特開2017-179966(P2017-179966A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-179966(P2017-179966A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】框材および框扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/72 20060101AFI20170908BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20170908BHJP
   E06B 3/10 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   E06B3/72
   B27M3/00 K
   E06B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-70820(P2016-70820)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】大滝 直人
【テーマコード(参考)】
2B250
2E014
2E016
【Fターム(参考)】
2B250AA11
2B250CA11
2B250DA04
2B250EA02
2B250EA13
2B250FA02
2B250FA09
2B250FA31
2B250FA33
2E014AA02
2E014BA06
2E014BB06
2E014BB07
2E016HA09
2E016HA10
2E016KA05
2E016KA06
2E016LA01
2E016LB09
2E016LC01
2E016MA01
2E016MA07
2E016MA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】見栄えが良好で強度も十分に確保される芯材の構成を提供する。
【解決手段】単板積層方向が表裏方向に直交するように設けられる合板21と、合板の一面に設けられるMDF(中密度繊維板、中質繊維板)からなる端部材22との積層体である芯材2の表裏に表裏面材3を設けてなるフラッシュ構造の框材1であり、框材端面において芯材の端部材の板面および表裏面材の木口面を連続して被覆する縁材5が設けられ、縁材および端部材を貫通して合板の途中に至る深さの鏡板嵌合溝4が形成される。鏡板嵌合溝に露出する端部材の内面には、表裏面材に貼着される化粧シート6,6に近似する色の塗装8,8が施される。鏡板12として透光板を用いた場合であっても、透光板を通して観察される端部材はMDFの平滑面であるから、塗装なしでも見栄えの低下を抑え、塗装する場合も容易で美観良く仕上げることができる。芯材の合板部分で鏡板の端縁部を強固に保持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
框材による框組の間または内部に鏡板を配してなる框扉において縦框または横框として用いられる框材であって、芯材の表裏に表裏面材を設けてなるフラッシュ構造を有し、芯材は、単板積層方向が表裏方向に直交するように設けられる合板と、合板の框材端面側に設けられる木質繊維板からなる端部材との積層体であり、框材端面から端部材を貫通して合板の途中に至る深さの鏡板嵌合溝が形成されることを特徴とする框材。
【請求項2】
鏡板嵌合溝に露出する少なくとも端部材の全面に塗装が施されることを特徴とする、請求項1記載の框材。
【請求項3】
框材端面において芯材の端部材の板面および表裏面材の木口面を連続して被覆する縁材が設けられ、前記鏡板嵌合溝は、框材端面から縁材および端部材を貫通して形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の框材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の框材が縦框および/または横框として用いられた框組の間または内部に、透光板からなる鏡板が設けられることを特徴とする框扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、框材による框組の間または内部に鏡板を配してなる框扉に関し、より詳しくは、このような扉において縦框または横框として用いられる框材に関する。本発明は、鏡板としてガラスなどの透光性を有する板(透光板)が用いられる場合に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
このような扉に用いられる框材の従来技術が図5に示されている。框材1には、四周縁に設けて芯組みされる芯材2と、その表裏に貼着される表裏面材3,3とからなるフラッシュ構造のものが広く使用されるが、框材1の端面(框の内側を向く端面)には、鏡板(図示せず)の端縁部を嵌合するための鏡板嵌合溝4が形成されるので、芯材2には合板を用い、且つ、単板積層方向が表裏方向に直交するように設けて芯材2とすることにより、鏡板嵌合溝4の形成によっても必要強度が確保されるようにしている。表裏面材3,3にはMDF(中密度繊維板、中質繊維板)などの木質繊維板が多用されている。また、合板の板面が框材1の端面に露出することによる見栄えの低下を防ぐために、該合板面および表裏面材3,3の木口面を連続して表裏に亘って被覆する縁材5を設けている。図中、符号6,6は、表裏面材3,3に貼着される化粧シートを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図5に示す従来技術によると、鏡板がガラス板のような透光板であるとき、透光板を通して、芯材2を構成する合板の木口面(単板積層面)が外部から観察されてしまう。近年は木材資源の枯渇化の影響を受けて良質な単板の安定供給が困難になっており、合板においても、良質な単板のみで形成されるものは少なく、単板ごとの色も異なる場合が多いため、合板の木口面が観察されると、該合板を構成する各単板の色の違いが露呈することにより、見栄えが悪くなる。
【0004】
この問題を解決するために、芯材2を構成する合板の木口面に、化粧シート6の色に近似する色の塗装を施すことも行われているが、合板の木口面は粗く直接塗装を施すことが困難であることから、図6に示すように、合板の木口面を平滑にするためにパテ7を塗布した上で塗装8を施す必要があり、作業手間およびコストが掛かっていた。
【0005】
このような従来技術に鑑みて、本発明者は、芯材2にMDFなどの木質繊維板を用いることを考えた。MDFなどの木質繊維板は、公知のように、木材チップを蒸煮し解繊して得られる木質繊維に合成樹脂接着剤を加えて板状に熱圧成形して製造され、単板を積層して製造される合板とは異なり、木口面に単板積層面が露出することがない。したがって、この木口面が透光板を通して外部から観察されても、見栄えが大きく損なわれることがない。また、平滑な木口面が得られるので、パテ7を塗る必要がなく、直接塗装8を施すことができる。
【0006】
しかしながら、木質繊維板は合板に比べて曲げ強度に劣るため、芯材2をすべて木質繊維板で構成すると、鏡板の端縁部を鏡板嵌合溝4に挿入して保持したときに表裏方向に加わる荷重によって、鏡板嵌合溝4の両側部分が破損することがあった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、框扉において鏡板として透光板が用いられる場合であっても、透光板を通して芯材の木口面が観察されることによる見栄えの低下を防止しながら、鏡板嵌合溝に鏡板の端縁部を挿入して鏡板を保持するに十分な強度を確保して芯材の破損を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、框材による框組の間または内部に鏡板を配してなる框扉において縦框または横框として用いられる框材であって、芯材の表裏に表裏面材を設けてなるフラッシュ構造を有し、芯材は、単板積層方向が表裏方向に直交するように設けられる合板と、合板の框材端面側に設けられる木質繊維板からなる端部材との積層体であり、框材端面から端部材を貫通して合板の途中に至る深さの鏡板嵌合溝が形成されることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載の框材において、鏡板嵌合溝に露出する少なくとも端部材の全面に塗装が施されることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の框材において、框材端面において芯材の端部材の板面および表裏面材の木口面を連続して被覆する縁材が設けられ、前記鏡板嵌合溝は、框材端面から縁材および端部材を貫通して形成されることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか記載の框材が縦框および/または横框として用いられた框組の間または内部に、透光板からなる鏡板が設けられることを特徴とする框扉である。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項1に係る発明によれば、合板の框材端面側に木質繊維板からなる端部材を設けて芯材が構成され、框材端面から芯材の端部材を貫通して合板に至る深さの鏡板嵌合溝が形成されるので、鏡板としてガラス板などの透光板を用いた場合であっても、透光板を通して外部から観察される鏡板嵌合溝の内面は、端部材を構成する均質な木質繊維板の木口面であり、合板の木口面(単板積層面)が露呈しない。したがって、見栄えを良好に維持することができる。
【0013】
また、この発明によれば、芯材において合板は単板積層方向が表裏方向と直交するように設けられて端部材と接合されるので、端部材との接合面が平滑に得られ、且つ、木質繊維板からなる端部材の接合面も平滑であるため、これらが良好に接合され、強度に優れた芯材を構成することができる。
【0014】
また、この発明によれば、鏡板嵌合溝が合板に至る深さに形成されるので、鏡板嵌合溝に挿入された鏡板端縁部は、曲げ強度に優れた合板によって保持され、芯材の破損を防止することができる。
【0015】
本願の請求項2に係る発明によれば、上記効果に加えて、鏡板嵌合溝に露出する少なくとも端部材の全面に塗装が施されるので、たとえば表裏面材の表面に貼着される化粧シートの色に近似する色の塗装を施すことにより、透光板を通して端部材の内面が外部から観察されたときの見栄えをより良好にすることができる。端部材を構成する木質繊維板は均質であって内面が平滑に得られるので、パテ塗りを必要とせずに、直接塗装を施すことができ、作業手間およびコストが掛からない。
【0016】
本願の請求項3に係る発明によれば、框材端面に設けた縁材で、芯材の端部材の板面および表裏面材の木口面を連続して被覆するので、框材端面にこれらの継目が観察されず、見栄えをより良好にすることができる。
【0017】
本願の請求項4に係る発明によれば、鏡板としてガラス板などの透光板を用いた場合であっても、透光板を通して外部から観察される部分の見栄えを低下させることなく、強度も十分に確保され、製造効率にも優れた框扉が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による框材を左右縦框に用いた框扉の正面図である。
図2図1中A−A断面図である。
図3図2から鏡板を除いた、框材単独の断面図である。
図4】この框材の製造工程図である。
図5】従来の框材の一例を示す、図3と同様の断面図である。
図6】従来の框材の他例を示す、図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1ないし図3を参照して、本発明の一実施例による框材について詳細に説明する。この框材は、左右縦框11,11の間に鏡板12が配されてなる框扉10において左右縦框11,11として用いられるものである。鏡板12にはガラス板などの透光板が用いられている。以下、框材については、既述した従来技術(図5図6)と同一の符号1を付し、同一または対応する部材・要素には同一の符号を付して説明する。
【0020】
框材1は、従来技術と同様に、芯材2の表裏に木質繊維板(この実施例ではMDF)からなる表裏面材3,3を設けてなるフラッシュ構造を有し、表裏面材3,3には化粧シート6,6が貼着され、且つ、框材端面に現れる芯材2の板面および表裏面材3,3の木口面を連続して被覆する縁材5が設けられ、框材端面から縁材5を貫通して芯材に向けて鏡板嵌合溝4が形成されているが、芯材2は、単板積層方向が表裏方向に直交するように設けられる合板21と、合板21の框材端面側に設けられる木質繊維板(この実施例ではMDF)からなる端部材22との積層体として形成されている点で異なっている。鏡板嵌合溝4は、縁材5および端部材22を貫通して、合板21の途中に至る深さを有するものとして形成されている。鏡板嵌合溝4に露出する少なくとも端部材22の全面には、化粧シート6,6の色に近似する色の塗装8が施されている。
【0021】
框材1の寸法Xは、図1の框扉10における縦框11の左右幅寸法と略同一であり、寸法Yは縦框11(框扉10)の厚さと略同一であり、紙面直交方向の寸法(符号なし)は縦框11(框扉10)の高さと略同一である。端部材22は、框材1の縦框11として用いたときに、鏡板嵌合溝4の内部を鏡板12を通して外部から見える範囲に設けられ、鏡板12の厚さ(鏡板嵌合溝4の溝幅)によっても異なるが、一般に8〜12mm程度の厚さを有するものとして用いられる。
【0022】
この框材1は、図4に示す製造工程を経て製造することができる。すなわち、合板21の一面にMDFからなる端部材22を積層させた芯材2(同図(a))の表裏にそれぞれMDFからなる表裏面材3,3を貼着し(同図(b))、端部材22の板面と表裏面材3,3の木口面を被覆するように合成樹脂材などからなる縁材5を貼着する(同図(c))。図示の例では、5プライ合板を2枚積層して角柱状としているが、用いる合板のプライ数や枚数は任意である。
【0023】
次いで、縁材5から端部材22を貫通して合板21に至る深さに溝加工して、鏡板嵌合溝4を形成し(同図(d))、表裏面材3,3に化粧シート6,6を貼着し(同図(e))、鏡板嵌合溝4に露出する端部材22および縁材5の内面に亘って化粧シート6,6の色に近似する色の塗装8,8を施して(同図(f))、図3の框材1が得られる。
【0024】
この框材1を框扉10の左右縦框11,11に用いることにより、框扉10の正面左右方向から斜めに見たときに、鏡板嵌合溝4に挿入された鏡板12の端縁部を通して見える部分にはMDFによる端部材22が存在し、且つ、その内面には化粧シート6,6に近似する色の塗装8,8が施されているので、見栄えを良好に維持することができる。MDFによる端部材22は均質で平滑な表面を有するので、鏡板嵌合溝4に露出する内面に塗装を施すことが容易であり、且つ、それによって美観に優れた塗装面を与えることができる。また、鏡板嵌合溝4は、端部材22を貫通して合板21に所定距離だけ入り込んだ溝深さを有するものとして形成されているので、曲げ強度に優れた合板21部分で鏡板12の端縁部を強固に保持することができ、端部材22を破損させることがない。
【0025】
本発明は、図示実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において多種多様の変形ないし変更が可能である。たとえば、図示実施形態では、端部材22および縁材5が鏡板嵌合溝4に露出する内面に塗装8,8を施しているが、この塗装を省略して実施することも可能である。MDFは均質でムラのない表面を与えるので、鏡板嵌合溝4に露出する内面に塗装を施すことなくそのままの状態で観察されても、合板21の単板積層面が露出する従来技術(図5)に比べて、見栄えを良好に維持することができる。
【0026】
また、図示実施形態による框扉10は、框材1からなる左右縦框11,11の間に鏡板12を配した構成であるが、框扉10における框組は任意であり、たとえば、左右縦框および上下横框により四周框組された内部に鏡板を配した構成の框扉において縦框および/または横框として既述の框材1を用いても良いし、框組の内部に桟材を配して桟組した場合において該桟材として既述の框材1を用いても良い。
【0027】
また、図示実施形態による框材1では、端部材22の板面と表裏面材3,3の木口面を被覆するように縁材5を貼着した後に、これら縁材5および端部材22を貫通して合板21に至る深さに溝加工して鏡板嵌合溝4を形成しているが、縁材5を貼着する前に鏡板嵌合溝4を形成し、次いで、鏡板嵌合溝4の両側に、端縁面に露出する端部材22の板面と表裏面材3,3の木口面を被覆するようにそれぞれ縁材5を貼着しても良い。また、縁材5を省略して実施することも、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0028】
1 框材
2 芯材
3 表裏面材
4 鏡板嵌合溝
5 縁材
6 化粧シート
7 パテ
8 塗装
10 框扉
11 左右縦框
12 鏡板
21 合板
22 端部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6