【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本実施形態に係る操舵装置について
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る操舵装置1の要部構成を模式的に示す模式図である。
図1に示すように、操舵装置1は、操舵部10、転舵部20、操舵部材200、及び制御部300を備えている。操舵装置1は、運転者による操舵部材200を介した操舵操作に応じて車輪400を転舵するために用いられる。
【0012】
本実施形態に係る操舵装置1では、(1)操舵部材200と転舵部20との間のトルク伝達経路を機械的に接続又は遮断することが可能であり、(2)前記トルク伝達経路が遮断された状態において、操舵部材200を介した操舵操作に応じて車輪400の転舵角を電気的に制御可能であるという少なくとも2つの機能を備えたステアバイワイヤ方式が採用されている。
【0013】
また、操舵部材200としては、
図1に示すようにホイール形状を有するステアリングホイールを例に挙げているが、これは本実施形態を限定するものではなく、運転者による操舵操作を受け付けることができるものであれば、操舵部材200は他の形状や機構を有していてもよい。
【0014】
(操舵部10)
操舵部10は、運転者による操舵部材200を介した操舵操作を受け付ける機能と、操舵部材200と転舵部20との間のトルク伝達経路を機械的に接続又は遮断する機能とを兼ね備えている。また、操舵部10は、操舵操作に対する反力を発生させるとともに、この反力を操舵部材200に伝達する機能を有している。
【0015】
図1に示すように、操舵部10は、上部ステアリングシャフト101、中部ステアリングシャフト102、下部ステアリングシャフト103、トルクセンサ12、動力発生部13、動力伝達シャフト14及び動力伝達部15を備えている。
【0016】
なお、本明細書では、上部ステアリングシャフト101、中部ステアリングシャフト102及び下部ステアリングシャフト103をあわせて「ステアリングシャフト」ということがある。
【0017】
また、本明細書において、「上端」とは、運転者の操舵操作に応じた操舵力の伝達経路において上流側の端部(すなわち、入力側の端部)のことを指し、「下端」とは、操舵力の伝達経路において下流側の端部(すなわち、出力側の端部)のことを指す。
【0018】
本実施形態において、上部ステアリングシャフト101の上端は、操舵部材200に対してトルク伝達可能に接続されている。なお、本明細書において「トルク伝達可能に接続」とは、一方の部材の回転に伴い他方の部材の回転が生じるように接続されていることを指す。したがってトルク伝達可能に接続されている場合には、例えば、一方の部材と他方の部材とが一体的に成形されている場合、一方の部材に対して他方の部材が直接的又は間接的に固定されている場合、及び、一方の部材と他方の部材とが継手部材等を介して連動するよう接続されている場合が少なくとも含まれる。
【0019】
本実施形態では、上部ステアリングシャフト101の上端は操舵部材200に対して固定されており、操舵部材200と上部ステアリングシャフト101とは一体的に回転する。
【0020】
また、上部ステアリングシャフト101と中部ステアリングシャフト102とはトルク伝達可能且つ弾性的に接続されている。トルクセンサ12は、上部ステアリングシャフト101と中部ステアリングシャフト102との間に生じる捩れを検出する。
【0021】
具体的には、上部ステアリングシャフト101及び中部ステアリングシャフト102の内部には図示しない空洞が形成されている。この空洞内には、上部ステアリングシャフト101と中部ステアリングシャフト102とを弾性的に連結するためのトーションバーが配置されている。そして運転者が操舵部材200を介した操舵操作を行うと、上部ステアリングシャフト101と中部ステアリングシャフト102との間には、操舵操作のトルクTの大きさに応じた捩れ角θ
Tが生じる。そうするとトルクセンサ12はこの捩れ角θ
Tを検出し、その検出結果を示すトルクセンサ信号SL12を制御部300に供給する。なお、操舵部10は、例えば操舵部材200の操舵角を検出するための操舵角センサを備え、検出した操舵角又は操舵角速度を示す信号を制御部300に供給する構成としてもよい。
【0022】
動力発生部13は、制御部300から供給されるトルク制御信号SL13に従い、動力伝達シャフト14に対してトルクを与える。
【0023】
動力発生部13は、例えばモータ本体であり、動力伝達シャフト14は、例えばモータ本体に貫入しモータ本体によって回転駆動されるモータ出力軸であってもよい。また、動力伝達シャフト14は、モータ出力軸に対してトルク伝達可能に接続された他のシャフトであってもよい。
【0024】
動力伝達シャフト14には、動力伝達部15が、動力伝達シャフト14に対してトルク伝達可能に接続されている。動力伝達部15は、中部ステアリングシャフト102に対してトルク伝達可能に接続されている。
【0025】
動力伝達部15は、動力伝達シャフト14及び中部ステアリングシャフト102の間でトルクを伝達させる動力伝達機構である。動力伝達部15として、例えば、ギヤドライブ方式、ベルトドライブ方式、チェーンドライブ方式、フリクションドライブ方式、トラクションドライブ方式等の動力伝達機構及びこれらの動力伝達機構の組み合わせを用いることができる。ギヤドライブ方式として、例えば、はすば歯車方式や遊星ギヤ方式、ウォームギヤ・ウォームホイール方式を採用することができる。また、フリクションドライブ方式又はトラクションドライブ方式としては、例えば、遊星ローラを用いた方式を採用することができる。更に、動力伝達部15は、減速機を有さない構成としてもよい。
【0026】
上述した構成によって、動力発生部13が発生させたトルクは、動力伝達シャフト14及び動力伝達部15を介して、中部ステアリングシャフト102に伝達される。
【0027】
(制御部300)
制御部300は、運転者による操舵操作に応じて、転舵力発生部220が発生させる転舵力及び動力発生部13が発生させるトルクを制御する。
【0028】
具体的には、制御部300は、トルクセンサ12から供給されるトルクセンサ信号SL12を参照して、動力発生部13が発生させるトルクを制御するためのトルク制御信号SL13と、転舵力発生部220が発生させる転舵力を制御するための転舵力制御信号SL220とを生成し、それぞれの信号を、動力発生部13及び転舵力発生部220に供給する。
【0029】
なお、制御部300は、操舵部材200の操舵角を示す信号及び車速センサからの車速信号などを更に参照して、トルク制御信号SL13及び転舵力制御信号SL220を生成する構成としてもよい。
【0030】
また、制御部300は、クラッチ制御信号SL30をクラッチ30に供給することにより、クラッチ30の接続状態及び遮断状態の切り替えを制御する。
【0031】
さらに、制御部300は、クラッチ30が遮断状態にあるとき、運転者による操舵操作に対する反力を発生させるよう動力発生部13を制御する。具体的には、制御部300は、操舵部材200を介して入力された運転者の操舵トルクとは逆向きの反力トルクがステアリングシャフトに伝達されるように動力発生部13を制御する。これにより、運転者は、操舵操作に対する操作感を得ることができる。
【0032】
なお、制御部300によるクラッチ30の具体的な制御方法は本実施形態を限定するものではないが、例えば、制御部300は、操舵装置1に何らかの異常が生じた場合やイグニッションオフ時等に、クラッチ30を接続状態に切り替える構成とすることができる。このような構成とすれば、異常発生時やイグニッションオフ時等に、運転者は、電気的経路を経由せずとも車輪400を転舵することができる。
【0033】
また、制御部300は、クラッチ30が接続状態にあるとき、操舵部材200を介して入力された運転者の操舵トルクと同じ向きのトルクがステアリングシャフトに伝達されるように動力発生部13を制御する構成としてもよい。これにより、運転者は、クラッチ30が接続状態であっても、大きな力を要することなく、操舵操作を行うことができる。
【0034】
(転舵部20)
転舵部20は、操舵部10が受け付けた運転者の操舵操作に応じて、車輪400を転舵させる構成である。
【0035】
図1に示すように、転舵部20は、第1の自在継手201、中間シャフト104、第2の自在継手202、インプットシャフト(入力軸)105、クラッチ30、ピニオンシャフト(出力軸)106、ピニオンギヤ107、ラック軸(転舵軸)211、タイロッド212、ナックルアーム213及び転舵力発生部220を備えている。
【0036】
また、インプットシャフト105の下流側、クラッチ30、ピニオンシャフト106、ピニオンギヤ107、ラック軸211の一部、及び、転舵力発生部220は、ピニオンボックス25に収容されている。なお、本実施形態では、ピニオンシャフト106は単一の部材で構成されたものとして説明するが、この構成に限定されず、ピニオンシャフト106は複数の部材から構成されていてもよい。
【0037】
中間シャフト104の上端は、第1の自在継手201を介して、下部ステアリングシャフト103の下端にトルク伝達可能に連結されている。
【0038】
中間シャフト104の下端は、第2の自在継手202を介して、インプットシャフト105の上端にトルク伝達可能に連結されている。
【0039】
また、ピニオンシャフト106の下端には、ピニオンシャフト106に対してトルク伝達可能にピニオンギヤ107が接続されている。具体的には、ピニオンシャフト106に対してピニオンギヤ107が固定されており、ピニオンシャフト106とピニオンギヤ107とは一体的に回転する。
【0040】
なお、本実施形態では、ラック軸211のピニオンギヤ107に対向する側にはピニオンギヤ107に噛み合うラックが形成されている。
【0041】
また、本実施形態において、インプットシャフト105の下端には、クラッチ30が接続されている。このクラッチ30は、制御部300から供給されるクラッチ制御信号SL30に従い、操舵部材200と転舵部20との間のトルク伝達経路を機械的に接続するか又は遮断するかを切り替える構成である。具体的には、このクラッチ30は、クラッチ制御信号SL30に従い、インプットシャフト105の下端と、ピニオンシャフト106の上端との間のトルク伝達を、機械的に接続するか又は遮断するかを切り替える構成である。
【0042】
本実施形態では、クラッチ30が接続状態にあるときには、運転者による操舵部材200を介した操舵操作により、ピニオンギヤ107が回転し、ラック軸211が軸方向に変位する。
【0043】
一方、上述したクラッチ30が遮断状態にあるときには、転舵力発生部220は、制御部300からの転舵力制御信号SL220に従って転舵力を発生させ、ラック軸211を軸方向に変位させる。
【0044】
そしてラック軸211が軸方向に変位することによって、ラック軸211の両端に設けられたタイロッド212、及び、タイロッド212に連結されたナックルアーム213を介して、車輪400は転舵される。但し、本発明はラックピニオン機構により転舵軸を変位する構成に限定されるものではなく、その他の機構(例えば、ボールねじ機構)によって転舵軸を変位する構成であってもよい。
【0045】
なお、転舵力発生部220の具体的な構成は本実施形態を限定するものではないが、例えば、転舵力発生部220を以下の構成としてもよい。
【0046】
(転舵力発生部220)
転舵力発生部220は、モータ(不図示)と、このモータの出力軸の回転運動をラック軸211の軸方向の直線運動に変換する変換機構とを備えていてもよい。この変換機構にあっては、例えば、螺旋溝が形成された内周面を有するナット(不図示)であって、モータによって回転駆動されるナットと、ラック軸211の外周面に形成され、ナットの螺旋溝と同じピッチを有する螺旋溝(不図示)と、ナットの螺旋溝及びラック軸211の螺旋溝によって挟持された複数の転動用ボール(不図示)とによって構成される所謂ボールねじ機構を採用してもよい。
【0047】
次に、クラッチ30周辺の構成について詳細に説明する。
図2は、クラッチ30周辺の内部構成を示す斜視図であり、
図3は、クラッチ30の内部構成を示す断面図である。
【0048】
(ハウジング47)
本実施形態に係るクラッチ30は、ハウジング47を備えている。ハウジング47は中空形状であり、インプットシャフト105(クラッチ30の入力軸)側に設けられた第1のハウジング48と、ピニオンシャフト106(クラッチ30の出力軸)側に設けられた第2のハウジング49とを有している。第1のハウジング48は、第2のハウジング49に対して着脱自在に設けられている。なお、インプットシャフト105側とは、クラッチ30からインプットシャフト105が延びる側を指し、ピニオンシャフト106側とは、クラッチ30からピニオンシャフト106が延びる側を指す。
【0049】
(遊星歯車機構31の構成)
本実施形態に係る遊星歯車機構31は、太陽ギヤ32、複数の遊星ギヤ33、内歯ギヤ34及び遊星ギヤ33を支持するキャリア35を含んでいる。太陽ギヤ32は、ピニオンシャフト106の外周側に配置され、ロックホイール36に対してトルク伝達可能に接続されている。遊星ギヤ33は、太陽ギヤ32の外周側、且つ、内歯ギヤ34の内周側に配置されており、太陽ギヤ32及び内歯ギヤ34に噛み合うように構成されている。内歯ギヤ34は、インプットシャフト105に対してトルク伝達可能に接続されている。キャリア35は、ピニオンシャフト106に対してトルク伝達可能に接続されているとともに、各々の遊星ギヤ33を回転可能、すなわち、自転及び公転可能に支持している。詳細には、キャリア35とピニオンシャフト106とは、
図3のAで示す位置においてスプライン嵌合している。
【0050】
(レバー41の構成)
本実施形態に係るレバー41は、第一位置と第二位置との間で変位するように構成されている。本実施形態では、第2のハウジング49に接続されたソレノイド38の作用によってプランジャ39がレバー41に押し当てられると、レバー41は第一位置まで駆動され、レバー41はロックホイール36から離れる。そうすると、ロックホイール36及び太陽ギヤ32は非固定状態(回転可能状態)となり、インプットシャフト105とピニオンシャフト106との間のトルク伝達経路は機械的に遮断される。なお、レバー41が第一位置まで変位したときには、ストッパピン(不図示)がレバー41に当接し、これによりレバー41がそれ以上変位することが防止される。
【0051】
また、レバー41は、第2のハウジング49内に備えられたばね40によって、第二位置に付勢されるように構成されている。レバー41が第二位置に変位すると、レバー41はロックホイール36の溝部45と係合する。そうすると、ロックホイール36及び太陽ギヤ32は固定状態(回転不能状態)となり、インプットシャフト105とピニオンシャフト106との間のトルク伝達経路は機械的に接続される。
【0052】
(キャリア35の詳細な構成)
図4は、キャリア35周辺の構成を示す斜視図である。
図5は、キャリア35の構成を示し、(a)はキャリア35の上面図であり、(b)はキャリア35の側面図である。
【0053】
図4及び
図5に示すように、キャリア35は、
図4のAに示す位置においてピニオンシャフト106とスプライン嵌合するための結合部35aと、遊星ギヤ33を挟んで回転可能に支持する板部(板)35b及び板部35dと、板部35b及び板部35dに挟まれ、板部35b及び板部35dを互いに離間した状態に支持する支持部35cとを備えている。
【0054】
なお、本発明において、キャリア35の構成はこれに限定されず、結合部35aは、スプライン嵌合以外の方法で、ピニオンシャフト106にトルク伝達可能に接続されていればよいし、支持部35c及び板部35dを省略し、板部35bのみによって遊星ギヤ33を回転可能に支持するようになっていてもよい。
【0055】
そして、板部35bには、ネジ穴(連結部)71が設けられている。クラッチ30からキャリア35を取り出すとき、取り出し治具72をネジ穴71に螺合させて取り出し治具72とキャリア35とを連結させることにより、キャリア35をクラッチ30から首尾よく取り出すことができる。なお、キャリア35をクラッチ30から取り出すとは、クラッチ30に組み込まれているキャリア35を、クラッチ30から分離することを指し、既に他の部品からクラッチ30から分離されている状態において、キャリア35をさらにクラッチ30から分離することを含む。
【0056】
キャリア35が支持する遊星ギヤ33は、太陽ギヤ32及び内歯ギヤ34と噛み合っている。そのため、クラッチ30からキャリア35を取り出すとき、例えば、太陽ギヤ32及び内歯ギヤ34の一方を先に取り外していたとしても、他方は遊星ギヤ33に噛み合っているため、キャリア35をクラッチ30から取り出すためには、キャリア35を遊星ギヤ33の軸方向に移動させる必要がある。
【0057】
ここで、キャリア35に連結させた取り出し治具72を用いることにより、容易に、キャリア35を所望の方向に移動させて、キャリア35をクラッチ30から取り出すことができる。
【0058】
特に、本実施形態のように、キャリア35が、ピニオンシャフト106にスプライン嵌合している場合には、キャリア35の取り出し方向は厳密に規定される。このような場合であっても、取り出し治具72をキャリア35に連結し、取り出し治具72を用いてキャリア35を所望の方向に移動させることにより、首尾よく、キャリア35をクラッチ30から取り出すことができる。
【0059】
一実施形態において、ネジ穴71は、板部35b又は板部35dに設けることができる。例えば、クラッチ30を分解するときにインプットシャフト105から取り外していく場合には、キャリア35のインプットシャフト105側の面(板部35b)にネジ穴71を設けてもよい。また、クラッチ30を分解するときにピニオンシャフト106から取り外していく場合には、キャリア35のピニオンシャフト106側の面(板部35d)にネジ穴71を設けてもよい。本実施形態では、ネジ穴71は、板部35bに設けられている。
【0060】
一実施形態において、ネジ穴71は、板部35b又は板部35dにおいて遊星ギヤ33を挟んでいない位置に設けることが好ましく、板部35b又は板部35dにおいて遊星ギヤ33及び支持部35cを挟んでいない位置に設けることがより好ましい。すなわち、
図5示すように、支持部35c同士によって挟まれる空間は、遊星ギヤ33が配置されている空間と、遊星ギヤ33が配置されていない空間とが交互に存在しており、この遊星ギヤ33が配置されていない空間上に、ネジ穴71を設けることがより好ましい。
【0061】
本実施形態において、ネジ穴71は、板部35bを貫通するようにしてネジ切り加工されているが、本発明はこのような構成に限定されず、ネジ穴71が取り出し治具72と螺合可能であれば、ネジ穴71のネジ切りは、板部35bを貫通していなくてもよい。
【0062】
(クラッチ30の分解方法)
次に、本実施形態に係るクラッチ30の分解方法について説明する。本実施形態に係るクラッチ30の分解方法は、上述したように取り出し治具72をネジ穴71に螺合(連結)させて、クラッチ30からキャリア35を取り出すキャリア取り出し工程を含むものである。
【0063】
本実施形態に係るクラッチ30の分解方法では、まず、第2のハウジング49から第1のハウジング48を取り外す。次に、インプットシャフト105を、ピニオンシャフト106の軸方向に沿ってピニオンシャフト106から離れる方向に取り出す。このとき、インプットシャフト105に接続している内歯ギヤ34も併せて取り出される。
【0064】
次に、ネジ穴71に対して取り出し治具72を連結する。そして、取り出し治具72を用いて、キャリア35を、ピニオンシャフト106の軸方向に沿ってピニオンシャフト106から離れる方向に引き出すことにより、キャリア35をクラッチ30から取り出すことができる(キャリア取り外し工程)。
【0065】
その後、太陽ギヤ32及びロックホイール36を取り外し、さらにピニオンシャフト106を取り外すことにより、クラッチ30を分解することができる。
【0066】
〔実施形態2〕
実施形態1に示した連結部及び取り出し治具の他の構成について、
図6に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における連結部及び取り出し治具の構成を示す斜視図である。
【0067】
本実施形態では、
図6に示すように、キャリア35の板部35bには、キー溝付き穴(連結部)81が形成されている。キー溝付き穴81は貫通穴として形成されている。また、取り出し治具82は、キー溝付き穴81に取り出し治具82を挿入した状態で、挿入方向を軸中心として取り出し治具82を回転させると、キー溝付き穴81と取り出し治具82とが係合することで、キャリア35が取り出し治具82に連結するように構成されている。
【0068】
本実施形態において、クラッチ30からキャリア35を取り出す場合には、取り出し治具82をキー溝付き穴81に挿入し、上述したようにしてキー溝付き穴81と取り出し治具82とを連結させる。それから取り出し治具82を、ピニオンシャフト106の軸方向に沿ってピニオンシャフト106から離れる方向に引くことによって、キャリア35をクラッチ30から取り出すことができる。
【0069】
〔実施形態3〕
上記の実施形態に示した連結部及び取り出し治具のさらに他の構成について、
図7に基づいて説明する。
図7は、本実施形態に係る連結部及び取り出し治具の構成を示す斜視図である。
【0070】
本実施形態では、
図7に示すように、キャリア35の板部35bには、キャリア35を支持可能な取っ手(連結部)91が形成されている。また、取り出し治具92は、取っ手91に取り出し治具92を引っ掛けることが可能な形状を有している。
【0071】
本実施形態において、クラッチ30からキャリア35を取り出す場合には、取り出し治具92を取っ手91に引っ掛けることで、取り出し治具92とキャリア35とを連結させる。それから取り出し治具92をピニオンシャフト106の軸方向に沿ってピニオンシャフト106から離れる方向に引くことによって、キャリア35をクラッチ30から取り出すことができる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。