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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-176919(P2017-176919A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/26 20060101AFI20170908BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   B05B7/26
   B05D7/24 303Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-63632(P2016-63632)
(22)【出願日】2016年3月28日
(11)【特許番号】特許第6006448号(P6006448)
(45)【特許公報発行日】2016年10月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592115836
【氏名又は名称】加美電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】光本 政敬
(72)【発明者】
【氏名】早坂 宜晃
【テーマコード(参考)】
4D075
4F033
【Fターム(参考)】
4D075EA21
4D075EB12
4D075EB14
4D075EB19
4D075EB22
4D075EB32
4D075EB35
4D075EB36
4D075EB38
4D075EB42
4D075EC30
4F033QA01
4F033QB03X
4F033QB13X
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD11
4F033QE05
4F033QF02X
4F033QF06X
4F033QF21X
4F033QK16X
4F033QK23X
(57)【要約】
【課題】プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を供給できる二酸化炭素供給装置及びこれを用いた塗装装置を提供する。
【解決手段】液体二酸化炭素供給装置100は、液体二酸化炭素を貯留する液体二酸化炭素ボンベ20と、液体二酸化炭素ボンベ20に接続され液体二酸化炭素ボンベ20内にガスを供給するガスボンベ10と、液体二酸化炭素ボンベ20の内外を連通し、液体二酸化炭素ボンベ20内の端部が液体二酸化炭素ボンベ20内の液体内に配置された出口管22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備える、液体二酸化炭素供給装置。
【請求項2】
前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体二酸化炭素供給装置と、
前記液体二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備えた塗装装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の液体二酸化炭素供給装置を用いて二酸化炭素を混合器に供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備えた、二酸化炭素塗装方法。
【請求項5】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、
前記出口管から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素が加圧されることなく前記混合器に供給される、塗装装置。
【請求項6】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベから混合器に二酸化炭素を供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベから前記混合器までの間で液体二酸化炭素を加圧することなく前記二酸化炭素ボンベから前記混合器まで二酸化炭素を供給する、二酸化炭素塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体二酸化炭素供給装置及び塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料と二酸化炭素との混合物を対象物に噴霧する、いわゆる二酸化炭素塗装法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4538625号
【特許文献2】特許第5429928号
【特許文献3】特許第5429929号
【特許文献4】特許第5660605号
【特許文献5】特許第5568801号
【特許文献6】特許第5608864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、ボンベから排出させた液体の二酸化炭素をプランジャポンプなどの高圧ポンプで加圧した上で、塗料と混合し、その後、噴霧器から噴霧している。しかしながら、液化ガスである二酸化炭素をプランジャポンプで加圧すると高圧ガスの製造設備になるため、設備コストが増加する。また、プランジャポンプを使用すると二酸化炭素の流量に脈動が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を安定的に供給できる二酸化炭素供給装置及びこれを用いた塗装装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる第1の液体二酸化炭素供給装置は、液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備える。
【0007】
本発明によれば、ガスボンベからガスを二酸化炭素ボンベ内に供給することにより、二酸化炭素ボンベに設けられた出口管を介して二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素を、プランジャポンプ等の高圧ポンプを用いることなく外部、例えば、混合器に供給することができる。
【0008】
ここで、上記装置は、前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有することができる。
【0009】
本発明に係る第1の塗装装置は、上述の液体二酸化炭素供給装置と、前記液体二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素を塗料と混合して混合物を得る混合器と、前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備える。
【0010】
本発明に係る第1の二酸化炭素塗装方法は、第1の液体二酸化炭素供給装置を用いて液体二酸化炭素を混合器に供給する工程と、前記混合器に塗料を供給する工程と、二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備える。
【0011】
本発明に係る第2の液体二酸化炭素供給装置は、液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、前記出口管から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備える。そして、前記二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素が加圧されることなく前記混合器に供給される。
【0012】
本発明に係る第2の二酸化炭素塗装方法は、液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベから混合器に二酸化炭素を供給する工程と、前記混合器に塗料を供給する工程と、二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備える。そして、前記二酸化炭素ボンベから前記混合器までの間で液体二酸化炭素を加圧することなく前記二酸化炭素ボンベから前記混合器まで二酸化炭素を供給する。
【0013】
これら第2の装置及び方法では、液体二酸化炭素を加圧することなくそのまま混合器に供給するので、プランジャポンプ等の高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を供給できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を安定的に供給できる二酸化炭素供給装置及びこれを用いた塗装装置の提供を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置100及び塗装装置200のフロー図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置100及び塗装装置300のフロー図である。
図3】本発明の第三実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置400及び塗装装置500のフロー図である。
図4】本発明の第四実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置400及び塗装装置600のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して本発明の第一実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1を参照して、本実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置100を説明する。液体二酸化炭素供給装置100は、ガスボンベ10、ラインL1、バルブ12、液体二酸化炭素ボンベ(二酸化炭素ボンベ)20、出口管22、バルブ24、ラインL2を備える。
【0017】
ガスボンベ10は高圧のガスを貯留する。ガスの種類は二酸化炭素と反応しなければ特に限定されない。例えば、窒素、空気、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。ガスボンベの圧力は、液体二酸化炭素ボンベ20よりも高ければよく、例えば、10〜15MPaとすることができる。
【0018】
ラインL1は、ガスボンベ10と液体二酸化炭素ボンベ20とを接続する。ラインL1には、ガスボンベ10から液体二酸化炭素ボンベに供給するガスの量を制御するバルブ12が設けられている。
【0019】
液体二酸化炭素ボンベ20は、液体の二酸化炭素を貯留する圧力容器である。液体二酸化炭素ボンベ20は内部に二酸化炭素による気液界面Iが形成される温度条件に維持される。好適な温度の例は−50〜31℃であり、ゲージ圧力は0.68〜7.4MPaである。温度が31℃以上の場合は、液体二酸化炭素ボンベ20の内部に気液界面Iは形成されず、ボンベ内部の二酸化炭素は超臨界状態となっているため適さない。必要に応じて、液体二酸化炭素ボンベ20に対して温度調節器26を設けることができる。液体二酸化炭素ボンベ20は、出口管22を有している。出口管22は、液体二酸化炭素ボンベ20の内外を連通し、液体二酸化炭素ボンベ20内の端部が液体二酸化炭素ボンベ20内の気液界面Iよりも下に配置される。出口管22の他端は液体二酸化炭素ボンベ20の外部に出ていて、ラインL2に接続されている。ラインL2には、バルブ24が設けられている。
【0020】
つぎにこの液体二酸化炭素供給装置100の使用方法を説明する。
バルブ12、24を閉めた状態で、液体二酸化炭素ボンベ20内の圧力は、温度によって規定される。例えば、20℃ではゲージ圧で約5.7MPa、絶対圧で6.7MPaとなる。つぎに、バルブ24およびバルブ12を開く。これにより、ガスボンベ10内のガスが液体二酸化炭素ボンベ20に供給され、液体二酸化炭素ボンベ20内の液体二酸化炭素が押し出されて、出口管22、ラインL2を介して混合器8に供給される。二酸化炭素の流量は、通常、バルブ12の開度により調節できるが、バルブ24を使用して流量を調節してもよい。ガスにより液体二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素に与える圧力は、ゲージ圧で0.68MPa以上とすることができ、3.5〜14.7MPaとすることができる。この圧力はプランジャポンプなどにより与えられる圧力(たとえば3.5〜14.7MPa)と同等である。
【0021】
このような液体二酸化炭素供給装置100によれば、プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく、液体二酸化炭素ボンベ20内の液体二酸化炭素を安定して外部に供給することができる。プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いた場合には処理能力が300m/日以上となると第1種製造となる。一方、液体二酸化炭素供給装置100は高圧ガス製造設備の容器内の液面加圧にあたり、処理能力は0m/日とみなされるため第2種製造となり、高圧ガス製造事業を行う際の法的手続きが簡便ですむ。また、高価なプランジャポンプなどの高圧ポンプを使用しないため、設備費等が安価になる。また、プランジャポンプを使用すると二酸化炭素の流量に脈動が生じやすいが、本実施形態では二酸化炭素の流量が脈動しにくい。
【0022】
続いて、このような液体二酸化炭素供給装置100を備える塗装装置200について説明する。塗装装置200は、上記の液体二酸化炭素供給装置100、塗料タンク1、ポンプ2、アキュムレータ3、混合器8、ラインL3〜L4、噴霧器9を有する。
【0023】
塗料タンク1は、樹脂成分を含む液状の塗料を貯留する。塗料は、樹脂成分以外に溶剤を含むことができる。塗料タンク1内の圧力は通常常圧すなわち大気圧であるが、ポンプに塗料を安定供給するため0.1〜0.2MPa加圧してもよい。
【0024】
樹脂成分としては、塗料に通常用いられる樹脂であれば特に制限はないが、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルシリコン樹脂、アルキッド樹脂、UV硬化樹脂、塩酢ビ樹脂、スチレンブタジエンゴム、ポリエステルウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロースアセテテートブチレート樹脂、スチレン樹脂、メラミン尿素樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を混合して使用してもよい。樹脂成分は、1液硬化型樹脂であっても、2液硬化型樹脂であってもよく、UVなどの活性エネルギー線硬化型樹脂であってもよい。
【0025】
溶剤は樹脂成分を溶解/分散して塗料の流動性を高めるものである。溶剤は単一化合物であっても混合物であってもよい。溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、酢酸3−メトキシブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ソルベッソ100(東燃ゼネラル石油社製、商品名)、ソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製、商品名)、エチルジグリコールアセテート、n−ブタノール、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、イソブタノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、イソホロン、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレンジグリコール、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸イソプロピル、メチルアミルケトン、メチルジグリコール、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、酢酸カービトール、エトキシプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、ミネラルスピリッツ等が挙げられる。
【0026】
また、溶剤の他の例は、ホルムアミド、ヒドラジン、グリセリン、N−メチルホルムアミド、1,4−ジホルミルピペラジン、エチレンシアノヒドリン、マロノニトリル、2−ピロリジン、エチレンカーボネート、メチルアセトアミド、エチレングリコール、メタノール、ジメチルスルホキシド、フェノール、1,4−ジアセチルピペラジン、無水マレイン酸、2−ピペリドン、ギ酸、メチルエチルスルホン、ピロン、テトラメチレンスルホン、プロピオラクトン、炭酸プロピレン、N−ニトロソジメチルアミン、N−ホルミルモルホリン、3−メチルスルホラン、ニトロメタン、エタノール、ε−カプロラクタム、プロピレングリコール、ブチロラクトン、クロロアセトニトリル、メチルプロピルスルホン、フルフリルアルコール、フェニルヒドラジン、亜リン酸ジメチル、2−メトキシエタノール、ジエチルスルホン、エチレンジアミン、エチルアセトアミド、2−クロロエタノール、ベンジルアルコール、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロ−2,4−ジメチルチオフェン1,1−ジオキシド、アクリル酸、1−プロパノール、アセトニトリル、アリルアルコール、4−アセチルモルホリン、1,3−ブタンジオール、ホルミルピペリジン、ペンタンジオール、イソプロパノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチルセロソルブである。
【0027】
塗料が溶剤を含む場合、塗料における溶剤の配合量は特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、25〜10000質量部であることができ、25〜1000質量部であることが好ましく、87〜461質量部であることがより好ましい。
【0028】
塗料は、上記以外に種々の添加剤を含むことが出来る。例えば、助溶剤、希釈剤、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、重合開始剤等、塗料に通常添加される添加剤を含有していてもよい。樹脂成分として2液硬化型樹脂を用いた場合、添加剤として硬化剤を含んでいてもよい。2液硬化型樹脂の硬化剤としては、特に限定されないが、イソシアネートなど、2液硬化型樹脂の硬化剤として一般に使用される硬化剤を用いることができる。
【0029】
塗料における添加剤の合計配合量は特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、0.1〜1000質量部であることができる。
【0030】
ポンプ2は、塗料タンク1からラインL3を介して供給される塗料を加圧する。ポンプの形式は特に限定されないが、プランジャポンプなどの公知のポンプを使用できる。吐出側の圧力は、液体二酸化炭素ボンベ内の圧力と同程度とすることができる。
【0031】
アキュムレータ3は、系内の圧力が高くなると流体を貯留し、系内の圧力が低くなると流体を排出することによって、系内の圧力の変動を吸収する。塗料はラインL3を介して混合器8に供給される。
【0032】
混合器8は、ラインL2を介して供給される二酸化炭素と、ラインL3を介して供給される塗料と、を混合して混合物を得る。混合器8としては、例えば、インラインミキサーを使用できる。通常、混合器8内の二酸化炭素は、液体である。混合時の二酸化炭素及び塗料の混合比率は、混合物において、二酸化炭素の濃度が5〜95質量%となるようにすることができる。
【0033】
噴霧器9は、ラインL4を介して混合器8から供給される混合物を対象物に噴霧する。噴霧器としては、公知の種々のスプレーノズルを使用できる。対象物も特に限定されず、自動車ボディー等が挙げられる。
【0034】
本実施形態によれば、上述の液体二酸化炭素供給装置100を使用しているので、二酸化炭素の高圧ポンプ(プランジャポンプなど)無しに、好適に液体二酸化炭素を含む塗料の塗布が可能である。また、アキュムレータ3を採用しているので、ポンプ2による脈動が低減され、二酸化炭素と塗料の流量比の変動や、それによる膜の平坦性の低減を抑制できる。
【0035】
<第二実施形態>
続いて、図2を参照して第2実施形態に係る塗装装置300について説明する。ここでは、図1の塗装装置200と異なる点のみ説明する。本実施形態に係る塗装装置300は、塗装装置200に加え、溶媒タンク30、ポンプ31、アキュムレータ32、ラインL5、L6、混合器33を備える。
【0036】
溶媒タンク30は、溶媒を貯留する。溶媒として、例えば、第1実施形態の塗装装置300の塗料タンクの塗料に含まれる溶媒の一部、或いは、当該溶媒とは異なる溶媒を貯留することもできる。溶媒の例は、第1実施形態と同様である。
【0037】
ポンプ31は、ラインL5を介して溶媒タンク30から供給される溶媒を加圧する。加圧の程度はポンプ2と同様とすることができる。
【0038】
アキュムレータ32は、ポンプ31により生じる系内の圧力の脈動を吸収する。
【0039】
混合器33は、ラインL2を介して液体二酸化炭素供給装置100から供給される二酸化炭素と、ラインL5を介して供給される溶媒とを予備混合する。
【0040】
そして、混合器8は、ラインL6を介して二酸化炭素と溶媒との予備混合物と、ラインL3を介して供給される塗料とを混合し、得られた混合物はラインL4を介して噴霧器9に供給される。
【0041】
本実施形態によっても、上述の液体二酸化炭素供給装置100を使用しているので、二酸化炭素の高圧加圧ポンプ(プランジャポンプなど)無しに、好適に液体二酸化炭素を含む塗料の塗布が可能である。また、アキュムレータ3、32を採用しているので、ポンプ2、31による脈動が低減され、二酸化炭素と塗料の流量比の変動や、それによる膜の平坦性の低減を抑制できる。
【0042】
<第三実施形態>
続いて、図3を参照して第三実施形態に係る二酸化炭素供給装置400及び塗装装置500について説明する。本実施形態に係る二酸化炭素供給装置400は、第一実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置100から、ガスボンベ10、ラインL1及びバルブ12を除去したものであり、二酸化炭素供給装置400以外は第一実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態では、液体二酸化炭素ボンベ20内の圧力のみにより液体二酸化炭素が出口管22及びラインL2を介して混合器8に供給される。すなわち、液体二酸化炭素ボンベ20内の液体二酸化炭素を加圧することなく混合器8に供給する。これによっても、プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を供給できる。二酸化炭素が加圧されないので、高圧ガスの製造設備に該当せず設備費等が安価になる。もちろん、プランジャポンプを使用するときのような二酸化炭素の流動の脈動も生じにくい。
【0044】
<第四実施形態>
続いて、図4を参照して第四実施形態に係る塗装装置600について説明する。ここでは、図2の塗装装置300と異なる点のみ説明する。本実施形態に係る二酸化炭素供給装置400は、第二実施形態に係る液体二酸化炭素供給装置100から、ガスボンベ10、ラインL1及びバルブ12を除去したものであり、二酸化炭素供給装置400以外は第二実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態でも、液体二酸化炭素ボンベ20内の圧力のみにより液体二酸化炭素が混合器8に出口管22及びラインL2を介して供給される。すなわち、液体二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素を加圧することなく混合器33を介して混合器8に供給する。これによっても、プランジャポンプなどの高圧ポンプを用いることなく液体二酸化炭素を供給できる。二酸化炭素が加圧されないので、高圧ガスの製造設備に該当せず設備費等が安価になる。もちろん、プランジャポンプを使用するときのような二酸化炭素の流動の脈動も生じにくい。
【0046】
本発明では上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。例えば、上記実施形態では、出口管は上下に延びているが、ボンベの壁を貫通する態様であってもよい。
また、ラインL2にアキュムレータを設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
8…混合器、9…噴霧器、10…ガスボンベ、12…バルブ、20…液体二酸化炭素ボンベ(圧力容器)、22…出口管、100…液体二酸化炭素供給装置、200,300…塗装装置。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2016年5月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備え
前記二酸化炭素ボンベ内のゲージ圧力が0.68〜7.4MPaである、液体二酸化炭素供給装置。
【請求項2】
前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体二酸化炭素供給装置と、
前記液体二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備えた塗装装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の液体二酸化炭素供給装置を用いて二酸化炭素を混合器に供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備えた、二酸化炭素塗装方法。
【請求項5】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、
前記出口管から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素が加圧されることなく前記混合器に供給される、塗装装置。
【請求項6】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベから混合器に二酸化炭素を供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベから前記混合器までの間で液体二酸化炭素を加圧することなく前記二酸化炭素ボンベから前記混合器まで二酸化炭素を供給する、二酸化炭素塗装方法。
【手続補正書】
【提出日】2016年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体二酸化炭素供給装置と、
前記液体二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え
前記液体二酸化炭素供給装置は、
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内に前記ガスを供給する前の前記二酸化炭素ボンベ内のゲージ圧力が0.68〜7.4MPaである、塗装装置。
【請求項2】
前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
体二酸化炭素供給装置を用いて二酸化炭素を混合器に供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え
前記液体二酸化炭素供給装置は、
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内に前記ガスを供給する前の前記二酸化炭素ボンベ内のゲージ圧力が0.68〜7.4MPaである、二酸化炭素塗装方法。
【請求項4】
前記液体二酸化炭素供給装置が、前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項3に記載の方法
【請求項5】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、
前記出口管から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素が加圧されることなく前記混合器に供給される、塗装装置。
【請求項6】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベから混合器に二酸化炭素を供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベから前記混合器までの間で液体二酸化炭素を加圧することなく前記二酸化炭素ボンベから前記混合器まで二酸化炭素を供給する、二酸化炭素塗装方法。
【手続補正書】
【提出日】2016年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体二酸化炭素供給装置と、
前記液体二酸化炭素供給装置から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え、
前記液体二酸化炭素供給装置は、
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内に前記ガスを供給する前の前記二酸化炭素ボンベ内のゲージ圧力が0.68〜7.4MPaである、塗装装置。
【請求項2】
前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
液体二酸化炭素供給装置を用いて二酸化炭素を混合器に供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記液体二酸化炭素供給装置は、
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベに接続され前記二酸化炭素ボンベ内にガスを供給するガスボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内に前記ガスを供給する前の前記二酸化炭素ボンベ内のゲージ圧力が0.68〜7.4MPaである、二酸化炭素塗装方法。
【請求項4】
前記液体二酸化炭素供給装置が、前記ガスボンベと前記二酸化炭素ボンベとの間に接続されて前記二酸化炭素ボンベに供給するガスの流量を調整するバルブをさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベと、
前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置された出口管と、
前記出口管から供給される二酸化炭素と塗料とを混合して混合物を得る混合器と、
前記混合物を噴霧する噴霧器と、を備え、
前記二酸化炭素ボンベ内の液体二酸化炭素が加圧されることなく前記混合器に供給される、塗装装置。
【請求項6】
液体二酸化炭素を貯留する二酸化炭素ボンベから出口管を介して混合器に二酸化炭素を供給する工程と、
前記混合器に塗料を供給する工程と、
二酸化炭素と塗料との混合物を対象物に噴霧する工程と、を備え、
前記出口管が、前記二酸化炭素ボンベの内外を連通し、前記二酸化炭素ボンベ内の前記出口管の端部が前記二酸化炭素ボンベ内の液体内に配置されており、
前記二酸化炭素ボンベから前記混合器までの間で液体二酸化炭素を加圧することなく前記二酸化炭素ボンベから前記混合器まで二酸化炭素を供給する、二酸化炭素塗装方法。