【解決手段】十字状に交差させた縦棒5と横棒4を有するスペーサの縦棒及び横棒双方と交差させて配される鉄筋6を、スペーサに固定するための法枠用型枠の鉄筋固定用金具であって、弾性を有する単一の線材から、折りや曲げによって、縦棒を挿通するための環状挿通部8と、横棒を把持するためのグリップ部9と、鉄筋を保持するためのホルダ部10とが一連に連続して設けられ、ホルダ部は、鉄筋の下端側を受け止めるホルダ下部10aと、鉄筋の側方側を受け止めて保持するホルダ立ち上げ部10bと、鉄筋の上端側を係止するホルダ上部10cとを備え、グリップ部は、横棒の上端側に当接可能なグリップ上部9aと、横棒の下端側に係止されるグリップ下部9bとを備えた。
十字状に交差させた縦棒と横棒を交差箇所で接合した交差接合部を有するスペーサを含む法枠用型枠に、該スペーサの該交差接合部の隅角位置で、該縦棒及び該横棒双方と交差させて配される鉄筋を、該スペーサに固定するための法枠用型枠の鉄筋固定用金具であって、
弾性を有する単一の線材から、折りや曲げによって、上記縦棒を挿通するための環状挿通部と、上記横棒を把持するためのグリップ部と、上記鉄筋を保持するためのホルダ部とが一連に連続して設けられ、
上記環状挿通部は、上記線材の長さ方向中央部分で上記曲げによって、その内方に上記縦棒が貫通される挿通孔が形成され、
上記ホルダ部は、
上記環状挿通部に一連に形成され、かつ、該環状挿通部から離れる方向へ、鉄筋の長さ方向に対し交差するように延出されて、鉄筋の下端側をその上に受け止めるためのホルダ下部と、
該ホルダ下部の終端に、折り曲げ箇所を介して、鉄筋の高さ方向に上方へ立ち上げて一連に形成され、鉄筋の側方側を受け止めて鉄筋を該ホルダ下部上に保持するためのホルダ立ち上げ部と、
該ホルダ立ち上げ部の終端に、鉄筋の上端側へ向けて一連に形成され、その終端が上記折り曲げ箇所直上から鉄筋の長さ方向に離れて上記挿通孔上方に該挿通孔から鉄筋の径よりも狭い間隔を隔てて位置されるように、上記環状挿通部に近づく方向へ、鉄筋の長さ方向に対し交差するように延出され、該終端を介して、鉄筋の上端側を係止するためのホルダ上部とを備え、
上記グリップ部は、
上記環状挿通部を間に挟んで上記ホルダ部の反対側に位置させて、該環状挿通部に一連に形成され、横棒の上端側に存するように該環状挿通部から離れる方向へ延出されて、横棒の上端側に当接可能なグリップ上部と、
該グリップ上部の終端に、U字状箇所を介して、横棒に向けて一連に形成され、上記環状挿通部周りに横棒の下端側へ向けて旋回されて、該グリップ上部を横棒の上端側に当接させると共に横棒の下端側に係止されるグリップ下部とを備えたことを特徴とする法枠用型枠の鉄筋固定用金具。
前記環状挿通部の前記挿通孔は、前記線材を一回り以上巻き回すことによって、該線材に取り囲まれた内方に形成され、前記ホルダ下部は、上記環状挿通部の巻き回しの始端に一連に形成されると共に、前記グリップ上部は、上記環状挿通部の巻き回しの終端に一連に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の法枠用型枠の鉄筋固定用金具。
前記ホルダ部の前記ホルダ上部の前記終端には、鉄筋の上端側に向けて屈曲形成されて、鉄筋の節と節の間の溝に係合させるための係合用屈曲部が備えられることを特徴とする請求項1または2に記載の法枠用型枠の鉄筋固定用金具。
前記グリップ部の前記グリップ上部には、横棒の上端側に、これと交差する態様で、該グリップ上部を当接させるための屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項1から3いずれかの項に記載の法枠用型枠の鉄筋固定用金具。
請求項1から4いずれかの項に記載の法枠用型枠の鉄筋固定用金具を用い、向かい合わせで配置された一対の金網の間に掛け渡される横棒に、縦棒を十字状に交差させた交差箇所で接合した交差接合部を有するスペーサに対し、該スペーサの該交差接合部の隅角に寄せて、該縦棒及び該横棒双方と交差させて該金網に沿って配される鉄筋は、該縦棒が挿通された前記環状挿通部と、該横棒を把持する前記グリップ部と、該鉄筋を保持する前記ホルダ部とで該スペーサに固定されていることを特徴とする法枠用型枠の鉄筋固定用金具を備えた法枠用型枠。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄筋をネットコネクタに固定する際には、良好な装着性と確実な保持性能の両立が望まれる。保持性能については、鉄筋が縦棒に沿って容易に抜け出さないこと、また、鉄筋が長さ方向に沿って簡単にずれないことの両方が求められる。
【0005】
背景技術では、鉄筋は、弾性保持部と縦棒との間の間隔を広げて押し込まれ、押し込まれた鉄筋は、弾性保持部で交差部に向かって押し付けられる。鉄筋固定プレートの弾性保持部は、プレート部から一連につながる板状であるため、単純な弾性曲げ変形だけで、鉄筋の装着とその保持を確保しなければならない。すなわち、板状であると、ひねりなど多面的に変形させることが難しいことから、確実な保持性能を得るためには、弾性保持部の曲げ弾性を硬く設定する必要がある。曲げ弾性を硬く設定すると、鉄筋の装着に大きな力を要し、装着性が良くなかった。他方、弾性保持部の曲げ弾性を柔らかく設定すると、鉄筋が縦棒に沿って簡単に抜け出てしまう。
【0006】
背景技術では、鉄筋を、弾性保持部と縦棒との間に押し込み、交差部と弾性保持部とで抱えるようにして保持するため、鉄筋の抜け出しを防ぐには、弾性保持部と縦棒との間隔を鉄筋径よりも狭くする必要がある。このように間隔を狭くすると、弾性保持部の曲げ弾性を硬くすることと相俟って、押し込み操作に、より大きな力を要し、装着性がさらに悪くなってしまう。
【0007】
弾性保持部に屈曲係合部を設けているため、この屈曲係合部を乗り越えて鉄筋を押し込む必要があり、さらに大きな力が必要となって、装着性が良くなかった。
【0008】
屈曲係合部は、鉄筋を弾性保持部内で保持するために、鉄筋に対し真っ直ぐに突き当たる位置関係で当該鉄筋に噛み合わさるように突設されている。この屈曲係合部は、鉄筋の装着時に潰れてしまって、それによる鉄筋の保持機能が喪失されてしまうことが考えられる。屈曲係合部が潰れてしまうと、交差部で鉄筋ががたついて、鉄筋をネットコネクタに確実に固定保持することができなかった。場合によっては、鉄筋が長さ方向に弾性保持部からずれて抜け出てしまうことも考えられる。
【0009】
鉄筋は、滑らかな曲面の板状の弾性保持部で包囲され、屈曲係合部がせいぜい鉄筋外周の一箇所に係合する程度なので、鉄筋が長さ方向に弾性保持部から抜け出し易く、十分な保持性能を確保することが難しかった。
【0010】
法枠は、低スランプのコンクリート、例えばスランプ「0」のコンクリートが吹き付けられて構築される。背景技術では、鉄筋固定プレートは全体が板状であるため、流動性の乏しい低スランプのコンクリートが当該プレート周りに十分に回り込むことができず、隙間が生じて、充填不良が発生し易かった。
【0011】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、鉄筋の良好な装着性と確実な保持性能を両立することが可能な法枠用型枠の鉄筋固定用金具とこれを備えた法枠用型枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる法枠用型枠の鉄筋固定用金具は、十字状に交差させた縦棒と横棒を交差箇所で接合した交差接合部を有するスペーサを含む法枠用型枠に、該スペーサの該交差接合部の隅角位置で、該縦棒及び該横棒双方と交差させて配される鉄筋を、該スペーサに固定するための法枠用型枠の鉄筋固定用金具であって;弾性を有する単一の線材から、折りや曲げによって、上記縦棒を挿通するための環状挿通部と、上記横棒を把持するためのグリップ部と、上記鉄筋を保持するためのホルダ部とが一連に連続して設けられ;上記環状挿通部は、上記線材の長さ方向中央部分で上記曲げによって、その内方に上記縦棒が貫通される挿通孔が形成され;上記ホルダ部は、上記環状挿通部に一連に形成され、かつ、該環状挿通部から離れる方向へ、鉄筋の長さ方向に対し交差するように延出されて、鉄筋の下端側をその上に受け止めるためのホルダ下部と、該ホルダ下部の終端に、折り曲げ箇所を介して、鉄筋の高さ方向に上方へ立ち上げて一連に形成され、鉄筋の側方側を受け止めて鉄筋を該ホルダ下部上に保持するためのホルダ立ち上げ部と、該ホルダ立ち上げ部の終端に、鉄筋の上端側へ向けて一連に形成され、その終端が上記折り曲げ箇所直上から鉄筋の長さ方向に離れて上記挿通孔上方に該挿通孔から鉄筋の径よりも狭い間隔を隔てて位置されるように、上記環状挿通部に近づく方向へ、鉄筋の長さ方向に対し交差するように延出され、該終端を介して、鉄筋の上端側を係止するためのホルダ上部とを備え;上記グリップ部は、上記環状挿通部を間に挟んで上記ホルダ部の反対側に位置させて、該環状挿通部に一連に形成され、横棒の上端側に存するように該環状挿通部から離れる方向へ延出されて、横棒の上端側に当接可能なグリップ上部と、該グリップ上部の終端に、U字状箇所を介して、横棒に向けて一連に形成され、上記環状挿通部周りに横棒の下端側へ向けて旋回されて、該グリップ上部を横棒の上端側に当接させると共に横棒の下端側に係止されるグリップ下部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記環状挿通部の前記挿通孔は、前記線材を一回り以上巻き回すことによって、該線材に取り囲まれた内方に形成され、前記ホルダ下部は、上記環状挿通部の巻き回しの始端に一連に形成されると共に、前記グリップ上部は、上記環状挿通部の巻き回しの終端に一連に形成されていることを特徴とする。
【0014】
前記ホルダ部の前記ホルダ上部の前記終端には、鉄筋の上端側に向けて屈曲形成されて、鉄筋の節と節の間の溝に係合させるための係合用屈曲部が備えられることを特徴とする。
【0015】
前記グリップ部の前記グリップ上部には、横棒の上端側に、これと交差する態様で、該グリップ上部を当接させるための屈曲部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる法枠用型枠の鉄筋固定用金具を備えた法枠用型枠は、上記法枠用型枠の鉄筋固定用金具を用い、向かい合わせで配置された一対の金網の間に掛け渡される横棒に、縦棒を十字状に交差させた交差箇所で接合した交差接合部を有するスペーサに対し、該スペーサの該交差接合部の隅角に寄せて、該縦棒及び該横棒双方と交差させて該金網に沿って配される鉄筋は、該縦棒が挿通された前記環状挿通部と、該横棒を把持する前記グリップ部と、該鉄筋を保持する前記ホルダ部とで該スペーサに固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる法枠用型枠の鉄筋固定用金具とこれを備えた法枠用型枠にあっては、鉄筋の良好な装着性と確実な保持性能を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる法枠用型枠の鉄筋固定用金具とこれを備えた法枠用型枠の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具が適用される一般的な法枠用型枠を正面から見た斜視図、
図2は、本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具の好適な一実施形態を説明する説明図、
図3は、
図2に示した法枠用型枠の鉄筋固定用金具と鉄筋との係止関係を示す要部拡大図、
図4は、本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具を備えた法枠用型枠の好適な一実施形態を示す、
図2の法枠用型枠の鉄筋固定用金具を適用した様子の正面図である。
【0021】
法枠用型枠1は
図1に示すように、通常、法面上に互いに間隔を隔てて、向かい合わせで配置された左右一対の面状の金網2と、これら金網2間に、金網2の長さ方向に間隔を隔てて複数配列され、これら金網2同士の間隔を設定し保持するスペーサ3とから構成されている。
【0022】
各スペーサ3は、長さ方向両端が金網2に係止されて、金網2間に横方向へ掛け渡して設けられる上下一対の横棒4と、金網2間で、金網2の高さ方向に立てて設けられる左右一対の縦棒5とから構成されている。
【0023】
横棒4には、これに重ねて縦棒5が十字状に交差され、これら縦棒5と横棒4とは、それらが交差する交差箇所で、互いに接合されて交差接合部Xが形成されている。上下一対の横棒4と左右一対の縦棒5が交差接合部Xで接合されることにより、各スペーサ3は全体として、井桁状に形成されている。スペーサ3は、上下一対の横棒4に対して、それらの中央に1本の縦棒5が接合される形態や、それらの左右及び中央の位置それぞれに縦棒5が接合される形態もある。
【0024】
法枠用型枠1には、その内方となる金網2間のスペースにコンクリートを打設する前に、金網2の長さ方向に配列された複数のスペーサ3に一連に掛け渡すように金網2の長さ方向に沿って前後方向に、補強材として鉄筋6が配される。
【0025】
鉄筋6は、各スペーサ3に対し、横棒4と縦棒5とが交差されていることによって交差接合部X周りに現れる4つの隅角のうち、いずれか1つの隅角位置に配される。すなわち、複数のスペーサ3に一連に掛け渡される前後方向の鉄筋6は、これらスペーサ3の同じ位置の隅角を通過し、各スペーサ3の縦棒5及び横棒4双方と交差するように配される。
【0026】
本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具7は、スペーサ3の交差接合部Xで、縦棒5及び横棒4双方と交差して配される鉄筋6を、当該スペーサ3に固定するために用いられる。
【0027】
図2は、いずれも法枠用型枠の鉄筋固定用金具7単体を示すための分図からなっていて、各分図では、説明の便宜上、スペーサ3の横棒4及び縦棒5、鉄筋6が一点鎖線で示されていると共に、鉄筋固定用金具7については、スペーサ3に取付固定される以前(鉄筋6を保持する前でもある)の、後述する環状挿通部8周りに回転(旋回)される前の状態が示されている。
【0028】
図2(A)は、金網2(鉄筋6)の長さ方向から交差接合部Xを見た正面図、
図2(B)は、交差接合部Xを上方から見下ろした平面図、
図2(C)は、交差接合部Xを下方から見上げた底面図、
図2(D)は、交差接合部Xを左方から見た左側面図、
図2(E)は、交差接合部Xを右方から見た右側面図である。図中、各分図に示されている部位であって、他の分図でも示されている同じ部位を、二点鎖線でつないで示している。
【0029】
本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具(以下、固定用金具という)7は、金属材料を素材として、弾性を有する単一の線材から形成される。この線材に対して、その長さ方向の適宜な複数箇所に、「折り」や「曲げ」の加工を施すことにより、固定用金具7には、スペーサ3の縦棒5を挿通するための環状挿通部8と、スペーサ3の横棒4を把持するためのグリップ部9と、鉄筋6を保持するためのホルダ部10とが一連に連続して設けられる。
【0030】
環状挿通部8は、線材の長さ方向中央部分を、ほぼ円形に一回り以上巻き回す曲げ加工によって、線材で取り囲まれた内方に挿通孔8aが形成される。挿通孔8aは、縦棒5の外径よりも僅かに大きな内径で形成される。この環状挿通部8の挿通孔8aには、縦棒5が挿通される。従って、固定用金具7は、環状挿通部8に縦棒5が挿通されて、スペーサ3の交差接合部X付近に取り付けられたとき、縦棒5を中心としてその周りに回転自在に設けられる。
【0031】
環状挿通部8については、本実施形態のように、線材を一回り以上巻き回す曲げ加工をすることによって、グリップ部9で横棒4を把持する際や、鉄筋6をホルダ部10に挿入して保持する際に、仮に環状挿通部8が変形しても、縦棒5から固定用金具7が外れることを確実に防ぐことができるため好適であるが、特段、線材を一回り以上曲げなくてもよく、環状挿通部8は、例えばΩ状に曲げて形成したものであっても構わない。
【0032】
交差接合部Xで縦棒5及び横棒4双方と交差する鉄筋6を保持するためのホルダ部10は、鉄筋6の下端側をその上に受け止めるためのホルダ下部10aと、鉄筋6の側方側を受け止めるためのホルダ立ち上げ部10bと、鉄筋6の上端側に配置されるホルダ上部10cとから構成される。
【0033】
ホルダ下部10aは、環状挿通部8の始端に一連に形成される。ホルダ下部10aは、環状挿通部8から離れる方向へ向かって、鉄筋6の下端側を経過するように、環状挿通部8からほぼ水平に延出される。
【0034】
さらに、ホルダ下部10aは、鉄筋6の下端側を経過して当該鉄筋6の長さ方向に対して交差するように、そして、鉄筋6を挟んで環状挿通部8とは反対側に達するように延出される。
【0035】
そして、ホルダ下部10aは、鉄筋6の軸方向(長さ方向)に対して当該鉄筋6の下端側と交差するように延出されることによって、鉄筋6の下端側をその上に受け止めるように構成される。
【0036】
図示例における固定用金具7のホルダ下部10aは、鉄筋6の長さ方向に対し斜めに延出されているが、図示は上述したように、固定用金具7をスペーサ3に取付固定する前の様子であって、
図2(B)において、縦棒5周りに固定用金具7を左回転させて、グリップ部9で横棒4を把持したとき(固定用金具7をスペーサ3に取付固定したとき)には、ホルダ下部10aは、鉄筋6とほぼ直交する方向(横棒4とほぼ並行する方向)に位置される。
【0037】
ホルダ立ち上げ部10bは、ホルダ下部10aの終端に一連に形成される。ホルダ立ち上げ部10bは、ホルダ下部10aの終端位置で折り曲げ箇所Yを介して、鉄筋6の高さ方向に上方へ向かって立ち上げるように形成される。ホルダ立ち上げ部10bは、固定用金具7をスペーサ3に取付固定したときには、ホルダ下部10aで受け止められる鉄筋6の側方を、当該鉄筋6の真横から受け止め、これにより鉄筋6をホルダ下部10a上に保持するようになっている。
【0038】
そして、ホルダ立ち上げ部10bは、環状挿通部8とは反対側位置に、当該環状挿通部8に挿通される縦棒5とほぼ向かい合うように配置されて、ホルダ下部10a上で縦棒5と共に鉄筋6を囲い込むようになっている。ホルダ立ち上げ部10bの終端10f(図中、二点鎖線aの位置)の高さ位置は、ホルダ下部10aで受け止められる鉄筋6の直径よりも低い高さとなるように設定される。
【0039】
また、ホルダ立ち上げ部10bには、これを鉄筋6の外周に沿う形態に形成して保持性能を高めると共に、ホルダ立ち上げ部10bのひねり変形を円滑化するために、その途中に屈曲部10g(図中、二点鎖線bの位置)が形成される。また、ホルダ立ち上げ部10bは、折り曲げ箇所Yを基点として、交差接合部Xに対し接離する方向に起倒される形態で弾性変形可能とされる。
【0040】
ホルダ上部10cは、ホルダ立ち上げ部10bの終端10fに一連に形成される。ホルダ上部10cは、ホルダ立ち上げ部10bの終端10fからやや上向きで、鉄筋6の上端側に向けて真っ直ぐに形成される。また、ホルダ上部10cは、その軸線が、ホルダ下部10aの軸線と角度をなすように延出される。具体的には、ホルダ上部10cは、その終端(線材の一方の端部)10dが上記折り曲げ箇所Yの直上位置から鉄筋6の軸方向(長さ方向)に距離を隔てて離れることを条件に、次のように延出される。
【0041】
先ず、ホルダ上部10cは、その終端10dが、挿通孔8aよりも上方に、挿通孔8aから鉄筋6の外径よりも狭い間隔を隔てて位置されるように、ホルダ立ち上げ部10bの終端10fから環状挿通部8に近づく方向へ延出される。固定用金具7をスペーサ3に取付固定したとき、環状挿通部8に縦棒5が挿通されることによって、当該間隔により、縦棒5とホルダ上部10cの終端10dとの間に鉄筋挿入口11が形成される。鉄筋6は、鉄筋挿入口11を介して、縦棒5とホルダ上部10cとの間に押し入れられる。その際、鉄筋6は、ホルダ上部10cの終端10dに当接し、その後、押し入れられる。押し入れられた鉄筋6は、これらホルダ上部10cとホルダ立ち上がり部10bと縦棒5とでホルダ下部10a上に保持される。
【0042】
また、ホルダ上部10cは、鉄筋6の長さ方向に対し交差する方向に、図示例では、鉄筋の長さ方向に対し斜めとなる方向に延出される。換言すれば、ホルダ上部10cの終端10dが、折り曲げ箇所Yの直上位置から鉄筋6の長さ方向に距離を隔てて離れた位置となるように延出される。これにより、鉄筋挿入口11を介して鉄筋6を押し入れる際、鉄筋6がホルダ上部10cの終端10dに当接した状態で押し入れられるため、折り曲げ箇所Yを基点としてホルダ上部10cが回転して、当該ホルダ上部10cの終端10dに、環状挿通部8から離れる方向へ向けて旋回作用が発生するようになっている。
【0043】
さらに、ホルダ上部10cは、その終端10dを介して、鉄筋6の上端側を係止するために、当該終端10dが鉄筋6の上端側に掛かるように延出される。図示例においては、ホルダ上部10cは、ホルダ立ち上げ部10bの終端10fよりも高い位置へ向けて斜め上向きに延出される。
【0044】
図3には、ホルダ部10で鉄筋6を係止する様子が示されている。ホルダ部10全体に関し、ホルダ下部10aと連続する折り曲げ箇所Yとホルダ上部10cの終端10dとが、鉄筋6の長さ方向に距離を隔てるように位置され、鉄筋6の下端に現れる節6aと節6aの間のいずれかの溝6bに、当該鉄筋6の下端側に位置する折り曲げ箇所Yを含むホルダ下部10aが係合され、ホルダ上部10cの終端10dが、当該溝6bから距離を隔てて、鉄筋6の上端に現れる他の溝6bに係合されるように構成される。
【0045】
スペーサ3の横棒4を把持して固定用金具7をスペーサ3に取付固定するためのグリップ部9は、横棒4の上端側に配置されるグリップ上部9aと、横棒4の下端側に配置されるグリップ下部9bとを備える。
【0046】
グリップ上部9aは、環状挿通部8の終端に一連に形成される。グリップ上部9aは、環状挿通部8を間に挟んで、ホルダ部10の反対側に位置される。グリップ上部9aは、横棒4の上端側に存するように環状挿通部8から離れる方向へ延出される。
【0047】
グリップ上部9aには、その一部が横棒4の上端側に、これと交差する態様で、図示では、横棒4の上端側で当該横棒4の径方向で前後方向に交差した状態で、当該グリップ上部9aを当接させるための屈曲部9d(図中、二点鎖線cで示す)が形成される。屈曲部9dを形成することにより、後述するように、固定用金具7自体を旋回させてグリップ部9で横棒4を把持させる際、グリップ上部9aが、その屈曲部9dによって横棒4を横切って交差する態様で、横棒4の上端側に当接されるため、グリップ部9は、横棒4を強固に把持することができる。屈曲部9dは、形成しなくてもよい。
【0048】
グリップ下部9bは、グリップ上部9aの終端に、上下方向に向けてU字状に屈曲されたU字状箇所Zを介して、一連に形成される。グリップ下部9bは、U字状箇所Zにより、横棒4の下端側に存するように形成される。グリップ下部9bは、横棒4に係止されるように、横棒4に向かう方向(固定用金具7を旋回する方向)に向けて延出される。グリップ下部9bは、屈曲部9dを有するグリップ上部9aと共に横棒4を挟み込むために、その軸線が、グリップ上部9aの軸線と角度をなす位置関係で形成される。
【0049】
グリップ下部9bの終端(線材の他方の端部)には、下向きに屈曲させて、グリップ下部9bを操作するための操作片9cが形成される。グリップ下部9bは、環状挿通部8周りに横棒4の下端側へ向けて旋回自在で、操作片9cによって旋回されることにより、グリップ上部9aを横棒4の上端側に移動して当接させると共に、横棒4の下端側に移動されて係止され、これにより固定用金具7がスペーサ3に取付固定されるようになっている。
【0050】
図4には、上述した固定用金具7を用いて、鉄筋6をスペーサ3に固定した法枠用型枠1が示されている。金網2及びスペーサ3からなる法枠用型枠1に配される鉄筋6は、スペーサ3の縦棒5が挿通された環状挿通部8周りに旋回されたグリップ部9で横棒4を把持している固定用金具7のホルダ部10に保持されて、スペーサ3の交差接合部Xの隅角位置に配される。
【0051】
次に、本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具7及びこれを備えた法枠用型枠1の作用について説明する。固定用金具7は、「折り」や「曲げ」の加工によって、弾性を有する単一の線材から形成する。
【0052】
固定用金具7をスペーサ3に取り付ける際には、先ず、環状挿通部8の挿通孔8aにスペーサ4の縦棒5を挿通する。次いで、固定用金具7全体を縦棒5周りに回転させ、グリップ部9のグリップ上部9a及びグリップ下部9bそれぞれを、横棒4の上端側及び下端側に接近させ、最後に、操作片9cを環状挿通部8周りに押圧して、グリップ上部9aを横棒4の上端側に当接させると同時に、グリップ下部9bを横棒4の下端側に係止させ、これによりグリップ部9で横棒4を把持する。グリップ部9で横棒4を把持すると、固定用金具7全体がスペーサ3に取付固定される。
【0053】
固定用金具7がスペーサ3に固定されると、ホルダ部10のホルダ下部10aが、環状挿通部8からほぼ水平に、鉄筋6の長さ方向に対してほぼ直交するように横棒4上に位置され、ホルダ立ち上げ部10bが、ホルダ下部10aの終端位置の折り曲げ箇所Yからほぼ上方へ向けて立ち上げて位置され、さらに、ホルダ上部10cが、環状挿通部8に近づきかつ鉄筋6の長さ方向に対し交差するように位置され、そしてその終端10dが、折り曲げ箇所Yの直上位置から鉄筋6の長さ方向に距離を隔ててかつ縦棒5との間に、鉄筋6の径よりも狭い間隔の鉄筋挿入口11を形成するように位置される。
【0054】
固定用金具7をスペーサ3に取付固定した後、固定用金具7を介して、鉄筋6をスペーサ3に固定する。鉄筋6は、スペーサ3の交差接合部Xを構成する縦棒5及び横棒4双方と交差する向きで、縦棒5に沿って、鉄筋挿入口11に向けて押し込まれる。
【0055】
鉄筋挿入口11に鉄筋6が押し込まれる際、鉄筋6がホルダ上部10cの終端10dに当接した状態で押し込まれるため、ホルダ部10では、ホルダ上部10cが、折り曲げ箇所Yを基点として鉄筋6を避けるように弾性復原可能に旋回すると共に、ホルダ立ち上げ部10bが、屈曲部10gのひねり変形を伴いつつ、鉄筋6を避けて倒れるように復原可能に弾性変形し、さらに、ホルダ下部10aも、押し込み方向に復原可能に弾性変形する。ホルダ部10のこれら弾性変形を伴って、鉄筋6の挿入が完了する。
【0056】
鉄筋6の挿入が完了すると、ホルダ部10の弾性変形が復原され、ホルダ部10で鉄筋6の外周囲がスペーサ3の交差接合部Xに固定される。この際、ホルダ上部10aの終端10dが鉄筋6の上端側に係止されて、鉄筋6の外周囲がホルダ部10に強固に保持される。
【0057】
また、ホルダ部10の弾性変形が復原されることに伴い、ホルダ上部10cの終端10d及び折り曲げ箇所Yを含むホルダ下部10aが、鉄筋6の長さ方向に距離を隔てる節6a間の各溝6bにそれぞれ係合し、これにより、鉄筋6の長さ方向の動きが阻止される。
【0058】
以上説明した本実施形態に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具7にあっては、十字状に交差させた縦棒5と横棒4を交差箇所で接合した交差接合部Xを有するスペーサ3を含む法枠用型枠1に、スペーサ3の交差接合部Xの隅角位置で、縦棒5及び横棒4双方と交差させて配される鉄筋6を、スペーサ3に固定するための法枠用型枠の鉄筋固定用金具7であって、弾性を有する単一の線材から、折りや曲げによって、縦棒5を挿通するための環状挿通部8と、横棒4を把持するためのグリップ部9と、鉄筋6を保持するためのホルダ部10とが一連に連続して設けられ、環状挿通部8は、線材の長さ方向中央部分の曲げによって、その内方に縦棒5が挿通される挿通孔8aが形成され、ホルダ部10は、環状挿通部8の一端に一連に形成され、かつ、環状挿通部8から離れる方向へ、鉄筋6の長さ方向に対し交差するように延出されて、鉄筋6の下端側をその上に受け止めるためのホルダ下部10aと、ホルダ下部10aの終端に、折り曲げ箇所Yを介して、鉄筋6の高さ方向に上方へ立ち上げて一連に形成され、鉄筋6の側方側を受け止めて鉄筋6をホルダ下部10a上に保持するためのホルダ立ち上げ部10bと、ホルダ立ち上げ部10bの終端に、鉄筋6の上端側へ向けて一連に形成され、その終端10dが折り曲げ箇所Yの直上位置から鉄筋6の長さ方向に離れて挿通孔8a上方に挿通孔8aから鉄筋6の径よりも狭い間隔を隔てて位置されるように、環状挿通部8に近づく方向へ、鉄筋6の長さ方向に対し交差するように延出され、終端10dを介して、鉄筋6の上端側を係止するためのホルダ上部10cとを備え、グリップ部9は、環状挿通部8を間に挟んでホルダ部10の反対側に位置させて、環状挿通部8の他端に一連に形成され、横棒4の上端側に存するように環状挿通部8から離れる方向へ延出されて、横棒4の上端側に当接可能なグリップ上部9aと、グリップ上部9aの終端に、U字状箇所Zを介して、横棒4に向けて一連に形成され、環状挿通部8周りに横棒4の下端側へ向けて旋回されて、グリップ上部9aを横棒4の上端側に当接させると共に横棒4の下端側に係止されるグリップ下部9bとを備えているので、弾性を有する線材で構成されて弾性を呈するホルダ上部10cの旋回と、ホルダ立ち上げ部10bにおけるひねり変形を含んだ起倒する形態の弾性変形と、さらには、ホルダ下部10aの鉄筋押し込み方向への弾性変形とによって、鉄筋6を押し込んで装着する力がホルダ上部10c、ホルダ立ち上げ部10b、並びにホルダ下部10aに適宜に分散され、これにより鉄筋6の固定用金具7への良好な装着性を確保できると共に、弾性復原による確実な保持性能を確保できて、装着性と保持性能を両立することができる。
【0059】
特に、線材の柔軟な変形態様により、鉄筋挿入口11を狭く設定しても、軽い操作性で鉄筋6を固定用金具7に装着することができる。
【0060】
ホルダ上部10cが、挿入される鉄筋6を避けるように弾性的に旋回されるので、鉄筋6の上端側を係止するホルダ上部10cの終端10dが、鉄筋6の挿入操作の妨げになることがなく、この面からも良好な装着性を確保できると共に、挿入される鉄筋6によって当該終端10dが潰されるようなことがなく、ホルダ上部10cの終端10dによる鉄筋6の保持性能を適切に保証できて、交差接合部Xで鉄筋6ががたつくなどの不具合が生じることを防ぐことができる。
【0061】
ホルダ部10は、ホルダ下部10aの終端となる折り曲げ箇所Yと、その終端10dが折り曲げ箇所Yの直上から鉄筋6の長さ方向に離れるように延出されたホルダ上部10cとを備えているので、鉄筋6を長さ方向に沿って、当該鉄筋6の上端側及び下端側の二箇所で係止することができ、鉄筋6が長さ方向に動くことを確実に阻止でき、鉄筋6が固定用金具7から長さ方向にずれて抜け出すことを防止することができる。
【0062】
固定用金具7全体が線材で形成されるので、法枠用型枠1内に、低スランプ、例えば「0」スランプのコンクリートを吹き付けても、固定用金具7周りへのコンクリート充填を十分に確保することができ、充填不良を防止できる。
【0063】
グリップ部9は、屈曲部9dを有するグリップ上部9aを、旋回されて横棒4の下端側に係止されるグリップ下部9bで横棒4の上端側に当接させることにより、横棒4を上下方向から挟んでしっかりと把持できるので、固定用金具7をスペーサ3に確実に位置固定して取り付けることができる。
【0064】
本実施形態に係る法枠用型枠1にあっては、上述した固定用金具7を用い、向かい合わせで配置された一対の金網2の間に掛け渡される横棒4に、縦棒5を十字状に交差させた交差箇所で接合した交差接合部Xを有するスペーサ3に対し、スペーサ3の交差接合部Xの隅角位置に寄せて、縦棒5及び横棒4双方と交差させて金網2の長さ方向に沿って配される鉄筋6が、縦棒5が挿通された環状挿通部8と、横棒4を把持するグリップ部9と、鉄筋6を保持するホルダ部10とでスペーサ3に固定されているので、鉄筋6を配するにあたり、スペーサ3に対する鉄筋6の良好な装着性と確実な保持性能を確保できると共に、低スランプのコンクリートを吹き付けても、それによって鉄筋6が容易に動いたり抜け出すことを防止でき、そしてまた、固定用金具7周りへのコンクリート充填を適切に確保することができる。
【0065】
図5には、上記実施形態の変形例が示されている。
図5は、変形例に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具を説明する、
図2に対応する説明図であり、
図2と同様に、鉄筋固定用金具7については、スペーサ3に取付固定される以前(鉄筋6を保持する前でもある)の、環状挿通部8周りに回転(旋回)される前の状態が示されている。
【0066】
図5(A)は、金網(鉄筋)の長さ方向から交差接合部を見た正面図、
図5(B)は、交差接合部を上方から見下ろした平面図、
図5(C)は、交差接合部を下方から見上げた底面図、
図5(D)は、交差接合部を左方から見た左側面図、
図5(E)は、交差接合部を右方から見た右側面図である。図中、各分図に示されている部位であって、他の分図でも示されている同じ部位を、二点鎖線でつないで示している。
【0067】
この変形例では、図中、梨地で示した部分が増設されている。この増設部分は、鉄筋6の節6aと節6aの間の溝6bに係合させると共に、鉄筋6をホルダ部10へスムーズに案内するための係合用屈曲部10eである。この係合用屈曲部10eは、ホルダ上部10cの終端10dを、鉄筋6の上端側に向けて下方へ屈曲することで形成される。
【0068】
上記実施形態では、ホルダ上部10cは、やや上向きで鉄筋6の上端側へ向けて真っ直ぐに形成されていて、その終端10dが上方に向いているのに対し、この変形例では、係合用屈曲部10eを備えた終端10dは、下向きに、鉄筋6の上端側に被さるように屈曲される。これにより、ホルダ上部10cを鉄筋6、具体的には鉄筋6の溝6bにしっかりと係止することができ、鉄筋6の長さ方向の動きをさらに確実に阻止することができる。
【0069】
また、この変形例では、鉄筋挿入口11を介して鉄筋6が押し入れられる際に、鉄筋6は、係合用屈曲部10eに当接した状態でホルダ部10内に案内される。係合用屈曲部10eは、上記実施形態と比べて、当該係合用屈曲部10eの分だけ、折り曲げ箇所Yの直上位置から鉄筋6の長さ方向に、さらに距離を隔てて離れた位置に位置するので、係合用屈曲部10eを含むホルダ上部10cは、折り曲げ箇所Yを基点として鉄筋6を避けるように弾性復原可能に旋回するその旋回性が、よりスムーズになる。
【0070】
その他の構成は、上記実施形態と同様であって、このような変形例であっても上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0071】
図6には、上記実施形態の他の変形例が示されている。
図6は、他の変形例に係る法枠用型枠の鉄筋固定用金具を説明する、
図2に対応する説明図であり、
図2と同様に、鉄筋固定用金具7については、スペーサ3に取付固定される以前(鉄筋6を保持する前でもある)の、環状挿通部8周りに回転(旋回)される前の状態が示されている。
【0072】
図6(A)は、金網(鉄筋)の長さ方向から交差接合部を見た正面図、
図6(B)は、交差接合部を上方から見下ろした平面図、
図6(C)は、交差接合部を下方から見上げた底面図、
図6(D)は、交差接合部を左方から見た左側面図、
図6(E)は、交差接合部を右方から見た右側面図である。図中、各分図に示されている部位であって、他の分図でも示されている同じ部位を、二点鎖線でつないで示している。
【0073】
この変形例では、図中梨地で示した部分が、上記実施形態と異なる。上記実施形態では、ホルダ下部10aとホルダ上部10cとが角度を付けて形成されていたが、この変形例では、ホルダ上部10cの弾性的な旋回作用を確保するために、折り曲げ箇所Yとホルダ上部10cの終端(図示例では、上記係合用屈曲部10eが備えられている)10dが鉄筋6の長さ方向に距離を隔てる構成を確保した上で、ホルダ上部10cがホルダ下部10aと同じ方向に折り返すように形成される。このような構成であっても、上記実施形態及び上記変形例と同様の作用効果を奏することはもちろんである。