(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-176615(P2017-176615A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】遊戯具
(51)【国際特許分類】
A63B 67/00 20060101AFI20170908BHJP
A63B 63/00 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
A63B67/00 F
A63B63/00 B
A63B63/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-70824(P2016-70824)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】512318590
【氏名又は名称】システムセーリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌夫
(57)【要約】
【課題】高齢者等が誰でも手軽に球技レクリエーションが出来る遊戯具を提供する。
【解決手段】球体とスクリーンとを備え、競技者が前記球体を前記スクリーンに投擲する遊戯具であって、前記球体は、表面に粘着テープ又は面ファスナーが装着され、前記スクリーンは、前記粘着テープ又は面ファスナーと付着可能な材料で形成され、区分けされた複数の領域を前面に有し、前記複数の領域の夫々に得点を示す符号が表示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体とスクリーンとを備え、競技者が前記球体を前記スクリーンに投擲する遊戯具であって、
前記球体は、表面に粘着テープ又は面ファスナーが装着され、
前記スクリーンは、前記粘着テープ又は面ファスナーと付着可能な材料で形成され、区分けされた複数の領域を前面に有し、前記複数の領域の夫々に得点を示す符号が表示されている、
ことを特徴とする遊戯具。
【請求項2】
前記球体は、前記表面の面積の20%に前記粘着テープ又は面ファスナーが装着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の遊戯具。
【請求項3】
前記複数の領域は、n×m(n、mは2以上の整数)の升目状に区分けされ、前記複数の領域の夫々に数字が表示されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊戯具。
【請求項4】
前記スクリーンを壁に掛け吊るす場合、前記壁と前記スクリーンとの間に所定の空隙を有するように設置するための補助部材、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の遊戯具。
【請求項5】
複数の競技者の夫々が前記球体を前記スクリーンに向けて複数回投擲し、投擲された前記球体が付着した前記領域に表示されている得点の合計点が高い方の競技者が勝者となる、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の遊戯具。
【請求項6】
同一の得点が表示されている前記領域に前記球体がx(xは2以上の整数)回付着した場合、前記合計点をx倍する、ことを特徴とする請求項5に記載の遊戯具。
【請求項7】
前記複数の領域がn×mの升目状に区分けされている場合であって、前記同一の得点が縦又は横又は斜めに一直線上の前記領域に前記球体がx回付着した場合、前記合計点を(x+1)倍する、ことを特徴とする請求項6に記載の遊戯具。
【請求項8】
前記球体が複数の領域に跨って付着した場合、平均点を得点とするか又は投擲をやり直す、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の遊戯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯具に関し、特に、競技者が球体をスクリーンに投擲して勝敗を決める遊戯具に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会は、社会福祉費の増大による財政破綻をもたらす恐れがあり、世界の国々が抱える重大問題である。高齢者弱者の健康を維持し医療費を抑えることは緊急課題である。ボーリング、ゴルフ等の球技レクリエーションを導入することも対策の1つである。
【0003】
従来、ボーリング等の球技レクレーションは、ルールが確立されていて多くの人々に親しまれている人気のあるスポーツゲームである。そのため、高齢者、身体的障害者などの肉体的弱者であってもプレイしてみたいという願望が根強くあるのが実状である。
【0004】
しかしながら、ボーリングはボーリング場に出かけて重いボールを投げなければならない。また、ゴルフに至っては更に負担が掛かって困難性を伴うために、やりたいという願望はあっても出来ない。そこで、このようなスポーツを手軽に行えるスポーツ施設が建設されている。更には、このようなスポーツ施設を改良し、施設の曲面をソリッド形状とは独立に生成することで柔軟に扱うようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−070433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のスポーツ施設では、高齢者等が誰でも手軽に球技レクリエーションが出来るというには程遠いものである、という問題点があった。
1つの側面において、本発明は、高齢者等が体だけで無く、頭も使いながら誰でも手軽に球技レクリエーションが出来る遊戯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の遊戯具は、球体とスクリーンとを備え、競技者が前記球体を前記スクリーンに投擲する遊戯具であって、前記球体は、表面に粘着テープ又は面ファスナーが装着され、前記スクリーンは、前記粘着テープ又は面ファスナーと付着可能な材料で形成され、区分けされた複数の領域を前面に有し、前記複数の領域の夫々に得点を示す符号が表示されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の遊戯具は、前記球体が、前記表面の面積の20%に前記粘着テープ又は面ファスナーが装着されていることが望ましい。
また、本発明の遊戯具は、前記複数の領域が、n×m(n、mは2以上の整数)の升目状に区分けされ、前記複数の領域の夫々に数字が表示されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明の遊戯具は、前記スクリーンを壁に掛け吊るす場合、前記壁と前記スクリーンとの間に所定の空隙を有するように設置するための補助部材を更に備えることが望ましい。
【0010】
また、本発明の遊戯具は、複数の競技者の夫々が前記球体を前記スクリーンに向けて複数回投擲し、投擲された前記球体が付着した前記領域に表示されている得点の合計点が高い方の競技者が勝者となることが望ましい。
【0011】
また、本発明の遊戯具は、同一の得点が表示されている前記領域に前記球体がx(xは2以上の整数)回付着した場合、前記合計点をx倍することが望ましい。
また、本発明の遊戯具は、前記複数の領域がn×mの升目状に区分けされている場合であって、前記同一の得点が縦又は横又は斜めに一直線上の前記領域に前記球体がx回付着した場合、前記合計点を(x+1)倍することが望ましい。
【0012】
また、本発明の遊戯具は、前記球体が複数の領域に跨って付着した場合、平均点を得点とするか又は投擲をやり直すことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
実施の形態によれば、高齢者等が体だけで無く、頭も使いながら誰でも手軽に球技レクリエーションを行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施の形態を説明するための図である。
【
図2】第1の実施の形態の球体の例を示す図である。
【
図3】第2の実施の形態の球体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態を説明するための図である。
図1において、第1の実施の形態における遊戯具は、球体10とスクリーン20を備える。
図1に示す遊戯具は、高齢者等の競技者が球体10をスクリーン20に投擲する遊戯具である。
【0016】
球体10には、その表面に粘着テープ又は面ファスナーが装着される。詳細については、
図2を用いて後述する。
スクリーン20は、球体10の表面に装着された粘着テープ又は面ファスナーと付着可能な材料で形成されている。例えば、スクリーン20は、多数の環状の起毛が密集された材料の布で形成されている。
【0017】
また、スクリーン20は、区分けされた複数の領域21を前面に有し、複数の領域21の夫々に得点を示す符号が表示されている。例えば、複数の領域21は、n×m(n、mは2以上の整数)の升目状に区分けされ、複数の領域21の夫々に数字が表示されている。
図1に示した例では、5×4の20マスの領域21に「0」乃至「9」が表示されている。
【0018】
遊戯具は、スクリーン20を壁60に掛け吊るす場合、壁60とスクリーン20との間に所定の空隙を有するように設置するための補助部材(第1の補助部材30、第2の補助部材31)を備える。
図1に示した例では、直径が5cm程度であって水道管の凍結防止等に用いる発泡スチロール製の筒状部材を、スクリーン20の上辺および下辺に装着し、補助部材として用いている。
【0019】
また、スクリーン20は、例えば、紐40を第1の補助部材30の中空部に通し、壁60に打ち付けた釘50に紐40を架けることにより、スクリーン20を壁60に掛け吊るす。このように壁60とスクリーン20との間に所定の空隙を有することにより、投擲された球体10が壁60に跳ね返されること無く、スクリーン20に付着する。
【0020】
なお、スクリーン20は、壁60に吊り下げることなく、床面等に置いて使用することも出来る。
図2は、第1の実施の形態の球体の例を示す図である。
【0021】
図2において、球体10は、例えば、ゴルフボール大であり、直径が42mm乃至80mm程度の球状である。また、球体10は、重さが約24g乃至40g程度である。通常のゴルフボールの重さが45.93g以下であるので、球体10は、通常のゴルフボールよりも大きいが軽く、密度が低い。球体10は、その表面に、粘着テープまたは面ファスナーであるテープ状材料11が直線状に装着される。例えば、球体10の表面に装着された面ファスナーは、多数のフック状の起毛が密集している。これにより、多数の環状の起毛が密集された材料の布で形成されているスクリーン20と付着することが可能になる。
【0022】
図2において、テープ状材料11は、例えば、球体10の表面の面積の20%に装着される。
図2に示した例では、テープ状材料11は、幅が約3mm、長さが約40mmであり、球体10の表面の測地線上に4本装着される。
【0023】
なお、球体10は、上述の第1の実施の形態に限らず、様々な変形が可能である。
図3は、第2の実施の形態の球体の例を示す図である。
図3において、球体10の表面には、溝部12が設けられている。溝部12は、例えば、深さが1mm以下であり、球体10の表面に測地線上に設けられる。球体10は、その溝部12に、粘着テープまたは面ファスナーであるテープ状材料11が直線状に装着される。
【0024】
測地線とは、直線の概念を曲がった空間において一般化したものである。球体10の場合、球面と平面が交わる際の共通部分である円のうち、平面が球体10の中心を通る場合にできる、いわゆる大円の一部が測地線となる。したがって、直線状であるテープ状材料11は、球体10の表面又は溝部12の測地線上に、容易に装着することが出来る。
【0025】
図2および
図3に示したように、テープ状材料11は、球体10に全体的に装着されているため、球体10をスクリーン20に投擲した場合、球体10に装着されたテープ状材料11がスクリーン20に付着し易い。
【0026】
次に、上述したような遊戯具の使用方法について説明する。
上述したような遊戯具は、複数の競技者が交互に球体10をスクリーン20に向けて投擲し、球体10が付着した領域21に表示されている数字等に基づいて勝敗を決める遊戯具である。競技者の年齢、競技経験等により、レベルの異なるルールを設けることが可能である。例えば、下記のような「ルールAクラス」「ルールBクラス」「ルールCクラス」「ルールDクラス」を設けることが出来る。
【0027】
「ルールAクラス」
スクリーン20は、5×4の20マスに升目状に区分けされた領域21を前面に有している。各領域21には、「0」乃至「9」の何れかの数字が表示されている(
図1参照)。これらの数字は得点に対応する。スクリーン20は、壁60に掛け吊るされている(
図1参照)。
【0028】
競技者は、スクリーン20が掛け吊るされた壁60から2m離れた位置から球体10をスクリーン20に向けて投擲する。投擲は複数の競技者が1回ずつ順に行う。競技者が2名であれば交互に投擲する。投擲は、例えば、3回ずつ行う。そして、球体10が付着した領域21に表示されている数字を得点とする。3回投擲した場合、合計点が競技者の得点となる。
【0029】
複数の領域21に跨って球体10が付着した場合には、平均値をとっても良いし、ノーカウントとして再度投擲しても良い。再度投擲しても複数の領域21に跨って球体10が付着した場合には、平均値をとるのが望ましい。また、球体10がスクリーン20に付着せず跳ね返ってしまったような場合には、ノーカウントとして再度投擲する。なお、領域21外のスクリーン20上に付着した場合は、0点とする。
【0030】
そして、得点の最も高い競技者が勝者となる。競技者が3名以上であれば、得点の高い順に順位を決定する。同点の場合には、より高齢の競技者が上位となる。
「ルールBクラス」
投擲する位置、投擲の順番および回数は、上記「ルールAクラス」と同様である。得点の数え方にアレンジが加えられている。
【0031】
球体10が同一の領域21または同一の数字が表示されている領域21に2回付着した場合、合計点を2倍する。3回付着した場合、合計点を3倍する。
「ルールCクラス」
投擲の順番および回数は、上記「ルールAクラス」および「ルールBクラス」と同様である。投擲する位置は、スクリーン20が掛け吊るされた壁60から2.5m離れた位置にし、上級者がより楽しめるようにする。また、得点の数え方は、上記「ルールBクラス」に更にアレンジが加えられている。
【0032】
「ルールCクラス」が適用されるスクリーン20の領域21は、例えば
図1に示すように、表示されている「7」および「8」がそれぞれ斜め方向に1列になっている。3回投擲した球体10が、斜めに並んだ3箇所の「7」(または「8」)の領域21にそれぞれ付着した場合、「ルールBクラス」のように3倍するのではなく、4倍にする。すなわち、「7」であれば、(7+7+7)×4=84得点となり、「8」であれば、(8+8+8)×4=96得点となる。なお、斜めではなく「縦」1列でも良いし、「横」1列でも良い。
「ルールDクラス」
「ルールDクラス」は、上述の「ルールAクラス」「ルールBクラス」および「ルールCクラス」のそれぞれにおいて、得点の数え方の特別ルールが加えられている。
【0033】
すなわち、「ルールAクラス」の説明において、複数の領域21に跨って球体10が付着した場合には、平均値をとっても良いし、ノーカウントとして再度投擲しても良いとした。「ルールDクラス」では、跨った領域21の得点を全て加算する。2つの領域21に跨れば2つの領域の得点を加算し、4つの領域21に跨れば4つの領域の得点を全て加算する。
【0034】
なお、複数の領域21に跨ったか否かの判定は、予め選定した競技責任者が行う。
また、上記「ルールAクラス」「ルールBクラス」「ルールCクラス」および「ルールDクラス」の組み合わせたルールにしたり、アレンジしたりすることも可能である。
【0035】
上述したような実施の形態は、老若男女を問わず、また車椅子を使用しているような身体的障害者であっても、誰でも何処でも手軽に楽しめるゲームスポーツである。
球体10を投擲するという簡単な動作と、数字を用いた単純な計算(加算および乗算)により、軽度の運動および頭の体操を行うことができる。特に、高齢者の認知症の発症予防、進行の遅延に貢献することが期待できる。
【0036】
以上、開示の実施の形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0037】
10 球体
11 テープ状材料
12 溝部
20 スクリーン
21 複数の領域
30 第1の補助部材
31 第2の補助部材
40 紐
50 釘
60 壁