【解決手段】熱可塑性樹脂(a)からなる樹脂層(A)と、該樹脂層(A)の少なくとも一方の面に積層された熱可塑性樹脂(b)からなる樹脂層(B)と、該樹脂層(B)上に形成されたハードコート層とを有する積層体であって、該樹脂層(B)の鉛筆硬度がF以上であり、該ハードコート層が紫外線吸収剤を1〜50質量%含む積層体。
熱可塑性樹脂(a)からなる樹脂層(A)と、該樹脂層(A)の少なくとも一方の面に積層された該熱可塑性樹脂(a)とは異なる熱可塑性樹脂(b)からなる樹脂層(B)とを有する基材と、該基材の該樹脂層(B)上に形成されたハードコート層とを有する積層体であって、
該樹脂層(B)の鉛筆硬度がF以上であり、該ハードコート層が紫外線吸収剤を1〜50質量%含む積層体。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂(a)からなる樹脂層(A)と、該樹脂層(A)の少なくとも一方の面に積層された、熱可塑性樹脂(a)とは異なる樹脂である熱可塑性樹脂(b)からなる樹脂層(B)とを有する基材(以下、「本発明の基材」と称す場合がある。)と、該基材の該樹脂層(B)上に形成されたハードコート層とを有する積層体であって、該樹脂層(B)の鉛筆硬度がF以上であり、該ハードコート層が紫外線吸収剤を1〜50質量%含むことを特徴とする。
【0024】
なお、本発明において、「熱可塑性樹脂(a)からなる樹脂層(A)」とは、樹脂層(A)が熱可塑性樹脂(a)を樹脂成分として形成されていることを意味するものであり、樹脂層(A)は、本発明の目的を損なうことのない範囲で、熱可塑性樹脂(a)以外に、後述の熱可塑性樹脂に一般的に使用される各種の添加剤を含有していてもよい。「熱可塑性樹脂(b)からなる樹脂層(B)」についても同様である。
また、本発明の積層体は、樹脂層(A)、樹脂層(B)及びハードコート層以外の層を有していてもよい。ただし、ハードコート層と樹脂層(B)との間に他の層を介する場合は、樹脂層(B)によるハードコート層の硬度向上効果を得る上で、ハードコートの表面硬度を低下させることがない層とすることが望ましい。
【0025】
[作用機構]
本発明によれば、以下の通り、表面硬度と耐候性に共に優れた積層体とすることができる。
即ち、通常最表層となるハードコート層に紫外線吸収剤を多量に含むことにより、優れた耐候性を得ることができる。このようにハードコート層に紫外線吸収剤を多く配合した場合、紫外線硬化型のハードコートにおいてはハードコート層の紫外線硬化反応が阻害され、硬度が低下する傾向があるが、本発明の積層体では、ハードコート層の下層の樹脂層(B)が高硬度であることにより、ハードコート層の硬度を補償し、表面硬度の高い積層体とすることができる。
また、前述の通り、従来法では、ハードコート層のみで表面硬度を担うため、ハードコート層が硬くなり過ぎ、クラックが入ったり、ハードコート層が剥離したりすることがあるが、本発明では、ハードコート層の硬度を過度に高くする必要はないため、このような問題は解消される。
【0026】
[樹脂層(A)]
樹脂層(A)を構成する熱可塑性樹脂(a)は、ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましく、とりわけビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
【0027】
<ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂>
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(以下「A−PC」と略記する場合がある。)は、原料のジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールA、すなわち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとカーボネート前駆体とから製造されるものである。
【0028】
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0029】
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
【0030】
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
【0031】
A−PCは、ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物を併用した共重合ポリカーボネート樹脂であってもよい。ビスフェノールA以外の他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル等の芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0032】
共重合ポリカーボネート樹脂とする場合は、ビスフェノールA由来の成分が50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、中でも90モル%以上、特には95モル%以上であることが好ましい。
またA−PCは、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
【0033】
A−PCの製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
【0034】
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
【0035】
A−PCの粘度平均分子量(Mv)は、16,000〜28,000であることが好ましい。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きいポリカーボネート樹脂成形体が得られやすく、小さすぎると、耐面衝撃性が著しく低下しやすい傾向があり、大きすぎると溶融粘度が増大し射出成形が困難となりやすい傾向がある。A−PCの分子量の下限は、より好ましくは17,000、さらに好ましくは18,000であり、その上限はより好ましくは27,000である。
【0036】
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、以下のSchnellの粘度式から算出される値である。
η=1.23×10
−4Mv
0.83
【0037】
A−PCの末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これによりA−PCの滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたA−PCでは、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
【0038】
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
【0039】
樹脂層(A)を構成する熱可塑性樹脂(a)は、A−PCを50質量%以上含むことが好ましく、A−PCを70質量%以上含むことがより好ましく、A−PCを80質量%以上含むことが更に好ましく、A−PCを90質量%以上含むことが特に好ましく、とりわけ100質量%含むことが好ましい。即ち、樹脂層(A)は、必要に応じて用いられる後述の添加剤以外に、樹脂成分として実質的にA−PCのみを含むものであることが好ましい。
【0040】
なお、熱可塑性樹脂(a)がA−PC以外の樹脂を含む場合、その他の樹脂としては、A−PC以外のポリカーボネート樹脂や、スチレン系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0041】
熱可塑性樹脂(a)の好適な物性については後述する。
【0042】
<厚み>
樹脂層(A)の厚みは100μm〜20mmであることが好ましく、200μm〜15mmであることがより好ましく、300μm〜10mmであることがさらに好ましい。
樹脂層(A)の厚みが上記下限以上であると、耐衝撃性等の積層体の機械的強度や耐熱性を十分なものとすることができ、上記上限以下であると、積層体の厚みが厚くなり過ぎず、薄肉軽量化を図れる。
【0043】
[樹脂層(B)]
樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂(b)は、ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましく、とりわけ、表面硬度に優れる樹脂層(B)を形成できることから、以下に説明するビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。また、成形性を良好なものとするために、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂に加えて、上記のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
【0044】
<ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂>
熱可塑性樹脂(b)は、表面硬度に優れる樹脂層(B)を形成できることから、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(以下「ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂」と称し、「C−PC」と略記する場合がある。)を含むことが好ましい。
【0046】
(一般式(1)中、R
1はメチル基を示し、R
2及びR
3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示し、Xはアルキレン基又はアルキリデン基を示す。)
【0047】
上記一般式(1)において、R
1はメチル基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。R
2及びR
3は硬度の面からメチル基であることが好ましく、入手の容易性の面から水素原子であることが好ましい。
また、Xは、アルキレン基又はアルキリデン基であるが、アルキレン基としては炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。その例としては、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−へキシレン等を挙げることができる。
アルキリデン基としては、炭素数2〜10のアルキリデン基が好ましく、例えばエチリデン、2,2−プロピリデン、2,2−ブチリデン、3,3−ヘキシリデン等を挙げることができる。
Xは、アルキリデン基であるのが好ましく、2,2−プロピリデン基(即ち、イソプロピリデン基)が特に好ましい。
【0048】
C−PCとしての好ましい具体例としては、以下のイ)、ロ)のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
イ)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位を有するもの、即ち、R
1がメチル基、R
2とR
3が水素原子、Xがイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
ロ)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン構造単位、即ちR
1がメチル基、R
2とR
3がメチル基、Xがイソプロピリデン基である構造単位を有するもの、
上記のうち、特に上記イ)のポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0049】
これらC−PCは、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、ジヒドロキシ化合物として使用して製造することができる。
【0050】
C−PCは、一般式(1)で表される構造単位以外のカーボネート構造単位を有することもでき、例えば、下記一般式(2)で表される構造単位、あるいは後記するような他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有していてもよい。この際の一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位の共重合量は、通常60モル%以下であり、50モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらには30モル%以下、特には20モル%以下であることが好ましい。
【0052】
(式中、Xは前記一般式(1)におけるXと同義である。)
【0053】
上記一般式(2)で表されるポリカーボネート構造単位の好ましい具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノールA由来のカーボネート構造単位である。
【0054】
C−PCの粘度平均分子量(Mv)は、16,000〜28,000であることが好ましい。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、機械的強度が大きく、耐擦傷性のよいポリカーボネート樹脂成形体が得られやすく、小さすぎると、耐面衝撃性が著しく低下しやすい傾向にあり、大きすぎると溶融粘度が増大し射出成形が困難となりやすい傾向にある。C−PCの分子量の下限は、より好ましくは17,000、さらに好ましくは18,000、特に好ましくは20,000であり、その上限はより好ましくは27,000である。
【0055】
C−PCを製造する方法は、特に限定されるものではなく、前記A−PCの製造方法で説明したとおりである。
【0056】
樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂(b)は、C−PCを10質量%以上含むことが好ましく、C−PCを20質量%以上含むことがより好ましく、C−PCを30質量%以上含むことが更に好ましい。
【0057】
また、樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂(b)は、A−PCとC−PCとを合計で50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましく、とりわけ100質量%含むこと、即ち、樹脂層(B)は、必要に応じて用いられる後述の添加剤以外に、樹脂成分として実質的にA−PCとC−PCのみを含むものであることが好ましい。
【0058】
熱可塑性樹脂(b)に含まれるA−PCとC−PCの割合は、質量比で、A−PC:C−PC=80〜5:20〜95の範囲であることが好ましく、70〜10:30〜90の範囲であることがより好ましく、65〜15:35〜85の範囲であることが更に好ましい。A−PCとC−PCの割合をこの範囲とすることで、C−PCによる硬度の向上効果と、A−PCによる成形性の向上効果をバランスよく得ることができる。
【0059】
なお、熱可塑性樹脂(b)がC−PC及びA−PC以外の樹脂を含む場合、その他の樹脂としては、C−PC及びA−PC以外のポリカーボネート樹脂や、スチレン系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0060】
熱可塑性樹脂(b)の好適な物性については後述する。
【0061】
<厚み>
樹脂層(B)の厚みは50〜2000μmであることが好ましく、80〜1000μmであることがより好ましく、100〜500μmであることがさらに好ましい。
樹脂層(B)の厚みが上記下限以上であると、積層体の表面硬度を十分なものとすることができ、上記上限以下であると、積層体の耐熱性、耐衝撃性等の機械的強度の面で好ましい。
【0062】
[熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の物性]
<吸水率>
吸水による積層体の反りを防止する観点から、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)はいずれも吸水率が小さい方が好ましい。吸水率は共に0.3%以下であることが好ましく、0.25%以下であることがより好ましく、0.2%以下であることが更に好ましい。
【0063】
また、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の吸水率の差が大きいと、吸水による層(A)と層(B)の寸法変化の差異により、積層体に反りが発生し易くなったり、層(A)と層(B)とが剥離し易くなったりするため、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の吸水率の差は小さい方が好ましく、この吸水率差は0.05%以下、特に0.04%以下、とりわけ0.03%以下であることが好ましい。
【0064】
なお、ここで、熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)の吸水率とは、各樹脂のペレットを23℃の水中に24時間浸漬したときの重量変化から求められる値であり、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
【0065】
<線膨張係数>
熱膨張による積層体の反りを防止する観点から、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)はいずれも線膨張係数が小さい方が好ましい。線膨張係数は共に8.0×10
−5/℃以下であることが好ましく、7.8×10
−5/℃以下であることがより好ましく、7.5×10
−5/℃以下であることが好ましい。
【0066】
また、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の線膨張係数の差が大きいと熱膨張による、層(A)と層(B)の寸法変化の差異により、積層体に反りが発生し易くなったり、層(A)と層(B)とが剥離し易くなったりするため、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の線膨張係数の差は小さい方が好ましく、この線膨張係数差は0.5×10
−5/℃以下、特に0.4×10
−5/℃以下、とりわけ0.3×10
−5/℃以下であることが好ましい。
【0067】
なお、ここで、熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)の線膨張係数とは、各樹脂で成形した成形体については、ISO 11359−2に準拠して測定される値であり、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。線膨張係数は、通常成形時の樹脂流動方向(MD方向)と、MD方向に対し直角方向(TD方向)とで測定されるが、MD方向もTD方向も上記好適な線膨張係数の範囲内であることが好ましい。また、線膨張係数差については、MD方向の線膨張係数とTD方向の線膨張係数との平均値をとり、その線膨張係数の平均値の差が上記線膨張係数差以下であることが好ましい。
【0068】
[樹脂層(A)、樹脂層(B)の添加剤]
本発明の積層体を構成する樹脂層(A)、樹脂層(B)は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、各種の樹脂添加剤を含有していてもよい。
【0069】
樹脂添加剤としては、例えば、難燃剤、滴下防止剤、充填材、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
【0070】
[ハードコート層]
<ハードコート剤>
本発明の積層体のハードコート層を形成するためのハードコート剤としては、公知の材料を適宜使用することができ、例えば、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、シラザン系、ウレタン系などの種々の多官能モノマーや多官能プレポリマーを主成分とし、シリカ等の無機充てん剤と重合開始剤、紫外線吸収剤を溶剤に溶解させたものを用い、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、消泡剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、染料、顔料などの各種添加剤等を添加してもよい種々のハードコート剤を使用することができる。接着性や耐候性を向上させるために、ハードコート剤を塗布する前にプライマー層を設ける2コートタイプのハードコート剤であってもよい。
【0071】
<紫外線吸収剤>
ハードコート層に用いる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、サリシレート系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等の有機系紫外線吸収剤および、酸化亜鉛,酸化チタン,酸化セリウム,酸化鉄等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0072】
これらの具体例として、特に有機系の紫外線吸収剤においては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ペンチルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−s−ブチル−5’−t−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3−ドデシル−5’−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−1,1,3,3−テトラメチルブチル]−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールの反応物等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(メチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(エチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル−[(プロピル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ブチル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン類、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、フェニレン−1,3−ベンゾエート等のベンゾエート類、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2―イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等が挙げられる。また高分子化合物の側鎖に同様の構造のものを導入したものでもよい。
【0073】
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
ハードコート層の紫外線吸収剤の含有量は、1〜50質量%であり、好ましくは2〜20質量%であって、より好ましくは5〜10質量%である。
ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量が少な過ぎると、紫外線硬化型ハードコートにおいては紫外線吸収剤による耐候性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると紫外線硬化反応でハードコート層を形成する場合には、紫外線吸収剤が紫外線硬化反応を阻害し、高硬度のハードコート層を形成し得なくなる。
即ち、紫外線吸収剤は、紫外線硬化反応を阻害しないように、通常ハードコート層中に
1質量%以下のごく少量が用いられるが、本発明では、耐候性を優先させてハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量を従来よりも多くし、紫外線吸収剤を多くしたことによる硬度の低下をハードコート層の下層の高硬度の樹脂層(B)により補償するが、紫外線吸収剤の含有量が過度に多いと目的とする表面硬度が得られなくなるため、上記上限以下とする。
【0075】
<厚み>
ハードコート層の厚みは、樹脂層(B)との熱膨張差や収縮差による層剥離を防止した上で表面硬度を高める観点から、好ましくは5〜50μm、より好ましくは7〜30μmである。
【0076】
[積層体]
本発明の積層体は、前述の樹脂層(A)の少なくとも一方の面に樹脂層(B)を有し、その樹脂層(B)上に前述のハードコート層が形成されたものである。
樹脂層(B)は樹脂層(A)の一方の面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
即ち、本発明の積層体は、樹脂層(A)/樹脂層(B)/ハードコート層の積層構造であってもよく、ハードコート層/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/ハードコート層の積層構造であってもよい。
【0077】
また、必要に応じて、樹脂層(A)と樹脂層(B)との間に、樹脂層(B)とハードコート層の間に、あるいは樹脂層(A)の樹脂層(B)形成面とは反対側に図柄印刷層、接着層、透明導電層、各種機能(熱線遮蔽、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミック等の各機能)を持つ機能性層等の他の層を有していてもよい。
【0078】
本発明の基材の厚み(本発明の積層体のハードコート層を除いた基材の厚み)は、積層体の用途、要求特性によっても異なるが、0.15〜22mmであることが好ましく、0.2〜16mmであることがより好ましく、0.4〜10mmであることが更に好ましい。本発明の基材の厚みが上記下限以上であると、各層の厚みを十分に確保して、機械的強度、表面硬度、耐熱性等に優れた積層体とすることができ、上記上限以下であると、薄肉軽量化に有利である。
【0079】
また、本発明の基材の樹脂層(B)、即ち、ハードコート層形成面の表面硬度は、鉛筆硬度でF以上であり、好ましくはH以上である。
本発明によれば、ハードコート層をこのような高硬度の樹脂層(B)上に形成することで、ハードコート層の表面硬度も高くすることができ、上記のような高い表面硬度を実現することができる。
なお、ハードコート層の鉛筆硬度はF以上、特にH以上であることが好ましい。
【0080】
本発明における樹脂層(B)の鉛筆硬度、及びハードコート層の鉛筆硬度は、JIS K−5600−5−4に準じて測定される。
【0081】
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法には特に制限はなく、射出成形法、Tダイ成形法、インフレーション成形法等を用いて製造することができる。例えば、次のような方法を採用することができる。
【0082】
(1) 予め熱可塑性樹脂(b)を用いて成形した樹脂層(B)の押出成形フィルムやシート又は射出成形シートを、金型にセットし、この金型に熱可塑性樹脂(a)を射出して一体成形し、得られた樹脂層(A)と樹脂層(B)の積層体の樹脂層(B)上に、ハードコート層を形成する。
(2) Tダイ成形によって樹脂層(A)、樹脂層(B)のフィルム又はシートを予め成形し、これらのフィルム又はシートをプレス成形又は熱ロールにより一体化し、得られた樹脂層(A)と樹脂層(B)の積層体の樹脂層(B)上にハードコート層を形成する。
【0083】
ハードコート層の形成に当たり、ハードコート剤のコーティング方法としては、特に制限はないが、スプレーコート、ディップコート、フローコート、スピンコート、バーコート、カーテンコート、ダイコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート及びエアーナイフコート等のいずれの塗工方法によって塗布することもできる。
【0084】
なお、ハードコート層は、上記の通り、製造された樹脂層(A)と樹脂層(B)の積層体よりなる基材の樹脂層(B)上にハードコート剤を塗布して硬化させることにより形成してもよいが、予め成形されたハードコート層用のフィルムをラミネートしてもよく、樹脂層(B)用のフィルム又はシートに予めハードコート層を形成しておいてもよい。
例えば、上記(1)の方法において、金型内に、樹脂層(B)用のフィルム又はシートにハードコート層を形成したものをセットしてもよく、このようにすることで、射出成形後のハードコート層の形成工程を省略することができる。
【0085】
[用途]
本発明の積層体は、電気、自動車、医療用途等、幅広い分野に用いることができるが、特に、その高い表面硬度と耐候性から、自動車内外装の各種パネル等として有用であり、屋外で使用される用途にも十分に対応することができる。
また、樹脂層(A)と樹脂層(B)との間、或いは樹脂層(A)の樹脂層(B)形成面と反対側に透明導電層を設けることによって、自動車の窓材等の透明面状発熱体、透明電磁波シールド樹脂板、透明タッチパネルセンサー、液晶パネルや有機EL、太陽電池の透明電極等に適用することもできる。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0087】
以下の実験例及び実施例で用いた各種材料の詳細は以下の通りである。
C−PC:ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量(Mv):22000)
A−PC(1):三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000UR」(粘度平均分子量(Mv):21000)
A−PC(2):三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「ユーピロンH−4000UR」(粘度平均分子量(Mv):16000)
ハードコート剤:アクリル系有機無機ハイブリッドハードコート剤
紫外線吸収剤:BASF社製トリアジン系紫外線吸収剤「チヌビン400」
【0088】
なお、上記ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂C−PCは、以下の製造例により製造した。
【0089】
<製造例:C−PCの製造>
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機および留出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
【0090】
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(Cs
2CO
3)を、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し1.5×10
−6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを留出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の攪拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、攪拌動力は0.75kWであった。
【0091】
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
【0092】
得られたポリカーボネート樹脂C−PCの物性は以下の通りであった。
鉛筆硬度:2H
粘度平均分子量(Mv):22,000
【0093】
積層体を構成する各樹脂層の物性、及び作製した積層体の評価方法は、以下の通りである。
【0094】
<線膨張係数(単位:/℃)>
ISO 11359−2に準拠して、樹脂層(A)及び樹脂層(B)を構成するポリカーボネート樹脂についてそれぞれ作成したISO多目的試験片の中心部より、4mm×4mm×4mmの立方体状の試験片を切出し、MD方向とTD方向を測定した。測定はエスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA/SS6100を使用し、昇温速度5℃/minにて20〜30℃の平均線膨張係数を算出した。
【0095】
<吸水率>
吸水率は樹脂ペレットの吸水率を測定した。吸水率の測定は、あらかじめ重量を測定した23℃、50%で状態調節した樹脂ペレットを23℃の水中に24時間浸漬後、表面の付着水を吸水性ワイパーで除去し、カールフィッシャー法(水分気化−電量滴定法)によって行った。分析には、三菱化学アナリテック社製、CA−200(電量滴定法水分計)、VA−200(水分気化装置)を備えた装置を用いた。試薬として、三菱化学社製アクアミクロン(登録商標)AX(陽極液)と、アクアミクロン(登録商標)CXU(陰極液)を用い、EndSence=0.1μg・H
2O/秒、Delay=2分の条件下、キャリアガスとして窒素を約200mL/分流し、200℃にて測定を行った。吸水率はカールフィッシャー法で測定した水分の重量を23℃、50%で状態調節したときの重量に対する百分率として算出した。
【0096】
<鉛筆硬度>
樹脂層(B)、又は樹脂層(B)上のハードコート層の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準拠し、評価対象面に対して750g加重で鉛筆硬度の測定を行い、表面に目視で傷がつかなかった鉛筆の硬度を評価結果とした。
【0097】
<耐候性>
スガ試験機製メタリングウェザーメーター(90mW/cm
2)により、ブラックパネル64℃:4時間→70℃、90%RH:4時間→30℃、95%:4時間を1サイクルとし、20サイクルを繰り返した後の積層体の外観を観察し、下記基準で評価した。
○:クラック、変色(黄変)、透明度低下といった変化がみられない。
×:クラック、変色(黄変)、透明度低下のいずれかがみられる。
【0098】
[実験例I]
A−PC(1)、又はC−PCとA−PC(2)とを表1に示す質量比で混合したものについて、線膨張係数と吸水率を測定し、結果を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
[実施例1]
C−PCとA−PC(2)をC−PC:A−PC(2)=40:60(質量比)で混合し、押出成形により、厚み100μmの樹脂層(B)用フィルムを成形した。
この樹脂層(B)用フィルムの一方の面に、紫外線吸収剤含有量が7質量%となるように紫外線吸収剤を混合したハードコート剤をバーコーターにより塗布して高圧水銀ランプで1500mJの紫外線を照射することにより硬化させ、厚み10μmの紫外線吸収剤入りハードコート層を形成した。
【0101】
上記のようにして作製したハードコート層付樹脂層(B)用フィルムを、ハードコート層側が金型面に接するように射出成形金型にセットし、キャビティにA−PC(1)を射出成形することにより、厚み4mmの樹脂層(A)を一体成形して本発明の積層体を得た。
【0102】
得られた積層体の鉛筆硬度及び耐候性の評価結果を表2に示す。
【0103】
なお、この積層体の樹脂層(B)の鉛筆硬度を調べるために、樹脂層(B)用フィルムにハードコート層を形成しなかったこと以外は上記と同様にしてハードコート層のない積層体を製造し、その鉛筆硬度を測定し、結果を表2に示した。
【0104】
[実施例2]
実施例1において、樹脂層(B)用フィルムの作製に当たり、C−PCとA−PC(2)の混合割合を、C−PC:A−PC(2)=85/15(質量比)としたこと以外は同様にして本発明の積層体を得た。
【0105】
得られた厚みの鉛筆硬度及び耐候性の評価結果を表2に示す。
また、実施例1と同様に、この積層体の樹脂層(B)の鉛筆硬度を調べ、結果を表2に示した。
【0106】
[比較例1]
実施例1において、A−PC(1)のみを射出成形して厚み4mmの樹脂層(A)よりなる基材を製造した。この基材の鉛筆硬度を測定し、結果を表2に示した。また、この基材上に、実施例1と同様に紫外線吸収剤入りハードコート層を形成し、ハードコート層の鉛筆硬度と耐候性を調べ結果を表2に示した。
【0107】
【表2】
【0108】
表2により、本発明によれば、高硬度の樹脂層(B)上に紫外線吸収剤入りハードコート層を形成することにより、表面硬度と耐候性に優れた積層体を実現することができることが分かる。