【解決手段】第1方向(主走査方向)に移動しながらインクを吐出する第1プリントヘッド(カラープリントヘッド)と、第1方向に移動しながらインクを吐出する第2プリントヘッド(モノクロプリントヘッド)と、第1及び第2プリントヘッドのアライメントが調整済みであるか否かの判定、及びインクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定に基づき、第1または第2プリントヘッドのいずれか一方からインクを吐出するよう制御する制御部と、を備える。
前記制御部は、前記スワスに含まれる画像がカラーインクを必要とするか否かの判定に基づき、カラーインクを必要とする場合には前記第1プリントヘッドからインクを吐出する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記スワスに含まれる画像のない領域と、前記スワスと次のスワスとに渡り連続する画像領域との比較に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記制御部は、過去のスワスに対する、インクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定結果に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前頁に含まれるスワスに対する、インクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定結果に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、媒体に印刷されたテストパターンを自動的に読み取るセンサを搭載するプリンタ装置は高額になってしまい、多くのプリンタではユーザによる目視確認でアライメントを行っている。このような作業はユーザによって煩雑であり、ユーザの負担となっていた。また、記録媒体にテストパターンを印刷する際にはインクと記録媒体とが必要であり、余計なインクと記録媒体とを消費することになっていた。この点、上記特許文献1に記載の技術では、テストパターンの印刷によりインクと記録媒体とを余計に消費することは回避可能にも見えるが、選択された一のプリントヘッドのみを使用して印刷を行うため、結局大量のインクを消費することになってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
第1方向(主走査方向)に移動しながらインクを吐出する第1プリントヘッド(カラープリントヘッド132)と、
前記第1方向に移動しながらインクを吐出する第2プリントヘッド(モノクロプリントヘッド133)と、
前記第1及び前記第2プリントヘッドのアライメントが調整済みであるか否かの判定、及びインクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定に基づき、前記第1または前記第2プリントヘッドのいずれか一方からインクを吐出するよう制御する制御部(100)と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置(プリンタ装置10)である。
【0007】
また、本発明の別の手段は、
第1方向(主走査方向)に移動しながらインクを吐出する第1プリントヘッド(カラープリントヘッド132)と、前記第1方向に移動しながらインクを吐出する第2プリントヘッド(モノクロプリントヘッド133)とを制御する方法であって、
前記第1及び前記第2プリントヘッドのアライメントが調整済みであるか否かを判定する第1ステップと、
インクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類を判定する第2ステップと、
前記第1ステップ及び前記第2ステップの判定結果に基づき、前記第1または前記第2プリントヘッドのいずれか一方からインクを吐出するよう制御する第3ステップと、を含む
ことを特徴とする画像形成方法である。
【0008】
上記の構成または方法によれば、アライメントが未調整であった場合でも、致命的な画質の低下のない印刷(画像形成)を行うことなどが可能となる。別の観点では、ユーザに対するアライメント調整を強要することなく、一定品質の印刷を行うことが可能となる。また、アライメントのためのテストパターンの印刷などの調整印字を行う必要が無いため、インク及び記録媒体の消費を抑えることができる。さらに、上記画像形成装置または方法では、スワスに含まれる画像に対する判定を行い処理しているため、画像のごく一部にカラーが含まれているような場面などでは効果的にインクの消費量を低減させることができる。
【0009】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、スワス毎に、前記第1または前記第2プリントヘッドのどちらからインクを吐出するかを制御する。
【0010】
上記構成の画像形成装置によれば、スワスに含まれる画像の種類に応じて、スワス毎に使用するプリントヘッドを切り替えることが可能となる。これにより、効果的にインクの消費量を削減することができる。
【0011】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記第1プリントヘッドがカラーインクを吐出し、
前記第2プリントヘッドがモノクロインクを吐出する。
【0012】
上記構成の画像形成装置によれば、モノクロインクにより印刷すべき箇所を、カラーインクを代用して印刷することなどが可能となる。また、スワスにカラー画像が含まれるときにはカラープリントヘッドを用い、スワスにカラー画像が含まれないときにはモノクロプリントヘッドを用いるなどの印刷処理を実行可能となる。これにより、カラーインクの消費量を削減することができる。
【0013】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記スワスに含まれる画像がカラーインクを必要とするか否かの判定に基づき、カラーインクを必要とする場合には前記第1プリントヘッドからインクを吐出する。
【0014】
上記構成の画像形成装置によれば、カラーインクの削減をより効果的に削減することが可能となる。
【0015】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、インクの消費量に応じて前記第1プリントヘッドから吐出されるインク量を制御する。
【0016】
上記構成の画像形成装置によれば、インクの消費量に応じて自動的に印刷品質を変化させ、これによりインクの消費量を効果的に削減することなどが可能となる。
【0017】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、過去のインクの消費量に応じて、前記第1プリントヘッドから吐出されるそれ以降のインク量を制御する。
【0018】
上記構成の画像形成装置によれば、過去のインク消費量に基づいた判定を行うため、インク消費量を見積もりつつ印刷を行うことによる処理の増加に起因する印刷時間の長時間化を抑制することが可能となる。
【0019】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、前頁におけるインクの消費量に応じて、前記第1プリントヘッドから吐出されるそれ以降のインク量を制御する。
【0020】
上記構成の画像形成装置によれば、ページ毎にインクの消費量、すなわち印刷品質の制御を行っているため、比較的簡易な処理によりインク消費量の削減を行うことができる。
【0021】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、予め登録されたテーブルに基づいて、前記第1プリントヘッドから吐出されるインク量を制御する。
【0022】
上記構成の画像形成装置によれば、テーブルを利用した簡易な処理により、インク量の制御を行うことが可能となる。
【0023】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記スワスに含まれる画像のない領域と、前記スワスと次のスワスとに渡り連続する画像領域との比較に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する。
【0024】
上記構成の画像形成装置によれば、2のスワスにまたがって連続する画像を1のスワスに圧縮(縮小)して印刷することが可能となる。これにより、印刷速度を高速化することが可能となる。特に、第1プリントヘッドと第2プリントヘッドとのスワスの幅(副走査方向の長さ)が異なる場合には、より効果的に印刷速度の低下を防止し、印刷速度を高速化することなどが可能となる。
【0025】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、過去のスワスに対する、インクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定結果に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する。
【0026】
上記構成の画像形成装置によれば、例えば、モノクロインクによる印刷をカラーインクで代用した場合に発生する印刷の長時間化を抑制することなどが可能となる。
【0027】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部は、前頁に含まれるスワスに対する、インクを吐出するスワスに含まれる画像に必要なインクの種類の判定結果に基づいて、前記画像のない領域を縮小し、前記画像領域を前記スワスに含ませるよう制御する。
【0028】
上記構成の画像形成装置によれば、前ページに含まれるスワスに対する判定に基づいて以降のページについての省略印刷処理を行うことが可能となる。これにより、比較的簡易な処理により印刷時間の長時間化の抑制を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
(1)プリンタ装置の構成例
(2)動作例
2.実施形態2
3.実施形態3
4.補足事項
【0031】
<1.実施形態1>
まず、本発明の実施形態1について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタ装置は、カラープリントヘッドとモノクロプリントヘッドとを含むインクジェット方式のプリンタ装置である。一般に、プリンタ装置は、主走査方向に往復運動を行うインクカートリッジを備えている。インクカートリッジは、所定の配列を有するプリントヘッドノズルを有しており、このプリントヘッドノズルを通ってインクが印刷媒体上に噴出される。このインクカートリッジが、主走査方向に沿って走査される間に、カートリッジ上のノズルのレイアウトに対応した一定の幅で、スワス(swath)を形成することにより、媒体に印字を行うことができる。特にアライメントの調整がなされていない場合に、このスワスに含まれる画像に必要なインクの種類に応じて使用するプリントヘッドを変更する構成としている点が特徴のひとつである。なお、「スワス」とは、インクカートリッジに形成されたノズルから一度のインクの吐出により形成される画像の領域を指す。以下、具体的に説明する。
【0032】
<(1)プリンタ装置の構成例>
図1は、本実施形態のプリンタ装置の機能的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ装置10は、制御部100、通信I/F110、メモリ120、及び印刷部130を含んで構成される。印刷部130は、駆動部131、カラープリントヘッド132、及びモノクロプリントヘッド133を含んで構成される。
【0033】
<通信I/F110>
通信I/F(インタフェース)110は、プリンタ装置10に接続されたPCなどの外部装置から、印刷すべき画像データ、及び印刷設定に関する情報などを受信するよう構成される。通信I/F110は、USBまたは有線LANなどの有線通信により外部装置と接続されてもよいし、WiFiなどの無線通信により外部装置と接続されてもよい。通信I/F110は、受信した画像データ及び印刷設定に関する情報などを制御部100に出力する。
【0034】
<メモリ120>
メモリ120は、制御部100の制御により、必要なデータを記憶するよう構成される。特に本実施形態では、メモリ120は、制御部100が通信I/F110から受信した画像データ及び印刷設定に関する情報などを記憶する。また、メモリ120は、アライメントが実行されたか否か、及び具体的なアライメントの内容について記憶する。アライメントの内容とは、記録媒体上の適切な位置にインクを吐出するための各種情報である。また、制御部100により実行されるファームウェアなどを記憶することも可能である。
【0035】
<印刷部130>
印刷部130は、
図1に示されるとおり、駆動部131、カラープリントヘッド132、及びモノクロプリントヘッド133を含んで構成され、制御部100の制御により記録媒体である紙などに対してインクを吐出して、この記録媒体に画像を形成する(印刷する)よう構成される。
【0036】
<駆動部131>
駆動部131は、制御部100の制御により、カラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133をそれぞれ所定の位置に移動させるよう構成される。より具体的には、駆動部131は、制御部100の制御により主走査方向にカラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133を移動させ、その後副走査方向に一定量だけ移動した後、さらに主走査方向にカラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133を移動させる処理を繰り返し実行する。これにより、駆動部131は、記録媒体に対してインクを吐出すべき部分のすべてに対してカラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133を移動させることとなる。
【0037】
<カラープリントヘッド132>
カラープリントヘッド132は、複数のノズルを含んで構成され、制御部100の制御により、所定のタイミングでノズルからカラーインクを吐出するよう構成される。すなわち、カラープリントヘッド132は、駆動部131により所定位置に移動させられながらノズルからカラーインクを吐出し、これにより記録媒体上の所定の位置にインクを吐出する。カラープリントヘッド132は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)などの複数種類のカラーインクをそれぞれ独立して吐出可能であり、これらのインクの吐出量を調整することにより記録媒体上に多様な色を表現する。また、カラープリントヘッド132は、CMY(シアン、マゼンタ、及びイエロー)のインクを混ぜ合わせることで媒体上に黒色(K、またはブラックともいう)を表現可能である。
【0038】
<モノクロプリントヘッド133>
モノクロプリントヘッド133は、複数のノズルを含んで構成され、制御部100の制御により、所定のタイミングでノズルからモノクロインク(黒色のインク)を吐出するよう構成される。すなわち、モノクロプリントヘッド133は、駆動部131により所定位置に移動させられながらノズルからモノクロインクを吐出し、これにより記録媒体上の所定の位置にモノクロインクを吐出する。モノクロプリントヘッド133は、K(黒、ブラック)のインクを吐出可能であり、このインクにより記録媒体上に黒色を表現する。また、モノクロプリントヘッド133は、カラープリントヘッド132と比較して、副走査方向に幅広に形成されている。これにより、モノクロプリントヘッド133ではスワスの幅(一度のプリントヘッド移動の際における副走査方向の印刷幅)が広くなる。このため、カラー画像を含まない黒色の文字のみからなる書類などでは、カラー画像を含む場合の印刷と比較して、印刷時間を短くすることが可能となっている。
【0039】
上記のように、駆動部131により駆動されるカラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133が主走査方向に移動しながらインクを吐出することで、記録媒体上の主走査方向に伸びる帯状の領域(これを「スワス」と呼ぶ)にインクによる画像が形成される。プリンタ装置10では、このように主走査方向に移動しながらインクを吐出する処理を、副走査方向に所定量だけ徐々に移動しながら行うことで、記録媒体全体に対する画像の形成を行う。
【0040】
<制御部100>
制御部100は、プリンタ装置10に含まれる通信I/F110、メモリ120、及び印刷部130の全体を制御するよう構成される。特に、本実施形態では、制御部100は、印刷時にインクを吐出すべきプリントヘッドを制御することを特徴とする。
【0041】
制御部100は、アライメントが行われていない初期状態、またはいずれかのプリントヘッドの交換が行われたにも関わらず再度のアライメントが行われていない状態などで、ユーザに対してアライメントを実行するよう促す機能を有する。ユーザによりアライメントが行われた場合位は、メモリ120にアライメントが行われたことを示す情報、及びアライメントの内容を記憶させる。
【0042】
記録媒体に対する印刷が行われる際、制御部100は、まず、外部端末に対するユーザの操作により通信I/F110に対して送信された印刷すべき画像の画像データ及び印刷設定に関する情報を、メモリ120に記憶させる。そして、制御部100は、この画像データ及び印刷設定に基づいて記録媒体である印刷用紙などに対する印刷を実行するため、印刷部130に印刷を指示する。
【0043】
印刷を実行するとき、制御部100は、アライメントの調整が実行済みであるか否かの情報、及び印刷しようとするスワスに含まれる画像に必要なインクの種類を判定する。そして、制御部100は、この判定結果に基づいて、このスワスへの印刷に用いるべきプリントヘッドとして、カラープリントヘッド132及びモノクロプリントヘッド133の一方または双方を選択する。すなわち、制御部100は、スワス毎にどちらのプリントヘッドを利用するかを決定する。このときの処理については動作例で具体的に説明する。
【0044】
<(2)動作例>
次に、本実施形態のプリンタ装置の具体的動作例について、
図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図2は、本実施形態のプリンタ装置における印刷処理の例を示すフローチャートである。
【0045】
<S300>
ユーザがプリンタ装置10に接続されたPCなどの外部機器を操作して印刷実行を指示すると、プリンタ装置10の通信I/F110は、この外部機器から送信された画像データ及び印刷設定に関する情報を受信し、制御部100に出力する。制御部100は、この画像データ及び印刷設定に関する情報をメモリ120に記憶させる(S300)。
【0046】
<S310>
次に、制御部100は、ユーザによりアライメントの調整がなされているか否かを確認する(S310)。アライメントの調整がなされているか否かは、例えば、メモリ120に記憶された情報に基づいて制御部100が判定する。
【0047】
上記処理の結果、アライメントが調整されている場合(S310でY)には、制御部100は、通常のインク選択処理として、印刷の種類に応じてカラープリントヘッド132とモノクロプリントヘッド133を利用したCMYKの4種類のインクを選択的に利用するよう制御する。一方で、アライメントが調整されていない場合(S310でN)には、制御部100は、特殊印刷時のインク選択処理として、印刷すべき画像に一部でもカラーが含まれる場合にはカラープリントヘッド132を利用したCMYの3種類のインクを利用し、全画像が黒色である場合にはモノクロプリントヘッド133を利用したK(ブラック)のインクを利用するよう制御する。このようなプリントヘッドの選択は、スワス毎に行われる。以下のS320〜S390のフローでは、この処理を具体的に説明している。
【0048】
<S320〜S330>
制御部100がアライメントの調整がなされていないと判定した場合(S310でN)、制御部100は、印刷対象のスワスにカラー画像が含まれるか否かを判定する(S320)。ここで、印刷対象のスワスにカラー画像が含まれないと判定された場合(S320でN)、すなわち、印刷対象のスワスが黒色の画像のみである場合、制御部100は黒色インク(Kインク)のためのデータを生成する(S330)。そして、制御部100は、この黒色インクのデータ(Kデータ)に基づく印刷を印刷部130に実行させる(S400)。
【0049】
<S340>
一方で、S320での判定の結果、制御部100が、印刷対象のスワスにカラー画像が含まれると判定した場合(S320でY)、制御部100はカラーインク(CMYインク)のためのデータを生成する(S340)。このとき、当該スワスに黒色の部分が含まれる場合には、この黒色部分はカラーインクの組み合わせによって印刷されることとなる。そして、制御部100は、このカラーインクのデータ(CMYデータ)に基づく印刷を印刷部130に実行させる(S400)。
【0050】
<S350〜S360>
一方、制御部100がアライメントの調整がされていると判定した場合(S310でY)、制御部100は、印刷対象のスワスがモノクロ印刷であるか、すなわち黒色インクのみで印刷される画像か否かを判定する(S350)。ここで、印刷対象のスワスがモノクロ印刷であると判定された場合(S350でY)、制御部100は黒色インク(Kインク)のためのデータを生成する(S360)。そして、制御部100は、この黒色インクのデータ(Kデータ)に基づく印刷を印刷部130に実行させる(S400)。
【0051】
<S370〜S380>
一方で、S350での判定の結果、制御部100が、印刷対象のスワスがモノクロ印刷ではないと判定された場合(S350でN)、すなわち、印刷対象のスワスにカラー画像が含まれると判定された場合、制御部100は次に、この印刷対象のスワスがカラー画像のみのカラー印刷か否かを判定する(S370)。ここで、制御部100が、この印刷対象のスワスがカラー画像のみのカラー印刷であると判定した場合には、制御部100はカラーインク(CMYインク)のためのデータを生成する(S380)。そして、制御部100は、このカラーインクのデータ(CMYデータ)に基づく印刷を印刷部130に実行させる(S400)。
【0052】
<S390>
一方で、S370での判定の結果、制御部100が、印刷対象のスワスがカラー画像のみのカラー印刷ではなく、カラー画像と黒色画像とを含むものであると判定した場合(S370でN)、制御部100はカラーインク(CMYインク)及び黒色インク(Kインク)のためのデータ(CMYKデータ)を生成する(S390)。そして、制御部100は、このカラーインク及びモノクロインクのデータ(CMYKデータ)に基づく印刷を印刷部130に実行させる(S400)。
【0053】
<S400〜S410>
上記処理の結果、制御部100は印刷部130に対して記録媒体に対する印刷を指示し(S400)、その後印刷が完了する(S410)。
【0054】
ここで、一般的にカラープリントヘッド132とモノクロプリントヘッド133とが比較的離れて配置されるのに対して、カラープリントヘッド132に含まれる複数の色のプリントヘッドは比較的近接して配置される。したがって、記録媒体に対してインクにより画像を形成するときに、アライメントが未調整の場合には、カラーインクによる画像形成部分と、モノクロインクによる画像形成部分とがずれてしまい、本来隙間が発生しない箇所に隙間が発生するなど、印刷品質に関わることとなる。これに対して上記実施形態に記載のプリントヘッドでは、本来モノクロインクにより画像を形成する部分をカラーインクにより形成することにより、画像形成の位置ずれを効果的に抑制することができる。そのため、プリンタ装置10においてアライメントが未調整であった場合でも、致命的な画質の低下のない印刷(画像形成)を行うことなどが可能となる。別の観点では、本実施形態のプリンタ装置10では、ユーザに対するアライメント調整を強要することなく、一定品質の印刷を行うことが可能となる。また、本実施形態のプリンタ装置10では、アライメントのためのテストパターンの印刷などの調整印字を行う必要が無いため、インク及び記録媒体(紙など)の消費を抑えることができる。さらに、本実施形態のプリンタ装置10では、スワスに含まれる画像に対する判定に基づいてインクの選択処理を行っているため、画像のごく一部にカラーが含まれているような場面などでは特に効果的にインクの消費量の増加を抑制させることができる。
【0055】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタ装置は、スワス毎に消費されたインク消費量を計算し、計算されたインク消費量に基づいて印刷時に使用するカラーテーブルを変更して印刷品質を切り替える点が特徴のひとつである。本実施形態のプリンタ装置では、この特徴により、カラーインクが極端に多く消費されることを抑制することが可能となっている。以下の説明では、実施形態1と比較して本実施形態が異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同様の内容についてはその説明を省略する。
【0056】
図3は、本実施形態のプリンタ装置において実行されるスワス毎のインクカウント処理の例を示すフローチャートである。この処理において計算されたインク消費量に基づいて、次に説明する印刷開始時のカラーテーブル選択処理(
図4参照)が実行される。
【0057】
<S500〜S510>
プリンタ装置10において印刷が実行されるとき、制御部100は、スワス毎のインクカウント処理を行う(S500)。制御部100は、まず、モノクロ部分(黒色の画像部分)をカラーインクにより印刷する処理を行っているか否かを判定する(S510)。この判定は、実施形態1において、黒色部分をカラーインクの組み合わせにより印刷するか否か(
図2におけるS340の処理を行うかどうか)に応じて判定される。
【0058】
<S520>
モノクロ部分をカラーインクにより印刷しない場合(S510でN)、制御部100は通常のインク消費量計算処理を実行する(S520)。
【0059】
<S530>
一方で、モノクロ部分をカラーインクにより印刷をする場合(S510でY)、制御部100は、通常のインク消費量計算処理(S521)の後に、カラーインクのみによる印刷を行う場合のインク消費量計算処理(S522)を行う。この処理は、本来であればモノクロプリントヘッド133から吐出されるモノクロインクにより印刷すべきであった箇所を、カラープリントヘッド132から吐出されるカラーインクの組み合わせにより印刷された箇所がどの程度あったのかをカウントするものである。
【0060】
<S540>
上記のインク消費量カウント処理が終了すると、制御部100はインクカウント処理の1サイクルを終了する。このインクカウント処理はスワス毎に実行され、印刷用紙を記録媒体とする場合には1ページ(または1枚)の印刷が完了するごとにリセットされる。
【0061】
図4は、本実施形態のプリンタ装置において実行される印刷開始時のカラーテーブル選択処理の例を示すフローチャートである。上述の様に、この処理は先に説明したスワス毎のインクカウント処理(
図3参照)の結果を利用して実行される。
【0062】
<S600〜S610>
プリンタ装置10において前のページに続くページの印刷が開始されるとき、制御部100は、カラーテーブル選択処理を実行する(S600)。制御部100は、まず、アライメント調整が行われているかを判定する(S610)。
【0063】
<S620、S670>
制御部100が、アライメント調整が行われていると判定した場合(S610でY)、制御部100は通常のカラーテーブルを使用した印刷を行うよう設定して(S620)、カラーテーブル選択処理を終了する(S670)。
【0064】
<S630>
一方で、制御部100が、アライメント調整が行われていないと判定した場合(S610でN)、制御部100は、前ページの印刷の際に行われたスワス毎のインクカウント処理の結果に基づいて、(A)通常のインク消費量と、(B)カラーのみ印刷時のインク消費量とを比較し、これらのインク消費量の差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する。このインク消費量の差分は、言い換えれば、黒色部分(モノクロ部分)をカラーインクの組み合わせにより印刷したことにより増加したインクの消費量を示すこととなる。このインク消費量の差分が所定の閾値未満である場合(S630でN)、S620の処理に移行する。
【0065】
<S640〜S670>
一方で、インク消費量の差分が所定の閾値以上である場合(S630でY)、制御部100は、ユーザに対して低カラー消費量のカラーテーブルを利用した印刷を実行することついての通知を行ったか否かを判定する(S640)。印刷中の印刷物に対して当該通知が行われていない場合には(S640でN)、制御部100はユーザに対して、カラーインクの消費量を低減させる低カラー消費量のカラーテーブルを利用した印刷を実行することを通知する(S650)。当該ユーザに対する通知を行ったら、または既に通知が行われていたら(S640でY)、制御部100は、低カラー消費量のカラーテーブルを使用した印刷を行うよう設定して(S660)、カラーテーブル選択処理を終了する(S670)。
【0066】
ここで、低カラー消費量のカラーテーブルとは、複数のカラーインクの組み合わせにより黒色部分(モノクロ部分)を印刷する際に使用するカラーインクの量を削減するカラーテーブルである。つまり、この低カラー消費量のカラーテーブルを利用して印刷された黒色部分は、通常のカラーテーブルを利用して印刷された黒色部分と比較して使用されたインク量が少ないため、やや薄く表示されることがある。
【0067】
本実施形態のプリンタ装置10では、上記のように、インクの消費量(特にカラーインクの消費量)に応じて、プリントヘッド(特にカラープリントヘッド132)から吐出されるインクの量を制御可能になるよう、カラーテーブルを使い分けている。これにより、本実施形態のプリンタ装置10では、インクの消費量に応じて自動的に印刷品質を変化させ、これによりインクの消費量(特にカラーインクの消費量)を削減させることが可能となる。また、黒色部分についてのみインクの消費量を削減する処理を行うことにより、全体としては印刷品質を感じづらくすることが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態では、過去のインク消費量のカウントに基づいてカラーテーブルを変更しているが、これはこれから使われようとするインク消費量を見積もってカラーテーブルを変更するような処理としてもよい。ただし、過去のインク消費量に基づく処理は、比較的簡易に行うことができるため好ましい。
【0069】
<3.実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について、
図5〜
図8を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタ装置では、スワス毎にパス数カウント処理を行い、カウントされたパス数に基づいて省略印字モードを採用する機能を備える点が特徴のひとつである。より具体的には、実施形態1のプリンタ装置では、黒色部分をカラーインクで印刷しているが、一般的にモノクロインクヘッドはカラーインクヘッドよりもスワスの幅(副走査方向の幅、「高さ」とも呼ばれる)が広くなるよう構成されているため、黒色部分をカラーインクで印刷すると、黒色部分をモノクロインクで印刷する場合と比較して印刷時間が長くなる。すなわち、モノクロインクヘッドがカラーインクヘッドよりもスワスの幅が2倍であったとすると、黒字部分のみのスワスをカラーインクで印刷する場合には、その部分に着目すると、主走査方向に移動しながら行う印刷を2回(2倍の回数)行う必要があることとなる。そのため、本実施形態では、この印刷時間の長時間化を抑制することを可能としている。以下の説明では、実施形態1と比較して本実施形態が異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同様の内容についてはその説明を省略する。
【0070】
図5は、本実施形態のプリンタ装置において実行されるスワス毎のパス数カウント処理の例を示すフローチャートである。この処理においてカウントされた印刷パス数に基づいて、後述の省略印字モードが採用されるか否かが判定される(
図6及び
図7参照)。なお、「パス数」または「印刷パス数」とは印刷に必要となるスワスの数を指しており、当該スワスに対する印刷を実行するために必要な主走査方向への移動回数を指す。印刷パス数は、スワスに対する印刷が行われるたびに「1」だけ加算されていくが、このとき、通常印刷時の印刷パス数もあわせて加算されていく。通常印刷時の印刷パス数とは、黒字部分をカラーインクで印刷する処理を行わない場合の印刷パス数をカウントするものであり、黒字部分をカラーインクで印刷しない場合には「1」だけ加算していくが、黒字部分をカラーインクで印刷する場合には「0.5」を加算していく。以下、当該処理について具体的に説明する。
【0071】
<S700〜S710>
プリンタ装置10においてスワスに対する印刷が実行されるとき、制御部100は、スワス毎のパス数カウント処理を行う(S700)。当該処理は、スワスに対する印刷時に毎回行われる。制御部100は、まず、モノクロ部分(黒色の画像部分)をカラーインクにより印刷する処理を行っているか否かを判定する(S710)。この判定は、実施形態1において、黒色部分をカラーインクの組み合わせにより印刷するか否か(
図2におけるS340の処理を行うかどうか)に応じて判定される。
【0072】
<S720〜S740>
モノクロ部分をカラーインクにより印刷しない場合(S710でN)、制御部100は印刷パス数を+1(インクリメント)し(S720)、さらに通常印刷時の印刷パス数を+1する(S730)。その後、パス数カウント処理を終了する(S740)。
【0073】
<S721〜S731>
一方で、モノクロ部分をカラーインクにより印刷をする場合(S710でY)、制御部100は、印刷パス数を+1し(S721)、さらに通常印刷時の印刷パス数を+0.5する(S731)。その後、パス数カウント処理を終了する(S740)。
【0074】
図6は、本実施形態のプリンタ装置において実行される印刷開始時のスワス調整処理の例を示すフローチャートである。上述の様に、この処理は先に説明したスワス毎のパス数カウント処理(
図5参照)の結果を利用して実行される。この処理は、例えば、各ページに対して印刷を行う前に実行される。また、この処理の結果、プリンタ装置10で省略印字モードが採用されるか否かが決定され、省略印字モードが採用される場合には、後述の印刷画像走査処理(
図7参照)における処理が変化することとなる。
【0075】
<S800〜S810、S860>
プリンタ装置10において前のページに続くページの印刷が開始されるとき、制御部100は、スワス調整処理を実行する(S800)。制御部100は、まず、アライメント調整が行われているかを判定する(S810)。ここで、制御部100が、アライメント調整が行われていると判定した場合(S810でY)、制御部100は、スワス調整処理を終了する(S860)。すなわち、アライメントの調整がなされている場合には、省略印字モードは採用されないこととなる。
【0076】
<S820>
一方で、制御部100が、アライメント調整が行われていないと判定した場合(S810でN)、制御部100は、先に行われたスワス毎のパス数カウント処理(
図5参照)の結果に基づいて、印刷パス数と、通常印刷時の印刷パス数との差分が閾値以上であるか否かを判定する。この印刷パス数の差分は、言い換えれば、黒色部分(モノクロ部分)をカラーインクの組み合わせにより印刷したことにより増加した印刷パス数を示すこととなる。この印刷パス数の差分が所定の閾値未満である場合(S820でN)、スワス調整処理を終了する(S860)。
【0077】
<S830>
一方で、印刷パス数の差分が所定の閾値以上である場合(S820でY)、制御部100は、ユーザに対して省略印字モードを利用した印刷を実行することついての通知を行ったか否かを判定する(S830)。印刷中の印刷物に対して当該通知が行われていない場合には(S830でN)、制御部100はユーザに対して、主走査方向の空行(白帯)部分を省略(圧縮)することで印刷速度を上げる省略印字モードを採用した印刷を実行することを通知する(S840)。当該ユーザに対する通知を行ったら、または既に通知が行われていたら(S830でY)、制御部100は、省略印字モードを有効にするよう設定して(S850)、スワス調整処理を終了する(S860)。
【0078】
省略印字モードとは、上記のように、主走査方向の空行、すなわち、インクによる画像を全く形成しない白帯部分(ライン)に対する印刷を省略して、その分、当該スワスから次のスワスに続く画像部分を、当該スワスに圧縮して印刷するモードである。言い換えれば、テキスト印刷時の白帯部分を副走査方向に縮小し、プリントヘッドのヘッド高さ(副走査方向の長さ)に収めるように印刷するものである。省略印字モードの実例については後述する(
図8参照)。
【0079】
図7は、本実施形態のプリンタ装置において実行される印刷画像走査処理の例を示すフローチャートである。この処理は、プリンタ装置において主走査方向に対するインクヘッドからのインクの吐出による印刷が行われる際に、スワス毎に行われる処理であるが、本実施形態では、省略印字モードの場合には空行の省略印刷処理(S960)が行われる点で特徴がある。よって、省略印字モード時の処理以外は、他の一般的なスワスに対する印刷処理で代用されてもよい。以下、当該処理について具体的に説明する。
【0080】
<S900>
プリンタ装置10においてスワスに対する印刷が実行されるとき、制御部100は、印刷画像走査処理を行う(S900)。当該処理は、スワスに対する印刷時に毎回行われる。
【0081】
以下のS910〜S933の処理は、印刷しようとするスワスに含まれる画像をプリントヘッドの各ノズルに割り当てることで、インクの吐出タイミングを制御するものであり、この点では一般的なインクジェット方式のプリンタ装置におけるものと同様である。ただし、本実施形態では、座標i(所定の主走査方向のライン)に画像があるか否かを判定して空行をカウントする処理が含まれており(S930〜S931)、この点が特徴となっている。
【0082】
<S910〜S920>
制御部100は、まず、座標、及びノズル番号をリセットすることで前回までの処理をリセットし(S910)、前回のスワスに対する印刷のY座標をiに代入する(S920)。
【0083】
<S930〜S931>
次に、制御部100は、座標i(所定の主走査方向のライン)に画像があるか否かを判定する(S930)。座標iに画像がないと判定された場合(S930でN)、制御部100は空行カウンタの値を+1(インクリメント)して、S932の処理に移行する。一方、座標iに画像があると判定された場合には、そのままS932の処理に移行する。
【0084】
<S932>
次に、制御部100は、x(ノズル番号)を+1し、座標iを+1する(S932)。すなわち、制御部100は、プリントヘッドに含まれる次のノズルに対して、次の座標iの画像を割り当てる処理を行う。当該処理はプリントヘッドに含まれるノズルの数と、スワスに含まれる副走査方向の座標数(ライン数)に応じて変換処理が必要となるが、一般的な内容として当業者には理解可能なものであるためここではその説明を省略する。
【0085】
<S933>
そして、制御部100は、xの値が全ノズル数と一致するか、すなわち、プリントヘッドに含まれる全ノズルに対する画像の割り当て(インクの吐出タイミングに関する指示)を行ったか否かを判定し(S933)、x=全ノズル数となっていない場合には(S933でN)、全ノズルに対して画像の割り当てが行われるまで当該処理を繰り返すため、S930の処理に移行する。
【0086】
<S940>
x=全ノズル数となっていると判定されると(S933でY)、制御部100は、印字モードが省略印字モードであるか否かを判定する(S940)。省略印字モードでない場合には(S940でN)、印刷画像走査処理を終了し(S970)、制御部100から印刷部130に対する印刷指示が行われる。
【0087】
<S950〜S960>
一方で、省略印字モードであると判定された場合(S940でY)、座標i〜i+空行カウンタの間の座標に、画像のない座標(空行)があるか否かを判定する(S950)。当該処理は、印刷しようとするスワスに含まれる空行部分(空行カウンタの値により示される)を省略することで、次のスワスの空行までの画像を、当該スワスに圧縮することができるかどうかを判定しようとする処理である。座標i〜i+空行カウンタの間の座標に画像のない座標がない場合(S950でN)、空行の省略印刷処理を行うことなく、印刷画像走査処理を終了する(S970)。一方で、座標i〜i+空行カウンタの間の座標に画像のない座標がある場合には(S950でY)、空行の省略印刷処理を行う。当該処理は、印刷しようとする当該スワスから、次のスワスに渡って連続する画像を当該スワスに含ませるために、空行部分の印刷を省略(縮小)する処理である。
【0088】
図8は、空行の省略印刷処理の具体例を示す図である。
図8(a)は空行の省略を実行しない(省略印字モードではない)印刷結果を示し、
図8(b)は空行の省略を実行する(省略印字モードでの)印刷結果を示す。
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、省略印字モードではない印刷の場合にはプリントヘッドの高さからはみ出てしまう画像部分を、省略印字モードによる印刷の場合にはプリントヘッドの高さに収めることが可能となることが判る。このような省略印字モードを採用することで、本来2印刷パス(スワス)を必要とする印刷を、空行を抹消することで、1印刷パス(スワス)で行うことが可能となる。
【0089】
本実施形態のプリンタ装置10では、上記のような省略印字モードを採用可能であるため、2のスワスにまたがって連続する画像を1のスワスに圧縮して(縮小させて)印刷することが可能となる。これにより、印刷速度を高速化させることが可能となる。特に、本実施形態ではアライメントの調整がなされていないときに、モノクロ部分をカラーインクで印刷する処理を行っており、これにより印刷時間が長時間化することがあるが、省略印字モードを採用すれば、この印刷時間の長時間化を抑制することが可能となる。
【0090】
<4.補足事項>
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0091】
上記実施形態のプリンタ装置のカラープリントヘッド132では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3種類のカラーインクを含む構成を例と挙げていたが、カラーインクの数と種類についてはこれに限定されるものではなく、任意に決定可能である。
【0092】
また、実施形態2または実施形態3におけるユーザに対する通知は必須の処理ではなく、省略されてもよい。また、これらの通知に代えて、ユーザによる許可を問い合わせるものであってもよい。この場合、ユーザにより許可がなされない場合には、低カラー消費量のカラーテーブルを利用した印刷、または省略印字モードによる印刷を行わない処理を行ってもよい。
【0093】
また、上記実施形態3では、モノクロ部分をカラーインクで印刷する場合に限定して省略印字モードを採用したが、これに限定されるものではない。すなわち、実施形態3に記載の省略印字モードは、実施形態1と組み合わされることなく、独立して実施されてもよい。この場合であっても、省略印字モードを採用可能なプリンタ装置では、印刷時間の高速化を可能とすることができる。
【0094】
また、上記実施形態3で説明した省略印字モードは、文字を印刷する場合に限定的に採用されるものではなく、文字以外の画像を印刷する場合にも適用可能である。省略印字モードは、省略印刷モードなどと言い換えてもよい。
【0095】
また、上記実施形態2及び3の処理は、プリンタ装置10でアライメント調整が行われている場合には省略してもよい。