特開2017-177514(P2017-177514A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-177514(P2017-177514A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/337 20060101AFI20170908BHJP
   B41M 5/28 20060101ALI20170908BHJP
   B41M 5/30 20060101ALI20170908BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   B41M5/18 101F
   B41M5/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-67579(P2016-67579)
(22)【出願日】2016年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】星野 明夫
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026AA28
2H026BB15
2H026BB25
2H026CC05
2H026CC07
2H026DD04
2H026DD32
2H026DD48
2H026DD57
2H026EE03
2H026FF01
2H026FF15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録画像の画質と発色感度に優れた感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体と、支持体上に設けられた顔料とバインダーとを主成分として、更に分散剤を含有する下塗り層と、下塗り層上に設けられた無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、この下塗り層が含有する顔料が、紡錘形状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成して成るロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであり、その嵩密度が240g/L以下であり、該下塗り層が含有する分散剤が、ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、該支持体上に設けられた、顔料とバインダーとを主成分として、更に分散剤を含有する下塗り層、該下塗り層上に設けられた、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層、を有する感熱記録体において、該下塗り層が含有する顔料が、紡錘形状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成して成るロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであり、その嵩密度が240g/L以下であり、該下塗り層が含有する分散剤が、ポリアクリル酸ナトリウムである感熱記録体。
【請求項2】
前記嵩密度が150〜220g/Lである請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記下塗り層に含まれるバインダーが水溶性樹脂と非水溶性樹脂とから成り、水溶性樹脂/非水溶性樹脂の重量比が35/100以下である請求項1又は2に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記下塗り層に含まれるバインダーが水溶性樹脂と非水溶性樹脂とから成り、水溶性樹脂/非水溶性樹脂の重量比が3〜30/100である請求項1又は2に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記水溶性樹脂がポリビニルアルコール類である請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項6】
前記非水溶性樹脂がスチレン−ブタジエン系樹脂である請求項1〜5のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項7】
前記ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムが、前記下塗り層が含有する全顔料の70重量%以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)と電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)との発色反応を利用した感熱記録体であって、記録画像の画質と発色感度に優れた感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料とフェノール性化合物等の電子受容性顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。現在、感熱記録体はファクシミリ用、コンピューターの端末プリンタ用、自動券売機用、計測用レコーダー用、スーパーマーケットやコンビニなどのレシート用、各種ラベル用、チケット用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用等の記録媒体として広範囲に使用されている。
近年、ハンディターミナルなど記録機器の小型化が進んでおり、より低印加エネルギーで発色する、すなわち発色感度が良好な感熱記録体に対する要求が大きくなってきている。また、ラベル、チケット用などではバーコード読み取り適性が求められるため、低濃度から高濃度に至るいずれの領域においても高画質の印字画像が得られること、即ち、記録画像の画質が良好であることが求められている。
このような要求に対し、支持体と感熱記録層との間に無機顔料やプラスチック粒子を含有する下塗り層を設けて、発色感度や印字走行性を改善することが提案されている(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−162446
【特許文献2】特開2012−076228
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、支持体と感熱記録層との間に下塗り層を設けて、下塗り層の構成により感熱記録体の記録画像の画質と発色感度を改善することを検討した。
そこで、本発明は、記録画像の画質と発色感度に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、感熱記録体の支持体と感熱記録層との間に下塗り層を設け、この下塗り層に、顔料として紡錘形状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成し、特徴あるロゼッタ型形状を有する軽質炭酸カルシウムを含有させ、その嵩密度を特定の嵩密度に限定すると共に、特定の構造の分散剤を含有させることによって、記録画像の画質と発色感度が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明で使用するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムは、特定の形状と嵩密度を有しており、このような顔料を含有する下塗り層は断熱性が高く、感熱記録層から支持体側への熱の伝達を効果的に阻害するため、発色感度が優れると考えられる。
さらに、一般に炭酸カルシウムの分散液は安定性が低く凝集、沈降が起こりやすいため、下塗り層の顔料として炭酸カルシウムを使用すると下塗り層の均一性が劣る。下塗り層の均一性が劣ると下塗り層の断熱性も不均一になるため、サーマルヘッド等により感熱記録層に均一な熱エネルギーを与えても、断熱性が高い部分は印字濃度が高く、断熱性の低い部分は印字濃度が低くなる。この印字濃度の差が発色ムラとなって現れるため、記録画像の画質が劣ると考えられる。
しかし、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを含有させると、炭酸カルシウムの分散液の凝集、沈降が効果的に抑制され、下塗り層の均一性が向上して記録画像の画質が改善されると共に、感熱記録層から支持体側への熱の伝達を均一に阻害するため、発色感度も改善されると考えられる。
【0006】
すなわち、本発明は、支持体、該支持体上に設けられた、顔料とバインダーとを主成分として、更に分散剤を含有する下塗り層、該下塗り層上に設けられた、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層、を有する感熱記録体において、該下塗り層が含有する顔料が、紡錘形状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成して成るロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであり、その嵩密度が240g/L以下であり、該下塗り層が含有する分散剤が、ポリアクリル酸ナトリウムである感熱記録体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の感熱記録体は、支持体、この支持体上に設けられた下塗り層、及びこの下塗り層上に設けられた感熱記録層から成る。
この下塗り層は、顔料とバインダーとを主成分として、更に分散剤を含有し、この顔料は、紡錘形状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成して成るロゼッタ型軽質炭酸カルシウムである。
また、このロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの嵩密度は240g/L以下であり、好ましくは150〜220g/Lである。この嵩密度は、JIS−K−5101−12−1(顔料試験方法−第12部:見掛け密度又は見掛け比容−第1節:静置法)に従って測定する。
また、この分散剤はポリアクリル酸ナトリウムである。
【0008】
本発明で使用するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムは、紡錘形状の軽質炭酸カルシウムの一次粒子が放射状に凝集して、二次粒子を形成して成るものであり、放射状とは、例えば上記二次粒子の中心近傍から、各一次粒子の長手方向が放射状に伸びたものを指す。
本発明で使用するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムは、例えば、Specialty Minerals Inc.社製アルバカーLO(嵩密度:210g/L)や奥多摩工業社製TP221BM(嵩密度230g/L)等として入手可能である。
なお、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを、ボールミル、アトライター、サンドグライダー等の公知の粉砕装置による粉砕処理を施して使用してもよい。
【0009】
本発明の下塗り層には、本発明のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム以外の顔料を用いてもよい。ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム以外の顔料として、例えば、不定形状の二次粒子を形成して成る軽質炭酸カルシウム、針状の一次粒子が放射状に凝集して二次粒子を形成して成る毬栗状の軽質炭酸カルシウム、二次粒子を形成せず、紡錘形状、針状、柱状、角状、球状等の形状の一次粒子から成る軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、(焼成)カオリン、クレー、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。これらの顔料は単独又は2種以上混合して使用することもできる。
下塗り層が、本発明のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム以外の顔料を含有する場合、本発明のロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの含有量は、下塗り層が含有する全顔料(本発明のロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを含む)の50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が特に好ましい。
【0010】
本発明の下塗り層に、更に有機中空粒子を含有させると、下塗り層の断熱性が向上して、発色感度に優れた感熱記録体が得られるため好ましい。
本発明で使用する有機中空粒子は、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有するものであり、既に発泡状態となっている微小中空粒子である。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、あるいはこれらの共重合体を挙げることが可能である。特にポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸エステルやポリアクリルニトリル等のアクリル系樹脂、これらの共重合体、あるいはポリ塩化ビニリデンとポリアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。このような有機中空粒子は、具体的にはJSR社製商品名SX8782、日本ゼオン社製商品名MH5055、MH8103K、ローム&ハースジャパン社製商品名ローペイクHP−91等として入手可能である。
【0011】
有機中空粒子の中空率は40〜90%が好ましく、45〜90%がより好ましい。中空率が40%未満であると断熱性が不十分となり、サーマルヘッド等からの熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録体の外へ放出されやすいため、白紙部の耐熱変色性や発色感度に対して十分な効果が得られないことがある。
ここで、中空率とは、中空粒子の外径と内径から算出され、中空率=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)で示される。
【0012】
有機中空粒子の平均粒子径は0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。平均粒子径が10μmより大きいと、下塗り層上に形成される感熱記録層表面の平滑性が低下し、感熱記録体とサーマルヘッド等との密着性が低下するため十分な効果が得られないことがある。また、平均粒子径が0.5μmより小さいと、中空粒子に含有される上記気体の量が少ないため、十分な効果が得られないことがある。
ここで、平均粒子径とは、粒子を径により2つに区分した際、大きい側と小さい側の粒子が等量(体積基準)となるメジアン径d50で示され、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。
【0013】
下塗り層で使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類などの水溶性樹脂;ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂、(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分から成るアクリル系樹脂、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン及び、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸などのオレフィンと共重合体可能な単量体成分から成るポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリスチロース及びそれらの共重合体、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などの非水溶性樹脂を例示することができる。
これらの中で、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール類、セルロースエーテル及びその誘導体、澱粉類が好ましく、ポリビニルアルコール類がより好ましい。水溶性樹脂は水などの溶媒に溶解して使用することができる。
また、非水溶性樹脂としては、スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、スチレン−ブタジエン系樹脂がより好ましい。非水溶性樹脂は、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散したエマルションとして使用することができる。
これらのバインダーは、要求品質に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0014】
本発明の下塗り層に使用するバインダーとして、水溶性樹脂と非水溶性樹脂とを一定比率で併用することが好ましい。
水溶性樹脂/非水溶性樹脂の重量比(固形分)は、好ましくは35/100以下、より好ましくは3/100〜30/100、更に好ましくは3/100〜20/100である。
水溶性樹脂/非水溶性樹脂の重量比が35/100を超えて大きくなると、耐熱変色性、印字画質、耐ヘッドカス性が低下する傾向がある(後記の実施例参照)。
また、水溶性樹脂が3/100未満であると、後述のマイグレーションの抑止効果が十分に得られず、塗工層の強度が低下することがある。
【0015】
ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂は、一般的に粘性や保水性が高く、本発明の特定の形状と嵩密度を有する顔料を含有する下塗り層の空隙に浸透、定着しやすい。そのため、下塗り層の空隙を埋めてしまい、断熱性を低下させると考えられる。
一方、スチレン−ブタジエン系樹脂などの非水溶性樹脂は、一般的に粘性や保水性が低く、本発明の特定の形状と嵩密度を有する顔料を含有する下塗り層を貫通して支持体にまで浸透してしまう、いわゆるマイグレーションが発生しやすい。
水溶性樹脂と非水溶性樹脂の配合比を適度に調整して併用することにより、マイグレーションを抑制しながら下塗り層を嵩高(低密度)状態とすることができ、良好な記録画像の画質と発色感度を得ることができると考えられる。
【0016】
下塗り層で使用する分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウムである。
本発明においては、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを使用するが、ポリアクリル酸ナトリウム以外の分散剤を併用してもよい。
このような分散剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム、脂肪酸金属塩などを例示することができる。
本発明において、分散剤は全量ポリアクリル酸ナトリウムであることが好ましいが、ポリアクリル酸ナトリウム以外の分散剤を併用する場合、分散剤中のポリアクリル酸ナトリウムの重量割合は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、85重量%以上が更に好ましい。
【0017】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、下塗り層に可塑剤、増粘剤、界面活性剤、活剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、撥水撥油剤等の各種助剤を使用することができる。
【0018】
下塗り層で使用する顔料、有機中空粒子、バインダーの量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、下塗り層の全固形分100重量部に対して、顔料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムとロゼッタ型軽質炭酸カルシウム以外の顔料の合計)は固形分で50〜95重量部であり、好ましくは70〜90重量部である。また、下塗り層の全固形分100重量部に対する有機中空粒子の含有量は、好ましくは固形分で1〜18重量部、より好ましくは3〜15重量部である。有機中空粒子の含有量を多くすると発色感度が向上する傾向が見られるが、含有量が18重量部を超えると、サーマルヘッド等にカスが付着して、印字走行性(耐ヘッドカス性)が低下することがある。バインダーの含有量は、好ましくは固形分で7〜30重量部、より好ましくは10〜25重量部である。
また、下塗り層で使用する分散剤の量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウムとポリアクリル酸ナトリウム以外の分散剤の合計)の含有量は、下塗り層が含有する顔料100重量部に対して、好ましくは固形分で0.10〜0.24重量部であり、より好ましくは0.15〜0.20重量部である。分散剤の含有量が0.24重量部を超えると、顔料分散液の粘度が低くなりすぎて下塗り層塗工液の塗工時に所望の塗工量が得られにくくなると共に、過剰な分散剤がかえって顔料分散液の安定性を低下させ、顔料の再凝集や沈降が起こりやすくなることがある。
【0019】
本発明において、支持体及び支持体上に下塗り層を塗工する手段は特に限定されるものではなく、紙、再生紙、プラスチックフィルム、合成紙等の適当な材質の支持体上に、周知慣用技術に従って塗工することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機、オンマシン塗工機から適宜選択、使用可能であるが、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター等のブレード塗工機を使用すると、高濃度での塗工が可能であるため下塗り層塗工液が支持体に浸透しにくく、均一な下塗り層が形成されるため好ましい。
下塗り層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、一般的な塗工量は固形分で1〜15g/m程度である。
【0020】
次に、本発明の感熱記録体の感熱記録層で使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤、顔料、分散剤などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することが可能である。
【0021】
顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものがすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2’−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、WO02/081229号あるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−214として入手可能であり、特開2003−154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY−224として入手可能であり、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達(株)製商品名D−90として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0022】
ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0023】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0024】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0025】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕、3,6,6’−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕
【0026】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0027】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3’−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2’,2’,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2’,2’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0028】
増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4’−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドなどを例示することができる。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
顔料としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられ、要求品質に応じて併用することもできる。
【0030】
バインダーとしては、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0031】
架橋剤としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等のエピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミド尿素系樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素系樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、又はポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等のポリアミン/ポリアミド系樹脂、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
【0032】
分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウムなど下塗り層で使用する分散剤を適宜使用することができる。
【0033】
滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0034】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、画像部の耐油性等を向上させる安定剤として、4,4’−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0035】
本発明の感熱記録層で使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.1〜10重量部、顔料0.5〜20重量部、安定化剤0.01〜10重量部、その他の成分0.01〜10重量部程度を使用する。バインダーは感熱記録層固形分中5〜25重量%程度が適当である。
【0036】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数μm以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。この塗工液に用いる溶媒としては水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は20〜40重量%程度である。
【0037】
本発明の感熱記録体は、支持体上に下塗り層とこの下塗り層上に設けられた感熱記録層とを有するが、適宜下塗り層、感熱記録層以外の層を設けてもよい。例えば、感熱記録層上に保護層、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層などを設けることができる。
【0038】
本発明において、下塗り層以外の塗工層、即ち、感熱記録層、保護層、バックコート層などを塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
下塗り層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m程度であり、保護層の塗工量は固形分で0.5〜5.0g/mが好ましい。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。各種分散液、あるいは塗工液を以下のように調製した。
【0040】
[実施例1]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、顔料分散液を調製した。
<顔料分散液1>
ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(Specialty Minerals Inc.
社製、商品名:アルバカーLO、嵩密度:210g/L) 100.0部
分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50、ポリアクリル酸ナトリウム、
固形分40%) 0.45部
水 170.0部
【0041】
次いで、下記の割合で顔料分散液と配合物を混合して下塗り層塗工液を調製した。
<下塗り層塗工液1>
顔料分散液1 270.5部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 40.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 30.0部
【0042】
次いで、下塗り層塗工液1を支持体(坪量60g/mの上質紙)の片面に、塗工量が固形分で10.0g/mとなるようにベントブレードコーターで塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
【0043】
下記配合の顕色剤分散液(A液)及びロイコ染料分散液(B液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径が0.5μmになるまで湿式磨砕を行った。
顕色剤分散液(A液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン
(エーピーアイコーポレーション社製、商品名:NYDS) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 18.8部
水 11.2部
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成社製、
商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 4.6部
水 2.6部
【0044】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層塗工液を調製した。
<感熱記録層塗工液1>
顕色剤分散液(A液) 36.0部
ロイコ染料分散液(B液) 13.2部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 25.0部
水酸化アルミニウム(昭和電工社製、商品名:ハイジライトH−32、
50%分散液) 12.0部
【0045】
次いで、前記下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層塗工液1を塗工量が固形分で2.5g/mとなるようにロッドブレードコーターで塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録体を得た。
【0046】
[実施例2]
顔料分散液1の分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50、ポリアクリル酸ナトリウム、固形分40%)の配合量を0.25部として、水の配合量を170.2部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
顔料分散液1の分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50、ポリアクリル酸ナトリウム、固形分40%)の配合量を0.38部として、水の配合量を170.1部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例4]
顔料分散液1の分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50、ポリアクリル酸ナトリウム、固形分40%)の配合量を0.50部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例5]
顔料分散液1の分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50、ポリアクリル酸ナトリウム、固形分40%)の配合量を0.63部として、水の配合量を168.8部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0047】
[実施例6]
顔料分散液1のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカーLO)100.0部をロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、商品名:TP221BM、嵩密度230g/L)100.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0048】
[実施例7]
下塗り層塗工液1に代えて下塗り層塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
<下塗り層塗工液2>
顔料分散液1 216.4部
有機中空粒子(ロームアンドハース社製、商品名:HP1055、
平均粒子径(d50)1.0μm、中空率50%) 20.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 40.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 30.0部
【0049】
[比較例1]
顔料分散液1のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカーLO)100.0部をロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(Specialty Minerals Inc.社製、商品名:アルバカー5970、嵩密度:250g/L)100.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
顔料分散液1のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカーLO)100.0部をロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカー5970)100.0部とした以外は、実施例7と同様にして感熱記録体を作製した。
【0050】
[比較例3]
顔料分散液1のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカーLO)100.0部を焼成クレー(BASF社製、商品名:アンシレックス93)100.0部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0051】
[比較例4]
顔料分散液1に代えて顔料分散液3を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
<顔料分散液3>
ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(Specialty Minerals Inc.
社製、商品名:アルバカーLO、嵩密度:210g/L) 100.0部
水 170.5部
【0052】
[比較例5]
顔料分散液1に代えて顔料分散液4を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
<顔料分散液4>
ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(Specialty Minerals Inc.
社製、商品名:アルバカーLO、嵩密度:210g/L) 100.0部
分散剤(サンノプコ株式会社製、商品名:SNディスパーサント5041、
ポリカルボン酸ナトリウム、固形分40%) 0.45部
水 170.0部
[比較例6]
顔料分散液1に代えて顔料分散液5を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
<顔料分散液5>
ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(Specialty Minerals Inc.
社製、商品名:アルバカーLO、嵩密度:210g/L) 100.0部
分散剤(サンノプコ株式会社製、商品名:ローマD、
高縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム、固形分100%) 0.18部
水 170.3部
【0053】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色感度(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.21mJ/dot、印字速度50mm/secでベタ印字した。ベタ印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色感度を評価した。
【0054】
<記録画像の画質>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.15mJ/dot、印字速度50mm/secでベタ印字した。ベタ印字部を目視にて観察し、下記の基準で記録画像の画質を評価した。評価が◎、○であれば実用上問題はない。
◎:白抜け部分がほとんど観察されない。
○:多少白抜け部分が観察されるが、全体としてはベタとなっている。
△:白抜け部分が観察される。
×:白抜け部分が多い。
【0055】
評価結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
*表中、PVA/SBR(%)は、SBR(スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス)に対するPVA(完全ケン化型ポリビニルアルコール)の重量割合(固形分%)を表す。