【解決手段】この印刷装置100は、被記録媒体101にインクを吐出する印刷ヘッド10と、印刷ヘッド10と対向する位置に配置された複数のインク溜め用凹部70からなるインク溜め用凹部群90と、を備える。そして、インク溜め用凹部群90の各インク溜め用凹部70の深さD1は、平面視における開口部71の最短幅D2よりも大きい。
前記印刷ヘッドの移動方向における前記凹部群の幅は、前記印刷ヘッドの移動方向における前記支持面の幅よりも大きい、請求項13〜15のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、フチ無し印刷時のインクを吸収するためにインク吸収材が設けられているため、インク吸収材の分だけコストが上昇する。このため、インク吸収材を設けないようにすることが望まれるが、インク吸収材を設けない場合には、インク吸収材が設けられていた凹部にインクが溜まってしまう。この場合、上記特許文献1に記載のインクジェットプリンタを傾けると、凹部に溜まったインクが凹部から外部へ溢れ出てしまうという問題点が生じる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、インク吸収材を設けない場合にも、インクが外部へ溢れ出てしまうことを抑制することが可能な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による印刷装置は、媒体にインクを吐出する印刷ヘッドと、印刷ヘッドと対向する位置に配置された複数の凹部からなる凹部群と、を備え、凹部群の各凹部の深さは、平面視における各凹部の開口部の最短幅よりも大きい。
【0008】
この発明の一の局面による印刷装置では、上記のように、凹部群の各凹部の深さを、平面視における各凹部の開口部の最短幅よりも大きくする。これにより、印刷装置を傾けた場合に、大気圧により凹部群の各凹部内にインクが保持される。その結果、インク吸収材を設けない場合にも、インクが外部へ溢れ出てしまうことを抑制することができる。また、各凹部の容量を大きくすることができるので、より多くのインクを各凹部内に溜めることができる。その結果、各凹部に溜まったインクが貯留可能な量を越えて溢れてしまうことをより抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、各凹部の深さは、平面視における開口部の最短幅の2倍よりも大きい。このように構成すれば、各凹部の容量をより大きくすることができるので、より一層多くのインクを各凹部内に溜めることができる。その結果、各凹部に溜まったインクが貯留可能な量を越えて溢れてしまうことをさらに抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、各凹部は、開口部から各凹部の底部に向けて先細る形状を有している。このように構成すれば、開口部から進入したインクを底部に向けて滑り落ちていきやすくすることができるので、容易に、各凹部内にインクを溜めることができる。また、樹脂成形金型を用いて樹脂により凹部群を形成する場合には、各凹部が開口部から底部に向けて先細る形状を有することによって、樹脂成形金型から凹部群を取り出す際の抵抗を小さくすることができる。これにより、樹脂成形金型から凹部群を取り出しやすくすることができる。したがって、各凹部同士を比較的近くに配置したとしても、樹脂成形金型から凹部群を容易に取り出すことができるので、各凹部同士の配置位置を近付けることができる。その結果、各凹部が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に溜めやすくすることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、開口部は、平面視で略円形状を有し、各凹部は、開口部から底部に向けて、円の直径が徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、簡素な構成により、先細る形状を有する各凹部を形成することができる。
【0012】
上記各凹部の開口部が平面視で略円形状を有する構成において、好ましくは、開口部の直径は、1.0mm以上2.5mm以下である。このように構成すれば、略円形状を有する開口部の直径を1.0mm以上とすることによって、略円形状を有する開口部の直径が1.0mmよりも小さい場合に比べて、各凹部を形成しやすくすることができる。この効果は、樹脂成形金型を用いて樹脂によりインク受け部を形成する場合に、特に有効である。また、略円形状を有する開口部の直径を2.5mm以下とすることによって、確実に、大気圧により各凹部内にインクを保持することができる。
【0013】
上記各凹部が先細る形状を有する構成において、好ましくは、開口部は、平面視で略矩形形状を有し、各凹部は、開口部から底部に向けて、矩形形状の4つの辺の長さが徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、矩形形状の全ての辺(4つの辺)の長さが徐々に小さくなるように先細る形状を各凹部が有するので、開口部から進入したインクを底部に向けて滑り落ちていきやすくすることができる。
【0014】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、各凹部は、平面視で所定の方向に沿って配列されている。このように構成すれば、各凹部が不規則に配置されている場合と異なり、各凹部が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に溜めやすくすることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、所定の方向は、印刷ヘッドの移動方向を含む。このように構成すれば、印刷ヘッドの移動方向に沿って各凹部が配列されているので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に溜めやすくすることができる。
【0016】
上記各凹部が所定の方向に沿って配列されている構成において、好ましくは、所定の方向は、印刷ヘッドの移動方向と直交する方向を含む。このように構成すれば、印刷ヘッドから印刷ヘッドの移動方向と直交する方向に広がってインクが吐出される場合にも、容易に、各凹部にインクを溜めることができる。
【0017】
上記各凹部が所定の方向に沿って配列される構成において、好ましくは、凹部群は、平面視で略矩形形状を有する配置領域に配置されており、開口部は、配置領域の一方側の端部の近傍から、一方側の端部と対向する端部の近傍まで延びるように形成されている。このように構成すれば、1つの各凹部の容量を大きくすることができるので、配置領域に配置される各凹部の数を減らすことができる。その結果、各凹部を形成しやすくすることができる。
【0018】
上記各凹部が所定の方向に沿って配列される構成において、好ましくは、隣接する各凹部の間の距離は、平面視における開口部の最短幅よりも小さい。このように構成すれば、各凹部同士の配置位置を近付けることができるので、各凹部が形成されていない部分の面積を減少させることができる。その結果、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に溜めやすくすることができる。
【0019】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、各凹部の底部は、平坦面状に形成されている。このように構成すれば、各凹部の底部を簡素な形状にすることができるので、各凹部を形成しやすくすることができる。この効果は、樹脂成形金型を用いて樹脂により凹部群を形成する場合に、特に有効である。
【0020】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、媒体を支持するためのプラテン部をさらに備え、凹部群は、プラテン部における媒体の支持面よりも下方に設けられている。このように構成すれば、各凹部内に溜まったインクが、媒体に付着してしまうことを抑制することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、凹部群は、プラテン部と一体的に形成されている。このように構成すれば、部品点数が増加することを抑制しつつ、印刷装置に凹部群を設けることができる。
【0022】
この場合、好ましくは、筐体をさらに備え、プラテン部および凹部群は、筐体と一体的に形成されている。このように構成すれば、部品点数が増加することをより抑制しつつ、印刷装置に凹部群を設けることができる。
【0023】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、各凹部は、面取りされた開口部を有している。このように構成すれば、開口部が大きくなるので、各凹部内にインクを進入しやすくすることができるとともに、各凹部が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に確実に溜めることができる。
【0024】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、互いに開口部の最短幅が異なる2種類以上の各凹部により構成される。このように構成すれば、各凹部を容易に密に配置することができる。その結果、各凹部が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部に確実に溜めることができる。
【0025】
上記プラテン部をさらに備える構成において、好ましくは、印刷ヘッドの移動方向における凹部群の幅は、印刷ヘッドの移動方向における支持面の幅よりも大きい。このように構成すれば、印刷ヘッドの移動方向に媒体をはみ出して吐出されたインクを、確実に、各凹部に溜めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上記のように、インク吸収材を設けない場合にも、インクが外部へ溢れ出てしまうことを抑制することが可能な印刷装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(印刷装置の構成)
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態による印刷装置100の構成について説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態による印刷装置100は、
図1に示すように、インクを吐出することによって、被記録媒体101に画像を印刷するインクジェット式の印刷装置である。被記録媒体101は、たとえば、用紙である。なお、被記録媒体101は、特許請求の範囲の「媒体」の一例である。
【0030】
印刷装置100は、印刷ヘッド10を備える。印刷ヘッド10は、被記録媒体101にインクを吐出するように構成されている。また、印刷ヘッド10は、インクが充填されたインクカートリッジ10aが着脱可能に装着されるように構成されている。また、印刷ヘッド10は、図示しない駆動機構により、Y方向に沿って移動されるように構成されている。
【0031】
印刷装置100では、印刷ヘッド10は、移動方向(Y方向)に移動しながら、インクカートリッジ10aに充填されたインクを吐出することにより、被記録媒体101に画像を印刷するように構成されている。
【0032】
なお、本明細書では、印刷ヘッド10の移動方向をY方向とし、水平面内でY方向と直交する用紙搬送方向をX方向とし、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(上下方向)とする。
【0033】
印刷装置100は、給紙トレイ20を備える。給紙トレイ20は、印刷装置100の筐体100a内に、被記録媒体101を給紙するために、印刷前の被記録媒体101を配置可能に構成されている。
【0034】
印刷装置100は、給紙ローラ30を備える。給紙ローラ30は、図示しない駆動機構により回転されることによって、給紙トレイ20に配置された被記録媒体101を、印刷ヘッド10に向けて移動させるように構成されている。
【0035】
印刷装置100は、搬送ローラ40を備える。搬送ローラ40は、印刷装置100の筐体100a内で、被記録媒体101を搬送経路に沿って搬送するように構成されている。搬送ローラ40は、印刷ヘッド10よりも上流側(X1側)に配置された上流側搬送ローラ41と、印刷ヘッド10よりも下流側(X2側)に配置された下流側搬送ローラ42と、を含む。
【0036】
上流側搬送ローラ41は、一対の搬送ローラ41aおよび41bを有している。一対の搬送ローラ41aおよび41bは、互いに上下方向(Z方向)に対向する位置に配置されている。一対の搬送ローラ41aおよび41bは、図示しない駆動機構により回転されることによって、一対の搬送ローラ41aおよび41bの間に被記録媒体101を挟持して、下流側の印刷ヘッド10に向けて搬送するように構成されている。
【0037】
下流側搬送ローラ42は、一対の搬送ローラ42aおよび42bを有している。一対の搬送ローラ42aおよび42bは、互いに上下方向に対向する位置に配置されている。一対の搬送ローラ42aおよび42bは、図示しない駆動機構により回転されることによって、一対の搬送ローラ42aおよび42bの間に被記録媒体101を挟持して、下流側の排紙口101bに向けて搬送するように構成されている。
【0038】
印刷装置100は、プラテン部50を備える。プラテン部50は、印刷ヘッド10の下方において、印刷ヘッド10と上下方向(Z方向)に対向する位置に配置されている。プラテン部50は、搬送ローラ40により搬送される被記録媒体101を下方から支持するように構成されている。プラテン部50には、
図1および
図2に示すように、被記録媒体101を下方(Z2方向)から支持するための複数のリブ51が設けられている。リブ51は、プラテン部50の上面50aから、上方(Z1方向)に向けて突出するように形成されている。
【0039】
図1〜
図3に示すように、プラテン部50には、インク受け部52が一体的に設けられている。インク受け部52は、印刷ヘッド10と対向する位置に配置され、印刷ヘッド10から被記録媒体101をはみ出して吐出されたインクを受けるように構成されている。すなわち、インク受け部52は、被記録媒体101の輪郭をはみ出してインクを吐出することにより被記録媒体101の端部まで画像を印刷する印刷動作時(いわゆる、フチ無し印刷時)に、印刷ヘッド10から被記録媒体101の輪郭をはみ出して吐出されたインクを受けるために設けられている。これにより、印刷ヘッド10から被記録媒体101の輪郭をはみ出して吐出されたインクが印刷装置100の筐体100a内を汚染してしまうことが防止される。
【0040】
インク受け部52には、プラテン部50の上面50aから下方に向けて凹む凹部60が設けられている。凹部60は、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)が長手方向になるように、平面視で(上下方向から見て)略矩形形状を有している。具体的には、凹部60は、平面視で略矩形形状を有する開口部61および底部62と、開口部61と底部62とを接続する壁部63とを有している。壁部63は、開口部61から底部62まで、上下方向(Z方向)に沿って延びるように形成されている。
【0041】
ここで、第1実施形態では、
図2および
図3に示すように、インク受け部52の凹部60の底部62には、インク溜め用凹部群90が設けられている。インク溜め用凹部群90は、複数のインク溜め用凹部70により構成されている。なお、インク溜め用凹部群90は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部70は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部群90のインク溜め用凹部70は、大気圧(および表面張力)によりインクを保持することが可能な大きさを有する。インク溜め用凹部群90は、プラテン部50の上面50aおよびプラテン部50における被記録媒体101の支持面(リブ51の上面)よりも下方(Z2方向)に設けられている。また、インク溜め用凹部70は、印刷装置100が傾いた場合にも、インク溜め用凹部70内に溜まったインクが外側に零れることなく、大気圧によってインク溜め用凹部70内に保持される大きさに形成されている。
【0042】
インク溜め用凹部70は、
図2〜
図4に示すように、平面視で略円形状を有する開口部71および底部72と、開口部71と底部72とを接続する壁部73とを有している。印刷装置100では、印刷ヘッド10から被記録媒体101をはみ出して吐出されたインクが、開口部71からインク溜め用凹部70内に進入し、底部72および壁部73により区画される空間に溜まる。
【0043】
第1実施形態では、
図3に示すように、インク溜め用凹部70の深さ(開口部71から底部72までの長さ)D1は、略円形状を有する開口部71の直径D2よりも大きい。具体的には、インク溜め用凹部70の深さD1は、略円形状を有する開口部71の直径D2の2倍よりも大きい。これにより、インク溜め用凹部70の開口面積を小さくしつつ、インク溜め用凹部70の容量を増やすことが可能である。なお、略円形状を有する開口部71の直径D2は、特許請求の範囲の「平面視におけるインク溜め用凹部の開口部の最短幅」の一例である。
【0044】
また、第1実施形態では、
図3および
図4に示すように、インク溜め用凹部70の壁部73は、開口部71から底部72に向けて先細る形状を有している。具体的には、インク溜め用凹部70の壁部73は、略円形状を有する開口部71から、略円形状を有する底部72に向けて、円の直径が徐々に小さくなるように(徐々に窄むように)形成されている。
【0045】
また、インク溜め用凹部70の底部72は、水平方向に沿って平坦面状に形成されている。すなわち、インク溜め用凹部70では、開口部71と底部72と壁部73とによって、略円錐台状の空間が形成されている。この略円錐台状の空間内に、インクが溜まる。また、インク溜め用凹部70は、縦断面(ZY平面における断面)が、台形形状を有している。
【0046】
また、略円形状を有する開口部71の直径D2は、約1.0mm以上約2.5mm以下である。より好ましくは、略円形状を有する開口部71の直径D2は、約1.5mm以上約2.5mm以下である。さらに好ましくは、略円形状を有する開口部71の直径D2は、約1.5mm以上約2.0mm以下である。なお、略円形状を有する開口部71の直径D2は、大気圧によりインクをインク溜め用凹部70内に保持するという観点からは、小さい方が好ましく、インク溜め用凹部70の樹脂成形金型による成形の容易さという観点からは、大きい方が好ましい。
【0047】
図2に示すように、インク溜め用凹部群90(複数のインク溜め用凹部70)は、インク受け部52において、配置領域80に設けられている。配置領域80は、インク受け部52においてインク溜め用凹部群90が配置される領域であって、第1実施形態では、インク受け部52の凹部60の底部62により区画される領域である。すなわち、第1実施形態では、配置領域80は、平面視で略矩形形状を有する領域である。
【0048】
また、第1実施形態では、複数のインク溜め用凹部70は、インク受け部52における配置領域80において、平面視で印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)に沿って、略等距離間隔で配列されている。また、複数のインク溜め用凹部70は、配置領域80において、平面視で印刷ヘッド10の移動方向と直交する方向(X方向)に沿って、略等距離間隔で配列されている。すなわち、複数のインク溜め用凹部70は、配置領域80において、複数の列、および複数の行を有するように、マトリクス状に配列されている。また、インク溜め用凹部群90(複数のインク溜め用凹部70)は、配置領域80の略全領域にわたって設けられている。なお、X方向およびY方向は、特許請求の範囲の「所定の方向」の一例である。
【0049】
また、
図3に示すように、隣接するインク溜め用凹部70の間の距離D3は、略円形状を有する開口部71の直径D2よりも小さい。なお、
図2では、Y方向における隣接するインク溜め用凹部70の間の距離D3を示したが、X方向における隣接するインク溜め用凹部70の間の距離も、略円形状を有する開口部71の直径D2よりも小さい。すなわち、隣接するインク溜め用凹部70は、配置領域80において、互いに十分に近接するように(隣接するインク溜め用凹部70の間に平坦部分が極力生じないように)配列されている。
【0050】
また、第1実施形態では、
図2に示すように、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)におけるインク溜め用凹部群90全体の幅W1は、印刷ヘッド10の移動方向におけるプラテン部50の複数の支持面(リブ51の上面)全体の幅W2よりも大きい。すなわち、インク溜め用凹部群90は、印刷ヘッド10の移動方向において、プラテン部50の複数の支持面よりも外側まで形成されている。
【0051】
図1に示すように、印刷装置100の筐体100aは、印刷ヘッド10、給紙ローラ30、搬送ローラ40およびプラテン部50などを収容するように構成されている。また、筐体100aは、ポリスチレンなどの樹脂により形成されている。また、第1実施形態では、インク受け部52が設けられたプラテン部50は、筐体100aと一体的に設けられている。すなわち、第1実施形態では、筐体100a、プラテン部50およびインク受け部52(インク溜め用凹部群90)は、樹脂成形金型を用いて、ポリスチレンなどの樹脂により、一体成型されている。
【0052】
次に、
図5(A)〜(D)を参照して、インク溜め用凹部群90のインク溜め用凹部70によるインクの保持力の確認結果について説明する。
【0053】
図5(A)では、配置領域80において、直径が2.5mmであり、体積が39.3mm
3であるインク溜め用凹部70を、16列×2行で配列したインク受け部52を示している。この場合、複数のインク溜め用凹部70の総体積は、1258mm
3である。
【0054】
図5(B)では、配置領域80において、直径が2.0mmであり、体積が25.1mm
3であるインク溜め用凹部70を、19列×3行で配列したインク受け部52を示している。この場合、複数のインク溜め用凹部70の総体積は、1431mm
3である。
【0055】
図5(C)では、配置領域80において、直径が1.5mmであり、体積が14.1mm
3であるインク溜め用凹部70を、24列×4行で配列したインク受け部52を示している。この場合、複数のインク溜め用凹部70の総体積は、1354mm
3である。
【0056】
図5(D)では、配置領域80において、直径が1.0mmであり、体積が6.3mm
3であるインク溜め用凹部70を、32列×5行で配列したインク受け部52を示している。この場合、複数のインク溜め用凹部70の総体積は、1008mm
3である。
【0057】
図5(A)〜(D)に示す4種類のインク受け部52のインク溜め用凹部70にインクを溜めて、逆さまにして(開口部71が重力方向に開口する向きになるようにして)放置したところ、48時間経過後も、インク溜め用凹部70からの液垂れは確認されなかった。したがって、スポンジなどのインク吸収材を設けなくとも、大気圧によりインク溜め用凹部70内にインクを保持することができることが確認された。
【0058】
また、
図5(A)〜(D)に示す4種類のインク受け部52のインク溜め用凹部70では、総体積が大きい順に、インクが多く溜まっていくことが確認された。すなわち、直径2.0mmのインク溜め用凹部70、直径1.5mmのインク溜め用凹部70、直径2.5mmのインク溜め用凹部70、直径1.0mmのインク溜め用凹部70の順に、インクが多く溜まっていくことが確認された。
【0059】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
第1実施形態では、上記のように、インク溜め用凹部群90の各インク溜め用凹部70の深さD1を、平面視における各インク溜め用凹部70の開口部71の最短幅D2よりも大きくする。これにより、印刷装置100を傾けた場合に、大気圧によりインク溜め用凹部群90の各インク溜め用凹部70内にインクが保持される。その結果、インク吸収材を設けない場合にも、インクが外部へ溢れ出てしまうことを抑制することができる。また、各インク溜め用凹部70の容量を大きくすることができるので、より多くのインクを各インク溜め用凹部70内に溜めることができる。その結果、各インク溜め用凹部70に溜まったインクが貯留可能な量を越えて溢れてしまうことをより抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、各インク溜め用凹部70の深さD1が、平面視における各インク溜め用凹部70の開口部71の最短幅D2の2倍よりも大きい。これにより、各インク溜め用凹部70の容量をより大きくすることができるので、より一層多くのインクを各インク溜め用凹部70内に溜めることができる。その結果、各インク溜め用凹部70に溜まったインクが貯留可能な量を越えて溢れてしまうことをさらに抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、各インク溜め用凹部70が、開口部71から底部72に向けて先細る形状を有している。これにより、開口部71から進入したインクを底部72に向けて滑り落ちていきやすくすることができるので、容易に、各インク溜め用凹部70内にインクを溜めることができる。また、樹脂成形金型を用いて樹脂によりインク溜め用凹部群90を形成する場合には、各インク溜め用凹部70が開口部71から底部72に向けて先細る形状を有することによって、樹脂成形金型からインク溜め用凹部群90を取り出す際の抵抗を小さくすることができる。これにより、樹脂成形金型からインク溜め用凹部群90を取り出しやすくすることができる。したがって、各インク溜め用凹部70同士を比較的近くに配置したとしても、樹脂成形金型からインク溜め用凹部群90を容易に取り出すことができるので、各インク溜め用凹部70同士の配置位置を近付けることができる。その結果、各インク溜め用凹部70が形成されていない部分(たとえば、隣接する各インク溜め用凹部70の間の平坦部分)の面積を減少させることができるので、印刷ヘッド10から吐出されたインクを各インク溜め用凹部70に溜めやすくすることができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、各インク溜め用凹部70の開口部71が、平面視で略円形状を有している。そして、各インク溜め用凹部70が、開口部71から底部72に向けて、円の直径が徐々に小さくなるように形成されている。これにより、簡素な構成により、先細る形状を有する各インク溜め用凹部70を形成することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、略円形状を有する開口部71の直径D2が、約1.0mm以上約2.5mm以下である。これにより、略円形状を有する開口部71の直径D2を約1.0mm以上とすることによって、略円形状を有する開口部71の直径D2が約1.0mmよりも小さい場合に比べて、各インク溜め用凹部70を形成しやすくすることができる。この効果は、樹脂成形金型を用いて樹脂によりインク受け部52を形成する場合に、特に有効である。また、略円形状を有する開口部71の直径D2を約2.5mm以下とすることによって、確実に、大気圧により各インク溜め用凹部70内にインクを保持することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、インク受け部52における配置領域80において、平面視でX方向およびY方向に沿って各インク溜め用凹部70を配列する。これにより、複数の各インク溜め用凹部70がインク受け部52における配置領域80において不規則に配置されている場合と異なり、配置領域80において各インク溜め用凹部70が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッド10から吐出されたインクを各インク溜め用凹部70に溜めやすくすることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、インク受け部52における配置領域80において、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)に沿って各インク溜め用凹部70を配列する。これにより、印刷ヘッド10の移動方向に沿って各インク溜め用凹部70が配列されているので、印刷ヘッド10から吐出されたインクを各インク溜め用凹部70に溜めやすくすることができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、インク受け部52における配置領域80において、印刷ヘッド10の移動方向と直交する方向(X方向)に沿って複数の各インク溜め用凹部70を配列する。これにより、印刷ヘッド10から印刷ヘッド10の移動方向と直交する方向に広がってインクが吐出される場合にも、容易に、各インク溜め用凹部70にインクを溜めることができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、インク受け部52における配置領域80において、複数の列、および複数の行を有するように複数の各インク溜め用凹部70を配列する。これにより、インク受け部52における配置領域80において複数の各インク溜め用凹部70が密に配置されるので、大気圧によりインクを保持するために各インク溜め用凹部70が比較的小さく形成される場合にも、インク受け部52における配置領域80において各インク溜め用凹部70が形成されていない部分の面積を減少させることができる。その結果、印刷ヘッド10から吐出されたインクを複数の各インク溜め用凹部70に溜めやすくすることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、隣接する各インク溜め用凹部70の間の距離D3が、平面視における開口部71の最短幅D2よりも小さい。これにより、各インク溜め用凹部70同士の配置位置を近付けることができるので、インク受け部52における配置領域80において各インク溜め用凹部70が形成されていない部分の面積を減少させることができる。その結果、印刷ヘッド10から吐出されたインクを各インク溜め用凹部70に溜めやすくすることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、インク受け部52における配置領域80において、略全領域にわたって複数の各インク溜め用凹部70を設ける。これにより、印刷ヘッド10から吐出されたインクを、各インク溜め用凹部70内に確実に溜めることができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、平坦面状に各インク溜め用凹部70の底部72を形成する。これにより、各インク溜め用凹部70の底部72を簡素な形状にすることができるので、各インク溜め用凹部70を形成しやすくすることができる。この効果は、樹脂成形金型を用いて樹脂によりインク溜め用凹部群90を形成する場合に、特に有効である。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、プラテン部50における被記録媒体101の支持面よりも下方にインク溜め用凹部群90を設ける。これにより、各インク溜め用凹部70内に溜まったインクが、被記録媒体101に付着してしまうことを抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、プラテン部50と一体的にインク受け部52を形成する。これにより、部品点数が増加することを抑制しつつ、印刷装置100にインク溜め用凹部群90を設けることができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、筐体100aと一体的にプラテン部50およびインク受け部52を形成する。これにより、部品点数が増加することをより抑制しつつ、印刷装置100にインク溜め用凹部群90を設けることができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)におけるインク溜め用凹部群90の幅W1が、印刷ヘッド10の移動方向におけるプラテン部50の支持面(リブ51の上面)全体の幅W2よりも大きい。これにより、印刷ヘッド10の移動方向に被記録媒体101をはみ出して吐出されたインクを、確実に、各インク溜め用凹部70に溜めることができる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、
図1および
図6〜
図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、インク受け部に略矩形形状の開口部を有するインク溜め用凹部が設けられる例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0077】
(印刷装置の構成)
本発明の第2実施形態による印刷装置200は、
図1に示すように、プラテン部150を備える点で、上記第1実施形態の印刷装置100と相違する。
【0078】
図1、
図6および
図7に示すように、プラテン部150には、インク受け部152が一体的に設けられている。
【0079】
第2実施形態では、
図6および
図7に示すように、インク受け部152の凹部60の底部62には、インク溜め用凹部群190が設けられている。インク溜め用凹部群190は、複数のインク溜め用凹部170により構成されている。なお、インク溜め用凹部群190は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部170は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部群190のインク溜め用凹部170は、大気圧(および表面張力)によりインクを保持することが可能な大きさを有する。インク溜め用凹部170は、
図6〜
図8に示すように、平面視で略矩形形状を有する開口部171および底部172と、開口部171と底部172とを接続する壁部173とを有している。印刷装置200では、印刷ヘッド10から被記録媒体101をはみ出して吐出されたインクが、開口部171からインク溜め用凹部170内に進入し、底部172および壁部173により区画される空間に溜まる。
【0080】
第2実施形態では、
図7に示すように、インク溜め用凹部170の深さ(開口部171から底部172までの長さ)D4は、略矩形形状を有する開口部171の短辺の長さD5よりも大きい。具体的には、インク溜め用凹部170の深さD4は、略矩形形状を有する開口部171の短辺のD5の2倍よりも大きい。なお、略矩形形状を有する開口部171の短辺の長さD5は、特許請求の範囲の「平面視におけるインク溜め用凹部の開口部の最短幅」の一例である。
【0081】
また、第2実施形態では、
図7および
図8に示すように、インク溜め用凹部170の壁部173は、開口部171から底部172に向けて先細る形状を有している。具体的には、インク溜め用凹部170の壁部173は、略矩形形状を有する開口部171から、略矩形形状を有する底部172に向けて、4つの辺の長さが徐々に小さくなるように(徐々に窄むように)形成されている。
【0082】
また、インク溜め用凹部170の底部172は、水平方向に沿って平坦面状に形成されている。すなわち、インク溜め用凹部170では、開口部171と底部172と壁部173とによって、略角錐台状の空間が形成されている。この略角錐台状の空間内に、インクが溜まる。また、インク溜め用凹部170は、縦断面(ZY平面における断面)が、台形形状を有している。
【0083】
また、
図6に示すように、略矩形形状を有する開口部171は、配置領域80において、配置領域80のX1側の端部(X1側においてY方向に沿って延びる辺)の近傍から、このX1側の端部と対向する端部(X2側においてY方向に沿って延びる辺)の近傍まで、印刷ヘッド10の移動方向と直交する方向(X方向)に沿って延びるように形成されている。
【0084】
また、第2実施形態では、複数のインク溜め用凹部170は、インク受け部152における配置領域80において、平面視で印刷ヘッド10の移動方向と直交する方向(X方向)に沿って、略等距離間隔で配列されている。また、インク溜め用凹部群190(複数のインク溜め用凹部170)は、配置領域80の略全領域にわたって設けられている。なお、X方向は、特許請求の範囲の「所定の方向」の一例である。
【0085】
また、
図7に示すように、隣接するインク溜め用凹部170の間の距離D6は、略矩形形状を有する開口部171の短辺の長さD5よりも小さい。すなわち、隣接するインク溜め用凹部170は、配置領域80において、互いに十分に近接するように(隣接するインク溜め用凹部170の間に平坦部分が極力生じないように)配列されている。
【0086】
また、第2実施形態では、
図6に示すように、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)におけるインク溜め用凹部群190全体の幅W3は、印刷ヘッド10の移動方向におけるプラテン部50の複数の支持面(リブ51の上面)全体の幅W2よりも大きい。すなわち、インク溜め用凹部群190は、印刷ヘッド10の移動方向において、プラテン部50の複数の支持面よりも外側まで形成されている。
【0087】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0088】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
第2実施形態では、上記のように、各インク溜め用凹部170の開口部171が、平面視で略矩形形状を有している。そして、各インク溜め用凹部170が、開口部171から底部172に向けて、矩形形状の4つの辺の長さが徐々に小さくなるように形成されている。これにより、矩形形状の全ての辺(4つの辺)の長さが徐々に小さくなるように先細る形状を各インク溜め用凹部170が有するので、開口部171から進入したインクを底部172に向けて滑り落ちていきやすくすることができる。
【0090】
また、第2実施形態では、上記のように、配置領域80の一方側(X1側)の端部の近傍から、一方側の端部と対向する端部(X2側の端部)の近傍まで延びるように各インク溜め用凹部170の開口部171を形成する。これにより、1つの各インク溜め用凹部170の容量を大きくすることができるので、配置領域80に配置される各インク溜め用凹部170の数を減らすことができる。その結果、各インク溜め用凹部170を形成しやすくすることができる。
【0091】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0092】
[第3実施形態]
次に、
図1および
図9〜
図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、インク受け部に略矩形形状の開口部を有するインク溜め用凹部が設けられる例であって、上記第2実施形態とは異なる例について説明する。なお、上記第1または第2実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0093】
(印刷装置の構成)
本発明の第3実施形態による印刷装置300は、
図1に示すように、プラテン部250を備える点で、上記第1実施形態の印刷装置100と相違する。
【0094】
図1、
図9および
図10に示すように、プラテン部250には、インク受け部252が一体的に設けられている。
【0095】
第3実施形態では、
図9および
図10に示すように、インク受け部252の凹部60の底部62には、インク溜め用凹部群290が設けられている。インク溜め用凹部群290は、複数のインク溜め用凹部270により構成されている。なお、インク溜め用凹部群290は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部270は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部群290のインク溜め用凹部270は、大気圧(および表面張力)によりインクを保持することが可能な大きさを有する。インク溜め用凹部270は、
図9〜
図11に示すように、平面視で略矩形形状を有する開口部271および底部272と、開口部271と底部272とを接続する壁部273とを有している。印刷装置300では、印刷ヘッド10から被記録媒体101をはみ出して吐出されたインクが、開口部271からインク溜め用凹部270内に進入し、底部272および壁部273により区画される空間に溜まる。
【0096】
第3実施形態では、
図9および
図10に示すように、インク溜め用凹部270の深さ(開口部271から底部272までの長さ)D7は、略矩形形状を有する開口部271の短辺の長さD8よりも大きい。具体的には、インク溜め用凹部270の深さD7は、略矩形形状を有する開口部271の短辺のD8の2倍よりも大きい。なお、略矩形形状を有する開口部271の短辺の長さD8は、特許請求の範囲の「平面視におけるインク溜め用凹部の開口部の最短幅」の一例である。
【0097】
また、第3実施形態では、
図10および
図11に示すように、インク溜め用凹部270の壁部273は、開口部271から底部272に向けて先細る形状を有している。具体的には、インク溜め用凹部270の壁部273は、略矩形形状を有する開口部271から、略矩形形状を有する底部272に向けて、4つの辺の長さが徐々に小さくなるように(徐々に窄むように)形成されている。
【0098】
また、インク溜め用凹部270の底部272は、水平方向に沿って平坦面状に形成されている。すなわち、インク溜め用凹部270では、開口部271と底部272と壁部273とによって、略角錐台状の空間が形成されている。この略角錐台状の空間内に、インクが溜まる。また、インク溜め用凹部270は、縦断面(ZY平面における断面)が、台形形状を有している。
【0099】
また、
図9に示すように、略矩形形状を有する開口部271は、配置領域80において、配置領域80のY1側の端部(Y1側においてX方向に沿って延びる辺)の近傍から、このY1側の端部と対向するY2側の端部(Y2側においてX方向に沿って延びる辺)の近傍まで、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。すなわち、第3実施形態では、上記第2実施形態のインク溜め用凹部170よりも大きいインク溜め用凹部270が配置領域80に形成されている。
【0100】
また、第3実施形態では、複数のインク溜め用凹部270は、インク受け部252における配置領域80において、平面視で印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)に沿って、略等距離間隔で配列されている。また、インク溜め用凹部群290(複数のインク溜め用凹部270)は、配置領域80の略全領域にわたって設けられている。なお、Y方向は、特許請求の範囲の「所定の方向」の一例である。
【0101】
また、
図10に示すように、隣接するインク溜め用凹部270の間の距離D9は、略矩形形状を有する開口部271の短辺の長さD8よりも小さい。すなわち、隣接するインク溜め用凹部270は、配置領域80において、互いに十分に近接するように(隣接するインク溜め用凹部270の間に平坦部分が極力生じないように)配列されている。
【0102】
また、第3実施形態では、
図9に示すように、印刷ヘッド10の移動方向(Y方向)におけるインク溜め用凹部群290全体の幅W4(インク溜め用凹部290のY方向の幅)は、印刷ヘッド10の移動方向におけるプラテン部50の複数の支持面(リブ51の上面)全体の幅W2よりも大きい。すなわち、インク溜め用凹部群290は、印刷ヘッド10の移動方向において、プラテン部50の複数の支持面よりも外側まで形成されている。
【0103】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0105】
第3実施形態では、上記のように、配置領域80の長手方向における一方側(Y1側)の端部の近傍から、長手方向における一方側の端部と対向する端部(Y2側の端部)の近傍まで延びるように各インク溜め用凹部270の開口部271を形成する。これにより、1つの各インク溜め用凹部270の容量をより大きくすることができるので、配置領域80に配置される各インク溜め用凹部270の数をより減らすことができる。その結果、各インク溜め用凹部270をより形成しやすくすることができる。
【0106】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0107】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0108】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、インク溜め用凹部が、開口部から底部に向けて先細る形状を有している例を示したが本発明は、これに限られない。本発明では、インク溜め用凹部が、開口部から底部に向けて先細る形状以外の形状を有していてもよい。
【0109】
たとえば、
図12および
図13に示すように、第1実施形態の第1変形例では、プラテン部350には、インク受け部352が一体的に設けられている。インク受け部352には、複数のインク溜め用凹部370により構成されるインク溜め用凹部群390が設けられている。なお、インク溜め用凹部群390は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部370は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部370は、平面視で略円形状を有する開口部371および底部372と、開口部371と底部372とを接続する壁部373とを有している。第1実施形態の第1変形例では、インク溜め用凹部370の壁部373は、開口部371から底部372に向けて、上下方向(Z方向)に沿って延びる形状を有している。また、インク溜め用凹部370の底部372は、水平方向に沿って平坦面状に形成されている。すなわち、第1実施形態の第1変形例のインク溜め用凹部370では、開口部371と底部372と壁部373とによって、略円柱状の空間が形成されている。また、略円柱状の空間が形成されたインク溜め用凹部370は、配置領域80の略全領域にわたって設けられている。
【0110】
また、
図14および
図15に示すように、第1実施形態の第2変形例では、プラテン部450には、インク受け部452が一体的に設けられている。インク受け部452には、複数のインク溜め用凹部470により構成されるインク溜め用凹部群490が設けられている。なお、インク溜め用凹部群490は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部470は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部470は、平面視で略円形状を有する開口部471および底部472と、開口部471と底部472とを接続する壁部473とを有している。第1実施形態の第2変形例では、インク溜め用凹部470の壁部473は、開口部471から後述する第2壁部分473bに向けて先細る形状を有する第1壁部分473aと、第1壁部分473aの下端から底部473まで上下方向(Z方向)に沿って延びる形状を有する第2壁部分473bとを有している。壁部473の第1壁部分473aは、第1実施形態の第1変形例に示す開口部371(
図12および
図13参照)の角部を面取りすることにより、形成されている。すなわち、第1実施形態の第2変形例によるインク溜め用凹部470は、第1実施形態の第1変形例によるインク溜め用凹部370の開口部371を面取りしてなるものである。これにより、第1実施形態の第2変形例では、開口部471が大きくなるので、インク溜め用凹部470内にインクを進入しやすくすることができるとともに、インク受け部470においてインク溜め用凹部470が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクをインク溜め用凹部470に確実に溜めることができる。なお、開口部471は、特許請求の範囲の「面取りされた開口部」の一例である。
【0111】
また、
図16および
図17に示すように、第2実施形態の第1変形例では、プラテン部550には、インク受け部552が一体的に設けられている。インク受け部552には、複数のインク溜め用凹部570により構成されるインク溜め用凹部群590が設けられている。なお、インク溜め用凹部群590は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部570は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部570は、平面視で略矩形形状を有する開口部571および底部572と、開口部571と底部572とを接続する壁部573とを有している。第2実施形態の第1変形例では、インク溜め用凹部570の壁部573は、開口部571から底部572に向けて、上下方向(Z方向)に沿って延びる形状を有している。また、インク溜め用凹部570の底部572は、水平方向に沿って平坦面状に形成されている。すなわち、第2実施形態の第1変形例のインク溜め用凹部570では、開口部571と底部572と壁部573とによって、略直方体状の空間が形成されている。また、略直方体状の空間が形成されたインク溜め用凹部570が、配置領域80の略全領域にわたって設けられている。
【0112】
また、
図18および
図19に示すように、第2実施形態の第2変形例では、プラテン部650には、インク受け部652が一体的に設けられている。インク受け部652には、複数のインク溜め用凹部670により構成されるインク溜め用凹部群690が設けられている。なお、インク溜め用凹部群690は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部670は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部670は、平面視で略矩形形状を有する開口部671および底部672と、開口部671と底部672とを接続する壁部673とを有している。第2実施形態の第2変形例では、インク溜め用凹部670の壁部673は、開口部671から後述する第2壁部分673bに向けて先細る形状を有する第1壁部分673aと、第1壁部分673aの下端から底部672まで上下方向(Z方向)に沿って延びる形状を有する第2壁部分673bとを有している。壁部673の第1壁部分673aは、第2実施形態の第1変形例に示す開口部571(
図16および
図17参照)の角部を面取りすることにより、形成されている。すなわち、第2実施形態の第2変形例によるインク溜め用凹部670は、第2実施形態の第1変形例によるインク溜め用凹部570の開口部571を面取りしてなるものである。これにより、第2実施形態の第2変形例では、開口部671が大きくなるので、インク溜め用凹部670内にインクを進入しやすくすることができるとともに、インク受け部670においてインク溜め用凹部670が形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクをインク溜め用凹部670に確実に溜めることができる。なお、開口部671は、特許請求の範囲の「面取りされた開口部」の一例である。
【0113】
また、上記第1〜第3実施形態では、インク溜め用凹部の深さが、平面視におけるインク溜め用凹部の開口部の最短幅(開口部の直径または開口部の短辺の長さ)よりも大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、十分にインクを溜めることが可能であれば、インク溜め用凹部の深さが、平面視におけるインク溜め用凹部の開口部の最短幅以下であってもよい。
【0114】
また、上記第1実施形態では、インク溜め用凹部の開口部が略円形状を有し、上記第2および第3実施形態では、インク溜め用凹部の開口部が略矩形形状を有した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク溜め用凹部の開口部が、略円形状または略矩形形状以外の形状を有していてもよい。たとえば、インク溜め用凹部の開口部が、矩形以外の多角形状を有していてもよいし、楕円形状を有していてもよい。
【0115】
また、上記第1〜第3実施形態では、インク溜め用凹部が、インク受け部における配置領域において、平面視で所定の方向(X方向またはY方向)に沿って配列されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク溜め用凹部が、インク受け部における配置領域において、平面視で所定の方向に沿って配列されてなくてもよい。たとえば、インク溜め用凹部が、インク受け部における配置領域において、不規則に配置されていてもよい。
【0116】
また、上記第1〜第3実施形態では、インク受け部に、同一種類(同一形状)のインク溜め用凹部が、複数設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク受け部に、互いに異なる種類(互いに異なる形状)のインク溜め用凹部が、複数設けられてもよい。
【0117】
たとえば、
図20に示すように、第1実施形態の第3変形例では、プラテン部750には、インク受け部752が一体的に設けられている。インク受け部752には、インク溜め用凹部群790が設けられている。インク溜め用凹部790は、互いに開口部の最短幅が異なる2種類のインク溜め用凹部770aおよび770bにより構成されている。なお、インク溜め用凹部群790は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部770aおよび770bは、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部770aは、平面視で略円形状を有する開口部771aを有している。また、インク溜め用凹部770bは、開口部771aの最短幅よりも大きい最短幅の開口部771bを有している。これにより、各凹部770aおよび770bを容易に密に配置することができる。その結果、各凹部770aおよび770bが形成されていない部分の面積を減少させることができるので、印刷ヘッドから吐出されたインクを各凹部770aおよび770bに確実に溜めることができる。なお、第1実施形態の第3変形例では、インク受け部752に、互いに異なる2種類のインク溜め用凹部770aおよび770bが設けられた例を示したが、本発明では、インク受け部に、互いに異なる3種類以上のインク溜め用凹部が設けられてもよい。
【0118】
また、上記第1〜第3実施形態では、インク溜め用凹部の底部が、平坦面状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク溜め用凹部の底部が、平坦面状以外の形状に形成されていてもよい。たとえば、上記第1〜第3実施形態のように、インク溜め用凹部が開口部から底部に向けて先細る形状を有する場合には、底部が下方に向けて尖る形状に形成されていてもよい。
【0119】
また、上記第1〜第3実施形態では、プラテン部およびインク受け部が、筐体と一体的に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プラテン部およびインク受け部が、筐体と一体的に形成されていなくてもよい。たとえば、筐体とは別個に、プラテン部とインク受け部とが一体的に形成されていてもよい。また、筐体およびプラテン部とは別個に、インク受け部(インク受け部材)が独立して形成されていてもよい。
【0120】
また、上記第1〜第3実施形態では、インク溜め用凹部が、配置領域の略全領域にわたって設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク溜め用凹部が、配置領域の略全領域にわたって設けられていなくてもよい。すなわち、配置領域に、インク溜め用凹部が設けられていない領域があってもよい。
【0121】
また、上記第1実施形態では、略円形状を有するインク溜め用凹部の開口部の直径が、1.0mm以上2.5mm以下である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インク溜め用凹部を形成することが可能であれば、略円形状を有するインク溜め用凹部の開口部の直径が、1.0mmよりも小さくてもよい。また、大気圧によりインク溜め用凹部内にインクを保持することが可能であれば、略円形状を有するインク溜め用凹部の開口部の直径が、2.5mmよりも大きくてもよい。
【0122】
また、上記第1実施形態では、複数のインク溜め用凹部が、配置領域において、複数の列、および複数の行を有するように、マトリクス状に配列されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、
図21に示すプラテン部850のように、複数のインク溜め用凹部870を、ハニカム状に配列してもよい。プラテン部850には、インク受け部852が一体的に設けられている。インク受け部852には、複数のインク溜め用凹部870により構成されるインク溜め用凹部群890が設けられている。なお、インク溜め用凹部群890は、特許請求の範囲の「凹部群」の一例である。また、各インク溜め用凹部870は、特許請求の範囲の「各凹部」の一例である。インク溜め用凹部870は、平面視で略正六角形形状を有する開口部871を有している。インク溜め用凹部870は、ハニカム状になるように、X方向およびY方向に沿って配列されている。