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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-181453(P2017-181453A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】移動式検査機
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20170908BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   G01M3/02 B
   B62B5/06 E
   G01M3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-72882(P2016-72882)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 祐一
【テーマコード(参考)】
2G067
3D050
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067BB12
2G067BB26
2G067CC04
2G067DD17
2G067EE05
2G067EE12
3D050AA11
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE14
3D050GG03
(57)【要約】
【課題】検査機本体の上下動に影響されない快適な操作性を維持しながらも、一時的に中断した検査作業の再開までの操作手数の削減と時間の短縮化を図る。
【解決手段】地表面側の検査対象空気を検査する検査機本体Bに対して操作ハンドルHを起伏揺動自在に連結するヒンジ機構30と、操作ハンドルHを揺動範囲の下端側において水平又は略水平姿勢となる収納位置と揺動範囲の上端側において傾斜姿勢となる特定検査使用位置とに選択的に係止保持する係止保持機構40が設けられ、特定検査使用位置に連続する検査使用可能領域Rで操作ハンドルHを揺動自在とするフリーゾーンが設けられ、特定検査使用位置にある操作ハンドルHのフリーゾーンへの揺動操作で係止保持機構40による特定検査使用位置での係止保持を解除する係止解除手段が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面側の検査対象空気を検査する検査機本体に対して操作ハンドルを起伏揺動自在に連結するヒンジ機構と、前記操作ハンドルを揺動範囲の下端側において水平又は略水平姿勢となる収納位置と揺動範囲の上端側において傾斜姿勢となる特定検査使用位置とに選択的に係止保持する係止保持機構が設けられている移動式検査機であって、
前記特定検査使用位置に連続する検査使用可能領域で前記操作ハンドルを揺動自在とするフリーゾーンが設けられ、前記特定検査使用位置にある前記操作ハンドルの前記フリーゾーンへの揺動操作で前記係止保持機構による前記特定検査使用位置での係止保持を解除する係止解除手段が設けられている移動式検査機。
【請求項2】
前記係止保持機構には、前記操作ハンドルを前記特定検査使用位置側に揺動付勢する付勢部が設けられている請求項1記載の移動式検査機。
【請求項3】
前記ヒンジ機構の揺動連結部には、少なくとも前記係止保持機構を前記収納位置及び前記特定検査使用位置で揺動半径方向に沿って係脱作動させるストロークで前記操作ハンドルの揺動半径方向での移動操作を許容する融通が形成されている請求項2記載の移動式検査機。
【請求項4】
前記ヒンジ機構は、前記検査機本体に設けた固定側ヒンジ部材と前記操作ハンドルに設けた可動側ヒンジ部材とを揺動自在に連結して構成され、前記係止保持機構は、前記固定側ヒンジ部材の前記収納位置に相当する部位に設けた揺動半径方向外方に開口する第1係合凹部と、前記固定ヒンジ部材の前記特定検査使用位置に相当する部位に設けた揺動半径方向外方に開口する第2係合凹部と、前記第1係合凹部及び前記第2係合凹部に対して揺動半径方向外方側から選択的に係合可能な状態で前記可動側ヒンジ部材に設けた係合凸部とから構成され、前記付勢部は、前記第1係合凹部及び第2係合凹部に対して前記係合凸部を揺動半径方向から係合付勢する付勢力に構成されている請求項3記載の移動式検査機。
【請求項5】
前記付勢部は、前記操作ハンドルが前記収納位置で鉛直方向に吊上げられたとき、前記検査機本体側の荷重で前記第1係合凹部と前記係合凸部との係合が解除されない付勢力に構成されている請求項4記載の移動式検査機。
【請求項6】
前記第1係合凹部の開口縁と前記第2係合凹部の開口縁との間の揺動領域部において前記係合凸部を移動案内する移動ガイド部が設けられ、前記移動ガイド部によって前記フリーゾーンが構成されている請求項4又は5記載の移動式検査機。
【請求項7】
前記係止解除手段は、前記第2係合凹部と前記移動ガイド部との境界相当位置において、前記特定検査使用位置から前記フリーゾーンへ揺動する前記係合凸部との当接に伴って当該係合凸部を揺動半径方向外方側に移動させて通過案内する通過ガイド部から構成されている請求項6記載の移動式検査機。
【請求項8】
前記移動ガイド部は、前記フリーゾーンにおける前記ヒンジ機構の揺動軸芯との距離が収納位置側ほど大に設定して、前記フリーゾーンの収納位置側ほど前記付勢部の付勢力が増大する構成にしてある請求項6又は7記載の移動式検査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面等の地表面に沿って移動しながら地中埋設管から漏洩した可燃性ガス等の検査対象空気を検査する移動式検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の移動式検査機には、例えば、特許文献1、2に示すように、地表面側の検査対象空気を検査する検査機本体と、検査機本体を地表面に沿って走行操作する操作ハンドルとが装備されている。
特許文献1に開示されている移動式検査機では、検査機本体を構成する走行フレームに対して、操作ハンドルが後方上方に向かう一定傾斜角度の操作姿勢で固定されている。
また、特許文献2に開示されている移動式検査機では、検査機本体を構成する走行フレームに対して操作ハンドルが前後方向に揺動自在に取付けられている。この操作ハンドルは、後方上方に向かう一定傾斜角度の操作姿勢と前方上方に向かう一定傾斜角度の非操作姿勢とに択一的に切り替え可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭50−123382号公報
【特許文献2】実開昭63−152546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のガス漏洩検査機では、操作ハンドルが後方上方に向かう一定傾斜角度の操作姿勢に固定されているため、背丈に応じた楽な操作姿勢をとることができない。また、地表面に沿って移動しながら地表面側の検査対象空気を検査する際、地表面に存在する凹凸によって検査機本体が上下動すると、これに伴って操作ハンドルも上下動するため、作業者の走行操作上の負担増加によって疲れ易くなる不都合がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、検査機本体の上下動に影響されない快適な操作性を維持しながらも、一時的に中断した検査作業の再開に要する操作手数の削減と時間の短縮化を図ることのできる移動式検査機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の特徴構成は、地表面側の検査対象空気を検査する検査機本体に対して操作ハンドルを起伏揺動自在に連結するヒンジ機構と、前記操作ハンドルを揺動範囲の下端側において水平又は略水平姿勢となる収納位置と揺動範囲の上端側において傾斜姿勢となる特定検査使用位置とに選択的に係止保持する係止保持機構が設けられている移動式検査機であって、
前記特定検査使用位置に連続する検査使用可能領域で前記操作ハンドルを揺動自在とするフリーゾーンが設けられ、前記特定検査使用位置にある前記操作ハンドルの前記フリーゾーンへの揺動操作で前記係止保持機構による前記特定検査使用位置での係止保持を解除する係止解除手段が設けられている点にある。
【0007】
上記構成によれば、検査作業時には、特定検査使用位置に連続する検査使用可能領域に設けられたフリーゾーン中に操作ハンドルを配置することにより、背丈に応じた楽な操作姿勢をとることができるとともに、地表面に存在する凹凸によって検査機本体が上下動しても、操作ハンドルを作業者が選択した高さ位置に容易に維持することができるので、操作ハンドルが検査機本体に係止固定されている場合に比して疲れの少ない快適な操作性を得ることができる。
しかも、係止保持機構により、検査機本体にヒンジ機構を介して起伏揺動自在に連結された操作ハンドルを、それの揺動範囲の下端側において水平又は略水平姿勢となる収納位置のみならず、揺動範囲の上端側となる特定検査使用位置においても選択的に係止保持することができる。
そのため、フリーゾーンでの使用中に操作ハンドルから手を放して検査作業を一時的に中断する必要が生じた場合、操作ハンドルをフリーゾーンに連続する特定検査使用位置に傾斜姿勢で係止保持することができる。それ故に、例えば、一時的な中断時に、操作ハンドルを水平又は略水平姿勢となる収納位置に戻し操作する場合に比較して、検査作業の再開時に、特定検査使用位置にある操作ハンドルを、特定検査使用位置に連続するフリーゾーン中において傾斜姿勢となる中断前の操作位置に迅速に戻し操作することができる。
さらに、特定検査使用位置にある操作ハンドルをフリーゾーンへ揺動操作するだけで、係止解除手段によって係止保持機構による特定検査使用位置での係止保持を自動的に解除することができるので、係止保持機構による特定検査使用位置での係止保持に対する特別な解除操作は不要となる。
【0008】
したがって、検査作業時には、特定検査使用位置に連続する検査使用可能領域に設けられたフリーゾーン中に操作ハンドルを配置して、検査機本体の上下動に影響されない快適な操作性を維持しながらも、一時的に中断した検査作業の再開に要する操作手数の削減と時間の短縮化を図ることができる。
【0009】
本発明による第2の特徴構成は、前記係止保持機構には、前記操作ハンドルを前記特定検査使用位置側に揺動付勢する付勢部が設けられている点にある。
【0010】
上記構成によれば、付勢部の付勢力が、操作ハンドルの自重による収納位置への揺動力の少なくも一部を相殺する側に作用するので、操作ハンドルの特定検査使用位置への揺動操作力及びフリーゾーンでのハンドル維持力の軽減化を図ることができる。
【0011】
本発明による第3の特徴構成は、前記ヒンジ機構の揺動連結部には、少なくとも前記係止保持機構を前記収納位置及び前記特定検査使用位置で揺動半径方向に沿って係脱作動させるストロークで前記操作ハンドルの揺動半径方向での移動操作を許容する融通が形成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、収納位置にある操作ハンドルをフリーゾーンに揺動操作するとき、操作ハンドルを一旦揺動半径方向に沿って係止解除側に離脱作動させる操作が必要となる。そのため、収納位置にある操作ハンドルを誤って揺動方向に操作しても、操作ハンドルが不測に揺動することはなく、操作ハンドルが収納位置にある状態での移動式検査機の運搬や保管の安全性を高めることができる。
しかも、ヒンジ機構の揺動連結部に、係止保持機構を係脱作動させるストロークで操作ハンドルの揺動半径方向での移動操作を許容する融通を形成するので、操作ハンドルの揺動半径方向での移動操作と揺動操作とを一連の動作で行うことができる。
【0013】
本発明による第4の特徴構成は、前記ヒンジ機構は、前記検査機本体に設けた固定側ヒンジ部材と前記操作ハンドルに設けた可動側ヒンジ部材とを揺動自在に連結して構成され、前記係止保持機構は、前記固定側ヒンジ部材の前記収納位置に相当する部位に設けた揺動半径方向外方に開口する第1係合凹部と、前記固定ヒンジ部材の前記特定検査使用位置に相当する部位に設けた揺動半径方向外方に開口する第2係合凹部と、前記第1係合凹部及び前記第2係合凹部に対して揺動半径方向外方側から選択的に係合可能な状態で前記可動側ヒンジ部材に設けた係合凸部とから構成され、前記付勢部は、前記第1係合凹部及び第2係合凹部に対して前記係合凸部を揺動半径方向から係合付勢する付勢力に構成されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、操作ハンドルが収納位置にある状態では、検査機本体の固定側ヒンジ部材の第1係合凹部における揺動半径方向内方側の係合位置に、操作ハンドルの可動側ヒンジ部材の係合凸部が係合位置し、且つ、その係合位置に付勢部で係合付勢されている。そのため、収納位置にある操作ハンドルをフリーゾーンに揺動操作するときには、操作ハンドルを付勢部の係合付勢力に抗して揺動半径方向外方に移動操作し、可動側ヒンジ部材の係合凸部を固定側ヒンジ部材の第1係合凹部の開口から抜け出した係合解除位置に移行させる必要がある。
それ故に、収納位置での操作ハンドルの位置保持機能を高めながらも、操作ハンドルを揺動半径方向外方側へ移動操作したのち、引き続いて上端側に揺動操作するという一連の動作により、係止保持機構を係止解除しながら操作ハンドルをフリーゾーン又は特定検査使用位置にスムーズに配置することができる。
【0015】
また、操作ハンドルが特定検査使用位置に揺動操作されたとき、可動側ヒンジ部材の係合凸部は、固定側ヒンジ部材の第2係合凹部の揺動半径方向外方側の開口に臨む状態にある。そのため、付勢部の付勢力及び傾斜姿勢にある操作ハンドル自体の重量による付勢力により、可動側ヒンジ部材の係合凸部が固定側ヒンジ部材の第2係合凹部に沿って揺動半径方向内方側にスムーズに係合移動する。
【0016】
さらに、係止保持機構を構成するにあったても、固定側ヒンジ部材に第1係合凹部と第2係合凹部とを設け、可動側ヒンジ部材に係合凸部を設けるだけなので、ヒンジ機構の構成部材を利用した合理的な構造工夫によって係止保持機構を含めたヒンジ構造の簡素化、コンパクト化を図ることができる。
【0017】
本発明による第5の特徴構成は、前記付勢部は、前記操作ハンドルが前記収納位置で鉛直方向に吊上げられたとき、前記検査機本体側の荷重で前記第1係合凹部と前記係合凸部との係合が解除されない付勢力に構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、操作ハンドルが収納位置にある状態で検査機本体を縦向き姿勢にし、操作ハンドルを鉛直方向に持上げて検査機本体を吊下げ状態で運搬する場合、操作ハンドルの可動側ヒンジ部材の係合凸部に対して、検査機本体の固定側ヒンジ部材の第1係合凹部が検査機本体側の荷重で下方である係合解除側に移動しようとする。このとき、固定側ヒンジ部材の第1係合凹部の係合解除位置への離脱移動を付勢部の付勢力で防止することができる。
それ故に、操作ハンドルを把持した状態での移動式検査機の吊下げ運搬時に、係止保持機構の係合解除に起因する検査機本体の揺動軸芯周りでの不測の開き揺動を防止することができる。
【0019】
本発明による第6の特徴構成は、前記第1係合凹部の開口縁と前記第2係合凹部の開口縁との間の揺動領域部において前記係合凸部を移動案内する移動ガイド部が設けられ、前記移動ガイド部によって前記フリーゾーンが構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、固定側ヒンジ部材の第1係合凹部の開口縁と第2係合凹部の開口縁との間の揺動領域部に設けた移動ガイド部により、フリーゾーンにおいて揺動操作される操作ハンドルの係合凸部をスムーズに移動案内することができる。しかも、操作ハンドルが収納位置又は特定検査使用位置に揺動操作されたときには、操作ハンドルの係合凸部を移動ガイド部から第1係合凹部の開口又は第2係合凹部の開口にスムーズに係入移動させることができる。
【0021】
本発明による第7の特徴構成は、前記係止解除手段は、前記第2係合凹部と前記移動ガイド部との境界相当位置において、前記特定検査使用位置から前記フリーゾーンへ揺動する前記係合凸部との当接に伴って当該係合凸部を揺動半径方向外方側に移動させて通過案内する通過ガイド部から構成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、特定検査使用位置にある操作ハンドルをフリーゾーンに揺動操作する際、操作ハンドルの係合凸部が第2係合凹部と移動ガイド部との境界相当位置に設けた通過ガイド部と当接すると、その当接に伴って操作ハンドルの係合凸部は揺動半径方向外方側の係合解除位置に移動案内されながら通過ガイド部を通過する。
それ故に、操作ハンドルの係合凸部が第2係合凹部と移動ガイド部との境界相当位置に通過ガイド部を設けるだけの簡単な工夫をもって係止解除手段を構成することができる。
【0023】
本発明による第8の特徴構成は、前記移動ガイド部は、前記フリーゾーンにおける前記ヒンジ機構の揺動軸芯との距離が収納位置側ほど大に設定して、前記フリーゾーンの収納位置側ほど前記付勢部の付勢力が増大する構成にしてある点にある。
【0024】
上記構成によれば、収納位置にある操作ハンドルの係合凸部を、第1係合凹部の開口から抜け出した係合解除位置に移動させたとき、操作ハンドルの係合凸部を付勢部の付勢力によってフリーゾーンの移動ガイド部にスムーズに移行させることができる。それ故に、収納位置にある操作ハンドルのフリーゾーンへの揺動操作を楽に行うことができる。
しかも、フリーゾーンでの使用中に操作ハンドルから手を放しても、操作ハンドルが収納位置側に急速に降下移動することがなく、操作ハンドルの取り扱いの容易性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態を示す移動式検査機の一例であるガス漏れ検査機の使用時の斜視図
図2】ガス漏れ検査機の収納時の斜視図
図3】操作ハンドルが特定検査使用位置にあるときの係合状態を示す縦断側面図
図4】操作ハンドルが収納位置にあるときの係合状態を示す縦断側面図
図5】操作ハンドルが収納位置にあるときの係合解除状態を示す縦断側面図
図6】ヒンジ構造の前方側からの斜視図
図7】ヒンジ構造の後方側からの斜視図
図8】ヒンジ構造の要部の前方側からの斜視図
図9】固定側ヒンジ部材の拡大側面図
図10】可動側ヒンジ部材の係合凸部が固定側ヒンジ部材の第2係合凹部に係合したときの縦断側面図
図11】可動側ヒンジ部材の係合凸部が固定側ヒンジ部材のフリーゾーンの移動ガイド部にあるときの縦断側面図
図12】可動側ヒンジ部材の係合凸部が固定側ヒンジ部材の第1係合凹部に係合したときの縦断側面図
図13】本発明の第2実施形態を示すヒンジ構造の要部の前方側からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
本実施形態の移動式検査機Aは、図1図3に示すように、地表面側の検査対象空気を導入して検査する検査部1を備えた検査機本体Bと、検査機本体Bの作動を制御する制御部2と、検査機本体Bを地表面に沿って移動操作する操作ハンドルHとを備え、地表面下方の地中に埋設されたガス導管(図示省略)からのガス漏洩を検査するガス漏洩検査機として構成されている。
制御部2は、検査機本体Bの底面側で外部開放される空気捕集部3で捕集した検査対象空気が吸引導入されるガスセンサ4、及びスイッチ類等の出力信号に基づき各種演算処理を行い、その演算結果に基づき、表示部5やスピーカ(図示せず)を制御して、所望の情報表示や音声出力を行うように構成されている。
ガスセンサ4は、特定成分として可燃性ガス(水素、メタン、プロパン等)に感応する公知のセンサ素子を利用したものとして構成されており、導入された検査対象空気中の可燃性ガスの濃度に応じた信号を制御部2に出力する。すると、制御部2は、ガスセンサ4の出力信号から検査対象空気中の可燃性ガス濃度を求めて表示部5に表示すると共に、その可燃性ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、それを作業者に通知するべく、表示部5に所定の警報表示を表示し、更には、スピーカが所定の警報音を発生するように構成されている。
【0027】
検査機本体Bは、左右一対の前車輪10及び操向用の後車輪11を有する走行フレーム12と、検査部1や制御部2等を内蔵する本体ボックス13とから構成されている。そのうち、本体ボックス13は、走行フレーム12の前端部にヒンジ構造Cを介して起伏揺動自在に連結されている操作ハンドルHに取付けられている。そのため、検査機本体Bの本体ボックス13は、操作ハンドルHと共に走行フレーム12に対して揺動自在に構成されている。
操作ハンドルHは、図3に示すように、揺動範囲Rの最下端において水平又は略水平姿勢となる収納位置P1(図12参照)と揺動範囲Rの最上端において傾斜姿勢となる特定検査使用位置P2(図10参照)との間でハンドル姿勢が順次変化する。
【0028】
操作ハンドルHとしては、従来から種々の形態が存在し、そのいずれも好適に使用可能であるが、本実施形態では、図1図4に示すように、3段式に伸縮可能な左右一対のハンドル杆20を備えた操作ハンドルHが用いられている。
この操作ハンドルHの両ハンドル杆20の各々は、相対回動不能な状態で伸縮方向に摺動自在に嵌合接続された角パイプ状の4つの第1〜第4ハンドル部材20A〜20Dから構成されている。そのうち、パイプ径の最も小さな両第4ハンドル部材20Dの先端部に亘ってグリップ部材21が取付けられ、このグリップ部材21の左右方向中央部には、両ハンドル杆20を伸展状態と収縮状態とで択一的に係止固定するロック機構(図示せず)の係合解除用のロック解除レバー22が設けられている。
【0029】
また、パイプ径の最も大きな両第1ハンドル部材20Aの基端部に亘って、両前車輪10との協働により操作ハンドルHが鉛直又は略鉛直方向に向く縦向き姿勢で移動式検査機Aを自立させるためのスタンド23が取付けられている。
本実施形態の移動式検査機Aにおいては、操作ハンドルHを収納位置P1で収縮状態に係止固定し、且つ、両前車輪10とスタンド23とによって検査機本体Bを縦向き姿勢で安定的に自立させ、この自立状態で移動式検査機Aをコンパクトに保管したり、或いは、操作ハンドルHのグリップ部材21を鉛直方に持上げて移動式検査機Aを吊下げ状態で運搬することができる。
【0030】
次に、検査機本体Bの走行フレーム12と操作ハンドルHとの連結部に適用される本発明のヒンジ構造Cについて説明する。
このヒンジ構造Cには、図3図5に示すように、検査機本体Bの走行フレーム12に対して操作ハンドルHの両第1ハンドル部材20Aの基端部を左右方向に沿う揺動軸芯X周りで起伏揺動自在に枢支連結するヒンジ機構30と、操作ハンドルHを揺動範囲Rの最下端において水平又は略水平姿勢となる収納位置P1と揺動範囲Rの最上端において傾斜姿勢となる特定検査使用位置P2とに選択的に係止保持する係止保持機構40とが設けられている。
さらに、図3に示すように、特定検査使用位置P2と収納位置P1との間には、特定検査使用位置P2に連続する検査使用可能領域R1で操作ハンドルHを揺動自在とするフリーゾーンFが構成されている。
つまり、各部の構成の詳細については後述するが、移動ガイド部55の境界相当位置P4から特定検査使用位置P2までの範囲が検査作業に使用される全検査使用可能領域R1となる。この全検査使用可能領域R1のうち、特定検査使用位置P2を除いた領域がフリーゾーンFとなるが、本実施形態においては、特定検査使用位置P2に復帰揺動させる第1復帰領域R2を特定検査使用位置P2に隣接して設けているため、説明の都合上、全検査使用可能領域R1から第1復帰領域R2を除いた領域をフリーゾーンFとしている。
係止保持機構40には、操作ハンドルHを特定検査使用位置P2側に揺動付勢する付勢部50が設けられているとともに、特定検査使用位置P2にある操作ハンドルHのフリーゾーンFへの揺動操作で係止保持機構40による特定検査使用位置P2での係止保持を解除する係止解除手段60が設けられている。
【0031】
図4図5に示すように、操作ハンドルHの両第1ハンドル部材20Aは、収納位置P1において、走行フレーム12の後半部に設けた電源部としての電池ボックス7の電池蓋8の上面との当接によって水平又は略水平姿勢に載置維持される。
また、操作ハンドルHの特定検査使用位置P2は、検査機本体Bを地表面に沿って走行操作可能な操作ハンドルHの全検査使用可能領域の最上端位置に設定されている。
【0032】
そして、全検査使用可能領域R1中のフリーゾーンFの任意の操作位置に選択された操作ハンドルHを操作して、背丈に応じた楽な操作姿勢で地表面に沿って検査機本体Bを移動させながら地表面側の検査対象空気を検査することができる。このフリーゾーンFでの使用中において、地表面に存在する凹凸によって検査機本体Bが上下動しても、操作ハンドルHを作業者が選択した高さ位置に容易に維持することができるので、操作ハンドルHが検査機本体Bに係止固定されている場合に比して疲れの少ない快適な操作性を得ることができる。
また、操作ハンドルHから手を放して検査作業を一時的に中断する必要が生じた場合には、操作ハンドルHを特定検査使用位置P2で係止保持することにより、検査作業の再開時に、特定検査使用位置P2にある傾斜姿勢の操作ハンドルHを、特定検査使用位置P2に連続する検査使用可能領域R1に設けられたフリーゾーンF中おいて傾斜姿勢となる中断前の操作位置に戻し揺動操作するだけで済む。
しかも、特定検査使用位置P2にある操作ハンドルHをフリーゾーンFへ揺動操作するだけで、係止解除手段60によって係止保持機構40による特定検査使用位置P2での係止保持を自動的に解除することができるので、係止保持機構40による特定検査使用位置P2での係止保持に対する特別な解除操作は不要となる。
【0033】
次に、ヒンジ機構30について説明する。
図3図5に示すように、走行フレーム12の前端部には、前車輪10の車軸15を支承する左右一対の軸受け部16間において上方に開口する平面視略矩形状のヒンジ取付け凹部12Aが形成されている。このヒンジ取付け凹部12Aの底面12aには、鋼板製の固定側ヒンジ部材31が取付けられている。この固定側ヒンジ部材31は、図6に示すように、ヒンジ取付け凹部12Aの底面12aにボルト・ナット等の締結具32Aで固定連結される底板31Aと、この底板31Aの左右方向の両側部位から上方に折り曲げ形成された一対の側板31Bとから構成されている。
また、図6図8に示すように、操作ハンドルHの両第1ハンドル部材20Aの基端部には鋼板製のブラケット33が取付けられている。このブラケット33の各々は、第1ハンドル部材20Aの下面に当接状態でボルト・ナット等の締結具32Bにて固定連結される下側連結板33Aと、当該下側連結板33Aの左右方向の内側端部位から上方に折り曲げ形成され、且つ、第1ハンドル部材20Aの内側面に当接状態でボルト・ナット等の締結具32Cにて固定連結される内側連結板33Bと、当該内側連結板33Bの上端部の前後二箇所から両ハンドル杆20の対向面間の空間側に突出する状態で折り曲げ形成された上側連結板33Cとから構成されている。
【0034】
図6図8に示すように、操作ハンドルH側の両ブラケット33の上側連結板33Cに亘って、鋼板製の可動側ヒンジ部材34が取付けられている。この可動側ヒンジ部材34は、平面視矩形状の底板34Aと、当該底板34Aの左右方向の両側部位から上方に折り曲げ形成された一対の側板34Bと、各側板34Bの上端部の前後二箇所から左右方向外方側に突出する状態で折り曲げ形成され、且つ、ブラケット33の上側連結板33Cにボルト・ナット等の締結具32Dで固定連結される上側連結板34Cとから構成されている。
可動側ヒンジ部材34の両側板34Bにおける左右方向の外側面間幅は、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bにおける左右方向の内側面間幅よりも小に構成され、固定側ヒンジ部材31の両側板31B間に可動側ヒンジ部材34の両側板34Bが入込み配置可能に構成されている。
そして、固定側ヒンジ部材31の両側板31B間に可動側ヒンジ部材34の両側板34Bを入込み配置し、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bの揺動軸芯相当部位と可動側ヒンジ部材34の両側板34Bにおける前端部の揺動軸芯相当部位とを、これらを左右方向に沿って水平に貫通する揺動支点軸35で相対回転自在に連結することにより、可動側ヒンジ部材34は、固定側ヒンジ部材31に対して揺動支点軸35の中心である揺動軸支X周りで起伏揺動自在に構成されている。
【0035】
次に、係止保持機構40について説明する。
図9図12に示すように、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bにおける可動側ヒンジ部材34の収納位置P1に相当する部位には、水平な揺動半径方向に沿って機体後方側の外方に向かって開口する第1係合凹部41が切欠き形成されている。
また、図9図10に示すように、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bにおける可動側ヒンジ部材34の特定検査使用位置P2に相当する部位には、後方上がり傾斜の揺動半径方向に沿って機体後方上方側の外方に向かって開口する第2係合凹部42が切欠き形成されている。
さらに、図8図9に示すように、可動側ヒンジ部材34の両側板34Bの外面における前後方向中間部位には、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bに形成された第1係合凹部41及び第2係合凹部42に対して揺動半径方向外方側から選択的に係合可能なピン状の係合凸部43が一体形成されている。
【0036】
ヒンジ機構30の揺動連結部には、図8図9に示すように、少なくとも係止保持機構40を収納位置P1及び特定検査使用位置P2で揺動半径方向に沿って係脱作動させるストロークで操作ハンドルHの揺動半径方向での移動操作を許容する融通44が形成されている。
この融通44は、可動側ヒンジ部材34の両側板34Bの前端部において、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bに架設された揺動支点軸35が相対回転自在に貫通する状態で揺動半径方向に沿って形成された長孔44aから構成されている。
【0037】
付勢部50は、図8に示すように、可動側ヒンジ部材34の両側板34Bにおける揺動支点軸35よりも揺動半径方向外方側に偏倚した後端部位に、揺動支点軸35と平行なピン状のバネ掛止軸36を架設し、このバネ掛止軸36の左右両側部と固定側ヒンジ部材31の揺動支点軸35の左右両側部とに亘ってそれぞれバネの一例である引張コイルバネ50Aを張設することにより構成されている。
そのため、両引張コイルバネ50Aの付勢力は、固定側ヒンジ部材31の第1係合凹部41における揺動半径方向内方側の係合位置及び第2係合凹部42(図9参照)における揺動半径方向内方側の係合位置に対して可動側ヒンジ部材34の係合凸部43を揺動半径方向外方側から係合付勢する付勢力に構成されている。
【0038】
そして、図12に示すように、操作ハンドルHが収納位置P1にある状態では、検査機本体Bの固定側ヒンジ部材31の第1係合凹部41における揺動半径方向内方側の係合位置に、操作ハンドルHの可動側ヒンジ部材34の係合凸部43が係合位置し、且つ、その係合位置に両引張コイルバネ50Aで係合付勢されている。そのため、収納位置P1にある操作ハンドルHをフリーゾーンF又は特定検査使用位置P2に揺動操作するときには、操作ハンドルHを両引張コイルバネ50Aの係合付勢力に抗して揺動半径方向外方側に移動操作し、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43を固定側ヒンジ部材31の第1係合凹部41の開口から抜け出した係合解除位置に移行させる必要がある。
それ故に、収納位置P1での操作ハンドルHの位置保持機能を高めながらも、操作ハンドルHを揺動半径方向外方側へ移動操作したのち、引き続いて上端側に揺動操作するという一連の動作により、係止保持機構40を係止解除しながら操作ハンドルHをフリーゾーンF又は特定検査使用位置P2にスムーズに移行させることができる。
【0039】
また、図10に示すように、操作ハンドルHが特定検査使用位置P2に揺動操作されたとき、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43は、固定側ヒンジ部材31の第2係合凹部42の揺動半径方向外方側の開口に臨む状態にある。そのため、両引張コイルバネ50Aの付勢力及び傾斜姿勢にある操作ハンドルHの自重による付勢力により、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43が固定側ヒンジ部材31の第2係合凹部42に沿って揺動半径方向内方側の係止位置にまでスムーズに係合移動する。
【0040】
さらに、両引張コイルバネ50Aは、収縮状態にある操作ハンドルHが収納位置P1で鉛直方向に吊上げられたとき、検査機本体B側の荷重で第1係合凹部41と係合凸部43との係合が解除されない付勢力に構成されている。
この種の移動式検査機Aにおいては、操作ハンドルHを収納位置P1で収縮状態に係止固定し、且つ、両前車輪10とスタンド23とによって検査機本体Bを縦向き姿勢に自立させ、この状態で操作ハンドルHのグリップ部材21を鉛直方に持上げて移動式検査機Aを吊下げ状態で運搬する場合がある。
移動式検査機Aを吊下げた状態では、操作ハンドルHの可動側ヒンジ部材34の係合凸部43に対して、検査機本体Bの固定側ヒンジ部材31の第1係合凹部41が検査機本体B側の荷重で下方である係合解除側に移動しようとする。このとき、固定側ヒンジ部材31の第1係合凹部41の係合解除位置への離脱移動を両引張コイルバネ50Aの付勢力で防止することができる。それ故に、操作ハンドルHのグリップ部材21を把持した状態での移動式検査機Aの吊下げ運搬時に、係止保持機構40の係合解除に起因する検査機本体Bの揺動軸芯X周りでの不測の開き揺動を防止することができる。
【0041】
次に、フリーゾーンF及び係止解除手段60について説明する。
図9図11に示すように、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bにおける左右方向に沿う外周側端面のうち、第1係合凹部41の開口縁と第2係合凹部42の開口縁との間の検査使用可能領域R1における略直線状の外周側端面部分31aは、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43を揺動方向に沿って移動案内する移動ガイド部55に構成され、この移動ガイド部55によって上述のフリーゾーンFが構成されている。
この移動ガイド部55は、フリーゾーンFにおけるヒンジ機構30の揺動軸芯Xとの距離L1が収納位置P1側ほど大に設定して、フリーゾーンFの収納位置P1側ほど両引張コイルバネ50Aの付勢力が増大する構成にしてある。
【0042】
つまり、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43が移動ガイド部55の特定検査使用位置P2側から収納位置P1側に移動案内されるに伴って、可動側ヒンジ部材34の係合凸部43が揺動半径方向外方に移動され、両引張コイルバネ50Aを張設している揺動支点軸35とバネ掛止軸36との軸間距離が大きくなるため、フリーゾーンFの収納位置P1側ほど両引張コイルバネ50Aの付勢力が増大することになる。
そのため、収納位置P1にある操作ハンドルHの係合凸部43を、第1係合凹部41の開口から抜け出した係合解除位置に移動させたとき、操作ハンドルHの係合凸部43を両引張コイルバネ50Aの付勢力によってフリーゾーンFの移動ガイド部55にスムーズに移行させることができる。それ故に、収納位置P1にある操作ハンドルHのフリーゾーンFへの揺動操作を楽に行うことができる。しかも、フリーゾーンFでの使用中に操作ハンドルHから手を放しても、操作ハンドルHが収納位置P1側に急速に降下移動することがなく、操作ハンドルHの取り扱いの容易性を高めることができる。
【0043】
また、固定側ヒンジ部材31の第2係合凹部42の最深位置からヒンジ機構30の揺動軸芯Xまでの距離L2が、第1係合凹部41の最深位置からヒンジ機構30の揺動軸芯Xまでの距離L3よりも少し大に構成されている。
そのため、第1係合凹部41の係合深さは第2係合凹部42の係合深さよりも大に構成されている。
【0044】
係止解除手段60は、第2係合凹部42と移動ガイド部55との境界相当位置において、特定検査使用位置P2からフリーゾーンFへ揺動する係合凸部43との当接に伴って当該係合凸部43を揺動半径方向外方側に移動させて第2係合凹部42の開口縁を通過案内する通過ガイド部60Aから構成されている。
この通過ガイド部60Aは、第2係合凹部42の後半側内面42aと移動ガイド部55を構成する外周側端面部分31aとの境界相当位部位の角部を、第2係合凹部42内の最深位置から係合凸部43の半径よりも小さな寸法分だけ偏倚した深さ位置a、換言すれば、第2係合凹部42内に係合した係合凸部43の中心43aよりも第2係合凹部42の最深位置側に偏倚した深さ位置aを円弧開始点とする略1/4円弧状の通過ガイド面に形成することにより構成されている。
【0045】
そして、特定検査使用位置P2にある操作ハンドルHをフリーゾーンFに揺動操作する際、操作ハンドルHの係合凸部43が第2係合凹部42と移動ガイド部55との境界相当位置に形成した通過ガイド面(通過ガイド部)60Aと当接すると、その当接に伴って操作ハンドルHの係合凸部43は両引張コイルバネ50Aの付勢力及び操作ハンドルHの自重による付勢力に抗して揺動半径方向外方側の係合解除位置に移動案内されながら通過ガイド面60Aを通過する。
それ故に、第2係合凹部42と移動ガイド部55との境界相当位置に通過ガイド面60Aを形成するだけの簡単な改良をもって係止解除手段60を構成することができる。
【0046】
また、通過ガイド面60Aにおける移動ガイド部55との境界相当位置P3よりも第2係合凹部42側の領域は、引張コイルバネ50Aの付勢力及び操作ハンドルHの自重による付勢力により、操作ハンドルHの係合凸部43を第2係合凹部42の係止位置に復帰揺動させる第1復帰領域R2に設定されている。
さらに、移動ガイド部55を構成する外周側端面部分31aと第1係合凹部41の内面41aとの境界相当位部位の角部を、略1/4円弧状の通過ガイド面61に形成して、この通過ガイド面61と移動ガイド部55との境界相当位置P4よりも第1係合凹部41側の領域は、引張コイルバネ50Aの付勢力により、操作ハンドルHの係合凸部43を第1係合凹部41の係止位置に復帰揺動させる第2復帰領域R3に設定されている。
【0047】
尚、本実施形態では、図4図5に示すように、本体ボックス13の後端部と走行フレーム12の後端部との相対向する部位には、操作ハンドルHが収納位置P1にあるとき、走行フレーム12に対する操作ハンドルHの特定検査使用位置P2側への揺動を阻止する第2係合保持機構65が設けられている。
この第2係合保持機構65は、操作ハンドルHが収納位置P1にある状態で走行フレーム12の後端部から後方に突設される第1係止突起65Aと、当該第1係止突起65Aの下面側に対向する状態で本体ボックス13の後端部から前方側に突設される第2係止突起65Bとから構成されている。
この第1係止突起65Aと第2係止突起65Bは、操作ハンドルHの係合凸部43が第1係合凹部41の係止位置にあるときには係合状態にあり、操作ハンドルHの係合凸部43が第1係合凹部41の開口から抜け出した係合解除位置に移行したときには係合解除状態にある。
【0048】
〔第2実施形態〕
図13は、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bの内面における前端部に設けた第1バネ掛け部70と、可動側ヒンジ部材34の両側板34Bの内面における前端部に設けた第2バネ掛け部71とに亘って、操作ハンドルHの可動側ヒンジ部材34の係合凸部43がフリーゾーンFの収納位置P1側に移行するほど付勢力が増大する補助付勢部72としての一対の補助引張コイルバネ72Aが張設されている。
フリーゾーンFの移動ガイド部55に沿って案内される操作ハンドルHの係合凸部43が収納位置P1側に近づくほど補助引張コイルバネ72Aの付勢力が増大して操作ハンドルHの揺動操作抵抗が増加する。
そのため、操作ハンドルHを特定検査使用位置P2に確実に係止保持することができるとともに、フリーゾーンFでのハンドル維持力の軽減化を図ることができる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、操作ハンドルHの揺動範囲Rの最上端位置、つまり、検査作業に使用される全検査使用可能領域の最上端に特定検査使用位置P2を設定したが、この特定検査使用位置P2を全検査使用可能領域の中間に設定してもよい。
【0050】
(2)上述の実施形態では、操作ハンドルHの揺動範囲Rの最上端位置、つまり、検査作業に使用される全検査使用可能領域の最上端に一つの特定検査使用位置P2を設定したが、全検査使用可能領域の上端側に複数の特定検査使用位置P2を設定し、そのうち、最下位の特定検査使用位置P2に連続する状態でフリーゾーンFを設定してもよい。
【0051】
(3)上述の実施形態では、操作ハンドルHを収納位置P1と特定検査使用位置P2とに選択的に係止保持する係止保持機構40を、固定側ヒンジ部材31の両側板31Bに形成した第1係合凹部41及び第2係合凹部42と可動側ヒンジ部材34の両側板34Bに設けた係合凸部43とから構成した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、固定側ヒンジ部材31に、操作ハンドルHの可動側ヒンジ部材34に揺動方向から当接して、可動側ヒンジ部材34を収納位置P1と特定検査使用位置P2とに選択的に係止保持する複数のピン状部材を設けて構成してもよい。
【0052】
(4)上述の実施形態では、特定検査使用位置P2にある操作ハンドルHのフリーゾーンFへの揺動操作で係止保持機構40による特定検査使用位置P2での係止保持を解除する係止解除手段60を、第2係合凹部42と移動ガイド部55との境界相当位置において、特定検査使用位置P2からフリーゾーンFへ揺動する係合凸部43との当接に伴って当該係合凸部43を揺動半径方向外方側に移動させて通過案内する円弧面状の通過ガイド部60Aから構成した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、通過ガイド部60Aを傾斜面から構成してもよい。さらに、特定検査使用位置P2にある操作ハンドルHのフリーゾーンFへの揺動操作に連動して、係合凸部43を第2係合凹部42の開口から抜け出した係合解除位置に強制的に移行させるものであってもよい。
【0053】
(5)上述の実施形態では、第1係合凹部41の開口縁と第2係合凹部42の開口縁との間の検査使用可能領域R1における外周側端面部分31aを略直線状に構成したが、この外周側端面部分31aを円弧状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
A 移動式検査機
B 検査機本体
C ヒンジ構造
F フリーゾーン
H 操作ハンドル
P1 収納位置
P2 特定検査使用位置
R1 検査使用可能領域
g 地表面
30 ヒンジ機構
31 固定側ヒンジ部材
34 可動側ヒンジ部材
40 係止保持機構
41 第1係合凹部
42 第2係合凹部
43 係合凸部
44 融通
50 付勢部
55 移動ガイド部
60 係止解除手段
61 通過ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13