピュータPCが接続するが、ノート型パーソナルコンピュータPCに代えて、スマートフォンやダブレットと通信することも可能である。なお符号2aは、無線LAN通信部2用のアンテナを示している。
【0018】
制御部3は、SOC(Sytem On Chip)から構成され、CPUコア3a、PCIインターフェース(I/F)3b、CAN(Control Area Network)I/F3c等の各種I/Fがひとつのチップの上に形成されている。CANI/F3cは、車両内の図示しないECU(Electronic Control Unit)等とCANバス11により接続され、CANバス11上のデータを受信し外部のPCに送信する、また、外部のPCからのコマンドやデータをCAN11バスに送信することができる。
【0019】
制御部3には、記憶装置として、DDRSDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)4、フラッシュメモリ5、eMMC(Embeded Multi Media Card)6が接続されている。DDRSDRAM4は、制御部3のワークエリアとして使用され、展開されたオペレーティングシステム(OS)、ドライバ、アプリケーションや、処理中のデータが記憶される。
【0020】
フラッシュメモリ5には、電源オフ状態でも保持しておきたいデータが記憶される。eMMC6には、OS、無線ドライバ、アプリケーションのプログラムが記憶されており、起動時に、制御部3はこれらのプログラムをeMMC6から読み出しDDRSDRAM4に展開する。
【0021】
制御部3には、LED表示部7、プッシュボタンスイッチ8が接続される(以下、「プッシュボタンスイッチ」を「PBSW」と略記する。LED表示部7は、複数の多色LED(Light Emitting Diode)7a,7b,7c,7dを備え、電源状態や、無線通信状態をユーザーに報知する。PBSW8は防水構造を備えた自動復帰型スイッチであり、無線自動設定処理の起動ボタンと無線LAN通信機器1の初期化ボタンとを兼用している。この実施の形態では、LED7aはPBSW8が押されてからの経過時間がユーザーに視覚的にわかるよう点灯の態様を変化させる。
【0022】
制御部3には、画像処理部9が接続されている。画像処理部9には、車両の適所に取り付けられた4台のビデオカメラ10−1、10−2、10−3、10−4が接続される。画像処理部9は、各ビデオカメラで撮影された画像を一つの画面に合成して制御部3に出力する。この合成された画像は、制御部3で圧縮された後、無線LAN通信部2からPCに送信され、PCの表示部で各ビデオカメラの撮影した画像を表示することができる。
【0023】
なお、無線LAN通信機器1は、防水構造のケース1a内に収められ、前記アンテナ2aの端子,LED表示部7、PBSW8のボタン、CANバス11の端子、カメラ接続端子、電源端子のみが外部に露出する。なお、電源は車両の図示しないバッテリーから供給され、車両のイグニッションキーがオンの間だけ電源が供給される。言い換えると、イグニッションキーがオフの場合には、無線LAN通信機器1は完全な停止状態となる。
【0024】
次に、
図2を参照しながら、PBSW8の操作とLEDの点灯について
図2を用いて説明する。
図2において、PBSW8のボタン8aが押されてからの経過時間とLED7aの表示の態様の変化を示している。なお、以下の説明では、PBSW8ボタン8aが押された状態を「オン」と呼び、PBSW8ボタン8aを押していた力が解除されボタン8aが復帰した状態を「オフ」と呼ぶこととする。
【0025】
図2では、PBSW8がオンされた時刻を0としている。PBSW8がオンされてから5秒経過するまでの期間Taでは、LED7aは消灯している。この期間Ta内でPBSW8がオフされると、無線自動設定処理も初期化処理も行われない、言わばPBSW8の操作がキャンセルされた状態となる。なお、期間Taは「第4の期間」に該当する。
【0026】
PBSW8がオンされてから、経過時間が5秒から10秒までの期間Tbでは、LED7aが点灯する。期間Tb内にPBSW8がオフされると、制御部3は無線自動設定の処理を開始する。なお、期間Tbは「第1の期間」に該当する。
【0027】
PBSW8がオンされてから、経過時間が10秒から15秒までの期間Tcでは、LED7aが消灯する。期間Tc内にPBSW8がオフされると、PBSW8の操作がキャンセルされた状態となる。なお、期間Tcは「第3の期間」に該当する。
【0028】
PBSW8がオンされてから、経過時間が15秒から20秒までの期間Tdでは、LED7aが点滅する。期間Td内にPBSW8がオフされると、制御部3は初期化処理を開始する。なお、期間Tdは「第2の期間」に該当する。期間Tdが終了した後は、経過時間に拘わらずLEDが消灯し、PBSW8がオフされると操作がキャンセルされる状態となる。
【0029】
上記動作をユーザーの目から見ると、LED7aが橙色で点灯している状態でPBSW8をオフすれば無線自動設定の処理が行われ、LED7a橙色に点滅している状態でPBSW8をオフにすれば初期化処理が行われることとなる。また、LED7aが消灯している状態でPBSW8がオフされると、PBSW8の操作がキャンセルされ、無線自動設定の処理も初期化処理も行われないこととなる。
【0030】
上記動作では、無線自動設定のための期間Tbが、初期化処理のための期間Tdより先に来ているが、初期化処理のための期間Tdの後で無線自動設定処理のための期間Tbが来るように変更しもよい。また、
図2の期間Tdが終了した後、期間Taに戻り、期間Ta、Tb、Tc、Tdを反復するようにしてもよい。
【0031】
上述の動作を
図3及び
図4のフロー図を参照しながら以下に説明する。通常動作状態ではLED7aは電源状態の表示を行っており緑色で点灯している。電源制御部3はPBSW8がオンされているかどうか判定する(ステップS1)。ステップS1の判定がNoの場合には、ステップS1の判定に戻る。すなわち、制御部3はPBSW8の状態を定期的に監視している。
【0032】
ステッテプS1の判定がYesとなると、制御部3はタイマTの計時を開始させ(ステップS2)、LED7aを消灯する(ステップS3)。次に、制御部3はPBSW8がオフされたかどうかを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定がYesの場合には、制御部3はタイマTをリセットし(ステップS5)、LED7aを緑色で点灯状態とし(ステップS6)、ステップS1の判定に戻る。ステップS4の判定がNoの場合には、タイマTで計時されている経過時間が5秒越えたかどうか判定する(ステップS7)。この判定がNoの場合には、制御部3はステップS4の判定に戻る。PBSW8がオフされる又は経過時間が5秒を越えるまでは、制御部3はステップS4、S7の判定を繰り返すこととなる。ステップS2からS7までの処理は、
図2で示す期間Taの処理に対応する。
【0033】
ステップS7の判定がYesとなると、制御部3はステップS8の処理に分岐し、LED7aを橙色で点灯する。そして、制御部3は、PBSW8がオフされたかどうか判定する(ステップS9)。ステップS9の判定がYesとなった場合には、制御部3はステップS10の処理に分岐してタイマTをリセットし、LED7aを緑色と橙色で交互に点滅する(ステップS11)。さらに、制御部3は、無線自動設定の処理を開始する(ステップS12)。
【0034】
ステップS9の判定がNoの場合には、制御部3はステップS13の判定に分岐し、タイマTが10秒を越えたかどうかを判定する。この判定がNoの場合には、制御部3はステップS9の判定に戻る。PBSW8がオフされる又は経過時間が10秒を越えるまでは、制御部3はステップS9、S13の判定を繰り返すこととなる。ステップS8〜S13の処理は、
図2の期間Tbの処理に対応する。
【0035】
ステッS13の判定がYesの場合には、制御部3はステップS14の処理に分岐しLED7aを消灯する(
図4)。制御部3はステップS15の判定に進み、PBSW8がオフされたかどうか判定する。ステップS15の判定がYesの場合には、制御部3はステップS16の処理に進みタイマTを初期化する。さらに、制御部はLED7aを緑色で点灯し(ステップ6)、ステップS1の判定に戻る。
【0036】
ステップS15の判定がNoの場合には、制御部3はステップS17の判定に進み、タイマTが15秒を越えたかどうかを判定する。ステップS17の判定がNoの場合には、制御部3はステップS15の判定に戻る。PBSW8がオフされる又は経過時間が10秒を越えるまでは、制御部3はステップS15、S17の判定を繰り返すこととなる。ステップS14〜S17の処理は、
図2の期間Tcの処理に対応する。
【0037】
ステップS17の判定がYesとなると、制御部3はステップS18の処理に進み、LDE7aを橙色で点滅させる。次のステップS19では、制御部はPBSW8がオフされたかどうかを判定する。ステップS19の判定がYesの場合には、制御部3はステップS20の処理に進み、LED7aを緑色/橙色で交互に点滅させる。さらに制御部3はステップS21の初期化処理を行い、各種設定値を初期化する。
【0038】
ステップS19の判定がNoの場合には、制御部3はステップS22の判定に進み、タイマTが20秒を越えたかどうか判定する。ステップS22の判定がNoの場合には、制御部3はステップS19の判定に戻る。PBSW8がオフされる又は経過時間が20秒を越えるまでは、制御部3はステップS19、S22の判定を繰り返すこととなる。ステップS18〜S22の処理は、
図2の期間Tdの処理に対応する。
【0039】
ステップS22の判定がYesの場合には、制御部3はステップS23の処理に分岐し、タイマTをリセットする。そして制御部3はLED7aを消灯する(ステップS24)。さらに制御部3は、PBSW8がオフされたかどうか判定する(ステップS25)。ステップS22の判定がYesであれば、制御部3はステップS6の処理を経てステップ1の判定に戻る。ステップS25の判定がNoの場合には、制御部3はステップS25の判定に戻る。すなわち、PBSW8がオフにされるまで、ステップS25の判定が反復されることとなる。
【0040】
以上の説明では、PBSW8がオンされてからの経過時間を一つのLED7aのみを用いてユーザーに報知しているが、他のLED7b、7c、7dから1〜3個のLEDを、LED7aとともに用いて、経過時間がいずれの期間にかかっているかをユーザーに報知するようにしてもよい。また、LEDの点滅周期、点灯色を変えることにより、経過時間をユーザーに報知するようにしてもよい。さらに、LEDに代えて、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等を搭載する場合には、これらのディスプレイに経過時間がいずれの期間にかかっているかをキャラクタで表示する、或いはグラフィカルに表示することが可能である。
【0041】
また、以上の説明では視覚的に報知する例を示しているが、音声によってもユーザーに報知することが可能である。
図1中、二点鎖線で示すようにブザー13を追加し、制御部3がブザー13を鳴動させることにより、ユーザーに経過時間を聴覚的に報知するようにしても良い。
図2中のBZは、期間Tbでブザーを連続的に鳴らし、期間Tdでブザー13を断続的に鳴らす例を示している。なお、視覚的な報知と聴覚的な報知を併用しても良い。
【0042】
以上の説明では、防水構造の無線LAN通信機器について説明したが、防水を必要としない屋内用の無線LAN通信機器にも本発明を適用することが可能である。
【0043】
また、以上の説明では、設定処理として無線自動設定処理を採用した例を挙げたが、通信、表示等各種設定処理に本発明は適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、設定処理と初期化処理の機能を備え、一つのスイッチで両者を操作仕分ける無線LAN通信機器に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:無線LAN通信機器
2:無線LAN通信部
2a:アンテナ
3:制御部
3a:CPUコア
3b:PCI I/F
3c:CAN I/F
4:DDRSDRAM
5:フラッシュメモリ
6:eMMC
7:LED表示部
7a、7b、7c、7d:LED
8:プッシュボタンスイッチ
8a:ボタン
9:画像処理部
10−1、10−2、10−3、10−4:ビデオカメラ
11:CANバス
12:PCIバス
13:ブザー
Ta:期間(第4の期間)
Tb:期間(第1の期間)
Tc:期間(第3の期間)
Td:期間(第2の期間)