【解決手段】外部機器に対して画像形成の開始指示を要求する送信部(無線通信部120)と、前記外部機器から画像形成開始指示を受信する受信部(無線通信部120)と、前記画像形成開始指示に応答して、画像データに基づく画像の形成を開始する制御部(100)と、を備えることを特徴とする画像形成装置(プリンタ装置10)を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3G/4Gなどの携帯電話の無線通信を利用して印刷を実行するプリンタを考えた場合、従来考えられなかった種々の課題が想定される。例えば、当該プリンタへアクセスするための携帯電話の番号など、アクセス方法が分かれば誰でも当該プリンタでの印刷を実行することができる可能性がある。しかし、プリンタが受信した印刷データが無条件に印刷されると、プリンタユーザが望まない印刷が実行されたり、意図しない印刷設定(用紙サイズ、解像度、カラー印刷の有無)で印刷されたりすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
外部機器(ユーザ端末20)に対して画像形成の開始指示を要求する送信部(無線通信部120)と、
前記外部機器から画像形成開始指示を受信する受信部(無線通信部120)と、
前記画像形成開始指示に応答して、画像データに基づく画像の形成を開始する制御部(100)と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置(プリンタ装置10)である。
【0007】
また、本発明の別の手段は、
外部機器に対して画像形成の開始指示を要求する第1ステップと、
前記外部機器から画像形成開始指示を受信する第2ステップと、
前記画像形成開始指示に応答して、画像データに基づく画像の形成を開始する第3ステップと、を含む
ことを特徴とする画像形成方法である。
【0008】
上記の画像形成装置または画像形成方法によれば、スマートフォンなどの外部機器を介して、画像形成装置(プリンタ)のユーザが画像形成を開始するか否かを判断して画像形成開始指示を送信することができる。これにより、上記画像形成装置または方法では、プリンタユーザが不要な画像形成を未然に防止することが可能となり、インク及び記録媒体である用紙などの無駄な消耗を防止することができる。
【0009】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
第2外部機器(データ送信端末30)から前記画像データを受信する通信部(携帯電話通信部110)をさらに備え、
前記制御部(100)は、前記画像データに基づく画像を形成する。
【0010】
上記構成の画像形成装置によれば、画像形成装置が第2外部装置としてのPC端末などから受信した画像データに基づく画像形成を実行することが可能となる。
【0011】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記送信部(無線通信部120)はさらに、前記外部機器(ユーザ端末20)に対して画像形成の内容を送信する。
【0012】
上記構成の画像形成装置によれば、外部装置を介して、画像形成装置のユーザが画像形成の内容を確認した上で画像形成を開始するか否かを判断することが可能となる。これにより、ユーザは、より効果的に画像形成を開始するか否かの判断をすることができる。
【0013】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記画像形成の内容が、前記画像データに基づいて生成された第2画像データである。
【0014】
上記構成の画像形成装置によれば、画像データに基づいて生成されたサムネイル画像などを、外部装置を介してユーザが確認することを可能にする。または、画像データに基づいて生成された、または画像データから抽出された印刷設定を、外部装置を介してユーザが確認することを可能にする。これにより、ユーザによる画像形成開始の判断の利便性を高めることができる。
【0015】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部(100)は、前記第2外部機器(データ送信端末30)が予め登録された機器である場合には、前記画像形成開始指示の受信に関係なく画像の形成を開始する。
【0016】
上記構成の画像形成装置によれば、予め登録された第2外部装置(PC端末など)から受信した画像データに関しては、ユーザによる画像形成開始の判断を省略して、画像形成を開始することが可能となる。これにより、上記画像形成装置では、例えばユーザが外出先から印刷するためのデータを送信したような場合、または必ず印刷する所定のクーポンや災害情報などを印刷する場合などに、冗長な印刷開始判断を省略することなどが可能となる。
【0017】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部(100)は、前記画像データに所定のデータが含まれている場合には、前記画像形成開始指示の受信に関係なく画像の形成を開始する。
【0018】
上記構成の画像形成装置によれば、キーワードや暗号などの所定のデータが含まれる画像データに関しては、ユーザによる画像形成開始の判断を省略して、画像形成を開始することが可能となる。
【0019】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記所定のデータが所定の文字列である。
【0020】
上記構成の画像形成装置によれば、所定の文字列を含む画像データに関しては、ユーザによる画像形成開始の判断を省略して、画像形成を開始することが可能となる。これにより、画像形成装置は、比較的簡易な処理により、画像形成開始の判断を行うことが可能となる。
【0021】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記通信部(携帯電話通信部110)は、前記制御部が前記画像データに基づく画像の形成を行わない場合、前記第2外部機器(データ送信端末30)に対する通知を行う。
【0022】
上記構成の画像形成装置によれば、画像形成装置の画像データを送信した第2外部機器(PCなど)が、画像形成が行われたか否かを確認することが可能となる。
【0023】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記制御部(100)は、画像形成のためのインクの残量が所定量より少ない場合、画像形成を禁止する。
【0024】
上記構成の画像形成装置によれば、インクの残量に応じて自動的に画像形成を行わない判定を行うことが可能となる。
【0025】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
画像データを記憶する記憶部(メモリ130)をさらに備え、
前記制御部(100)は、前記記憶部に記憶された画像データが所定量以上である場合には、画像形成を禁止する。
【0026】
上記構成の画像形成装置によれば、画像形成装置に記憶された画像データ(印刷ジョブなど)が多く、受信した画像データを記憶できない場合には、自動的に画像形成を禁止することなどが可能となる。
【0027】
また、上記画像形成装置において、好ましくは、
前記通信部(携帯電話通信部110)は、前記第2外部機器から受信した前記画像データが所定量以上である場合、前記第2外部機器に対して所定の形式での画像データの送信を要求する。
【0028】
上記構成の画像形成装置によれば、第2外部機器(PCなど)から送信された画像データのデータ容量が大きい場合、第2外部機器に対して、サムネイル画像、印刷設定、及び画像データを別々に送信することなどが可能となる。これにより、例えば、第2外部装置から送信された画像データのデータ容量が大きい場合に、サムネイル画像のみを最初に受信して、ユーザによる画像形成開始の判断を行うことなどが可能となる。これによって、プリンタ装置10は、画像形成を実行することが確定していないデータサイズの大きい画像データの全体を受信することなく、ユーザに対して画像形成開始の判断を要求することが可能となる。
【0029】
また、本発明の別の手段は、
画像形成装置(プリンタ装置10)から、画像形成の開始指示要求及び画像形成の内容を受信する受信部(無線通信部220)と、
前記画像形成装置に対して画像形成の開始を指示する画像形成開始指示を送信する送信部(無線通信部220)と、を備える
ことを特徴とする電子機器(ユーザ端末20)である。
【0030】
上記構成の電子機器によれば、電子機器のユーザが、画像形成装置における画像形成の開始判断を行うことなどが可能となる。これにより、上記電子機器では、例えば、画像形成装置のユーザが不要な画像形成を未然に防止することが可能となり、インク及び記録媒体である用紙などの無駄な消耗を防止することができる。
【0031】
また、上記電子機器において、好ましくは、
前記画像形成の内容に基づいて、画像形成される画像を表示する表示部(240)と、
操作入力を検出する入力検出部(250)と、をさらに備え、
前記送信部は、前記入力検出部による検出結果に基づいて、前記画像形成開始指示を送信する。
【0032】
上記構成の電子機器によれば、電子機器のユーザが、表示部に表示された画像に基づいて画像形成の開始判断をすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
(1)プリンタシステムの構成例
(2)動作例
(3)特徴
2.実施形態2
3.実施形態3
4.補足事項
【0035】
<1.実施形態1>
まず、本発明の実施形態1について、
図1〜
図9を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタシステムは、例えば3G/4Gなどの携帯電話回線などの無線通信回線を利用して、データ送信端末から画像データを受信することを想定している。そして、このプリンタシステムでは、データ送信端末から受信した印刷データ(画像データ及び印刷設定を含むデータ)をプリンタ装置が印刷する前にユーザ端末を介したユーザによる印刷物の事前確認を行うことを可能とする点を特徴のひとつとしている。以下、具体的に説明する。
【0036】
<(1)プリンタシステムの構成例>
図1は、本実施形態のプリンタシステムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタシステムは、プリンタ装置10、ユーザ端末20、及びデータ送信端末30を含んで構成される。また、
図1に示されるように、プリンタ装置10とデータ送信端末30とは、無線通信回線40を介して無線で接続される。ユーザ端末20は、例えばスマートフォンやPC(Personal Computer)などの電子機器である。データ送信端末30は、例えばPCなどの電子機器である。ユーザ端末20は、プリンタ装置10の所有者が操作することが想定される。データ送信端末30は、プリンタ装置10の所有者またはそれ以外の第三者が操作することが想定される。本実施形態では、第三者がデータ送信端末30を操作する場合を主に想定している。第三者がプリンタ装置10に送信してくる印刷データは、例えば、地域災害の情報、クーポン、または広告などである。これらの印刷データは、プリンタユーザが印刷を希望するものか否かが不明である場合が多い。したがって、プリンタ装置10はこれらを印刷するにあたり、プリンタ装置10の所有者であるユーザに対して確認し、ユーザがユーザ端末20を操作して印刷を許可したものだけを印刷するものとしている。
【0037】
<プリンタ装置10>
プリンタ装置10は、記録媒体である用紙などに対して、インクなどにより画像を形成する画像形成装置である。
図2は、プリンタ装置10の構成例を示す図である。
図2に示されるように、プリンタ装置10は、制御部100、携帯電話通信部110、無線通信部120、メモリ130、及び印刷部140を含んで構成される。
【0038】
<携帯電話通信部110>
携帯電話通信部110は、無線通信回線40を介してデータ送信端末30との情報(データ)の送受信を行うよう構成される。より具体的には、携帯電話通信部110は、無線通信回線40を介して、データ送信端末30から印刷すべき印刷データ(画像データ及び印刷設定に関する情報を含む)を受信する。携帯電話通信部110は、受信した印刷データを制御部100に出力する。また、携帯電話通信部110は、データ送信端末30に対して、所定のデータの送信を要求する情報を送信する。さらに、携帯電話通信部110は、データ送信端末30に対して、印刷を行ったか否かを通知するための情報を送信する。
【0039】
<無線通信部120>
無線通信部120は、ユーザ端末20との間で情報(データ)の送受信を無線で行うよう構成される。より具体的には、無線通信部120は、ユーザ端末20に対して印刷(画像形成)の開始指示を要求する情報を送信し、ユーザ端末20から印刷の開始を指示する情報を受信するよう構成される。また、無線通信部120は、ユーザ端末20に対して印刷の開始指示を要求するとき、印刷の開始指示を要求しようとする印刷データ、またはこの印刷データ(画像データ)に基づき生成されたサムネイル画像などの、印刷の内容を示すデータを送信する。無線通信部120は、例えば無線LANなどによりユーザ端末20と通信する。
【0040】
<メモリ130>
メモリ130は、制御部100の制御により、必要なデータを記憶するよう構成される。特に本実施形態では、メモリ130は、制御部100が携帯電話通信部110から受信した印刷データを記憶する。また、メモリ130は、ユーザにより登録された、ユーザによる印刷事前確認を行うことなく印刷するデータ送信端末に関する情報を記憶する。このようなデータ送信端末に関する情報は、例えば、データ送信端末のアドレス情報などの識別情報である。また、メモリ130は、ユーザにより登録された、ユーザによる印刷事前確認を行うことなく印刷を禁止するデータ送信端末に関する情報を記憶することもできる。メモリ130は、制御部100により実行されるファームウェアなどを記憶することも可能である。
【0041】
<印刷部140>
印刷部140は、制御部100の制御により、例えばプリンタ装置10がインクジェット方式のプリンタである場合には、プリントヘッド、及びこのプリントヘッドを駆動する駆動部、記録媒体である用紙を搬送する搬送機構などを含んで構成される。印刷部140は、記録媒体に対してインクを吐出することで、記録媒体に対して所定の画像を形成する(印刷する)。なお、印刷部140は、必ずしもインクジェット方式のプリンタに限定されるものではなく、レーザー方式のプリンタであってもよいし、他の方式を採用したプリンタであってもよい。
【0042】
<制御部100>
制御部100は、プリンタ装置10に含まれる各要素を制御するよう構成される。
【0043】
制御部100は、データ送信端末30から携帯電話通信部110が受信した印刷データをメモリ130に記憶させる。制御部100は、このとき、ユーザ端末20に対して無線通信部120を介して、受信した印刷データに基づく印刷を開始することを指示する印刷開始指示を要求する情報と、この印刷データまたは画像データに基づいて生成されたサムネイル画像と印刷設定に関する情報を送信する。
【0044】
制御部100は、ユーザ端末20に対してサムネイル画像を送信する場合には、受信した印刷データに基づいてサムネイル画像を生成する処理を行う。ただし、制御部100は、データ送信端末30から受信した印刷データが所定のデータ容量(例えば1MB)よりも大きい場合には、このデータ送信端末30に対してサムネイル画像、画像データ、及び印刷設定を別々のデータとして送信するよう要求するよう無線通信部120を制御する。この場合、制御部100は、受信したサムネイル画像をユーザ端末20に対して送信するよう無線通信部120を制御する。
【0045】
制御部100は、ユーザ端末20から、無線通信部120を介して印刷開始指示を受信したら、印刷部140に対して、印刷開始指示の対象となる印刷データに基づく印刷の開始を指示する。また、制御部100は、データ送信端末30が、予めメモリ130に登録されたデータ送信端末である場合には、ユーザ端末20を介したユーザによる印刷開始指示の判断を行うことなく、印刷部140に印刷データに基づく印刷の開始を指示する。または、制御部100は、データ送信端末30から受信した印刷データ(画像データ)に所定の文字列が含まれている場合にも、ユーザ端末20を介したユーザによる印刷開始指示の判断を行うことなく、印刷部140に対して印刷を指示してもよい。ここで、印刷データに含まれる所定の文字列は、キーワードや暗号などである。また、このような所定の文字列は、文字列以外の暗号やデータに置き換えられてもよい。
【0046】
一方、制御部100は、ユーザ端末20から、無線通信部120を介して、印刷データに基づく印刷を禁止する(許可しない)印刷禁止指示を受信したら、印刷開始指示の対象となる印刷データに基づく印刷を禁止する。
【0047】
制御部100は、データ送信端末30から受信した印刷データに基づく画像を印刷したか否かに関する通知情報を、携帯電話通信部110を介してデータ送信端末30に対して送信することができる。特に、印刷データに基づく印刷が実行されなかった場合、制御部100は、データ送信端末30に対して、印刷を行わなかったことを通知する。制御部100は、このようなデータ送信端末30に対する通知を、例えば電子メールまたは所定のアプリケーションソフトを介した方法で通知することができる。
【0048】
制御部100は、プリンタ装置10で使用されるインクの残量を確認することができる。そして、制御部100は、インクの残量が所定量より少ないと判断した場合には、受信した印刷データに基づく印刷を禁止することができる。
【0049】
また、制御部100は、メモリ130に記憶された印刷データのデータ容量が所定量以上であり、メモリ130でこれ以上印刷データを記憶できない場合、またはそのおそれがある場合には、受信した印刷データをメモリ130に記憶させることなく、当該印刷データに基づく印刷を禁止することができる。
【0050】
<ユーザ端末20>
ユーザ端末20は、プリンタ装置10から印刷(画像形成)の開始指示の要求と、印刷しようとする画像の内容を受信し、プリンタ装置10に対して印刷開始指示(画像形成開始指示)を送信するよう構成される。
図3は、ユーザ端末20の構成例を示す図である。
図3に示されるように、ユーザ端末20は、制御部200、無線通信部220、メモリ230、表示部240、及び入力検出部250を含んで構成される。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、またはPCなどの電子機器である。ユーザ端末20は、プリンタ装置10の所有者が操作することが想定される。
【0051】
<無線通信部220>
無線通信部220は、プリンタ装置10との間で情報(データ)の送受信を行うよう構成される。より具体的には、無線通信部220は、プリンタ装置10から印刷(画像形成)の開始指示を要求する情報を受信し、プリンタ装置10に対して印刷の開始を指示する情報として印刷開始指示を送信するよう構成される。また、無線通信部220は、プリンタ装置10から印刷データ、またはサムネイル画像、画像データ、及び印刷設定などを受信することができる。無線通信部220は、受信した印刷の開始指示を要求する情報を、制御部200に出力する。
【0052】
<メモリ230>
メモリ230は、制御部200の制御により、必要なデータを記憶するよう構成される。本実施形態では、メモリ230は、プリンタ装置10から受信した印刷データ、または印刷設定、画像データ、及びサムネイル画像を記憶する。メモリ230は、ユーザ端末20で操作されるアプリケーションソフトなどを記憶することもできる。
【0053】
<表示部240>
表示部240は、液晶表示装置または有機EL表示装置などの表示装置で構成され、制御部200の制御により、ユーザに視認可能な状態で画像を表示するよう構成される。本実施形態では、表示部240は、プリンタ装置10から受信した画像データ、印刷設定、及びサムネイル画像を、制御部200の制御により、所定の態様で表示する。
【0054】
<入力検出部250>
入力検出部250は、ユーザによる操作入力を検出し、検出結果を制御部200に出力するよう構成される。入力検出部250は、指または操作具による接触や近接を検出するセンサ、またはキーの押下を検出する押下検出部などで構成される。入力検出部250は、表示部240と一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0055】
<制御部200>
制御部200は、ユーザ端末20に含まれる各要素を制御するよう構成される。
【0056】
制御部200は、プリンタ装置10から受信した、印刷開始指示を要求する情報と、画像データ、サムネイル画像、及び印刷設定に関する情報とを表示部240に表示させる。そして制御部200は、ユーザに対して、プリンタ装置10で印刷データに基づく印刷を開始するか否かを確認するため、表示部240に、印刷を開始するか否かの選択を促す表示を行う。
【0057】
制御部200は、入力検出部250によるユーザの操作入力の検出の結果、印刷を開始するか否かを確認する。印刷を開始する場合、制御部200は無線通信部220からプリンタ装置10に対して、印刷開始指示を送信する処理を行う。また、印刷を開始しない場合には、制御部200は無線通信部220からプリンタ装置10に対して印刷を禁止する印刷禁止指示を送信する処理を行う。
【0058】
制御部200は、ユーザの操作に基づいて、プリンタ装置10から受信した印刷データに対応する印刷設定を変更することができる。例えば、ユーザが入力検出部250により、印刷データに基づく印刷を片面印刷から両面印刷に変更する操作を行ったら、制御部200は、この印刷設定に関する情報を、印刷開始指示とともにプリンタ装置10に送信する。
【0059】
<データ送信端末30>
データ送信端末30は、プリンタ装置10に対して、印刷すべき画像の印刷データ(画像データ及び印刷設定を含む)などを送信するよう構成される。
図4は、データ送信端末30の構成例を示す図である。
図4に示されるように、データ送信端末30は、制御部300、携帯電話通信部310、メモリ330、表示部340、及び入力検出部350を含んで構成される。データ送信端末30は、例えばPCなどの電子機器である。データ送信端末30は、プリンタ装置10の所有者、またはそれ以外の第三者が操作することが想定される。
【0060】
<携帯電話通信部310>
携帯電話通信部310は、無線通信回線40を介してプリンタ装置10との情報(データ)の送受信を行うよう構成される。より具体的には、携帯電話通信部310は、制御部300の制御により、無線通信回線40を介して、プリンタ装置10に対して印刷すべき印刷データ(画像データ及び印刷設定に関する情報を含む)を送信する。また、携帯電話通信部310は、プリンタ装置10に対して、要求に応じてサムネイル画像などを送信する。また、携帯電話通信部310は、プリンタ装置10から、所定のデータの送信を要求する情報を受信する。携帯電話通信部310は、プリンタ装置10から受信した、所定のデータの送信要求を制御部300に出力する。
【0061】
<メモリ330>
メモリ330は、制御部300の制御により、必要なデータを記憶するよう構成される。本実施形態では、メモリ330は、プリンタ装置10に対して送信する印刷データなどを記憶する。また、メモリ330は、制御部300により実行されるファームウェアなどを記憶することも可能である。
【0062】
<表示部340>
表示部340は、液晶表示装置または有機EL表示装置などの表示装置で構成され、制御部300の制御により、ユーザに視認可能な状態で画像を表示するよう構成される。本実施形態では、表示部340は、プリンタ装置10に対して送信しようとする印刷データ(画像データ、印刷設定、及びサムネイル画像を含む)を表示する。
【0063】
<入力検出部350>
入力検出部350は、データ送信端末30のユーザによる操作入力を検出し、検出結果を制御部300に出力するよう構成される。入力検出部350は、例えばキーボードまたはマウスなどの操作具を含んでもよいし、タッチセンサーなどを含んでもよい。
【0064】
<制御部300>
制御部300は、データ送信端末30に含まれる各要素を制御するよう構成される。
【0065】
制御部300は、データ送信端末30のユーザの操作により選択された印刷データを、プリンタ装置10に対して送信するよう携帯電話通信部310に指示する。
【0066】
制御部300は、携帯電話通信部310を介して、プリンタ装置10から、サムネイル画像、画像データ、及び印刷設定を別々のデータとして送信する要求を受信した場合、要求されたサムネイル画像、画像データ、及び印刷設定を印刷データに基づいて生成(分割)し、携帯電話通信部310を介して、プリンタ装置10に対して送信する。この処理は、上記要求を受信したときに制御部300が自動的に行ってもよいし、データ送信端末30のユーザに対して処理を促す方法を採ってもよい。制御部300は、上記のサムネイル画像、画像データ、及び印刷設定を、別々かつ順番に送信してもよい。
【0067】
<無線通信回線40>
無線通信回線40は、プリンタ装置10とデータ送信端末30との間の通信に介在する通信回線である。無線通信回線40は、例えば携帯電話回線である。
【0068】
<(2)動作例>
次に、本実施形態のプリンタシステムにおける処理について、
図5〜
図9を参照しながら説明する。
【0069】
<プリンタ装置における処理>
まず、プリンタ装置10における印刷処理について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5及び
図6は、本実施形態のプリンタ装置10における印刷処理を示すフローチャートである。
【0070】
<S400>
まず、データ送信者がデータ送信端末30を操作してプリンタ装置10に対して印刷データ(画像データ及び印刷設定を含む)を送信すると、プリンタ装置10の携帯電話通信部110は、この印刷データを受信して制御部100に出力する。制御部100は、この印刷データをメモリ130に記憶させる。そして、プリンタ装置10では印刷処理が開始される(S400)。
【0071】
<S410>
制御部100は、プリンタ装置10の状態が正常であるかの確認として、記録媒体である用紙があるか、及び記録媒体に吐出するインクの残量が十分であるかを確認する(S410)。
【0072】
<S420>
プリンタの状態が正常であり、用紙やインクの残量が十分であれば(S410でY)、次に制御部100は、受信データが適切なデータであるかを確認する(S420)。具体的には、制御部100は、受信データが印刷データ、またはプリンタ装置10で必要なドライバまたはファームウェアなどのデータであるか否かを確認する。
【0073】
<S430>
プリンタの状態が正常でない(S410でN)、または受信データが適切なデータではない場合(S420でN)には、制御部100は、携帯電話通信部110を制御して、このデータの送信元であるデータ送信端末30に対して、印刷ができない旨の通知を行う(S430)。
【0074】
<S440>
次に制御部100は、画像データの送信元であるデータ送信端末30が、事前に登録された送信元のデータ送信端末30であるかどうかを、メモリ130に記憶された登録送信元リストを参照することで確認する(S440)。登録送信元リストは、ユーザにより事前に登録された印刷データの送信元の一覧であり、例えば送信元となるデータ送信端末30のIPアドレス、MACアドレスなどのアドレス情報、またはデータ送信端末30を識別するための識別情報である。
【0075】
<S450>
画像データの送信元であるデータ送信端末30が、事前に登録された送信元である場合(S440でY)、プリンタ装置10は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行するため、印刷部140に印刷指示をする(S450)。
【0076】
<S460〜S490>
上記制御部100から印刷部140に対する印刷指示が行われたものの、何らかのエラーで印刷が開始されない、または正常に完了しない場合には(S460でY)、制御部100は、プリンタ装置10の所有者として登録されたユーザに対してエラー発生通知を送信するよう、無線通信部120に対して指示をする(S490)。一方、エラーが発生することなく印刷が完了した場合には(S460でN)、プリンタ装置10の所有者として登録されたユーザに対して印刷完了通知を送信するよう、無線通信部120に対して指示をし(S480)、印刷処理を終了する(S480)。
【0077】
<S500>
ところで、S440の処理において、印刷データの送信元であるデータ送信端末30が、事前に登録された送信元ではないと制御部100が判断した場合(S440でN)、制御部100は、受信した印刷データの容量が閾値(例えば1MB)以上であるか否かを確認する(
図6のS500)。
【0078】
<S510>
受信した印刷データの容量が閾値未満である場合には(S500でN)、制御部100は、プリンタ装置10の所有者であるユーザが保有するユーザ端末20に対して、この印刷データに基づく印刷を開始することを指示する印刷開始指示を要求するよう、無線通信部120を制御する。このとき、制御部100は、受信した印刷データに基づいて、印刷される画像を縮小してデータサイズを小さくしたサムネイル画像を作成し、印刷開始指示の要求とともにユーザ端末20に対して送信する。このとき、制御部100は、印刷データに含まれる画像データをどのように印刷するかを指定する印刷設定と、印刷データの送信者に関する情報もあわせて送信する。このときのユーザ端末20での処理については後述する。
【0079】
<S520〜S550>
次に、制御部100は、上記ユーザ端末20に対するサムネイル画像及び印刷設定の送信に応答してユーザ端末20から印刷開始指示を受信したか否かを判定する(S520)。ユーザ端末20から印刷開始指示を受信した場合(S520でY)、制御部100は印刷部140に対して、この印刷開始指示に対応する印刷データに基づく印刷の開始を指示する。印刷部140は、この印刷指示に応答して印刷を開始する(S530)。制御部100は、印刷部140での印刷が完了したことを検出すると、印刷を完了した印刷データの送信元であるデータ送信端末30に対して、印刷か完了したことを通知するよう、携帯電話通信部110を制御する(S540)。そして、プリンタ装置10における印刷処理が完了する(S550)。
【0080】
このとき、制御部100は、印刷データの送信元だけではなく、プリンタユーザに対しても印刷完了を通知するため、ユーザ端末20に対しても印刷完了通知を送信してもよい。
【0081】
また、制御部100は、ユーザ端末20から、印刷開始指示とともに、印刷設定または印刷設定の変更に関する情報を受信してもよい。この場合、制御部100は、受信した印刷設定または印刷設定の変更情報に基づく印刷を行うよう設定する。
【0082】
<S560>
ところで、S500の処理において、受信した印刷データの容量が閾値以上である場合には(S500でY)、制御部100は、プリンタ装置10のメモリ130における画像データの記憶領域のデータ容量の残量が十分であるかどうかを確認する(S560)。
【0083】
<S570>
プリンタ装置10のメモリ130における印刷データの記憶領域のデータ容量の残量が十分ではない場合(S560でN)、またはS520の処理において、ユーザ端末20から印刷開始指示を受信しなかった場合(S520でN)、制御部100は当該印刷データに基づく印刷の実行を取りやめる。そして、制御部100は、この印刷データの送信元であるデータ送信端末30に対して、印刷を行わなかったことを示す印刷不可の通知を行うよう携帯電話通信部110を制御する。この印刷不可の通知を受信したデータ送信端末30では、制御部300が印刷不可を示す情報を表示部340に表示させる。なお、ユーザ端末20から印刷開始指示を受信しなかった場合の例としては、プリンタ装置10がユーザ端末20から、印刷を禁止する(許可しない)印刷禁止指示を受信する場合、または所定の時間が経過しても印刷開始指示を受信しない場合、などの場合である。
【0084】
<S580>
一方、受信した画像データのデータサイズは大きいものの、プリンタ装置10のメモリ130における印刷データの記憶領域のデータ容量の残量が十分である場合(S560でN)、制御部100は、送信元であるデータ送信端末30に対して、データを分割送付するよう依頼するための要求を送信する(S580)。データの分割送付の例としては、最初にサムネイル画像を送信し、その後、プリンタ装置10で印刷開始が決定したタイミングで、プリンタ装置10から要求に応じて画像データと印刷設定を送信する方法などがある。なお、印刷設定はどちらのタイミングで送信されてもよい。データ送信端末30では、このデータの分割送付要求に応答して、画像データに基づいてサムネイル画像を生成するなど、要求された形式で印刷データを分割して、プリンタ装置10に対して再送する。
【0085】
<S590〜S600>
上記データの分割送付要求に対してデータ送信端末30からサムネイル画像のデータが送信されてきたら、携帯電話通信部110はこのデータを受信して制御部100に出力する(S590)。制御部100は、受信したサムネイル画像のデータをプリンタユーザが保有するユーザ端末20に送信する(S600)。
【0086】
<S610〜S620>
次に、制御部100は、上記ユーザ端末20に対するサムネイル画像の送信に応答してユーザ端末20から印刷開始指示を受信したか否かを判定する(S610)。ユーザ端末20から印刷開始指示を受信した場合(S610でY)、制御部100は、データ送信端末30に対して画像データと印刷設定との送信を要求する(S620)。データ送信端末30では、制御部300が、メモリ330に記憶されている画像データ及び印刷設定をプリンタ装置10に対して送信する。プリンタ装置10が画像データ及び印刷設定を受信すると、S530の処理に移行して印刷を開始する。
【0087】
<S630>
一方で、ユーザ端末20から印刷開始指示を受信しない場合(S610でY)、具体的にはユーザが印刷を許可しなかったり、所定の時間を経過しても印刷開始指示を受信しかなかったりした場合、制御部100は当該印刷データに基づく印刷の実行を取りやめる。そして、制御部100は、この画像データの送信元であるデータ送信端末30に対して、印刷を行わなかったことを示す印刷不可の通知を行うよう携帯電話通信部110を制御する。この印刷不可の通知を受信したデータ送信端末30では、制御部300が印刷不可を示す情報を表示部340に表示させる。
【0088】
<ユーザ端末における処理>
次に、ユーザ端末20における処理について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態のユーザ端末20における印刷開始判断処理を示すフローチャートである。
【0089】
<S700〜S710>
まず、ユーザ端末20の無線通信部220がプリンタ装置10から印刷開始指示の要求、及びサムネイル画像を受信すると(S700)、制御部200は、印刷の内容として、このサムネイル画像と、関連する情報を表示部240に表示する(S710)。表示部240には、印刷データの送信者に関する情報、及び印刷される印刷データのサムネイル画像などが表示される。
【0090】
図8は、上記のときのユーザ端末20の表示部240の表示例を示す図である。
図8に示されるように、表示部240には、印刷データの送信者名(201)、送信者のメールアドレス(202)、送信者の印刷データを過去に印刷した印刷履歴(203)、印刷データの送信日時(204)、送信者からのコメント(205)、サムネイル画像(206)、及び送信者が登録されているか否かを示す情報(207)などが表示される。また、表示部240の下部には、ユーザに対して印刷を開始するか否かの判定を促すボタン(208及び209)が表示される。
【0091】
ここで、ユーザが印刷を開始するため、YESボタン208にタッチすると、入力検出部250はこの操作入力を検出して制御部200に出力する。制御部200は、これに応じて、無線通信部220を介してプリンタ装置10に対して印刷開始指示を送信する。一方、ユーザが印刷を行わないため、NOボタン209にタッチすると、入力検出部250はこの操作入力を検出して制御部200に出力する。制御部200は、これに応じて、無線通信部220を介してプリンタ装置10に対して印刷禁止指示を送信する。
【0092】
<S720〜S750>
次に、制御部200は、入力検出部250による検出結果に基づき、ユーザにより印刷開始が選択されたか否かを判定する(S720)。ユーザにより印刷開始が選択されたと判定した場合(S720でY)、制御部200は、プリンタ装置10に対して印刷開始指示を送信するよう無線通信部220に指示し(S730)、ユーザ端末処理を終了する(S750)。一方で、ユーザにより印刷を開始しないことが選択されたと判定した場合(S720でN)、制御部200は、プリンタ装置10に対して印刷禁止指示を送信するよう無線通信部220に指示し(S730)、ユーザ端末処理を終了する(S750)。
【0093】
このとき、ユーザは印刷データの印刷設定を指定または変更することができる。この場合、制御部200は、入力検出部250の検出結果に基づいて、変更された印刷設定または印刷設定の変更に関する情報をプリンタ装置10に対して送信する。
【0094】
<データ送信端末における処理>
次に、データ送信端末におけるデータ送信処理について説明する。
【0095】
データ送信者がデータ送信端末30を操作してプリンタ装置10に対して印刷データを送信する操作を行うと、制御部300は、携帯電話通信部310を介して、プリンタ装置
10に対して印刷データを送信する。この印刷データには、画像データ本体及び印刷設定の他に、送信者の名前(名称)、送信者のメールアドレス、データ送信日時、及びコメントが含まれてもよい。このとき、送信者の名前(名称)及びメールアドレスは、メモリ330に記憶されている情報がそのまま印刷データに付加されて送信される。データ送信日時は、制御部300が備えるタイマーに基づいて、印刷データに付加される。また、コメントは、入力検出部350が検出した、データ送信者がキーボードなどで入力した内容に基づいて印刷データに付加される。
【0096】
図9は、上記のように印刷データを送信しようとするときのデータ送信端末30の表示部340の表示例を示す図である。
図9に示されるように、表示部340には、印刷データの送信先(301)、及びデータ送信者が入力したコメント(302)が表示される。なお、当該表示形式はあくまで一例であって、必要な情報を表示することができれば他の表示形式を採用してもよい。
【0097】
<(3)特徴>
上記の本実施形態のようなプリンタ装置10によれば、外部機器としてのユーザ端末20に対して印刷開始指示を要求し、印刷開始指示を受信した場合に、印刷データ(画像データを含む)に基づく印刷を実行するようにしている。また、ユーザ端末20では、プリンタ装置10で印刷しようとする印刷データの内容を受信し、ユーザが印刷開始指示を送信した場合に、プリンタ装置10での印刷を許可するようにしている。そのため、これらのプリンタ装置10またはユーザ端末20によって、プリンタユーザが印刷を開始するか否かを判断した上で印刷を開始することができる。これにより、プリンタユーザが不要な画像形成を未然に防止することが可能となり、インク及び記録媒体である用紙などの無駄な消耗を防止することができる。
【0098】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、ユーザ端末20とは別の外部端末としてのデータ送信端末30から印刷データを受信して、この受信した印刷データに基づいて印刷を実行する。そのため、このプリンタ装置10では、外部から受信した印刷データに基づいて印刷を実行することができる。
【0099】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、ユーザ端末20に対して、印刷の内容を示す情報などを送信する。これによって、このプリンタ装置10では、ユーザが印刷の内容を適切に把握し、確認した上で、印刷を開始するか否かを判断させることができる。これにより、ユーザはより効果的に印刷を開始するかどうかを判断することが可能となる。
【0100】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、印刷データ(画像データ)に基づいて生成されたサムネイル画像などをユーザ端末20に対して送信する。これによって、ユーザは画像データに基づいて生成された、印刷の内容を確認しやすいサムネイル画像などを見て印刷開始の判断をすることが可能となる。これにより、ユーザによる印刷開始判断の利便性を高めることができる。
【0101】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、データ送信端末30が予めユーザにより登録されている場合には、画像形成開始指示を待つことなく印刷を開始している。これによって、プリンタ装置10では、例えばユーザが外出先から画像形成指示を送信したような場合、または必ず印刷する所定のクーポンや災害情報などを印刷する場合などに、冗長な印刷開始判断を省略することなどが可能となる。
【0102】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、印刷データに基づく印刷を行わない場合に、データ送信端末30に対して印刷不可の通知を行っている。これによって、プリンタ装置10に対して印刷データを送信したデータ送信端末30は、印刷が実行されたか否かを確認することが可能となる。これにより、例えばより効率的な印刷データ送受信システムを提供することなどが可能となる。
【0103】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、印刷のためのインク残量が所定量より少ない場合に、印刷を禁止する処理を行っている。これによって、プリンタ装置10では、インク残量に応じて自動的に画像形成を行わない判定をすることなどが可能となる。
【0104】
また、上記本実施形態のようなプリンタ装置10では、データ送信端末30から受信した印刷データが所定のデータ量以上である場合には、データ送信端末30に対して、データの分割送付を要求している。このため、本実施形態のプリンタ装置10は、データ送信端末30から送信された印刷データのデータサイズが大きい場合に、サムネイル画像のみを最初に受領して、ユーザによる印刷開始の判断をさせることなどが可能となる。これによって、プリンタ装置10は、印刷することが確定していないデータサイズの大きい画像データの全体を受信することなく、ユーザに対して印刷開始の判断を要求することが可能となる。
【0105】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、
図10を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタシステムの構成は実施形態1と同様である。本実施形態のプリンタシステムに含まれるプリンタ装置10は、実施形態1における印刷処理の一部が相違するため、この相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の事項についてはその説明を省略する。
【0106】
図10は、本実施形態のプリンタ装置10における印刷処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施形態1における印刷処理(
図5参照)のうちのS440の処理がS441の処理に置き換えられている。
【0107】
<S441>
印刷データを受信したプリンタ装置10の状態が正常であって(S420でY)、この印刷データが適切なデータであった場合(S430でY)、制御部100は、この受信した印刷データに所定のキーワードが含まれるか否かを判定する(S441)。所定のキーワードは例えばプリンタユーザの氏名または社名などであり、プリンタユーザにより予め登録される。メモリ130は、プリンタユーザにより登録されたキーワードを記憶している。制御部100は、このメモリ130に記憶されたキーワードに基づき、印刷データにキーワードが含まれるか否かを判定する。
【0108】
印刷データに所定のキーワードが含まれていた場合(S441でY)、S450の処理に移行して印刷を実行する(S450)。一方、印刷データに所定のキーワードが含まれていない場合(S441でN)、プリンタ装置10はS500以降の処理(
図6)を行う。
【0109】
上記本実施形態のようなプリンタ装置10によれば、印刷データ(画像データ)に所定のキーワードが含まれる場合には、印刷開始指示の受信に関わらず印刷を開始する。これによって、本実施形態のプリンタ装置10では、ユーザによる印刷開始の判断を省略して印刷を開始することができる。
【0110】
特に、上記実施形態のプリンタ装置10では、所定の文字列が含まれることを印刷開始の判断基準としているため、比較的容易な処理により、印刷開始判断を行うことができる。
【0111】
なお、印刷データに対するプリンタユーザの確認なく印刷を開始するのは、印刷データに所定のキーワードが含まれる場合に限定されるものではなく、印刷データに所定のデータが含まれている場合にも適用可能である。
【0112】
また、プリンタ装置10では、例えば、印刷データ(画像データ)に所定の暗号データが含まれていることを印刷開始の判断基準とすることもできる。このようなプリンタ装置10では、暗号データを利用することで、セキュリティ性を高めることが可能となる。
【0113】
<3.実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について、
図11を参照しながら説明する。本実施形態のプリンタシステムの構成は実施形態1と同様である。本実施形態のプリンタシステムに含まれるユーザ端末20では、実施形態1における印刷開始判断処理の一部が相違するため、この相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の事項についてはその説明を省略する。
【0114】
図11は、本実施形態のユーザ端末20における印刷開始判断処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施形態1における印刷開始判断処理(
図7参照)において、S710とS720との処理の間にS711及びS712の処理が追加されている。
【0115】
<S711>
制御部200が、印刷の内容を示すサムネイル画像と、関連する情報とを表示部240に表示した後(S710)、ユーザが詳細な印刷データを要求する操作を行ったことを入力検出部250が検出したら(S711でY)、制御部200は、無線通信部220を制御して、プリンタ装置10に対して詳細な印刷データを要求する。
【0116】
上記詳細な印刷データの要求を受信したプリンタ装置10の制御部100は、印刷しようとする印刷データをユーザ端末20に対して送信する。
【0117】
<S712>
上記印刷データを受信したユーザ端末20の制御部200は、この印刷データをメモリ230に記憶させる。そして、制御部200は、この印刷データに基づく画像を表示部240に表示する(S712)。ここで表示部240に表示される画像は、サムネイル画像ではなく印刷データ(画像データ)自体に基づいているため、ユーザ端末20のユーザは、サムネイル画像よりも詳細に印刷データ(画像データ)を確認することができる。ユーザは、このようにして表示部240に表示された画像に基づいて、印刷を開始するか否かを判定する(S720)。
【0118】
上記本実施形態のようなプリンタ装置10によれば、ユーザ端末20を操作するユーザの操作に応じて、サムネイル画像の確認では不十分である場合に詳細な印刷データをユーザ端末20に対して送信している。これにより、ユーザによる印刷開始の判断の利便性を高めることが可能となる。
【0119】
なお、ユーザ端末20の要求に応じてプリンタ装置10から送信されるデータは、印刷データそのものである必要はなく、最初に送付したサムネイル画像よりも詳細な画像のデータなどであってもよい。このように、最初に送付したサムネイル画像などのデータよりも詳細なデータを次のタイミングで送信することで、最初に送信するデータのサイズを小さくして通信負荷を軽減すると共に、必要な場合には詳細なデータを確認することができるようになる。
【0120】
<4.補足事項>
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0121】
上記各実施形態は、互いに組み合わされて実施されてもよい。すなわち、実施形態1〜実施形態3のすべての特徴を備えるプリンタシステムを構成することも可能である。
【0122】
上記実施形態では、プリンタ装置10とユーザ端末20との間の通信は、無線LANなどの無線通信により行われる例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プリンタ装置10とユーザ端末20とは、有線LANやUSBなどの有線通信により通信してもよいし、携帯電話の無線通信回線を利用した無線通信により通信してもよい。無線通信部120が、携帯電話通信部110と同じ方法で通信するものである場合、無線通信部120と携帯電話通信部110とは一体的に構成されてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、プリンタ装置10とデータ送信端末30との間の通信は、携帯電話の回線である無線通信回線40を介して行われる例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プリンタ装置10とデータ送信端末30とは、インターネット回線を介した有線通信または無線通信などにより通信してもよい。この場合、無線通信回線40は、インターネット回線に置き換えられる。
【0124】
また、上記実施形態では、ユーザ端末20及びデータ送信端末30がいずれも表示部240及び340、並びに入力検出部250及び350を含んで構成される例について説明したが、これらの表示部240及び340、並びに入力検出部250及び350はユーザ端末20またはデータ送信端末30とは別の構成であってもよい。すなわち、例えばデータ送信端末30がサーバ装置であって、このデータ送信端末30を遠隔操作するための表示部と操作部があるような構成であっても、本発明の範囲に含まれる。
【0125】
上記実施形態では、データ送信端末30とプリンタ装置10との間では、画像データと印刷設定とを含む印刷データを送受信しているが、この印刷データは、少なくとも画像データを含むものであればよい。