特開2017-18087(P2017-18087A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-18087(P2017-18087A)
(43)【公開日】2017年1月26日
(54)【発明の名称】低カロリーチョコレート組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20170105BHJP
   A23G 1/00 20060101ALI20170105BHJP
   A23G 1/30 20060101ALI20170105BHJP
【FI】
   A23L1/30 B
   A23G1/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-247278(P2015-247278)
(22)【出願日】2015年12月18日
(62)【分割の表示】特願2015-135767(P2015-135767)の分割
【原出願日】2015年7月7日
(11)【特許番号】特許第5956669号(P5956669)
(45)【特許公報発行日】2016年7月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森本 友規
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GG09
4B014GK03
4B014GL10
4B018LB01
4B018MD32
4B018MD48
4B018MF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分なチョコレート感が得られる低カロリーチョコレート組成物の提供。
【解決手段】甘味剤として、砂糖の全てをマルチトールに置換し、組成物全量に対し25〜50質量%マルチトールを含有する組成物において、オレウロペインを配合することにより、十分なチョコレート感が得られる低カロリーチョコレート組成物。オレウロペインの配合量が0.05〜0.3質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であることがより好ましい低カロリーチョコレート組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチトールが組成物全量に対して25〜50質量%含有される組成物において、オレウロペインを配合した低カロリーチョコレート組成物。
【請求項2】
オレウロペインの配合量が、組成物全量に対して0.05〜0.3質量%である請求項1に記載の低カロリーチョコレート組成物。
【請求項3】
オレウロペインの配合量が、組成物全量に対して0.1〜0.3質量%である請求項1または2の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、砂糖の一部若しくは全てをマルチトールに置換し、かつオレウロペインを高濃度含有するオリーブ葉抽出物を配合した低カロリーチョコレート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者や肥満治療者のQOLの向上や美容目的のダイエット、糖代謝異常者などの食生活改善など、日常摂取するカロリーを制限することを必要とするニーズを有する人が増加している。一方、チョコレートを素材とする菓子類の嗜好性は極めて高く、多くの菓子類にチョコレートが原料として使用されている。しかし、通常、チョコレートはカカオマスに砂糖、カカオバターなどを配合して作られており、糖質や脂質の含有量が高い典型的な高カロリー食品であることから、前記のような摂取カロリーの制限を行なっている人は食べることができなかった。
【0003】
これらの課題に対して、チョコレートのカロリーを低減させる検討が行なわれており、幾つかの提案がなされている。例えば、甘味料として高純度の結晶化マルチトール等を使用した低カロリーチョコレート(特許文献1)、糖質としてパラチニットを使用しレシチン等を入荷剤として使用した低カロリーチョコレート(特許文献2)、ココアバター、ココアニブ、およびエリスリトールとマルチトールの混合物を配合したチョコレート調合物(特許文献3)、甘味料としてマルチトール、ラクチトールおよびポリデキストロースを使用したダイエット用カロリー低減チョコレート(特許文献4)などが挙げられる。しかし、これらの提案は使用する砂糖を他の代替品に置換させる技術であり、脂質含有量に関しては若干低減させる程度であることから、チョコレート自体のカロリーは比較的高いため、摂取カロリーを制限している場合は少量しか食べることができないため満足感を得ることはできない。このため、さらにカカオマスやココアバターをカカオ以外の植物油脂類に置換し油脂含量を削減することでカロリーを大幅に低減したチョコレート加工品も提案されているが、口中に入れた際の口溶け感がチョコレートとは全く異なってしまうため、チョコレートを食べたという実感がなく満足感が得られないという課題点が残っている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−260894号公報
【特許文献2】特開平7−132047号公報
【特許文献3】特開8−242769号公報
【特許文献4】特表2002−534072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
砂糖の全量をマルチトールに置換した低カロリーのチョコレート組成物は、「チョコレートを食べたという感覚」が失われるため、食べたときに十分な満足感が得られないという課題点が存在する。甘味の強度や感じ方が砂糖に比べて大きく相違するために生じるものであり、甘味の感じ方だけで無く、口に入れた直後から口中に広がるチョコレートの香味も失われるため、チョコレートとは異質の食味が感じることから、前記チョコレート組成物を食べたときにチョコレートを食べたという満足感が得られないと考えられる。従って、本願発明は、砂糖の全量をマルチトールに置換しても十分なチョコレート感(おいしいチョコレートを食べたという満足感)が得られる低カロリーチョコレート組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、甘味剤として、砂糖の全量をマルチトールに置換したチョコレート組成物に、オレウロペインを配合することにより、十分なチョコレート感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本願発明は、特に以下の項1〜4に記載の組成物又は食品を提供するものである。
項1.マルチトールが組成物全量に対して25〜50質量%含有される組成物において、オレウロペインを配合した低カロリーチョコレート組成物。
項2.オレウロペインの配合量が、組成物全量に対して0.05〜0.3質量%である項1に記載の低カロリーチョコレート組成物。
項3.オレウロペインの配合量が、組成物全量に対して0.1〜0.3質量%である項1または2の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート組成物。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、チョコレート感を保持したままでカロリーを大幅に低減した嗜好性が高い低カロリーチョコレート組成物を提供することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の低カロリーチョコレート組成物は、砂糖の全量をマルチトールに置換したものである。マルチトールの甘味強度は砂糖に比べて弱いため、甘味を強調するタイプの組成物において甘味の強さが不足する場合は高度甘味料を併用することもできる。一方、砂糖などの単糖類や二糖類は、チョコレート組成物のカロリーを大きく高める可能性があるだけでなく、オレウロペインを配合したときに得られる本願効果を阻害する恐れがあるため、配合量はできる限り削減した方が好ましい。マルチトールは、組成物全量に対して25〜55質量%配合することが好ましい。より好ましくは30〜50質量%、最も好ましくは35〜45質量%である。また、併用できる高度甘味料は特に限定されない。例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、スクラロース、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステルが挙げられ、これらは単独若しくは組合せて使用できる。使用する高度甘味料の種類や配合量は、マルチトールの配合量やカカオ豆由来の原料の種類や配合量により左右されるだけでなく、高度甘味料の種類によっても相違するため、組成物の処方に応じて適宜決定する。
【0010】
本発明に用いるオレウロペインは、フェノール系化合物の配糖体の一種であり、モクセイ科オリーブ属の植物の花、果皮、果実、葉、樹皮、根または種子を水または水・エタノール混液を用いて抽出することにより得られる。モクセイ科オリーブ属の植物としては、例えば、オリーブ(Oleaeuropaea Linne)やその同属種(Oleawelwitschii、Oleapaniculataなど)などが挙げられる。オリーブの品種の代表例としては、例えば、ネバディブロンコ、マンザニロ、ピクアル、ホジブランコ、アルベキナ、カタマラ、コロネイキ、ピッチョリーネ、パラゴン、ワッガベルダル、ミッション、ワシントン、ウエストオースラリアミッション、サウスオーストラリアベルダル、アザパ、バルネア、コルニカブラ、ゴルダル、フラントイオ、レッチーノ、チプレッシーノ、ルッカ、アスコラーナテレナ、コレッジョッラ、モロイオロ、ブラックイタリアン、コラティーナ、ヘレナ、ロシオーラ、ワンセブンセブン、エルグレコ、ハーディズマンモスなどを挙げることができる。本願でいうオレウロペインとは、オリーブ(特に、オリーブ葉)の抽出物を精製し、オレウロペインを少なくとも抽出物全量に対して20質量%以上含有するオリーブ抽出物の精製処理物を意味する。
【0011】
オレウロペインは前記に例示されるオリーブ(Oleaeuropaea Linne)やその同属種(Oleawelwitschii、Oleapaniculataなど)の果皮、果実、葉、樹皮、根または種子に含まれており、特に葉は他部位に比べ多量に含まれていることが知られている。従って、オレウロペインの抽出において、葉を主体とした植物体を用いることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノールのほか、石油エーテル、ヘキサン、ブタノール、プロパノール、メタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびこれら溶媒の混合液が挙げられるが、温水および水−エタノール混合液が好ましい。水−エタノール混合液の混合比(水:エタノール)は、体積比で好ましくは約100:1〜約1:200、より好ましくは約20:1〜約1:20であり、最も好ましくは約1:9〜1:1である。
【0012】
抽出方法については、その溶媒の温度や原料に対する溶媒の重量比率、または抽出時間についても、種々の原料および使用する溶媒に対しそれぞれを任意に設定することができる。また、抽出時の溶媒の温度は約−4℃〜約200℃の範囲であればよいが、約30℃〜約150℃が好ましく、約40℃〜約80℃がより好ましい。また、抽出にオリーブ葉を用いる場合は、特開2003−335693に開示されているように、比較的オレウロペイン含量が高い生葉を用いることが好ましい。具体的には、生葉を常圧または減圧下、65℃以下または85℃〜145℃の温度で一定時間乾燥することにより、オリーブ葉中のオレウロペイン含量を高めた処理を行った後にオレウロペインの抽出を行うことが好ましい。
【0013】
溶媒抽出で得られたオレウロペインは含有量が低いため、得られたオリーブ抽出物は、さらに濃縮や精製処理を行う。例えば、このようにオリーブ葉から溶媒抽出した粗抽出液の溶媒を留去させた後、スチレンジビニルベンゼン重合樹脂(ダイアイオンHP20:三菱化学)、アンバーライトXAD樹脂:ロームアンドハース社、デュオライトS樹脂:ダイアモンドシャムロック社などの樹脂カラムに通し、減圧下で濃縮し、高温乾燥させることにより高濃度のオレウロペインを含有した抽出物を得ることができる。本発明で使用するオレウロペインは、このように濃縮・精製処理を行なうことで得られる粗精製物が含まれる。さらに、必要に応じて精製、濃縮、乾燥などの処理を行なうことにより、抽出物中のオレウロペインの含有量を高めたり、抽出物を配合した商品の品質(外観、香味など)の低下を抑制することができる。このような処理としては、例えば、酸(無機酸、有機酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)の添加による分解、醗酵処理、微生物を用いた代謝変換処理、イオン交換樹脂や活性炭、ケイ藻土等による成分吸着、クロマトグラフィーを用いた分画、濾紙やメンブランフィルター、限外濾過膜などを用いた濾過、加圧または減圧、加温または冷却、スプレードライ、凍結乾燥、pH調整、脱臭、脱色、低温における静置処理後のろ過処理による夾雑物の除去、などが例示でき、これらを任意に選択して組合せた処理を行って、さらに高い濃度のオレウロペインを含有するオリーブ抽出物を得ることができる。本発明で用いることのできるオレウロペインは、精製や濃縮等の処理を行って得られたオレウロペインを抽出物全量に対して20質量%以上含有するオリーブ抽出物である。なお、オリーブエキスに含まれるオレウロペイン以外の夾雑物の影響を低減するため、オリーブ抽出物のオレウロペイン含有量は25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが最も好ましい。オレウロペインの含有量が低い抽出物を使用すると、十分な効果が得られるオレウロペインの量を低カロリーチョコレート組成物に配合できなかったり、オリーブエキスに含まれるオレウロペイン以外の夾雑物が低カロリーチョコレートの品質に悪影響を与えたりすることから好ましくない。なお、本発明に用いるオレウロペインは市販されている原料を用いることもできる。例えば、オリーブ葉乾燥エキス(Frutarom Switzerland社製、オレウロペイン約20〜26%含有)、Oleuropein(Natac社製、オレウロペイン20%、22%若しくは40%含有)オリーブ葉エキス(バイオアクティブジャパン社製、オレウロペイン26%含有)オリーブ葉エキス(タマ生化学社製、オレウロペイン35%含有)、オピエース(エーザイフードケミカル社製、オレウロペイン35%含有)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
オレウロペインは低カロリーチョコレート組成物全量に対して、通常0.05〜0.3質量配合し、好ましくは0.1〜0.3質量%配合する。0.05質量%より少ない場合、食べたときの香味の広がりに欠け、十分なチョコレート感が得られないため好ましくない。一方、0.3質量%を超えて配合すると、食べた直後からオレウロペイン由来の強い苦味が感じられ、チョコレート感を大きく損ない、嗜好性も大幅に低下させる恐れがあるため好ましくない。甘味剤として、砂糖の全量をマルチトールに置換したチョコレート組成物において、オレウロペインを組成物全量に対して0.05〜0.3質量%配合する。これにより、組成物を食べた直後の香味の広がり感が大幅に改善され、かつ適度な甘味強度や甘さの感じ方がビターチョコレートを想起させる程度の適度な苦みと相まって、砂糖を配合した場合とは異なるチョコレート感を組成物に付与することができる。
【0015】
チョコレートには、甘味料と共にカカオ由来の原料を主成分として配合する必要がある。カカオ由来の原料としては、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキおよびココアパウダーが挙げられるが、主として、カカオマスとココアバターがチョコレートに使用されている。カカオニブとはカカオビーンズから殻部分を除去したものであり、カカオマスとはカカオニブを機械的方法で磨砕等の処理を行なったものである。ココアケーキやココアパウダーとは、カカオニブやカカオマスに脱脂処理等を行った後に得られるもので、ココアケーキを粉末化するとココアパウダーが得られる。ココアバターとはカカオニブなどに含まれる油脂を分離したものである。通常、カカオニブやカカオマスには過半量を超える油脂(ココアバター)が含有しており、ココアケーキやココアパウダーの油脂含有量は、カカオマスからの脱脂程度に左右され、任意に制御可能である。従って、用途に応じて、脂質含量の高いものから低いものまで様々な油脂含有量の原料が存在する。例えば、油脂含量が20〜30質量%程度の高油脂含有タイプ、同8〜15質量%程度の低油脂含有タイプ、同8質量%未満の脱脂タイプなどが挙げられる。チョコレートの主原料はこれらカカオ由来の原料であり、特にカカオニブやカカオマスは、配合した組成物にチョコレート特有の香味を付与する重要な原料である。従って、本願発明においてもカカオ由来原料の配合を阻害するものではない。しかし、カカオ由来の原料は油脂含有量が極めて高いものが多いため、砂糖をマルチトールに置換して得られる組成物よりも低いカロリーのチョコレートを得ようとした場合は、カカオ由来の原料の配合量も削減する必要がある。
【0016】
カカオ由来の原料を削減する場合、まず、油脂含有量の高いココアバターを削減することが有効である。ココアバターを削減し、チョコレート組成物中の油脂含有量が低くなるとチョコレート感を失うことから、削減したココアバターの代わりにカカオ由来以外の植物油脂を配合することが好ましい。この場合、カロリーの低減が実現させるため、配合する植物油脂の配合量を削減したココアバターの量より少なくする必要がある。カカオ以外の由来の植物油脂は特に限定されない。例えば、大豆油、ナタネ油、コメ油、ヤシ油、パーム核油、パーム油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、落花生油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アーモンド油などが挙げられ、通常、複数の植物油脂を配合することが好ましい。本願で用いる本発明の低カロリーチョコレート組成物においては組成物全体に対する脂質含量を30質量%以下とする。好ましくは28質量%、最も好ましくは26質量%以下である。カカオ由来以外の植物油脂は、組成物中の脂質含量が前記の範囲内に留まる程度の量とすることが必要である。一方、脂質含量を極端に低くすれば組成物自体のカロリーを大幅に低減できるが、チョコレート感が失われるため、組成物中に含まれる脂質量は少なくとも20質量%以上、好ましくは23質量%以上、最も好ましくは24質量%以上必要である。ここにおいて油脂含量とは、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(平成11年4月26日付衛新第13号新開発食品保健対策室長通知)」に示されている測定方法を用いて得られる組成物中の脂質量を意味する。
【0017】
砂糖とココアバターを配合しないチョコレート組成物のカロリーを、さらに低減するためには、カカオニブやカカオマスを削減する必要がある。これらの原料を削減すると、チョコレート特有の風味が大きく損なわれる可能性が高いため、削減した量に応じてココアケーキやココアパウダーを配合することが好ましい。カカオマス等の削減量が多い場合は、チョコレート組成部中の油脂含有量が低くなりすぎることから、カカオ由来以外の植物油脂を配合することが好ましい。ココアパウダーの配合量は、通常10〜35質量%であり、好ましくは15〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。加えて、ココアパウダーと植物油脂の合計の配合量は、15〜60質量%、好ましくは25〜55質量%、より好ましくは35〜50質量%、最も好ましくは、40〜45質量%である。
【0018】
本発明の低カロリーチョコレート組成物には、配合後の組成物中の脂質含量が30%を越えず、かつ本発明の効果を損なわない範囲であれば公知の食品原料を配合することができる。また、健康志向の食品としても使用できるため、例えば、健康の維持・向上に有用と考えられている、乾燥野菜、乾燥果実、木の実類、オリーブ以外の植物の抽出物、植物由来の配糖体やアグリコンなどを配合することも好ましい実施形態である。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0020】
官能評価
表1に示した組成物を常法に従い調製し、専門パネル3名の官能評価で行なった。評価項目は、「香味のバランス」[1(非常に悪い)〜7(非常に良い)]、「チョコレート感の変化」[1(かなり感じる)〜7(全く感じない)]、「(チョコレートとして)異質な苦味の有無」[1(かなり感じる)〜7(全く感じない)]を7段階の絶対評価にて実施した。評価点は各々の平均値を求め、さらに被検体ごとに合計値を算出した。なお、オリーブ葉エキスAは、オレウロペインを全量に対して35質量%含有するオリーブ葉抽出物である。得られた結果を、表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示したとおり、砂糖を配合しない処方において、チョコレートとしての評価が最も高かった。なお、同様の評価を、オリーブ葉Aエキス配合量を0.375質量%に減じた処方で実施したが、各々の処方において、配合量が0.75質量%の場合とほぼ同じ結果を示した。
【0023】
処方例
以下、本発明の低カロリーチョコレート組成物の処方例を示すが、これらの処方に限定されるものではない。なお、以下の配合量はいずれも「質量%」を示す。
【0024】
処方例1 チョコレート

成分 配 合 量
オリーブ葉抽出物B 0.25
マルチトール 35
カカオマス 15
植物油脂混合物A 20
ココアパウダー 10
香料 適量
難消化性デキストリン 残 部
合 計 100

植物油脂混合物A 大豆油、ナタネ油、コメ油とレシチンの混合物
オリーブ葉抽出物B オレウロペイン含有量20質量%
【0025】
処方例2 チョコレート
成分 配合量
オリーブ葉抽出物C 1
マルチトール 45
カカオマス 5
植物油脂混合物B 25
ココアパウダー 15
香料 適量
イヌリン 残部
合 計 100

植物油脂混合物B ナタネ油、パーム油、コメ油とレシチンの混合物
オリーブ葉抽出物C オレウロペイン含有量30質量%
【0026】
処方例3 チョコレート

成分 配合量
オリーブ葉抽出物D 1
マルチトール 50
カカオマス 10
植物油脂混合物A 15
ココアパウダー 25
アーモンド破砕物 2
ポリデキストロース 残部
合 計 100

オリーブ葉抽出物D オレウロペイン含有量26質量%
【0027】
処方例4 チョコレート
成分 配 合 量
オリーブ葉抽出物C 0.125
マルチトール 25
カカオマス 40
カカオバター 20
香料 適 量
イヌリン 残 部
合 計 100

オリーブ葉抽出物E オレウロペイン含有量40質量%
【手続補正書】
【提出日】2016年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチトールが組成物全量に対して25〜50質量%含有される組成物において、オレウロペインを組成物全量に対して0.05〜0.3質量%配合し、甘味剤として砂糖の全量をマルチトールに置換した低カロリーチョコレート組成物。
【請求項2】
組成物全体に対する脂質含量を20〜30質量%とした請求項1に記載の低カロリーチョコレート組成物
【請求項3】
オレウロペインの配合量が、組成物全量に対して0.1〜0.3質量%である請求項1または2の何れか1項に記載の低カロリーチョコレート組成物。