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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-181451(P2017-181451A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】移動式検査機
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
   G01M3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-72860(P2016-72860)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 祐一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 修一
(72)【発明者】
【氏名】畠中 健
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB12
2G067BB26
2G067BB40
2G067CC04
2G067DD17
2G067EE12
(57)【要約】
【課題】作業者が警報音を聴認した際には、迅速且つ正確に、その警報音を消音又は音量低下させる移動式検査機を提供する。
【解決手段】地表面g側の検査対象空気を導入して検査する検査部Aと、検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部Bとを備えた本体Cと、本体Cの作動を制御する制御部と、本体Cを地表面gに沿って移動操作するハンドル6とを備え、本体Cが所定の検査姿勢にある状態でハンドル6を地表面g側の収納位置に位置させた第1姿勢と、本体Cが検査姿勢にある状態でハンドル6を収納位置よりも上方側の移動操作位置に位置させた第2姿勢と、第1姿勢及び第2姿勢とは異なる第3姿勢とにハンドル6の操作で姿勢変更自在に構成され、制御部は、第3姿勢になったとき、警報音発生部Bから警報音を発生させない、又は、警報音の音量を設定音量よりも小さくする警報音量制御を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面側の検査対象空気を導入して検査する検査部と、前記検査部での検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部とを備えた検査機本体と、
前記検査機本体の作動を制御する制御部と、
前記検査機本体を地表面に沿って移動操作する操作ハンドルと、が備えられている移動式検査機であって、
前記検査機本体が所定の検査姿勢にある状態で前記操作ハンドルを地表面側の収納位置に位置させた第1姿勢と、前記検査機本体が前記検査姿勢にある状態で前記操作ハンドルを前記収納位置よりも上方側の移動操作位置に位置させた第2姿勢と、前記第1姿勢及び前記第2姿勢とは異なる第3姿勢とに前記操作ハンドルの操作で姿勢変更自在に構成され、
前記制御部は、前記第3姿勢になったとき、前記警報音発生部から警報音を発生させない、又は、警報音の音量を設定音量よりも小さくする警報音量制御を実行する移動式検査機。
【請求項2】
前記第3姿勢は、前記検査機本体が前記検査姿勢以外の非検査姿勢となる姿勢に設定されている請求項1記載の移動式検査機。
【請求項3】
前記検査部には、前記検査機本体の底面側で外部開放される空気捕集部が備えられ、
前記検査機本体の検査姿勢は、前記空気捕集部の周囲部が地表面に接した姿勢であり、
前記検査機本体の非検査姿勢は、前記空気捕集部の周囲部が地表面から浮いた姿勢である請求項2記載の移動式検査機。
【請求項4】
前記第3姿勢には、前記検査機本体が前記空気捕集部の周囲部を地表面から浮かせた前記非検査姿勢にある状態で自立する姿勢が含まれている請求項3記載の移動式検査機。
【請求項5】
前記第3姿勢は、前記検査機本体の地表面に沿った移動操作が阻害される姿勢に設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動式検査機。
【請求項6】
前記第3姿勢は、前記操作ハンドルが前記第2姿勢の前記移動操作位置を基準にして前記第1姿勢の前記収納位置とは反対側に位置する姿勢に設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動式検査機。
【請求項7】
前記検査部の検査結果を表示する表示部が備えられ、
前記制御部は、前記第3姿勢になったとき、前記検査部及び前記表示部は作動状態に維持しながら前記警報音量制御を実行する請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動式検査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表面側の検査対象空気を導入して検査する検査部と、前記検査部での検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部とを備えた検査機本体と、前記検査機本体の作動を制御する制御部と、前記検査機本体を地表面に沿って移動操作する操作ハンドルと、が備えられている移動式検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の移動式検査機として、従来、地中に埋設されたガス導管からのガス漏洩を検査するガス漏洩検査機が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
かかるガス漏洩検査機は、具体的に、検査機本体の姿勢をその底面側で外部開放される空気捕集部の周囲部が地表面に接する検査姿勢とした状態で、操作ハンドルの位置を上方側の移動操作位置に位置させた第1姿勢で検査を行う。その検査時には、作業者が操作ハンドルを押して検査機本体を地表面に沿って移動操作させると、地表面側の検査対象空気が検査部に導入されて検査され、例えば検査対象空気中に可燃性ガス等の特定成分が許容範囲を超えて存在している場合などのような異常状態である場合には、警報音発生部により警報音が発生される。
【0003】
また、このガス漏洩検査機は、操作ハンドルを上下揺動可能とするヒンジ機構を有しており、検査機本体の姿勢を上記検査姿勢とした状態で、操作ハンドルの位置を地表面側の収納位置に下げることで、コンパクトに収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−152546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の移動式検査機では、警報音が一旦発生されると、作業者が音量スイッチを操作するまでは、比較的大音量の警報音が継続して発生される。
しかしながら、音量スイッチの操作が煩雑であったり、当該音量スイッチの操作を完了するまでに時間を要するものであったりする場合には、作業者が警報音を十分に聴認しているのにも拘らず、警報音が必要以上に継続されてしまうことがある。特に、音量スイッチが、作業者の手元から離れた地表面側の検査機本体に配置されている場合には、作業者が警報音を聴認してからその音量スイッチを操作するまでに、作業者は操作ハンドルから手を離して音量スイッチに手が届くまで身体を屈ませるといった動作が必要となるので、比較的長い時間を要する。そして、このように警報音が必要以上に継続される場合には、近隣住民等に対し騒音被害や余計な不安感を与える等の問題が生じる。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、上記移動式検査機において、作業者が警報音を聴認した際には、迅速且つ正確に、その警報音を消音又は音量低下させる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、地表面側の検査対象空気を導入して検査する検査部と、前記検査部での検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部とを備えた検査機本体と、
前記検査機本体の作動を制御する制御部と、
前記検査機本体を地表面に沿って移動操作する操作ハンドルと、が備えられている移動式検査機であって、
前記検査機本体が所定の検査姿勢にある状態で前記操作ハンドルを地表面側の収納位置に位置させた第1姿勢と、前記検査機本体が前記検査姿勢にある状態で前記操作ハンドルを前記収納位置よりも上方側の移動操作位置に位置させた第2姿勢と、前記第1姿勢及び前記第2姿勢とは異なる第3姿勢とに前記操作ハンドルの操作で姿勢変更自在に構成され、
前記制御部は、前記第3姿勢になったとき、前記警報音発生部から警報音を発生させない、又は、警報音の音量を設定音量よりも小さくする警報音量制御を実行する点にある。
【0008】
本構成によれば、検査機本体が上記検査姿勢にある状態で操作ハンドルを地表面側の収納位置に位置させた第1姿勢となって、コンパクトな収納が可能となる。一方、検査機本体が上記検査姿勢にある状態で操作ハンドルを上記収納位置よりも上方側の移動操作位置に位置させた第2姿勢となって、検査部により地表面側の検査対象空気の検査が可能となる。そして、このような検査時において、警報発生部により警報音が発生された場合には、上記第2姿勢から上記第3姿勢への姿勢変更が行われることで、上記警報音量制御を実行し、上記発生した警報音を消音又は音量低下させることができる。
【0009】
このように上記警報音量制御が実行される上記第3姿勢が、収納時の上記第2姿勢及び検査時の上記第2姿勢とは異なる姿勢とされており、更には、これら第1姿勢及び第2姿勢に対し操作ハンドルの操作で姿勢変更自在な姿勢とされている。
このことで、上記第3姿勢への姿勢変更が、検査時において操作ハンドルを把持した状態のままで当該操作ハンドルを操作するというような簡単に実行可能なものであるので、上記第2姿勢での検査時において警報音発生部により警報音が発生された場合に、迅速且つ正確に、上記第3姿勢への姿勢変更を行って上記警報音量制御を実行させ、警報音を消音又は音量低下させることができる。
【0010】
従って、本発明により、作業者が警報音を聴認した際には、迅速且つ正確に、その警報音を消音又は音量低下させることができる移動式検査機を提供することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記第3姿勢は、前記検査機本体が前記検査姿勢以外の非検査姿勢となる姿勢に設定されている点にある。
【0012】
本構成によれば、検査時において、作業者は検査機本体を検査姿勢に維持するのが通常であることから、検査機本体がその検査姿勢以外の非検査姿勢となる第3姿勢は、作業者の意思がない限り通常の検査時ではなり難い姿勢となる。
よって、検査時において無意識に上記第3姿勢に姿勢変更されることが抑制されるので、無用な上記警報音量制御の実行を回避することができる。
また、上記非検査姿勢は上記検査姿勢と明確に区別し得る姿勢であることから、検査機本体が当該非検査姿勢となる上記第3姿勢への姿勢変更により上記警報音量制御が実行される状態が、明確に認識可能なものとなる。これにより、例えば作業者は、警報音が発生されたがその警報音が警報音量制御により一時的に消音中又は音量低下中であることを明確に認識でき、警報音の発生時に必要な対応等を確実に遂行することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記検査部には、前記検査機本体の底面側で外部開放される空気捕集部が備えられ、
前記検査機本体の検査姿勢は、前記空気捕集部の周囲部が地表面に接した姿勢であり、
前記検査機本体の非検査姿勢は、前記空気捕集部の周囲部が地表面から浮いた姿勢である点にある。
【0014】
本構成によれば、上記第2姿勢での検査時では、検査機本体の姿勢が上記空気捕集部の周囲部が地表面に接した検査姿勢になるので、当該地表面側の検査対象空気が当該空気捕集部に適切に導入される。一方、上記第3姿勢での上記警報音量制御の実行時では、検査機本体の姿勢が上記空気捕集部の周囲部が地表面から浮いて地表面側の検査対象空気が当該空気捕集部に適切に導入されない非検査姿勢になるので、その非検査姿勢が検査姿勢と区別して明確になり、上記警報音量制御が実行される状態を正確に認識することができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記第3姿勢には、前記検査機本体が前記空気捕集部の周囲部を地表面から浮かせた前記非検査姿勢にある状態で自立する姿勢が含まれている点にある。
【0016】
本構成によれば、上記第3姿勢での上記警報音量制御の実行時では、検査機本体が空気捕集部の周囲部を地表面から浮かせた上記非検査姿勢にある状態で自立することができる。このことで、上記警報音量制御の実行時において、作業者は、上記第3姿勢で自立させた状態で、操作ハンドルから手を離して、警報音の発生時に必要な対応等をスムーズに遂行することができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記第3姿勢は、前記検査機本体の地表面に沿った移動操作が阻害される姿勢に設定されている点にある。
【0018】
本構成によれば、上記第2姿勢での検査時においては、無意識に上記第3姿勢への姿勢変更された場合でも、検査機本体の地表面に沿った移動操作が阻害されることでその姿勢変更を把握して是正することができ、結果、無用な上記警報音量制御の実行を回避することができる。更に、上記第3姿勢での警報音量制御の実行後に再度検査を行う際には、検査機本体の地表面に沿った移動操作を許容せるために、確実に上記第3姿勢から上記第2姿勢への姿勢変更が行われることになって、警報音量制御が確実に終了することになるので、警報音を消音又は音量低下したままでの検査を防止することができる。
【0019】
本発明の第6特徴構成は、前記第3姿勢は、前記操作ハンドルが前記第2姿勢の前記移動操作位置を基準にして前記第1姿勢の前記収納位置とは反対側に位置する姿勢に設定されている点にある。
【0020】
本構成によれば、検査時の上記第2姿勢において、収納状態に遷移させる場合には、移送操作位置にある操作ハンドルを地表面側の収納位置に変位させて上記第1姿勢へ姿勢変更するのに対し、警報音量制御を実行させる場合には、移動操作位置にある操作ハンドルを上記収納位置とは反対側の位置に変位させて上記第3姿勢へ姿勢変更することとなる。即ち、検査時の上記第2姿勢を基準に、収納のための上記第1姿勢への姿勢変更と、警報音量制御実行のための上記第3姿勢への姿勢変更とは、夫々の操作ハンドルの移動方向が互いに逆の方向となる。よって、検査時において、操作ハンドルの操作により、収納状態への遷移と警報音量制御の実行とを明確に区別して行うことができ、操作ハンドルの誤操作を防止することができる。
【0021】
本発明の第7特徴構成は、前記検査部の検査結果を表示する表示部が備えられ、
前記制御部は、前記第3姿勢になったとき、前記検査部及び前記表示部は作動状態に維持しながら前記警報音量制御を実行する点にある。
【0022】
本構成によれば、検査時に警報音発生部により警報音が発生された状態で、上記第3姿勢への姿勢変更により警報音量制御が実行され、その警報音が消音又は音量低下された場合であっても、検査部及び表示部は作動状態に維持されているので、作業者は、その表示部に表示された警報音の発生要因となった検査結果を確認して、適切な対応等を確実に遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】移動式検査機の検査時の状態を示す斜視図
図2図1に示す移動式検査機の部分斜視図
図3】移動式検査機の概略構成を示すブロック図
図4】移動式検査機の第1姿勢(a)、第2姿勢(b)、第3姿勢(c)の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
本実施形態の移動式検査機1は、図1図3に示すように、地表面g側の検査対象空気を導入して検査する検査部Aと、検査部Aでの検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部Bとを備えた検査機本体Cと、検査機本体Cの作動を制御する制御部21と、検査機本体Cを地表面に沿って移動操作する操作ハンドル6とを備える。そして、この移動式検査機1は、検査部Aの空気捕集部53を地表面gに沿わせた検査姿勢で当該地表面gに沿って移動操作されて地表面g下方の地中に埋設されたガス導管(図示省略)等からのガス漏洩を検査するガス漏洩検査機として構成されている。
【0025】
検査機本体Cは、前後夫々に走行用車輪42,43を有する走行フレーム4と、上記制御部21やその他各種補機等を内蔵する本体ボックス2とで構成されている。また、上記操作ハンドル6は、走行フレーム4の前方側に設けられたヒンジ構造32(図1参照)により、当該走行フレーム4に対して所定の揺動範囲内で揺動自在に接続されており、走行フレーム4側(地表面g側)の収納位置(図4(a)参照)と、その収納位置よりも上方側の移動操作位置(図4(b)参照)との間で位置変更可能となっている。
更に、検査機本体Cの本体ボックス2は、この操作ハンドル6の下方側に固定されていることから、当該本体ボックス2についても、操作ハンドル6と共に走行フレーム4に対して揺動自在となる。
【0026】
更に、操作ハンドル6は、先端側(走行フレーム4との接続部とは反対側)に設けられた把持部6aを本体ボックス2に対して近接(図4(a)参照)又は離間(図4(b)(c)参照)させる形態で伸縮可能な構造を有している。
【0027】
図3に示すように、走行フレーム4の下面側には、検査機本体Cの底面側で外部開放される空気捕集部53を形成するためのゴム製シート材で構成されたシール部材5が設けられている。このシール部材5は、中央部を下方側に撓ました状態で前方端部及び後方端部が走行フレーム4の前方及び後方に固定されている。更に、このシール部材5の中央部下面側には、上方側に凹む凹部52が形成されており、この凹部52の内部空間が空気捕集部53として形成されている。そして、検査機本体Cの姿勢を地表面gに走行用車輪42,43を接地させた検査姿勢とした状態では、シール部材5の空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接することで、空気捕集部53の開放部が地表面gにより覆われた状態となり、空気捕集部53が外気に対して略密閉状態となる。
【0028】
更に、シール部材5の凹部52には、空気捕集部53に臨む導入口54が形成されており、この導入口54と後述するガスセンサ22とが、吸引路27により接続されている。また、この吸引路27には、吸引路27を通じて空気捕集部53で捕集した検査対象空気を吸引してガスセンサ22に導入する吸引ポンプ23が設けられている。
このような構成により、検査機本体Cを空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する検査姿勢とし、その検査姿勢の検査機本体Cを地表面gに沿って移動させると、空気捕集部53内に存在する地表面g側の空気が検査対象空気として吸引され、当該吸引された検査対象空気がガスセンサ22に導入されることになる。
【0029】
本体ボックス2には、コンピュータからなる制御部21に加えて、ガスセンサ22、吸引ポンプ23等が内蔵されている。また、本体ボックス2には、操作ハンドル6を把持して操作する作業者が聴認可能な状態で音声を出力可能なスピーカ25等が配置されている。更に、本体ボックス2の上端部側には、同作業者により視認可能な状態で、液晶ディスプレイ等の表示部24、及び、電源のON・OFFやレンジ切替や音量調整等を行うための各種スイッチ類26が配置されている。
そして、制御部21は、ガスセンサ22、及びスイッチ類26等の出力信号に基づき各種演算処理を行い、その演算結果に基づき、表示部24やスピーカ25を制御して、所望の情報表示や音声出力を行うように構成されている。
【0030】
ガスセンサ22は、特定成分として可燃性ガス(水素、メタン、プロパン等)に感応する公知のセンサ素子を利用したものとして構成されており、導入された検査対象空気中の特定成分の濃度に応じた信号を制御部21に出力する。すると、制御部21は、ガスセンサ22の出力信号から検査対象空気中の可燃性ガス濃度を求めて表示部24に表示すると共に、その特定成分濃度が許容範囲を超えた場合には、それを作業者に通知するべく、表示部24に所定の警報表示を表示し、更には、スピーカ25が警報音発生部Bとして所定の警報音を発生するように構成されている。
【0031】
更に、本体ボックス2には、当該本体ボックス2の傾きを検知して当該傾きに応じた出力信号を出力する加速度センサ等の傾斜センサ28が内蔵されており、この傾斜センサ28の出力信号が制御部21に入力される。そして、制御部21は、上述したようなガスセンサ22の出力信号に基づいて警報音を発生させる検査時の作動制御に加えて、詳細については後述するが、傾斜センサ28の出力信号に基づいて、スピーカ25から警報音を発生させない、又は、警報音の音量を設定音量よりも小さくする警報音量制御を実行するように構成されている。
【0032】
更に、この移動式検査機1は、作業者による操作ハンドル6の操作により、収納時における第1姿勢、検査時における第2姿勢、及びそれらの姿勢とは異なる特定の第3姿勢との間で、姿勢変更可能に構成されている。以下、第1姿勢、第2姿勢、及び第3姿勢の夫々について、図4に基づいて説明を加える。
【0033】
(第1姿勢)
移動式検査機1の第1姿勢は、収納時の姿勢であって、図4(a)に示すように、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢にある状態で、操作ハンドル6を地表面g側の収納位置に位置させた姿勢とされている。
この第1姿勢では、本体ボックス2が走行フレーム4に近接することになる。更に、把持部6aを本体ボックス2に対して近接させるように操作ハンドル6を収縮させることで、コンパクトな収納が可能となる。
また、この第1姿勢では、前方側の走行用車輪42の直上に後方側の走行用車輪43が位置するまで回転させた搬送状態(図示省略)で、把持部6aを把持して持ち上げた状態で搬送することができる。更に、本体ボックス2の前方側には、前後方向において前方の走行用車輪42の先端部と同じ位置に張り出す支持部35が設けられている。このことにより、上記搬送状態で、前方側の走行用車輪42と支持部35とを地表面gに接地させて自立させることができ、省スペースの収納が可能となる。
【0034】
(第2姿勢)
移動式検査機1の第2姿勢は、検査時の姿勢であって、図4(b)に示すように、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢にある状態で、操作ハンドル6を収納位置の上方側の移動操作位置に位置させた姿勢とされている。
この第2姿勢では、操作ハンドル6は、地表面gに対して所望の角度を有することになり、更には把持部6aを本体ボックス2に対して離間させるように操作ハンドル6を伸長させることで、検査を行う作業者が無理のない立位体勢で操作ハンドル6の先端側の把持部6aを把持して当該ガス検査機1を押して移動させることができる。このような移動操作では、空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢となり、その検査姿勢の空気捕集部53により地表面g側の検査対象空気が捕集されて、その検査対象空気がガスセンサ22に供給され、当該検査対象空気に可燃性ガスが含まれているか否かなどの検査を行うことができる。この検査において検査対象空気中の可燃性ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、スピーカ25から警報音が発生される。
【0035】
(第3姿勢)
移動式検査機1の第3姿勢は、上述した警報音量制御が実行される姿勢であって、図4(c)に示すように、上記第1姿勢及び上記第2姿勢とは異なる姿勢とされている。
そして、制御部21は、傾斜センサ28の出力信号により、このような第3姿勢になったと判定したときに、上述した警報音量制御を実行するように構成されている。
従って、上記第2姿勢(図4(b)参照)での検査時において警報音が発生した場合において、作業者は操作ハンドル6を把持した状態のままで当該操作ハンドル6を操作して、上記第3姿勢(図4(c)参照)への姿勢変更を行う。このことで、作業者の手元から離れた位置にあるスイッチ類26を操作することなく、制御部21により警報音量制御を自動的に実行させて、迅速且つ正確に、その警報音を消音又は音量低下させることができる。
【0036】
更に、制御部21は、傾斜センサ28の出力信号により第3姿勢になったと判定したときには、上記警報音量制御に加えて、所定の初期設定処理を実行することもできる。
この初期設定処理では、移動式検査機1のセンサ感度のゼロ設定を行うと共に、移動式検査機1の電池残量等の基本性能状態の点検などを行う。このゼロ設定では、移動式検査機1の検査結果である特定成分濃度がゼロを示すか否かを点検し、ゼロを示さない場合には、ガスセンサ22の出力に対して設定されるゼロ点を補正する。
更に、傾斜センサ28の出力信号により第3姿勢への姿勢変更を検出した時点を基準に、上記警報音量制御を実行するまでの遅れ時間は例えば1秒に設定されており、上記初期設定処理を実行するまでの遅れ時間は例えば3秒に設定されている。このような遅れ時間を設定することで、第3姿勢への姿勢変更が誤って行われた場合でも、その姿勢を戻すことで、意図しない警報音量制御や初期設定処理の実行を回避することができる。
【0037】
また、この第3姿勢での検査機本体Cの姿勢である非検査姿勢は、作業者の意思がない限り通常の検査時ではなり難い検査姿勢以外の姿勢であると共に、上記検査姿勢と明確に区別し得る姿勢であり、具体的には、図4(c)に示すように、空気捕集部53の周囲部51が地表面gから浮いた姿勢である。このことで、上記第2姿勢(図4(b)参照)の検査時において無意識に第3姿勢に姿勢変更されることが抑制されると共に、第3姿勢へ姿勢変更した場合には警報音量制御により警報音が一時的に消音中又は音量低下中であることを明確に認識することができる。
【0038】
更に、この第3姿勢(図4(c)参照)は、操作ハンドル6が第2姿勢(図4(b)参照)の移動操作位置を基準にして第1姿勢(図4(a)参照)の収納位置とは反対側に位置する姿勢に設定されている。即ち、作業者は、第2姿勢から第3姿勢への姿勢変更を行うにあたり、図4(c)の白抜き矢印に示すように、操作ハンドル6を、その揺動範囲を超えて地表面g側の収納位置とは反対側へ向けて持ち上げるように操作することになる。すると、検査機本体Cは空気捕集部53の周囲部51を地表面gから浮かせた非検査姿勢となる。即ち、第2姿勢参照)での検査時において、このような第3姿勢への姿勢変更のための操作ハンドル6の操作は、第1姿勢への姿勢変更のための操作ハンドル6の操作に対して明確に区別されたものとなる。従って、警報音量制御を実行させるための操作ハンドル6の誤操作を防止することができる。
【0039】
図4(c)に示す移動式検査機1の姿勢は、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51を地表面gから浮かせた非検査姿勢にある状態で、前方側の走行用車輪42と支持部35とを地表面gに接地させて自立する自立姿勢とされており、第3姿勢はこの自立姿勢を含む姿勢とされている。このことで、警報音量制御の実行時において、作業者は、上記第3姿勢で自立させた状態で、操作ハンドル6から手を離して適切な対応を行うことができる。
【0040】
また、警報音量制御が実行される第3姿勢は、第2姿勢(図4(b)参照)よりも操作ハンドル6を上記自立姿勢側に向けて少し持ち上げた姿勢から上記自立姿勢までの範囲内の姿勢とされている。このことで、第2姿勢での検査時において、警報音が発生された場合でも、作業者が操作ハンドル6を上記自立姿勢側に向けて少し持ち上げた時点で、警報音量制御を実行させて、迅速に警報音を消音又は音量低下させることができる。また、このように迅速に警報音が消音又は音量低下されるため、作業者は、落ち着いて移動式検査機1を上記自立姿勢とすることができる。
【0041】
また、この第3姿勢に含まれる自立姿勢は、後方側の走行用車輪43を地表面gから浮かせた状態で支持部35を地表面gにも接地させることで、検査機本体Cの地表面gに沿った移動操作が阻害される姿勢に設定されている。このことにより、検査時において無意識に上記第3姿勢への姿勢変更された場合でも、走行が阻害されることでその姿勢変更が作業者に把握される。よって、その姿勢変更を是正され、無用な上記警報音量制御の実行が回避される。この第3姿勢での警報音量制御の実行後に、再度検査を行う際に、そのままでは走行が阻害されるので、作業者により必ず第2姿勢への姿勢変更が行われるので、警報音量制御が確実に終了する。このことで、警報音を消音又は音量低下したままでの検査が防止される。
【0042】
更に、制御部21は、このような第3姿勢になったときに警報音量制御を実行するのであるが、この警報音量制御を実行するにあたり、地表面g側の検査対象空気を導入して検査する検査部A、及び、検査対象空気中の可燃性ガス濃度等を表示する表示部24は作動状態に維持するように構成されている。このことで、上記第3姿勢への姿勢変更により警報音量制御が実行されて、スピーカ25が発生する警報音が消音又は音量低下された場合であっても、作業者は、その表示部24に表示された警報音の発生要因となった可燃性ガス濃度等の検査結果を確認して、適切な対応等を確実に遂行することができる。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、警報音量制御を実行する第3姿勢を、検査機本体Cが検査姿勢以外の非検査姿勢となる姿勢に設定したが、この第3姿勢を、検査機本体Cが検査姿勢となる第2姿勢とは異なるが、当該第2姿勢と同様に検査機本体Cが検査姿勢となる姿勢に設定しても構わない。この場合、第2姿勢から第3姿勢の姿勢変更では、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する検査姿勢に維持されたまま、操作ハンドル6の位置が当該操作ハンドル6の操作により変更されることになる。
【0044】
(2)上記実施形態では、図4(c)に示すように、警報音量制御を実行する第3姿勢は、前方側の走行用車輪42と支持部35とを地表面gに接地させて自立する姿勢を含むものとしたが、このような自立するための構成を改変又は省略しても構わない。
【0045】
(3)上記実施形態では、警報音量制御を実行する第3姿勢において、検査機本体Cの地表面gに沿った移動操作を阻害する構成として、支持部35を地表面gに接地させる構成としたが、この第3姿勢において地表面gに接地されている前方側の走行用車輪42の回転をロックすることで移動操作を阻害するように構成しても構わない。また、この第3姿勢において検査機本体Cの地表面gに沿った移動操作を許容するように構成しても構わない。この場合、警報音量制御を実行した状態のままで、検査機本体Cを移動させることができる。
【0046】
(4)上記実施形態では、検査時の第2姿勢から警報音量制御実行のための第3姿勢への姿勢変更のための操作ハンドル6の操作方向を、当該第2姿勢の移動操作位置を基準にして第1姿勢の収納位置とは反対側の方向に設定したが、第1姿勢の収納位置とは反対側ではないが明確に異なる側の方向に設定した場合でも、操作ハンドル6の誤操作を防止することができる。更に、第2姿勢から第3姿勢への姿勢変更のための操作ハンドル6の操作方向を、第2姿勢の移動操作位置を基準にして第1姿勢の収納位置と同じ側の方向に設定する、即ち、操作ハンドル6を移動操作位置から収納位置側へ移動操作することで、警報音量制御を実行するように構成しても構わない。
【0047】
(5)上記実施形態では、第3姿勢になったとき、検査部A及び表示部24は作動状態に維持しながら警報音量制御を実行するように構成したが、この警報音量制御を実行するにあたり、検査部A及び表示部24を停止状態としても構わない。
【符号の説明】
【0048】
1 移動式検査機
6 操作ハンドル
21 制御部
24 表示部
51 周囲部
53 空気捕集部
A 検査部
B 警報音発生部
C 検査機本体
g 地表面
図1
図2
図3
図4