【解決手段】第1接続部、第2接続部、及び連結部材5は樹脂製であること、連結部材5は2つの同じ形状の第1連結片51A及び第2連結片51Bから成り、第1及び第2連結片51A、51Bは、第1接続部及び第2接続部を収納する収納部と、係止腕513と、係止凹部と、係止凸部とを備え、第1及び第2連結片51A、51Bを互いに突き合わせたときに第1連結片51Aの係止凸部と第2連結片51Bの係止凹部が係合すること。
第1接続部を有する第1流体機器と、第2接続部を有する第2流体機器と、前記第1接続部及び前記第2接続部を接続する環状シール部材と、前記第1接続部及び前記第2接続部の接続状態を維持する連結部材と、を有する流体機器接続構造において、
前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記連結部材は樹脂製であること、
前記連結部材は2つの同じ形状の第1連結片及び第2連結片から成り、
前記第1及び第2連結片は、前記第1接続部及び第2接続部を収納する収納部と、係止腕と、係止凹部と、係止凸部とを備え、
前記第1及び第2連結片を互いに突き合わせたときに前記第1連結片の前記係止凸部と前記第2連結片の前記係止凹部が係合すること、
を特徴とする流体機器接続構造。
第1接続部を有する第1流体機器と、第2接続部を有する第2流体機器と、前記第1接続部及び前記第2接続部を接続する環状シール部材と、前記第1接続部及び前記第2接続部の接続状態を維持する連結部材と、を有する流体機器接続構造において、
前記連結部材は、第1連結片と第2連結片から成り、
前記第1連結片と前記第2連結片を突き合わせた係合手段を有し、
前記第1連結片と前記第2連結片が分離しないための分離防止手段を有すること、
を特徴とする流体機器接続構造。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程や液晶製造工程などの薬液の制御には、流量制御弁や開閉弁などのバルブ類や、フィルタ、圧力センサや流量センサなどのセンサ類、継手ブロックや流路ブロックなどの配管ブロック類など、流体機器が使用される。近年、装置のコンパクト化のため、これら流体機器の接続部同士を、連結部材を用いて直接連結し、ユニット化することが行われている。
【0003】
図27は、特許文献1の流体機器接続構造100の断面図である。
図26は、
図27のQQ断面図である。
図28は、特許文献2の連結部材200の断面図である。
特許文献1に記載の流体機器接続構造100は、
図27に示すように、第1及び第2流体機器101、102の第1及び第2接続部103、104を、環状シール部材105を介して接続し、第1及び第2接続部103、104の外周に連結部材106を取り付けて接続状態を維持する。連結部材106は、第1連結片107と第2連結片108により構成されている。第1連結片107は、第1接続部103の外周に形成された第1装着溝103aに配置される第1突部107aと、第2接続部104の外周に形成された第2装着溝104aに配置される第2突部107bとを有する。また、第2連結片108は、第1装着溝103aに配置される第1突部108aと、第2装着溝104aに配置される第2突部108bとを有する。
【0004】
図26に示すように、第1及び第2連結片107、108の一端は、支軸109を介して回動可能に係合されている。第1及び第2連結片107、108の他端は、第2連結片108の第1延設部108cに突設した係止爪108eを第1連結片107の第2延設部107cに形成した挿通孔107eに弾性変形させながら挿通した後、係止爪108eを復元させて第2延設部107cに係止させることにより、係合される。
このような連結部材106は、支軸109を基点にして第1連結片107を第2連結片108に対して回動させ、係止爪108eを挿通孔107eに挿通して第2延設部107cに係止させることにより、第1及び第2連結片107、108の第1及び第2突部107a、107b、108a、108bを第1及び第2接続部103、104の第1及び第2装着溝103a、104aに配置する。第1及び第2接続部103、104は、外力が加わると互いに離れる方向へ移動しようとするが、第1及び第2装着溝103a、104aの端面側内側面が連結部材106の第1及び第2突部107a、107b、108a、108bに支持されて移動を制限され、接続状態が維持される。
第1及び第2接続部103、104と環状シール部材105と第1及び第2連結片107、108は、樹脂を材質とする。
【0005】
次に、特許文献2に記載の連結部材200は、
図28に示すように、第1連結片201と第2連結片202で構成されている。第1連結片201は、図示しない接続部の2/3を超える部分と係合するように形成されている。第1連結片201のみで接続部の仮保持を行いながら第2連結片202を装着できる。第1連結片201には、第2連結片202の係止凸部203と係合する係止凹部204が形成されている。係止凸部203と係止凹部204が係合することにより、第1連結片201と第2連結片202は接続部を覆い保持した状態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の連結部材には以下のような問題があり、第1発明には、下記(1)(2)の課題がある。
(1)特許文献1の連結部材106では、回転可能に保持するために支軸109を設けるため、外形が大きくなり、余分なスペースが必要であった。取り付けの時に支軸109を中心にして第1連結片107と第2連結片108を回転させるための作業スペースを必要とする。
また、第1連結片107と第2連結片108は異なる形状であるため、製造、管理面においてコストが高くなる問題があった。
【0008】
(2)特許文献2の連結部材200では、2つの部材を回転可能に保持するための支軸を持たないため、コンパクトではあるが、接続部を接続し、連結部材200を取り付ける工程のみ考慮されており、連結部材200を取り外す工程については考慮されていない。そのため、連結部材200を取り外すことが困難であった。無理に第2連結片202の係止凸部203を曲げて第1連結片201の係止凹部204から取り外そうとすると、係止凸部203を設けた弾性変形部分が白化し、破損、または劣化するという問題があった。
また、特許文献1の連結部材106と同様に、第1連結片201と第2連結片202は異なる形状であるため、製造、管理面においてコストが高くなる問題があった。
【0009】
第2発明には、下記(3)(4)の課題がある。
(3)特許文献1の連結部材106では、回転可能に保持するために支軸109を設けるため、外形が大きくなり、余分なスペースが必要であった。取り付けの時に支軸109を中心にして第1連結片107と第2連結片108を回転させるための作業スペースを必要とする。
(4)特許文献2の連結部材200では、2つの部材を回転可能に保持するための支軸を持たないため、コンパクトではあるが、取り外すと第1連結片201と第2連結片202はバラバラになって分離してしまうため、管理面においてコストが高くなる問題があった。
【0010】
第1発明は、上記課題(1)(2)を有するものであり、支軸をもたない省スペースで劣化しにくい連結部材を備え、製造・管理面におけるコストを抑えられる流体機器接続構造を提供することを目的とする。
また、第2発明は、上記課題(3)(4)を有するものであり、支軸をもたない省スペースで劣化しにくい連結部材を備え、製造・管理面におけるコストを抑えられる流体機器接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の流体機器接続構造は、上記(1)(2)の課題を解決するために、次のような構成を有している。
(1)第1接続部を有する第1流体機器と、第2接続部を有する第2流体機器と、第1接続部及び第2接続部を接続する環状シール部材と、第1接続部及び第2接続部の接続状態を維持する連結部材と、を有する流体機器接続構造において、第1接続部、第2接続部、及び連結部材は樹脂製であること、連結部材は2つの同じ形状の第1連結片及び第2連結片から成り、第1及び第2連結片は、第1接続部及び第2接続部を収納する収納部と、係止腕と、係止凹部と、係止凸部とを備え、第1及び第2連結片を互いに突き合わせたときに第1連結片の係止凸部と第2連結片の係止凹部が係合すること、を特徴とする。
【0012】
(2)(1)に記載の流体機器接続構造について、第1連結片の第1面と第2連結片の第1面、第1連結片の第2面と第2連結片の第2面とを突き合わせたときに、第1連結片の係止凸部と第2連結片の係止凹部が係合することができること、及び、第1連結片の第1面と第2連結片の第2面、第1連結片の第2面と第2連結片の第1面とを突き合わせたときに、第1連結片の係止凸部と第2連結片の係止凹部が係合することができること、を特徴とする。
【0013】
(3)(1)又は(2)に記載の流体機器接続構造について、第1及び第2連結片は、第1及び第2接続部の軸線垂直方向から第1及び第2流体機器に着脱され、第1及び第2連結片の係止腕が第1及び第2接続部の軸線と概平行方向に弾性変形することにより第1及び第2連結片の係止が着脱すること、を特徴とする。
【0014】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体機器接続構造について、第1及び第2流体機器は薬液を扱うこと、第1及び第2接続部と環状シール部材を接続する接続状態では、環状シール部材と第1及び第2接続部との間に第1及び第2接続部の軸線垂直方向に設けられた圧入代が圧入されていること、を特徴とする。
【0015】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体機器接続構造について、連結部材の取外しには治具が用いられ、治具は、第1及び第2連結片の外側にある支点と作用点により荷重を加えること、を特徴とする。
【0016】
第2発明の流体機器接続構造は、上記(3)(4)の課題を解決するために、次のような構成を有している。
(6)第1接続部を有する第1流体機器と、第2接続部を有する第2流体機器と、第1接続部及び第2接続部を接続する環状シール部材と、第1接続部及び第2接続部の接続状態を維持する連結部材と、を有する流体機器接続構造において、連結部材は、第1連結片と第2連結片から成り、第1連結片と第2連結片を突き合わせた係合手段を有し、第1連結片と第2連結片が分離しないための分離防止手段を有すること、を特徴とする。
【0017】
(7)(6)に記載の流体機器接続構造において、分離防止手段とは、第1連結片と第2連結片の突き合わせ方向に立設した第1連結片の第1係止腕と、第1連結片と第2連結片の突き合わせ方向に立設した第2連結片の第2係止腕とを備え、第1係止腕の先端には、第1係止突起が第1及び第2接続部の半径方向外側に突出して形成されること、第2係止腕に第1係止突起を受ける第2係止受部が形成されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明の流体機器接続構造の作用・効果を説明する。
上記(1)の構成によれば、2つの連結片は同じ形状のものであるため、部品種類の削減となり、製造コスト、部品在庫管理コストを削減できる。また、支軸をもたないため、余分なスペースを必要とせず、省スペース化できる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、2つの連結片を突き合わせる際に、一方の連結片を180度回転させて突き合わせても係合するため、連結片の向きを気にする必要がなく、作業が容易であり、作業性が向上する。
上記(3)の構成によれば、連結片は、接続部の軸線垂直方向から流体機器に着脱され、着脱の際に、連結片同士が接続部の軸線と平行方向に外れることがなく、接続部の軸線と平行方向に係止腕が弾性変形することにより着脱されるため、係止凸部の高さ分だけ変形すればよいため、係止腕は無理に変形させることがないため、破損、劣化することがない。
【0020】
上記(4)の構成によれば、環状シール部材及び連結部材は樹脂よりなるため、薬液等の腐食性流体及び雰囲気に耐え、劣化しにくい。また、接続部の圧入代は、接続部の軸線垂直方向に設けられているため、第1接続部と第2接続部と環状シール部材を圧入すれば、第1接続部と第2接続部が離れる方向に働く力は無い又は小さいため、連結部材が破壊されたり、第1連結片と第2連結片が外れたりすることは無い。
上記(5)の構成によれば、シンプルな形状の治具を用いることにより作業も容易で、軽負荷により取外しが可能となるため、作業性が向上する。
【0021】
第2発明の流体機器接続構造の作用・効果を説明する。
上記(6)の構成によれば、係合手段と分離防止手段をそれぞれ持っているため、施工中に第1連結片と第2連結片が分離せずバラバラにならず、管理が容易となる。また、支軸を持たないため、余分なスペースを必要とせず、省スペース化できる。
【0022】
上記(7)の構成によれば、第1係止突起と係止受部が係合することにより分離防止されるため、施工中に第1連結片と第2連結片が分離せずバラバラにならず、管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造の連結部材の斜視図である。
【
図2】第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造の連結部材の正面図である。
【
図3】第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造の連結部材の右側面図である。
【
図4】第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造の連結部材の平面図である。
【
図5】第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造の流体機器と環状シール部材を接続する前の状態の図である。
【
図6】(a)流体機器接続構造の圧入する前の状態の右側面図である。(b)流体機器接続構造の圧入する前の状態の正面図である。
【
図7】(a)流体機器接続構造の連結部材が係合する前の状態の右側面図である。(b)流体機器接続構造の連結部材が係合する前の状態の正面図である。
【
図9】(a)流体機器接続構造の連結部材が係合した状態の右側面図である。(b)流体機器接続構造の連結部材が係合した状態の正面図である。
【
図12】治具を用いて連結部材の係合を解除する前の正面図である。
【
図13】治具を用いて連結部材の係合を解除した状態の正面図である。
【
図14】第1発明の第2実施形態の流体機器接続構造の連結部材の斜視図である。
【
図17】治具を用いて連結部材の係合を解除するときの正面図である。
【
図18】治具を用いて連結部材の係合を解除するときの正面図である。
【
図19】治具を用いて連結部材の係合を解除するときの正面図である。
【
図20】第1発明の第1参考形態の流体機器接続構造の連結部材の斜視図である。
【
図21】係合する前の状態の連結部材の斜視図である。
【
図23】第2発明の第1実施形態の流体機器接続構造の連結部材を分解した斜視図である。
【
図24】分離防止手段を用いた状態の連結部材の斜視図である。
【
図27】特許文献1の流体機器接続構造の断面図である。
【
図28】特許文献2の流体機器接続構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
はじめに、第1発明の流体機器接続構造1の第1実施形態について、
図1から
図13を用いて説明する。
<第1発明の第1実施形態>
(流体機器接続構造の全体的構成)
流体機器接続構造1の全体的な構成について
図10、11を用いて説明する。
図10は、流体機器接続構造1の連結部材5が係合した状態の断面図を示す。
図11は、
図10のZ部拡大図を示す。
【0025】
図10に示すように、流体機器接続構造1は、第1流体機器2の第1接続部21と、第2流体機器3の第2接続部31を接続する。第1接続部21と第2接続部31は、環状シール部材4を介して接続され、第1及び第2接続部21、31の外周に連結部材5を取り付けて接続状態を維持する。第1及び第2接続部21、31は、円筒状に構成されている。第1接続部21には流路29が形成され、第2接続部31には流路39が形成されている。第1接続部21、第2接続部31、及び環状シール部材4は、PFA、PTFEなどの比較的硬くて耐腐食性があるフッ素樹脂を材質とする。
【0026】
環状シール部材4は、
図11に示すように、本体部43と、本体部43の外周面から外径方向に張り出す張出部44と、張出部44の外周縁部に設けられた把持部45とを備える。本体部43には、環状シール溝46、47が形成されている。
第1接続部21の環状シール部材4を装着する面には、端面22が形成されている。端面22には、外径方向に突出した係止凸部27が形成されている。端面22の内側には、本体部43の環状シール溝46に装着される圧入部24が形成されている。流路29方向の外周面には、連結部材5を装着するための装着溝23が環状に形成されている。端面22と装着溝23との間には、フランジ部25が設けられている。
【0027】
第2接続部31の環状シール部材4を装着する面には、端面32が形成されている。端面32には、外径方向に突出した係止凸部37が形成されている。端面32の内側には、本体部43の環状シール溝47に装着される圧入部34が形成されている。流路39方向の外周面には、連結部材5を装着するための装着溝33が環状に形成されている。端面32と装着溝33との間には、フランジ部35が設けられている。
【0028】
(連結部材の構成)
次に、第1発明の特徴である連結部材5の構成について
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の流体機器接続構造1の連結部材5の斜視図を、
図2は、正面図を、
図3は、右側面図を、
図4は平面図を示す。なお、背面図は、正面図と対称であるため、省略する。また、左側面図は、右側面図と対称であるため、省略する。さらに、底面図は、平面図と対称であるため、省略する。
【0029】
連結部材5は、
図1に示すように、第1連結片51Aと、第2連結片51Bを備える。第1連結片51Aと第2連結片51Bは同じ形状で形成されている。ここでは、第1連結片51Aの説明をすることで第2連結片51Bの説明を省略する。なお、第1連結片51Aと第2連結片51BのうちA、Bは説明が煩雑になるため、適宜省略する。
連結片51は、強度と耐腐食性があるフッ素樹脂を材質とする。連結片51の内部は、
図6(a)及び
図11に示すように、第1及び第2接続部21、31を収納するための収納部518が形成されている。収納部518は、第1及び第2接続部21、31を外周に沿って取り付けられるように内周面が円弧状に形成されている。第1接続部21と第2接続部31の接続状態においては、連結部材5は、第1及び第2接続部21、31の間に装着した環状シール部材4の流路29、39の軸心方向に第1及び第2接続部21、31を遠ざけるように作用する力に抗している。
【0030】
連結片51の外観は、
図2に示すように、略半円形状に形成され、連結片51同士を突き合わせると円筒形状となる。連結片51には、連結片51同士を突き合わせたときに、互いに接触する長方形の第1面516と第2面517が形成されている。連結片51には、
図4に示すように、連結部材5を平面から視たときに連結部材5の対角線上に係止腕513が位置する。係止腕513は、
図2に示すように、もう一方の連結片51に向かって立設している。係止腕513には、係止凹部514が形成されている。係止凹部514は、第1及び第2接続部21、31の軸線と平行方向に貫通している。係止腕513が形成されていない側は、係止腕513高さ分の段差部519が形成されている。
図8に示すように、段差部519に第1及び第2接続部21、31の軸線と平行方向に突出した半球形状の係止凸部515が形成されている。第1連結片51Aと第2連結片51Bを突き合わせたとき、第1連結片51Aの係止凸部515Aと第2連結片51Bの係止凹部514Bが係合し、第1連結片51Aの係止凹部514Aと第2連結片51Bの係止凸部515Bが係合する。
連結片51の外周側には、
図2に示すように、治具11を引っ掛けて固定するための引っ掛け部511が左右対称に2か所形成され、背面側にも同様に2か所形成されている。
【0031】
(流体機器接続構造の作用)
はじめに、流体機器接続構造1において、連結部材5を取り付ける際の作用について
図5から
図9を用いて説明する。
図5は、流体機器接続構造1の第1及び第2流体機器2、3と環状シール部材4を接続する前の状態の図を示す。
図6(a)は、流体機器接続構造1の圧入する前の状態の右側面図を示し、(b)は、その正面図を示す。
図7(a)は、流体機器接続構造1の連結部材5が係合する前の状態の右側面図を示し、(b)は、その正面図を示す。
図8は、
図7(a)のX部拡大図を示す。
図9(a)は、流体機器接続構造1の連結部材5が係合した状態の右側面図を示し、(b)は、その正面図を示す。
【0032】
第1流体機器2と第2流体機器3を、環状シール部材4を介して接続する。
図6に示すように、第1及び第2連結片51A、51Bを第1及び第2接続部21、31の軸線垂直方向から互いに第1面及び第2面同士を突き合わせて装着する。第1連結片51Aの係止腕513Aが、第2連結片51Bの係止凸部515Bにより、第1及び第2接続部21、31の軸線と概平行方向(矢印S方向)に弾性変形したあと、係止腕513Aの係止凹部514Aに係止凸部515Bが係合し、
図7に示す施工状態となる。
ここで、本実施形態では、第1連結片51Aの第1面516Aと第2連結片51Bの第1面516B、第1連結片51Aの第2面517Aと第2連結片51Bの第2面517Bを突き合わせて係合しているが、第1連結片51Aの第1面516Aと第2連結片51Bの第2面517B、第1連結片51Aの第2面517Aと第2連結片51Bの第1面516Bを突き合わせても第1及び第2連結片51A、51Bを係合することができる。連結片の向きを気にすることなく取り付け作業ができるため、作業性が向上する。
【0033】
次に、連結部材5を取り外す際の作用について
図12、13を用いて説明する。
図1に示すように、連結部材5は、外観上大きな凹凸部が少ないため、連結部材5を取り外す際、手でつかむところがない。本実施形態では、連結部材5の取り外しに治具11を利用する。治具11は、
図12に示すように、半円形状であり、その先端の内周面に突起111が形成されている。
治具11の突起111を連結片51の引っ掛け部511a(説明のため、ここでは
図2左側に位置する引っ掛け部を引っ掛け部511aとし、図中右側に位置する引っ掛け部を引っ掛け部511bとする。)に引っ掛けると、半径形状に形成された治具11のうち、突起が形成されていない側の内周面に対し、引っ掛け部511bが当たる。引っ掛け部511bを支点として、矢印Q方向に荷重を加えると、係止腕513が第1及び第2接続部21、31の軸線と概平行方向に弾性変形して係止凸部515と係止凹部514の係合が解除される。こうして連結片51は取り外される。
連結部材5は、取り付け前後では別個の部品となる。しかし、連結部材5は同じ形状の2つの連結片51A、51Bからなることから、在庫として保管しておきやすく、紛失した場合などに速やかに補充することができる。
【0034】
以上、説明したように、第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造1によれば、(1)第1接続部21を有する第1流体機器2と、第2接続部31を有する第2流体機器3と、第1接続部21及び第2接続部31を接続する環状シール部材4と、第1接続部21及び第2接続部31の接続状態を維持する連結部材5と、を有する流体機器接続構造1において、第1接続部21、第2接続部31、及び連結部材5は樹脂製であること、連結部材5は2つの同じ形状の第1連結片51A及び第2連結片51Bから成り、第1及び第2連結片51A、51Bは、第1接続部21及び第2接続部31を収納する収納部518と、係止腕513と、係止凹部514と、係止凸部515とを備え、第1及び第2連結片51A、51Bを互いに突き合わせたときに第1連結片51Aの係止凸部515Aと第2連結片51Bの係止凹部514Bが係合すること、を特徴とするので、2つの連結片51A、51Bは同じ形状のものであるため、部品種類の削減となり、製造コスト、部品在庫管理コストを削減できる。また、支軸をもたないため、余分なスペースを必要とせず、省スペース化できる。
【0035】
(2)(1)に記載の流体機器接続構造1について、第1連結片51Aの第1面516Aと第2連結片51Bの第1面516B、第1連結片51Aの第2面517Aと第2連結片51Bの第2面517Bとを突き合わせたときに、第1連結片51Aの係止凸部515Aと第2連結片51Bの係止凹部514Bが係合することができること、及び、第1連結片51Aの第1面516Aと第2連結片51Bの第2面517B、第1連結片51Aの第2面517Aと第2連結片51Bの第1面516Bとを突き合わせたときに、第1連結片51Aの係止凸部515Aと第2連結片51Bの係止凹部514Bが係合することができること、を特徴とするので、2つの連結片51A、51Bを突き合わせる際に、一方の連結片を180度回転させて突き合わせても係合するため、連結片の向きを気にする必要がなく、作業が容易であり、作業性が向上する。
【0036】
(3)(1)又は(2)に記載の流体機器接続構造1について、第1及び第2連結片51A、51Bは、第1及び第2接続部21、31の軸線垂直方向から第1及び第2流体機器2、3に着脱され、第1及び第2連結片51A、51Bの係止腕513が第1及び第2接続部21、31の軸線と概平行方向に弾性変形することにより第1及び第2連結片51A、51Bの係止が着脱すること、を特徴とするので、第1及び第2連結片51A、51Bは、第1及び第2接続部21、31の軸線垂直方向から流体機器2、3に着脱され、着脱の際に、連結片51同士が接続部21、31の軸線と平行方向に外れることがなく、接続部21、31の軸線と平行方向に係止腕513が弾性変形することにより着脱されるため、係止凸部515の高さ分だけ変形すればよいため、係止腕513は無理に変形させることがないため、破損、劣化することがない。
【0037】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体機器接続構造1について、第1及び第2流体機器2、3は薬液を扱うこと、第1及び第2接続部21、31と環状シール部材4を接続する接続状態では、環状シール部材4と第1及び第2接続部21、31との間に第1及び第2接続部21、31の軸線垂直方向に設けられた圧入部24、34が圧入されていること、を特徴とするので、環状シール部材4及び連結部材5は樹脂よりなるため、薬液等の腐食性流体及び雰囲気に耐え、劣化しにくい。また、接続部21、31の圧入部24、34は、接続部21、31の軸線垂直方向に設けられているため、第1接続部21と第2接続部31と環状シール部材4を圧入すれば、第1接続部21と第2接続部31が離れる方向に働く力は無い又は小さいため、連結部材5が破壊されたり、第1連結片51Aと第2連結片51Bが外れたりすることは無い。
【0038】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の流体機器接続構造1について、連結部材5の取外しには治具11が用いられ、治具11は、第1及び第2連結片51A、51Bの外側にある支点と作用点により荷重を加えること、を特徴とするので、シンプルな形状の治具を用いることにより作業も容易で、軽負荷により取外しが可能となるため、作業性が向上する。
【0039】
<第1発明の第2実施形態>
次に、第1発明の流体機器接続構造1の第2実施形態について
図14から
図19を用いて説明する。
第2実施形態の流体機器接続構造1は、連結部材6を除き、第1実施形態の流体機器接続構造1と構成が同じである。ここでは、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点は第1実施形態と同じ番号を付することで適宜説明を省略する。
図14には、第2実施形態の流体機器接続構造1の連結部材6の斜視図を示す。
図15には、連結部材6の正面図を示し、
図16には、右側面図を示す。なお、背面図は、正面図と対称であるため、省略する。また、左側面図は、右側面図と対称であるため、省略する。
図17から
図19は、治具11を用いて連結部材6の係合を解除するときの流れを示す。
【0040】
連結部材6は、
図15に示すように、同じ形状の第1連結片61Aと第2連結片61Bから成る。第1及び第2連結片61A、61Bは、同じ形状であるため、第1連結片61Aの説明をすることで、第2連結片61Bの説明を省略する。なお、第1連結片61Aと第2連結片61BのうちA、Bは説明が煩雑になるため、適宜省略する。
【0041】
連結片61には、
図15に示すように、係止腕68と係止凸部63と係止受部64が形成されている。連結片61には、連結部材6を取り外す時に治具11の工具を使用できるように第1引っ掛け部65、第2引っ掛け部66、第3引っ掛け部67が形成されている。治具11は、
図17に示すように、半月形状であり、その先端の内周面には、連結部材9を取り外す際に連結片61の第1引っ掛け部65、第2引っ掛け部66、第3引っ掛け部67に引掛けるための突起111が形成されている。
【0042】
第1連結片61Aと第2連結片61Bを突き合わせると、第1連結片61Aの係止突起63Aと第2連結片61Bの係止受部64Bが係合する。
第1連結片61Aと第2連結片61Bを取り外す際、治具11を利用する。治具11の突起111を第3引っ掛け部67に挿入すると、
図18に示すように、係止突起63Aは、図中矢印T方向に弾性変形する。これにより、係止突起63Aと係止受部64Bの係止は解除される。
図19に示すように、治具11と係合された連結片61を矢印U方向に回転させると、第2連結片61Bから取り外すことができる。
【0043】
以上、説明したように、第1発明の第2実施形態の流体機器接続構造1によれば、(1)第1接続部21を有する第1流体機器2と、第2接続部31を有する第2流体機器3と、第1接続部21及び第2接続部31を接続する環状シール部材4と、第1接続部21及び第2接続部31の接続状態を維持する連結部材6と、を有する流体機器接続構造1において、第1接続部21、第2接続部31、及び連結部材6は樹脂製であること、連結部材6は2つの同じ形状の第1連結片61A及び第2連結片61Bから成り、第1及び第2連結片61A、61Bは、第1接続部21及び第2接続部31を収納する収納部518と、係止腕68と、係止受部64と、係止突起63とを備え、第1及び第2連結片61A、61Bを互いに突き合わせたときに第1連結片61Aの係止突起63Aと第2連結片61Bの係止受部64Bが係合すること、を特徴とするので、2つの連結片61A、61Bは同じ形状のものであるため、部品種類の削減となり、製造コスト、部品在庫管理コストを削減できる。また、支軸をもたないため、余分なスペースを必要とせず、省スペース化できる。
【0044】
<第1発明の第1参考形態>
次に、第1発明の流体機器接続構造1の第1参考形態について
図20から
図22を用いて説明する。
図20は、第1参考形態に係る連結部材7の分解図を示す。
図21は、連結部材を取り付ける前の状態を示し、
図22は、施工状態を示す。
第1参考形態の流体機器接続構造1は、連結部材7を除き、第1実施形態の流体機器接続構造1と構成が同じである。ここでは、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点は第1実施形態と同じ番号を付することで適宜説明を省略する。
【0045】
連結部材7は、
図20に示すように、第1連結片71A、第2連結片71Bを有する。第1連結片71Aと第2連結片71Bは、基本的に同じ形状をしている。しかし、第2連結片71Bは、係止部材72を有する点で異なる。形状が同じ点は、第1連結片71Aの説明をすることで、第2連結片71Bの説明を省略する。なお、第1連結片71Aと第2連結片71BのうちA、Bは説明が煩雑になるため、適宜省略する。
【0046】
図20に示すように、連結片71には、第1連結片71Aと第2連結片71Bと突き合わせる際に連結する連結面711があり、接続部21、31の半径方向外側には、両側に長方形状に突出した一対の凸部712が形成されている。第1及び第2連結片71A、71Bの凸部712A、712Bを係合する一対の係止部材72a、72bが、第2連結片71Bの凸部712B下方を支点として回転可能に保持されている。係止部材72a、72bは、第1及び第2連結片71A、71Bの凸部712A、712Bに跨ってはめることができ、
図22の連結部材7は施工状態を示す。
【0047】
<第2発明の第1実施形態>
次に、第2発明の流体機器接続構造1の第1実施形態について
図23から
図25を用いて説明する。
図23は、連結部材8の分解図を示す。
図24は、分離防止手段を用いた状態の連結部材8の斜視図を示す。
図25は、係合手段を用いた状態の連結部材8の斜視図を示す。
第2発明の第1実施形態の流体機器接続構造1は、連結部材8を除き、第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造1と構成が同じである。ここでは、第1発明の第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1発明の第1実施形態と共通する点は第1発明の第1実施形態と同じ番号を付することで適宜説明を省略する。
【0048】
まず、連結部材8の構造について
図23を用いて説明する。
連結部材8は、円筒形状であり、第1連結片81と第2連結片82から構成される。第1連結片81と第2連結片82は略半円形状に形成されている。第1連結片81には、第2連結片82方向であって、外側中央に板状の第1係止腕811a、811bが一対立設している。第1係止腕811a、811bの先端には、それぞれ分離防止を目的とした第1係止突起812a、812bが接続部21、31の半径方向外側に突出して形成されている。第1係止腕811a、811bが立設している面には、最終的に係合することを目的とした一対の第2係止突起813a、813b(813bは図示なし)が接続部21、31の半径方向外側に突出して形成されている。
【0049】
第2連結片82が第1連結片81と接触する面の外側両端には、一対の第2係止腕821a、821bが立設している。係止腕821は、接続部21、31の軸線と平行方向の両端から立設し、その先端がつながれたコの字状に形成されている。係止腕821の中央は長方形状の空洞が形成されている。第2係止腕821a、821bには、第1係止突起812a、812bと係合する係止受部822a、822b(822aは図示なし)が形成されている。
【0050】
連結部材8の作用について
図24、
図25を用いて説明する。
まず、連結部材8の分離防止手段を用いた状態について説明する。分離防止手段を用いた状態とは、第1連結片81の第1係止突起812a、812bと、第2連結片82の係止受部822a、822bが係合した状態である。この状態のときに矢印W方向から接続部21、31を通すことができる。分離防止手段を用いた状態で保管できるため、連結部材8が分離してばらけることがない。
次に、第2係止突起813a、813bと係止受部822a、822bが係合することにより、最終的な係合状態となる。
【0051】
以上、説明したように、第1発明の第1実施形態の流体機器接続構造1によれば、(1)第1接続部21を有する第1流体機器2と、第2接続部31を有する第2流体機器3と、第1接続部21及び第2接続部31を接続する環状シール部材4と、第1接続部21及び第2接続部31の接続状態を維持する連結部材8と、を有する流体機器接続構造1において、連結部材8は、第1連結片81と第2連結片82から成り、第1連結片81と第2連結片82を突き合わせた係合手段(第2係止突起813a、813b、係止受部822a、822b)を有し、第1連結片81と第2連結片82が分離しないための分離防止手段(第1係止突起812a、812b、係止受部822a、822b)を有すること、を特徴とするので、係合手段と分離防止手段をそれぞれ持っているため、施工中に第1連結片81と第2連結片82が分離せずバラバラにならず、管理が容易となる。また、支軸を持たないため、余分なスペースを必要とせず、省スペース化できる。
【0052】
(2)(1)に記載の流体機器接続構造1において、分離防止手段とは、第1連結片81と第2連結片82の突き合わせ方向に立設した第1連結片81の第1係止腕811a、811bと、第1連結片81と第2連結片82の突き合わせ方向に立設した第2連結片82の第2係止腕821a、821bとを備え、第1係止腕811a、811bの先端には、第1係止突起812a、812bが第1及び第2接続部21、31の半径方向外側に突出して形成されること、第2係止腕821a、821bには、第1係止突起812a、812bを受ける係止受部822a、822bが形成されること、を特徴とするので、第1係止突起812a、812bと係止受部822a、822bが係合することにより分離防止されるため、施工中に第1連結片81と第2連結片82が分離せずバラバラにならず、管理が容易となる。
【0053】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。