(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-177850(P2017-177850A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20170908BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
B60K20/02 Z
G06F3/041 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-63739(P2016-63739)
(22)【出願日】2016年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】石津 陽通
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA10
3D040AA13
3D040AA22
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC36
(57)【要約】
【課題】表示面に表示された所望の操作部を触れることにより変速機を操作可能とされるとともに、誤操作を防止することができるシフト装置を提供する。
【解決手段】前進走行レンジの操作部4は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第1傾斜面K1を有し、第1傾斜面K1に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部5は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第2傾斜面K2を有し、当該第2傾斜面K2に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を前進させるための前進走行レンジ、車両を後退させるための後退走行レンジ及びニュートラルレンジを示す操作部を有した表示面を有し、任意の前記操作部を指で触れることにより当該操作部に応じて車両の変速機を操作可能なシフト装置において、
前記前進走行レンジの操作部は、前記ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第1傾斜面を有し、当該第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより前記変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、前記後退走行レンジの操作部は、前記ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第2傾斜面を有し、当該第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより前記変速機を後退走行レンジに操作可能とすることを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
前記前進走行レンジの操作部は、前記第1傾斜面の終端位置に形成された第1凹部を有し、前記第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、前記第1凹部を触れることにより前記変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、前記後退走行レンジの操作部は、前記第2傾斜面の終端位置に形成された第2凹部を有し、前記第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、前記第2凹部を触れることにより前記変速機を後退走行レンジに操作可能とすることを特徴とする請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記ニュートラルレンジの操作部には、第3凹部が形成され、当該第3凹部の底面を触れた後、前記第1傾斜面及び第1凹部、又は第2傾斜面及び第2凹部を触れることにより前記変速機を操作可能とされたことを特徴とする請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記変速機をパーキングレンジとするパーキングレンジ選択手段を具備するとともに、当該パーキングレンジ選択手段は、前記第1傾斜面又は第2傾斜面に対して前記前進走行レンジの操作部又は後退走行レンジの操作部より外側に配置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機を操作し得るシフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機(トランスミッション)を変速操作するためのシフト装置は、通常、揺動操作可能なシフトレバーを有しており、運転者が当該シフトレバーの上端部に形成されたシフトノブを把持しつつ所望位置まで揺動させることにより、変速機の変速段を所望に操作可能とされている。また、従来のシフト装置として、例えば特許文献1に開示されているように、タッチパネルにP、R、N、Dの各レンジを表示するとともに、所望のレンジ表示部を触れることにより走行レンジを選択可能とされたものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−240774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のシフト装置は、所望のレンジが表示された部位に対して運転者が指を触れるだけで走行レンジを選択可能とされているものの、意図しない部位に触れてしまって誤操作してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表示面に表示された所望の操作部を触れることにより変速機を操作可能とされるとともに、誤操作を防止することができるシフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両を前進させるための前進走行レンジ、車両を後退させるための後退走行レンジ及びニュートラルレンジを示す操作部を有した表示面を有し、任意の前記操作部を指で触れることにより当該操作部に応じて車両の変速機を操作可能なシフト装置において、前記前進走行レンジの操作部は、前記ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第1傾斜面を有し、当該第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより前記変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、前記後退走行レンジの操作部は、前記ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第2傾斜面を有し、当該第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより前記変速機を後退走行レンジに操作可能とすることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシフト装置において、前記前進走行レンジの操作部は、前記第1傾斜面の終端位置に形成された第1凹部を有し、前記第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、前記第1凹部を触れることにより前記変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、前記後退走行レンジの操作部は、前記第2傾斜面の終端位置に形成された第2凹部を有し、前記第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、前記第2凹部を触れることにより前記変速機を後退走行レンジに操作可能とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシフト装置において、前記ニュートラルレンジの操作部には、第3凹部が形成され、当該第3凹部の底面を触れた後、前記第1傾斜面及び第1凹部、又は第2傾斜面及び第2凹部を触れることにより前記変速機を操作可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のシフト装置において、前記変速機をパーキングレンジとするパーキングレンジ選択手段を具備するとともに、当該パーキングレンジ選択手段は、前記第1傾斜面又は第2傾斜面に対して前記前進走行レンジの操作部又は後退走行レンジの操作部より外側に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、前進走行レンジの操作部は、ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第1傾斜面を有し、当該第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部は、ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第2傾斜面を有し、当該第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするので、表示面に表示された所望の操作部を触れることにより変速機を操作可能とされるとともに、スライド操作を含んだ操作が必要とされ、誤操作を防止することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、前進走行レンジの操作部は、第1傾斜面の終端位置に形成された第1凹部を有し、第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第1凹部を触れることにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部は、第2傾斜面の終端位置に形成された第2凹部を有し、第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第2凹部を触れることにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするので、スライド操作に加えて第1凹部又は第2凹部を触れる必要があり、誤操作をより防止することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、ニュートラルレンジの操作部には、第3凹部が形成され、当該第3凹部の底面を触れた後、第1傾斜面及び第1凹部、又は第2傾斜面及び第2凹部を触れることにより変速機を操作可能とされたので、意図して第3凹部の底面を触れる必要があり、誤操作をより一層防止することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、変速機をパーキングレンジとするパーキングレンジ選択手段を具備するとともに、当該パーキングレンジ選択手段は、第1傾斜面又は第2傾斜面に対して前進走行レンジの操作部又は後退走行レンジの操作部より外側に配置されたので、パーキング選択手段を他の操作部とは独立した位置に配置することができ、誤ってパーキングレンジとしてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るシフト装置を示す平面図
【
図3】同シフト装置における表示面に形成された凹凸形状を示す模式図
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るシフト装置における表示面に形成された凹凸形状を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係るシフト装置1は、自動車等の車両の運転席近傍に取り付けられて運転者が操作可能なもので、
図1〜3に示すように、例えばポリカーボネート樹脂等から成る基板7の表面に加飾のためのフィルム層8が形成されるとともに、基板7の裏面に静電タッチセンサを有するタッチセンサ層9を取り付けて構成されている。
【0016】
フィルム層8の上面は、N、D、R、P等の文字や矢印等の記号等の表示が施された表示面から成り、「N」の表示範囲が「ニュートラルレンジの操作部3」、「D」及び「NからDに向かう矢印」の表示範囲が「前進走行レンジの操作部4」、「R」及び「NからRに向かう矢印」の表示範囲が「後退走行レンジの操作部5」、「P」の表示範囲が「パーキングレンジの操作部6」(パーキングレンジ選択手段)とされている。そして、ニュートラルレンジの操作部3を指で触れると、タッチセンサ層9のタッチセンサが検知して、車両の変速機をNレンジ(ニュートラルレンジ)に操作可能とされている。
【0017】
また、前進走行レンジの操作部4を指で触れると、タッチセンサ層9のタッチセンサが検知して、車両の変速機をDレンジ(前進走行レンジ)に操作可能とされるとともに、後退走行レンジの操作部5を指で触れると、タッチセンサ層9のタッチセンサが検知して、車両の変速機をRレンジ(後退走行レンジ)に操作可能とされている。さらに、パーキングレンジの操作部6を指で触れると、タッチセンサ層9のタッチセンサが検知して、車両の変速機をPレンジ(パーキングレンジ)に操作可能とされている。
【0018】
ここで、本実施形態に係るシフト装置1は、
図3に示すように、表示面2が凹凸形状とされ、前進走行レンジの操作部4は、ニュートラルレンジの操作部3から同図中下方に向かって連続して傾斜した第1傾斜面K1と、該第1傾斜面K1の終端位置に形成された第1凹部M1とを有して構成されるとともに、後退走行レンジの操作部5は、ニュートラルレンジの操作部3から同図中上方に向かって連続して傾斜した第2傾斜面K2と、該第2傾斜面K2の終端位置に形成された第2凹部M2とを有して構成されている。
【0019】
より具体的には、ニュートラルレンジの操作部3を頂部として両側に下り勾配の斜面から成る第1傾斜面K1(
図1の下向き矢印が表示された位置)及び第2傾斜面K2(同図の上向き矢印が表示された位置)が形成されており、第1傾斜面K1又は第2傾斜面K2に沿って指を滑らせてスライド操作したことをタッチセンサにて検知可能とされている。そして、第1傾斜面K1に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、第2傾斜面K2に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするよう構成されている。
【0020】
本実施形態によれば、前進走行レンジの操作部4は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第1傾斜面K1を有し、当該第1傾斜面K1に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部5は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第2傾斜面K2を有し、当該第2傾斜面K2に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするので、表示面2に表示された所望の操作部を触れることにより変速機を操作可能とされるとともに、スライド操作を含んだ操作が必要とされ、誤操作を防止することができる。
【0021】
また、前進走行レンジの操作部4は、第1傾斜面K1の終端位置に形成された第1凹部M1を有しているので、第1傾斜面K1に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第1凹部M1を触れることにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部5は、第2傾斜面K2の終端位置に形成された第2凹部M2を有しているので、第2傾斜面K2に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第2凹部M2を触れることにより変速機を後退走行レンジに操作可能としてもよい。この場合、スライド操作に加えて第1凹部M1又は第2凹部M2を触れる必要があり、誤操作をより防止することができる。
【0022】
また、ニュートラルレンジの操作部3に対応する位置には、第3凹部M3が形成されており、当該第3凹部M3の底面を指が触れたことをタッチセンサが検知可能とされている。しかして、第3凹部M3の底面を触れた後、第1傾斜面K1及び第1凹部M1、又は第2傾斜面K2及び第2凹部M2を触れることにより変速機を操作可能としてもよい。この場合、例えば、ニュートラルレンジ(Nレンジ)から前進走行レンジ(Dレンジ)に切り替え操作するには、第3凹部M3の底面を触れた後、第1傾斜面K1のスライド操作に続いて第1凹部M1を触れる動作が必要とされ、ニュートラルレンジ(Nレンジ)から後退走行レンジ(Rレンジ)に切り替え操作するには、第3凹部M3の底面を触れた後、第2傾斜面K2のスライド操作に続いて第2凹部M2を触れる動作が必要とされる。これにより、意図して第3凹部M3の底面を触れる必要があり、誤操作をより一層防止することができる。
【0023】
さらに、本実施形態においては、第2傾斜面K2に対して後退走行レンジの操作部5より外側(
図3中、後退走行レンジの操作部5より上側)には、当該第2凹部M2から下り勾配の第3傾斜面K3が形成されており、その終端において、パーキングレンジの操作部6に対応する位置に第4凹部M4が形成されている。そして、本実施形態においては、第4凹部M4を触れることにより変速機をパーキングレンジ(Pレンジ)に操作可能とされている。なお、第3傾斜面K3に沿って指を滑らせてスライド操作したことをタッチセンサにて検知可能とするとともに、第3傾斜面K3に沿って指を滑らせてスライド操作した後、その滑らせた指にて第4凹部M4を触れることにより変速機をパーキングレンジ(Pレンジ)に操作可能としてもよい。
【0024】
なお、第1傾斜面K1に対して前進走行レンジの操作部4より外側(
図3中、前進走行レンジの操作部4より下側)にパーキングレンジの操作部6を形成するとともに、それに対応させて第3傾斜面K3及び第4凹部M4を形成するようにしてもよい。また、パーキングレンジの操作部6は、本発明の「パーキングレンジ選択手段」を構成するものとされ、例えば基板7とは別個の操作手段(押圧ボタン等)としてもよい。
【0025】
本実施形態によれば、変速機をパーキングレンジとするパーキングレンジ選択手段(パーキングレンジの操作部6)を具備するとともに、当該パーキングレンジ選択手段は、第1傾斜面K1又は第2傾斜面K2に対して前進走行レンジの操作部4又は後退走行レンジの操作部5より外側に配置されたので、パーキング選択手段を他の操作部とは独立した位置に配置することができ、誤ってパーキングレンジとしてしまうのを防止することができる。
【0026】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るシフト装置1’は、第1の実施形態と同様、自動車等の車両の運転席近傍に取り付けられて運転者が操作可能なもので、例えばポリカーボネート樹脂等から成る基板7の表面に加飾のためのフィルム層8(表面の凹凸形状は第1の実施形態と異なる)が形成されるとともに、基板7の裏面に静電タッチセンサを有するタッチセンサ層9を取り付けて構成されている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るシフト装置1’は、
図4に示すように、表示面2が凹凸形状とされ、前進走行レンジの操作部4は、ニュートラルレンジの操作部3から同図中下方に向かって連続して傾斜した第1傾斜面K1’と、該第1傾斜面K1’の終端位置に形成された第1凹部M1’とを有して構成されるとともに、後退走行レンジの操作部5は、ニュートラルレンジの操作部3から同図中上方に向かって連続して傾斜した第2傾斜面K2’と、該第2傾斜面K2’の終端位置に形成された第2凹部M2’とを有して構成されている。
【0028】
より具体的には、ニュートラルレンジの操作部3を底部として両側に上り勾配の斜面から成る第1傾斜面K1’(
図1の下向き矢印が表示された位置)及び第2傾斜面K2’(同図の上向き矢印が表示された位置)が形成されており、第1傾斜面K1’又は第2傾斜面K2’に沿って指を滑らせてスライド操作したことをタッチセンサにて検知可能とされている。そして、第1傾斜面K1’に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、第2傾斜面K2’に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするよう構成されている。
【0029】
本実施形態によれば、前進走行レンジの操作部4は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第1傾斜面K1’を有し、当該第1傾斜面K1’に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部5は、ニュートラルレンジの操作部3から連続して傾斜した第2傾斜面K2’を有し、当該第2傾斜面K2’に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするので、表示面2に表示された所望の操作部を触れることにより変速機を操作可能とされるとともに、スライド操作を含んだ操作が必要とされ、誤操作を防止することができる。
【0030】
また、前進走行レンジの操作部4は、第1傾斜面K1’の終端位置に形成された第1凹部M1’を有しているので、第1傾斜面K1’に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第1凹部M1’を触れることにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部5は、第2傾斜面K2’の終端位置に形成された第2凹部M2’を有しているので、第2傾斜面K2’に沿って指を滑らせてスライド操作した後、第2凹部M2’を触れることにより変速機を後退走行レンジに操作可能としてもよい。この場合、スライド操作に加えて第1凹部M1’又は第2凹部M2’を触れる必要があり、誤操作をより防止することができる。
【0031】
また、ニュートラルレンジの操作部3に対応する位置には、第3凹部M3’が形成されており、当該第3凹部M3’の底面を指が触れたことをタッチセンサが検知可能とされている。しかして、第3凹部M3’の底面を触れた後、第1傾斜面K1’及び第1凹部M1’、又は第2傾斜面K2’及び第2凹部M2’を触れることにより変速機を操作可能としてもよい。この場合、例えば、ニュートラルレンジ(Nレンジ)から前進走行レンジ(Dレンジ)に切り替え操作するには、第3凹部M3’の底面を触れた後、第1傾斜面K1’のスライド操作に続いて第1凹部M1’を触れる動作が必要とされ、ニュートラルレンジ(Nレンジ)から後退走行レンジ(Rレンジ)に切り替え操作するには、第3凹部M3’の底面を触れた後、第2傾斜面K2’のスライド操作に続いて第2凹部M2’を触れる動作が必要とされる。これにより、意図して第3凹部M3’の底面を触れる必要があり、誤操作をより一層防止することができる。
【0032】
さらに、第2傾斜面K2’に対して後退走行レンジの操作部5より外側(
図4中、後退走行レンジの操作部5より上側)には、パーキングレンジの操作部6に対応する位置に第4凹部M4’が形成されている。そして、第4凹部M4’に指が触れたことをタッチセンサにて検知可能とされており、第4凹部M4’を触れることにより変速機をパーキングレンジ(Pレンジ)に操作可能とされている。
【0033】
なお、第1傾斜面K1’に対して前進走行レンジの操作部4より外側(
図4中、前進走行レンジの操作部4より下側)にパーキングレンジの操作部6を形成するとともに、それに対応させて第4凹部M4’を形成するようにしてもよい。また、パーキングレンジの操作部6は、第1の実施形態と同様、本発明の「パーキングレンジ選択手段」を構成するものとされ、例えば基板7とは別個の操作手段(押圧ボタン等)としてもよい。
【0034】
本実施形態によれば、変速機をパーキングレンジとするパーキングレンジ選択手段(パーキングレンジの操作部6)を具備するとともに、当該パーキングレンジ選択手段は、第1傾斜面K1’又は第2傾斜面K2’に対して前進走行レンジの操作部4又は後退走行レンジの操作部5より外側に配置されたので、パーキング選択手段を他の操作部とは独立した位置に配置することができ、誤ってパーキングレンジとしてしまうのを防止することができる。
【0035】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば静電容量方式のタッチセンサに代えて、所定部位を指で触れたことを検知し得る他の形態のものであってもよい。また、本実施形態においては、第1凹部(M1、M1’)、第2凹部(M2、M2’)及び第3凹部(M3、M3’)が形成されているが、これらを形成しないものであってもよい。さらに、シフト装置1は、運転者が操作可能であれば車両の何れの位置に設置されていてもよく、表示面2に他の操作部が表示されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
前進走行レンジの操作部は、ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第1傾斜面を有し、当該第1傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を前進走行レンジに操作可能とするとともに、後退走行レンジの操作部は、ニュートラルレンジの操作部から連続して傾斜した第2傾斜面を有し、当該第2傾斜面に沿って指を滑らせてスライド操作することにより変速機を後退走行レンジに操作可能とするシフト装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 シフト装置
2 表示面
3 ニュートラルレンジの操作部
4 前進走行レンジの操作部
5 後退走行レンジの操作部
6 パーキングレンジの操作部(パーキングレンジ選択手段)
7 基板
8 フィルム層
9 タッチセンサ層
K1 第1傾斜面
K2 第2傾斜面
K3 第3傾斜面
M1 第1凹部
M2 第2凹部
M3 第3凹部
M4 第4凹部
K1’ 第1傾斜面
K2’ 第2傾斜面
M1’ 第1凹部
M2’ 第2凹部
M3’ 第3凹部
M4’ 第4凹部