(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-176868(P2017-176868A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】気腹デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2017-114016(P2017-114016)
(22)【出願日】2017年6月9日
(62)【分割の表示】特願2014-548080(P2014-548080)の分割
【原出願日】2012年12月21日
(31)【優先権主張番号】61/580,088
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/742,125
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】501221142
【氏名又は名称】アトロポス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シブレー,カーク・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ボナディオ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マクナリー,シェーン・ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腹腔鏡下手技における組織の分離および/または摘出のための人工気腹デバイスを提供する。
【解決手段】1つまたは複数の開口を備えた袋1が、体腔内に配置される。切除組織35が、しぼまされた袋の開口内に置かれる。袋の1つまたは複数の開口は、体腔の外側に引き出され、袋は送気ポート40を通じて膨張させられる。腹腔鏡視覚化を含む器具が、体腔に留まる膨張した袋内に配置される。袋内に保持された組織は、細切りにされ/粉砕され/縮小され、除去される。袋は、残りの組織/血液/流体が内部にある状態でしぼまされ除去される。除去される組織が袋内に保持され、これによりがん細胞などの潜在的に有害な物質が体腔内に放たれるのが防がれる。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を受け入れるための開口を有する膨張式袋を備えた腹腔鏡下手術に用いるための装置。
【請求項2】
前記袋を開くための保持器を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記保持器が、前記開口の周りに少なくとも部分的に延在する少なくとも1つのリング要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記リング要素が、切開および/または器具アクセスポートを通じて入るのを容易にするように柔軟である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記リング要素が、Oリングを含む、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記保持器が、リング部分を備える、請求項2または3に記載の装置。
【請求項7】
2つの別個のリング部分を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記リング部分ごとにつなぎ綱を備える、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記保持器が、挿入構成および拡張した展開構成を有する、請求項2から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記保持器が、前記展開構成に付勢される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記袋が、挿入のために折畳み可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
挿入構成において前記袋を収容するポーチを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ポーチは、切開および/またはアクセスポートを通じて少なくとも部分的に挿入可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
挿入時に前記ポーチから前記袋を送達する起動部を備える、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記起動部が、タブを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記起動部が、プランジャを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記袋に取り付けられた使用者つなぎ綱を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記袋が、首領域を備える、請求項2から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記首領域が、前記保持器に隣接している、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記袋が、ポートを備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記ポートが、出口ポートである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ポートが、入口ポートである、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記袋が、複数のポートを備える、請求項20から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ポートが、弁を備える、請求項20から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記弁が、チョーク弁またはカフ弁を備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記弁が、エラストマ材料から構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
近位つなぎ綱および遠位つなぎ綱を備える、請求項2から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記遠位つなぎ綱が、前記近位つなぎ綱に対して移動可能である、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記近位つなぎ綱は、前記遠位つなぎ綱が内部を移動可能であるループを備える、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記遠位つなぎ綱の動きを規制するロックを備える、請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記ロックが、前記近位つなぎ綱および/もしくは前記遠位つなぎ綱のそばに、または前記近位つなぎ綱および/もしくは前記遠位つなぎ綱に設けられる、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記ロックが、前記近位つなぎ綱によって係合可能である前記遠位つなぎ綱上に突出部を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記袋が取り付けられるまたは取付け可能であるアクセスポートをさらに備える、請求項1から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記アクセスポートが、創傷内部内に位置するための遠位固着要素と、創傷開口の外部に位置するための近位部材と、切開の側部を横方向に後退させる前記遠位固着要素から近位方向に延びる牽引子部材とを有する牽引子を備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記袋は、前記牽引子の前記近位部材に取付け可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記牽引子の近位側を閉じるキャップをさらに備える、請求項34または35に記載の装置。
【請求項37】
前記キャップが、器具用または外科医の手/腕用のアクセスデバイスを備える、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記アクセスデバイスが、前記牽引子の前記近位部材に取付け可能である、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
請求項1から38のいずれか一項に記載の袋、および牽引子を備えた腹腔鏡手術に用いるための装置。
【請求項40】
アクセスポートをさらに備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
請求項1から38のいずれか一項に記載の装置を備える内臓保持器。
【請求項42】
開口を通じて袋を挿入するステップと、
前記袋を膨張させるステップと、
前記袋を膨張させるステップの前または後に組織を前記袋の中に送るステップと、
前記膨張した袋内に位置する前記組織に対して手技を実行するステップと
を含む腹腔鏡下手技を行う方法。
【請求項43】
前記開口が、体腔の中への開口である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記開口が、切開によって少なくとも一部設けられる、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記開口内に牽引子を用意するステップと、後退した前記開口を通じて前記袋を挿入するステップとを含む、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記組織は、前記袋を膨張させるステップの前に前記袋の中に送られる、請求項42から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記組織を前記袋の中に送る前または後に、前記袋を前記牽引子に取り付けるステップを含む、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記膨張した袋の中に器具を通して手技を実行するステップを含む、請求項42から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記袋にアクセスポートを用意するステップと、前記アクセスポートを通じて器具および/または組織を通すステップとを含む、請求項42から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
器具および/または組織を前記アクセスポートを通じて通過させる前および/またはその後に前記アクセスポートを封止するステップを含む、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気腹デバイスに関する。本発明は、外科手技を行う方法にも関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明によれば、腹腔鏡下手技における組織の分離および/または摘出のための人工気腹デバイスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、組織を受け入れるための開口を有する膨張式袋を備えた腹腔鏡下手術に用いるための装置を提供する。
【0004】
一実施形態では、袋は、開口の周りに延在するリング要素を備える。好ましくは、リング要素は、切開および/または器具アクセスポートを通じて入るのを容易にするように柔軟である。
【0005】
ある場合には、リング要素は、Oリングを含む。
【0006】
ある場合には、装置は、袋を開くための保持器を備える。
【0007】
保持器は、開口の周りに少なくとも部分的に延在する少なくとも1つのリング要素を備えることができる。リング要素は、切開および/または器具アクセスポートを通じて入るのを容易にするように柔軟であり得る。ある場合には、リング要素は、Oリングを備える。
【0008】
一実施形態では、保持器は、リング部分を備える。
【0009】
2つの別個のリング部分が存在できる。
【0010】
一実施形態では、装置は、リング部分ごとにつなぎ綱を備える。
【0011】
一態様では、保持器は、挿入構成および拡張した展開構成を有する。保持器は、展開構成に付勢することができる。
【0012】
ある場合には、袋は、挿入のために折畳み可能である。
【0013】
本発明は、挿入構成において袋を収容するポーチを備える装置も提供する。ポーチは、開口および/または切開および/またはアクセスポートを通じて少なくとも部分的に挿入可能とすることができる。
【0014】
ある場合には、装置は、挿入時にポーチから袋を送達する起動部を備える。起動部は、タブを備えることができる。ある場合には、起動部は、プランジャを備える。
【0015】
一実施形態では、装置は、袋に取り付けられた使用者つなぎ綱を備える。
【0016】
ある場合には、袋は、首領域を備える。首領域は、保持器に隣接していることができる。
【0017】
一実施形態では、袋それ自体は、ポートを備える。ポートは、出口ポートおよび/または入口ポートを備えることができる。袋は、複数のポートを備えてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポートは、弁を備える。弁は、チョーク弁またはカフ弁を備えることができる。ある場合には、弁は、ジェルなどのエラストマ材料から構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置は、近位つなぎ綱および遠位つなぎ綱を備える。遠位つなぎ綱は、近位つなぎ綱に対して移動可能とすることができる。
【0020】
ある場合には、近位つなぎ綱は、遠位つなぎ綱が内部を移動可能であるループを備える。
【0021】
遠位つなぎ綱の動きを規制するロックがあってもよい。ある場合には、ロックが、近位つなぎ綱および/もしくは遠位つなぎ綱の近くに、または近位つなぎ綱および/もしくは遠位つなぎ綱に設けられる。ロックは、近位つなぎ綱によって係合可能である遠位つなぎ綱上に突出部を備えることができる。
【0022】
一実施形態では、装置は、袋が取り付けられるまたは取付け可能であるアクセスポートをさらに備える。アクセスポートは、創傷内部内に位置するための遠位固着要素と、創傷開口の外部に位置するための近位部材と、切開の側部を横方向に後退させる遠位固着要素から近位方向に延びる牽引子部材とを有する牽引子を備えることができる。
【0023】
袋は、牽引子の近位部材に取付け可能とすることができる。
【0024】
一実施形態では、装置は、牽引子の近位側を閉じるキャップをさらに備える。キャップは、器具用または外科医の手/腕用のアクセスデバイスを備えることができる。アクセスデバイスは、牽引子の近位部材に取付け可能とすることができる。
【0025】
本発明は、本発明の袋、および牽引子を備えた腹腔鏡手術に用いるための装置も提供する。装置は、アクセスポートをさらに備えることができる。
【0026】
本発明は、本発明の装置を備える内臓保持器も提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は、腹腔鏡下手技を行う方法を提供し、この方法は、
開口を通じて袋を挿入するステップと、
袋を膨張させるステップと、
袋を膨張させるステップの前または後に組織を袋の中に送るステップと、
膨張した袋内に位置する組織に対して手技を実行するステップと
を含む。
【0028】
一実施形態では、開口は、体腔の中への開口である。
【0029】
開口は、切開によって少なくとも一部与えることができる。
【0030】
この方法は、開口内に牽引子を用意するステップと、後退した開口を通じて袋を挿入するステップとを含むことができる。
【0031】
組織は、袋を膨張させるステップの前に袋の中に送られることができる。
【0032】
この方法は、組織を袋の中に送る前または後に、袋を牽引子に取り付けるステップを含むことができる。
【0033】
一実施形態では、この方法は、膨張した袋の中に器具を通して手技を実行するステップを含む。
【0034】
この方法は、袋にアクセスポートを用意するステップと、アクセスポートを通じて器具および/または組織を通すステップとを含むことができる。
【0035】
一実施形態では、この方法は、器具および/または組織をアクセスポートを通じて通過させる前および/またはその後にアクセスポートを封止するステップを含む。
【0036】
本発明のデバイスは、デバイスを通じて延びた少なくとも1つの器具の周りの封止を行う少なくとも1つの器具封止を備える。器具封止は、患者の身体に対して封止関係で配置されるよう構成されている。好ましくは、このデバイスは、創傷内部内に位置するための遠位固着部材を有する。好ましくは、このデバイスは、創傷開口の側部を横方向に後退させる遠位固着部材から近位方向に延びる牽引子部材も有する。好ましくは、このデバイスは、デバイスを通じて延びた第1の器具の周りの封止を行う第1の器具封止と、デバイスを通じて延びた第2の器具の周りの封止を行う第2の器具封止とを備える。2つの封止構成を用意することによって、これは、第2の器具の挿入または操作または取り外しが第1の器具の周りの封止に悪影響を及ぼさないことを確実にする。このデバイスは、デバイスを通じて延びた第3の器具の周りの封止を行う第3の器具封止を備えることができる。第1の器具封止は、第2の器具封止から離間していることができる。第1の器具封止は、第2の器具封止とは別個に形成することができる。第1の器具封止は、第2の器具封止より大きい半径方向寸法を有することができる。器具封止は、弁とすることができる。代替として、封止は、粘着性のエラストマ材料からなる。
【0037】
ある場合には、このデバイスは、創傷開口の外部に位置するための近位部材を備える。牽引子部材は、遠位固着部材と近位部材の間で少なくとも延びることができる。牽引子部材は、遠位固着部材と近位部材の間で2つの層内で延びることができる。牽引子部材の第1の端部は、近位部材に固定することができる。牽引子部材は、遠位固着部材に対して移動可能であり得る。牽引子部材の第2の端部は、近位部材に対して移動可能であり得る。牽引子部材は、近位部材から遠位固着部材へ遠位方向に延びることができ、遠位固着部材の周りでループすることができ、遠位固着部材から近位部材へ近位方向に延びることができる。近位部材は、内側部分および外側部分を備えることができる。牽引子部材は、内側部分と外側部分の間で延びることができる。
【0038】
別の実施形態では、器具封止は、近位部材の近位方向に間隔をおいて配置される。このデバイスは、近位部材を少なくとも1つの器具封止に接続するための少なくとも1つのコネクタ部材を備えることができる。コネクタ部材は、封止を維持しつつ、器具の横方向の動きをある程度助ける。コネクタ部材は、袖部を備えることができる。コネクタ部材は、横方向に柔軟な材料からなることができる。コネクタ部材は、縦方向に硬い材料からなることができる。コネクタ部材は、ゴム状の材料であってもよい。コネクタ部材は、縦方向に柔軟な材料であってもよい。
【0039】
別の場合には、器具封止は、コネクタ部材に取り付けられる。器具封止は、コネクタ部材に解除可能に取り付けることができる。器具封止は、器具封止をコネクタ部材に取り付ける取付け部を備えることができる。取付け部は、硬質材料からなることができる。器具封止は、デバイスを通じて延びた器具の周りの封止を行う封止部を備えることができ、この封止部は、取付け部の少なくとも一部の上に外側被覆される。
【0040】
本発明は、添付図面を参照して例によってのみ与えられる本発明のいくつかの実施形態の以下の説明からより明白に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図25】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図26】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図27】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図28】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図29】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図30】本発明によるデバイスが導入できる様々なやり方を示す図である。
【
図55】本発明によるさらなるデバイスの図である。
【
図75】内臓保持器として使用するための本発明によるデバイスの図である。
【
図88】多腔アクセスポートを取り除いた本発明による別のデバイスの等角図である。
【
図89】アクセスポートが使用のための位置にある
図88のデバイスの等角部分切断図である。
【
図91】アクセスポートが使用のための位置にある
図90のデバイスの別の図である。
【
図92】
図92(a)は、本発明のデバイスと共に使用するための単腔アクセスポートの等角図である。
図92(b)は、本発明のデバイスと共に使用するための単腔アクセスポートの等角図である。
【
図93】デバイスから離れた出口ポートを有する本発明の別の実施形態による気腹デバイスの等角図である。
【
図94】いくつかの出口ポートを有する
図93に類似する別のデバイスの等角図である。
【
図96】デバイスに関連して使用できる様々な封止の図である。
【
図97】デバイスに関連して使用できる様々な封止の図である。
【
図98】デバイスに関連して使用できる様々な封止の図である。
【
図99】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図100】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図101】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図102】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図103】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図104】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図105】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図106】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図107】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図108】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図109】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図110】本発明によるデバイスを使用する一方法を示す図である。
【
図114】結腸に使用する際の本発明によるデバイスの図である。
【
図115】結腸に使用する際の本発明によるデバイスの図である。
【
図116】結腸に使用する際の本発明によるデバイスの図である。
【
図117】結腸に使用する際の本発明によるデバイスの図である。
【
図118】本発明による別のデバイスの等角図である。
【
図119】本発明によるさらなるデバイスの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、腹腔鏡下手技における組織の分離および/または摘出のための人工気腹デバイスを提供する。
【0043】
このデバイスは、小さい腹腔鏡下の切開を介して腹部内から切除した組織を安全に減少および除去するために使用される。袋は、人工気腹を作り出し、標本を収容すると共に、腹膜腔内の組織および細胞の流体の散乱をなくす。このデバイスは、改善された外科手技のために人工気腹内の組織/器官の効果的で安全な分離、およびそれに続く安全な組織摘出を助ける。
【0044】
組織袋は、腹壁の切開または膣を通じて腹膜腔内に挿入される。
【0045】
ある場合には、1つまたは複数の開口を備えた袋が、腹部内に配置される。切除組織が、しぼまされた袋の開口内に置かれる。袋の1つまたは複数の開口は腹部の外側に引き出され、袋は膨張させられる。腹腔鏡視覚化を含む器具が、腹膜腔内に留まる膨張した袋内に配置される。袋内に保持された組織は、細切りにされ/粉砕され/縮小され、除去される。袋は、残りの組織/血液/流体が内部にある状態でしぼまされ除去される。大きな利点は、除去される組織が袋内に保持され、これによりがん細胞などの潜在的に有害な物質が体腔内に放たれるのが防がれることである。
【0046】
図面、初めにその
図1および
図2を参照すると、組織を受け入れるための開口2およびこの開口2の周りに延在するリング要素3を有する袋1を備えた腹腔鏡下手術に用いるための装置が示されている。この袋は膨張式である。
【0047】
図3から
図5を参照すると、
図1および
図2の袋デバイスに類似する本発明による別の袋デバイスが示されており、同じ部分には、同じ参照符号が割り当てられている。この場合には、袋は、リング3の近くの材料の量を減少させるために首領域5を有する。これにより、外部要素に袋を取り付けるのが容易になる。
【0048】
袋デバイス1は、腹腔鏡下手術中の使用について、気腹を維持しつつ膨らまされた腔内の組織に対する手技を助けるのに適している。
【0049】
袋デバイス1は、牽引子に取り付けることができる。そのような牽引子の1つは、遠位固着リング10と、袖部などの牽引子部材11と、近位リング組立体12とを備える。
【0050】
そのような牽引子の1つは、米国特許出願公開第2005−0090717(A)号に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。遠位固着リングは、使用時、創傷内部の中に位置する。この場合には、遠位固着リングは、Oリングの形態で設けられる。近位リング組立体12は、使用時、創傷開口の外部に位置する。牽引子部材11は、創傷開口の側部を横方向に後退させるために用いることができる。この場合には牽引子部材は、袖部の形態で設けられる。
【0051】
牽引子の近位端は、キャップによって閉鎖可能であり、このキャップは、この場合には器具アクセスデバイス30を備え、このデバイス30は、デバイス30を通じて延びた器具の周りの封止を行うためにいくつかの器具ポート31を有することができる。器具アクセスデバイス30は、近位リング組立体12に解除可能に取付け可能であり得る。器具ポートの少なくともいくつかは、横方向に柔軟で縦方向に硬い茎部32を備えることができる。
【0052】
図6は、器具アクセスポートを通じてカメラ52によって与えられる視野の下で導入される器具51を示す。
【0053】
図7は、その保持構造から切り離された子宮35などの器官または組織を示す。
【0054】
図8は、手技の開始時にまたは必要に応じておよび必要なときに腹腔に挿入される袋デバイスを示す。袋は、切開などの小さい開口を通じての挿入をしやすくするために小さくぺちゃんこにされた状態で挿入される。袋は、アクセスキャップ30を取り除く必要なく弁を通じて導入することもできる。そのような構成の1つは、
図10に示される。
【0055】
袋が挿入されると、この袋は広げられる(
図9)。次いで、
図11に示されるように、器官が、袋に挿入されるように容易に操作される。Oリング3の剛性が、袋を開いたままに保って器官の挿入を助ける。
【0056】
図12は、袋内に位置する器官、および開口に向かっての袋の操作を助けるために把持されるOリング3を示す。Oリング3は、開口を通じて引っ張り出され(
図13)、袋が、近位リング組立体に取り付けられ、キャップが、近位組立体に取り付けられる(
図14)。
図15は、器官が袋内に囲まれた状態で所定の位置にあるデバイスを示す。
【0057】
次いで、袋は、送気ポート40を通じて膨張させられる。袋の膨張は、袋の外側の材料に後退力を加え、それによって追加の空間を作り出すという追加の利益を有する(
図16
)。
【0058】
図17は、膨張した袋内で作業を受ける器官を示す。この場合には、器官は、細切りにされる。材料は、袋内で全て安全に保持され、多数の問題を引き起こし得る腔内への放出が行われない。
【0059】
器官が細切りにされたとき、袋は、元の開口を通じて容易に取り外される。全ての廃棄物、血液、組織などが、袋内で安全に取り除かれ封止される。
【0060】
図19は、標準的なむき出しの切開を通じて挿入される袋デバイスを示す。標本が袋に挿入されてしまうと(
図20)、リング3が切開を通じて後ろに引き出され(
図21)、套管針60が挿入されてガスシールを作り出す(
図22)。套管針を通じて袋デバイスを直接挿入することも可能であり得る。
【0061】
全ての場合において、主ポートに加えて使用される1つまたは複数のアクセス套管針が存在し得る。したがって、本発明は、2つ以上の切開腹腔鏡検査を伴う手技を含む。
【0062】
例えば、
図23および
図24は、追加の套管針70が挿入される構成の1つを示す。場合によっては、追加の套管針70が、封止を維持しつつ袋を通じて延在されてもよい。
【0063】
好ましいある深さを有する袋が示されている。しかし、平たい材料が、その場でホルダを形成するために使用でき、材料の縁部は、例えばアクセスデバイスによって切開を通じて引っ張り出され、外側で封止される。
【0064】
本発明は、大きい袋を腹腔に挿入して袋の中に標本を挿入することを可能にする方法を提供する。次いで、この袋は封止および膨張され、手技が袋内で実行される。
【0065】
図25から
図30は、袋79が腹部に導入できる様々なやり方を示す。
【0066】
図25では、このデバイスは、切開80を通じて直接挿入することができる。
【0067】
図26を参照すると、このデバイスは、套管針81を通じて挿入されてもよい。
【0068】
図27では、デバイスは、ベース牽引子82を通じて挿入されてもよい。
【0069】
図28を参照すると、デバイスは、低外形ポート83を通じて挿入されてもよい。
【0070】
図29に示されるように、このデバイスは、マルチポートデバイス84を通じて挿入されてもよい。このマルチポートデバイスは、例えば、米国特許第8,187,178号または米国特許出願公開第20110071389(A)号に記載されたタイプのものとすることができ、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
図30を参照すると、このデバイスは、マルチポートデバイスのベース85を通じて挿入されてもよい。
【0072】
図31に示されるように、袋79が挿入されると、標本が内側に置かれる。
【0073】
図32、袋79の唇部が、開口を通じて引っ張り出される。
【0074】
図33、袋79は、套管針60の再挿入によって封止され、キャップに取って代わり、
またはモルセレータ78を挿入する。必要ならば、追加の封止が、袋79の首に適用されてもよい。
【0075】
図34に示されるように、袋が膨張させられると、追加の套管針が通常通り腹部に挿入され、袋79を通じて突き通すことができる。
図34も、套管針60を通じて挿入されたモルセレータ78を示す。
【0076】
図35は、套管針を必要とすることなく挿入されたモルセレータ78を示す。封止リング77は、気体を食い止めるために必要ならばモルセレータ78のシャフトの周りに適用することができる。
【0077】
図36から
図45を参照すると、標本の挿入を可能にするために自動的に開くことができる大きい袋100を腹腔に挿入する方法が示されている。袋100は、折畳み式であり上部開口105を有し、上部開口105は、つなぎ綱要素104、103をそれぞれ取り付けた半円リング部分101、102をこの場合には備える保持要素によって開いた構成に付勢することができる。ポーチ110は、折畳んだ/納められた構成で袋100を格納するために使用される。ポーチ110は、把持タブ111および引っ張り糸115を有する。
【0078】
図36は、自動開放袋デバイスの主構成要素を示した。
【0079】
図37は、ポーチ110の内側の折畳み式袋100を示す。
図38では、ポーチ110は、把持タブ111の助けを借りて腹腔に挿入されている。ポーチが内側にあるとき、遠位引きつなぎ綱104は前方に引っ張られ、袋100が解除される。後方引き糸115が、解除を助けるのとは反対方向に引っ張られる。
【0080】
図40を参照すると、袋100の遠位端が前方に引っ張られるとき、袋100の後部は、それが接続用つなぎ綱15でポーチ110に取り付けられるのと反対方向に引っ張られることに留意されたい。この作用によって、標本の挿入を容易にするのに十分に袋の口を開く。
【0081】
図41は、袋開口105の上部に置かれた標本を示す。
【0082】
図42を参照すると、遠位引きつなぎ綱104を標本の上で後ろに引くことによって、袋100は広がり始め、標本は袋の内側のより深くに移動する。
図43を参照すると、袋開口の前後の保持要素101、102が外向きに引っ張られるとき、標本は、袋のさらに中に移動する。
【0083】
図44は、広げられた袋の縁部、および過剰な袋の材料が片付けられる切開を示す。
【0084】
図45を参照すると、開口は、開口を通じてのキャップの取付けによって、套管針の挿入によって、またはモルセレータの挿入によって再封止される。
【0085】
図46から
図54を参照すると、本発明による別のデバイスが示されている。このデバイスは、
図36から
図45のデバイスに類似しており、同じ部分は、同じ参照符号が割り当てられている。この場合には、袋120は、送達のためにカートリッジ121内に格納され、腹腔の中への挿入時に袋120がカートリッジから出るときに自動的に開く。この場合、リング部分102は、カートリッジ121に取り付けられたままである。つなぎ綱125は、カートリッジ121の遠位端とリング要素102との間に延びる。リング要素101は、袋120をカートリッジ121から引っ張るために器具127によって把持さ
れているつなぎ綱要素126を有する。
【0086】
図46から
図54は、アクセスポート/套管針130上の弁に挿入できるカートリッジ121に格納された袋120を示す。カートリッジ121は、手技中、所定の位置のままである。
【0087】
図46を参照すると、装填されたカートリッジ121が、ポート130上の弁を通じて配置される。
図47は、遠位引きつなぎ綱126が器具127で容易に把持されるように位置している遠位引きつなぎ綱126を示す。
図48では、器具127は挿入され、引っ張りつなぎ綱126が把持される。
【0088】
図49を参照すると、把持具127が前方に押されるとき、袋120は、カートリッジ121から解除される。
図50に示されるように、袋がかなり十分に中に入ると、袋120の後ろ側とカートリッジ121を接続するつなぎ綱125が袋を広げ始める。
【0089】
図51を参照すると、袋120の口が十分に開いているときに、標本を内側に置くことができる。
図52に示されるように、遠位引きつなぎ綱126が引き戻されるとき、これによって袋を広げさせると共に、標本を袋の中により深くに移動させる。
【0090】
図53を参照すると、次いで、キャップ/套管針130が取り外され、袋120の縁部が切開を通じて引っ張り出されると共に、牽引子135に取り付けられる。
図54は、再接続されたキャップ、套管針、またはモルセレータを示す。次いで、袋120は、膨張させられる。
【0091】
図55から
図63を参照すると、単一のポート142を通じて挿入するための手動で開かれる袋141を備えた取り外し可能なカートリッジ140が示されている。これらの図は、腹腔に挿入されたときに使用者によって手動で開かれる大きい袋141を挿入する方法を示す。
図55から
図63は、アクセスポート/套管針上の弁142に差し込むカートリッジ140に格納された袋141を示す。この袋は、プランジャ145を用いてカートリッジ140から排出され、カートリッジ140が取り除かれる。
【0092】
図55を参照すると、袋141が、カートリッジ140に装填され、次いでカートリッジ140は、ポート/套管針上の弁142を通じて挿入される。カートリッジ140がその所定の位置にあるとき、
図56に示されるように、プランジャ145は、カートリッジ140の近位端を通じて挿入される。
図57に示されるようにプランジャ145を押し下げることにより、袋141を腹腔の中に排出させる。
【0093】
図58を参照すると、袋141が排出されたとき、起動つなぎ綱147を所定の位置に残したまま、カートリッジ140は取り除くことができる。器具148が、
図59に示されるように挿入され、この器具を使用して、袋141上の前バンド101に取り付けられている遠位引きつなぎ綱149を把持する。
【0094】
図60を参照すると、次いで、標本は、袋141の開いた口の中に持ち上げられる。外科医は、起動つなぎ綱147を用いて袋141の口を調整することができる。
図61に示されるように、袋141の前後のリング要素101、102の両方が把持されるとき、袋141は、切開に向かって引っ張られ、標本を袋141の中により深く移動させることができる。
【0095】
図62は、取り除かれた弁/套管針、および切開を通じて引っ張り出されている袋の縁部を示す。
図63では、袋141の縁部は広げられ、弁/套管針は袋141を封止するた
めに置き直されている。次いで、袋141は膨張させられ、手技が内部で実行される。
【0096】
図64から
図74を参照すると、手動で開かれる袋151を有する取り外し可能なカートリッジ150(腹腔鏡)が示されている。これらの図は、腹腔に挿入されたときに使用者によって手動で開くことができる大きい袋151を挿入する方法を示す。
【0097】
図64を参照すると、装填されたカートリッジ150が、予め作製された切開を通じて挿入される。カートリッジ150が所定の位置にあるとき、
図65に示されるように、プランジャ152は挿入される。
図66および
図67に示されるように、プランジャ152はずっと押し下げられ、袋151が排出される。
【0098】
図68を参照すると、器具155が、套管針/アクセスポート156を通じて挿入され、袋上の前バンドに取り付けられる遠位引きつなぎ綱157を把持するために使用される。遠位つなぎ綱が保持されると、起動つなぎ綱の引っ張りにより、袋の口を開き、余分な材料を広げさせる。ここで、
図69に示されるように、標本は、袋の開いた口の中に持ち上げることができる。外科医は、起動つなぎ綱158を用いて袋の口をある程度まで調整することができる。
【0099】
図70を参照すると、袋151の後端が把持された状態で、袋は、切開に向かって引っ張ることができ、標本を袋151の中により深く移動させる。
図71に示されるように、弁/套管針は取り除かれ、袋の縁部が切開を通じて引っ張り出される。
図72に示されるように、袋の縁部は広げられ、モルセレータが袋を封止するために再挿入される。次いで、袋は膨張させられ、手技が内部で実行される。
【0100】
図73および
図74に示されるように、袋が膨張させられるとき、套管針159は、追加の器具160のアクセスを可能にするために突き通すことができる。
【0101】
図75から
図87を参照すると、上記のような袋170を内臓保持器として使用することが示されている。袋170は、まず挿入され、必要とされるところに配置される(
図75)。袋170が膨張させられるとき、周囲の構造および器官は、
図76に示されるように後退させられる。
【0102】
図77および
図78に示されるように、袋170を液体で満たすまたは部分的に満たすことが有益であり得る。これらの利益には、以下のものが含まれ得る。1)標本は袋の上部へ浮き、したがってベースにおける袋の損傷の危険は、減少させることができる。2)液体は、袋内で増大する煙を減少させることができる。3)血液は、希釈され、したがって可視性の向上を可能にすることができる。
【0103】
図79を参照すると、袋170が所定の位置にあり、首が切開を通じて引っ張られたとき、切開内にしばしば大量の余分な材料が存在する。余分な材料を切開から遠ざけておくために、
図80に示されるように、グロメット175が、袋/切開を通じて挿入されてもよい。これは、袋に損傷を与えることを防ぐのを助けると共に、可視性および気体の流れを助ける。グロメット175が所定の位置にある場合、
図81に示されるように、器具を容易に挿入することができる。
【0104】
グロメット175は、マルチポートまたは単一のポートのアクセスデバイスと共に使用することができる(
図82)。
【0105】
場合によっては、グロメット175は、組み込まれた吸気/脱気ライン176を有する(
図83)。
【0106】
図84に示されるように、グロメットは、それが様々な切開の寸法に合うことを可能にする一連の細長い切り口177を含むことができる。
【0107】
グロメットは、
図85に示されるように、弁システム178を含むことができる。
【0108】
器具ロック機構179が、含まれることもできる(
図86)。
【0109】
場合によっては、
図87に示されるように、グロメットは、通気/吸気を助けるために一連の管腔180を有することができる。
【0110】
図88および
図89を参照すると、本発明による袋デバイス200が示されている。この場合には、袋200が腹部などの体腔内で膨張した構成で示されている。組織試料201は、袋内に収容される。上記のように、切開は腹部202に作製され、切開は牽引子203を用いて後退させられる。この場合には、牽引子は、外側近位リング204を有し、多腔アクセスポート205は、リング204に解放可能に取り付けられる。袋200は、後退した切開を通じて延び、保持器リング206で末端をなす。
【0111】
図90および
図91は、
図88および
図89に示されたものに類似する袋デバイスを示すが、この場合には、単一の器具管腔アクセスポートは、牽引子組立体の近位部分100に取付け可能である。アクセスポート211は、牽引子を通じて延びるカニューレ部を有することができ、または短い近位脚を備えたアクセスポート212であってもよい。
【0112】
袋デバイスは、袋にアクセスする器具の通過を容易にしおよび/または袋の中への組織試料の通過を容易にするアクセスポートをそれ自体が有することができる。
【0113】
図93を参照すると、袋は、単一のアクセスポート220を有する。しかし、
図94に示されるように、複数のそのようなアクセスポートがあってもよい。
図95には、アクセスポート220を通じての組織試料225の通過が示されている。アクセスポート220は、例えばチョーク弁、例えば
図96に示されるような引きひも226、
図97に示されるようなカフ弁227、または
図98に示されるようなエラストマ弁228などの任意の適切な弁を備えることができる。弁228は、任意の適切なプラスチック、ゴム、またはゲル材料とすることができる。
【0114】
図99から
図110を参照すると、本発明の袋デバイスの使用を伴う方法における様々なステップが示されている。示された例では、デバイスは、上記のタイプのものである。この方法は、袋デバイス250、牽引子251、外部アクセスポートシステム252の使用を伴い、身体における、この特定の場合には腹部255における開口254を通じて標本または器官などの組織253にアクセスするために使用される。袋デバイスは、それがカートリッジ260内に後退した状態で格納される送達構成を有する。プランジャ261は、後退した袋デバイスをカートリッジ260から送達するために使用される。袋デバイス250は、保持器リング265によって開いた構成に付勢される開口を有する。リング265は、上記のように形状記憶材料製とすることができる。この場合にはリングまたはループ267の形態である近位つなぎ綱が、リング265の片側に与えられ、遠位つなぎ綱268は、近位つなぎ綱267とはほぼ反対側のリング265の側から延びる。
【0115】
図99では、袋デバイスは、カートリッジまたはポーチ260における送達構成で配置される。この場合には、アクセスポートデバイス252は、その場で牽引子251の上部にあり、カートリッジ260は、アクセスポートの一管腔を通じて挿入される(
図100)。プランジャ261は、カートリッジ260から袋デバイス250を押すために使用さ
れる(
図101)。この特定の場合には、袋デバイスは、送達時に使用者につなぎ綱でつながれていない。腹部などの体腔の中への送達時、牽引子リングは、それが袋開口を広げるその通常の拡張した構成に自由に移ることができる(
図102)。袋は、送達構成において折畳まれる。様々な器具270を用いて、臨床医は、組織標本、器官などを操作し、次いで袋の開いた口を通じて組織標本、器官などを袋250に送る(
図103、
図104)。
図15および
図106は、組織を収容する袋を取り出す特定のやり方の1つを示す。把持具タイプの器具275は、近位つなぎ綱ループ267を介して導かれ、遠位つなぎ綱268を把持するために使用される(
図105)。遠位つなぎ綱268は、近位つなぎ綱ループ267を介して引っ張られ、これによって臨床医が、それが本体開口に向かって上に動かされるときに袋に対してのコントロールを有することを確実にする(
図106)。保持リング265が牽引子251に係合するとき、保持リング265は後退し、それが本体開口を通じて引っ張り上げられることを可能にする(
図107)。アクセスポート252は取り外され、保持リング265は、再び自由に拡張することができる(
図108)。
【0116】
アクセスポート252は再取り付けされ、袋は膨張させられて術野を増大させる。次いで、組織試料が、何ら潜在的に有害な物質が体腔内に放たれる危険なしに、容易に作業を受ける続けることができる(
図109、
図110)。
【0117】
場合によっては、いくつかの方向の一方に対してもう一方のつなぎ綱の動きを防ぐロックの特徴があり得る。そのようなロックの特徴の1つは、
図111から
図113に示されている。遠位つなぎ綱は、一方向のステップ特徴280を有し、一方向のステップ特徴280によって、遠位つなぎ綱が近位ループつなぎ綱を通過することが可能になるが、近位つなぎ綱が一方向のステップ特徴280を通過してしまうと、
図113に示されるように逆の動きが妨げられる。これは、リング265が引かれているときに袋の閉鎖を助けるために、保持リング265の動きに対してのさらにより大きいコントロールを確実にする。
【0118】
上述のように、本発明のデバイスは、任意の適切な体腔の中で使用することができる。そのような使用の1つは、結腸内であり、この使用のための一実施形態は、
図114から
図117に示されている。このデバイスは、上記のように挿入することができる。所定の位置で膨張させられると、臨床医は、腫瘍などの任意の異常な特徴について直腸の壁を検査することができる。あるそのような腫瘍280が、
図115に示されている。この場合には、腫瘍280が特定されるとき、腫瘍280の一部または全部は、直腸の残りとその係合によって所定の位置のままである袋の壁に穴を切断することによってアクセスすることができる。様々な器具を用いて、腫瘍280の少なくとも一部は、切除され、袋を通じて取り除くことができる。記載された他の実施形態にあるように、大きな利点は、取り除かれる組織が袋内に保持され、それによってがん細胞などの潜在的に有害な物質が体腔内に放たれるのを防ぐことである。
【0119】
図118を参照すると、本発明の別の袋デバイス400が示されている。この袋デバイスは、保持リング402と袋の本体の間に首領域401を有する。保持リング402が袋の直径より小さい直径であるので、それは、アクセスポートを通じてより容易に挿入される。
【0120】
図119は、別の袋デバイス410を示すと共に、袋の本体がどのように後退した送達構成で折畳むことができるかを示す。
【0121】
本発明の様々な特徴が、説明および図示されている。一実施形態との関連で説明されたこれらの特徴の少なくとも一部は、特に記載された実施形態においてのみ使用されるものではあり得ず、他の適切な実施形態においても使用されるものであり得ることが理解されよう。
【0122】
本発明は、添付図面を参照して上記の実施形態に限定されず、これは構成および詳細において変更がなされてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2017年6月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体内へ至る開口と、前記開口の周りに少なくとも部分的に延在する保持器リング(3、101、102、265、402)とを有する袋(1、79、100)を備え、前記保持器リング(3、101、102、265、402)が、挿入構成および拡張した展開構成を有し、前記保持器リング(3、101、102、265、402)が、前記展開構成に付勢され、前記袋が、組織の分離および/または摘出のための人工気腹を画定するように、折り畳まれた構成から拡張した展開構成に膨張可能であり、前記袋は弁を有するポート(220)を備える膨張式人工気腹デバイス。
【請求項2】
前記保持器リング(402)が、前記拡張した展開構成において、前記拡張した展開構成における前記袋の前記本体より小さい直径である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記保持器リング(3、101、102、265、402)が、切開および/または器具アクセスポートを通じて入るのを容易にするように柔軟である、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記保持器リング(3、402)が、0リングである、請求項1から3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記保持器リング(3、101、102、265、402)が、形状記憶材料から構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記保持器リング(3、101、102、265、402)が、リング部分(101、102)を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
2つの別個の半円リング部分(101、102)を有する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記半円リング部分(101、102)ごとにつなぎ綱(103、104)を備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記袋が、挿入のために折畳み可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
挿入構成において前記袋を収容するポーチ(110)を備え、前記ポーチが、切開および/またはアクセスポートを通じて少なくとも部分的に挿入可能であり、前記装置が、挿入時に前記ポーチ(110)から前記袋を送達する起動部(111)を備え、前記起動部が、タブ(111)またはプランジャを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記袋に取り付けられた使用者つなぎ綱(115)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ポート(220)が、出口ポートおよび/または入口ポートである、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記袋が、複数のポート(220)を有する請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記弁が、チョーク弁またはカフ弁である、請求項1から13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記弁が、エラストマ材料から構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
近位つなぎ綱(267)および遠位つなぎ綱(268)を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記遠位つなぎ綱が、前記近位つなぎ綱に対して移動可能である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記近位つなぎ綱(267)が、前記遠位つなぎ綱(268)が内部を移動可能であるループを備える、請求項16または17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記装置が、前記遠位つなぎ綱の動きを規制するロックを備え、前記ロックが、前記近位つなぎ綱および/もしくは前記遠位つなぎ綱のそばに、または前記近位つなぎ綱および/もしくは前記遠位つなぎ綱に設けられる、請求項17または18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ロックが、前記近位つなぎ綱(267)によって係合可能である前記遠位つなぎ綱(268)上に突出部を備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記袋が取り付けられるまたは取付け可能であるアクセスポート(252)をさらに備える、請求項1から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記アクセスポート(252)が、創傷内部内に位置するための遠位固着要素と、創傷開口の外部に位置するための近位部材(204)と、切開の側部を横方向に後退させる前記遠位固着要素から近位方向に延びる牽引子部材とを有する牽引子(203、251)を備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記袋が、前記牽引子(203、251)の前記近位部材(204)に取付け可能であり、前記装置が、前記牽引子の近位側を閉じるキャップをさらに備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記キャップが、器具用または外科医の手/腕用のアクセスデバイスを備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記キャップが、前記袋を膨張させる送気ポートを備える、請求項24に記載のデバイス。
【外国語明細書】