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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-178568(P2017-178568A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/06 20060101AFI20170908BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20170908BHJP
   B65H 1/30 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   B65H1/06 C
   G07D9/00 403C
   G07D9/00 421
   B65H1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-69681(P2016-69681)
(22)【出願日】2016年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】大場 正志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仁
(72)【発明者】
【氏名】仲村 充
【テーマコード(参考)】
3E040
3F343
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040BA15
3E040DA05
3E040EA10
3E040FA03
3E040FA06
3E040FH01
3F343FA04
3F343FB07
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB02
3F343GE02
3F343GE05
3F343GE09
3F343HD07
3F343HD10
3F343HD16
3F343KB03
3F343KB20
3F343LC12
3F343LC27
3F343MA08
3F343MB04
3F343MB09
(57)【要約】
【課題】作業員が押え部材アップダウン釦を押す操作を別途しなくとも、押え部材を自動開放して投入部内への紙葉類の追加投入を円滑に行うことができるようにする。
【解決手段】前方と上方が開放され開放箇所を通じて紙葉類が投入される投入部を有し、前記投入部の集積空間部内に、上下方向に積層状態で紙葉類がセットされる紙葉類処理装置が、前記投入部の集積空間部内にセットされた前記紙葉類を上方から押える紙葉押えと、前記投入部の集積空間部及び隣接する所定の空間のうち少なくともいずれかの空間内に挿入された手の動きを検出する動作検出部と、前記動作検出部の検出結果に基づき、前記挿入された手が紙葉類の追加セットの動作であると判別した場合に、前記紙葉押えを開放する紙葉押え制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方と上方が開放され開放箇所を通じて紙葉類が投入される投入部を有し、前記投入部の集積空間部内に、上下方向に積層状態で紙葉類がセットされる紙葉類処理装置であって、
前記投入部の集積空間部内にセットされた前記紙葉類を上方から押える紙葉押えと、
前記投入部の集積空間部及び隣接する所定の空間のうち少なくともいずれかの空間内に挿入された手の動きを検出する動作検出部と、
前記動作検出部の検出結果に基づき、前記挿入された手が紙葉類の追加セットの動作であると判別した場合に、前記紙葉押えを開放する紙葉押え制御部と、を備える紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記動作検出部は、前記投入部の集積空間部の外部領域に設置されている、請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記投入部の集積空間部内にセットされた紙葉類が一定残量であるか否かを検出する残量検出部を備え、
前記紙葉押え制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づき前記集積空間部内の紙葉類が一定残量より多いと判別した場合には、前記紙葉押えを開放する、請求項1又は請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記紙葉押え制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づき前記投入部の集積空間部内の紙葉類が一定残量より少ないと判別した場合には、前記紙葉押えを降下させて紙葉類を押える、請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記紙葉押え制御部は、前記投入部の集積空間部内の紙葉類が一定残量より少なく、前記紙葉押えが紙葉類を押えている状態で、前記動作検出部の検出結果に基づき、前記挿入された手が紙葉類の追加セットの動作であると判別した場合に、前記紙葉押えを開放する、請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記紙葉類を追加投入するための手の動きを基準動作データとして記憶させるための操作指示部を有し、
前記紙葉押え制御部は、前記操作指示部からの指示に基づき前記紙葉類を追加投入するための手の動きを基準動作データとして内部に記憶させるとともに、前記動作検出部により検出された前記挿入された手の動きが、前記基準動作データに一致したことを条件として、前記紙葉押えを開放する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記紙葉押え制御部は、前記動作検出部により検出された前記挿入された手の動きに基づき、前記紙葉押えを上昇させる場合に、前記投入部内にある紙葉類の計数及び分類処理を停止させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の計数及び分類機等に適用される紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機体の前側に設けられた投入部にセットされた紙葉類を計数及び分類する紙葉類処理装置が知られている。
例えば、特許文献1に示される紙葉類処理機では、前方と上方が開放されてこれら開放箇所を経由して紙葉類が投入される投入部を有し、この投入部の集積空間部内に、上下方向に積層状態で紙葉類がセットされる。
その後、この紙葉類処理機は、投入部内に積層状態で収納された紙葉類の収納量を検出し、検出した収納量が設定値より少ない場合に押え部材により紙葉類を押えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4723003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される紙葉類処理機では、紙葉類の計数及び分類処理中に、紙葉類の追加投入を行おうとした場合に、押え部材アップ釦を押す必要がある。
しかしながら、この紙葉類処理機では、押え部材アップ釦を押す以前に、作業員の手又は手に持った紙葉類が投入部内にある集積紙葉類に接触した場合、紙葉類の機器内への取り込み動作が阻害されてジャム等の不具合を発生させる可能性がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の紙葉類処理機で、投入部内に収納された紙葉類の収納量を検出する紙幣収容量検知センサの出力を利用して、押え部材を上昇させることが考えられる。
しかしながら、この紙葉類処理機の紙幣収容量検知センサは、投入部に収容される紙葉類の集積状態を検出可能な位置にあることから、自ずと、紙葉類取込口の紙幣積層領域近傍に位置することになる。
このため、特許文献1に記載の紙葉類処理機では、紙幣収容量検知センサが、作業員の手又は手に持った紙葉類を検出したときには、これら手又は紙葉類が既に投入部内に進入した状態にある。このため、押え部材を上昇させる検知手段として紙幣収容量検知センサの出力を利用するのは不適当である。
【0006】
この発明は、作業員が紙葉押えアップダウン釦を押す操作を別途しなくとも、押え部材を自動開放して投入部内への紙葉類の追加投入を円滑に行うことができ、これによって効率的な紙葉類の追加セットを行うことができる紙葉類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、紙葉類処理装置は、前方と上方が開放され該開放箇所を通じて紙葉類が投入される投入部を有し、該投入部の集積空間部内に、上下方向に積層状態で紙葉類がセットされる紙葉類処理装置であって、前記投入部の集積空間部内にセットされた前記紙葉類を上方から押える紙葉押えと、前記投入部の集積空間部及び隣接する所定の空間のうち少なくともいずれかの空間内に挿入された手の動きを検出する動作検出部と、前記動作検出部の検出結果に基づき、前記挿入された手が紙葉類の追加セットの動作であると判別した場合に、前記紙葉押えを開放する紙葉押え制御部と、を備える。
【0008】
前記動作検出部は、前記投入部の集積空間部の外部領域に設置されていてもよい。
【0009】
前記投入部の集積空間部内にセットされた紙葉類が一定残量であるか否かを検出する残量検出部を備え、前記紙葉押え制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づき前記集積空間部内の紙葉類が一定残量より多いと判別した場合には、前記紙葉押えを開放するようにしてもよい。
【0010】
前記紙葉押え制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づき前記投入部の集積空間部内の紙葉類が一定残量より少ないと判別した場合には、前記紙葉押えを降下させて紙葉類を押えるようにしてもよい。
【0011】
前記紙葉押え制御部は、前記投入部の集積空間部内の紙葉類が一定残量より少なく、前記紙葉押えが紙葉類を押えている状態で、前記動作検出部の検出結果に基づき、前記挿入された手が紙葉類の追加セットの動作であると判別した場合に、前記紙葉押えを開放するようにしてもよい。
【0012】
前記紙葉類を追加投入するための手の動きを基準動作データとして記憶させるための操作指示部を有し、前記紙葉押え制御部は、前記操作指示部からの指示に基づき前記紙葉類を追加投入するための手の動きを基準動作データとして内部に記憶させるとともに、前記動作検出部により検出された前記挿入された手の動きが、前記基準動作データに一致したことを条件として、前記紙葉押えを開放するようにしてもよい。
【0013】
前記紙葉押え制御部は、前記動作検出部により検出された前記挿入された手の動きに基づき、前記紙葉押えを上昇させる場合に、前記投入部内にある紙葉類の計数及び分類処理を停止させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業員が紙葉押えアップダウン釦を押す操作を別途しなくとも、押え部材を自動開放して投入部内への紙葉類の追加投入を円滑に行うことができ、これによって効率的な紙葉類の追加セットを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の構成を示す概略構成図である。
図2】同実施形態で投入部に紙葉類が投入される様子を示す斜視図である。
図3】同実施形態で投入部内の紙葉押えが上方の「退避位置」にある場合の例を示す斜視図である。
図4】同実施形態で投入部内の紙葉押えが下方の「最下位置」にある場合の例を示す斜視図である。
図5】同実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の機能構成を示す概略ブロック図である。
図6】同実施形態に係る紙葉押え制御部が行う処理手順の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態に係る投入部の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について図1図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の構成を示す概略構成図である。同図は、紙葉類処理装置を正面から見た場合の各部の配置例を示している。同図の上方が紙葉類処理装置の上方に該当する。この紙葉類処理装置11は、適用対象となる紙幣、商品券、仕切りカード等の紙葉類に対して所定の処理を行う。
【0018】
図1に示すように、紙葉類処理装置11は、その右側面に設けられて右側方に開口する投入口12Aを有する投入部12と、投入部12の上方に位置するリジェクトポケット部13と、投入部12及びリジェクトポケット部13の左方に配置されて装置前面に開口する複数の集積ポケット部14(図1の例では3カ所)とを有している。
投入部12の投入口12Aは前方と上方が開放されているものであって、投入部12の内部には、投入口12Aを経由して投入された紙葉類が上下に積層される集積空間部15が形成されている。
【0019】
紙葉類処理装置11の内部では、投入部12の左下方に取り込み搬送部16が設けられ、取り込み搬送部16の左側に識別部17が設けられている。線L11は、紙葉類の搬送経路を示しており、この搬送経路に沿って、集積空間部15、取り込み搬送部16、識別部17の順に配置されている。取り込み搬送部16は、集積空間部15内にセットされた紙葉類を最下のものから一枚ずつ分離し繰り出して装置内に取り込む。識別部17は、取り込み搬送部16が搬送中の紙葉類を識別し、そのうちの処理対象紙葉類の金種等を識別しつつ計数する。
【0020】
線L11で示す搬送経路には、識別部17に続いてさらに縦搬送部18、振分け搬送部19の順に設けられている。
縦搬送部18は、識別部17での処理を終えた紙葉類を、後部を経由して上部位置にまで搬送する。振分け搬送部19は、紙葉類を搬送するとともに、識別部17の識別結果に基づいて途中の振分け部(図示略)を作動させて、紙葉類をリジェクトポケット部13又はいずれかの集積ポケット部14に択一的に振り分ける。
【0021】
リジェクトポケット部13は、投入部12で紙葉類処理装置11内に取り込まれた処理対象紙葉類のうち、識別部17で正常紙葉類以外と識別されたリジェクト処理対象紙葉類を含む紙葉類を装置外に取り出し可能に排除する。また、このリジェクトポケット部13では、振分け搬送部19から繰り出される紙葉類を繰り出し順(言い換えれば投入部12の取り込み順)に下から上に集積させる。
【0022】
複数の集積ポケット部14は、紙葉類処理装置11内に取り込まれた投入部12内の処理対象紙葉類のうち、識別部17で正常と識別された正常処理対象紙葉類を装置外に取り出し可能に集積させる。複数の集積ポケット部14は、いずれも振分け搬送部19から繰り出された処理対象紙葉類を繰り出し順(言い換えれば投入部12の取り込み順)に下から上に集積させる。
【0023】
紙葉類処理装置11の前面には、操作入力を受け付けるとともに情報表示を行う操作指示部21が設けられている。この操作指示部21には、後述するようにスタート釦41及び紙葉押えアップダウン釦42が設けられている。
また、紙葉類処理装置11の内部には、各部を制御する制御部22と、識別の基準となるマスタデータ、及び、識別計数結果のデータ等を記憶する記憶部23とが設けられている。記憶部23は、紙葉類処理装置11が備える記憶デバイスを用いて構成される。また、制御部22は、例えば、紙葉類処理装置11が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)を用いて構成される。このCPUは、記憶部23からプログラムを読み出して実行することで制御部22として動作する。
【0024】
次に、本実施形態に係る投入部12の構成について図2図4を参照して説明する。
投入部12には、図2図4に示されるように、集積空間部15内にセットされた紙葉類Sを上方から押えるための紙葉押え31が設けられている。
この紙葉押え31は集積空間部15内にて上下方向に移動自在に設けられるものであって、図3で示される上方の「退避位置」と、図4で示される下方の「最下位置」との間で移動する。
そして、この紙葉押え31は、降下することにより、集積空間部15内の底面上に載置及び集積された紙葉類Sを上方から押え保持する。
【0025】
なお、電源ON時における紙葉押え31の「待機状態」は、図3で示される「退避位置」であっても、図4で示される「最下位置」であっても良く、適宜選択可能である。
投入部12の投入口12Aを経由して集積空間部15内に紙葉類Sを投入する場合には、図2に示されるように、紙葉押え31を「退避位置」に上昇させておく。
【0026】
投入部12には、集積空間部15に隣接する所定の空間内に挿入された手の動きを検出するジェスチャーセンサ32が設けられている。すなわち、ジェスチャーセンサ32は、集積空間部15の周囲における手の動きを検出する。ジェスチャーセンサ32は動作検出部の例に該当する。
また、このジェスチャーセンサ32は、紙葉類Sを投入部12内にセットする際に邪魔にならないように集積空間部15の外部に設置されている。
【0027】
また、投入部12には、集積空間部15内にセットされた紙葉類Sが一定残量であるか否かを検出する残量センサ33が設けられている。残量センサ33は、残量検出部の例に該当する。残量センサ33として、光の遮断を検出することで物体の存在を検知するフォトインタラプタを用いてもよいが、これに限らない。
これらジェスチャーセンサ32及び残量センサ33の検出出力は、制御部22の一部である紙葉押え制御部34(図5参照)に取り込まれる。
【0028】
この紙葉押え制御部34は、ジェスチャーセンサ32及び残量センサ33の検出出力に基づき、紙葉押え31を上昇又は下降させる。
また、この紙葉押え制御部34は、集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より多いか否かを、残量センサ33の検出結果に基づいて判定する。集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より多いと判定した場合、この紙葉押え制御部34は、紙葉押え31を開放する。ここで、紙葉押え31を開放するとは、紙葉押え31を上昇させることで、紙葉押え31による紙葉類Sの保持を終了させることである。このように紙葉押え制御部34が紙葉押え31を開放するのは、集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より多い場合には、紙葉類Sに押圧力を掛けなくとも、取り込み搬送部16が紙葉類Sを1枚ずつ繰り出せるからである。
一方、紙葉押え制御部34は、集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より少ないと判断した場合、紙葉押え31を降下させて紙葉類Sを押える。集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より少ない場合には、取り込み搬送部16による紙葉類Sの繰出し時にスリップが発生する可能性があり、紙葉押え制御部34は、これを防止するために、紙葉押え31を降下させて紙葉類Sに一定の押圧力を加える。
【0029】
また、紙葉押え制御部34は、ジェスチャーセンサ32及び残量センサ33による検出出力を取得する他、スタート釦41及び紙葉押えアップダウン釦42からの出力を取得する。これらの釦の出力は、当該ボタンが押下されたか否かを示す。
スタート釦41は、投入部12の集積空間部15内に集積した紙葉類Sの計数を開始又は停止させるための押釦である。
紙葉押えアップダウン釦42は、紙葉押え31を、図3で示される「退避位置」に上昇させる、又は図4で示される「最下位置」に降下させるための押釦である。
【0030】
また、紙葉押え制御部34は、紙葉押え31を上昇又は降下させるためのドライバとなる紙葉押え駆動部43、及び搬送部(取り込み搬送部16、縦搬送部18、及び振分け搬送部19)を駆動するためのドライバとなる搬送部駆動部44に制御信号を出力する。
【0031】
次に、図6を参照して紙葉類処理装置11の動作について説明する。
図6は、紙葉押え制御部34が実行する処理手順の例を示すフローチャートである。紙葉押え制御部34は、紙葉類処理装置11の電源が接続(ON)されると図6処理を開始する。
《ステップS1》
紙葉押え制御部34は、「待機状態」において、紙葉押え31が、図3で示される「退避位置」に設定されているか、図4で示される「最下位置」に設定されているかを判定する。「最下位置」に設定されていると判定した場合(ステップS1:NO)、ステップS2に進む。「退避位置」に設定されていると判定した場合(ステップS1:YES)、ステップS3に進む。
【0032】
《ステップS2》
紙葉押え制御部34は、紙葉押え駆動部43を駆動して、「最下位置」にある紙葉押え31を図3で示される「退避位置」にまで上昇させる。
【0033】
《ステップS3》
投入部12の投入口12Aを通じて集積空間部15内に紙葉類Sがセットされるのを待ち受ける。
【0034】
《ステップS4》
ステップS3での紙葉類Sのセットが完了して、紙葉押えアップダウン釦42が押された場合(ステップS4:YES)、次のステップS5に進む。一方、紙葉押えアップダウン釦42が押されない場合(ステップS4:NO)、ステップS3に戻る。この場合、紙葉押えアップダウン釦42が押下されるまでステップS3〜S4を繰り返す待機となる。
【0035】
《ステップS5》
紙葉押え制御部34は、残量センサ33の出力に基づき、投入部12の集積空間部15内にセットされた紙葉類Sが一定残量以下であるか否かを判定する。一定残量よりも多いと判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS6に進む。一方、一定残量以下であると判定した場合(ステップS5:YES)、ステップS7に進む。
【0036】
《ステップS6》
ステップS5で残量センサ33の検出結果に基づき集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より多いと判別した場合、紙葉押え制御部34は、紙葉押え31の開放状態を維持する。集積空間部15内の紙葉類Sが一定残量より多い場合には、紙葉類Sに押圧力を掛けなくとも、取り込み搬送部16が紙葉類Sを1枚ずつ繰り出せるためである。
その後、スタート釦41が押下された場合、紙葉押え制御部34は、搬送部駆動部44に対して、投入部12の集積空間部15内に集積した紙葉類Sの計数及び分類を行わせるための駆動信号を出力する。
なお、スタート釦41が押下された後は、搬送部駆動部44に対して紙葉類Sの計数及び分類処理を停止させる指示がなされるまで、その処理を継続する。
【0037】
《ステップS7》
紙葉押え制御部34は、紙葉押え駆動部43に対して紙葉押え31を降下させるための駆動信号を出力する。これにより、紙葉押え31を、集積されている紙葉類S上に降下させて紙葉類Sに一定の押圧力を加え、紙葉類Sの繰出し時に生じる取り込み搬送部16でのスリップを防止する。
【0038】
《ステップS8》
スタート釦41が押下された場合、紙葉押え制御部34は、搬送部駆動部44に対して、投入部12の集積空間部15内に集積した紙葉類Sの計数及び分類を行わせるための駆動信号を出力する。
【0039】
《ステップS9》
紙葉押え制御部34は、ジェスチャーセンサ32の出力に基づき、投入口12Aを通じて投入部12の集積空間部15内に、紙葉類Sの追加セットのための手又は紙葉類Sの存在(図2に符号H1で示す)が検出されたか否かを判定する。検出されたと判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS10に進む。一方、手又は紙葉類Sの存在が検出されていないと判定した場合(ステップS9:NO)、ステップS12に進む。
【0040】
《ステップS10》
集積空間部15内に紙葉類Sの追加セットのための手又は紙葉類Sが挿入されたとして、紙葉押え制御部34は、搬送部駆動部44に対して紙葉類Sの計数及び分類処理を中止させる駆動信号を出力する。
【0041】
《ステップS11》
紙葉押え制御部34は、紙葉押え駆動部43に対して紙葉押え31を上昇させるための駆動信号を出力する。その後、ステップS3にて、投入部12の集積空間部15への紙葉類Sの追加セットを受け入れる。
【0042】
《ステップS12》
ステップS9にて投入部12の集積空間部15への紙葉類Sの追加セットが無いと判断されたことで、搬送部駆動部44が、紙葉類Sの計数及び分類処理を継続して行なう。
その後、紙葉類Sの処理が終了せず継続する場合に先のステップS5に戻る。一方、紙葉類Sの処理が全て終了した場合は本フローを終了する。
【0043】
以上のように、本実施形態に示される紙葉類処理装置11によれば、投入部12の集積空間部15に隣接する所定の空間内に挿入された手の動きを検出するジェスチャーセンサ32の検出結果に基づき、集積空間部15に挿入された手が紙葉類Sの追加セットの動作であると判別した場合に、紙葉押え31を開放する(ステップS9〜S11参照)。
これによって、本実施形態の紙葉類処理装置11では、紙葉押え31を上昇させる操作釦(紙葉押えアップダウン釦42)の操作を作業員が別途行わなくとも、ジェスチャーセンサ32の検出結果に基づき紙葉押え31を自動開放することができる。その結果、投入部12内への紙葉類Sの追加投入を円滑に行うことができ、紙葉類Sの機器内への取り込み動作が阻害されることを未然に防止することができる。
また、本実施形態の紙葉類処理装置11では、ジェスチャーセンサ32の検出結果に基づき紙葉押え31を自動開放できるので、作業員が片手で紙葉類Sの追加投入を行うができ、紙葉類Sの分類及び計数作業を効率化することができる。
【0044】
また、本実施形態の紙葉類処理装置11では、投入部12の集積空間部15の外部領域にジェスチャーセンサ32を設置したので、紙葉類Sを投入部12内にセットするに際して、ジェスチャーセンサ32が邪魔になることがなく、円滑な紙葉類Sの追加セットを行うことができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、ステップS9〜S11で示されるように、集積空間部15に挿入された手が紙葉類Sの追加セットの動作であると判別した場合に、紙葉押え31を開放するようにした。そして、集積空間部15への紙葉類Sの追加セットの後に、紙葉押えアップダウン釦42の操作により(ステップS4参照)、開放した紙葉押え31を下降させるようにしたが、この動作を、ジェスチャーセンサ32の出力に基づき行うようにしても良い。
すなわち、投入部12の投入口12Aに追加セットのための手を近づけた後に、ジェスチャーセンサ32が投入口12Aから離れていく手の動作を検出することにより、紙葉押え31が下降して自動的に紙葉押え動作を行うようにしても良い。これにより、ステップS4で示されるような、紙葉押えアップダウン釦42を押す手間が不要となる効果を得ることができる。
【0046】
また、上記実施形態では、図6のステップS6及びS8での計数スタート釦41の押下により搬送部駆動部44が分類処理を開始する場合を例に説明したが、紙葉類Sの残量により紙葉押え31が動作した後は、スタート釦41が押下されなくても自動的に分類処理を開始するようにしてもよい。
これにより、作業員がスタート釦41を押下せずとも搬送部駆動部44が分類処理を自動的にスタートする。この点で、更に効率を向上させることができる。
【0047】
また、上記実施形態では、図6のステップS10で紙葉類の追加投入のために、搬送部駆動部44が分類処理を停止して、紙葉押え駆動部43が紙葉押え31を上昇させる場合を例に説明したが、搬送部駆動部44が分類処理を継続したまま、紙葉押え駆動部43が紙葉押え31を上昇させるようにしてもよい。この場合、紙葉類Sの機械内への取り込み動作が不安定になった時点で、制御部22が、搬送部駆動部44の分類処理を停止させる。
これにより、紙葉類の追加投入中も分類処理を継続することができる。この点で、稼動効率を向上させることができる。
【0048】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について図5図6及び図7を参照して説明する。
第2の実施形態に示される紙葉類処理装置11が、第1の実施形態の場合と異なる点は、ジェスチャーセンサ32が単に紙葉類Sの投入動作を検出するのではなく、投入動作を予め記憶している基準動作データと比較することで、投入動作をより正確に認識するようにした点にある。
具体的には、図5に示される記憶部23に、紙葉類Sの投入動作となる上方向の手の動き(図7に符号H2で示す)を、ジェスチャーセンサ32に読み取らせた後、基準動作データとして事前に記憶させておく。
また、この基準動作データは、計数開始の意思表示を読取るため、ノイズ動作に反応しない動作を記憶部23に登録する。
【0049】
そして、以上のように記憶部23に記憶させた基準動作データは、先に図7を参照して説明したフローチャートのステップS2及びステップS9〜S11にて用いる。
すなわち、ステップS2及びステップS11で示される紙葉押え31を上昇させる処理において、ジェスチャーセンサ32により検出された、投入部12内に挿入された手の動きが、基準動作データに一致したことを条件として、紙葉押え31を開放する。これにより、紙葉類Sの追加セット以外で近づいた手の動きに対して紙葉押え31が開放することが規制される。この点で、紙葉押え31が誤動作することを未然に防止できる。
【0050】
以上のように、第2の実施形態に示される紙葉類処理装置11は、ジェスチャーセンサ32により検出された手の動きが、予め記憶した基準動作データに一致したことを条件として、紙葉押え31を開放する。これにより、この紙葉類処理装置11によれば、紙葉類Sの追加セット以外で近づいた手の動きに対して、紙葉押え31が開放することが規制される。すなわち、紙葉押え31が誤動作することを未然に防止することができる。
【0051】
なお、制御部22の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0052】
加えて、第1の実施形態、第2の実施形態においては、ジェスチャーセンサ32は、集積空間部15に隣接する所定の空間内に挿入された手の動きを検出するとしたが、この範囲に限るものではなく、投入部12の集積空間部15及び隣接する所定の空間のうち少なくともいずれかの空間内に挿入された手の動きを検出するものであっても良い。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
11 紙葉類処理装置
12 投入部
12A 投入口
15 集積空間部
21 操作指示部
22 制御部
23 記憶部
31 紙葉押え
32 ジェスチャーセンサ
33 残量センサ
34 紙葉押え制御部
S 紙葉類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7