特開2017-181452(P2017-181452A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-181452(P2017-181452A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】移動式検査機
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
   G01M3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-72861(P2016-72861)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西岡 吉行
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 修一
(72)【発明者】
【氏名】畠中 健
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067BB02
2G067BB12
2G067BB26
2G067CC04
2G067DD17
2G067DD18
2G067EE08
(57)【要約】
【課題】電力供給部で供給される電池電力にて本体部を稼働させながら地表面を移動させている検査作業中において本体部が不意に停止する不都合の発生を抑制することのできる移動式検査機を提供する。
【解決手段】地表面側の検査対象空気を導入口から導入して検査する検査部を含む作動部Kと、作動部Kの作動状態を制御する制御部21とを備えた本体部に、本体部を地表面に沿って移動操作可能なハンドルと、本体部を地表面に沿って走行させるための走行部と、
が備えられ、本体部を稼働させるための電池6と、電池6と接続して本体部に電力を供給自在な電力供給部8とが備えられ、電力供給部8には、電池6から本体部に電力を供給して本体部を稼働させている状態で電池6との接続が断たれたとき、電池6の代替部として機能して本体部の稼働状態を継続させる蓄電部83が備えられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面側の検査対象空気を導入口から導入して検査する検査部を含む作動部と、前記作動部の作動状態を制御する制御部とを備えた本体部に、前記本体部を地表面に沿って移動操作可能なハンドルと、前記本体部を地表面に沿って走行させるための走行部と、が備えられている移動式検査機であって、
前記本体部を稼働させるための電池と、前記電池と接続して前記本体部に電力を供給自在な電力供給部とが備えられ、
前記電力供給部には、前記電池から前記本体部に電力を供給して本体部を稼働させている状態で電池との接続が断たれたとき、前記電池の代替部として機能して本体部の稼働状態を継続させる蓄電部が備えられている移動式検査機。
【請求項2】
前記電力供給部には、前記本体部を稼働させていない状態では前記電池と前記蓄電部の間を遮断する遮断部が備えられている請求項1記載の移動式検査機。
【請求項3】
前記遮断部が、前記蓄電部と前記本体部との間は導通状態を維持しながら前記電池と蓄電部との間を遮断するように構成されている請求項2記載の移動式検査機。
【請求項4】
前記電力供給部には、前記作動部に前記電池からの電力を供給する電力供給路と、前記電力供給路から分岐して電池からの電力を前記制御部に供給する分岐電力供給路とが備えられ、
前記電力供給路における前記分岐電力供給路の分岐箇所よりも下流側には、電力供給方向で前記遮断部、前記蓄電部の順に備えられ、
前記制御部が、前記遮断部を制御して前記電力供給路の前記分岐箇所よりも下流側を遮断状態と導通状態とに切り替えるように構成されている請求項2又は3記載の移動式検査機。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表面側の検査対象空気を導入口から導入して検査する検査部を含む作動部と、前記作動部の作動状態を制御する制御部とを備えた本体部に、前記本体部を地表面に沿って移動操作可能なハンドルと、前記本体部を地表面に沿って走行させるための走行部と、が備えられている移動式検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の移動式検査機は、例えば、地中に埋設されたガス導管からのガス漏洩を検査するのに用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。このような検査機では、作動部と制御部を備えた本体部を稼働させるための電池と、当該電池と接続して本体部に電力を供給自在な電力供給部とが備えられ、電力供給部により電池の電力を本体部に供給する状態で作業者が検査機を地表面に沿って移動させることで、地表面側の検査対象空気が導入口を通じて検査部に導入されて検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−152546号公報
【特許文献2】実開昭50−123382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような移動式検査機では、電力供給部で供給される電池電力にて本体部を稼働させながら地表面を移動させている検査作業中において、地表面の状態等の使用環境によって本体部に作用する振動や衝撃が不測に大きくなる場合がある。
そのため、上記従来の移動式検査機では、本体部に作用する振動や衝撃が不測に大きくなった場合に、その振動や衝撃により電力供給部と電池との接続が断たれて、本体部が不意に停止することも考えられる。このように本体部が検査作業中に不意に停止すると、例えば、検査のやり直しや、他の機器との通信のための認証のやり直し、通信中のデータの破損等の不都合を招く虞がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、電力供給部で供給される電池電力にて本体部を稼働させながら地表面を移動させている検査作業中において本体部が不意に停止する不都合の発生を抑制することのできる移動式検査機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、地表面側の検査対象空気を導入口から導入して検査する検査部を含む作動部と、前記作動部の作動状態を制御する制御部とを備えた本体部に、前記本体部を地表面に沿って移動操作可能なハンドルと、前記本体部を地表面に沿って走行させるための走行部と、が備えられている移動式検査機であって、
前記本体部を稼働させるための電池と、前記電池と接続して前記本体部に電力を供給自在な電力供給部とが備えられ、
前記電力供給部には、前記電池から前記本体部に電力を供給して本体部を稼働させている状態で電池との接続が断たれたとき、前記電池の代替部として機能して本体部の稼働状態を継続させる蓄電部が備えられている点にある。
【0007】
本構成によれば、電力供給部で供給される電池電力にて本体部を稼働させながら地表面を移動させている検査作業中に電力供給部と電池との接続が断たれた場合でも、蓄電部が電池の代替部として機能して本体部の稼働状態を継続させることができる。よって、検査作業時に不意に本体部が停止する不都合の発生を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記電力供給部には、前記本体部を稼働させていない状態では前記電池と前記蓄電部との間を遮断する遮断部が備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、本体部を稼働させていない状態では遮断部によって電池と蓄電部との間が遮断されるので、例えば、本体部を稼働させていない状態で生じる蓄電部の経時的な電力漏れ等に対して、電池の電力で随時に充電するのを回避することができ、無駄な電池の消耗を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記遮断部が、前記蓄電部と前記本体部との間は導通状態を維持しながら前記電池と蓄電部との間を遮断するように構成されている点にある。
【0011】
本構成によれば、遮断部が遮断機能を発揮した場合でも蓄電部と本体部との間は導通状態が維持されるので、例えば、蓄電部が電池の代替部として機能し、蓄電部から本体部に電力を供給して本体部の稼働状態を継続させている状態で、誤作動等により不測に遮断部が遮断機能を発揮した場合でも、蓄電部から本体部への電力供給を維持して本体部の稼働状態を継続させることができ、検査作業時に不意に本体部が停止する不都合の発生を一層抑制することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記電力供給部には、前記作動部に前記電池からの電力を供給する電力供給路と、前記電力供給路から分岐して電池からの電力を前記制御部に供給する分岐電力供給路とが備えられ、
前記電力供給路における前記分岐電力供給路の分岐箇所よりも下流側には、電力供給方向で前記遮断部、前記蓄電部の順に備えられ、
前記制御部が、前記遮断部を制御して前記電力供給路の前記分岐箇所よりも下流側を遮断状態と導通状態とに切り替えるように構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、検査部を含む作動部に対しては、作動部に必要とされる比較的大きな電力を電力供給路にて適切に供給し、制御部に対しては、制御部に必要とされる比較的小さな電力を分岐電力供給路にて適切に供給することができる。
しかも、電力供給部と電池との接続が断たれて蓄電部が電池の代替部として機能する場合に、電力供給路における分岐電力供給路の分岐箇所よりも下流側の箇所から蓄電部の蓄電電力を作動部に効率的に供給することができる。
さらに、本体部を稼働させていない状態で電池と作動部との間を遮断部で遮断する場合に、電力供給路における分岐電力供給路の分岐箇所よりも下流側の箇所を遮断するので、電池と制御部との間は遮断されることはなく、本体部を稼働させる電源ON時において作動状態を制御する制御部を適切に立ち上げることができる。そして、制御部により遮断部を制御して電力供給路の分岐箇所よりも下流側を導通状態にすることで、電力供給路を通じて電池の電力を作動部に供給して本体部を適切に稼働状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】移動式検査機の検査時の状態を示す斜視図
図2】移動式検査機の概略構成を示すブロック図
図3】(a)移動式検査機の検査時の状態を示す側面図、(b)移動式検査機の収納時の状態を示す側面図
図4】電力供給部の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1図2に示すように、本実施形態の移動式検査機1には、地表面g側の検査対象空気を検査する検査機本体Aと、検査機本体Aから後方上方(外方の一例)に延びて検査機本体Aを地表面gに沿って移動操作自在なハンドルHとが備えられている。作業者が地表面gを歩行する状態で検査機本体Aを地表面gに沿って移動操作することで、地表面g下方の地中に埋設されたガス導管(図示省略)からのガス漏洩を検査することができる。
【0016】
前記検査機本体A(本体部の一例)は、走行部の一例である走行用車輪42,43を前後夫々に有する走行フレーム部4と、当該走行フレーム部4の上方側に支持される本体ボックス2とから構成されている。このように検査機本体Aを上下方向で分けて構成することで、左右幅寸法を抑えながら必要な機能を備えるだけの十分なスペースを確保し易くなり、地中に埋設されたガス導管からのガス漏洩を適切に検査可能な範囲で検査機本体Aのスリム化を図ることができる。
【0017】
本体ボックス2には、作動状態を制御する制御部21と、当該制御部21の作動制御により作動する各種の作動部Kが備えられている。本体ボックス2に備えられる作動部Kとしては、地表面g側の検査対象空気を走行フレーム部4側の導入口54(図2参照)から導入して検査する検査部Bと、検査に関する情報の表示や制御部21に対する操作等を行う表示操作部Cと、警報音等を発生する音量発生部25がある。また、図示は省略するが、GPS部や無線通信部や記憶媒体通信部等もある。
【0018】
図2に示すように、走行フレーム部4の下面側には、検査機本体Aの底面側で外部開放される空気捕集部53を形成するためのゴム製シート製のシール部材5が設けられている。このシール部材5は、中央部を下方側に撓ました状態で前方端部及び後方端部が走行フレーム部4の前方及び後方に固定されている。シール部材5の中央部の下面側には、上方側に凹む凹部52が形成され、この凹部52の内部空間が空気捕集部53として形成されている。
【0019】
そして、検査機本体Aの姿勢を地表面gに走行用車輪42,43を接地させた検査姿勢とした状態では、シール部材5の空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接することで、空気捕集部53の開放部が地表面gにより覆われ、空気捕集部53が外気に対して略密閉状態となる。このシール部材5の凹部52には、空気捕集部53に臨む導入口54が形成されており、この導入口54と本体ボックス2側の検査部Bとが吸引路27により接続されている。
【0020】
このような構成により、検査機本体Aを空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する検査姿勢とし、その検査姿勢の検査機本体Aを地表面gに沿って移動させることで、空気捕集部53内に存在する地表面g側の空気を検査対象空気として吸引路27を通じて検査部Bに導入することができる。
【0021】
前記検査部Bは、図2に示すように、ガスセンサ22や吸引ポンプ23等が備えられ、吸引路27を通じて導入口54から検査対象空気を吸引ポンプ23で吸引してガスセンサ22に導入し、ガスセンサ22にて検査対象空気中の特定成分の濃度に応じた信号を後述する制御部21に出力するように構成されている。なお、ガスセンサ22は、特定成分として可燃性ガス(水素、メタン、プロパン等)に感応する各種の公知のセンサ素子を利用して構成されている。
【0022】
前記表示操作部Cは、図1に示すように、検査部Bによる検査に関する情報を表示する表示部24、及び、制御部21を操作する操作部26を一体的に備えたパネル状に構成されている。作業者は、表示操作部Cを目視確認して検査結果や設定情報等の検査に関する各種の情報を取得することができる。また、表示操作部Cを操作して検査項目や検査精度や警報作動等に関する設定を変更したり、警報作動等を解除したりすることができる。
【0023】
表示部24は、表示操作部Cの正面部Caの中央側に配置された液晶ディスプレイ等から構成されている。操作部26は、表示操作部Cの正面部Caの外周側に配置された電源のON・OFFやレンジ切替や音量調整等を行うための各種スイッチ類から構成されている。なお、表示操作部Cは、タッチパネル式のディスプレイ等から構成することもできる。
【0024】
前記制御部21は、図2に示すように、マイクロコンピュータ等から本体ボックス2の作動状態を制御するように構成されている。例えば、制御部21は、表示操作部Cの操作部26や検査部B等からの出力信号に基づき各種演算処理を行い、その演算結果に基づき、表示操作部Cの表示部24やその近傍に備えられた音量発生部25等を制御して、所望の情報表示や音声出力等を行う。
【0025】
本体ボックス2とハンドルHは、走行フレーム部4に対して上下方向に同調して揺動自在に構成されている。具体的には、図1に示すように、本体ボックス2は、前方側に設けられたヒンジ構造32により、走行フレーム部4に対して所定の揺動範囲内で上下方向に沿って揺動自在に接続されている。ハンドルHは、本体ボックス2の後端部に連設されることにより、走行フレーム部4に対して所定の揺動範囲内で上下方向に沿って揺動自在に構成されている。このハンドルHは、本体ボックス2の本体フレーム部28の後端部に一体的に備えられている。
【0026】
本実施形態では、このような構成を利用して、図3(a)に示すように、本体ボックス2とハンドルHを走行フレーム部4から上方側に離間させた移動操作姿勢と、図3(b)に示すように、本体ボックス2とハンドルHを走行フレーム部4に近接させた収納姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。また、作業者は、ハンドルHに対する保持力により移動操作姿勢と収納姿勢との間の作業し易い任意の姿勢にハンドルHを保持しながら検査作業を行うことができる。この図3(b)に示す収納姿勢は、走行フレーム部4の前方に装備されたバンパー兼用のスタンド35を利用して縦姿勢で自立させた収納姿勢であるが、勿論、横姿勢の収納姿勢にすることもできる。
【0027】
また、図2に示すように、本体ボックス2の稼働電源となる電池6が走行フレーム部4に備えられ、走行フレーム部4側の電池6から電力供給部8により本体ボックス2に電力を供給するように構成されている。
走行フレーム部4には、電池6を収容する電池収容部9が形成されている。この電池収容部9は、平面視で走行フレーム部4における導入口54よりも後方側に配置されている。電池収容部9の上面側には、電池6の着脱操作を可能にする開閉蓋9aが備えられている。
【0028】
なお、ハンドルHには、手元側となる外端側(走行フレーム部4との接続部とは反対側)の把持部Haを本体ボックス2に対して離間(図3(a)参照)又は近接(図3(b)参照)させる形態で伸縮可能な伸縮構造が備えられている。
【0029】
次に、本発明の移動式検査機1の電力供給部8について説明を加える。
図4は、電力供給部8の概略構成を示すブロック図である。同図4に示すように、この電力供給部8には、電池6からの電力を各作動部Kに供給する電力供給路81と、当該電力供給路から分岐して電池6からの電力を制御部21に供給する分岐電力供給路86と、電力供給路81の上流端と電池6とを電気接続自在な電池接続部82とが備えられている。
【0030】
また、電力供給部8には、制御部21への電力供給状態をON状態とOFF状態とに切り替えるとともに、本体ボックス2を稼働状態と非稼働状態とに切り替える電源スイッチ87が備えられている。
電源スイッチ87がON操作されると、電池6から制御部21に電力が供給されて電力供給状態がON状態となり、本体ボックス2を稼動状態とする。また、電源スイッチ87がOFF操作されると、電池6から制御部21への電力供給が停止されて電力供給状態がOFF状態となり、本体ボックス2を非稼動状態とする。
【0031】
なお、電池6から制御部21に電力を供給する分岐電力供給路86には、制御部21用の電力の一時的な低下時や停止時のバックアップ部を兼ねた電力安定化部88が備えられ、電池6からの電力供給が一時的に断たれた程度であれば、消費電力の比較的小さい制御部21の作動状態を継続できるように構成されている。この電力安定化部88は、例えば、逆流防止用ダイオード88aと、その下流側の分岐電力供給路86と接地部Gとの間に接続された平滑用コンデンサ88b等から適宜に構成することができる。また、分岐電力供給路86における電力安定化部88の下流側には、電圧レギュレータ89が備えられている。
【0032】
そして、この電力供給部8には、当該電池接続部82での電力供給路81と電池6との接続が断たれたときに電池6の代替部となる蓄電部83が備えられている。この蓄電部83は、電力供給路81における分岐電力供給路86の分岐箇所よりも下流側として、電力供給路81における分岐箇所と各作動部Kとの間に備えられている。
前記蓄電部83は、例えば、電力供給路81における電池接続部82と各作動部Kとの間の部位と接地部Gとの間に接続された比較的容量の大きな蓄電用コンデンサ83aから構成されている。蓄電部83は、電池6から電力供給路81を通じて各作動部Kに電力を供給している間に電池6から充電し、電力供給路81と電池6との接続が断たれて電池6から各作動部Kに電力が供給されなくなると放電して電力供給路81を通じて各作動部Kに電力を供給するように構成されている。
【0033】
このような構成により、当該電力供給部8は、本体ボックス2を稼働させている状態で、電池6と電力供給路81との接続が一時的に断たれたとき、蓄電部83が電池6の代替部として機能して消費電力の比較的大きい各作動部Kに電力を適切に供給することで、本体ボックス2の稼働状態を継続させることができる。よって、検査作業時に不意に本体ボックス2が停止する不都合を防止することができる。
【0034】
更に、この電力供給部8には、本体ボックス2を稼働させていない状態で電池6と蓄電部83との間を遮断するための遮断部84が備えられている。この遮断部84は、例えば、電力供給路81における電池接続部82と蓄電部83との間に備えられたFET(電界効果トランジスタ)等の適宜のスイッチング素子から構成されている。遮断部84は、電力供給路81における分岐電力供給路86の分岐箇所よりも下流側として、電力供給路81における分岐箇所と蓄電部83との間に備えられている。遮断部84は、電力供給方向で蓄電部83の蓄電用コンデンサ83aと作動部Kとの間の経路よりも上流側に備えられ、遮断部84にて電池6と蓄電部83との間を遮断しても、蓄電部83と作動部Kとの間は遮断せず導通状態を維持するように構成されている。
【0035】
前記制御部21は、遮断部84を制御して電池6と蓄電部83との間を遮断状態と導通状態とに切り替えるように構成されている。具体的には、制御部21は、電源スイッチ87にて電力供給状態がON状態からOFF状態に切り替わったときに遮断部84にて電池6と蓄電部83との間を遮断する遮断状態に切り替え、電源スイッチ87にて電力供給状態がOFF状態からON状態に切り替わったときに遮断部84にて電池6と蓄電部83との間を導通させる導通状態に切り替えるように構成されている。
【0036】
このような構成により、当該電力供給部8は、本体ボックス2を稼働させていない状態では、遮断部84で電池6と蓄電部83との間を遮断することで、蓄電部83にて生じる電力漏れに対して、本体ボックス2を稼働させていない状態で電池6の電力で随時に蓄電部83を充電するのを回避することができ、無駄な電池6の消耗を抑制することができる。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)前述の実施形態では、電力供給部8に電力供給路81と分岐電力供給路86の二系統の電力供給路が備えられている場合を例に示したが、電力供給系統は一系統だけであってもよい。また、前述の実施形態では、電力供給部8に遮断部84や電力安定化部88や電圧レギュレータ89等が備えられている場合を例に示したが、場合によっては省略してもよい。要するに、電力供給部8の回路構造等の具体的構成は、移動式検査機1の使用環境等の種々の事情に応じて適宜に変更すればよい。
【0038】
(2)蓄電部83や遮断部84の個数や位置や構造等の具体的構成も、移動式検査機1の使用環境等の種々の事情に応じて適宜に変更すればよい。
【0039】
(3)前述の実施形態では、制御部21の作動制御により作動する作動部Kとして、検査部B、表示操作部C、音量発生部25、GPS部、無線通信部、記憶媒体通信部等が備えられている場合を例に示したが、少なくとも検査部Bが備えられていればよい。
【0040】
(4)前述の実施形態では、本体ボックス2が走行フレーム部4に対して上下方向に揺動自在に構成されている場合を例に示したが、本体ボックス2と走行フレーム部4が相対移動不能に一体的に構成されていてもよい。
【0041】
(5)前述の実施形態では、本体ボックス2を稼働させるための電池6が、走行フレーム部4だけに備えられている場合を例に示したが、本体ボックス2と走行フレーム部4とに分けて備えられていてもよく、場合によっては本体ボックス2だけに備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 移動式検査機
2 本体ボックス
6 電池
8 電力供給部
21 制御部
54 導入口
81 電力供給路
83 蓄電部
84 遮断部
86 分岐電力供給路
A 検査機本体(本体部)
B 検査部
K 作動部
g 地表面
図1
図2
図3
図4