【解決手段】プリンタ1は、キャリッジ10の装着部12の前後方向に移動可能であって、装着部12内に装着されたカートリッジ40a,40bを、接続部12がコネクタ15と電気的に接続するように後方から押圧する移動体50を備えている。この移動体50は、小容量カートリッジ40bにあっては、インクタンク41の凸部42後面のみを、また大容量カートリッジ40aにあっては、インクタンク41の凸部42後面およびインクタンク41の後面をそれぞれコネクタ15,15に向けて押圧するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のインクジェットプリンタでは、キャリッジ内に小容量カートリッジを装着するために、別部材のアダプタ構造を小容量カートリッジに取り付けなければならない。このため、大容量カートリッジと小容量カートリッジとでは装着方法がそれぞれ異なり、特に小容量カートリッジをキャリッジ内に装着するのに手間がかかってしまうという問題があった。しかも、特許文献1のインクジェットプリンタでは、アダプタ構造が別途必要になるため、プリンタ全体として構成部材が増えて、高コストになってしまうという問題もあった。
【0007】
一方、特許文献2のインクジェットプリンタでは、小容量カートリッジがキャリッジの装着部に装着されたときに、ガイドフラップが装着部内に張り出すことによって小容量カートリッジの側面が支持されるようになっている。しかしながら、このガイドフラップは、小容量カートリッジの側面に向かって付勢される構成であるため、装着部内でガタツキが生じない程度に小容量カートリッジの装着位置が規制されているに過ぎない。すなわち、このガイドフラップは、キャリッジが主走査方向に移動する際に、キャリッジの電極部と小容量カートリッジの電極部との接触状態が安定的に保持されるように小容量カートリッジの側面を支持するものではない。このため、小容量インクカートリッジは、大容量インクカートリッジよりも、キャリッジが主走査方向に移動する際に幅方向の振動や衝撃を受けやすくなっている。その結果、特許文献2のインクジェットプリンタでは、小容量カートリッジがキャリッジ内で安定的に保持されないという欠点があった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリッジ内の構造を工夫することにより、大容量および小容量カートリッジのサイズに拘わらず、各カートリッジを適切にキャリッジに装着するとともに、各カートリッジがキャリッジに装着された状態を安定的に保持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態によるインクジェットプリンタは、筐体と、筐体内で記録紙の搬送方向に直交する方向に往復移動可能に設けられるキャリッジと、キャリッジに取り外し可能に装着され、インク貯蔵量が互いに異なる大容量および小容量の2種類のカートリッジと、を備える。キャリッジは、大容量および小容量カートリッジのいずれをも装着可能なスペースを有する装着部と、装着部下側に設けられた開口部と、装着部の前側に設けられたコネクタと、を有する。大容量および小容量カートリッジの各々は、内部にインクが貯蔵され、かつコネクタに対向する側を前側としてキャリッジの移動方向に直交する前後方向に延びて、その前側に下方に突出する凸部を有するインクタンクと、凸部の下面に設けられ、インクタンク内のインクをキャリッジの開口部から記録紙に向けて吐出して記録紙に印字する記録ヘッドと、インクタンクの前面に設けられ、キャリッジのコネクタと電気的に接続されて記録ヘッドに給電する接続部と、を有する。大容量カートリッジのインクタンクは、小容量カートリッジのインクタンクよりも前後方向に長く形成されている。そして、キャリッジ内には、装着部の前後方向に移動可能であって、装着部内に装着されたカートリッジを、接続部がコネクタと電気的に接続するように後方から押圧する移動体が設けられており、この移動体は、小容量カートリッジにあっては、インクタンクの凸部後面のみを、また大容量カートリッジにあっては、インクタンクの凸部後面およびインクタンクの後面をそれぞれコネクタに向けて押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この第1の形態によれば、大容量および小容量カートリッジの各々に共通して設けられている凸部後面が移動体によりコネクタに向けて押圧されることにより、各カートリッジの大きさに拘わらず、各カートリッジがキャリッジの装着部内に適切に装着された状態を保持することができる。また、大容量カートリッジは、そのインクタンクが小容量カートリッジのインクタンクよりも前後方向に長く形成されていることから、筐体内で往復移動するキャリッジの慣性力の影響を受けやすく、装着部内で不安定になりやすいが、大容量カートリッジのインクタンクの後面が移動体によりコネクタに向けて押圧されるため、往復移動するキャリッジの慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、大容量カートリッジの装着状態を安定させることができる。そして、キャリッジの装着部内に装着された大容量および小容量カートリッジの各々が移動体により後方から押圧されることで、接続部がコネクタと電気的に接続される。その結果、各カートリッジがキャリッジの装着部に精度良く装着された状態でコネクタから接続部を介して記録ヘッドに適切に給電されるようになり、キャリッジの開口部を介して、インクタンク内のインクが記録ヘッドから記録紙に向けてインクを吐出して記録紙に印字することが可能になる。したがって、大容量および小容量カートリッジのサイズに拘わらず、各カートリッジを適切にキャリッジに装着することができるとともに、大容量および小容量カートリッジがキャリッジに装着された状態を安定的に保持しながらキャリッジを往復移動させて印刷することができる。
【0011】
第2の形態は、第1の形態において、移動体は、大容量および小容量カートリッジの各々の凸部後面を押圧する第1押圧部と、大容量カートリッジのインクタンク後面を押圧する第2押圧部と、を有することを特徴とする。
【0012】
この第2の形態によれば、大容量および小容量カートリッジの各々に共通して設けられている凸部後面が移動体の第1押圧部によりコネクタに向けて押圧されることにより、各カートリッジの大きさに拘わらず、各カートリッジがキャリッジの装着部内に適切に装着された状態を保持することができる。さらに、大容量カートリッジのインクタンクの後面が移動体の第2押圧部によりコネクタに向けて押圧されるため、主走査方向に往復移動するキャリッジの慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、大容量カートリッジの装着状態を安定させることができる。
【0013】
第3の形態は、第2の形態において、カートリッジが装着部に装着された状態で、移動体をコネクタに向けて前方向に付勢する付勢体が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この第3の形態によれば、付勢体により、カートリッジが装着部に装着された状態で、移動体をコネクタの方向に向かって付勢することができ、これによって上記第1および第2の形態による効果を得ることができる。
【0015】
第4の形態は、第3の形態において、カートリッジが装着部から取り外されるときに、インクタンク前面の接続部がコネクタから離れるようにカートリッジを後方に押し出す押出体が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この第4の形態によれば、押出体の作動により、キャリッジの装着部から容易にカートリッジを取り外すことができる。特に、小容量カートリッジは、そのインクタンクが大容量カートリッジのインクタンクよりも短く形成されており、装着部から取り出しにくい構造になっていたとしても、押出体により小容量カートリッジが装着部から外方に押し出される。このため、小容量カートリッジのような小さいサイズのカートリッジ構造でもキャリッジから容易に取り外すことができる。
【0017】
第5の形態は、第4の形態において、装着部に装着された小容量カートリッジのインクタンク後面を後方から押圧した状態で支持する補助体が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この第5の形態によれば、小容量カートリッジであっても、主走査方向に往復移動するキャリッジの慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、キャリッジの装着部内における小容量カートリッジの装着状態を安定させることができる。
【0019】
第6の形態は、第5の形態において、キャリッジは、装着部を有するキャリッジ本体と、キャリッジ本体に対して開閉可能に連結された保持部と、を有し、保持部は、閉じたときにカートリッジをキャリッジ本体に保持する一方、開いたときにカートリッジを取り外し可能となるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
この第6の形態によれば、保持部の開閉動作によって、キャリッジ本体に対するカートリッジの装着および脱着を容易に行うことができる。
【0021】
第7の形態は、第6の形態において、付勢体は、保持部が閉じているときに移動体をコネクタに向けて前方向に付勢するように、移動体の第2押圧部の後方に対向して保持部に取り付けられていることを特徴とする。
【0022】
この第7の形態によれば、保持部が閉じられると、保持部に取り付けられた付勢体により移動体がコネクタの方向に向かって付勢されるようになる。また、保持部が開かれると、付勢体による移動体の付勢が解除され、キャリッジ本体の装着部からカートリッジを取り出すことができる。
【0023】
第8の形態は、第6の形態において、押出体は、保持部が開いたときにカートリッジを後方に押し出すように保持部に取り付けられていることを特徴とする。
【0024】
この第8の形態によれば、保持部が開いたときに、保持部に取り付けられた押出体により、キャリッジの装着部から容易にカートリッジを取り外すことができる。特に、小容量カートリッジは、そのインクタンクが大容量カートリッジのインクタンクよりも短く形成されており、装着部から取り出しにくい構造になっているが、押出体により小容量カートリッジが装着部から外方に押し出される。このため、小容量カートリッジのような小さいサイズのカートリッジ構造でもキャリッジから容易に取り外すことができる。
【0025】
第9の形態は、第6の形態において、補助体は、保持部が閉じているときに小容量カートリッジのインクタンク後面を後方から支持する一方、保持部が開いたときにインクタンク後面の支持を解除するようにキャリッジ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0026】
この第9の形態によれば、保持部が閉じているときに、小容量カートリッジであっても、主走査方向に往復移動するキャリッジの慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、キャリッジの装着部内における小容量カートリッジの装着状態を安定させることができる。また、保持部を開いてカートリッジを装着部から取り外すときには、押出体による効果を妨げることなく、押出体によってキャリッジの装着部からカートリッジを容易に取り外すことができる。
【0027】
第10の形態は、第6の形態において、保持部は、付勢体が取り付けられ、かつ下方に開くようにキャリッジ本体に連結されている第1保持部と、押出体が取り付けられ、第1保持部の開閉動作に連動して上方に開くようにキャリッジ本体に連結されている第2保持部と、を有する。そして、第1および第2保持部が閉じているときは、付勢体により移動体がコネクタに向けて付勢されている一方、第1および第2保持部が開いたときに、付勢体による移動体の付勢が解除されるとともに、押出体によりカートリッジがキャリッジ本体の後方に押し出されるように構成されていることを特徴とする。
【0028】
この第10の形態によれば、第1および第2保持部が閉じてキャリッジ本体の装着部にカートリッジが装着されている状態では、大容量および小容量カートリッジがキャリッジに装着された状態を安定的に保持しながらキャリッジを往復移動させることができる。一方、第1および第2保持部が開かれることにより、第1保持部に取り付けられた付勢体による移動体の付勢が解除されるともに、押出体によりキャリッジ本体の後方に押し出されるため、キャリッジの装着部からカートリッジを容易に取り外すことができる。
【0029】
第11の形態は、第10の形態において、補助体は、第1および第2保持部が閉じているときに小容量カートリッジのインクタンク後面を後方から支持する一方、第1および第2保持部が開いたときにインクタンク後面の支持を解除するようにキャリッジ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0030】
この第11の形態によれば、第1および第2保持部が閉じているときに、小容量カートリッジであっても、主走査方向に往復移動するキャリッジの慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、キャリッジ本体の装着部内における小容量カートリッジの装着状態を安定させることができる。また、第1および第2保持部を開いてカートリッジを装着部から取り外すときには、押出体による効果を妨げることなく、押出体によってキャリッジ本体の装着部からカートリッジを容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、大容量および小容量カートリッジのサイズに拘わらず、各カートリッジを適切にキャリッジに装着するとともに、各カートリッジがキャリッジに装着された状態を安定的に保持しながらキャリッジを往復移動させるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0034】
[第1実施形態]
図1〜
図14は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタに関するものである。このインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と称す)は、インクを吐出するノズルを有するカートリッジが装着されたキャリッジを筐体内で往復移動させることにより記録紙上に画像をプリントするように構成されている。
【0035】
図1および
図2に示すように、プリンタ1は樹脂製の筐体2を備えている。この筐体2には、一側に給紙トレイ3が、またこの給紙トレイ3の反対側に排紙トレイ4がそれぞれ設けられている。ここで、本実施形態の説明では、給紙トレイ3の位置を前側とし、排紙トレイ4の位置を後側として定める。そして、この前後方向に直交する水平方向を左右方向、前後方向および左右方向に直交する鉛直方向を上下方向とする。
【0036】
図2に示すように、この筐体2内には、記録紙搬送機構5が設けられている。記録紙搬送機構5は、動力源であるモータ(図示せず)と、記録紙を給紙トレイ3から筐体2の内部に送るためのピックローラ5aと、ピックローラ5aにより筐体2の内部に送られた記録紙を筐体2の内部で前後方向に搬送するための搬送ローラ5bと、画像が印刷された記録紙を排紙トレイ4に排出する排紙ローラ5c等で構成されている。これらのローラ5a〜5cが記録紙に接触して回転することにより、記録紙は、給紙トレイ3から筐体2内を通って排紙トレイ4に向かう前後方向(以下「副走査方向」という)に搬送される。
【0037】
図2〜
図4に示すように、プリンタ1は、筐体2内に設けた駆動機構6により、筐体2内で副走査方向に直交する筐体2の左右方向(以下「主走査方向」という)に往復移動可能なキャリッジ10を備えている。また、
図5〜
図13に示すように、プリンタ1は、キャリッジ10に取り外し可能に装着され、インク貯蔵量が互いに異なる大容量および小容量の2種類のカートリッジ40a,40bを備えている。なお、カートリッジ40a,40bの詳細については後述する。
【0038】
図2に示すように、駆動機構6は、筐体2内で主走査方向に延びている環状のベルト6aと、このベルト6aを往復動作させるためのモータ(図示せず)とを含む。ベルト6aはキャリッジ10の前側に移動一体に接続されており、図示しない制御部によりモータが作動制御されて、ベルト6aを動作させることにより、キャリッジ10を主走査方向に往復移動させることが可能となっている。なお、駆動機構6のモータは、例えばDCモータやステッピングモータ等からなるものであればよい。
【0039】
キャリッジ10は、駆動機構6に連結されたキャリッジ本体11を有している。具体的には、
図2に示すように、キャリッジ本体11は、筐体2内の左右方向に延びるシャフト(図示せず)にスライド可能に支持されるとともに、駆動機構6のベルト6aに接続されており、シャフトに沿って主走査方向に移動する。また、キャリッジ本体11にはフォトカプラ(図示せず)が搭載されており、このフォトカプラが所定の解像度を有するエンコーダスケール(図示せず)上を走査することにより、キャリッジ10の主走査方向の位置を検出することが可能となる。また、
図3および
図4に示すように、キャリッジ本体11の後側には左右一対の第1支点10a,10aが設けられている一方、キャリッジ本体11の前側には左右一対の第2支点10b,10bが設けられている。
【0040】
図3および
図4に示すように、キャリッジ本体11は、大容量および小容量カートリッジ40a,40bのいずれをも装着可能なスペースを有する装着部12,12を有している。この装着部12,12は、キャリッジ本体11内で左右2つのスペースに分かれて併設されており、互いに同じ大きさのスペースを有している。
【0041】
図12〜
図14にも示すように、装着部12,12の前側には前壁部13が設けられている。この前壁部13の上端には、装着部12,12内に装着された状態で後述するカートリッジ40a,40bのデータム前部47が配置されるデータム配置部14,14が形成されている。また、前壁部13の装着部12,12側には、後述するカートリッジ40a,40bの記録ヘッド43に給電するためのコネクタ15,15が設けられている。
【0042】
キャリッジ本体11の左右両側には、外壁部16,16が設けられている。また、外壁部16,16の間には内壁部17が設けられている。この内壁部17には、外壁部16に対向する側に、外壁部16に向かって突出する突起部18,18,…が前後方向に間隔をあけてそれぞれ形成されている。さらに、装着部12の下側には、外壁部16と内壁部17との間で下方に開口した開口部19が形成されている。
【0043】
図3および
図4に示すように、キャリッジ10は、キャリッジ本体11に対して上下方向に開閉可能に連結された保持部20を有している。
図5および
図11に示すように、この保持部20は、閉じたときにキャリッジ本体11の装着部12内に装着されたカートリッジ40a,40bを保持する一方、開いたときにカートリッジ40a,40bを取り外し可能となるように構成されている。
【0044】
図3および
図4に示すように、保持部20は、キャリッジ本体11の後側に第1支点10a,10aを中心に上下回動可能に連結されて、キャリッジ本体11に対して下方に開く第1保持部21を有している。この第1保持部21は、キャリッジ本体11の2つの装着部12,12を左右で仕切るように構成され、かつ、装着部12,12に装着されたカートリッジ40a,40bの後側部分を保持するように構成されている。
【0045】
図3および
図4に示すように、第1保持部21は、左右両側に位置する第1外壁部22,22を有している。この第1外壁部22,22の側面視中央下側には、キャリッジ本体11の第1支点10a,10aに対して回動可能に連結される第1回動部23,23が設けられている。また、第1外壁部22には、側面視でその先端部分から第1回動部23近傍までの下側部分が切り欠かれた切り欠き部が形成されており、その切り欠き部の上方には前方に延びる延伸部24が形成されている。また、第1保持部21は、その左右中央であって第1外壁部22,22同士の間に設けられた第1中央壁部25を有している。この第1中央壁部25は、キャリッジ本体11の内壁部17とともに、キャリッジ本体11の装着部12,12間における仕切りとして機能する。
【0046】
さらに、第1保持部21は、第1外壁部22,22および第1中央壁部25の前後方向に直交する方向(左右方向)に延びるように、第1外壁部22,22の後端および第1中央壁部25の後端に形成された後壁部26を有している。この後壁部26の外側中央には、第1保持部21をキャリッジ本体11に対して下方に回動させるためのレバー部27が設けられている。
【0047】
また、
図3および
図4に示すように、保持部20は、キャリッジ本体11の前側に第2支点10b,10bを中心に上下回動可能に連結されて、キャリッジ本体11に対して上方に開く第2保持部31を有している。具体的には、第2保持部31の前側に設けられた第2回動部33,33がキャリッジ本体11の第2支点10b,10bを中心に上下回動可能に連結され、キャリッジ本体11に内蔵されたリンク機構(図示せず)により、第1保持部21が開く動作に連動して、第2保持部31がキャリッジ本体11に対して上方に開くように構成されている。そして、この第2保持部31は、キャリッジ本体11の2つの装着部12,12を左右で仕切るように構成され、かつ、装着部12,12に装着されたカートリッジ40a,40bの各々を保持するように構成されている。
【0048】
第2保持部31は、キャリッジ本体11の外壁部16,16および第1保持部21の第1外壁部22,22の上方に配置される第2外壁部32,32を左右両側に有している。この第2外壁部32,32の側面視中央下側には、第1および第2保持部21,31が閉じた状態で、第1保持部21の延伸部24,24上端に突き当たる当接部34,34が形成されている。また、第2保持部31は、第2外壁部32,32同士の間に設けられた第2中央壁部35を有している。この第2中央壁部35は、キャリッジ本体11の内壁部17,17および第1保持部21の第1中央壁部25とともに、キャリッジ本体11の2つの装着部12,12間における仕切りとして機能する。この第2中央壁部35の後端下側には、第1保持部21のレバー部27に係合するためのフック部36が形成されている。
【0049】
また、第2保持部31は、第2外壁部32および第2中央壁部35の上側に、キャリッジ本体11の装着部12,12を上方から覆うように形成された上蓋部37を有している。さらに、上蓋部37には、カートリッジ40a,40bを第2保持部31の後方から前方に向けてスライド挿入させて、第2保持部31にカートリッジ40a,40b上側(後述する周縁部)を保持するためのレール部(図示せず)が形成されている。
【0050】
さらに、上蓋部37内部の後側には、左右の装着部12,12のそれぞれに対応して配置されたデータム規制部39,39,…が形成されている。
図3および
図4に示すように、第2外壁部32側に設けられたデータム規制部39,39は、第2中央壁部35に向かう方向に突出している。他方、第2中央壁部35側に設けられたデータム規制部39,39は、第2外壁部32に向かう方向に突出している。そして、
図5に示すように、この左右一対のデータム規制部39,39の各々は、カートリッジ40a,40bが装着部12内に装着された状態で、後述するカートリッジ40a,40bのデータム上部48,48の外面に接触するように設けられている。
【0051】
次に、
図5〜
図7に示すように、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々は、内部にインクが貯蔵されるインクタンク41を有している。
図12および
図13にも示すように、このインクタンク41は、キャリッジ本体11の装着部12,12にカートリッジ40a,40bが装着された状態で、キャリッジ本体11のコネクタ15に対向する側を前側として前後方向に延びている。また、インクタンク41の前側には、下方に突出する凸部42が形成されている。
【0052】
図6および
図7に示すように、インクタンク41の凸部42下面には、インクタンク41内のインクをキャリッジ本体11の開口部19から記録紙に向けて吐出して記録紙に印字する記録ヘッド43が設けられている。より具体的には、
図12および
図13にも示すように、この記録ヘッド43にはインク吐出口44が形成されており、記録ヘッド43は、インクタンク41内のインクをインク吐出口44に送り出し、このインクをインク吐出口44からキャリッジ本体11の開口部19を介して記録紙に向けて吐出して記録紙に印字するように構成されている。
【0053】
インクタンク41の前面には、キャリッジ本体11のコネクタ15と電気的に接続されて記録ヘッド43に給電する接続部45が設けられている。この接続部45は、電気プリント基板により構成されている。また、インクタンク41上側には、インクタンク41側面よりも外方に突き出た周縁部46が形成されている。
【0054】
また、この周縁部46の前側中央には、前方に突出したデータム前部47が形成されている。このデータム前部47は、キャリッジ本体11の装着部12内に装着された状態で、キャリッジ本体11のデータム配置部14内に配置される。これによって、装着部12内のカートリッジ40a,40b前側における装着位置が規制されている。さらに、インクタンク41の上面には、上方に突出した左右一対のデータム上部48,48が形成されている。この左右一対のデータム上部48,48は、カートリッジ40a,40bがキャリッジ本体11の装着部12,12に装着された状態で、第2保持部31の左右一対のデータム規制部39,39に接触することによって、装着部12内のカートリッジ40a,40b後側における装着位置を規制するようになっている。
【0055】
図5〜
図7に示すように、大容量カートリッジ40aのインクタンク41は、小容量カートリッジ40bのインクタンク41よりも前後方向に長く形成されている。すなわち、
図12および
図13にも示すように、大容量カートリッジ40aのインクタンク41内の体積は、小容量カートリッジ40bのインクタンク41内の体積よりも大きい。このため、大容量カートリッジ40aのインクタンク41は、小容量カートリッジ40bのインクタンク41よりも多くのインクを貯蔵することが可能となっている。なお、インクタンク41の前後方向の長さ以外の寸法については、大容量カートリッジ40aおよび小容量カートリッジ40bともに互いに同じである。
【0056】
本発明の特徴として、
図3〜
図5および
図8に示すように、キャリッジ10には、キャリッジ本体11に対して前後方向にスライドする移動体50,50が設けられている。この移動体50,50は、キャリッジ本体11内で左右に併設された装着部12,12のそれぞれに配置されている。
【0057】
図8に示すように、移動体50は、キャリッジ本体11の装着部12にカートリッジ40a,40bが装着された状態でカートリッジ40a,40bのインクタンク41両側を覆うように形成された側枠部51,51を有している。この側枠部51,51の一方には、側面視で前後方向に延びる2つの長孔52,52が形成されている。そして、
図4および
図14に示すように、この長孔52,52には、キャリッジ本体11の内壁部17に形成された突起部18,18,…が嵌合している。これにより、移動体50がキャリッジ本体11に対して前後方向にスライドする。なお、
図5に示すように、この移動体50,50は、キャリッジ本体11の左右の装着部12,12に応じて左右対称にそれぞれ形成されている。
【0058】
図8、
図10、および
図14に示すように、移動体50の前側には、左右の側枠部51の前端部分同士を互いに連結し、下方に向かって突出した第1押圧部53が設けられている。一方、移動体50の後側には、左右の側枠部51の後端部分同士を互いに連結し、上方に向かってアーチ状に突出した第2押圧部54が設けられている。
図12および
図13に示すように、第1押圧部53は、キャリッジ本体11の装着部12に大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々が装着された状態で、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々の凸部42後面を押圧する。この第2押圧部54は、キャリッジ本体11の装着部12に大容量カートリッジ40aが装着された状態で、大容量カートリッジ40aのインクタンク41後面を押圧する。
【0059】
また、
図12〜
図14に示すように、キャリッジ10には、カートリッジ40a,40bがキャリッジ本体11の装着部12,12に装着された状態で移動体50,50をコネクタ15に向けて付勢する付勢体60,60が設けられている。この付勢体60は、側面視で上下に長い環状に形成された板バネからなる。この付勢体60には、側面視上下中央において、外方に突き出た山部61が形成されている一方、この山部61の反対側には平坦状の取付部62が形成されている。
【0060】
付勢体60,60の各々は、キャリッジ本体11内で左右に併設した装着部12,12にそれぞれ取り付けられている。具体的には、付勢体60は、第1および第2保持部21,31が閉じているときに、移動体50の第2押圧部54の後方に付勢体60の山部61が対向するように取付部62で第1保持部21の後端部内面に取り付けられている。
【0061】
次に、キャリッジ10にカートリッジ40a,40bを装着する場合および取り出す場合における各構成の動作について説明する。
【0062】
まず、
図3に示すような第1および第2保持部21,31が閉じている状態でユーザにより第1保持部21のレバー部27が押し下げられると、
図4に示すように、レバー部27と第2保持部31のフック部36との係合状態が解除され、第1保持部21が上方に開くともに、第1保持部21の動作に連動して第2保持部31が下方に開くようになる。
【0063】
次に、
図11に示すように、カートリッジ40a,40b(
図11では大容量カートリッジ40a)の周縁部46を第2保持部31の後方から前方に向けて第2保持部31のレール部に挿入し、レール部にカートリッジ40a,40bの周縁部46を保持させる。この後、第2保持部31を下げるかまたは第1保持部21のレバー部27を上げることで、キャリッジ本体11に対して第1および第2保持部21,31が閉じられる(
図5参照)。
【0064】
図5および
図10に示すように、第1保持部21が閉じられると、延伸部24,24の下端部分がキャリッジ本体11の外壁部16,16の上端部分に当接する。これにより、第1保持部21の回動範囲が水平位置よりも上方に回動しないように規制されることになる。一方、第2保持部31が閉じられると、第2中央壁部35のフック部36が第1保持部21のレバー部27に係合するとともに、第2外壁部32の当接部34,34がキャリッジ本体11の外壁部16,16上端に突き当たるようになる。これにより、第2保持部31の回動範囲が水平位置よりも下方に回動しないように規制されることになる。
【0065】
また、第1保持部21が閉じられると、第1保持部21に取り付けられた付勢体60,60により、移動体50,50がコネクタ15,15の方向に向かって付勢される。
図12および
図13に示すように、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々がキャリッジ本体11の装着部12,12にそれぞれ装着された状態で、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々の凸部42後面が第1押圧部53により押圧される一方、大容量カートリッジ40aのインクタンク41後面が第2押圧部54により押圧されることになる。すなわち、移動体50がコネクタ15の方向に向かって付勢されることによって、小容量カートリッジ40bにあってはインクタンク41の凸部42後面のみが、また大容量カートリッジ40aにあってはインクタンク41の凸部42後面およびインクタンク41の後面がそれぞれコネクタ15に向けて押圧される。そして、カートリッジ40a,40bのデータム前部47がキャリッジ本体11のデータム配置部14内に配置され、かつ、カートリッジ40a,40bのデータム上部48,48が第2保持部31のデータム規制部39,39,…にそれぞれ接触するようになる。これによって、装着部12内のカートリッジ40a,40bにおける前後方向および幅方向の装着位置が規制される。このように第1および第2保持部21,31が閉じられることにより、キャリッジ本体11の装着部12,12内にカートリッジ40a,40bが装着された状態となる。
【0066】
次に、
図5に示すように、第1および第2保持部21,31が閉じている状態から、ユーザにより第1保持部21のレバー部27が押し下げられると、
図11に示すように、第1保持部21が下方に開くとともに、この第1保持部21の動作に連動して第2保持部31が上方に開くようになる。このとき、第2保持部31は、カートリッジ40a,40bの周縁部46がレール部に保持された状態で、キャリッジ本体11に対して上方に開くようになる。一方、第1保持部21が下方に開かれることにより、第1保持部21に取り付けられた付勢体60による移動体50の付勢が解除される。そして、第2保持部31のレール部に沿ってカートリッジ40a,40bを後方にスライドさせることにより、第2保持部31からカートリッジ40a,40bを取り出すことが可能となる。
【0067】
以上のように、この実施形態に係るプリンタ1では、第1保持部21に取り付けられた付勢体60,60により、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々がキャリッジ本体11の装着部12,12にそれぞれ装着された状態で、移動体50,50がコネクタ15の方向に向かって付勢されている。そして、小容量カートリッジ40bにあってはインクタンク41の凸部42後面のみが、また大容量カートリッジ40aにあってはインクタンク41の凸部42後面およびインクタンク41の後面がそれぞれコネクタ15に向けて押圧されるように構成されている。すなわち、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々に共通して設けられている凸部42後面が移動体50の第1押圧部53によりコネクタ15に向けて押圧されることにより、各カートリッジの大きさに拘わらず、各カートリッジがキャリッジ本体11の装着部12,12内に適切に装着された状態を保持することができる。さらに、大容量カートリッジ40aは、そのインクタンク41が小容量カートリッジ40bのインクタンク41よりも前後方向に長く形成されていることから、主走査方向に往復移動するキャリッジ10の慣性力の影響を受けやすく、装着部12内で不安定になりやすいが、大容量カートリッジ40aのインクタンク41の後面が移動体50の第2押圧部54によりコネクタ15に向けて押圧されるため、主走査方向に往復移動するキャリッジ10の慣性力の影響によるガタツキを抑制しつつ、大容量カートリッジ40aの装着状態を安定させることができる。
【0068】
このように、キャリッジ本体11の装着部12,12内に装着された大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々が移動体50により後方から押圧されることで、接続部45がキャリッジ本体11のコネクタ15と電気的に接続される。その結果、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々がキャリッジ本体11の装着部12,12にそれぞれ精度良く位置決めされた状態でコネクタ15から接続部45を介して記録ヘッド43に適切に給電されるようになる。そして、インクタンク41内のインクが記録ヘッド43に形成されたインク吐出口44に送り出され、キャリッジ本体11の開口部19を介して、インク吐出口44から記録紙に向けてインクを吐出して記録紙に印字することが可能になる。
【0069】
したがって、本発明の第1実施形態に係るプリンタ1では、大容量および小容量カートリッジ40a,40bのサイズに拘わらず、各カートリッジを適切にキャリッジ10(キャリッジ本体11)に装着することができるとともに、大容量および小容量カートリッジ40a,40bがキャリッジ10に装着された状態を安定的に保持しながら主走査方向にキャリッジ10を往復移動させて印刷を行うことができる。
【0070】
また、キャリッジ10は、装着部12,12を有するキャリッジ本体11と、キャリッジ本体11に対して開閉可能に連結された保持部20と、を有し、保持部20は、閉じたときにカートリッジ40a,40bをキャリッジ本体11に保持する一方、開いたときにカートリッジ40a,40bを取り外し可能に構成されていることから、保持部20の開閉動作によって、キャリッジ本体11に対するカートリッジ40a,40bの装着および脱着を容易に行うことができる。
【0071】
さらに、付勢体60,60は、第1保持部21が閉じているときに移動体50,50をコネクタ15,15に向けて付勢するように、移動体50,50の第2押圧部54,54の後方に対向して第1保持部21に取り付けられていることから、第1保持部21が閉じられると、第1保持部21に取り付けられた付勢体60,60により移動体50,50がコネクタ15,15の方向に向かって付勢されるようにすることができる。また、第1保持部21,21が開かれると、付勢体60,60による移動体50,50の付勢が解除され、キャリッジ本体11の装着部12,12からカートリッジ40a,40bを取り出すことができる。
【0072】
[第2実施形態]
図15〜
図18は、本発明の第2実施形態に係るプリンタ1に関する。この実施形態では、第1実施形態に係る保持部20に押出体を追加したものである。なお、この実施形態に係るプリンタ1の他の構成は、第1実施形態に係るプリンタ1の構成と同様である。このため、この実施形態の説明では、
図1〜
図14と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
図15〜
図18に示すように、第2保持部31の前側には、キャリッジ本体の装着部12,12のそれぞれに対応する押出体70,70が設けられている。押出体70は、左右方向に延びる丸棒状の回動軸71を有しており、この回動軸71の両端が第2保持部31の上蓋部37前側に設けた一対の挿入穴38,38(
図3参照)にそれぞれ挿入されている。
【0074】
回動軸71には、第2保持部31が閉じた状態で、前方から下方に折れ曲がったL字体72が接合されている。具体的には、
図16に示すように、このL字体72は、キャリッジ本体の装着部12,12にカートリッジ40a,40bが装着されている状態において、カートリッジ40a,40bのデータム前部47に干渉しないような位置で回動軸71に接合されており、回動軸71を中心に後方(すなわち
図15〜
図18における反時計回り方向)に回動するようになっている。
【0075】
また、押出体70は、図示しない付勢手段によって、インクタンク41前面の接続部45がコネクタ15から離れる方向、すなわちL字体72が後方に向けて回動するように付勢されている。そして、
図15および
図16に示す状態では、押出体70は、付勢手段による付勢力に抗してL字体72がカートリッジ40a,40bの周縁部46により押さえ付けられており、この状態においてL字体72の先端部分が上下方向に延びるようになっている。
【0076】
図17にも示すように、第1および第2保持部21,31が閉じてキャリッジ本体11の装着部12にカートリッジ40a,40b(
図17では小容量カートリッジ40b)が装着されている状態では、押出体70のL字体72先端が小容量カートリッジ40bの周縁部46の前方に位置している。この状態から、ユーザにより第1保持部21のレバー部27が押し下げられると、
図18に示すように、第1保持部21が下方に開くとともに、この第1保持部21の動作に連動して第2保持部31が上方に開くようになる。このとき、第2保持部31は、カートリッジ40a,40bの周縁部46が第1保持部21のレール部に保持された状態で、キャリッジ本体11に対して上方に開くようになる。一方、第1保持部21が下方に開かれることにより、第1保持部21に取り付けられた付勢体60による移動体50の付勢が解除される。この移動体50の付勢が解除されると同時に、付勢手段による付勢力に抗してL字体72がカートリッジ40a,40bの周縁部46により押さえ付けられていた状態が解除される。そして、押出体70は、付勢手段によって後方に向けて回動するように付勢され、その結果、小容量カートリッジ40bが第2保持部31のレール部に沿って後方に押し出されるようになる。
【0077】
以上のように、この実施形態に係るプリンタ1では、カートリッジ40a,40bが装着部12から取り外されるときに、インクタンク41前面の接続部45がコネクタ15から離れるようにカートリッジ40a,40bを後方に押し出す押出体70が第2保持部31に設けられている。このため、第1および第2保持部21,31が閉じてキャリッジ本体11の装着部12にカートリッジ40が装着されている状態では、カートリッジ40a,40bがキャリッジ10に装着された状態を安定的に保持しながらキャリッジ10を往復移動させることができる一方、第1および第2保持部21,31が開かれることにより、第1保持部21に取り付けられた付勢体60による移動体50の付勢が解除されるともに、押出体70によりカートリッジ40a,40bがキャリッジ本体11の後方に押し出され、キャリッジ本体11の装着部12からカートリッジ40a,40bを容易に取り外すことができる。
【0078】
特に、小容量カートリッジ40bは、そのインクタンク41が大容量カートリッジ40aのインクタンク41よりも短く形成されており、装着部12から取り出しにくい構造になっているが、押出体70により小容量カートリッジ40bがキャリッジ本体11の装着部12から外方に押し出される。そのため、小容量カートリッジ40bのような小さいサイズのカートリッジ構造でもキャリッジ10から容易に取り外すことができる。
【0079】
[第3実施形態]
図19〜
図21は、本発明の第3実施形態に係るプリンタ1に関する。この実施形態では、第2実施形態に係るキャリッジ本体11に補助体を追加したものである。なお、この実施形態に係るプリンタ1の他の構成は、第2実施形態に係るプリンタ1の構成と同様である。このため、この実施形態の説明では、
図1〜
図18と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0080】
図19〜
図21に示すように、装着部12,12の下側であってキャリッジ本体11の後側には、補助体80,80が設けられている。具体的には、
図20に示すように、小容量カートリッジ40bがキャリッジ本体11の装着部12に装着された状態で、小容量カートリッジ40bのインクタンク41後面よりも後方の左右両側に、回動支点(図示せず)がキャリッジ本体11に設けられている。そして、一端がこの回動支点に嵌合し、キャリッジ本体11に対して回動支点を中心に前方(すなわち
図19〜
図21における反時計回り方向)に回動する平板状の基体81が設けられている。この基体81の他端には、基体81の上面に対して垂直に立ち上がった平板状の支持板82が設けられている。基体81および支持板82は、図示しない付勢手段によって、図で反時計回り方向に回動するように付勢されている。なお、この付勢手段は、押出体70の付勢手段よりも小さい付勢力を補助体80に付与するように設定されている。
【0081】
そして、
図20に示すように、小容量カートリッジ40bがキャリッジ本体11の装着部12に装着された状態では、上記付勢手段により補助体80が図で反時計回り方向に回動し、支持板82の先端が小容量カートリッジ40bのインクタンク41後面を後方から支持するようになっている。他方、
図21に示すように、大容量カートリッジ40aがキャリッジ本体11の装着部12に装着された状態では、付勢手段による付勢力に抗して補助体80が図で時計回り方向に回動し、支持板82が大容量カートリッジ40aのインクタンク41後面の近傍に配置された状態(すなわち収納状態)となっている。
【0082】
このように、補助体80は、小容量カートリッジ40bがキャリッジ本体11の装着部12に装着された状態では小容量カートリッジ40bのインクタンク41後面を後方から支持し、大容量カートリッジ40aがキャリッジ本体11の装着部12に装着された状態では装着部12に収納された状態となっている。すなわち、補助体80は、小容量カートリッジ40bがキャリッジ本体11の装着部12に装着されたときのみ、小容量カートリッジ40bのインクタンク41後面を後方から支持するように構成されている。したがって、小容量カートリッジ40bでも、主走査方向に往復移動するキャリッジ10の慣性力の影響によるインクタンク41のガタツキを抑制しつつ、キャリッジ本体11の装着部12内における小容量カートリッジ40bの装着状態を安定させることができる。また、大容量カートリッジ40aがキャリッジ本体11の装着部12に装着されているときは補助体80を収納状態とし、小容量カートリッジ40bが装着されているときだけ補助体80を使用することが可能となっている。
【0083】
さらに、キャリッジ本体11に対して第1保持部21が下方に開かれることにより、第1保持部21に取り付けられた付勢体60による移動体50の付勢が解除されると同時に、押出体70によって小容量カートリッジ40bが後方に押し出されるようになる。ここで、補助体80の付勢手段は押出体70の付勢手段よりも小さい付勢力を補助体80に付与するように設定されていることから、第1および第2保持部21,31が開いたときには、補助体80が回動軸82を中心に後方(
図19〜
図21における時計回り方向)に回動するようになる。すなわち、補助体80は、第1および第2保持部21,31が閉じているときに小容量カートリッジ40bのインクタンク41後面を後方から支持する一方、第1および第2保持部21,31が開いたときにインクタンク41後面の支持を解除するようにキャリッジ本体11に取り付けられている。したがって、カートリッジ40a,40bが装着部12,12から取り外されるときに、押出体70による効果を妨げることなく、押出体70によってキャリッジ本体11の装着部12からカートリッジ40a,40bを容易に取り外すことができる。
【0084】
[その他の実施形態]
上記実施形態に係るプリンタ1では、付勢体60として板バネを用いる形態としたが、この形態に限らない。例えば、付勢体としては、圧縮スプリング、伸縮スプリング、またはゴム体からなる弾性部材などを用いる形態であってもよい。要は、大容量および小容量カートリッジ40a,40bの各々がキャリッジ本体11の装着部12,12にそれぞれ装着された状態で、移動体50,50をコネクタ15に向けて付勢するような付勢体を備える形態であればよい。
【0085】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。