(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-181180(P2017-181180A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】機械の送り軸の寿命管理方法及び寿命管理装置
(51)【国際特許分類】
G01M 13/02 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
G01M13/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-65919(P2016-65919)
(22)【出願日】2016年3月29日
(11)【特許番号】特許第6104421号(P6104421)
(45)【特許公報発行日】2017年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】矢田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】和田 広之
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AB11
2G024BA12
2G024CA04
2G024DA09
2G024EA11
(57)【要約】
【課題】機械の送り軸を構成する動力伝達機構の寿命を、使用実態に合わせて的確にかつ容易に管理する。
【解決手段】機械の送り軸を構成する動力伝達機構10の寿命管理方法であって、送り軸のストロークSを複数の領域S
1〜S
4に分割する段階、送り軸の移動時間又は送り軸の移動量を領域毎に積算する段階、及び積算する段階で積算された積算移動時間又は積算移動量が予め定めた動力伝達機構の領域寿命に達したか否かを判定する段階、を含む動力伝達機構の寿命管理方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力伝達機構によって構成される機械の送り軸の寿命管理方法であって、
前記送り軸のストロークを複数の領域に分割する段階、
前記送り軸の移動時間又は前記送り軸の移動量を前記領域毎に積算する段階、及び
前記積算する段階で積算された積算移動時間又は積算移動量が予め定めた前記動力伝達機構の領域寿命に達したか否かを判定する段階、を含むことを特徴とした機械の送り軸の寿命管理方法。
【請求項2】
前記機械の送り軸は直動送り軸又は回転送り軸である、請求項1に記載の機械の送り軸の寿命管理方法。
【請求項3】
前記直動送り軸を構成する動力伝達機構は、回転運動を行う第1の機械要素と、前記第1の機械要素に係合する第2の機械要素であって、前記第1の機械要素の回転運動に基づいて往復直線運動を行う第2の機械要素とを具備しており、
前記送り軸の移動量は前記第2の機械要素の移動距離で表される、請求項2に記載の機械の送り軸の寿命管理方法。
【請求項4】
前記回転送り軸を構成する動力伝達機構は、回転運動を行う第1の機械要素と、前記第1の機械要素に係合する第2の機械要素であって、前記第1の機械要素の回転運動に基づいて往復回転運動を行う第2の機械要素とを具備しており、
前記送り軸の移動量は前記第2の機械要素の回転角度で表される、請求項2に記載の機械の送り軸の寿命管理方法。
【請求項5】
動力伝達機構によって構成される機械の送り軸の寿命管理を行う寿命管理装置であって、
前記送り軸のストロークを複数の領域に分割し、前記送り軸の移動時間又は前記送り軸の移動量を前記領域毎に積算するカウンタ部と、
積算された積算移動時間又は積算移動量が予め定めた前記動力伝達機構の領域寿命に達したか否かを判定する消耗判定部と、
前記領域毎の積算された積算移動時間又は積算移動量を前記領域寿命とともに表示する報知手段と、
を具備することを特徴とした機械の送り軸の寿命管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の送り軸の寿命管理、特に機械の送り軸等を構成する動力伝達機構の寿命管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボールねじが、例えば工作機械の直動送り軸に用いられている。ボールねじは回転するねじ軸とそのねじ軸に螺合して直線運動を行うナットを具備している。ナットの内部には、ねじ軸との摩擦を低減するために複数のボールが組み込まれている。またナットにはワークを取り付けるスライダが固定されている。
【0003】
ボールねじの寿命は、ボールねじ製造者が提供するデータを基に計算することができ、それは以下に示す総回転数としてあるいはそれを換算した寿命時間又は寿命移動距離として表される。
総回転数(定格寿命)L=(Ca/Fa・fw)
3×10
6(rev)
寿命時間 Lh=L/60・N=L・Ph/2・60・n・S(H)
寿命移動距離 Ls=L・Ph/10
6(km)
ここで、
Ca:基本動定格荷重(N)
Fa:軸方向負荷荷重(N)
fw:荷重係数
n:毎分往復数(min
−1)
Ph:ボールねじのリード(mm)
S:ストローク(mm)
である。
したがって、工作機械の使用者は、工作機械のボールねじのねじ軸の例えば回転時間をデータとして蓄積し、それを寿命時間と比較することによりボールねじの寿命管理を行うことができる。
【0004】
特許文献1には、機械要素の必須な整備に至るまでの期間を判定するための方法が記載されている。この方法では、送り軸が生み出すストロークの各位置において作用する力(負荷)が測定されて積算される。そして、積算した力を予め設定した限界量と比較することにより残寿命が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−518705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実際のボールねじは、その計算した総回転数、寿命時間、又は寿命移動距離に達する前に寿命に達することがしばしばある。これは、総回転数等はボールねじのねじ軸の全長が均等に利用されることを前提とした値であるのに対して、実際の工作機械のねじ軸には加工に使われる頻度の高い領域と低い領域が生じ、頻度の高い領域のねじ軸の摩耗が先行するからである。ねじ軸の摩耗が進んだ部分においてバックラッシが増大して所定の加工精度が得られなくなると、ボールねじは寿命を迎える。従来、このようなボールねじの寿命の想定外の到来は、生産計画あるいは設備計画に大きな影響を与えることがあった。
【0007】
特許文献1では、ボールねじに作用する力の積算値が予め定めた限界量と比較されて寿命が判定されるが、そのような力の積算値の限界量を寿命に関連付けた信頼度の高いデータとして予め定めることは簡単ではないと考えられる。またそのようなデータは一般的に知られていない。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、機械の送り軸を構成する動力伝達機構の寿命を、使用実態に合わせて的確にかつ容易に管理することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、動力伝達機構によって構成される機械の送り軸の寿命管理方法であって、送り軸のストロークを複数の領域に分割する段階、送り軸の移動時間又は送り軸の移動量を前記領域毎に積算する段階、及び積算する段階で積算された積算移動時間又は積算移動量が予め定めた動力伝達機構の領域寿命に達したか否かを判定する段階を含む機械の送り軸の寿命管理方法が提供される。
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、動力伝達機構によって構成される機械の送り軸の寿命管理を行う寿命管理装置であって、送り軸のストロークを複数の領域に分割し、送り軸の移動時間又は送り軸の移動量を前記領域毎に積算するカウンタ部と、積算された積算移動時間又は積算移動量が予め定めた動力伝達機構の領域寿命に達したか否かを判定する消耗判定部と、領域毎の積算された積算移動時間又は積算移動量を領域寿命とともに表示する報知手段と、を具備する機械の送り軸の寿命管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、送り軸のストロークが分割され、その分割された領域毎に送り軸の移動量や移動時間が積算されて監視されるので、的確に寿命の管理を行うことが可能になる。また、領域毎の消耗度合いが報知されるようにすれば、消耗の進んでいない領域を積極的に利用することによって消耗度合いを平準化することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による寿命管理方法が適用される動力伝達機構の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による寿命管理方法が適用される動力伝達機構の他の一例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による寿命管理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による動力伝達機構の寿命管理方法について図面を参照して説明する。
本実施形態による寿命管理方法が適用される動力伝達機構10が
図1に示される。
図1の動力伝達機構10は、マシニングセンタ等の工作機械の直動送り軸、この例では、ワークWが載置されるテーブルとしてのスライダ13が往復直線移動するY軸送り軸に用いられているボールねじ10である。ボールねじ10は、第1の機械要素としてねじ軸11、及びねじ軸11に螺合している第2の機械要素としてナット12を具備する。ナット12の内部には、螺合部の摩擦を低減するために、図示しない複数のボールが組み込まれている。ナット12はスライダ13に結合され、またねじ軸11はそれを回転駆動する図示しない電動モータに連結されている。ねじ軸11は、工作機械の2つの軸受部14によって回転可能に支持されている。スライダ13は工作機械のガイドレール15によって滑動可能に支持されている。
【0014】
動力伝達機構10は、以上のように構成されているので、ねじ軸11が電動モータによって正逆回転すると、ナット12及び従ってスライダ13が往復直線移動をする。ナット12の直線移動のストロークSは、2つの軸受部14の間の長さより、少なくともナット12の厚さ分だけ短く設定されている。なお、本明細書では、ナット12のストロークSを送り軸のストロークSあるいは単にストロークSともいう。
【0015】
本実施形態の寿命管理方法では、ストロークSが複数の領域、例えば
図1に示されるような4つの領域S
1〜S
4に等分割され、分割された領域S
1〜S
4毎に消耗度が監視される。その場合、ボールねじの寿命時間又は寿命移動距離も1/4に分割される。本明細書では、ストロークSの分割に応じて分割された寿命時間及び寿命移動距離をそれぞれ領域寿命時間及び領域寿命移動距離と呼び、またそれらを領域寿命と総称する。
図1の例では、例えば寿命時間が20000時間なら領域寿命時間は5000時間であり、寿命移動距離が20000kmなら領域寿命移動距離は5000kmである。
【0016】
ここで、最初に、領域寿命時間を監視する場合を例に説明する。本実施形態の方法は、加工プログラムがY軸移動を指令しているとき、その移動時間を領域S
1〜S
4毎に算出して領域S
1〜S
4毎に積算し、4つの領域S
1〜S
4の各々に関して積算された積算移動時間が前記動力伝達機構10の予め定めた領域寿命時間に達したか否かを判定する。
【0017】
より詳しく説明すると、この方法では、移動時間は加工プログラムから算出され、そのため加工プログラムが実行されると、機械制御装置がプログラム開始時刻をセットし、移動時間データ入力プログラムを呼び出す。移動時間データ入力プログラムにおいて、移動時間の計算は加工プログラムの1ブロック毎に行われる。移動時間の計算は、加工プログラムがY軸移動を指令していれば行われる。そして、領域S
1〜S
4の各々が移動範囲に含まれるか否かが調べられ、移動範囲に含まれる領域S
1〜S
4に対しては、移動時間が算出されて、算出された値が、別の加工プログラムも含めてその時までに領域S
1〜S
4毎に蓄積されていた積算移動時間に加算されて積算移動時間が更新される。したがって、この方法によると、ある一つの工作機械に関して、それを指令する全ての加工プログラムで移動時間が領域S
1〜S
4毎に算出され、算出された移動時間が領域S
1〜S
4毎に積算される。また、工作機械のX軸及びZ軸の送り軸に対しても同様に積算移動時間が算出されて蓄積されてよい。
【0018】
加工プログラムの1ブロックが終了した直後に、機械制御装置は、消耗品稼働時間カウント監視処理プログラムを呼び出す。消耗品稼働時間カウント監視処理プログラムでは、各領域S
1〜S
4の積算移動時間が、表示装置に送られて領域寿命時間と共に表示される一方で、領域寿命時間(しきい値)に達しているか否かがチェックされる。そして、積算移動時間が領域寿命時間に達している領域が一つでもあるなら、寿命の超過を報知するメッセージが表示装置に表示されるとともに、サイクル停止が行われる。
【0019】
次に、領域寿命移動距離を監視する場合を説明する。この方法は、加工プログラムがY軸移動を指令しているとき、その移動距離を領域S
1〜S
4毎に算出して領域S
1〜S
4毎に積算し、4つの領域S
1〜S
4の各々に関して積算された積算移動距離が動力伝達機構10の予め定めた領域寿命移動距離に達したか否かを判定する。
【0020】
より詳しく説明すると、この方法では、Y軸の移動距離は加工プログラムから算出されるので、加工プログラムが実行されると、機械制御装置が、移動距離データ入力プログラムを呼び出す。移動距離データ入力プログラムにおいて、移動距離の計算は加工プログラムの1ブロック毎に行われる。移動距離の計算は、Y軸移動が指令されているなら、加工プログラムのY軸の移動開始座標と移動終了座標に基づいて、移動範囲に含まれる領域S
1〜S
4に対して算出されて、算出された値が、別の加工プログラムも含めてその時までに領域S
1〜S
4毎に蓄積されていた積算移動距離に加算され、積算移動距離が更新される。したがって、この方法によると、ある一つの工作機械に関して、それを指令する全ての加工プログラムで移動距離が領域S
1〜S
4毎に算出され、算出された移動距離が領域S
1〜S
4毎に積算される。また、工作機械のX軸及びZ軸の送り軸に対しても同様に積算移動距離が算出されて蓄積されてよい。
【0021】
加工プログラムの1ブロックが終了した直後に、機械制御装置は、消耗品稼働距離カウント監視処理プログラムを呼び出す。消耗品稼働距離カウント監視処理プログラムでは、各領域S
1〜S
4の積算移動距離が、表示装置に送られて領域寿命移動距離と共に表示される一方で、領域寿命移動距離(しきい値)に達しているか否かがチェックされる。そして、積算移動距離が領域寿命移動距離に達している領域が一つでもあるなら、寿命の超過を報知するメッセージが表示装置に表示されるとともにサイクル停止が行われる。
【0022】
前述の実施形態では、領域寿命時間と領域寿命移動距離が監視されていたが、本実施形態による方法は、総回転数に基づく領域総回転数を監視することも可能である。この場合の方法は、加工プログラムがY軸移動を指令しているとき、その移動距離を領域S
1〜S
4毎に算出してから回転数に換算し、その回転数を領域S
1〜S
4毎に積算し、4つの領域S
1〜S
4の各々に関して積算された積算回転数が動力伝達機構10の予め定めた領域総回転数(しきい値)に達したか否かを判定する。
【0023】
前述の実施形態の寿命管理方法は、工作機械の直動送り軸に対して適用されたが、本発明による寿命管理方法は、工作機械のA軸、B軸、C軸のような回転送り軸に対して適用することも可能である。回転送り軸を構成する動力伝達機構20は、例えば
図2に示されるようなウォーム21とウォームホイール22から構成される。この場合、動力伝達機構20の第1の機械要素はウォーム21であり、第2の機械要素がウォームホイール22である。ウォーム21にはそれを駆動するための電動モータ(図示せず)が連結されているので、ウォームホイール22は、電動モータの正逆転に応じて往復回転運動を行う。ウォームホイール22は回転テーブル(図示せず)と同軸に取り付けられる。
【0024】
回転送り軸のストロークSは、ウォームホイール22の回転ストロークSとして角度を単位として表現される。本実施形態では回転ストロークSは丁度360度に設定され、それが6つの領域S
1〜S
6に等分割されている。そして、ウォームホイール22の領域寿命時間及び領域寿命移動距離が予め定められている。
【0025】
領域寿命時間を監視する場合、前述の直動送り軸に適用した実施形態から類推されるように、加工プログラムから、ウォームホイール22の回転移動時間を領域S
1〜S
6毎に算出して領域S
1〜S
6毎に積算し、6つの領域S
1〜S
6の各々に関して積算された積算回転移動時間が予め定めた領域寿命時間(しきい値)に達したか否かを判定する。
【0026】
領域寿命移動距離を監視する場合、やはり前述の直動送り軸に適用した実施形態から類推されるように、加工プログラムから、ウォームホイール22の回転角度を領域S
1〜S
6毎に算出してそれを領域S
1〜S
6毎に積算し、6つの領域S
1〜S
6の各々に関して積算された積算回転角度が予め定めた領域回転寿命角度(しきい値)に達したか否かを判定する。
【0027】
本実施形態による方法を直動送り軸に適用した場合における「移動距離」及び回転送り軸に適用した場合における「回転角度」は共に直動送り軸又は回転送り軸が生み出した移動量である。したがって、本明細書ではそれらを「送り軸の移動量」あるいは単に「移動量」と総称する。
【0028】
本実施形態の寿命管理方法によると、送り軸のストロークSが分割され、その分割された領域毎に送り軸の移動量や移動時間が積算されて監視されるので、的確に寿命の管理を行うことが可能になる。また、消耗度合いを平準化するために、例えば、軸移動が少ないワークに対しては、消耗の進んでいない領域にシフトして加工を行うといった対策をうつことも可能になる。さらに、寿命に達した領域が生じたときに、その領域を避けて加工を実施することが可能であれば、直ちにその工作機械の運用停止に至ることが回避される。
【0029】
次に、前述の寿命管理方法を実施することのできる、本発明の実施形態による寿命管理装置について、そのブロック図である
図3を参照して説明する。
本実施形態の寿命管理装置は、工作機械の機械制御装置の一つの構成要素として形成されている。
図3には、寿命管理装置に関係するNC装置の読取り解釈部42、補間演算部43、サーボ制御部44、及び各送り軸モータ45、並びに機械制御装置の構成要素である入力部41も示されている。
【0030】
本実施形態による寿命管理装置30は、軸移動監視部31、カウンタ部32、消耗判定部34、寿命データベース35、領域寿命ブロック36、及び表示装置37を具備している。以下に、それら構成要素がどのように働くかを説明する。
【0031】
軸移動監視部31には、工作機械の各軸のストロークS及び回転ストロークSの分割された領域の数が入力部41を介して入力される。また、軸移動監視部31には、NC装置の読取り解釈部42を介して加工プログラムが転送される。そして、軸移動監視部31は、加工プログラムの1ブロック毎に、各軸の移動時間、移動量、及び第1の機械要素の回転量を領域毎に算出してカウンタ部32に送る。カウンタ部32は、軸移動監視部31から送られた各軸の前記3種のデータを各軸の領域毎に積算し、その積算データを消耗判定部34に送る。
【0032】
一方、寿命データベース35には、入力部41を介して入力された各送り軸の定格寿命である総回転数、寿命時間、及び寿命移動距離(回転量、時間、距離)が記憶されている。寿命データベース35のこれらの寿命データは、領域寿命ブロック36へ送られ、そこで、軸移動監視部31から送られてきた領域数に基づいて各送り軸の領域寿命が算出される。消耗判定部34は、各軸の各領域についてカウンタ部32から送られてきた積算データと領域寿命とを表示装置37に送るとともに、それらを比較して、積算データが領域寿命(しきい値)に達している領域があればその旨を表わすメッセージを表示装置37に送り、サイクル停止信号を読取り解釈部42に送ることができる。
【0033】
本発明による動力伝達機構の寿命管理方法及び寿命管理装置は、例えば、直動送り軸ならボールを有しないナットとねじ軸とから構成される送りねじ、及びラック・ピニオン、回転送り軸なら大内歯車とピニオン、大外歯車とピニオン、及び遊星歯車のような動力伝達機構を寿命管理の対象にすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 動力伝達機構(ボールねじ)
11 ねじ軸
12 ナット
13 スライダ
14 軸受部
20 動力伝達機構
21 ウォーム
22 ウォームホイール
S ストローク
S1〜S4 領域