(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-178794(P2017-178794A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】芳香族アミンの水溶液中での選択的誘導体化及び分析方法
(51)【国際特許分類】
C07D 271/08 20060101AFI20170908BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20170908BHJP
G01N 31/00 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
C07D271/08
G01N21/78 C
G01N31/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-64261(P2016-64261)
(22)【出願日】2016年3月28日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】501213860
【氏名又は名称】独立行政法人労働安全衛生総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100101904
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 直子
(72)【発明者】
【氏名】小野 真理子
(72)【発明者】
【氏名】菅野 誠一郎
【テーマコード(参考)】
2G042
2G054
4C056
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BD13
2G042CA02
2G042CB03
2G042DA08
2G042FB02
2G054AA02
2G054AB07
2G054CA30
2G054CE02
2G054EA03
2G054EA04
2G054GA02
2G054GA04
4C056AA01
4C056AB02
4C056AD03
4C056AE03
4C056FA01
4C056FB01
4C056FC01
(57)【要約】
【課題】非芳香族アミン及びフェノール類の共存下でも芳香族アミンを選択的に誘導体化し、検出・分析できる方法を提供する。
【解決手段】pH4〜5.5の水溶液中で芳香族アミンを酸ハロゲン化物で処理することを特徴とする芳香族アミンの誘導体化方法;及び前記方法により生成した芳香族アミンのN−アシル化誘導体を検出又は定量することを含む水溶液中の芳香族アミンの検出又は定量方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH4〜5.5の水溶液中で芳香族アミンを酸ハロゲン化物で処理することを特徴とする芳香族アミンの誘導体化方法。
【請求項2】
前記水溶液が非芳香族アミン及びフェノール類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水溶液が20%以下の極性有機溶媒を含有する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
酸ハロゲン化物が紫外吸収誘導体化試薬又は蛍光誘導体化試薬である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により生成した芳香族アミンのN−アシル化誘導体を検出又は定量することを含む水溶液中の芳香族アミンの検出又は定量方法。
【請求項6】
芳香族アミンのN−アシル化誘導体を紫外吸収又は蛍光により検出又は定量する請求項5記載の水溶液中の芳香族アミンの検出又は定量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミンの水溶液中での選択的誘導体化及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族アミンは発がん性が懸念される化合物が多く、また、特定化学物質として指定されている芳香族アミンもある。芳香族アミンを原料として用いている工場等での作業環境の測定を行う場合、捕集される化合物に他の化合物が含まれる場合がある。その場合、その中で微量に含まれる芳香族アミンを測定する必要がある。そのため、芳香族アミン分析には、それ以外の化合物を除去する必要があり、前処理が必要となる。そのため、選択的に芳香族アミンを検出することができれば、迅速に作業環境を把握できる。
【0003】
芳香族アミン分析については、他の紫外吸収や蛍光を持つ化合物と分離するには、HPLCなどのクロマトグラフィーを用いるが、夾雑物と重なり分離ができない場合、前処理などにより夾雑物を除去し、分析を行う。
【0004】
また、検出感度を向上させるため蛍光誘導体化を行う場合、非芳香族アミン等も同様に誘導体化されるため、クロマトグラフィーにより分離できない場合は、同様に前処理により夾雑物を除去する必要がある。
【0005】
一般的に酸塩化物等の酸ハロゲン化物を用いた誘導体化反応は、脱水溶媒中で行われ、アルコール、フェノール、脂肪族アミン、芳香族アミン等の様々な官能基と反応し、ハロゲン化水素が脱離し、その誘導体を得ることが可能であり、反応の進行には脱離したハロゲン化水素を補足する塩基が必要となる。また、脱水溶媒中で反応が行われるのは、酸ハロゲン化物は水と反応しカルボン酸(誘導体)が生じるためである。そのため、水溶液中での芳香族アミンの酸ハロゲン化物による誘導体化反応はほとんど行われていない。
【0006】
一方、紫外吸収検出により芳香族アミンを分析する場合、芳香族アミンとフェノール類は共に芳香環を有することから紫外吸収波長も近く、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等でピークが重なった場合、芳香族アミンを選択的に分析することは困難となる。
【0007】
本発明者らは、先に、pH6.5〜9.0の50%アセトニトリル水溶液中で芳香族アミンを誘導体化試薬4−(N−クロロホルミルメチル−N−メチルアミノ)−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(NBD−COCl)と反応させることにより、芳香族アミンを簡便かつ迅速に分析できることを報告している(非特許文献1)。
【0008】
しかしながら、前記の方法では、前記誘導体化試薬はフェノール類等とも反応してしまい、芳香族アミンを選択的に分析することは困難であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】井上直子、「NBD誘導体化による芳香族アミンの分析法の検討」、第55回日本労働衛生工学会(第36回作業環境測定研究発表会)(平成27年10月21日(水)〜23日(金))講演要旨集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、非芳香族アミン及びフェノール類の共存下でも芳香族アミンを選択的に誘導体化し、検出・分析できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族アミンのpKa付近、すなわちpH4〜5.5の水溶液中で酸ハロゲン化物により誘導体化反応を行うことにより、塩基性の高い非芳香族アミンやフェノール性水酸基等の異なるpKaを有する化合物の誘導体化反応を抑制し、選択的に芳香族アミンを誘導体化及び分析できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)pH4〜5.5の水溶液中で芳香族アミンを酸ハロゲン化物で処理することを特徴とする芳香族アミンの誘導体化方法。
(2)前記水溶液が非芳香族アミン及びフェノール類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する前記(1)に記載の方法。
(3)前記水溶液が20%以下の極性有機溶媒を含有する前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)酸ハロゲン化物が紫外吸収誘導体化試薬又は蛍光誘導体化試薬である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法により生成した芳香族アミンのN−アシル化誘導体を検出又は定量することを含む水溶液中の芳香族アミンの検出又は定量方法。
(6)芳香族アミンのN−アシル化誘導体を紫外吸収又は蛍光により検出又は定量する前記(5)に記載の水溶液中の芳香族アミンの検出又は定量方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、芳香族アミンを選択的に誘導体化することが可能となるため、芳香族アミンの分析を行うことが可能となる。
【0014】
HPLCにより芳香族アミンとフェノール性水酸基を有する化合物が分離できない場合、HPLC−UV(紫外吸収)検出では芳香族アミンの測定は困難であるため、分液や固相抽出などの前処理や他の装置での分析が必要となるが、本発明の簡便な誘導体化反応を行うことにより、他の分析機器を必要とせず、分液や固相抽出などの前処理操作をせずにHPLC−UV又はHPLC−FL(蛍光)のみで分析を行うことが可能であるため、測定機関等の経済的及び時間的負荷を減ずることが可能となる。また、樹脂工場などフェノール性化合物及び芳香族アミンを同時に使用している事業所などで芳香族アミンを簡便に測定できるようになり、産業への推進に寄与できる。また、本発明による誘導体化方法では、塩基性の高い非芳香族アミンについては誘導体化が起こらないため、誘導体化により検出を妨害する物質が増加することなく、芳香族アミンを選択的に検出できる。そのため、非芳香族アミンや芳香環を有する化合物が多く存在する職場において、発がん性が懸念される芳香族アミンを使用している職場の作業環境の測定も簡便迅速に行うことが可能であり、作業環境を容易に把握することが可能であるため、労働者の健康を守ることの一端を担える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は実施例に用いたアミン類及びフェノール類を示す。
【
図2】
図2は有機溶媒量の誘導体化量への影響を示す。(反応溶液中の有機溶媒量が上55.6%アセトニトリル、下15.6%アセトニトリル)
【
図3】
図3は芳香族アミンA、B及びC(A:2,4−ジアミノトルエン、B:o−トリジン,C:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン)の検量線を示す。
【
図4】
図4は芳香族アミンA、B及びC、ビスフェノールA(図中D)を誘導体化したときのクロマトグラムを示す。(A〜C 200ng/mL,D 5μg/mL)
【
図5】
図5は4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を誘導体化したときのクロマトグラムを示す。
【
図6】
図6は2,4−ジアミノトルエン(A)、o−トリジン(B)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(C)、ビスフェノールA(D)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(E)及びフェノール(F)を誘導体化したときのクロマトグラムを示す。
【
図7】
図7はビスフェノールA(D)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(E)、フェノール(F)及び1,12−ジアミノドデカン(G)の反応に用いた緩衝溶液のpHと誘導体化量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では芳香族アミンのpKa付近、すなわちpH4〜5.5で誘導体化を行うことで水との反応性を比較的抑制している。また、塩基性の高い非芳香族アミンのアンモニウムイオンのpKaは10付近、フェノール性化合物はpKaが9付近であることから、芳香族アミンのpKa付近、すなわちpH4〜5.5では酸ハロゲン化物との反応性(求核性)が下がり、ほとんど酸ハロゲン物とは反応しない。そのため、芳香族アミンを選択的にpH4〜5.5の水溶液中で誘導体化し、検出又は定量することが可能となる。
【0017】
本発明の対象となる芳香族アミンとしては、特に制限はないが、第一級アミンが好ましく、例えば、4-アミノジフェニルメタン等の芳香族モノアミン;フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、o−トリジン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
【0018】
本発明に用いる酸ハロゲン化物としては、本発明の条件下、すなわちpH4〜5.5の水溶液中で水と激しく反応しないものであれば、特に制限はないが、疎水性が高いものが好ましい。酸ハロゲン化物としては、通常、酸塩化物が用いられる。
【0019】
酸ハロゲン化物としては、分析が容易な点から、蛍光誘導体化試薬が好ましい。酸ハロゲン化物の蛍光誘導体化試薬としては、例えば、次式:
【化1】
で示される4−(N−クロロホルミルメチル−N−メチルアミノ)−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(NBD−COCl)等の疎水性が高く、官能基としてハロホルミル基を有する誘導体化試薬が挙げられる。
【0020】
pH4〜5.5の水溶液としては、例えば0.1M酢酸緩衝溶液(pH5)、0.1M酢酸緩衝溶液(pH4.5)、0.1M酢酸緩衝溶液(pH4.0)等の緩衝溶液が挙げられる。
【0021】
前記水溶液は、試料(芳香族アミン等)の溶解性を高めるため、反応溶液中に20%以下の極性有機溶媒を含有することが好ましい。極性有機溶媒の濃度は、反応溶液中で13〜20%であることが更に好ましく、約16%程度であることが特に好ましい。
【0022】
前記極性有機溶媒としては、試料溶液及び緩衝溶液と混和するアセトニトリル等の非プロトン性極性有機溶媒が好ましい。
【0023】
誘導体化反応の反応温度は、通常30〜50℃、好ましくは35〜40℃であり、反応時間は、通常1〜30分、好ましくは3〜10分である。
【0024】
本発明によれば、前記水溶液に非芳香族アミン(例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、アルキルアミン等の非芳香族アミン)、フェノール類(例えば、フェノール、ビスフェノール類)等が大量に含まれている場合でも、前記の誘導体化反応により生成した芳香族アミンのN−アシル化誘導体を、例えば紫外吸収又は蛍光により検出又は定量することにより、水溶液中の芳香族アミンの選択的な検出又は定量が可能になる。
【0025】
また、本発明の芳香族アミンの誘導体化方法によれば、反応混合物に共存する塩基性の高い非芳香族アミン、フェノール類等の夾雑物を分離することなく、芳香族アミンを直接N−アシル化(アミド化)し、芳香族アミンを分析することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
(1)芳香族アミン誘導体の合成
ピリジン存在下、アセトニトリル中で4−(N−クロロホルミルメチル−N−メチルアミノ)−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(NBD−COCl)及び芳香族アミン(A:2,4−ジアミノトルエン、B:o−トリジン、C:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン;
図1参照)により誘導体を合成し、NMR及び質量分析により構造を確認した。
【0028】
また、アセトニトリルを含む酢酸緩衝溶液(pH6)中でNBD−COCl及び前記芳香族アミンを反応させたところ、得られた誘導体の質量分析により得られた分子量及びHPLCの保持時間がピリジン−アセトニトリル中で合成した誘導体のものと一致し、有機溶媒中及び緩衝溶液中で得られる誘導体はDiNBD−CO−芳香族アミンであった。
NBD−2,4−ジアミノトルエン MS(FAB): calcd for (M+H)
+: 591.1700, found: 591.1702.
NBD−o−トリジン MS(FAB): calcd for (M+H)
+: 681.2170, found:681.2170.
NBD−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン MS(FAB): calcd for (M+H)
+: 695.2326, found:695.2326.
【0029】
(2)芳香族アミンの緩衝溶液中での誘導体化方法
テフロンパッキン付試験管(10mL)に0.1M酢酸緩衝溶液(pH5)、又は0.1Mリン酸緩衝溶液(pH7)又は0.1Mホウ酸緩衝溶液(pH9)40μL、3種の芳香族アミン(2,4−ジアミノトルエン:A、o−トリジン:B、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン:C)各200ng/mL及びビスフェノールA:D 5μg/mLを含有する10%アセトニトリル水溶液40μLを加え、2.5mg/mL 4−(N−クロロホルミルメチル−N−メチルアミノ)−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(NBD−COCl)アセトニトリル溶液10μLを加え、密栓し、35℃5分で反応を行い、氷冷後、酢酸−アセトニトリル水溶液で希釈し、HPLC(Waters HPLC:alliance e2965、FL:2475 Multi λFluorescence Detector ex470nm/em540nm)により分析した。また、HPLC条件は、移動相(アセトニトリル50/蒸留水50(v/v))、流速1mL/min、カラム(Kinetex C18,5μm,100mm×4.6mm)、カラム温度30℃を用いた。
【0030】
0.1M酢酸緩衝溶液(pH5)中の反応については、ビスフェノールA(D)を含有しない場合についても測定を行った。
【0031】
誘導体化条件の有機溶媒量は、酸性条件下での誘導体化量に影響し(
図2)、反応溶液中のアセトニトリルが55.6%(試料溶液中の溶媒量100%)の溶液では、誘導体化量が著しく減少した。そのため、酸性条件下においても誘導体化が進行する、反応溶液中のアセトニトリルが15.6%(試料溶液中の溶媒量10%)の溶液で反応を行った。
【0032】
芳香族アミンA、B及びCの検量線を
図3に示し、夾雑物非共存下及び共存下のクロマトグラムを
図4に示す。
【0033】
前記の芳香族アミンはpH5の緩衝溶液中でNBD−COClとの反応により、DiNBD−CO−芳香族アミンを生成し、0〜400ng/mLの範囲で直線性が得られ、分析が可能であった。また、緩衝溶液pH7及びpH9ではビスフェノールA(
図4中D,5μg/mL)は誘導体化試薬と反応したが、pH5の緩衝溶液ではビスフェノールAの検出が認められなかった。そのため、pH5の緩衝溶液中での反応により選択的に芳香族アミンを分析することが可能であった。
【0034】
また、非芳香族アミン(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン),10μg/mL;
図5中E)についても0.1M緩衝溶液(pH5、7、9)中で前記と同様にNBD−COClにより誘導体化を行い、塩基性条件下では誘導体化されるが、pH5では誘導体化されないことを確認した。
【0035】
図6に2,4−ジアミノトルエン(A)、o−トリジン(B)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(C)、ビスフェノールA(D)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(E)及びフェノール(F)を誘導体化したときのクロマトグラムを示す。濃度は、A〜Cは200ng/mL、D〜Fは1.67μg/mLである。前記と同様に誘導体化を行った。pH5での反応溶液中では、芳香族アミンが選択的に誘導体化された。
【0036】
図7にビスフェノールA(D)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(E)、フェノール(F)及び1,12−ジアミノドデカン(G)をpH4〜9の緩衝溶液中で前記と同様にNBD−COClにより誘導体化したときの使用した緩衝溶液のpHと誘導体化量とのグラフを示す。濃度は、D〜Gすべて3.33μg/mL(3333ng/mL)である。pH4〜5.5では誘導体化反応がほとんど起こらないが、pHの増加に伴い誘導体化量が増加することを確認した。