特開2017-179637(P2017-179637A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-179637(P2017-179637A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】編地の編成方法、および編地
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/00 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
   D04B1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-66664(P2016-66664)
(22)【出願日】2016年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】上道 和也
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002BA00
4L002BA02
4L002DA00
4L002EA00
4L002FA01
4L002FA06
(57)【要約】
【課題】編出し部が厚くならず、しかも編幅方向に拡がり難い編地を編成できる編地の編成方法を提供する。
【解決手段】抜き糸編目列1のウエール方向に連続する編出し編目列10を編成する(工程A)。編出し編目列10を、編幅方向の一端側から見て奇数番目の編目からなるグループと偶数番目の編目からなるグループとに分け、いずれか一方のグループを第一グループG1、他方のグループを、後工程で第一グループG1の裏側に交差する第二グループG2と規定し、第一グループG1と第二グループG2とを編幅方向に相対的に移動させることで、編出し編目列10の隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とを編幅方向に交差させ、第一グループG1と第二グループG2とで構成される編出し部2を形成する(工程B)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第一針床と第二針床を有する横編機を用いて、編成終了後に編地から取り除かれる抜き糸編目列のウエール方向に連続して編成される編出し部を備える編地の編成方法において、
前記第一針床および前記第二針床の少なくとも一方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する編出し編目列を編成する工程Aと、
前記編出し編目列を、編幅方向の一端側から見て奇数番目の編目からなるグループと偶数番目の編目からなるグループとに分け、いずれか一方のグループを第一グループ、他方のグループを後工程で前記第一グループの裏側に交差する第二グループと規定し、前記第一グループと前記第二グループとを編幅方向に相対的に移動させることで、前記編出し編目列の隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とを編幅方向に交差させ、前記第一グループと前記第二グループとで構成される前記編出し部を形成する工程Bと、を行い、
前記編出し部のウエール方向に続くベース編地部の編成を開始する編地の編成方法。
【請求項2】
前記ベース編地部をリブ組織とする際、
前記リブ組織の表目の少なくとも一部を、前記編出し部を構成する前記第一グループのウエール方向に続けて編成する請求項1に記載の編地の編成方法。
【請求項3】
前記第一針床と前記第二針床のそれぞれに前記抜き糸編目列が係止された状態のとき、
前記第一針床および前記第二針床のいずれか一方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する前記編出し部を編成してから、他方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する前記編出し部を編成することで、前記第一針床に形成される前記編出し部と前記第二針床に形成される前記編出し部とを筒状に繋げ、
その後、前記第一針床側の前記編出し部のウエール方向に続く前記ベース編地部と、前記第二針床側の前記編出し部のウエール方向に続く前記ベース編地部とを筒状に編成する請求項1または請求項2に記載の編地の編成方法。
【請求項4】
編出し部と、前記編出し部のウエール方向に連続するベース編地部とを備える編地において、
前記編出し部は、複数の編目からなる編出し編目列で構成されており、
前記編出し編目列の編幅方向の一端側から見て、前記編出し編目列における隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とが編幅方向に交差してなるユニットが複数並ぶことで、前記編出し部が形成されている編地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抜き糸で構成される抜き糸編目列のウエール方向に連続して編成される編出し部を備える編地の編成方法、およびその編地の編成方法で編成した編出し部を備える編地に関する。
【背景技術】
【0002】
横編機を用いて編地を編成する場合、横編機の針床に抜き糸を用いて抜き糸編目列を編成し、その抜き糸編目列のウエール方向に連続して編出し部を編成する。編出し部の編成には、抜き糸とは別の編糸を用いる。その編出し部のウエール方向に続けて、編地の本体となるベース編地部を編成する。編出し部を編成することで、ベース編地部の編目が解れることなくベース編地部を編成することができる。ここで、抜き糸編目列は、編出し部を編成するための起点として編成されるもので、編地を編成し終えた後に編地から外される。つまり、完成した編地においては、編出し部が編地の始端となる。
【0003】
編出し部を編成する技術として、例えば特許文献1の記載の技術が知られている。特許文献1では、前後の針床にジグザグ状に編目を編成し、そのジグザグ状の編目からなる編目列に袋編成を行なって、編出し部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−194154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の編出し部は、二層状態の袋編みによって編成された部分を有するため、ベース編地部よりも編出し部が厚くなり易い。また、袋編みによって編成された部分によって編出し部が収縮し難くなっているため、ベース編地部をリブ組織などの編幅方向に収縮し易い編組織とした場合、ベース編地部の編出し部側が編幅方向に拡がったようになり易い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、編出し部が厚くならず、しかも編幅方向に拡がり難い編地を編成できる編地の編成方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、薄くて、編幅方向に拡がり難い編出し部を備える編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、『表側』とは、編地の使用時に編地の表面となる側、『裏側』とは、編地の使用時に編地の裏面となる側のことである。例えば、筒状編地の場合、筒の外側が『表側』、筒の内側が『裏側』である。また、『表目』とは、編地を表側から見たときに、裏側から表側に向って旧編目から引き出される編目、『裏目』とは、編地を表側から見たときに、表側から裏側に向って旧編目から引き出される編目のことである。
【0008】
本発明は、対向する第一針床と第二針床を有する横編機を用いて、抜き糸編目列のウエール方向に連続して編出し部を編成する編地の編成方法に係る。本発明の編地の編成方法は、以下の工程A、工程Bを行なって前記編出し部を形成し、前記編出し部のウエール方向に続くベース編地部の編成を開始する編地の編成方法である。
・前記第一針床および前記第二針床の少なくとも一方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する編出し編目列を編成する工程A。
・前記編出し編目列を、編幅方向の一端側から見て奇数番目の編目からなるグループと偶数番目の編目からなるグループとに分け、いずれか一方のグループを第一グループ、他方のグループを後工程で前記第一グループの裏側に交差する第二グループと規定し、前記第一グループと前記第二グループとを編幅方向に相対的に移動させることで、前記編出し編目列の隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とを編幅方向に交差させ、前記第一グループと前記第二グループとで構成される前記編出し部を形成する工程B。
【0009】
ここで、第一グループと第二グループとを編幅方向に相対的に移動させる手順として、次の手順を挙げることができる。以下の例示はいずれも、一方の針床に係止される抜き糸編目列のウエール方向に続く編出し部を一方の針床に形成する例である。
・一方の針床で抜き糸編目列のウエール方向に続く編出し編目列を編成し、第一グループを一方の針床から動かさず、第二グループを他方の針床を経由させ、一方の針床の編幅方向の一端側あるいは他端側に移動させる。
・抜き糸編目列のウエール方向に続く編出し編目列を他方の針床に係止された状態とし、その状態から、一方の針床に第一グループ、第二グループの順で移動させる。その際、第一グループの編幅方向の係止位置を編幅方向の一端側(他端側)にずらし、第二グループの編幅方向の係止位置を編幅方向の他端側(一端側)にずらす。
・編出し編目列が他方の針床に係止された状態から、一方の針床に第一グループ、第二グループの順で移動させる。その際、第一グループの編幅方向の係止位置を変化させず、第二グループの編幅方向の係止位置を、編幅方向の一端側または他端側にずらす。
・編出し編目列が他方の針床に係止された状態から、一方の針床に第一グループ、第二グループの順で移動させる。その際、第一グループの編幅方向の係止位置を、編幅方向の一端側または他端側にずらし、第二グループの編幅方向の係止位置を変化させない。
・編出し編目列が他方の針床に係止された状態から、一方の針床に第一グループ、第二グループの順で移動させる。その際、第一グループの編幅方向の係止位置を、編幅方向の一端側(他端側)にずらし、第二グループの編幅方向の係止位置を、第一グループと同じ方向に、第一グループよりも大きくずらす、あるいは小さくずらす。
【0010】
本発明の編地の編成方法の一形態として、前記ベース編地部をリブ組織とする際、前記リブ組織の表目の少なくとも一部を、前記編出し部を構成する前記第一グループのウエール方向に続けて編成する形態を挙げることができる。
【0011】
例えば、ベース編地部を1×1のリブ組織や1×3のリブ組織とする場合、リブ組織の全ての表目が第一グループのウエール方向に連続するように編成できる。ベース編地部を2×2のリブ組織や2×3のリブ組織、3×1のリブ組織とする場合、奇数番目の編目からなるグループと偶数番目の編目からなるグループのいずれを第一グループに選んでも、リブ組織の表目の少なくとも一部は、第一グループの編目のウエール方向に連続する。
【0012】
本発明の編地の編成方法の一形態として、前記第一針床と前記第二針床のそれぞれに前記抜き糸編目列が係止された状態のとき、前記第一針床および前記第二針床のいずれか一方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する前記編出し部を編成してから、他方の針床に係止される前記抜き糸編目列のウエール方向に連続する前記編出し部を編成することで、前記第一針床に形成される前記編出し部と前記第二針床に形成される前記編出し部とを筒状に繋げる形態を挙げることができる。その場合、前記第一針床側の前記編出し部のウエール方向に続く前記ベース編地部と、前記第二針床側の前記編出し部のウエール方向に続く前記ベース編地部とを筒状に編成する。
【0013】
本発明の編地は、編出し部と、前記編出し部のウエール方向に連続するベース編地部とを備える編地であって、前記編出し部は、複数の編目からなる編出し編目列で構成されており、前記編出し編目列の編幅方向の一端側から見て、前記編出し編目列における隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とが編幅方向に交差してなるユニットが複数並ぶことで、前記編出し部が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の編地の編成方法によれば、編出し部を編成する際に袋編みを行う必要がなく、編出し部を薄くすることができる。また、袋編みによって編成された部分を有さない編出し部は、後述する実施形態に示すように、各編糸が8の字状に繋がることで形成されているため、伸縮性に優れる。伸縮性に優れる編出し部は、ベース編地部の編幅方向の収縮に伴って収縮するため、ベース編地部の編出し部側が編幅方向に拡がり難い。
【0015】
編地を表側から見たときに編幅方向に表目と裏目が所定のパターンで繰り返されるリブ組織では、編幅方向に隣接する表目と裏目との境界に前後差による凹凸ができる。一方、本発明の編地の編成方法では、第一グループと第二グループとを相対的に移動させて、第一グループの編目を第二グループの編目の表側に交差させているため、第一グループの編目が第二グループの編目よりも編地の表側に出っ張り、第一グループの編目と第二グループの編目の間に凹凸ができる。そのため、ベース編地部をリブ組織で編成する場合、第一グループの編目のウエール方向に続けてリブ組織の表目の少なくとも一部を編成することで、リブ組織の凹凸に沿った編出し部となり、編出し部が綺麗に仕上がる。
【0016】
筒状のベース編地部を編成する場合、編出し部も筒状に編成する。この筒状の編出し部を本発明の編地の編成方法で編成することで、筒状のベース編地部の始端部(編出し部がある端部)がラッパ状に拡がることを効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明の編地は、本発明の編地の編成方法で編成された編出し部を備えている。本発明の編地の編成方法で編成された編出し部は薄く、編幅方向に拡がり難いため、そのような編出し部を備える本発明の編地は、見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に示す編地の編成方法の編成工程図である。
図2図1の編成工程図に従って編成された編出し部を含む編地のループ図である。
図3】実施形態2に示す編地の編成方法の編成工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1では、4枚ベッド横編機を用いて、筒状の編出し部を編成する例を説明する。なお、編成に使用する横編機は2枚ベッド横編機でも良く、また編出し部も筒状でなくても構わない。
【0020】
図1は、編出し部を編成するための編成工程図である。図1の『S+数字』は編成工程の番号を示し、逆三角マークは給糸口9を、FDは下側前針床を、FUは上側前針床を、BDは下側後針床を、BUは上側後針床を示す。大文字アルファベットは、編針の位置を示す。また、図中の矢印は編目の移動を示し、各編成工程で実際に編成動作が行なわれる部分は太線で示す。
【0021】
S0には、FDの編針A〜LとBDの編針A〜Lにそれぞれ、抜き糸で編成された抜き糸編目列1,1が係止された状態が示されている。この状態からBDの抜き糸編目列1のウエール方向に続く編出し部2(S3参照)を編成する。
【0022】
S1では、BD(一方の針床)に係止される抜き糸編目列1を、対向するFU(他方の針床)に移動させた後、給糸口9を紙面右側に移動させ、抜き糸編目列1のウエール方向に続く編出し編目列10を編成する(工程A相当)。編出し部2を形成するために編成する編目列はこの編出し編目列10のみであり、このS1以降で従来技術のように袋編みを行う必要はない。編出し編目列10の編糸は、抜き糸とは異なる編糸である。ここで、BDで編出し編目列10を編成してから、編出し編目列10をFUに移動させても構わない。但し、編出し編目列10の編目は後工程で複数回移動されるので、編出し編目列10の編目にかかる負担を軽減する意味で、S1に示すように抜き糸編目列1をFUに移動させてから編出し編目列10を編成することが好ましい。
【0023】
S1の後、S2を行うにあたり、概念上、編出し編目列10を二つのグループに分ける。具体的には、編出し編目列10を、編幅方向の一端側(紙面左側)から見て奇数番目の編目からなるグループと、偶数番目の編目からなるグループとに分ける。本例では、FUの編針A,C,E,G,I,Kに係止される奇数番目の編目からなるグループを第一グループG1と規定し、FUの編針B,D,F,H,J,Lに係止される偶数番目の編目からなるグループを第二グループG2と規定する。第二グループG2は、後工程で第一グループG1のBD側から見た裏側に交差される。
【0024】
S2では、FUの編針A,C,E,G,I,Kに係止される第一グループG1を、BDの編針B,D,F,H,J,Lに移動させる(工程Bの一部)。つまり、第一グループG1の編目を編幅方向の他端側(右側)に一針分、移動させている。
【0025】
S3では、第一グループG1と第二グループG2とを編幅方向に相対的に移動させることで、編出し編目列10における隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とを編幅方向に交差させる(工程Bの残部)。具体的には、FUの編針B,D,F,H,J,Lに係止される第二グループG2を、BDの編針A,C,E,G,I,Kに移動させている。つまり、第二グループG2の編目を編幅方向の一端側に一針分、移動させている。このS3によって、編出し編目列10の隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目の編幅方向の位置が入れ代わり、奇数番目の編目と偶数番目の編目とが編幅方向に交差する。この隣接する編目が交差した第一グループG1と第二グループG2とで編出し部2が形成される。
【0026】
S3が終了したら、今度はFDに係止される抜き糸編目列1に対して編出し部2を編成する。具体的には、FD,FUを一方の針床、BD,BUを他方の針床と見做し、S1〜S3と同様の編成を行なう。
【0027】
以上説明した編成により、筒状に繋がった編出し部2が編成される。以降は、編出し部2のウエール方向に連続するベース編地部を編成する。本例では、ベース編地部を2×2のリブ組織とした。ベース編地部をリブ組織とする場合、リブ組織の表目の少なくとも一部を、第一グループG1の編目のウエール方向に連続するように編成することが好ましい。
【0028】
図1の編成工程図に従って編成された編出し部2を備える編地100のループ図を図2に示す。図2には、筒状の編地100のうち、図1のS3に示される編出し部2を含む部分を筒状の編地100の外側(表側)から見た状態が示されており、紙面奥側から手前側に向って旧編目から引き出される編目が表目であり、手前側から奥側に向って旧編目から引き出される編目が裏目である。図2中の大文字アルファベットは、図1の編針の位置と対応している。図2(A)は、編成直後の編地100のループ図であって、抜き糸編目列1のウエール方向に編出し部2が編成され、その編出し部2のウエール方向に2×2のリブ組織で構成されるベース編地部3が編成されている。
【0029】
図2(A)の状態から抜き糸編目列1を編出し部2から外すと、図2(B)に示すように、編出し部2の編目が変形し、最終的に図2(C)に示すように、ベース編地部3が解れないように、ベース編地部3のシンカーループの位置に編出し部2の編目が絡みつく。編出し部2は、複数の編目からなる編出し編目列10で構成されている。具体的には、編出し編目列10の編幅方向の一端側(紙面右側)から見て、編出し編目列10における隣接する奇数番目の編目(図1の第一グループG1の編目)と偶数番目の編目(図1の第二グループG2の編目)とが編幅方向に交差してなるユニット20が複数並ぶことで、編出し部2が形成されている。編出し編目列10は一本の編糸で編成されているので、隣接する各ユニット20は編糸で繋がっている。抜き糸編目列1を取り外しても編出し部2が解れてしまわずに保持されているのは、編出し部2を構成する編出し編目列10における隣接する奇数番目の編目と偶数番目の編目とが交差し、その交差している編目同士が絡み合うからである。本例とは異なり、編出し編目列10の隣接する編目が交差せずに絡んでいなければ、抜き糸編目列1を取り除くと編出し編目列10が直線状に解れてしまう。
【0030】
図2(C)に示すように、本例の編出し部2は薄く仕上がり、目立たないため、編地100の見栄えが向上する。また、編出し部2は伸縮性に優れるため、筒状のベース編地部3が編幅方向に収縮しても、ベース編地部3の収縮に伴って編出し部2も収縮するので、ベース編地部3の編出し部2側がラッパ状に拡がり難い。ここで、図2のループ図では、説明の便宜上、編出し部2の各編目が分かるように各編目を大きく示しているが、実際には各編目は図示する状態よりも縮まった状態になっている。
【0031】
図2に示すように、ベース編地部3を構成する2×2のリブ組織のうち、編針A,D,E,H,I,Lで編成される編目は表目であり、編針B,C,F,G,J,Kで編成される編目は裏目である。表目と裏目との境界(編針A−B,C−D,E−F,G−H,I−J,K−Lの境界)には凹凸ができる。一方、編出し部2の第一グループG1の編目が第二グループG2の編目よりも編地100の表側に出っ張り、第一グループG1の編目と第二グループG2の編目の間に凹凸ができる。本例のリブ組織の表目のうち、編針D,H,Lで編成した表目は、第一グループG1の編目に連続して編成されるため、編針C−D,G−H,K−Lの境界で、リブ組織の凹凸と編出し部2の凹凸が揃い、編出し部2が綺麗に仕上がる。ここで、ベース編地部3を、第一グループG1に連続する表目と第二グループG2に連続する裏目とで構成される1×1のリブ組織とすれば、リブ組織の凹凸と編出し部2の凹凸が完全に一致し、編出し部2が非常に綺麗に仕上がる。
【0032】
ここで、実施形態1では、Nを1以上の自然数としたとき、2N−1番目(奇数番目)の編目と、2N番目(偶数番目)の編目とを編幅方向に交差させたが、2N番目(偶数番目)の編目と、2N+1番目(奇数番目)の編目とを編幅方向に交差させても良い。
【0033】
また、実施形態1とは異なり、図1のS0の後に、FDとBDとに筒状に繋がる一対の編出し編目列10を編成した後、BD(またはFD)の編出し編目列10の隣接する編目の入れ替えを行ってから、FD(またはBD)の編出し編目列10の隣接する編目の入れ替えを行っても良い。
【0034】
<実施形態2>
実施形態1の編出し編目列10を複数回に分けて編成することもできる。例えば、図1のS1において、給糸口9から編糸を給糸させ、BUの編針A,C,E,G,I,Kに第一の編目列を編成する。次いで、給糸口9から編糸を給糸させる、あるいは給糸口9とは別の給糸口から編糸を給糸させ、編針B,D,F,H,J,Lに第二の編目列を編成する。第一の編目列を第一グループG1とし、第二の編目列を第二グループG2と考えれば、これら第一の編目列と第二の編目列を合わせたものを編出し編目列10と見做すことができるので、以降はS2,S3を行なえば良い。
【0035】
実施形態2の編地100のループ図を図3に示す。この図3では、図2と異なり、編地100を裏側(筒の内側)から見ている。図3に示すように、第一の編目列21の編目と第二の編目列22の編目とが編幅方向に交差することで、第一の編目列21と第二の編目列22とが絡み合い、解れない編出し部2を形成することができる。本例の場合、隣接する第一の編目列21の編目と第二の編目列22の編目とで、編出し部2の一つのユニット20が形成される。この編出し部2は、従来の編出し部に比較して薄いが、確りとした編出し部2である。
【0036】
本例では、ベース編地部3を1×1のリブ組織で構成しており、第一グループG1の編目のウエール方向に表目を、第二グループG2の編目のウエール方向に裏目を編成している。そのため、リブ組織の編幅方向の凹凸と、編出し部2の編幅方向の凹凸とが完全に一致するので、編出し部2の近傍が綺麗に仕上がる。なお、図3は編地100を裏側から見た図であるため、紙面手前側から奥側に向って旧編目から引き出される編目が表目、奥側から手前側に向って旧編目から引き出される編目が裏目である。
【符号の説明】
【0037】
100 編地
1 抜き糸編目列
2 編出し部 20 ユニット 21 第一の編目列 22 第二の編目列
3 ベース編地部
10 編出し編目列 G1 第一グループ G2 第二グループ
図1
図2
図3