【課題】ガス検査機の作動状態を点検するにあたり、センサ部の検出精度を正確に点検することができる上に、実際の検査時において重要なセンサ部の検出精度以外の基本性能を正確に点検することができる技術を提供する。
【解決手段】検査対象空気を捕集する空気捕集部53と、当該空気捕集部53で捕集した検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部22と、当該センサ部22の出力に応じて検査結果を出力する制御部21と、を有するガス検査機1に対し、特定成分を含む点検用ガスを供給して作動状態を点検するガス検査機点検方法において、ガス検査機1の空気捕集部53に点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第1点検処理と、ガス検査機1のセンサ部22に通じる点検口30に点検用ガスを供給して、当該ガス検査機1の作動状態を点検する第2点検処理とを実行する。
検査対象空気を捕集する空気捕集部と、当該空気捕集部で捕集した検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部と、当該センサ部の出力に応じて検査結果を出力する制御部と、を有するガス検査機に対し、前記特定成分を含む点検用ガスを供給して作動状態を点検するガス検査機点検方法であって、
前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第1点検処理と、
前記ガス検査機の前記センサ部に通じる点検口に前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第2点検処理とを実行するガス検査機点検方法。
前記ガス検査機が、吸引路を通じて前記空気捕集部で捕集した検査対象空気を吸引する吸引ポンプを有すると共に、前記ガス検査機の点検口が、前記吸引路から分岐する分岐路に接続され、
前記第2点検処理において、前記点検口への前記点検用ガスの供給量を、前記吸引ポンプの吸引量よりも大きく設定する請求項1又は2に記載のガス検査機点検方法。
前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給可能な第1点検用ガス供給部と、前記ガス検査機の点検口に前記点検用ガスを供給可能な第2点検用ガス供給部と、共通の点検用ガス供給源からの前記点検用ガスの供給先を前記第1点検用ガス供給部と前記第2点検用ガス供給部との間で択一的に切替可能な切替手段を設け、
前記第1点検処理と前記第2点検処理の一方の点検処理を実行した後に、前記切替手段により前記点検用ガスの供給先を切り替えて、他方の点検処理を実行する請求項1〜4の何れか1項に記載のガス検査機点検方法。
前記ガス検査機を収容可能なガス検査機収容部を設けると共に、当該ガス検査機収容部に、前記ガス検査機の収容に伴って当該ガス検査機との間で通信可能となる通信手段を設け、
前記通信手段により前記ガス検査機との間の通信が可能となった状態を点検可能状態と判定する点検可能状態判定処理を実行し、当該点検可能状態判定処理で前記点検可能状態を判定した場合に、前記第1点検処理及び前記第2点検処理を実行する請求項5に記載のガス検査機点検方法。
前記第1点検処理及び前記第2点検処理において、前記通信手段により前記ガス検査機との間で通信を行って、当該ガス検査機の作動状態を取得する請求項6に記載のガス検査機点検方法。
検査対象空気を捕集する空気捕集部と、当該空気捕集部で捕集した検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部と、当該センサ部の出力に応じて検査結果を出力する制御部と、を有するガス検査機に対し、前記特定成分を含む点検用ガスを供給して作動状態を点検する点検処理を実行する点検処理手段を備えたガス検査機点検システムであって、
前記ガス検査機を収容可能なガス検査機収容部を備えると共に、当該ガス検査機収容部が、収容された前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給可能な第1点検用ガス供給部と、収容された前記ガス検査機の前記センサ部に通じる点検口に前記点検用ガスを供給可能な第2点検用ガス供給部を備え、
前記点検処理手段が、
当該ガス検査機収容部に収容された前記ガス検査機に対して前記点検処理を実行すると共に、
当該点検処理として、
前記ガス検査機の空気捕集部に前記第1点検用ガス供給部を介して前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第1点検処理と、
前記ガス検査機の点検口に前記第2点検用ガス供給部を介して前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第2点検処理とを実行するように構成されているガス検査機点検システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなガス検査機は、実際の検査に先立って作動状態を点検する必要がある。そして、従来の点検方法では、既知の濃度で特定成分を含む点検用ガスが、他の空気等が混入することが無いように強制的にセンサ部に供給され、その際に出力される検査結果によりセンサ部の検出精度が点検される。そして、そのセンサ部の検出精度に問題があれば、センサ部の感度調整などの校正が行われる。
しかしながら、このようなガス検査機点検方法では、ガス検査機の作動状態としてセンサ部の検出精度を点検することはできるものの、点検用ガスが実際の検査時とは異なって強制的にセンサ部に供給されるので、空気捕集部による検査対象空気の捕集性能等のような実際の検査時において重要なそのセンサ部の検出精度以外の基本性能に問題がないかを点検することができない場合があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ガス検査機の作動状態を点検するにあたり、センサ部の検出精度を点検することができると共に、実際の検査時において重要なセンサ部の検出精度以外の基本性能も正確に点検することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、検査対象空気を捕集する空気捕集部と、当該空気捕集部で捕集した検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部と、当該センサ部の出力に応じて検査結果を出力する制御部と、を有するガス検査機に対し、前記特定成分を含む点検用ガスを供給して作動状態を点検するガス検査機点検方法であって、
前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第1点検処理と、
前記ガス検査機の前記センサ部に通じる点検口に前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第2点検処理とを実行する点にある。
【0007】
本構成によれば、上記第1点検処理を実行して、実際の検査時の検査対象空気と同様に、ガス検査機の空気捕集部を介してセンサ部に点検用ガスを供給する。すると、実際の検査時における空気捕集部による検査対象空気の捕集性能やセンサ部の検出性能などのガス検査機の基本性能が正常な状態である場合には、センサ部に点検用ガスが供給されたことを示すような検査結果がガス検査機の作動状態として出力されることになる。このような第1点検処理の実行時におけるガス検査機の作動状態を確認することにより、ガス検査機の基本性能が正常な状態であるか否かを正確に把握することができ、その結果に応じて適切なメンテナンスを実行することができる。
【0008】
更に、このような第1点検処理では、点検用ガスに空気捕集部の周辺空気が混入する可能性があるため、センサ部の検出精度を正確に点検することは困難である。そこで、ガス検査機にセンサ部に通じる点検口を設けると共に、上記第2点検処理を実行して、ガス検査機の点検口に点検用ガスを供給する。すると、周辺空気の混入が抑制された状態で、点検用ガスがセンサ部に供給され、点検用ガスの特定成分濃度に応じた検査結果がガス検査機の作動状態として出力されることになる。この検査結果を、点検用ガス中の既知の特定成分濃度と比較することにより、センサ部の検出精度を正確に把握することができ、その結果に応じて適切なセンサ部の校正を実行することができる。
【0009】
更に、このような第2点検処理に加えて、上記第1点検処理が実行されるので、実際の検査時において重要なセンサ部の検出精度以外の基本性能も正確に点検することができる。
即ち、第2点検処理において、センサ部の検出精度が正常であるとの点検結果が出力されたのにも拘らず、第1点検処理において、ガス検査機の基本性能に異常があるとの点検結果が出力された場合には、空気捕集部による検査対象空気の捕集性能等に異常が生じていると判断できる。
【0010】
従って、本発明により、ガス検査機の作動状態を点検するにあたり、センサ部の検出精度を点検することができる上に、実際の検査時において重要なセンサ部の検出精度以外の基本性能も正確に点検することができる技術を提供することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記第1点検処理において、前記点検用ガスを、前記ガス検査機の空気捕集部又はその近傍に放出する形態で当該空気捕集部に供給し、
前記第2点検処理において、前記点検用ガスを、前記点検口に注入する形態で当該点検口に供給する点にある。
【0012】
本構成によれば、第1点検処理において、ガス検査機の空気捕集部又はその近傍に放出する形態で点検用ガスを空気捕集部へ供給するので、この点検用ガスは実際の検査時の検査対象空気に極めて近い状態で空気捕集部に捕集されて、センサ部に供給されることになる。従って、実際の検査時における空気捕集性能等を一層正確に点検することができる。
一方、第2点検処理において、点検口に注入する形態で点検用ガスを当該点検口に供給するので、この点検用ガスは周辺空気を殆ど巻き込むことなく略そのままの状態でセンサ部に供給されることになる。従って、センサ部の検出精度を一層正確に点検することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記ガス検査機が、吸引路を通じて前記空気捕集部で捕集した検査対象空気を吸引する吸引ポンプを有すると共に、前記ガス検査機の点検口が、前記吸引路から分岐する分岐路に接続され、
前記第2点検処理において、前記点検口への前記点検用ガスの供給量を、前記吸引ポンプの吸引量よりも大きく設定する点にある。
【0014】
本構成によれば、第1点検処理では、空気捕集部に供給された点検用ガスが、通常の検査時と同様に、吸引ポンプの吸引力により吸引路を通じてセンサ部に供給され、一方、第2点検処理では、点検口に供給された点検用ガスが、吸引ポンプの吸引力により分岐路及び吸引路を通じてセンサ部に供給される。
この第2点検処理において、点検口への点検用ガスの供給量が、吸引ポンプの吸引量よりも大きく設定されているので、分岐路から吸引路に流入した点検用ガスの一部が、吸引ポンプにより吸引されてセンサ部に供給されるものの、残部が吸引路を空気捕集部側に向けて逆流することになる。従って、この第2点検処理の吸引路では、逆流する点検用ガスが存在することになるため、空気捕集部からセンサ部へ流入する空気が実質的に遮断されることになり、結果、センサ部には空気の混入のない純粋な点検用ガスが供給されることになり、センサ部の検出精度を一層正確に点検することができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記ガス検査機が、前記空気捕集部を地表面に沿わせた検査姿勢で当該地表面に沿って移動操作される移動式ガス検査機であり、
前記第1点検処理において、前記点検用ガスを、前記検査姿勢とした前記ガス検査機の空気捕集部又はその近傍に放出する形態で当該空気捕集部に供給する点にある。
【0016】
本構成によれば、ガス検査機が上記移動式ガス検査機である場合には、実際の検査時において検査姿勢としたガス検査機の空気捕集部又はその近傍に特定成分を含むガスが放出される状態を再現する形で、第1点検処理において点検用ガスを空気捕集部に供給することができる。従って、実際の検査時の状況にあった空気捕集性能等の点検が可能となる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給可能な第1点検用ガス供給部と、前記ガス検査機の点検口に前記点検用ガスを供給可能な第2点検用ガス供給部と、共通の点検用ガス供給源からの前記点検用ガスの供給先を前記第1点検用ガス供給部と前記第2点検用ガス供給部との間で択一的に切替可能な切替手段を設け、
前記第1点検処理と前記第2点検処理の一方の点検処理を実行した後に、前記切替手段により前記点検用ガスの供給先を切り替えて、他方の点検処理を実行する点にある。
【0018】
本構成によれば、上記切替手段を設けることにより、ガス検査機における空気捕集部側の第1点検用ガス供給口と点検口側の第2点検用ガス供給部との夫々の点検用ガスの供給先に対して、共通の点検用ガス供給源からの点検用ガスを択一的に切り替えて供給することができる。そこで、第1点検処理と第2点検処理の夫々を順に実行するにあたり、第1点検用ガス供給部と第2点検用ガス供給部とのうちの一方の供給先に対して点検用ガスを供給する状態で、第1点検処理と第2点検処理とのうちの一方の点検処理を実行した後に、上記切替手段により点検用ガスの供給先を切り替えて、他方の供給先に対して点検用ガスを供給する状態で、他方の点検処理を実行することができ、点検用ガス供給源の共通化を図りながら、点検処理の切り替えを簡単に行うことができる。
【0019】
本発明の第6特徴構成は、前記ガス検査機を収容可能なガス検査機収容部を設けると共に、当該ガス検査機収容部に、前記ガス検査機の収容に伴って当該ガス検査機との間で通信可能となる通信手段を設け、
前記通信手段により前記ガス検査機との間の通信が可能となった状態を点検可能状態と判定する点検可能状態判定処理を実行し、当該点検可能状態判定処理で前記点検可能状態を判定した場合に、前記第1点検処理及び前記第2点検処理を実行する点にある。
【0020】
本構成によれば、上記通信手段は、ガス検査機がガス検査機収容部に収容されて始めて、当該収容されたガス検査機との間で通信可能となる。よって、この通信手段によりガス検査機との間で通信が可能となった状態は、ガス検査機がガス検査機収容部に収容された状態を示すものとなる。そこで、上記点検可能状態判定処理を実行することにより、ガス検査機がガス検査機収容部に収容されて点検処理が実行可能な点検可能状態とした場合において、その状態を上記通信手段によるガス検査機との間の通信が可能となった状態として自動的に判定して第1点検処理及び第2点検処理の実行を開始することができる。
【0021】
本発明の第7特徴構成は、前記第1点検処理及び前記第2点検処理において、前記通信手段により前記ガス検査機との間で通信を行って、当該ガス検査機の作動状態を取得する点にある。
【0022】
本構成によれば、ガス検査機をガス検査機収容部に収容した状態で第1点検処理及び第2点検処理を実行するにあたり、作業者がガス検査機を確認することなく、上記通信手段により自動的にガス検査機の作動状態を取得することができる。
【0023】
本発明の第8特徴構成は、検査対象空気を捕集する空気捕集部と、当該空気捕集部で捕集した検査対象空気中の特定成分に感応するセンサ部と、当該センサ部の出力に応じて検査結果を出力する制御部と、を有するガス検査機に対し、前記特定成分を含む点検用ガスを供給して作動状態を点検する点検処理を実行する点検処理手段を備えたガス検査機点検システムであって、
前記ガス検査機を収容可能なガス検査機収容部を備えると共に、当該ガス検査機収容部が、収容された前記ガス検査機の空気捕集部に前記点検用ガスを供給可能な第1点検用ガス供給部と、収容された前記ガス検査機の前記センサ部に通じる点検口に前記点検用ガスを供給可能な第2点検用ガス供給部を備え、
前記点検処理手段が、
当該ガス検査機収容部に収容された前記ガス検査機に対して前記点検処理を実行すると共に、
当該点検処理として、
前記ガス検査機の空気捕集部に前記第1点検用ガス供給部を介して前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第1点検処理と、
前記ガス検査機の点検口に前記第2点検用ガス供給部を介して前記点検用ガスを供給して、当該ガス検査機の作動状態を点検する第2点検処理とを実行するように構成されている点にある。
【0024】
本構成によれば、上記ガス検査機収容部を備え、当該ガス検査機収容部に収容されたガス検査機に対して、第1点検用ガス供給部から空気捕集部に点検用ガスを供給可能とすると共に、第2点検用ガス供給部から点検口に点検用ガスを供給可能とした上で、第1点検処理及び第2点検処理を実行する点検処理手段を備える。このことで、本発明に係るガス検査機点検方法を実行するシステムを構築することができ、当該ガス検査機点検方法を実行することで、本発明に係るガス検査機点検方法と同様の作用効果を奏することができ、ガス検査機の作動状態の点検するにあたって、センサ部の検出精度を点検することができる上に、実際の検査時において重要なセンサ部の検出精度以外の基本性能も正確に点検することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
まず、ガス検査機点検システム100が実行するガス検査機点検方法の点検対象であるガス検査機1の構成について説明する。
【0027】
〔ガス検査機〕
本実施形態のガス検査機1は、
図1〜
図3に示すように、地表面g側の検査対象空気を導入して検査する検査部Aと、検査部Aでの検査結果に応じて警報音を発生する警報音発生部Bとを備えた検査機本体Cと、検査機本体Cの作動を制御する制御部21と、検査機本体Cを地表面に沿って移動操作する操作ハンドル6とを備える。そして、このガス検査機1は、検査部Aの空気捕集部53を地表面gに沿わせた検査姿勢で当該地表面gに沿って移動操作される移動式ガス検査機として構成されている共に、地表面g下方の地中に埋設されたガス導管(図示省略)等からのガス漏洩を検査するガス漏洩検査機として構成されている。
【0028】
検査機本体Cは、前後夫々に走行用車輪42,43を有する走行フレーム4と、上記制御部21やその他各種補機等を内蔵する本体ボックス2とで構成されている。また、上記操作ハンドル6は、走行フレーム4の前方側に設けられたヒンジ構造32(
図1参照)により、当該走行フレーム4に対して所定の揺動範囲内で揺動自在に接続されており、走行フレーム4側(地表面g側)の収納位置(
図3参照)と、その収納位置よりも上方側の移動操作位置(
図2参照)との間で位置変更可能となっている。
更に、検査機本体Cの本体ボックス2は、この操作ハンドル6の下方側に固定されていることから、当該本体ボックス2についても、操作ハンドル6と共に走行フレーム4に対して揺動自在となる。
【0029】
更に、操作ハンドル6は、先端側(走行フレーム4との接続部とは反対側)に設けられた把持部6aを本体ボックス2に対して近接(
図3参照)又は離間(
図1参照)させる形態で伸縮可能な構造を有している。
【0030】
図1及び
図6に示すように、走行フレーム4の下面側には、検査機本体Cの底面側で外部開放される空気捕集部53を形成するためのゴム製シート材で構成されたシール部材5が設けられている。このシール部材5は、中央部を下方側に撓ました状態で前方端部及び後方端部が走行フレーム4の前方及び後方に固定されている。更に、このシール部材5の中央部下面側には、上方側に凹む凹部52が形成されており、この凹部52の内部空間が空気捕集部53として形成されている。そして、検査機本体Cの姿勢を地表面gに走行用車輪42,43を接地させた検査姿勢とした状態では、シール部材5の空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接することで、空気捕集部53の開放部が地表面gにより覆われた状態となり、空気捕集部53が外気に対して略密閉状態となる。
【0031】
更に、シール部材5の凹部52には、空気捕集部53に臨む導入口54が形成されており、この導入口54と後述するガスセンサ22(センサ部の一例)とが、吸引路27により接続されている。また、この吸引路27には、吸引路27を通じて空気捕集部53で捕集した検査対象空気を吸引してガスセンサ22に導入する吸引ポンプ23が設けられている。
このような構成により、検査機本体Cを空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する検査姿勢とし、その検査姿勢の検査機本体Cを地表面gに沿って移動させると、空気捕集部53内に存在する地表面g側の空気が検査対象空気として吸引され、当該吸引された検査対象空気がガスセンサ22に導入されることになる。
【0032】
本体ボックス2には、
図6に示すように、コンピュータからなる制御部21に加えて、ガスセンサ22、吸引ポンプ23等が内蔵されている。また、本体ボックス2には、
図1に示すように、操作ハンドル6を把持して操作する作業者が聴認可能な状態で音声を出力可能なスピーカ25等が配置されている。更に、本体ボックス2の上端部側には、同作業者により視認可能な状態で、液晶ディスプレイ等の表示部24、及び、電源のON・OFFやレンジ切替や音量調整等を行うための各種スイッチ類26が配置されている。
そして、制御部21は、ガスセンサ22、及びスイッチ類26等の出力信号に基づき各種演算処理を行い、その演算結果に基づき、表示部24やスピーカ25を制御して、所望の情報表示や音声出力を行うように構成されている。
【0033】
ガスセンサ22は、特定成分として可燃性ガス(水素、メタン、プロパン等)に感応する公知のセンサ素子を利用したものとして構成されており、導入された検査対象空気中の特定成分の濃度に応じた信号を制御部21に出力する。すると、制御部21は、ガスセンサ22の出力信号から検査対象空気中の特定成分濃度を求めて表示部24に表示すると共に、その可燃性ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、それを作業者に通知するべく、表示部24に所定の警報表示を表示し、更には、スピーカ25が警報音発生部Bとして所定の警報音を発生するように構成されている。
【0034】
更に、このガス検査機1は、作業者による操作ハンドル6の操作により、収納時における第1姿勢、及び検査時における第2姿勢との間で、姿勢変更可能に構成されている。以下、第1姿勢、及び第2姿勢の夫々について説明を加える。
【0035】
(第1姿勢)
ガス検査機1の第1姿勢は、収納時の姿勢であって、
図3に示すように、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢にある状態で、操作ハンドル6を地表面g側の収納位置に位置させた姿勢とされている。
この第1姿勢では、本体ボックス2が走行フレーム4に近接することになり、更には把持部6aを本体ボックス2に対して近接させるように操作ハンドル6を収縮させることで、コンパクトな収納が可能となる。
また、この第1姿勢では、前方側の走行用車輪42の直上に後方側の走行用車輪43が位置するまで回転させた搬送状態(図示省略)で、把持部6aを把持して持ち上げた状態で搬送することができる。更に、本体ボックス2の前方側には、前後方向において前方の走行用車輪42の先端部と同じ位置に張り出す支持部35が設けられている。このことにより、上記搬送状態で、前方側の走行用車輪42と支持部35とを地表面gに接地させて自立させることができ、省スペースの収納が可能となる。
【0036】
(第2姿勢)
ガス検査機1の第2姿勢は、検査時の姿勢であって、
図1,2に示すように、検査機本体Cが空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢にある状態で、操作ハンドル6を収納位置の上方側の移動操作位置に位置させた姿勢とされている。
この第2姿勢では、操作ハンドル6は、地表面gに対して所望の角度を有することになり、更には把持部6aを本体ボックス2に対して離間させるように操作ハンドル6を伸長させることで、検査を行う作業者が無理のない立位体勢で操作ハンドル6の先端側の把持部6aを把持して当該ガス検査機1を押して移動させることができる。このような移動操作では、空気捕集部53の周囲部51が地表面gに接する所定の検査姿勢となり、その検査姿勢の空気捕集部53により地表面g側の検査対象空気が捕集されて、その検査対象空気がガスセンサ22に供給され、当該検査対象空気に可燃性ガスが含まれているか否かなどの検査を行うことができる。この検査において検査対象空気中の可燃性ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、スピーカ25から警報音が発生される。
【0037】
以上がガス検査機1の基本構成であるが、このガス検査機1は、後述するガス検査機点検方法を実行するための構成を有しており、その構成について以下に説明を加える。
図3,5,6に示すように、本体ボックス2の前面側には、点検口30が設けられている。この点検口30は、後述する点検用ガス注入ノズル75が接続された状態では開放され、点検用ガス注入ノズル75の接続が解除された状態で閉塞される自動開閉弁で構成されている。
この点検口30は、吸引路27の吸引ポンプ23の上流側から分岐する分岐路31に接続されており、これによりこの点検口30は、分岐路31、吸引路27、及び吸引ポンプ23を介して、ガスセンサ22に通じるものとなる。
【0038】
本体ボックス2の側面側には、外部との間で赤外線通信により通信可能な通信部36が設けられており、制御部21は、この通信部36を介して、後述するガス検査機点検システム100との間で、ガスセンサ22で検出された特定成分濃度等の検査結果や各種補機の状態などのようなガス検査機1の作動状態に関する情報や、後述するガス検査機点検方法を実行するための情報等を授受可能となる。
【0039】
〔ガス検査機点検システム〕
次に、ガス検査機1の作動状態を点検するためのガス検査機点検システム100について説明する。
図4,5,6に示すように、ガス検査機点検システム100は、ガス検査機1を収容可能なガス検査機収容器具7(ガス検査機収容部の一例)と、当該ガス検査機収容器具7に点検用ガスを供給すると共に当該ガス検査機収容器具7の制御部79との間で有線通信可能なコンピュータを備えたシステム本体9とを備える。以下、これらガス検査機収容器具7とシステム本体9との構成について順に説明を加える。
【0040】
ガス検査機収容器具7は、上述した収納時の第1姿勢とされたガス検査機1が収容されるように構成されており、水平方向に扁平状の収容台部72と、その収容台部72の前方側(
図5の右側)から上方に立設される本体部71とで構成されている。
【0041】
ガス検査機収容器具7の収容台部72には、
図4,5に示すように、当該ガス検査機1が搭載される収容面部72aと、当該収容面部72aにガス検査機1を走行させて進入させるためのスロープ部72bと、当該収容面部72aに進入したガス検査機1の走行用車輪42の左右位置を所定位置に案内するための側方ガイド部72cと、当該収容面部72aに進入したガス検査機1の過剰な進入を規制するための車輪止め部72dとが設けられている。このことで、作業者は、収納時の第1姿勢とされたガス検査機1を、走行用車輪42,43を接地させた状態で押して、スロープ部72bから収容面部72aに向けて走行移動させることにより、そのガス検査機1は、側方ガイド部72c及び車輪止め部72dによる位置の案内及び規制により、収容面部72aの所定位置に収容されることになる。
【0042】
この収容面部72aには、収容されたガス検査機1の空気捕集部53に点検用ガスを供給可能な点検用ガス放出口73(第1点検用ガス供給部の一例)が設けられている。この点検用ガス放出口73は、収容面部72aの所定位置に収容されたガス検査機1の空気捕集部53に臨む姿勢で開口されており、これにより、ガス検査機1の空気捕集部53に点検用ガスを放出する形態で、当該空気捕集部53に点検用ガスを供給するように構成されている。
【0043】
収容されたガス検査機1の前方側に位置する本体部71には、当該ガス検査機1の点検口30に点検用ガスを供給可能な点検用ガス注入ノズル75(第2点検用ガス供給部の一例)が設けられている。この点検用ガス注入ノズル75は、収容面部72aの所定位置に収容されたガス検査機1の点検口30に差し込まれるように設けられており、これにより、ガス検査機1の点検口30に対し、周囲空気を巻き込むことなく点検用ガスを注入する形態で、当該点検口30に点検用ガスを供給するように構成されている。
【0044】
システム本体9からガス検査機収容器具7へは、点検用ガス路78を通じて点検用ガスが供給され、この点検用ガス路78は、点検用ガス放出口73に接続された放出用点検用ガス路74、及び点検用ガス注入ノズル75に接続された注入用点検用ガス路76の夫々に対して、本体部71に設けられた三方切替弁77(切替手段の一例)を介して接続されている。この三方切替弁77により、共通の点検用ガス供給源であるシステム本体9側からの点検用ガスの供給先を、点検用ガス放出口73と点検用ガス注入ノズル75との間で択一的に切替可能となる。
【0045】
ガス検査機収容器具7の本体部71には、上記三方切替弁77の作動を制御するためのコンピュータからなる制御部79が設けられている。
更に、収容されたガス検査機1の通信部36に対向する位置には、当該ガス検査機1の通信部36に対して赤外線通信により通信可能な通信部80が設けられている。
この通信部80は、ガス検査機収容器具7へのガス検査機1の収容に伴って当該ガス検査機1の通信部36との間で通信可能となる通信手段として機能することになる。よって、この通信部80によりガス検査機1との間で通信が可能となった状態は、ガス検査機1がガス検査機収容器具7に収容された状態を示すことになる。
尚、この通信部80が、収容されたガス検査機1の通信部36との間で通信を行うことにより、ガス検査機点検システム100は、ガス検査機1に対し、ガスセンサ22で検出された特定成分濃度等の検査結果や各種補機の状態などのようなガス検査機1の作動状態に関する情報を取得することができ、更に、後述するガス検査機点検方法を実行するための情報等を送信可能となる。
【0046】
一方、システム本体9には、ガス検査機収容器具7に対して点検用ガス路78を通じて点検用ガスを供給するために、点検用ガス路78に接続され点検用ガスが充填されたガスボンベ93、及び点検用ガス路78に配置されたポンプ94及び開閉弁95が設けられている。よって、開閉弁95を開放しポンプ94を作動させることで、ガスボンベ93から点検用ガス路78を通じてガス検査機収容器具7に点検用ガスが供給され、一方、開閉弁95を閉鎖しポンプ94を停止させることで、この点検用ガスの供給が停止される。
【0047】
更に、システム本体9には、後述するガス検査機点検方法が具備する第1点検処理及び第2点検処理、更には点検可能状態判定処理等を実行するためのコンピュータが機能する点検処理手段91が設けられている。また、システム本体9には、点検処理手段91がガス検査機点検方法を実行することにより得られた点検結果を出力するためのディスプレイ等の出力部92が設けられている。
【0048】
〔ガス検査機点検方法〕
次に、ガス検査機1に対して実行されるガス検査機点検方法の構成について、説明する。
このガス検査機点検方法では、作業者の五感により実行される作業者点検と、これまで説明してきたガス検査機点検システム100により自動的に実行されるシステム点検とからなる。
【0049】
作業者点検では、詳細な説明は割愛するが、空気捕集部53を構成するシール部材5、吸引路27を構成するチューブ、走行用車輪42,43、表示部24、スピーカ25などに損傷等の問題が生じているか否かなど、作業者が五感で確認可能なガス検査機1の状態が点検される。
【0050】
そして、作業者は、このような作業者点検を実行した上で、ガス検査機1をガス検査機収容器具7に収容する。すると、ガス検査機点検システム100の点検処理手段91は、通信部80によりガス検査機1との間の赤外線通信が可能となった状態を点検可能状態と判定する点検可能状態判定処理を自動的に実行し、当該点検可能状態判定処理で点検可能状態を判定した場合には、後述する初期設定処理を実行した上で、第1点検処理及び第2点検処理を実行する。
以下、これら初期設定処理、第1点検処理、及び第2点検処理の詳細について順に説明を加える。
【0051】
(初期設定処理)
初期設定処理では、ガス検査機1のセンサ感度のゼロ設定を行うと共に、ガス検査機1の電池残量等の状態の点検などを行う。
このゼロ設定では、ガス検査機収容器具7への点検用ガスの供給を停止した状態で、ガス検査機1から取得した検査結果である特定成分濃度がゼロを示すか否かを点検し、ゼロを示さない場合には、ガスセンサ22に対し補正信号を送信し、ガスセンサ22の出力に対して設定されるゼロ点を補正する。そして、このような初期設定処理を実行した後に、後述する第1点検処理及び第2点検処理を順に実行する。
【0052】
(第1点検処理)
点検処理手段91は、上記初期設定処理を実行した後に、
図6(a)に示すように、自動的に、ガス検査機収容器具7への点検用ガスの供給を開始すると共に、三方切替弁77により点検用ガスの供給先を点検用ガス放出口73に切り替えて、第1点検処理を実行する。そして、この第1点検処理では、実際の検査時におけるガス検査機1の基本性能、即ち、空気捕集部53により検査対象空気が正常に捕集されてガスセンサ22に供給されるか否かに関する捕集性能、ガスセンサ22が特定成分に感応するか否かに関する検出性能、制御部21がガスセンサ22の出力に応じた検出結果を表示部24の情報表示やスピーカ25警報音出力等により出力するか否かなどの性能が点検される。
具体的に、この第1点検処理において、点検用ガスは、ガス検査機収容器具7に収容されたガス検査機1の空気捕集部53又はその近傍に放出される形態で、当該空気捕集部53に供給される。そして、空気捕集部53又はそれに通じる吸引路27に詰まりなどが生じておらずガス検査機1の基本性能が正常である場合には、その空気捕集部53に供給された点検用ガスは、通常の検査時における検査対象空気と同様に、吸引ポンプ23の吸引力により吸引路27を通じてガスセンサ22に供給されることになる。
【0053】
そして、点検処理手段91は、このような第1点検処理の実行時に、通信部80によりガス検査機1との間で通信を行って、その際のガス検査機の作動状態を取得し、その取得した作動状態が、ガスセンサ22に点検用ガスが供給されたことを示すような作動状態である場合には、ガス検査機1の基本性能が正常であると判定する。逆に、そのような作動状態を取得することができなかった場合には、ガス検査機1の基本性能が異常であると判定する。そして、このようなガス検査機1の基本性能に関する判定結果を第1点検処理の点検結果として出力部92に出力する。
一方、作業者は、出力部92に出力された第1点検処理の点検結果を確認することにより、ガス検査機1の基本性能が正常な状態であるか否かを正確に把握することができ、その結果に応じてガス検査機1に対し適切なメンテナンスを実行することができる。
【0054】
更に、詳細については後述するが、第2点検処理ではガスセンサ22の検出精度が点検される。よって、後の第2点検処理においてガスセンサ22の検出精度が正常であるとの点検結果が出力されたのにも拘らず、上記第1点検処理においてガス検査機1の基本性能に異常があるとの点検結果が出力された場合には、空気捕集部53による検査対象空気の捕集性能等に異常が生じていると判断することもできる。
【0055】
(第2点検処理)
点検処理手段91は、上記第1点検処理の実行して点検結果を出力部92に出力した後に、
図6(b)に示すように、自動的に、ガス検査機収容器具7への点検用ガスの供給を継続した状態で、三方切替弁77により点検用ガスの供給先を点検用ガス放出口73から点検用ガス注入ノズル75に切り替えて、第2点検処理を実行する。そして、この第2点検処理では、ガス検査機1におけるガスセンサ22の検出精度が点検される。
具体的に、この第2点検処理において、点検用ガスは、ガス検査機収容器具7に収容されたガス検査機1の点検口30に注入される形態で、当該点検口30に供給される。そして、点検口に供給された点検用ガスは、周辺空気の混入が抑制された状態で、吸引ポンプ23の吸引力により分岐路31及び吸引路27を通じてガスセンサ22に供給されることになる。
【0056】
更に、この第2点検処理では、ポンプ94の出力を調整することで、点検口30への点検用ガスの供給量が、ガス検査機1の吸引ポンプ23の吸引量よりも大きく設定されている。
すると、ガス検査機1において、分岐路31から吸引路27に流入した点検用ガスの一部が、吸引ポンプ23により吸引されてガスセンサ22に供給されるものの、残部が吸引路27を空気捕集部53側に向けて逆流することになる。このように吸引路27に逆流する点検用ガスが存在すると、空気捕集部53からガスセンサ22への空気流が実質的に遮断されることになり、結果、ガスセンサ22へは、空気の混入のない純粋な点検用ガスが供給されることになる。
【0057】
ここで、点検用ガスが空気の混入が抑制された状態でガスセンサ22に供給されることから、ガスセンサ22の検出精度が正常な場合には、このガスセンサ22での特定成分濃度の検出値は、点検用ガス中の既知の特定成分濃度に対する誤差は許容誤差に収まるものとなる。
そして、点検処理手段91は、このような第2点検処理の実行時に、通信部80によりガス検査機1との間で通信を行って、その際のガス検査機1の作動状態としてガスセンサ22での特定成分濃度の検出値を取得し、その取得した特定成分濃度の検出値と点検用ガス中の既知の特定成分濃度とを比較して、その誤差をガスセンサ22の検出精度として求め、その求めたガスセンサ22の検出精度を点検結果として出力部92に出力する。
更に、この第2点検処理では、点検結果として出力されるガスセンサ22の検出精度が正常なものとなるように、ガス検査機1の制御部21に対しガスセンサ22の感度等の変更を指示する形態で、ガスセンサ22の自動校正を行うこともできる。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ガス検査機1の空気捕集部53に点検用ガスを供給する点検用ガス放出口73を、ガス検査機1の空気捕集部53に臨む姿勢で開口して、当該空気捕集部53に点検用ガスを放出するように構成したが、別に、放出した点検用ガスが空気捕集部53に捕集される範囲において、空気捕集部53に直接放出するのではなく、例えば、その空気捕集部53近傍に点検用ガスを放出するように構成しても構わない。
【0059】
(2)上記実施形態では、ガス検査機1の点検口30に点検用ガスを供給する点検用ガス注入ノズル75を、ガス検査機1の点検口30に差し込まれて、当該点検口30に点検用ガスを注入するように構成したが、別に、点検口30に供給した点検用ガスへの周辺空気の混入が抑制される範囲において、点検口30に差し込まれるのではなく、例えば、その点検口30に密着して点検用ガスを注入するように構成しても構わない。
【0060】
(3)上記実施形態では、ガス検査機1において、点検口30に供給された点検用ガスを空気の混入を抑制した状態でガスセンサ22に供給するために、点検口30に接続された分岐路31を吸引路27の吸引ポンプ23の上流側から分岐する流路とすると共に、その点検口30への点検用ガスの供給量を吸引ポンプ23の吸引量よりも大きく設定するように構成したが、別に、この分岐路31をガスセンサ22に直接接続された流路とするなど、適宜改変しても構わない。
【0061】
(4)上記実施形態では、ガス検査機1を、空気捕集部53を地表面gに沿わせた検査姿勢で当該地表面gに沿って移動操作される移動式ガス検査機として構成したが、このような移動操作するための走行用車輪42,43を設けることなく、作業者が携帯して利用する携帯式ガス検査機としても構わない。
【0062】
(5)上記実施形態では、ガス検査機点検システム100に、三方切替弁77を設け、共通の点検用ガス供給源であるシステム本体9側からの点検用ガスの供給先を、点検用ガス放出口73と点検用ガス注入ノズル75との間で択一的に切替可能としたが、このような三方切替弁77を設けることなく、夫々別の点検用ガス供給源から点検用ガス放出口73と点検用ガス注入ノズル75とへ点検用ガスを供給するように構成しても構わない。
【0063】
(6)上記実施形態では、ガス検査機点検システム100のガス検査機収容器具7に、ガス検査機1の収容に伴って当該ガス検査機1との間で通信可能となる通信部80を設けたが、例えば、ガス検査機1の収容は別の近接スイッチなどにより検出するなどして、このような通信部を省略又は簡素化しても構わない。
また、上記実施形態では、この通信部80を利用して、第1点検処理及び第2点検処理におけるガス検査機1の作動状態を取得するように構成したが、作業者がガス検査機1の表示部24を目視により確認して、ガス検査機1の作動状態を取得するように構成しても構わない。
【0064】
(7)上記実施形態では、第1点検処理(
図6(a)参照)を実行した後に、第2点検処理(
図6(b)参照)を実行するように構成したが、第2点検処理を実行した後に、第1点検処理を実行しても構わない。
【0065】
(8)上記実施形態では、ガス検査機1を収容可能なガス検査機収容器具7と、点検処理を実行するための点検処理手段91やガスボンベ93等を備えたシステム本体9とを、別体で構成したが、このガス検査機収容器具7とシステム本体9とを一体で構成しても構わない。
【0066】
(9)上記実施形態では、ガス検査機収容器具7において、点検用ガス注入用の点検用ガス注入ノズル75や赤外線通信用の通信部80の姿勢や位置を固定としたが、例えばガス検査機1の高さが走行用車輪42の摩耗等による変化するために、ガス検査機1に対する点検用ガス注入ノズル75の接続不良や通信部80の位置ずれ等が問題となる場合がある。
そこで、このような問題を解消するべく、ガス検査機収容器具7において、点検用ガス注入ノズル75や通信部80の姿勢や位置を、収容されるガス検査機1の高さに応じて調整自在に構成することが好ましい。
具体的に、点検用ガス注入ノズル75や通信部80の姿勢や位置を調整自在とする構成としては、例えば図示は省略するが、ガス検査機収容器具7において点検用ガス注入ノズル75や通信部80が設けられた部分に高さ調整機構を設けてガス検査機1に合った高さに調整する構成や、ガス検査機収容器具7から点検用ガス注入ノズル75や通信部80が設けられた部分を取り外して収納されたガス検査機1に直接取り付ける構成等を採用することができる。