特開2017-180232(P2017-180232A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-180232(P2017-180232A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】風車装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20170908BHJP
   F03D 3/02 20060101ALI20170908BHJP
   F03D 80/70 20160101ALI20170908BHJP
【FI】
   F03D3/06 G
   F03D3/02 A
   F03D80/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-66931(P2016-66931)
(22)【出願日】2016年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000242127
【氏名又は名称】北芝電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505089614
【氏名又は名称】国立大学法人福島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利幸
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA40
3H178AA43
3H178AA53
3H178BB33
3H178BB77
3H178CC01
3H178CC22
3H178DD08X
3H178DD12X
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】ポール状の支持体でブレードを支持しながらブレードの大型化や多段化を達成できる風車装置を提供する。
【解決手段】風車装置1は、ブレード2を有する回転部3と、回転部3を回転自在に支持する支持筒11と、支持部4と回転部3との間に介在する軸受部5とを備える。回転部3は、回転主軸6と、一端がブレード2の上側部分に固定され、他端が回転主軸6の上端部に固定されるブレード取付部材7と、一端がブレード2の下側部分に固定されたブレード支持部材8とを備える。軸受部5は、支持筒11の上端部と回転主軸6の上端部との間に介在するスラスト方向及びラジアル方向の上端部軸受部18と、ブレード支持部材8の他端部と支持筒11との間に介在するラジアル方向の下方軸受部19とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に間隔を有する複数の第1のブレードにより風力を受けて鉛直軸線周りの回転力が付与される回転部と、
前記回転部を前記鉛直軸線周りに回転自在に支持する支持部と、
前記支持部と前記回転部との間に介在する軸受部とを備え、
前記回転部は、
前記鉛直軸線を中心軸線とする回転主軸と、
一端が前記第1のブレードの上側部分に固定され、他端が前記回転主軸の上端部に固定されるブレード毎のブレード取付部材と、
一端が前記第1のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記回転主軸に向けて延びたブレード毎の第1のブレード支持部材とを備え、
前記支持部は、前記回転主軸が内部に同心状に位置する支持筒を備え、
前記軸受部は、
前記支持筒の上端部と前記回転主軸の上端部との間に介在してスラスト方向及びラジアル方向の支持を行う上端部軸受部と、
前記上端部軸受部より下方に位置し、前記第1のブレード支持部材の他端部と前記支持筒との間に介在してラジアル方向の支持を行う第1の下方軸受部とを備えることを特徴とする風車装置。
【請求項2】
前記回転部は、
各第1のブレードの下方に位置する第2のブレードと、
一端が前記第2のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記支持筒に向けて延びたブレード毎の第2のブレード支持部材とを備え、
前記第1のブレード支持部材の一端は、前記第2のブレードの上側部分にも固定され、
前記軸受部は、前記第2のブレード支持部材の他端部と前記支持筒との間に介在するラジアル方向の第2の下方軸受部を備えることを特徴とする請求項1に記載の風車装置。
【請求項3】
前記回転部は、前記支持筒の外側に設けられる回転筒を備え、
前記上端部軸受部は、前記支持筒と前記回転筒との間に位置してラジアル方向の支持を行う軸受を有し、
前記第1のブレード支持部材の他端は前記回転筒に固定され、
前記下方軸受部は、前記支持筒と前記回転筒との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の風車装置。
【請求項4】
前記回転部は、
各第1のブレードの下方に位置する第2のブレードと、
一端が前記第2のブレードの上側部分に固定され、他端側が前記回転筒に固定されたブレード毎の第2のブレード支持部材と、
一端が前記第2のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記回転筒に固定されたブレード毎の第3のブレード支持部材とを備えることを特徴とする請求項3に記載の風車装置。
【請求項5】
前記支持筒の外面に発電機のステータを有し、該発電機のロータを前記回転部上に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の風車装置。
【請求項6】
前記回転主軸の下端部に発電機のロータが結合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の風車装置。
【請求項7】
前記下方軸受部は、磁気軸受、又はばねで前記支持筒の方に付勢されたローラを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の風車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向に間隔を有する複数のブレードにより風力を受けて鉛直軸線周りの回転力が付与される風車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電に使用される風車装置として、直線翼垂直軸型風車が知られている。直線翼垂直軸型風車は、周方向に間隔を有する複数のブレードにより風力を受けて鉛直軸線周りの回転力が付与される回転部と、回転部を鉛直軸線周りに回転自在に支持する支持部と、支持部と回転部との間に介在する軸受部とを備える。
【0003】
このような直線翼垂直軸型風車として、センターポールの上端部に発電機を設け、発電機のロータに風車の回転部の回転主軸を直結したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、風車専用の軸受を設け、これにより風車の回転主軸を保持するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載された直線翼垂直軸型風車では、ポール形のベース部の上端に、ベアリングを介して回転シャフトを回転自在に立設し、該回転シャフトの上側に風車を一体的に設けている。
【0005】
さらに、枠体により、ベアリングを介して風車の回転主軸を保持するものも知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の風車では、上下方向に2段で構成されたブレードを有する風車の回転主軸を、枠体により保持されたベアリングにより、鉛直軸方向に離れた2箇所において支持している。回転主軸の下端部は、発電機のロータに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−129471号公報
【特許文献2】特開2003−314429号公報
【特許文献3】特開2011−99418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようにセンターポールの上端部で発電機のロータに風車の回転主軸を直結したものや、ポールの上端部で風車の回転主軸を保持するものにおいては、風車の回転主軸がその下端部においてのみ保持される。このため、風車のブレードで風を受けると、回転主軸とその軸受部に大きい曲げモーメントによる荷重が負荷される。したがって、風車の大型化や多段化は困難である。
【0008】
大型化や多段化を実現するためには、上記特許文献3に記載の風車のように、風車の外側に枠体を構成し、鉛直方向の数個所で回転主軸を支持する必要がある。そうすると、構成が大きくなるので、より広い設置スペースを要することになる。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、ポール状の支持体でブレードを支持しながらブレードの大型化や多段化を達成できる風車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る風車装置は、
周方向に間隔を有する複数の第1のブレードにより風力を受けて鉛直軸線周りの回転力が付与される回転部と、
前記回転部を前記鉛直軸線周りに回転自在に支持する支持部と、
前記支持部と前記回転部との間に介在する軸受部とを備え、
前記回転部は、
前記鉛直軸線を中心軸線とする回転主軸と、
一端が前記第1のブレードの上側部分に固定され、他端が前記回転主軸の上端部に固定されるブレード毎のブレード取付部材と、
一端が前記第1のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記回転主軸に向けて延びたブレード毎の第1のブレード支持部材とを備え、
前記支持部は、前記回転主軸が内部に同心状に位置する支持筒を備え、
前記軸受部は、
前記支持筒の上端部と前記回転主軸の上端部との間に介在してスラスト方向及びラジアル方向の支持を行う上端部軸受部と、
前記上端部軸受部より下方に位置し、前記第1のブレード支持部材の他端部と前記支持筒との間に介在してラジアル方向の支持を行う第1の下方軸受部とを備えることを特徴とする。
【0011】
第1発明によれば、回転部の回転主軸を支持筒内に配置し、回転部を、支持筒によって、上端部軸受部を介してスラスト方向及びラジアル方向に支持するとともに、第1の下方軸受部によりラジアル方向に支持するようにしている。このため、大きい風速の風や突風により回転部が大きな力を受けた場合でも、支持部による回転部の支持を支障なく維持することができる。
【0012】
すなわち、上下方向に離れた位置で回転部を支持するベアリングを保持する枠体を回転部の外側に設ける必要なく、回転部の回転主軸をポール状の支持体である支持筒により強固に支持することができる。これにより、簡便でコンパクトな構成でブレードの大型化や多段化を容易に達成することができる。
【0013】
第2発明に係る風車装置は、第1発明において、
前記回転部は、
各第1のブレードの下方に位置する第2のブレードと、
一端が前記第2のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記支持筒に向けて延びたブレード毎の第2のブレード支持部材とを備え、
前記第1のブレード支持部材の一端は、前記第2のブレードの上側部分にも固定され、
前記軸受部は、前記第2のブレード支持部材の他端部と前記支持筒との間に介在するラジアル方向の第2の下方軸受部を備えることを特徴とする。
【0014】
第2発明によれば、ブレード、ブレード支持部材及び下方軸受部を追加するだけで、容易に複数段のブレードを有する風車装置を形成することができる。
【0015】
第3発明に係る風車装置は、第1発明において、
前記回転部は、前記支持筒の外側に設けられる回転筒を備え、
前記上端部軸受部は、前記支持筒と前記回転筒との間に位置してラジアル方向の支持を行う軸受を有し、
前記第1のブレード支持部材の他端は前記回転筒に固定され、
前記下方軸受部は、前記支持筒と前記回転筒との間に位置することを特徴とする。
【0016】
第3発明によれば、回転部の一部としてブレード支持部材の他端が固定される回転筒を採用し、支持筒と回転筒の間に上端部軸受部のラジアル方向の軸受及び下方軸受部を設けたので、該ラジアル方向の軸受及び下方軸受部として、サイズの小さいボールベアリング等を採用することができる。したがって、回転筒の径を大きくすることなく、支持筒として、径の大きいものを容易に採用することができる。
【0017】
第4発明に係る風車装置は、第3発明において、
前記回転部は、
各第1のブレードの下方に位置する第2のブレードと、
一端が前記第2のブレードの上側部分に固定され、他端側が前記回転筒に固定されたブレード毎の第2のブレード支持部材と、
一端が前記第2のブレードの下側部分に固定され、他端側が前記回転筒に固定されたブレード毎の第3のブレード支持部材とを備えることを特徴とする。
【0018】
第4発明によれば、ブレード、ブレード支持部材及び下方軸受部を追加するだけで、容易に複数段のブレードを有する風車装置を形成することができる。
【0019】
第5発明に係る風車装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記支持筒の外面に発電機のステータを有し、該発電機のロータを前記回転部上に有することを特徴とする。第5発明によれば、支持筒と回転部の間に発電機が構成されるので、省スペースを図ることができる。また、発電機自体を下方軸受部として機能させることもできる。
【0020】
第6発明に係る風車装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記回転主軸の下端部に発電機のロータが結合していることを特徴とする。第6発明によれば、発電機が風車装置の回転主軸の下端部に構成されるので、発電機のメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0021】
第7発明に係る風車装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記下方軸受部は、磁気軸受、又はばねで前記支持筒の方に付勢されたローラを有することを特徴とする。第7発明によれば、支持筒と回転部との間の隙間の製造誤差や風力による変動に拘わらず、支持筒の周りで回転部を極力少ない摩擦で支障なく回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る風車装置の断面図である。
図2図1の風車装置のII−II線断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る風車装置の要部の断面図である。
図4】風車装置の下方軸受部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。本発明の第1実施形態に係る風車装置は、風力発電に適した直線翼垂直軸型風車である。図1に示すように、この風車装置1は、周方向に間隔を有する複数のブレード2により風力を受けて鉛直軸線周りの回転力が付与される回転部3と、回転部3を鉛直軸線周りに回転自在に支持する支持部4と、支持部4と回転部3との間に介在する軸受部5とを備える。ブレード2としては、円弧形状や対称翼形状等の翼断面形状を有する直線翼が用いられる。
【0024】
回転部3は、鉛直軸線を中心軸線とする回転主軸6と、一端がブレード2の上側部分に固定され、他端が回転主軸6の上端部に固定されるブレード取付部材7と、一端がブレード2の下側部分に固定され、他端側が回転主軸6に向けて延びたブレード支持部材8とを備える。
【0025】
ブレード取付部材7及びブレード支持部材8は、ブレード毎に設けられる。ブレード取付部材7は、これを貫通して上方に突出した回転主軸6上端のボルト部分に螺合するナット9でブレード取付部材7を回転主軸6に締結することにより、回転主軸6に固定される。この締結部分は、カバー10で覆われる。
【0026】
支持部4は、回転主軸6が内部に同心状に配置される支持筒11を備える。支持筒11は、発電機12を収納した発電機収納部13の天板上に、鉛直上方に向けて立設される。発電機収納部13及び発電機12は、設置面14上の基台15の上に設けられる。
【0027】
発電機収納部13の天板には、支持筒11下端の開口に対応する部分に貫通孔16が設けられる。この貫通孔16を介して、回転主軸6の下端部が発電機12のロータに連結される。支持筒11の下端部の内側には、回転主軸6の下端部を回転自在に支持するラジアル軸受17が設けられる。
【0028】
軸受部5は、支持筒11の上端部と回転主軸6の上端部との間に介在するスラスト方向及びラジアル方向の上端部軸受部18と、ブレード支持部材8の他端部と支持筒11との間に介在するラジアル方向の下方軸受部19とを備える。下方軸受部19としては、本実施形態では磁気軸受が用いられる。
【0029】
上端部軸受部18は、支持筒11の上端部の内側に固定された固定部材20とブレード取付部材7の下面との間に設けられるスラスト軸受21と、この固定部材20と回転主軸6との間に設けられるラジアル軸受22とで構成される。
【0030】
スラスト軸受21及びラジアル軸受22としては、例えば、玉軸受を用いることができるが、他の磁気軸受等を用いてもよい。また、上端部軸受部18は、1つのスラスト自動調心ころ軸受で構成してもよい。
【0031】
ブレード取付部材7の下面には、支持筒11の上端部の周囲を囲うことにより、該下面と支持筒11の上端面との間の間隙から雨水等が上端部軸受部18の方に浸入するのを防止する円筒状の隔壁23が設けられる。また、必要に応じて、ブレード2の支持力を補強するための、補強ステー24が設けられる。
【0032】
図2に示すように、下方軸受部19は、各ブレード支持部材8の他端部に設けられた永久磁石片25と、これに対応する高さ位置において支持筒11の周囲に設けられた永久磁石帯26により構成される。永久磁石片25と永久磁石帯26は、同極同士が対向してその反発力により非接触ベアリングとして機能するように構成される。
【0033】
この構成において、ある程度の風速の風がブレード2に当たると、各ブレード2に生じる揚力の作用によって回転部3が回転を開始する。この回転部3の回転力が回転主軸6を介して発電機12のロータを回転させることにより、発電機12が稼働し、発電が行われる。
【0034】
この発電中に、風を受けることによって各ブレード2に加わる力は、上端部軸受部18を介して支持筒11の上端部により支持されるとともに、下方軸受部19を介して支持筒11の外面により支持される。したがって、風速が上昇したり突風が吹いたりして、大きな力が各ブレード2に加わった場合でも、かかる力は、上端部軸受部18及び下方軸受部19に分散して、支持筒11により支障なく支持される。
【0035】
第1実施形態によれば、回転部3の回転主軸6を支持筒11内に配置し、回転部3を、支持筒11上の上端部軸受部18によりスラスト方向及びラジアル方向に支持するとともに、下方軸受部19によりラジアル方向に支持するようにしている。
【0036】
このため、回転部3の外側に枠体を設け、これによって回転主軸6を支持する複数のベアリングを保持する必要なく、回転部3の強固な支持を達成することができる。したがって、回転主軸6を支持するベアリングを保持する枠体を回転部3の外側に構成する必要がないので、簡便でコンパクトな構成でブレード2の大型化や、次のようにして多段化を達成することができる。
【0037】
第2実施形態に係る風車装置1は、第1実施形態の風車装置において、各ブレード2の下方にブレード27を追加した構成を有する。すなわち、ブレード2は本発明の第1のブレードに相当する。追加したブレード27は、本発明の第2のブレードに相当し、図1において二点鎖線で示されている。なお、前述の補強ステー24及び後述の発電機30の部分も二点鎖線で示されている。
【0038】
この場合、ブレード支持部材8の一端は、ブレード27の上側部分にも固定される。すなわち、ブレード支持部材8は、ブレード2及びブレード27の双方を支持しており、本発明の第1のブレード支持部材に相当する。
【0039】
また、回転部3は、さらに、一端がブレード27の下側部分に固定され、他端側が支持筒11に向けて延びた別のブレード支持部材28をブレード毎に備える。
【0040】
また、軸受部5は、ブレード支持部材28の他端部と支持筒11との間に介在するラジアル方向の別の下方軸受部29を備える。すなわち、この場合、上述の下方軸受部19は、本発明の第1の下方軸受部に相当し、下方軸受部29は、本発明の第2の下方軸受部に相当する。
【0041】
また、下方軸受部29に隣接した支持筒11の外面に発電機30のステータ31が設けられ、該発電機のロータ32が回転部3のブレード支持部材28に設けられる。可能な場合には、発電機30自体が下方軸受部としても機能するものであってもよい。
【0042】
第2実施形態によれば、回転部3を支持部4で強固に支持しながら、ブレードの構成を容易にブレード2及びブレード27の2段構成とすることができる。なお、同様に第3のブレード等を追加して、3段以上の多段構成としてもよい。
【0043】
図3は、第3実施形態に係る風車装置の要部の断面図である。図3において、図1中の要素と同様の要素については、同じ符号が付されている。この風車装置33では、回転部34は、支持筒11の外側に設けられる回転筒35を備える。上端部軸受部36は、ラジアル方向の軸受として、支持筒11と回転筒35との間に設けられるボールベアリング37を備える。
【0044】
ブレードとしては、第1のブレードとしてのブレード38とその下方の第2のブレードとしてのブレード39を有し、これらは分離している。
【0045】
回転部34は、一端がブレード38の下側部分に固定され、他端が支持筒11に向けて延びて回転筒35に固定されたブレード支持部材40と、一端がブレード39の上側部分に固定され、他端が同様に回転筒35に固定されたブレード支持部材41と、一端がブレード39の下側部分に固定され、他端が同様に回転筒35に固定されたブレード支持部材42とを備える。
【0046】
また、下方軸受部として、ブレード支持部材42の他端部と支持筒11との間に回転筒35を挟んで介在するラジアル方向のボールベアリング43を備える。ボールベアリング43は、支持筒11と回転筒35との間に設けられる。他の点については、第1実施形態や第2実施形態の場合と同様である。
【0047】
第3実施形態によれば、上記第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様の作用効果を奏するとともに、支持筒11の径がある程度以上大きい場合でも、下方軸受部を容易に構成することができる。
【0048】
すなわち、第1実施形態及び第2実施形態の場合に、下方軸受部として滑り軸受や磁気軸受を用いた場合、支持筒11の径が大きくなると軸受のサイズも大きくなるが、第3実施形態の場合には下方軸受部としてボールベアリング43が用いられるので、軸受のサイズを大きくする必要なく下方軸受部を構成することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、ブレードにより風力を受けて鉛直軸線周りに回転する風車であれば、他の形式の風車、例えば、ダリウス型やジャイロミル型の風車にも適用することができる。
【0050】
また、下方軸受部19は、図4のように、支持筒11の外周を転動するローラ44を、スプリングばね45を介してブレード支持部材8の先端部に取り付けて構成したものであってもよい。この場合、スプリングばね45は、ローラ44を支持筒11の外面に対して適切な力で押し付けるように作用する。また、発電機12は、図1において二点鎖線で示してあるように、回転主軸6及び支持筒11の上部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…風車装置、2、27、38、39…ブレード、3、34…回転部、4…支持部、5…軸受部、6…回転主軸、7…ブレード取付部材、8、28、40、41、42…ブレード支持部材、11…支持筒、18…上端部軸受部、19…下方軸受部、35…回転筒、31…ステータ、32…ロータ、44…ローラ、45…スプリングばね。
図1
図2
図3
図4