【解決手段】第1移動部20のX方向における両側に設けられた位置測定部により取得した値の重み付け平均値と、第2駆動部30を有する第2移動部のY方向における両側に設けられた位置測定部により取得した値の重み付け平均値と、に基づいて、光照射部43の位置に測定部があると仮定したときの測定値を求める。また、光照射部に設けられた2つのミラーの位置を基準として、ステージ41に設けられたバーミラーの位置を測定することで、光照射部43とステージ41との位置関係をレーザ干渉計51等で測定する。そして、これらを比較して位置測定部を校正し、校正後の位置測定部による測定を用いて描画する。
前記制御部は、前記初期状態で前記補正用基板を読み取った結果と、前記補正用基板を略180度回転させた状態で前記補正用基板を読み取った結果とが一致し、前記補正用基板を略90度回転させた状態で前記補正用基板を読み取った結果と、前記補正用基板を略270度回転させた状態で前記補正用基板を読み取った結果とが一致するような補正値を生成し、当該生成された補正値を用いて前記描画情報を補正することを特徴とする請求項2に記載のマスク製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、重複する部分については説明を省略する。
【0021】
本発明におけるマスク製造装置とは、略水平方向に保持した感光性基板(例えば、ガラス基板)上にレーザ等の光を照射してフォトマスクを生成する装置である。感光性基板としては、例えば、熱膨張率が非常に小さい(例えば、約5.5×10
−7/K程度)石英ガラスが用いられる。
【0022】
マスク製造装置により生成されるフォトマスクは、例えば液晶表示装置用の基板を製造するために用いられる露光用マスクである。フォトマスクは、一辺が例えば1mを超える(例えば、1400mm×1220mm)大型の略矩形形状の基板上に、1個または複数個のイメージデバイス用転写パターンが形成されたものである。以下、加工前の感光性基板及び加工後の感光性基板(フォトマスク)を包括する概念として、マスクMという用語を使用する。
【0023】
図1は、第1の実施の形態に係るマスク製造装置1の概略を示す斜視図である。マスク製造装置1は、主として、定盤11と、除振台12、13と、第1移動部20と、第2移動部30と、ステージ41と、枠体42と、光照射部43と、パターン読取部47と、を有する。なお、
図1においては、一部の構成について図示を省略している。また、マスク製造装置1は、装置全体を覆う図示しない温度調整部により、一定温度に保たれている。
【0024】
定盤11は、略直方体形状(厚板状)の部材であり、例えば、石(例えば、花崗岩)や低膨張率の鋳物(例えば、ニッケル系の合金)で形成される。定盤11は、設置面(例えば、床)上に載置された複数の除振台12、13の上に載置される。これにより、定盤11が除振台12、13を介して設置面上に載置される。定盤11は、略水平(xy平面と略平行)な上面(+z側の面)11aを有する。
【0025】
除振台12は、アクティブ除振台であり、除振台13は、重さ支えのパッシブ除振台である。除振台13は、z方向に移動可能な受動型バネ要素を有する。除振台12は、除振台13に、x方向及びy方向のそれぞれに移動可能なアクチュエータ(図示せず)と、アクチュエータを制御するためのセンサ(図示せず)と、センサからの信号に基づいて外部から入力する振動を抑制するようにアクチュエータを制御する制御回路(図示せず)と、を追加したものである。除振台12、13については、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0026】
第1移動部20は、定盤11の上面11aに載置され、第2移動部30は、第1移動部20の上(+z側)に載置され、ステージ41は、第2移動部30の上に載置される。第1移動部20は、ステージ41をx方向に移動させ、第2移動部30は、ステージ41をy方向に移動させる。
【0027】
図2は、第1移動部20及び第2移動部30の概略を示す斜視図である。なお、
図2では図示しないが、第1移動部20及び第2移動部30には、ポンプ等から空気が供給される。
【0028】
第1移動部20は、主として、4本のレール21と、1本のガイドレール22と、レール21及びガイドレール22の上に載置される板状部23と、ガイドレール22を挟むように設けられる凸部24と、レール21の上面に沿って板状部23を移動させる駆動部25と、棒状部材26と、磁石27と、位置測定部29と、を有する。
【0029】
4本のレール21及びガイドレール22は、セラミック製の細長い板状の部材であり、定盤11の上面11aに、長手方向がx方向に沿うように固定される。4本のレール21及びガイドレール22は、高さ(z方向の位置)が略同一である。レール21及びガイドレール22の上面と、ガイドレール22の側面とは、高精度及び高平坦度で形成される。
【0030】
ガイドレール22は、定盤11のy方向における略中央に設けられる。xz平面と略平行な面であって、ガイドレール22を含む面には、マスク製造装置1の重心位置が含まれる。
【0031】
4本のレール21は、ガイドレール22を挟んで線対称の位置に設けられる。本実施の形態では、2本のレール21がガイドレール22の−y側に設けられ、2本のレール21がガイドレール22の+y側に設けられる。また、4本のレール21のうちの−y側の端に位置するレール21aは、板状部23の−y側の端部である端面23e近傍の領域が載置され、4本のレール21のうちの+y側の端に位置するレール21bは、板状部23の+y側の端部である端面23f近傍の領域が載置される。
【0032】
板状部23は、セラミック製の板状の部材であり、全体として略矩形形状である。板状部23は、略水平な上面23a及び下面23b(
図3参照)を有する。上面23aには、第2移動部30が載置される。下面23bには、長手方向がx方向に沿うように、棒状の凸部24が設けられる。
【0033】
図3は、第1移動部20を部分的に拡大した図である。凸部24が下面23bに設けられることで、板状部23の下面23bに溝23dが形成される。この溝23dには、ガイドレール22が挿入される。これにより、板状部23のy方向の位置、すなわち板状部23がx方向以外に移動しないように板状部23の移動方向が規制される。
【0034】
凸部24には、ガイドレール22の側面に向けて空気を吐出する空気吐出部24aが設けられる。空気吐出部24aは、凸部24の側面に開口する空気穴を有する。また、空気吐出部24aは、内径が絞られたオリフィスを有する。したがって、この開口からは、ポンプ(図示せず)等から供給された空気が高圧及び高速で吐出される。これにより、空気吐出部24aとガイドレール22との間に、空気の層が形成される。
【0035】
板状部23の下面23bには、レール21及びガイドレール22と対向する位置に凸部23cが形成される。凸部23cは、先端(レール21又はガイドレール22と対向する面)が平面である。凸部23cには、空気吐出部28が設けられる。なお、
図3では、ガイドレール22と対向する位置に形成された凸部23cの図示を省略している。
【0036】
図4は、板状部23を裏側からみた斜視図である。複数の凸部23cは、下面23bに2次元状に配列される。凸部23cには、複数(例えば、5個)の空気吐出部28が設けられる。空気吐出部28は、凸部23cの先端面に開口する空気穴を有する。また、空気吐出部28は、内径が絞られたオリフィスを有する。したがって、空気吐出部28からは、レール21及びガイドレール22に向けて、ポンプ(図示せず)等から供給された空気が高圧及び高速で吐出される。これにより、空気吐出部28とレール21及びガイドレール22との間に、空気の層が形成される。また、凸部23cに複数の空気吐出部28を設けることで、この空気の層の圧力が高くなる。
【0037】
なお、本実施の形態では、隣接する凸部23cはx方向にもy方向にも離れているが、凸部23cの形態はこれに限られない。例えば、凸部がx方向沿って長いリブ状であり、リブ状の凸部がy方向に複数並べられていてもよい。ただし、空気吐出部28とレール21及びガイドレール22との間に形成された空気の層の厚さを一定にするには、
図4に示すように、凸部41cをx方向及びy方向に2次元状に配列することが望ましい。
【0038】
図3の説明に戻る。定盤11の上面11aには、長手方向がx方向に沿うように、鉄製の棒状部材26が設けられる。板状部23の下面23bには、磁石27が設けられる。棒状部材26と磁石27とは、対向する位置に設けられる。
【0039】
駆動部25は、永久磁石を有する固定子25aと、電磁コイルを有する可動子25bと、を有するリニアモータである。固定子25a及び可動子25bは、それぞれ2本ずつ設けられる。
【0040】
固定子25aは、断面略コの字形状の棒状の部材であり、長手方向がx方向に沿うように設けられる。固定子25aは、ガイドレール22を中心として線対称の位置に設けられる。また、固定子25aの内部には、冷却液(例えば、フッ素系不活性液体)が流れる配管25dが設けられている。例えば、−z側の配管25dにおいては、紙面奥側から手前側に向けて冷却液が流れ、+z側の配管25dにおいては、紙面手前側から奥側に向けて冷却液が流れる。
【0041】
可動子25bは、電磁コイルが固定子25a内に挿入されるように、板状部23の下面23bに設けられる。可動子25bは、U相、V相、W相のコイル(図示せず)が順番に並べられており、固定子25aに沿って移動する。また、可動子25bの内部には、コイルの間を縫うように、冷却液が流れる配管25cが設けられている。
【0042】
図2の説明に戻る。位置測定部29は、例えばリニアエンコーダであり、定盤11と板状部23との位置関係、すなわち位置測定部29の原点位置(後に詳述)に対する板状部23のx方向の位置を測定する。位置測定部29は、第1移動部20のy方向の両端(+y側の端及び−y側の端)に設けられる。位置測定部29は、レール21aの+y側の端面及びレール21bの−y側の端面に設けられるスケール29aと、板状部23の端面23e及び端面23fに設けられる検出ヘッド29bと、を有する。なお、
図2においては、第1移動部20の+y側に位置するスケール29a及び検出ヘッド29bは図示されていない。
【0043】
スケール29aは、例えばレーザホログラムスケールであり、0.1nm〜1nm程度の分解能を持つように構成されている。検出ヘッド29bは、光(例えば、レーザ光)を照射し、スケール29aで反射された光を取得する。位置測定部29は、スケール29aにホログラムを形成することで、きれいな正弦波(余弦波)が取得でき、これにより精度の高い内挿が可能となり、分解能が高くなる。位置測定部29は、すでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0044】
第2移動部30は、主として、2本のレール31と、1本のガイドレール32と、ガイドレール32を挟むように設けられる凸部33と、レール21の上面に沿ってステージ41を移動させる駆動部34と、位置測定部39と、を有する。
【0045】
2本のレール31及びガイドレール32は、セラミック製の細長い板状の部材であり、板状部23の上面23aに、y方向に沿って固定される。2本のレール31及びガイドレール32は、高さが略同一である。レール31及びガイドレール32の上面と、ガイドレール32の側面とは、高精度及び高平坦度で形成される。
【0046】
ガイドレール32は、板状部23のx方向における略中央に設けられる。2本のレール31は、ガイドレール32を挟んで線対称の位置に設けられる。2本のレール31のうちの−x側の端に位置するレール31aは、ステージ41の−x側の端部である端面41h近傍の領域が載置され、2本のレール31のうちの+x側の端に位置するレール31bは、ステージ41の+x側の端部である端面41i近傍の領域が載置される。
【0047】
図5は、第2移動部30を部分的に拡大した図である。ステージ41の下面41bには、長手方向がx方向に沿うように、棒状の凸部33が設けられる。凸部33が下面41bに設けられることで、ステージ41の下面41bに溝41gが形成される。この溝41gには、ガイドレール32が挿入される。これにより、ステージ41のx方向の位置、すなわち板状部23がy方向以外に移動しないようにステージ41の移動方向が規制される。
【0048】
凸部33には、ガイドレール32の側面に向けて空気を吐出する空気吐出部33aが設けられる。空気吐出部33aの開口は、凸部33の側面に露出している。空気吐出部33aは、内径が絞られたオリフィスを有する。したがって、この開口からは、ポンプ(図示せず)等から供給された空気が高圧及び高速で吐出される。これにより、空気吐出部33aとガイドレール32との間に、空気の層が形成される。
【0049】
ステージ41の下面41bには、レール31及びガイドレール32と対向する位置に凸部41cが形成される。凸部41cは、先端(レール31又はガイドレール32と対向する面)が平面である。凸部41cには、空気吐出部38が設けられる。凸部41c及び空気吐出部38については後に詳述する。
【0050】
板状部23の上面23aには、長手方向がx方向に沿うように、鉄製の棒状部材36が設けられる。ステージ41の下面41bには、磁石37が設けられる。棒状部材36と磁石37とは、対向する位置に設けられる。
【0051】
駆動部34は、永久磁石を有する固定子34aと、電磁コイルを有する可動子34bと、を有するリニアモータである。固定子34a及び可動子34bは、それぞれ2本ずつ設けられる。固定子34aは、ガイドレール32を中心として線対称の位置に設けられる。固定子34aは、冷却液が流れる配管34dを有し、可動子34bは、冷却液が流れる配管34cを有する。固定子34aは固定子25aと同様の構成であり、可動子34bは可動子25bと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
図2の説明に戻る。位置測定部39は、例えばリニアエンコーダであり、板状部23とステージ41との位置関係、すなわち位置測定部39の原点位置(後に詳述)に対するステージ41のy方向の位置を測定する。位置測定部39は、第2移動部30のx方向の両端(−x側の端及び+x側の端)に設けられる。位置測定部39は、板状部23(レール31aでもよい)の−x側の端面及び板状部23(レール31bでもよい)+x側の端面に設けられるスケール39aと、ステージ41の端面41h及び端面41iに設けられる検出ヘッド39bと、を有する。なお、
図2においては、+x側に位置するスケール39a及び検出ヘッド39bは図示されていない。スケール39aはスケール29aと同様であり、検出ヘッド39bは検出ヘッド29bと同様であるため、説明を省略する。
【0053】
ステージ41は、板状であり、略水平な上面41aと、下面41b(
図7参照)と、を有する。ステージ41は、熱膨張係数が略0.5〜1×10
−7/Kの低膨張性セラミックを用いて形成される。これにより、ステージ41の変形を防止することができる。なお、ステージ41は、熱膨張係数が略5×10
−8/Kの超低膨張性ガラスセラミックを用いて形成することもできる。この場合には、制御しきれない温度変化が発生したとしても、ステージ41の変形を確実に防止することができる。
【0054】
上面41aには、マスクM(図示省略)が載置される。端面41hには、マスクMに+x方向の力を付勢する付勢部45と、マスクMに+y方向の力を付勢する付勢部46と、が設けられる。付勢部45、46は、例えばロータリーシリンダである。付勢部45、46については、後に詳述する。
【0055】
図6は、ステージ41を斜め上から見た概略斜視図である。
図7は、ステージ41を斜め下から見た概略斜視図である。
【0056】
ステージ41には、板圧方向に貫通する複数のマスクリフター用孔41dが形成される。マスクリフター用孔41dには、図示しない棒状のマスクリフターが挿入される。図示しないマスクリフターは、z方向に移動可能であり、マスクMをステージ41に載置する時に用いられる。
【0057】
ステージ41の上面41aには、複数の空気孔41eが2次元状に配列される。空気孔41eは、20mm〜50mmおきに設けられている。ポンプ(図示せず)等から供給された空気は、空気孔41eから上向き(+z向き)に吐出される。これにより、ステージ41の上面41aに載置されるマスクMを一時的に浮上させることができる。
【0058】
また、ステージ41の上面41aには、隣接する2辺(ここでは、+x側の辺と、−y側の辺)にバーミラー41fが設けられる。
【0059】
さらに、ステージ41の上面41aには、ピン44a、44b、44cが挿入される穴41j、41k、41lが形成される。ピン44a、44b、44cは、樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone、PEEK)製であり、直径が略10mm程度の棒状の部材である。ピン44a、44b、44cは、それぞれ枠体42に設けられており、ピン駆動部44d(
図11参照)及び図示しない移動機構によりy方向及びz方向に移動可能である。
【0060】
ピン駆動部44dがピン44a、44b、44cをz方向に移動させることで、ピン44a、44b、44cが穴41j、41k、41lに挿入された位置と、ピン44a、44b、44cを穴41j、41k、41lから抜いてピン44a、44b、44cがステージ41から離れた位置と、の間でピン44a、44b、44cが移動する。ピン駆動部44dがピン44a、44b、44cをy方向に移動させることで、ピン44a、44b、44cが穴41jに挿入される位置と、ピン44a、44b、44cが穴41kに挿入される位置と、ピン44a、44b、44cが穴41lに挿入される位置と、の間でピン44a、44b、44cが移動する。ピン44a、44b、44cをy方向及びz方向に移動可能に設ける構成は、すでに公知の様々な技術を用いることができる。
【0061】
穴41j、41k、41lは、マスクMの大きさによって使い分ける。800mm×520mmのマスクMを用いる場合には、穴41jにピン44a、44b、44cを挿入し、920mm×800mmのマスクMを用いる場合には、穴41kにピン44a、44b、44cを挿入し、1400mm×1220mmのマスクMを用いる場合には、穴41lにピン44a、44b、44cを挿入する。このように、ピン44a、44b、44cは、マスクMの隣接する2辺が当接する位置に着脱可能に設けられる。
【0062】
なお、穴41j、41k、41lの位置は、それぞれ、対応するマスクMの隣接する2辺が当接した時に、ステージ41の中心と、マスクMの中心とが略一致する位置に形成される。
【0063】
ステージ41の下面41bには、凸部41cが2次元状に複数形成される。凸部41cは、先端(レール31又はガイドレール32と対向する面)が平面である。凸部41cには、複数(例えば、5個)の空気吐出部38が設けられる。空気吐出部38は、凸部41cの先端面に開口する空気穴を有する。また、空気吐出部38は、内径が絞られたオリフィスを有する。したがって、空気吐出部38からは、レール31及びガイドレール32に向けて、ポンプ(図示せず)等から供給された空気が高圧及び高速で吐出される。これにより、空気吐出部38とレール31及びガイドレール32との間に、空気の層が形成される。また、凸部41cに複数の空気吐出部38を設けることで、この空気の層の圧力が高くなる。
【0064】
なお、本実施の形態では、隣接する凸部41cはx方向にもy方向にも離れているが、凸部41cの形態はこれに限られない。例えば、凸部がy方向沿って長いリブ状であり、リブ状の凸部がx方向に複数並べられていてもよい。ただし、空気吐出部38とレール31及びガイドレール32との間に形成された空気の層の厚さを一定にするには、
図7に示すように、凸部41cをx方向及びy方向に2次元状に配列することが望ましい。
【0065】
図1の説明に戻る。枠体42は、定盤11の上面11aに設けられ、ステージ41の上方(+z方向)に光照射部43を保持する。枠体42は、2本の柱42aと、柱42aを連結する梁42bと、を有する。
【0066】
光照射部43は、マスクMに光(本実施の形態では、レーザ光)を照射する。光照射部43は、一定間隔(例えば、略200mmおき)で梁42bに設けられる。本実施の形態では、7個の光照射部43a、光照射部43b、光照射部43c、光照射部43d、光照射部43e、光照射部43f、光照射部43gを有する。光照射部43a〜光照射部43gは、同一の構成であるため、以下、光照射部43aについて説明する。
【0067】
図8は、光照射部43aの概略を示す要部透視図である。光照射部43aは、主として、枠体431と、枠体431の内部に設けられた光源432と、枠体431の下端に設けられた対物レンズ433と、AF(オートフォーカス)処理部435と、を有する。また、光照射部43aは、枠体431の内部の温度を一定に保つ図示しない温度調整部を有する。
【0068】
光源432は、面状のレーザ光が照射可能な光源であり、画素が2次元配置されている。光源432は、例えばデジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device、DMD)を用いることができる。対物レンズ433は、光源432から照射されたレーザ光をマスクMの表面に結像させる。
【0069】
描画時には、光照射部43a〜光照射部43gのそれぞれの光源432から光が照射され、この光がマスクM上で結像することにより、マスクMにパターンが描画される。
【0070】
AF処理部435は、マスクMへ照射される光の焦点をマスクMに合わせるものであり、主として、チューブレンズ群435aと、ビームスプリッタ435bと、2つのセンサ435c、435dと、を有する。
図8の2点鎖線で示すように、光源432からマスクMへ照射されたレーザ光は、マスクMで反射され(図示省略)、対物レンズ433及びチューブレンズ群435aを通ってビームスプリッタ435bへ入射する。反射光は、ビームスプリッタ435bにおいて光路長が異なる2つの光に分けられ、2つの光は、それぞれ別のセンサ435c、435dで受光される。AF処理部435は、センサ435c、435dで受光された結果に基づいて合焦位置を求めるオートフォーカス処理を行う。なお、オートフォーカス処理はすでに公知であるため、説明を省略する。
【0071】
枠体431は、連結部434を介して梁42bに設けられる。面434aは、枠体431に固定され、面434bは、梁42bに固定される。連結部434は、内部に孔434cが形成されていることにより、平行な2つの面434a、434bが平行を保ったままz方向に移動可能なリンク機構を有する。
【0072】
連結部434は、面434aをz方向に移動させるピエゾ素子434dと、面434aの移動量を測定するリニアエンコーダ434eが設けられる。
【0073】
図1の説明に戻る。光照射部43に隣接して、マスクMに描画されたパターンの位置を測定するパターン読取部47が設けられる。パターン読取部47は、7個のパターン読取部47a、パターン読取部47b、パターン読取部47c、パターン読取部47d、パターン読取部47e、パターン読取部47f、パターン読取部47gを有し、パターン読取部47a〜47gはそれぞれ光照射部43a〜43gに隣接して設けられる。パターン読取部47a〜47gは同一の構成であるため、以下、パターン読取部47aについて説明する。
【0074】
図9は、パターン読取部47aの概略を示す斜視図であり、要部を透視した図である。パターン読取部47aは、主として、マスクM(
図9では図示省略)に形成されたパターンPの像(光)を取得する対物レンズ471と、対物レンズ471へ光(ここでは、UV光)を照射する光源ユニット472と、チタン、ジルコニア等の低熱伝導体で形成された鏡筒473と、鏡筒473の内部に設けられたチューブレンズ474と、光源ユニット472からの光を透過させると共に、対物レンズ471から導かれた光を反射するミラー475と、を有する顕微鏡と、顕微鏡により取得されたパターンを結像するUVカメラ476と、を有する。
【0075】
光源ユニット472からは、近紫外線(例えば、波長が略375nmの光)が照射される。光源ユニット472は、遠方に設置された光源472aと、光源からの光を導く光ファイバー472bと、光ファイバーの端面近傍に設置された拡散板472cと、拡散板472cに隣接して設けられるコリメータレンズ472dと、を有する。
【0076】
光源472aは、例えばUVレーザ又はsLED(Superluminescent Light Emitting Diode)であり、紫外線域のレーザ光を照射する。光源472aは発熱するため、光源472aは光照射部43から離れた位置に設けられる。光源472aから照射された光は、光ファイバー472bを用いて導光される。拡散板472cは、光ファイバー472bにより導光されて、光ファイバー472bの端面から放射される点光源状の光を広げ、コリメータレンズ472dは、その光を平行光とする。したがって、光源ユニット472からは、面光源状の光が照射される。
【0077】
光源ユニット472から照射された光は、パターンPで反射して、対物レンズ「471へ導かれる。対物レンズ471は、倍率が略100倍の高倍率、開口数(NA、numerical aperture)が略0.95、焦点距離が略2mmの特性を有するUVレンズである。対物レンズ471は、光照射部43により形成されたパターンPを読み取るため、対物レンズ433に隣接して設けることが望ましい。チューブレンズ474は、無限遠補正された対物レンズ471からの光を結像させるレンズであり、焦点距離が略200mmである。
【0078】
UVカメラ476は、解像度がSXGA(1280×1024画素)程度であり、大きさが1/4インチ程度であり、消費電力が0.1W程度である。UVカメラ476は、制御部151a(
図12参照)により、超低速度スキャンが可能であり、したがってマスクMに描画された細かいパターンを正確に読み取ることができる。また、使用しないときには自動的にシャットダウンが可能である。
【0079】
図1の説明に戻る。ステージ41の−x側の側面には、光照射部43から照射された光(空中像)iの位置を測定する光読取部48が設けられる。光読取部48は、7個の光読取部48a、光読取部48b、光読取部48c、光読取部48d、光読取部48e、光読取部48f、光読取部48gを有する。光読取部48a〜48gは同一の構成であるため、以下、パターン読取部47aについて説明する。
【0080】
図10は、光読取部48aの概略を示す斜視図であり、要部を透視した図である。光読取部48aは、主として、空中像iの光をとらえる対物レンズ481と、対物レンズ481から導かれた光を反射するミラー482と、低熱伝導体で形成された鏡筒483と、鏡筒473の内部に設けられたチューブレンズ484と、を有する顕微鏡と、顕微鏡により取得されたパターンを結像するUVカメラ485と、を有する。対物レンズ481、ミラー482、鏡筒483、チューブレンズ484及びUVカメラ485は、それぞれ対物レンズ471、ミラー285、鏡筒473、チューブレンズ474及びUVカメラ476と同様の構成である。
【0081】
ステージ41を移動させて、光照射部43から照射された光が光読取部48に入射するようにする。光照射部43の対物レンズ433から照射された空中像iは、対物レンズ481で拡大され、UVカメラ485に投影されて、その位置が読み取られる。空中像iは、像位置を読みやすくするため、x方向に沿った線とy方向に沿った線とをそれぞれ1本以上を含むことが望ましい。
図10では、x方向に沿った線とy方向に沿った線とを1本ずつ含む十字パターンを例示している。
【0082】
図1の説明に戻る。−y側に設けられた柱42aには、レーザ干渉計51が設けられる。また、定盤11の+x側の側面には、レーザ干渉計52(
図1では図示省略)が設けられる。
【0083】
図11は、レーザ干渉計51、52、53が計測する様子を示す模式図である。
図9において、レーザ光の経路を2点鎖線で示す。また、
図9では、光照射部43a〜光照射部43gの位置を点線で示す。
【0084】
レーザ干渉計51、52、53は、4本のレーザ光を照射する。4本のレーザ光のうちの2本はバーミラー41fで反射して、その反射光がレーザ干渉計51、52で受光される。
【0085】
光照射部43aの−y側の側面には、ミラー436が設けられる。レーザ干渉計51から照射される光のうちの残りの2本は、ミラー436で反射されて、その反射光がレーザ干渉計51で受光される。
【0086】
光照射部43a〜光照射部43gの+x側の側面には、ミラー437が設けられる。レーザ干渉計52から照射される光のうちの残りの2本はミラー437で反射して、その反射光がレーザ干渉計52、53で受光される。
【0087】
レーザ干渉計52、53は、駆動部11cにより、レール11bに沿って移動可能である。レール11bは、長手方向がy方向に沿うように定盤11に設けられる。このように、レーザ干渉計52、53は、y方向に移動可能である。
【0088】
−y側のレーザ干渉計52は、描画時には、光照射部43aに光を照射する位置に設けられ、キャリブレーション時(校正時)には、光照射部43aに光を照射する位置、光照射部43bに光を照射する位置、光照射部43cに光を照射する位置・・・というように順番に移動する。+y側のレーザ干渉計53は、常時、光照射部43gに光を照射する位置に設けられる。
【0089】
ミラー436、437は、バーミラー41fと略平行である。そのため、レーザ干渉計51は、ミラー436を基準位置として、バーミラー41fのうちのx方向に沿ったバーミラーの411の位置を測定し、レーザ干渉計52、53は、ミラー437を基準位置として、バーミラー41fのうちのy方向に沿ったバーミラー412の位置を測定する。言い換えると、レーザ干渉計51は、光照射部43と、ステージ41(位置測定部29、39)との位置関係のうち、光照射部43に対するステージ41のy方向の位置を測定する。レーザ干渉計52、53は、光照射部43と、ステージ41(位置測定部29、39)との位置関係のうち、光照射部43に対するステージ41のx方向の位置を測定する。
【0090】
このようにしてレーザ干渉計51、52、53によって測定されたバーミラー41fの位置は、板状部23やステージ41のピッチングやヨーイングによる誤差、第1移動部20や第2移動部30に存在する空気の層による誤差等を含まない。したがって、本実施の形態では、レーザ干渉計51、52、53を用いて、これらの誤差を含む測定を行う位置測定部29、39を校正することで、ステージ41の移動性を高くする。位置測定部29、39の校正については、後に詳述する。
【0091】
レーザ干渉計51、52、53は、ミラー436又はミラー437で反射された光と、バーミラー41fで反射された光とを重ね合わせて、波の干渉を観察することで位置を測定する。したがって、気圧、気温、湿度等によりレーザ光の波長が変化し、同じ位置を測定したとしても測定結果が変化する可能性がある。そのため、気温、気圧、湿度等を正確に測定してこれらを一定に保ったり、例えば5インチ(125mm)程度の大きさの波長フィルター(例えば、二つの対向する反射面の多重干渉を利用したエタロン)の干渉状態を計測してレーザ光の波長を監視したりしてもよい。なお、エタロンは、ステージ41と同様、低膨張性セラミックや超低膨張性ガラスセラミックを用いて形成することが望ましい。
【0092】
なお、レーザ干渉計52として、8本以上のレーザ光(例えば、12本)を照射できるレーザ干渉計用光源を用いる場合には、レーザ干渉計52は、y方向に沿って移動する機構を有しなくても良い。なお、+y側のレーザ干渉計53については、y方向に沿って移動する機構を有しなくても良い。
【0093】
図12は、マスク製造装置1の電気的な構成を示すブロック図である。マスク製造装置1は、CPU(Central Processing Unit)151と、RAM(Random Access Memory)152と、ROM(Read Only Memory)153と、入出力インターフェース(I/F)154と、通信インターフェース(I/F)155と、メディアインターフェース(I/F)156と、を有し、これらは駆動部25、34、位置測定部29、39、光照射部43、付勢部45、46、パターン読取部47、光読取部48、レーザ干渉計51、52、53等と互いに接続されている。
【0094】
CPU151は、RAM152、ROM153に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。CPU151には、位置測定部29、39、レーザ干渉計51、52等から信号が入力される。CPU151から出力された信号は、駆動部25、34、光照射部43に出力される。
【0095】
RAM152は、揮発性メモリである。ROM153は、各種制御プログラム等が記憶されている不揮発性メモリである。CPU151は、RAM152、ROM153に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM153は、マスク製造装置1の起動時にCPU151が行うブートプログラムや、マスク製造装置1のハードウェアに依存するプログラムなどを格納する。また、ROM153は、マスクMに描画するパターンの位置及び形状に関する情報である描画情報や、補正用基板パターンの位置、形状等の情報を含む補正用基板描画情報を格納する。本実施の形態では、光源432から面状のレーザ光を照射するため、描画情報は、光源432の位置と、光源432の各画素における光の照射の有無(パターンの有無)と、を関連付けた位置情報と、光源432の位置と、光源432の各画素における光の照射タイミングとを関連付けた照射タイミング情報と、を含む。RAM152は、CPU151が実行するプログラム及びCPU151が使用するデータなどを格納する。
【0096】
CPU151は、入出力インターフェース154を介して、キーボードやマウス等の入出力装置141を制御する。通信インターフェース155は、ネットワーク142を介して他の機器からデータを受信してCPU151に送信すると共に、CPU151が生成したデータを、ネットワーク142を介して他の機器に送信する。
【0097】
メディアインターフェース156は、記憶媒体143に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM152に格納する。なお、記憶媒体143は、例えば、ICカード、SDカード、DVD等である。
【0098】
なお、各機能を実現するプログラムは、例えば、記憶媒体143から読み出されて、RAM152を介してマスク製造装置1にインストールされ、CPU151によって実行される。
【0099】
CPU151は、入力信号に基づいてマスク製造装置1の各部を制御する制御部151aの機能を有する。制御部151aは、CPU151が読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。制御部151aが行う処理については、後に詳述する。
【0100】
図12に示すマスク製造装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、例えば一般的な情報処理装置が備える構成を排除するものではない。マスク製造装置1の構成要素は、処理内容に応じてさらに多くの構成要素に分類されてもよいし、1つの構成要素が複数の構成要素の処理を実行してもよい。
【0101】
このように構成されたマスク製造装置1の作用について説明する。以下の処理は、主として制御部151aによって行われる。
【0102】
まず、レーザ干渉計51、52、53を用いて、位置測定部29、39を校正する校正処理を行う。
【0103】
すでに説明したように、レーザ干渉計51、52、53の測定値は正確であるが、マスク製造装置1におけるクリーンエアーのダウンフローで揺らぎが発生する。また、レーザ干渉計51、52、53は相対位置しか測定できない(原点を知る事はできない)。
【0104】
位置測定部29、39の測定結果は、クリーンエアーのダウンフローによる影響を受けないが、板状部23やステージ41のピッチングやヨーイングによる誤差、第1移動部20や第2移動部30に存在する空気の層による誤差等を含む。スケール29a、39aがガラスで形成されているため、位置測定部29、39は、nmの単位での距離の変化を正確に捉えることができるが、伸び縮みや部分的な歪み等の長い距離の測定では誤差が生じるおそれがある。
【0105】
ただし、位置測定部29、39には、通常、原点信号(原点位置を示す信号)というのが付いており、位置測定部29、39の分解能相当の精度で基準点を読み取ることができる。この機能により、例えばデータエラー等によりで描画処理中に処理が停止し、ステージ41の原点位置への復帰が必要となったとしても、再現良く残りの描画を続けられる可能性がある。
【0106】
そのため、位置測定部29、39による測定結果が誤差を含まないようにレーザ干渉計51、52、53の測定値と位置測定部29、39による測定値との関係を事前に調べ、位置測定部29、39を校正する校正処理を行ったうえで、位置測定部29、39を用いて描画処理を行う。
【0107】
校正処理において、制御部151aは、各光照射部43a〜43gに対するルックアップテーブル(LUT、Look up table)を算出する。LUTは、レーザ干渉計51、52、53の測定値と位置測定部29、39による測定値との誤差テーブルである。LUTは、
図21に示すように、LUT181a〜188aを含む。
【0108】
図21に示すように、LUT181a(LUT1)は、光照射部43aが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT182a(LUT2)は、光照射部43bが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT183a(LUT3)は、光照射部43cが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT184a(LUT4)は、光照射部43dが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT185a(LUT5)は、光照射部43eが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT186a(LUT6)は、光照射部43fが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値であり、LUT187a(LUT6)は、光照射部43gが描画する描画情報のx方向の補正に用いる値である。また、LUT188aは、光照射部43a〜43gが描画する描画情報のy方向の補正に用いる値である。
【0109】
まず、LUT181a、187aの算出について説明する。制御部151aは、板状部23をx方向に移動させながら、+y側に位置する位置測定部29の測定値と−y側に位置する位置測定部29の測定値とを取得する。そして、制御部151aは、位置測定部29が光照射部43a又は光照射部43gのy方向の位置にあると仮定した時の測定値(光照射部43a又は光照射部43gの位置における測定値)を算出する。
【0110】
位置測定部29が光照射部43a又は光照射部43gのy方向の位置にあると仮定した時の測定値は、+y側に位置する位置測定部29の測定値と−y側に位置する位置測定部29の測定値との重み付け平均値である。重み付け平均値は、+y側に位置する位置測定部29の測定値と光照射部43a又は光照射部43gとの距離、及び−y側に位置する位置測定部29と光照射部43a又は光照射部43gとの距離に応じて重み付けした平均値である。例えば、+y側に位置する位置測定部29と光照射部43aとの距離をa、−y側に位置する位置測定部29と光照射部43aとの距離をbとすると、制御部151aは、+y側に位置する位置測定部29の測定値にa/(a+b)を掛けた値と、−y側に位置する位置測定部29の測定値にb/(a+b)を掛けた値とを加算して、位置測定部29が光照射部43aのy方向の位置にあると仮定した時の測定値を算出する。なお、光照射部43a(43b〜43gについても同様)の位置は、マスク製造装置1を製造する時の設計値(ROM153に格納されている)等から算出することができる。
【0111】
制御部151aは、位置測定部29を用いた測定と同時に、レーザ干渉計52を用いて、y方向の位置が光照射部43aの位置であるときのx軸方向の位置の変化を測定し、レーザ干渉計53を用いて、y方向の位置が光照射部43gの位置であるときのx軸方向の位置の変化を測定する。
【0112】
図13は、板状部23をx方向に移動させたときの、位置測定部29が光照射部43a、43gのy方向の位置にあると仮定したときの測定値と、レーザ干渉計52、53の測定結果とを比較した一例である。
図13では、位置測定部29が光照射部43aのy方向の位置にあると仮定したときの測定値をS1、位置測定部29が光照射部43gのy方向の位置にあると仮定したときの測定値をS2とする。また、レーザ干渉計52の測定結果をS52とし、レーザ干渉計53の測定結果をS53とする。
【0113】
図13は、測定値S1、S2が測定値S52、S53より余分に動いている、すなわちx軸が下に凸のピッチングを起こしており、測定値S1、S2はピッチングによる誤差(ピッチング方向における変位量であるピッチ変位量)等を含んでいることを示す。制御部151aは、測定値S1と測定値S52を比較してLUT181aを作成し、測定値S2と測定値S53を比較してLUT187aを作成する。
【0114】
図14は、
図13に示す測定結果が得られた場合における、x方向の補正値(LUT181a)を示すグラフである。例えば、制御部151aは、測定値S1と測定値S52との差分をx軸の位置の順に並べた数列ai(iはx軸の位置であり、例えば数nmおきの値をとり得る)を求める。そして、制御部151aは、iが0〜x
0(i=0〜x
0)のときの数列aiの部分和を、x軸の位置がx
0であるときの補正値として算出する。
【0115】
なお、
図13では、板状部23が+x方向に移動したとき、最初はやや右向き(xy平面における時計まわり)に回転し、その後左向き(xy平面における反時計まわり)に回転し、最後はほぼ真っ直ぐに向き直る(x軸に沿って移動する)という事がわかる。これにより、ヨーイング方向における変位量であるヨー変位量を算出することができる。このヨー変位量は、後に詳述する補正用基板を用いた補正データ生成処理により補正される。
【0116】
また、制御部151aは、板状部23をx方向に移動させながら、+y側に位置する位置測定部29の測定値と−y側に位置する位置測定部29の測定値とを取得するとともに、レーザ干渉計52により、y方向の位置が光照射部43bの位置であるときのx軸方向の位置の変化を測定する。そして、制御部151aは、光照射部43aの場合と同様に、位置測定部29が光照射部43bのy方向の位置にあると仮定した時の測定値を算出し、これをレーザ干渉計52の測定値と比較してLUT182aを算出する。制御部151aは、光照射部43c〜43fについても同様の方法により、LUT183a〜186aを算出する。
【0117】
制御部151aは、位置測定部29と同様の方法により、位置測定部39の補正値(LUT188a)を算出する。制御部151aは、ステージ41をy方向に移動させながら、+x側に位置する位置測定部39の測定値と−x側に位置する位置測定部39の測定値とを取得する。それと同時に、レーザ干渉計51は、x方向の位置が光照射部43aの位置であるときのy軸方向の位置の変化を測定する。そして、制御部151aは、LUT181a〜187aの場合と同様に、位置測定部39が光照射部43aのx方向の位置にあると仮定したときの測定値を算出し、これをレーザ干渉計51の測定値と比較してLUT188aを算出する。
【0118】
制御部151aは、このようにして算出された補正値(LUT181a〜188a)を位置測定部29、39の測定値に加算することで、位置測定部29、39を校正する。制御部151aは、以降の処理においては、校正後の位置測定部29、39の測定値を使用する。
【0119】
校正処理の次に、光照射部43からの光照射位置や光照射タイミングを補正するための補正用基板の作成及びこの補正用基板を用いた補正データ生成処理を行う。
【0120】
まず、補正用基板の作成処理について説明する。まず、補正用基板を作成するためのマスクMをステージ41に載置する載置処理を行う。以下、載置処理について具体的に説明する。
【0121】
制御部151aがマスクリフター用孔41dからマスクリフターを+z方向に突出させた状態で、マスクリフター上にマスクMが載置される。マスクリフター上にマスクMが載置されると、制御部151aは、空気孔41eから空気を吐出しながら、マスクリフターを−z方向に移動させる。その結果、マスクMは−z方向に移動される。
【0122】
上面41aには空気孔41eが多数形成されており、全ての空気孔41eから同じ圧力で空気が吐出される。したがって、マスクリフターがマスクリフター用孔41dの内部に引き下げられると、空気によりマスクMが均等に押し上げられ、マスクMと上面41aとの間に形成された空気の層を介してマスクMが上面41aの上に載置される。この状態において、制御部151aは、付勢部45、46を駆動してマスクMに水平方向の力を加えて、マスクMのx方向及びy方向の位置決めを行う。
【0123】
図15は、付勢部45、46がマスクMを押圧して位置決めを行う様子を説明する図である。
【0124】
制御部151aは、ピン駆動部44dを駆動して、ピン44a、44b、44cを−z方向に移動させ、穴41j、41k、41lのいずれかにピン44a、44b、44cを挿入する。
図15では、穴41lにピン44a、44b、44cが挿入されている。
【0125】
付勢部45はアーム45aを有し、アーム45aの先端にはローラ45bが設けられている。制御部151aが、アーム45aを軸45axを中心に時計回りに回動させる(
図15矢印参照)と、ローラ45bがマスクMの−x側の端面に当接し、マスクMに+x方向の力を付勢する(
図15白抜き矢印参照)。マスクMと上面41aとの間に空気の層が形成されているため、マスクMは、+x方向に移動し、その結果マスクMとピン44b、44cとが当接する。これにより、マスクMがx方向に位置決めされる。なお、付勢部45は、ローラ45bがマスクMのy方向の略中央を押すような位置に設けることが望ましい。また、アーム45aと上面41aとの距離を一定にするため、アーム45aの下面に上面41aと当接するローラ(図示せず)を設けてもよい。
【0126】
付勢部45と同様に、付勢部46はアーム46aを有し、アーム46aの先端にはローラ46bが設けられている。制御部151aが、アーム46aを軸46axを中心に反時計回りに回動させる(
図15矢印参照)と、ローラ46bがマスクMの−y側の端面に当接し、マスクMに+y方向の力を付勢する(
図15白抜き矢印参照)。マスクMと上面41aとの間に空気の層が形成されているため、マスクMは、+y方向に移動し、その結果マスクMとピン44aとが当接する。これにより、マスクMがy方向に位置決めされる。なお、付勢部46は、ローラ46bがマスクMの−x方向及び−y方向の角近傍を押すような位置に設けることが望ましい。また、アーム46aと上面41aとの距離を一定にするため、アーム46aの下面に上面41aと当接するローラ(図示せず)を設けてもよい。
【0127】
ピン44a、44b、44cとマスクMとが当接してマスクMの水平方向の位置決めがされたら、制御部151aは、ステージ41を制御して、空気孔41eからの空気の吐出を止める。その結果、マスクMは、x方向及びy方向の位置決めがされた状態で上面41aの上に載置される。なお、制御部151aは、ピン44a、44b、44cに設けた図示しないセンサ等の検出結果に基づいて、ピン44a、44b、44cとマスクMとが当接したと判定することができる。
【0128】
その後、制御部151aは、ピン駆動部44dを制御してピン44a、44b、44cを+z方向に移動させて、ピン44a、44b、44cを穴41j、41k、41lのいずれかから抜いて、ピン44a、44b、44cをステージ41から離す。これにより、高精度でマスクMの位置決めを行うことができる。
【0129】
マスクMは上面41aの上に載置されているため、上面41aとマスクM下面との摩擦により、マスクMが上面41aに固定される。したがって、マスクMは上面41aの上に載置された後は、例えばピン44a、44b、44cが+z方向に移動したとしても、ステージ41が変形しない限り、マスクMが変形、移動等することは無い。また、ピン44a、44b、44cを穴41j、41k、41lから抜くため、マスクMがピン44a、44b、44cに当接してマスクMがピン44a、44b、44cから力を受け、その力によりマスクMがゆがむことを防止することができる。
【0130】
マスクMがステージ41に載置されたら、制御部151aは、マスクMに補正用基板パターンを描画して、補正用基板を生成する。制御部151aは、補正用基板パターンに関する情報である補正用基板描画情報をROM153から取得し、補正用基板描画情報に基づいて描画処理を行う。光をマスクMに照射する処理は、すでに公知の技術を用いて行うことができる。
【0131】
図16は、補正用基板描画情報の一例を示す図である。
図16においては、マスクMの位置を点線で模式的に示す。補正用基板パターンは、二次元状に配列された複数の十字を含むパターンであり、本実施の形態では格子状のパターンである。制御部151aは、駆動部25、34を制御してステージ41をx方向及びy方向に動かしながら、マスクMに補正用基板パターンを描画して補正用基板M1を生成する。制御部151aは、ステージ41をx方向に移動させて一列分の描画を行ってから、ステージ41をy方向に移動させて補正用基板の描画処理を行う。なお、ステージ41を動かす処理については、後に詳述する。
【0132】
図17は、
図16に示す補正用基板描画情報に基づいて生成した補正用基板M1を示す。
図17において、領域A1のパターンは光照射部43aにより描画されており、領域A2のパターンは光照射部43bにより描画されており、領域A3のパターンは光照射部43cにより描画されており、領域A4のパターンは光照射部43dにより描画されており、領域A5のパターンは光照射部43eにより描画されており、領域A6のパターンは光照射部43fにより描画されており、領域A7のパターンは光照射部43gにより描画されている。
図17においては、様々な誤差により、x方向の描画パターンが
図16における右側(−y方向)にy1だけふくらんだ曲線となっている。
【0133】
次に、制御部151aは、補正用基板M1を用いて光照射部43の設置誤差等を補正する補正データを生成する。以下、補正データを生成する方法について詳細に説明する。
【0134】
制御部151aは、補正用基板M1を生成したときの状態である初期状態(0度)と、初期状態から補正用基板M1を略90度、略180度、及び略270度回転させた状態と、のそれぞれの状態で補正用基板M1をステージ41の上面41aに載置し、それぞれの場合において、パターン読取部47を用いて補正用基板M1を読み取る。
【0135】
初期状態においては、領域A1のパターンはパターン読取部47aで読み取られ、領域A2のパターンはパターン読取部47bで読み取られ、領域A3のパターンはパターン読取部47cで読み取られ、領域A4のパターンはパターン読取部47dで読み取られ、領域A5のパターンはパターン読取部47eで読み取られ、領域A6のパターンはパターン読取部47fで読み取られ、領域A7のパターンはパターン読取部47gで読み取られる。したがって、パターン読取部47を用いて補正用基板M1を読み取った結果は、
図15に示す補正用基板描画情報と一致する。
【0136】
図18は、初期状態から補正用基板M1を略180度回転させた状態において、パターン読取部47を用いて補正用基板M1を読み取った結果を示す。この場合には、領域A1のパターンはパターン読取部47gで読み取られ、領域A2のパターンはパターン読取部47fで読み取られ、領域A3のパターンはパターン読取部47eで読み取られ、領域A4のパターンはパターン読取部47dで読み取られ、領域A5のパターンはパターン読取部47cで読み取られ、領域A6のパターンはパターン読取部47bで読み取られ、領域A7のパターンはパターン読取部47aで読み取られる。したがって、初期状態から略180度回転された補正用基板M1をパターン読取部47により読み取った結果(
図18の実線参照)は、x方向の描画パターンが、
図17における左側(+y方向)にy2だけふくらんだ曲線となる。y2は、y1の2倍の大きさである。なお、
図18において、破線は補正用基板描画情報を示す。
【0137】
制御部151aは、初期状態での読み取り結果(補正用基板描画情報、
図18の点線参照)と、初期状態から補正用基板M1を略180度回転させた状態での読み取り結果(
図18の実線参照)の中間(
図18の2点鎖線参照)を、光照射部43の補正値とする。
【0138】
図18に示す場合においては、補正値は、x方向の描画パターンが、+y方向にy1だけふくらんだ曲線となる。この補正値を補正用基板描画情報に加算した情報を用いて補正用基板M1’(図示せず)を描画すると、補正用基板M1’のパターンは直線となり、初期状態でのパターン読取部47による読み取り結果と、初期状態から補正用基板M1’を略180度回転させた状態でのパターン読取部47による読み取り結果は一致する。
【0139】
同様に、制御部151aは、初期状態から補正用基板を略90度回転させた状態でのパターン読取部47による読み取り結果と、初期状態から補正用基板を略270度回転させた状態でのパターン読取部47による読み取り結果の中間を補正値として算出する。
【0140】
このようにして、制御部151aは、補正用基板M1を生成したときの状態である初期状態(0度)と、初期状態から補正用基板M1を略90度、略180度、及び略270度回転させた状態と、のそれぞれの状態で補正用基板M1を読み取ったときの補正用基板パターンの位置を取得し、初期状態での読み取り結果と、補正用基板M1を略180度回転させた状態での読み取り結果とが一致し、かつ補正用基板M1を略90度回転させた状態での読み取り結果と、補正用基板M1を略270度回転させた状態での読み取り結果とが一致する補正値を光照射部43の補正データとする。なお、これらの読み取り値が一致する場合は、補正用基板M1に描画されたパターンと、補正用基板描画情報に示されるパターンとが完全に一致する場合のみである。
【0141】
これにより、光照射部43単独で自らを校正し、マスクMに描画されるパターンと、描画情報に示されるパターンとを完全に一致させることができる。また、複数の十字の位置を含む補正用基板パターンを用いることで、x方向、y方向のそれぞれについて補正値を求めることができる。なお、本実施の形態では、制御部151aは、補正用基板の作成及びこの補正用基板を用いた補正データ生成処理を1回ずつ行ったが、補正用基板の作成及びこの補正用基板を用いた補正データ生成処理をそれぞれ複数回行っても良い。また、本実施の形態では、制御部151aは、初期状態での読み取り結果と、補正用基板M1を略180度回転させた状態での読み取り結果とが一致し、かつ補正用基板M1を略90度回転させた状態での読み取り結果と、補正用基板M1を略270度回転させた状態での読み取り結果とが一致する補正値を光照射部43の補正データとしたが、初期状態での読み取り結果と、補正用基板M1を略180度回転させた状態での読み取り結果とが一致する値を補正データとしてもよい。
【0142】
次に、描画処理について説明する。まず、マスクMをステージ41の上に載置する載置処理を行う。当該載置処理は、補正用基板M1を生成する場合と同様であるため、説明を省略する。
【0143】
マスクMがステージ41の上に載置されたら、制御部151aは、所定時間(例えば、数時間)が経過するまで、マスクMをそのまま放置する。その後、制御部151aは、AF処理部435を制御して、マスクMの位置と、光照射部43とマスクMとの距離と、を関連付けた距離情報を取得し、距離情報に基づいて補正情報(xy補正テーブル)を作成する(後に詳述する描画位置補正処理に使用)。
【0144】
図19は、マスクMとステージ41の上面41aとの間に塵埃Dが付着しているときのマスクMの様子を示す模式図である。塵埃DによりマスクMがたわむと、感光性基板がたわんでいないことを前提として鉛直方向のレーザビームを光照射部43a〜43gから照射したときにレーザビームを当てようとしている位置と、マスクMがたわんでいるときに実際にレーザビームが当たる位置との間には、誤差が生じる。
【0145】
例えば、マスクMの中心線(
図19の一点鎖線参照)が上側(+z側)に凸となっている部分は、マスクMの表面が延びているため、描画処理時には、y方向の移動量を大きくしなければならない。それに対し、マスクMの中心線が下側(−z側)に凸となっている部分は、マスクMの表面が縮んでいるため、描画処理時には、y方向の移動量を小さくしなければならない。
【0146】
さらに、マスクMの厚さが均一でない場合にも、光照射部43a〜43gからレーザビームを当てようとしている位置と、実際にレーザビームが当たる位置との間に誤差が生じる。したがって、制御部151aは、距離情報として、マスクMの厚み分布(トータル・シックネス・バリエーション、TTV)を取得する。
【0147】
このように、制御部151aは、取得された距離情報に基づいて、マスクMの位置と、マスクMの水平方向の位置ずれと、を関連付けたxy補正テーブルを作成して描画情報を補正する。
【0148】
また、制御部151aは、光読取部48a〜48gを用いて、光照射部43a〜43gの位置関係を取得しておく。まず、制御部151aは、ステージ41を移動させて、光照射部43a〜43gのxy平面における位置と、光読取部48a〜48gのxy平面における位置とを一致させる。そして、制御部151aは、光照射部43a〜43gから光を照射し、光照射部43aから照射された空中像iを光読取部48aで読み取り、光照射部43bから照射された空中像iを光読取部48bで読み取り、光照射部43cから照射された空中像iを光読取部48cで読み取り、光照射部43dから照射された空中像iを光読取部48dで読み取り、光照射部43eから照射された空中像iを光読取部48eで読み取り、光照射部43fから照射された空中像iを光読取部48fで読み取り、光照射部43gから照射された空中像iを光読取部48gで読み取る。制御部151aは、光読取部48a〜48gで読み取った結果を、それぞれ、x座標、y座標の位置に変換する。
【0149】
次に、制御部151aは、ステージ41を−y方向に移動させて、光照射部43bから照射された空中像iを光読取部48aで読み取り、光照射部43cから照射された空中像iを光読取部48bで読み取り、光照射部43dから照射された空中像iを光読取部48cで読み取り、光照射部43eから照射された空中像iを光読取部48dで読み取り、光照射部43fから照射された空中像iを光読取部48eで読み取り、光照射部43gから照射された空中像iを光読取部48fで読み取る。制御部151aは、光読取部48a〜48fで読み取った結果を、それぞれ、x座標、y座標の位置に変換する。
【0150】
制御部151aは、1回目に読み取った結果(x座標、y座標の位置)と、2回目に読み取った結果(x座標、y座標の位置)とを比較することで、光照射部43aと光照射部43bとの位置関係、光照射部43bと光照射部43cとの位置関係、光照射部43cと光照射部43dとの位置関係、光照射部43dと光照射部43eとの位置関係、光照射部43eと光照射部43fとの位置関係、光照射部43fと光照射部43gとの位置関係をそれぞれ取得する。位置測定の精度は、光照射部43の顕微鏡の倍率等に基づくが、略10nm以下である。制御部151aは、これらの位置関係を用いて、描画情報を補正する。
【0151】
次に、制御部151aは、位置測定部29、39により取得した測定値に基づいて、光照射部43aがマスクMの−x側の端及び−y側の端に光を照射する位置へとステージ41を移動させる。その後、制御部151aは、光照射部43から光を照射しつつステージ41を移動させて、描画処理を行う。制御部151aは、描画処理に先立ち、描画情報をROM153から取得する。そして、制御部151aは、算出された補正値に基づいて描画情報を補正し、補正後の描画情報を用いて描画処理を行う。
【0152】
まず、描画処理におけるステージ41の移動について説明する。制御部151aは、描画処理の間、空気吐出部28、38から継続して空気を吐出する。これにより、板状部23と、レール21、ガイドレール22との間に空気の層が形成されるため、板状部23がレール21、ガイドレール22の上を滑らかに移動する。また、ステージ41と、レール31、ガイドレール32との間に空気の層が形成されるため、ステージ41がレール31、ガイドレール32の上を滑らかに移動する。これにより、ステージ41を滑らかに水平方向(x方向及びy方向)に移動させることができる。特に、凸部23cや凸部41cを2次元状に配置し、空気の層を一定の厚さとすることで、ステージ41の高さを変えることなく、板状部23やステージ41を水平方向に移動させることができる。
【0153】
空気吐出部28から空気を吐出して、板状部23とレール21やガイドレール22との間に空気の層を形成しつつも、棒状部材26が磁石27に吸引されることで、板状部23がレール21やガイドレール22から浮きすぎることを防止する。また、空気吐出部28、38から空気を吐出して、ステージ41とレール31やガイドレール32との間に空気の層を形成しつつも、棒状部材36が磁石37に吸引されることで、ステージ41がレール31やガイドレール32から浮きすぎることを防止する。これにより、板状部23やステージ41の高さの変動を防止することができる。また、凸部23c部、41cにそれぞれ複数の空気吐出部28、38を設けることで、板状部23とレール21やガイドレール22との間に形成される空気の層、及びステージ41とレール31やガイドレール32との間に形成される空気の層の圧力を高くし、これにより板状部23やステージ41の剛性を高くすることができる。
【0154】
さらに、棒状部材26が磁石27に吸引されることで、板状部23とレール21やガイドレール22との間に形成された空気の層を薄くし、これにより空気の層の圧力を高くして、板状部23の剛性を高くすることができる。また、棒状部材36が磁石37に吸引されることで、ステージ41とレール31やガイドレール32との間に形成された空気の層を薄くし、これにより空気の層の圧力を高くして、ステージ41の剛性を高くすることができる。
【0155】
駆動部25が、ガイドレール22の近傍に、ガイドレール22を中心として線対称の位置に設けられるため、駆動部25は、板状部23(ステージ41)を水平面内で回転させることなく、板状部23(ステージ41)をx方向に移動させることができる。また、駆動部34が、ガイドレール32の近傍に、ガイドレール32を中心として線対称の位置に設けられるため、駆動部34は、ステージ41を水平面内で回転させることなく、ステージ41をy方向に移動させることができる。
【0156】
また、制御部151aは、ステージ41を移動させる時に、位置測定部29から取得した情報に基づいて駆動部25を制御し、位置測定部39から取得した情報に基づいて駆動部34を制御する。
図20は、制御部151aが行う駆動部25、34の制御について説明する図である。
【0157】
まず、推力変換部164、174は、可動子25b、34bのU相、V相、W相にそれぞれ信号を出力し、推力変換部164、174は、その結果に基づいて可動子25b、34bのU相、V相、W相の力率(力率情報)を求めておく。
【0158】
第1移動部20の−y側の位置測定部29における計測信号は、Xカウンタ(1)161に入力され、+y側の位置測定部29における計測信号は、Xカウンタ(2)162に入力される。制御部151aは、Xカウンタ(1)161の出力と、Xカウンタ(2)162の出力との平均値を、現在位置とする。
【0159】
目標座標算出部163では、CPU151から出力されるパルス等に基づいて、現時点における目標座標(位置指令)が算出される。制御部151aは、Xカウンタ(1)161、Xカウンタ(2)162からの出力信号と、目標座標算出部163から出力された位置指令との偏差の一次関数(P)を算出する。また、制御部151aは、偏差の積分に比例して変化する入力値(I)と、偏差の微分に比例して変化する入力値(D)を算出する。これらの値は、推力変換部164へ入力される。
【0160】
さらに、制御部151aは、目標座標算出部163で算出された位置指令を1次微分する1次微分項と、位置指令を2次微分する2次微分項と、を算出する。これらの値は、推力変換部164へ入力される。推力変換部164には、原点センサ165から駆動部25の位置を管理するために基準となる原点信号が入力される。
【0161】
推力変換部164は、入力された情報に基づいて駆動部25を駆動するための信号を生成する。具体的には、推力変換部164は、比例動作、積分動作、微分動作を組み合わせたPID制御と、目標座標算出部163から入力された位置指令、1次微分項、2次微分項とに基づいたフィードフォワード制御と、を行う。そして、推力変換部164では、制御結果、力率情報等に基づいて駆動信号を生成する。駆動信号は、U相、V相、W相のそれぞれに対応する信号であり、アンプ166、167、168でそれぞれ増幅された後、可動子25bのU相、V相、W相のコイルそれぞれに出力される。したがって、ステージ41を正確に移動させることができる。なお、精度の高い制御(nm〜数十nm単位の制御)を行うためには、アンプ166、167、168は、DCリニアアンプであることが望ましい。
【0162】
第2移動部30の−x側の位置測定部39における計測信号は、Yカウンタ(1)171に入力され、+x側の位置測定部39における計測信号は、Yカウンタ(2)172に入力される。制御部151aは、Yカウンタ(1)171の出力と、Yカウンタ(2)172の出力との平均値を、現在位置とする。
【0163】
目標座標算出部173では、目標座標算出部163と同様に、位置指令を算出する。制御部151aは、Yカウンタ(1)171、Yカウンタ(2)172からの出力信号と、目標座標算出部173から出力された位置指令との偏差の一次関数(P)を算出する。また、制御部151aは、偏差の積分に比例して変化する入力値(I)と、偏差の微分に比例して変化する入力値(D)を算出する。これらの値は、推力変換部174へ入力される。
【0164】
さらに、制御部151aは、目標座標算出部173で算出された位置指令の1次微分項と、位置指令の2次微分項と、を算出する。これらの値は、推力変換部174へ入力される。推力変換部174には、原点センサ175から駆動部34の位置を管理するために基準となる原点信号が入力される。
【0165】
推力変換部174は、入力された情報に基づいて駆動部25を駆動するための信号を生成する。具体的には、推力変換部174は、推力変換部164と同様に、PID制御と、フィードフォワード制御とを行い、制御結果、力率情報等に基づいて駆動信号を生成する。駆動信号は、U相、V相、W相のそれぞれに対応する信号であり、アンプ176、177、178でそれぞれ増幅された後、可動子34bのU相、V相、W相のコイルそれぞれに出力される。したがって、板状部23を正確に移動させることができる。なお、アンプ166、167、168と同様、アンプ176、177、178はDCリニアアンプであることが望ましい。
【0166】
また、制御部151aは、ステージ41を移動させる時に、ステージ41が板状部23からはみ出ないように駆動部34を制御する。また、制御部151aは、板状部23を移動させる時に、板状部23がレール21、ガイドレール22からはみ出ないように駆動部25を制御する。これにより、ステージ41がたわむことにより、マスクMの保持位置がずれてしまうことを防止することができる。
【0167】
次に、描画処理における光照射部43の制御について説明する。
図21は、制御部151aが行う描画位置補正処理について説明する図である。なお、LUT181a〜188aについては、校正処理により既に得られている。LUT181a〜188aは、スケール29a、39aを交換する、空気吐出部28、38から吐出される空気の圧力を変える等、ステージ41の走行条件が変化しない限り、更新の必要はない。なお、LUT181a〜187aは、光読取部48a〜48gにより得られた光照射部43a〜43gの位置関係を補正する値を含んでも良い。
【0168】
制御部151aは、すでに説明した補正用基板M1を用いた補正データ及びxy補正テーブルに基づいて、各光照射部43a〜43gのx方向のオフセットテーブル181b〜187b、y方向のオフセットテーブル188b〜188hを算出する。補正データ及びxy補正テーブルはマスクM上の位置と関連付けられたデータであるため、制御部151aは、例えば、マスクM上の位置p(図示せず)における補正データとxy補正テーブルとを加算することで、位置pにおけるx方向のオフセット量と、y方向のオフセット量とを算出する。そして、制御部151aは、この処理をマスクM上の全ての位置に対して行い、その結果を各光照射部43a〜43gが描画するマスクMの位置に応じて分けることで、x方向のオフセットテーブル181b〜187b、y方向のオフセットテーブル188b〜188hを算出する。なお、オフセットテーブル181b〜187b、188b〜188hは定常値である。また、オフセットテーブル181b〜187b、188b〜188hは、光照射部43a〜43gの位置毎に、光源432の各画素に対応して値が2次元配置されたものである。
【0169】
制御部151aは、推力変換部164、174においてPID制御及びフィードフォワード制御に基づいて生成された駆動信号に基づいて駆動部25、34を駆動しながら、位置測定部29、39により板状部23のx方向の位置及びステージ41のy方向の位置を測定する。そして、これらの値を各光照射部43a〜43gの位置に応じて重み付け加算して、現時点における光照射部43a〜43gのx方向の位置191〜197及び現時点における光照射部43aのy方向の位置198を算出する。重み付け加算による位置191〜198の算出は、位置測定部29、39が光照射部43a〜43gの位置にあると仮定したときの測定値の算出と同様の方法で行う。
【0170】
なお、位置測定部29、39の測定値はそれぞれヨー変位量を含むため、y方向の位置198は、位置測定部29、39の測定値から求められた回転量を足して算出する必要がある。
【0171】
制御部151aは、光照射部43aのx方向の位置191を取得すると、この位置191における補正値をLUT181aとオフセットテーブル181bとから取得し、これらを足した値を光照射部43aのx方向のパターン位置補正量として算出する。同様に、制御部151aは、光照射部43b〜43gのx方向の位置192〜197に基づいて、この位置192〜197における補正値をLUT182a〜187aとオフセットテーブル182b〜187bとから取得し、これらを足した値を光照射部43b〜43gのx方向のパターン位置補正量としてそれぞれ算出する。
【0172】
また、制御部151aは、光照射部43aのy方向の位置198を取得すると、この位置191における補正値をLUT188aとオフセットテーブル188bとから取得し、これらを足した値を光照射部43aのy方向のパターン位置補正量として算出する。同様に、制御部151aは、LUT188aとオフセットテーブル188c〜188hに基づいて、光照射部43b〜43gのy方向のパターン位置補正量をそれぞれ算出する。
【0173】
制御部151aは、算出されたx方向のパターン位置補正量及びy方向のパターン位置補正量を用いて描画情報を補正する。具体的には、制御部151aは、
図22又は
図23に示すように、光照射部43が有する光学部材を移動させることにより、x方向及びy方向の位置補正を行う。
【0174】
図22、23は、光源432から照射された光が結像される位置(像位置)を水平方向に移動させる様子を示す模式図である。
図22、23では、光学部材を移動させていない状態における光の経路を細い実線で示し、光学部材を移動させた状態における光の経路を細い2点鎖線で示す。また、
図22、23では、説明のため、光源432から照射される面状の光のうち、ある点から照射された光のみを図示している。
【0175】
図22に示すように、チューブレンズ群435aを水平方向(x方向及び/又はy方向)に移動させることで、像位置を水平方向に移動させる。
図22では、チューブレンズ群435aを実線で示す位置から2点鎖線で示す位置へと移動させた結果、像位置が−y方向へ移動している。また、チューブレンズ群435aのみを水平方向に移動させる構成とすることで、収差が抑制される。
【0176】
また、
図23に示すように、平行平板439をx方向及び/又はy方向に対して傾けることで、見かけの発光点を水平方向に移動させ、像位置を水平方向に移動させる。
図23では、y補正回転の軸を中心に、平行平板439を
図23における右側が下に向くように傾けることで、見かけの発光点が
図23における左側(
図23の実線で示す位置から点線で示す位置)へ移動し、像位置が
図23における右側(−y方向)へ移動している。また、平行平板439をx補正回転の軸を中心に回転させることで、像位置がx方向へ移動する。平行平板439は、収差を抑えるため、略1〜2度以下の傾きとすることが望ましい。
【0177】
このように、チューブレンズ群435aを水平方向に移動させるか、平行平板439を傾けるかのいずれかの方法を用いることにより、レーザ光を面照射する場合に、描画情報を補正して光を照射することができる。
【0178】
なお、制御部151aは、x方向の位置補正については、光源432の各ピクセルを点灯させるタイミング、つまり照射タイミング情報(Horizontal Drive信号の出力タイミング)をずらすことにより行ってもよい。また、制御部151aは、y方向の位置補正については、光源432の描画情報(2次元配置されたピクセル)の外側に設けた冗長ピクセルを用いて描画情報を移動させる、つまり位置情報をずらすことにより行ってもよい。
【0179】
このように、制御部151aは、光照射部43a〜43gの現在の位置に応じて描画情報を補正し、補正した描画情報に基づいて描画処理を行う。描画処理においては、制御部151aは、ステージ41をx方向に移動させて一列分の描画を行ってから、ステージ41をy方向に移動させる。なお、制御部151aは、描画処理時に、必要に応じて枠体431をz方向に移動させる。枠体431の移動は、リニアエンコーダ434eで枠体431のz方向の移動量を測定しつつ、ピエゾ素子434dを駆動することにより行われる。これにより、マスクMの厚さが変動等したとしても、光照射部43から照射される光を、マスクM上に結像させることができる。
【0180】
本実施の形態によれば、レーザ干渉計51、52、53を用いて位置測定部29、39を校正するため、正確にステージを水平方向に移動させることができる。そのため、マスクMに描画するパターンの位置精度を高くすることができる。
【0181】
また、本実施の形態によれば、光照射部43を用いて補正用基板を生成し、補正用基板を用いて補正データを生成し、補正データを用いて描画情報を補正するため、光照射部43の設置誤差等を補正して、パターンを正確に描画することができる。
【0182】
また、本実施の形態によれば、AF処理部435を制御して、マスクMのたわみ等高さ方向の変化を取得し、これを補正するようxy補正テーブルを作成し、xy補正テーブルを用いて描画情報を補正するため、マスクMのたわみ等が発生したとしても、パターンを正確に描画することができる。また、熱膨張係数が略1×10
−7/K以下(マスクMの熱膨張係数より小さい)のセラミックを用いてステージ41を形成することで、制御しきれない温度変化(0.01度程度)があった場合にも、ステージ41の変形を防止し、これによるマスクMのたわみ(膨張、収縮によるたわみ)を防止して、パターンの位置精度を高くすることができる。
【0183】
また、本実施の形態によれば、空気吐出部28とレール21及びガイドレール22との間、及び空気吐出部38とレール31及びガイドレール32との間に空気の層が形成されるため、ステージ41を滑らかに、かつ正確に移動させ、これによりパターンの位置精度を高くすることができる。また、ガイドレール22と溝23dとの間に空気の層を形成し、ガイドレール32と溝41gとの間に空気の層を形成することも、板状部23やステージ41を滑らかに、かつ正確に移動させ、これによりパターンの位置精度を高くするのに有効である。
【0184】
なお、本実施の形態では、可動子25bの内部に冷却液が流れる配管25cが設けられ、可動子34bの内部に冷却液が流れる配管34cが設けられるが、配管25c、25d、34c、34dは必須ではない。また、可動子25b、34bや固定子25a、34aを冷却する方法もこれに限られない。
【0185】
また、本実施の形態では、定盤11と板状部23との間に棒状部材26及び磁石27を設け、板状部23とステージ41との間に棒状部材36及び磁石37を設けることで、ステージ41とレール31やガイドレール32との間に形成された空気の層を薄くしたが、これらの空気の層を薄くする方法はこれに限られない。例えば、板状部23Aの凸部23cに空気を吸引する空気吸引部をさらに設け、ステージ41の凸部41cに空気を吸引する空気吸引部をさらに設けてもよい。また、棒状部材26、磁石27、棒状部材36及び磁石37や、空気吸引部等の空気の層を薄くする構成は必須ではない。
【0186】
また、本実施の形態では、光照射部43を7個設けたが、光照射部43の数は7個に限られず、1つでもよい。ただし、y方向の移動量を小さくするためには、光照射部43を複数設けることが望ましい。
【0187】
また、本実施の形態では、パターン読取部47を別途設けたが、パターン読取部47の機能を光照射部43に含めることが可能であれば、パターン読取部47を別途設ける必要はない。また、パターン読取部47の機能の一部を光照射部43に含めてもよい。すなわち、パターン読取部47は、光照射部43に隣接して設けられていても良いし、光照射部43に設けられていても良い。
【0188】
また、本実施の形態では、ピン44a、44b、44cが枠体42に対して移動可能に設けられ、必要に応じてピン44a、44b、44cを穴41j、41k、41lのいずれかに挿入することで、ピン44a、44b、44cがステージ41に設けられるが、予めピン44a、44b、44cをステージ41に設けておいてもよい。ただし、マスクMがピン44a、44b、44cに常時当接することによるマスクMの歪みを防止するためには、マスクMをステージ41に載置した後、ピン44a、44b、44cをステージ41から外すことが望ましい。また、ピン44a、44b、44cを穴41j、41k、41lに挿入したり抜いたりする形態もこれに限られない。
【0189】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。当業者であれば、実施形態の各要素を、適宜、変更、追加、変換等することが可能である。
【0190】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略水平とは、厳密に水平の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、Aの近傍という場合に、Aの近くのある範囲の領域であって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。